JP2002357537A - 分析素子の製造方法及び分析素子、並びにそれを用いた試料の分析方法 - Google Patents

分析素子の製造方法及び分析素子、並びにそれを用いた試料の分析方法

Info

Publication number
JP2002357537A
JP2002357537A JP2001167167A JP2001167167A JP2002357537A JP 2002357537 A JP2002357537 A JP 2002357537A JP 2001167167 A JP2001167167 A JP 2001167167A JP 2001167167 A JP2001167167 A JP 2001167167A JP 2002357537 A JP2002357537 A JP 2002357537A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal film
analysis element
analysis
diffraction grating
sample
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001167167A
Other languages
English (en)
Inventor
Satoru Isomura
哲 磯村
Takaaki Munebayashi
孝明 宗林
Yoshihiro Oohiraochi
嘉寛 大平落
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2001167167A priority Critical patent/JP2002357537A/ja
Publication of JP2002357537A publication Critical patent/JP2002357537A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/17Systems in which incident light is modified in accordance with the properties of the material investigated
    • G01N21/55Specular reflectivity
    • G01N21/552Attenuated total reflection
    • G01N21/553Attenuated total reflection and using surface plasmons

Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面プラズモン共鳴(SPR)を利用した試
料分析のための分析素子の製造方法に関し、エバネッセ
ント波を誘起する光学構造として回折格子の構造制御及
び試料と接触する表面の性状制御を容易にする。 【解決手段】 型24に回折格子25を形成しておき、
この型24の回折格子25が形成された側の面に金属膜
23を積層し、さらに金属膜23上に基板22を積層す
ることによって、分析素子21の製造工程における金属
膜23表面への回折格子25の形成時の操作から蒸着や
スパッタリングによる要素を排除する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面プラズモン共
鳴(SPR)を利用した試料分析のための分析素子(表
面プラズモン共鳴センサチップ)の製造方法に関し、特
に、エバネッセント波を誘起する光学構造として回折格
子を備えた分析素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、生化学や医療検査等の分野におけ
る固相表面における被分析物の分析方法として、表面プ
ラズモン共鳴(SPR)を利用した分析方法が知られて
いる。表面プラズモン共鳴とは、金属表面に光が入射し
た場合に金属表面の自由電子の粗密波(表面プラズモン
波)が入射光により生成されたエバネッセント波に共鳴
して励起される現象であり、表面プラズモン共鳴が励起
されたときには反射光が減少する特徴がある。表面プラ
ズモン共鳴は入射光の波長及び角度、並びに金属表面の
媒質の屈折率に依存しており、媒質の屈折率が変化すれ
ば波長一定の場合には共鳴角が変化し、また、入射角度
一定の場合には共鳴波長が変化する。したがって、反射
光の強度に基づき共鳴角或いは共鳴波長を調べることで
金属表面の媒質の屈折率を分析することができる。そし
て、金属表面の近傍に被分析物が存在する場合には、金
属表面の媒質の屈折率の変化は被分析物の物質量の変化
に対応していることから、共鳴角或いは共鳴波長を調べ
ることで被分析物の分析が可能になる。
【0003】表面プラズモン共鳴を起こすには二つの要
素が必要である。一つは特定の表面プラズモン波を有す
る金属であり、もう一つはその表面プラズモン波と共鳴
する光波、すなわちエバネッセント波を誘起する光学構
造である。エバネッセント波を誘起する光学構造として
は現在二つの構造が知られている。一つはプリズムの全
反射を利用した光学構造であり、もう一つは回折格子を
利用した光学構造である。なお、上記の金属にこれらの
光学構造を組み合わせた分析素子は一般に表面プラズモ
ン共鳴センサチップ(SPR用分析素子)と呼ばれてい
る。
【0004】回折格子を備えた分析素子としては特許1
903195号に開示されたものや特許2502222
号に開示されたものがある。図10はその従来の回折格
子を備えたセンサチップの構造を示した模式図である
が、図10に示すようにこの従来の分析素子100は金
属膜(例えば金)101の表面に回折格子102(図中
に太線で強調して示している)を備えている。この回折
格子102は基板103の表面に周期的な凹凸104を
形成し、凹凸104が形成された基板103表面に金属
を塗布することによって金属膜101の表面に現されて
いる。金属膜101の膜厚は入射光が透過しない程度の
厚さに設定されている。分析素子100の使用時には金
属膜101の表面に被分析物106を捕捉するための抗
体(結合物質)105が固定化される。抗体105は特
定の物質と特異的に結合する性質を備えたものであり、
捕捉すべき被分析物106に応じたものが選択されてい
る。
【0005】このような構成により、分析素子100に
金属膜101の抗体105が固定化された側から光を照
射すると金属膜101表面の回折格子102において入
射光が回折し、行き場を失った高次の回折光が平面波化
してエバネッセント波となる。仮に単色光のように一定
波長の光を照射する場合、入射角が特定の入射角となっ
たときにエバネッセント波と金属膜101表面の表面プ
ラズモン波とが共鳴して強い吸収が生じ、反射光が減少
する。抗体105に被分析物106が捕捉されていると
きにはその物質量に応じて共鳴角が変化するので、共鳴
角の変化量を測定することにより試料中の被分析物10
6の濃度等を分析することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の分析素子100
は金属膜101表面の回折格子102で回折現象を起こ
させているため、金属膜101表面の形状は厳密に制御
される必要がある。しかしながら、上記のように凹凸1
04が形成された基板103表面に金属を塗布する場
合、凹部には金属がたくさん塗れるかわりに凸部には金
属が少ししか塗れないため、従来の分析素子100では
金属膜101表面の形状を厳密に制御することは難しか
った。また、このように金属膜101表面の形状が回折
格子102を形成する条件で最適化されなければならな
いことから、金属膜101表面の形状は必ずしもその後
の化学修飾等の表面処理に有利な状態であるとはいえな
かった。
【0007】本発明は、このような課題に鑑み創案され
たもので、回折格子の構造制御を容易にした、分析素子
の製造方法及び分析素子、並びにそれを用いた試料の分
析方法を提供することを目的とする。また、試料と接触
する表面の性状制御を容易にした、分析素子の製造方法
及び分析素子、並びにそれを用いた試料の分析方法を提
供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決すべく
鋭意検討した結果、発明者らは、回折格子形成時の操作
から蒸着やスパッタリングによる要素を排除すること
で、回折格子の構造制御が容易になることを見出し、本
発明を完成した。すなわち、本発明の分析素子の製造方
法(第1の製造方法)は、型に回折格子を形成するステ
ップと、上記型の上記回折格子が形成された側の面に金
属膜を積層するステップと、上記金属膜上に基板を積層
するステップとを備えたことを特徴としている。これに
より、基板上に金属膜が積層され、その表面に蒸着やス
パッタリングによることなく回折格子が形成された分析
素子が製造される。また、上記の製造方法において、上
記型を樹脂等で形成してそのまま分析素子の表層を形成
する表層膜として用いてもよい。この場合には試料と接
触する表面の性状制御を容易にすることができる。
【0009】上記の製造方法に製造された分析素子は、
励起光の照射により上記回折格子において生じるエバネ
ッセント波と上記金属膜の表面に生じる表面プラズモン
波との共鳴現象(表面プラズモン共鳴)を利用して試料
の定量的及び/又は定性的な分析を行うためのSPR用
分析素子として用いられる。
【0010】そして、この分析素子を試料の定量的及び
/又は定性的な分析に用いる場合には、上記金属膜の表
面に、或いは、上記型としての表層膜が表層を形成して
いる場合には上記表層膜(この場合の表層膜は励起光に
対して透過性を有するものとする)の表面に、特定の物
質と特異的に結合しうる結合物質を固定化しておき、上
記分析素子の上記結合物質が固定化された側の表面に試
料を接触させるステップ、上記分析素子に対し上記結合
物質が固定化された側から励起光を照射するステップ、
上記分析素子からの反射光を検出するステップ、検出し
た反射光の強度に基づき試料の定量的及び/又は定性的
な分析を行うステップを実行する。なお、これらの各ス
テップは、記載順に実行してもよく、同時に実行しても
よい。特に、各ステップを同時に実行する場合には、試
料中の被分析物が上記結合物質に結合していく様子をリ
アルタイムでモニタすることができる。
【0011】さらに、上記金属膜及び上記基板が励起光
に対して透過性を有する場合には、上記金属膜或いは上
記表層膜の表面に結合物質を固定化した後、上記分析素
子の上記結合物質が固定化された側の表面に試料溶液を
接触させるステップ、上記分析素子に対し上記基板側か
ら励起光を照射するステップ、上記分析素子からの反射
光を検出するステップ、検出した反射光の強度に基づき
試料の定量的及び/又は定性的な分析を行うステップを
実行することができる。このように励起光を分析素子の
基板側から照射することで高精度の分析が可能になる。
なお、上記各ステップは、記載順に実行してもよく、同
時に実行してもよい。
【0012】また、上記の第1の製造方法とは別に、本
発明の分析素子の第2の製造方法は、基板上に金属膜を
積層するステップと、上記金属膜の表面を加工して回折
格子を形成するステップとを備えたことを特徴としてい
る。この製造方法によっても金属膜の表面に蒸着やスパ
ッタリングによることなく回折格子が形成された分析素
子が製造される。また、上記の製造方法において、上記
金属膜の表面に樹脂等からなる表層膜を積層するステッ
プをさらに備えてもよい。このように表層に樹脂等から
なる表層膜を形成することで試料と接触する表面の性状
制御を容易にすることができるようになる。
【0013】上記の製造方法に製造された分析素子は、
励起光の照射により上記回折格子において生じるエバネ
ッセント波と上記金属膜の表面に生じる表面プラズモン
波との共鳴現象(表面プラズモン共鳴)を利用して試料
の定量的及び/又は定性的な分析を行うためのSPR用
分析素子として用いられる。
【0014】そして、この分析素子を試料の定量的及び
/又は定性的な分析に用いる場合には、上記金属膜の表
面に、或いは、表層に樹脂等からなる表層膜が積層され
ている場合には上記表層膜(この場合の表層膜は励起光
に対して透過性を有するものとする)の表面に、特定の
物質と特異的に結合しうる結合物質を固定化しておき、
上記分析素子の上記結合物質が固定化された側の表面に
試料を接触させるステップ、上記分析素子に対し上記結
合物質が固定化された側から励起光を照射するステッ
プ、上記分析素子からの反射光を検出するステップ、検
出した反射光の強度に基づき試料の定量的及び/又は定
性的な分析を行うステップを実行する。なお、これらの
各ステップは、記載順に実行してもよく、同時に実行し
てもよい。
【0015】さらに、上記金属膜及び上記基板が励起光
に対して透過性を有する場合には、上記金属膜或いは上
記表層膜の表面に結合物質を固定化した後、上記分析素
子の上記結合物質が固定化された側の表面に試料溶液を
接触させるステップ、上記分析素子に対し上記基板側か
ら励起光を照射するステップ、上記分析素子からの反射
光を検出するステップ、検出した反射光の強度に基づき
試料の定量的及び/又は定性的な分析を行うステップを
実行することができる。このように励起光を分析素子の
基板側から照射することで高精度の分析が可能になる。
なお、上記各ステップは、記載順に実行してもよく、同
時に実行してもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施の形態について説明する。 (A)第1実施形態 まず、図1〜図3を用いて本発明の第1実施形態につい
て説明する。図1は本実施形態にかかる分析素子の製造
方法を示す図である。本実施形態では、従来のように基
板に形成した凹凸形状の上に金属をスパッタリング等し
て回折格子を形成するのではなく、金属膜の表面を直接
加工して回折格子を形成することを特徴としている。
【0017】具体的には、まず、図1(a)に示すよう
に基板2の表面に金属膜3を積層する。金属膜3の基板
2上への積層方法としては、基板2と金属膜3とが十分
に強く結合できる方法ならば、その方法に限定はない。
代表的には、蒸着,スパッタリング,めっき等により基
板2上に金属を塗布することによって金属膜3を積層し
ていく方法がある。その際の金属膜3の膜厚は、次の工
程でその表面に回折格子を形成できる限りは任意の厚さ
に設定することができる。また、金属膜3と基板2との
間にさらに何らかの別の物質を例えば接着性を向上させ
る等の目的で使用することは勿論可能である。この場合
は、その物質も本発明にかかる基板の一部としてみなす
ことができる。
【0018】なお、基板2の材質は金属膜3を保持でき
る機械的強度が十分であるならばその材質に限定はな
い。例えば無機材料としてガラス,石英,シリコン,各
種金属等があり、有機材料としてはポリメタクリル酸メ
チル,ポリカーボネート,ポリスチレン等の樹脂が挙げ
られる。また、金属膜3の材質は表面プラズモン波を誘
起されうるものであればその種類に限定はない。例え
ば、金,銀,アルミニウム等を用いることができる。
【0019】次に、図1(b)に示すように金属膜3の
表面を加工して回折格子5を形成する。この場合の金属
膜3の加工には、射出成型(スタンプ),エッチング等
の種々の加工方法を用いることができる。なお、形成す
る回折格子5の形状は、励起光が回折現象を起こしてエ
バネッセント波を生じせしめることのできる形状であれ
ばその形状に限定はない。例えば図1(b)に示すよう
な正弦波状の他、矩形波状や鋸歯状等の形状であっても
よい。
【0020】上記の製造方法の具体的な実施例を挙げる
と次のようになる。まず、ポリカーボネートの平板
(基板)2にクロムを蒸着する。次に、クロムが蒸着
された基板2の表面に金を蒸着して金属膜3を積層す
る。そして、スタンプにより回折格子の形状を転写し
て金属膜3の表面に回折格子5を形成する。これによ
り、ポリカーボネートの基板2上に金からなる金属膜3
が積層され、その表面に回折格子5が形成された分析素
子1が製造される。
【0021】このように、本実施形態にかかる製造方法
によれば、金属膜3の表面を加工して回折格子5を形成
し、回折格子5の形成時の操作から蒸着やスパッタリン
グによる要素を排除しているので、従来のように金属膜
の塗布後の形状を考慮して基板に凹凸を形成する必要が
なく、また、回折格子として最適な形状になるように金
属膜の塗布を厳密に制御する必要もない。つまり、本実
施形態にかかる製造方法によれば、回折格子5の構造制
御が容易になるという利点がある。
【0022】なお、以上の方法によって製造された分析
素子1の構造によれば、分析素子1に対しその金属膜3
側から照射された励起光は金属膜3の表面に形成された
回折格子5の回折作用によってエバネッセント波を生じ
せしめる。このエバネッセント波が金属膜3に作用する
ことにより金属膜3の表面に表面プラズモン波が発生
し、特定の波長及び入射角の励起光が照射されたときに
エバネッセント波と表面プラズモン波とが共鳴して表面
プラズモン共鳴(SPR)が起きる。このような作用に
より、分析素子1は、表面プラズモン共鳴センサチップ
(SPR用分析素子)として用いることができる。
【0023】次に、上記の製造方法によって製造された
分析素子1の使用方法について説明する。分析素子1を
被分析物の分析に用いる際には、まず、図2に示すよう
に金属膜3の表面に抗体6を固定化する。この抗体6は
特定の物質(抗原)と特異的に結合しうる性質を備えた
結合物質であり、分析すべき被分析物に応じた抗体6が
選択される。抗体6の金属膜3への固定は例えばチオー
ル基とカルボン酸とを有する物質をまず金属膜3の表面
に吸着させ、そのカルボン酸をカルボジイミドなどで活
性化し、そこに抗体6をアミノ酸を介して結合させるこ
とにより行うことができる。なお、抗体6を固定化する
前に、金属膜3の表面に保護膜や活性化膜等の何らかの
コーティングを行うことにより、金属膜3の表面に何ら
かの機能を保有させるようにしてもよい。
【0024】そして、このように抗体6が固定化された
分析素子1を図3に示す構成の分析装置10にセットし
て分析を行う。この分析装置10は分析素子1を固定す
るためのホルダ11,光源12,CCDカメラ13及び
分析部14から主に構成されている。ホルダ11には被
分析物16を含む試料溶液が通過する流路11aが形成
されている。分析素子1はその金属膜3側の表面が流路
11aを流れる試料に接するように配置されて固定され
る。
【0025】光源12は分析素子1に金属膜3側から励
起光を照射するように分析素子1に対して流路11aを
挟んで配置されている。なお、光源12から照射される
励起光は単色光でもよく或いは白色光等の多成分の光で
もよく、また、コヒーレントな光でもコヒーレントな光
でなくともよい。光源12の分析素子1に対する励起光
の入射角度は一定でもよく可変でもよい。また、図3で
は一つの光源12のみを設けているが複数の光源を設け
て同時に異なる角度から入射できるようにしてもよい。
【0026】CCDカメラ13は分析素子1からの反射
光を検出する検出器であり、光源12同様に分析素子1
に対して流路11aを挟んで配置され励起光が回折して
生じる0次の回折光の方向に向けられている。したがっ
て、光源12の入射角度が変わる場合にはCCDカメラ
13の分析素子1に対する角度もそれに合わせて変化す
るようになっている。
【0027】なお、図中では省略しているが、光源12
と分析素子1との間、または分析素子1とCCDカメラ
13との間には、光源12からの励起光、或いは分析素
子1からの反射光を偏光するための偏光子を設置する
(好ましくは、光源12と分析素子1との間に設置す
る)。この偏光子によって、励起光或いは反射光の反射
光の測定精度を向上させることができる。
【0028】分析部14はCCDカメラ13からの検出
情報を処理する装置である。具体的には、特定波長の光
の強度に関するデータの測定、光強度の波長に対する分
布に関するデータの測定、或いは、光強度の角度に対す
る分布に関するデータの測定等、CCDカメラ13から
の検出情報に基づいた種々のデータ測定が可能である。
そして、これらの測定データに基づき表面プラズモン共
鳴による吸収が最大になる、すなわち反射光の強度が最
小になる励起光の入射角度或いは波長を算出する機能も
有している。また、分析部14には既知の濃度の試料溶
液を測定して作成した検量線が記憶されている。この検
量線は濃度と共鳴波長及び共鳴角度との関係を記したも
のであり、表面プラズモン共鳴が起きた時の共鳴波長及
び共鳴角度をこの検量線に照らし合わせることで試料溶
液中の被分析物16の濃度を測定できる。
【0029】上記構成の分析装置10を用いて試料の濃
度分析を行う場合、まず、分析素子1をホルダ11にセ
ットして分析素子1の金属膜3表面を試料に接触させる
(ステップA1)。これにより金属膜3表面に固定され
た抗体6に試料溶液中の被分析物16が特異的に結合す
る。そして、抗体6に結合した被分析物16の物質量に
応じて金属膜3表面近傍の媒質の屈折率が変化し、金属
膜3表面における表面プラズモン波の共鳴条件が変化す
る。
【0030】次に、光源12から金属膜3表面に向けて
励起光を照射する(ステップA2)。照射された励起光
はホルダ11の流路11aを通って金属膜3表面に達
し、金属膜3表面に形成された回折格子5において回折
光を生じさせる。このうち0次の回折光(反射光)をC
CDカメラ13によって検出する(ステップA3)。光
源12から照射する励起光が単色光、すなわち単一波長
の光の場合、光源12を移動させて励起光の分析素子1
に対する入射角度を変化させていく。CCDカメラ13
で検出される反射光の強度は励起光の入射角度に応じて
変化し、ある入射角度において最小になる。この反射光
の強度が最小となる入射角度を分析部14において測定
し、測定した角度と励起光の波長とを検量線に対応させ
て試料溶液中の被分析物の濃度を算出する(ステップA
4−1)。
【0031】一方、光源12から照射する励起光が白色
光の場合は励起光の分析素子1に対する入射角度は一定
にする。この場合、分析素子1からの反射光には多成分
の光が含まれる。この反射光を分光器(図示略)で波長
毎に分光し、これをCCDカメラ13で検出する。CC
Dカメラ13で検出される反射光の強度は各成分の波長
毎に異なる。このうち強度が最小である成分の波長を分
析部14において測定し、測定した波長と入射角度とを
検量線に対応させて、試料溶液中の被分析物の濃度を算
出する(ステップA4−2)。
【0032】なお、本実施形態にかかる分析素子1のよ
うな表面プラズモン共鳴センサチップ(SPR用分析素
子)を用いて分析を行う場合、各ステップA1〜A3,
及びA4−1或いはA4−2を上述のように順に実行す
る他に同時に実行することも可能である。各ステップを
同時実行する場合には、試料中の被分析物が抗体6に結
合していく様子をリアルタイムでモニタすることができ
る。
【0033】(B)第2実施形態 次に、図4,図5を用いて本発明の第2実施形態につい
て説明する。図4は本実施形態にかかる分析素子の製造
方法を示す図である。本実施形態では、予め型に回折格
子の形状を形成しておき、その上に金属膜を積層するこ
とで金属膜の表面に回折格子を形成することを特徴とし
ている。
【0034】具体的には、まず、図4(a)に示すよう
に支持板28上に型としての膜(表層膜)24を積層す
る。この表層膜24の材質としては、励起光に対して透
過性を有するとともに、後の工程で積層する金属との接
着性が高く、且つ後述する抗体を固定化しやすい材質、
例えば樹脂が好ましいが、少なくとも励起光に対して透
過性を有していればよい。また、表層膜24の膜厚は、
少なくとも次工程で回折格子を形成できる程度の厚さに
設定する。
【0035】そして、図4(b)に示すように型として
の表層膜24に回折格子25を形成する。表層膜24へ
の回折格子25の形成方法としては、射出成型,レーザ
加工,UV硬化等の種々の加工方法を用いることができ
る。なお、形成する回折格子25の形状は、励起光が回
折現象を起こしてエバネッセント波を生じせしめること
のできる形状であれば第1実施形態と同様に限定はな
い。
【0036】次に、図4(c)に示すように回折格子2
5が形成された表層膜24上に金属膜23を積層する。
金属膜23の材質は表面プラズモン波を誘起されうるも
のであればその種類に限定はなく、例えば金,銀,アル
ミニウム等を用いることができる。金属膜23の表層膜
24上への積層方法としては、表層膜24と金属膜23
とが十分に強く結合できる方法ならば、その方法に限定
はない。代表的には、蒸着,スパッタリング,めっき等
により表層膜24上に金属を塗布することによって金属
膜23を積層していく方法がある。なお、図4(c)中
では、次工程で基板22を積層しやすいように金属膜2
3の裏面(回折格子25が形成されていない側の面)を
平面状に整形しているが、必ずしもこのような形状に整
形する必要はなく、回折格子25の形状がそのまま裏面
に現れていてもよい。
【0037】次に、図4(d)に示すように金属膜23
上に基板22を積層する。基板22の材質は分析素子の
機械的強度を確保できる限りその材質に限定はない。無
機材料としてガラス,石英,シリコン,各種金属等、有
機材料としてはポリメタクリル酸メチル,ポリカーボネ
ート,ポリスチレン等の樹脂が挙げられる。また、金属
膜23への基板22の積層方法は、基板22と金属膜2
3とが十分に強く結合でき機械的強度を確保できる方法
ならばその方法に限定はない。代表的には樹脂の溶液を
スピンコートする方法等が挙げられる。なお、金属膜2
3と基板22との間にさらに何らかの別の物質を例えば
接着性を向上させる等の目的で使用することは勿論可能
である。この場合は、その物質も本発明にかかる基板の
一部としてみなすことができる。
【0038】最後に、図4(e)に示すように表層膜2
4を支えている支持板28を除去する。支持板28の素
材とその除去方法は表層膜24,金属膜23及び基板2
2を損なわない限りは任意の素材や除去方法を適用する
ことができる。例えば樹脂でつくった支持板28を溶剤
で除去するようにしてもよい。上記の製造方法の具体的
な実施例を挙げると次のようになる。
【0039】まず、ABS樹脂(支持板)28にポリ
プロピレンをスピンコートして表層膜24を形成する。
そして、その表面に射出成型により回折格子25を形
成する。次に、回折格子25が形成された表層膜24
の表面にクロムを蒸着し、その上に金を蒸着して金属
膜23を積層する。さらに、金属膜23上にポリプロ
ピレンをスピンコートして基板22を積層する。そして
最後に、ABS樹脂の支持板28をアセトンで除去す
る。これにより、ポリプロピレンの基板22上に金から
なる金属膜23とポリプロピレンからなる表層膜24が
積層され、金属膜23と表層膜24との境界面に回折格
子25が形成された分析素子21が製造される。
【0040】このように、本実施形態にかかる製造方法
によれば、型(表層膜)24に形成された回折格子25
の形状を金属膜23の表面に転写することによって、回
折格子25の形成時の操作から蒸着やスパッタリングに
よる要素を排除しているので、従来のように金属膜の塗
布後の形状を考慮して基板に凹凸を形成する必要がな
く、また、回折格子として最適な形状になるように金属
膜の塗布を厳密に制御する必要もない。つまり、本実施
形態にかかる製造方法によれば、回折格子25の構造制
御が容易になるという利点がある。
【0041】なお、以上の方法によって製造された分析
素子21の構造によれば、分析素子1に対しその表層膜
24側から照射された励起光は金属膜23の表面(金属
膜23と表層膜24との境界面)に形成された回折格子
25の回折作用によってエバネッセント波を生じせしめ
る。このエバネッセント波が金属膜23に作用すること
により金属膜23の表面に表面プラズモン波が発生し、
特定の波長及び入射角の励起光が照射されたときにエバ
ネッセント波と表面プラズモン波とが共鳴して表面プラ
ズモン共鳴が起きる。このような作用により、分析素子
21は、表面プラズモン共鳴センサチップ(SPR用分
析素子)として用いることができる。
【0042】次に、上記の製造方法によって製造された
分析素子21の使用方法について説明する。分析素子2
1を被分析物の分析に用いる際には、まず、図5に示す
ように表層膜24の表面に抗体26を固定化する。抗体
26の表層膜24への固定は例えば物理吸着等により行
うことができる。本実施形態にかかる分析素子21によ
れば、金属膜23の上に表層膜24を備えることによっ
て試料と接触する表面が表面プラズモン波を有効に誘起
しうる金属に限定されないので、表面性状の制御に適し
た材質を広く選択することができる。なお、抗体26を
固定化する前に、表層膜24の表面に保護膜や活性化膜
等の何らかのコーティングを行うことにより、表層膜2
4の表面に何らかの機能を保有させるようにしてもよ
い。
【0043】そして、本実施形態では上記のように抗体
26が固定化された分析素子21を第1実施形態と同構
成の分析装置(図3参照)にセットして分析を行う。こ
こでは第1実施形態の分析装置10を用いて分析を行う
ものとし、図3を参照しながら本実施形態にかかる分析
素子21を用いた試料の分析方法について説明する。ま
ず、図3に示す分析装置10のホルダ11に分析素子2
1をセットして分析素子21の表層膜24表面を試料に
接触させる(ステップB1)。これにより表層膜24表
面に固定された抗体26に試料溶液中の被分析物16が
特異的に結合する。そして、抗体26に結合した被分析
物16の物質量に応じて金属膜23表面近傍の媒質の屈
折率が変化し、金属膜23表面における表面プラズモン
波の共鳴条件が変化する。
【0044】次に、光源12から表層膜24表面に向け
て励起光を照射する(ステップB2)。照射された励起
光はホルダ11の流路11aを通って表層膜24に達
し、さらに表層膜24を通って金属膜23の表面(表層
膜24と金属膜23との境界面)に形成された回折格子
25において回折光を生じさせる。このうち0次の回折
光(反射光)をCCDカメラ13によって検出する(ス
テップB3)。そして、CCDカメラ13からの検出情
報に基づき、第1実施形態と同様の方法により試料溶液
中の被分析物の濃度を算出する(ステップB4)。な
お、本実施形態でも、各ステップB1〜B4は上述のよ
うに順に実行する他に同時に実行することも可能であ
る。
【0045】(C)第3実施形態 次に、図6〜図8を用いて本発明の第2実施形態につい
て説明する。図6は本実施形態にかかる分析素子の製造
方法を示す図である。本実施形態では、第2実施形態と
同様に予め型に回折格子の形状を形成しておき、その上
に金属膜を積層することで金属膜の表面に回折格子を形
成することを特徴としている。
【0046】具体的には、まず、図6(a)に示すよう
に支持板38上に型としての膜(表層膜)34を積層す
る。この表層膜34の材質としては、後の工程で積層す
る金属との接着性が高く、且つ後述する抗体を固定化し
やすい材質、例えば樹脂が好ましいが、必ずしもそれに
限定されるものではない。表層膜34の膜厚は、少なく
とも次工程で回折格子を形成できる程度の厚さに設定す
る。
【0047】そして、図6(b)に示すように型として
の表層膜34に回折格子35を形成する。表層膜34へ
の回折格子35の形成方法としては、射出成型,レーザ
加工,UV硬化等の種々の加工方法を用いることができ
る。なお、形成する回折格子35の形状は、励起光が回
折現象を起こしてエバネッセント波を生じせしめること
のできる形状であれば第1実施形態と同様に限定はな
い。
【0048】次に、図6(c)に示すように回折格子3
5が形成された表層膜34上に金属膜33を積層する。
金属膜33の材質は表面プラズモン波を誘起されうるも
のであればその種類に限定はなく、例えば金,銀,アル
ミニウム等を用いることができる。金属膜33の表層膜
34上への積層方法としては、蒸着,スパッタリング,
めっき等が挙げられる。なお、本実施形態では、金属膜
33の裏面側(回折格子35が形成されていない側の
面)から回折格子35が形成されている面へ励起光が届
くようにする必要があるので、金属膜33の膜厚は励起
光に対して透過性を確保できる程度の薄さとする。した
がって、回折格子35の形状がそのまま金属膜33の裏
面に現れていてもよい。回折格子35の構造制御は金属
膜33と表層膜34との境界面で行われるので従来のよ
うに金属膜の厳密な制御は必要なく、このように極めて
自由な形状を採用することができる。このことは第2実
施形態についても同様である。
【0049】次に、図6(d)に示すように金属膜33
上に基板32を積層する。基板32の材質は励起光に対
して透過性を有し(好ましくは十分に透明であり)、且
つ、分析素子の機械的強度を確保できる限りその材質に
限定はない。無機材料としてガラス,石英,シリコン
等、有機材料としてはポリメタクリル酸メチル,ポリカ
ーボネート,ポリスチレン等の樹脂が挙げられる。ま
た、金属膜33への基板32の積層方法は、基板32と
金属膜33とが十分に強く結合でき機械的強度を確保で
きる方法ならばその方法に限定はない。なお、本実施形
態でも金属膜33と基板32との間にさらに何らかの別
の物質を例えば接着性を向上させる等の目的で使用可能
である。最後に、図6(e)に示すように表層膜34を
支えている支持板38を除去する。支持板38の素材と
その除去方法については第2実施形態と同様である。
【0050】このように、本実施形態にかかる製造方法
によれば、型(表層膜)34に形成された回折格子35
の形状を金属膜33の表面に転写することによって、回
折格子35の形成時の操作から蒸着やスパッタリングに
よる要素を排除しているので、従来のように金属膜の塗
布後の形状を考慮して基板に凹凸を形成する必要がな
く、また、回折格子として最適な形状になるように金属
膜の塗布を厳密に制御する必要もない。つまり、本実施
形態にかかる製造方法によれば、回折格子35の構造制
御が容易になるという利点がある。
【0051】なお、以上の方法によって製造された分析
素子31の構造によれば、分析素子31に対しその基板
32側から励起光が照射されると励起光は基板32及び
金属膜33を通過して金属膜33の表面(金属膜33と
表層膜34との境界面)に達し、金属膜33の表面に形
成された回折格子35で回折する。この回折現象により
生じたエバネッセント波が金属膜33に作用することに
より金属膜33の表面に表面プラズモン波が発生し、特
定の波長及び入射角の励起光が照射されたときにエバネ
ッセント波と表面プラズモン波とが共鳴し、表面プラズ
モン共鳴が起きる。このような作用により、分析素子3
1は、表面プラズモン共鳴センサチップ(SPR用分析
素子)として用いることができる。
【0052】次に、上記の製造方法によって製造された
分析素子31の使用方法について説明する。分析素子3
1を被分析物の分析に用いる際には、まず、図7に示す
ように表層膜34の表面に抗体36を固定化する。抗体
36の表層膜34への固定は例えば物理吸着等により行
うことができる。本実施形態にかかる分析素子31も第
2実施形態と同様に試料と接触する表面が表面プラズモ
ン波を有効に誘起しうる金属に限定されないので、第2
実施形態と同様、表面性状の制御に適した材質を広く選
択することができる。なお、抗体36を固定化する前
に、表層膜34の表面に保護膜や活性化膜等の何らかの
コーティングを行うことにより、表層膜34の表面に何
らかの機能を保有させるようにしてもよい。
【0053】そして、本実施形態では上記のように抗体
36が固定化された分析素子31を図8に示す構成の分
析装置20にセットして分析を行う。この分析装置20
は第1実施形態と同様に分析素子31を固定するための
ホルダ11,光源12,CCDカメラ13及び分析部1
4から主に構成されている。各構成機器11〜14の機
能は第1実施形態と同様であるが、本実施形態では、分
析素子31に基板32側から励起光を照射してその反射
光を検出するように、分析素子31に対し流路11aと
反対側に光源12とCCDカメラ13を配置したことを
特徴としている。
【0054】上記構成の分析装置20を用いて試料の濃
度分析を行う場合、まず、分析素子31をホルダ11に
セットして分析素子31の表層膜34表面を試料に接触
させる(ステップC1)。これにより表層膜34表面に
固定された抗体36に試料溶液中の被分析物16が特異
的に結合する。そして、抗体36に結合した被分析物1
6の物質量に応じて表層膜34表面近傍の媒質の屈折率
が変化し、表層膜34表面における表面プラズモン波の
共鳴条件が変化する。
【0055】次に、光源12から基板32表面(分析素
子31の裏面)に向けて励起光を照射する(ステップC
2)。照射された励起光は基板32及び金属膜33を通
過して金属膜33と表層膜34の境界面に達し、この境
界面に形成された回折格子35において回折光を生じさ
せる。このうち0次の回折光(反射光)をCCDカメラ
13によって検出する(ステップC3)。そして、CC
Dカメラ13からの検出情報に基づき、第1実施形態と
同様の方法により試料溶液中の被分析物の濃度を算出す
る(ステップC4)。なお、本実施形態でも、各ステッ
プC1〜C4は上述のように順に実行する他に同時に実
行することも可能である。
【0056】このように本実施形態では励起光は分析素
子31に対し基板32側から照射される。従来の分析素
子や第1〜第2実施形態では、抗体が不透明である場合
や抗体を金属に結合させるための固定化剤が不透明であ
る場合、或いは試料溶液が励起光付近に散乱や吸収を有
する物質の溶液である場合には得られる反射光の減少に
より正確な表面プラズモン共鳴の測定が難しいが、本実
施形態のように基板32側から励起光を照射する場合に
はそのような不具合はない。つまり、本実施形態にかか
る分析素子31を用いた分析方法によれば、抗体や試料
溶液の性状の影響を受けることなく常に正確な分析が可
能になるという利点がある。
【0057】(D)その他 以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明
は上述の実施の形態に限定されるものではなく本発明の
趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することがで
きる。例えば、第1実施形態では励起光を金属膜3側か
ら照射しているが、基板2を励起光に対して透過性のあ
る材質にするとともに、金属膜3の膜厚を励起光に対し
て透過性を確保できる程度の薄さにして、第3実施形態
のように基板2側から励起光を照射するようにしてもよ
い。
【0058】また、第1実施形態にかかる分析素子にお
いて金属膜3の表面にさらに樹脂等からなる表層膜を積
層し、この表層膜の表面に抗体を固定するようにしても
よい。また、第1実施形態にかかる分析素子において基
板2の上に金属膜3を積層するのではなく、図9に示す
分析素子1′のように金属膜3の膜厚を厚くして金属膜
3自体に機械的強度を持たせるようにしてもよい。この
場合も第1実施形態と同様の方法で回折格子5を形成す
ることができる。
【0059】さらに、第2,第3実施形態では回折格子
25,35を予め形成しておく型をそのまま分析素子の
表層膜として用いているが、基板22,32の形成後に
型から金属膜23,33の表面を取り外して基板22,
32と金属膜23,33とからなる分析素子として用い
ることも勿論可能である。
【0060】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の分析素子
の製造方法(第1の製造方法)によれば、予め型に回折
格子の形状を形成しておき、その上に金属膜を積層する
ことによって金属膜の表面に回折格子を形成するので、
回折格子の形成時の操作から蒸着やスパッタリングによ
る要素を排除することができ、回折格子の構造制御が容
易になるという利点がある。特に、上記型をそのまま分
析素子の表層を形成する表層膜として用いる場合には、
表面性状の制御に適した材質を広く選択することがで
き、試料と接触する表面の性状制御が容易になるという
利点がある。
【0061】また、本発明の分析素子の製造方法(第2
の製造方法)によれば、金属膜の表面を直接加工して回
折格子を形成するので、回折格子の形成時の操作から蒸
着やスパッタリングによる要素を排除することができ、
回折格子の構造制御が容易になるという利点がある。さ
らに、上記の各製造方法において製造される分析素子を
SPR用分析素子として構成する場合において、基板及
び金属板を励起光に対して透過性を有するものにして、
その基板側から励起光を照射して試料の分析を行う場合
には、表面プラズモン共鳴の測定に表面の結合物質や試
料の性状の影響を受けることなく、常に正確な分析が可
能になるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる分析素子の製造
方法を示す図であり、(a),(b)の順に製造手順を
示している。
【図2】第1実施形態にかかる製造方法により製造され
た分析素子に抗体を固定化した状態を示す模式的断面図
である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかる分析装置の構成
を示す模式図である。
【図4】本発明の第2実施形態にかかる分析素子の製造
方法を示す図であり、(a)〜(e)の順に製造手順を
示している。
【図5】第2実施形態にかかる製造方法により製造され
た分析素子に抗体を固定化した状態を示す模式的断面図
である。
【図6】本発明の第3実施形態にかかる分析素子の製造
方法を示す図であり、(a)〜(e)の順に製造手順を
示している。
【図7】第3実施形態にかかる製造方法により製造され
た分析素子に抗体を固定化した状態を示す模式的断面図
である。
【図8】本発明の第3実施形態にかかる分析装置の構成
を示す模式図である。
【図9】本発明の第1実施形態にかかる分析素子の変形
例を示す模式的断面図である。
【図10】従来の分析素子の構成を示す模式的断面図で
ある。
【符号の説明】
1 分析素子(SPR用分析素子) 2 基板 3 金属膜 4 表層膜 5 回折格子 6 抗体(結合物質) 28 支持板 10,20 分析装置 11 ホルダ(固定手段) 12 光源 13 CCDカメラ(検出手段) 14 分析部(分析手段) 21,31 分析素子(SPR用分析素子) 22,32 基板 23,33 金属膜 24,34 表層膜 25,35 回折格子 26,36 抗体(結合物質) 28 支持板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大平落 嘉寛 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社内 Fターム(参考) 2G059 BB04 BB12 EE02 GG01 GG03 GG04 HH02 JJ19 KK04

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 型に回折格子を形成するステップと、 上記型の上記回折格子が形成された側の面に金属膜を積
    層するステップと、 上記金属膜上に基板を積層するステップとを備えたこと
    を特徴とする、分析素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記型が分析素子の表層を形成する表層
    膜であることを特徴とする、請求項1記載の分析素子の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 基板上に金属膜を積層するステップと、 上記金属膜の表面を加工して回折格子を形成するステッ
    プとを備えたことを特徴とする、分析素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記金属膜の表面に表層を形成する表層
    膜を積層するステップをさらに備えたことを特徴とす
    る、請求項3記載の分析素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1又は3記載の分析素子の製造方
    法により製造された分析素子であって、 励起光の照射により上記回折格子において生じるエバネ
    ッセント波と上記金属膜の表面に生じる表面プラズモン
    波との共鳴現象を利用して試料の定量的及び/又は定性
    的な分析を行うためのSPR用分析素子として構成され
    ていることを特徴とする、分析素子。
  6. 【請求項6】 上記金属膜の表面に特定の物質と特異的
    に結合しうる結合物質が固定化されていることを特徴と
    する、請求項5記載の分析素子。
  7. 【請求項7】 請求項2又は4記載の分析素子の製造方
    法により製造された分析素子であって、 励起光の照射により上記回折格子において生じるエバネ
    ッセント波と上記金属膜の表面に生じる表面プラズモン
    波との共鳴現象を利用して試料の定量的及び/又は定性
    的な分析を行うためのSPR用分析素子として構成され
    ていることを特徴とする、分析素子。
  8. 【請求項8】 上記表層膜の表面に特定の物質と特異的
    に結合しうる結合物質が固定化されていることを特徴と
    する、請求項7記載の分析素子。
  9. 【請求項9】 上記表層膜が励起光に対して透過性を有
    することを特徴とする、請求項8記載の分析素子。
  10. 【請求項10】 請求項6又は9記載の分析素子を用い
    て試料の定量的及び/又は定性的な分析を行う方法であ
    って、 上記分析素子の上記結合物質が固定化された側の表面に
    試料を接触させるステップと、 上記分析素子に対し上記結合物質が固定化された側から
    励起光を照射するステップと、 上記分析素子からの反射光を検出するステップと、 検出した反射光の強度に基づき試料の定量的及び/又は
    定性的な分析を行うステップとを備えたことを特徴とす
    る、分析方法。
  11. 【請求項11】 上記金属膜及び上記基板が励起光に対
    して透過性を有することを特徴とする、請求項6又は8
    記載の分析素子。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の分析素子を用いて試
    料の定量的及び/又は定性的な分析を行う方法であっ
    て、 上記分析素子の上記結合物質が固定化された側の表面に
    試料溶液を接触させるステップと、 上記分析素子に対し上記基板側から励起光を照射するス
    テップと、 上記分析素子からの反射光を検出するステップと、 検出した反射光の強度に基づき試料の定量的及び/又は
    定性的な分析を行うステップとを備えたことを特徴とす
    る、分析方法。
JP2001167167A 2001-06-01 2001-06-01 分析素子の製造方法及び分析素子、並びにそれを用いた試料の分析方法 Pending JP2002357537A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001167167A JP2002357537A (ja) 2001-06-01 2001-06-01 分析素子の製造方法及び分析素子、並びにそれを用いた試料の分析方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001167167A JP2002357537A (ja) 2001-06-01 2001-06-01 分析素子の製造方法及び分析素子、並びにそれを用いた試料の分析方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002357537A true JP2002357537A (ja) 2002-12-13

Family

ID=19009594

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001167167A Pending JP2002357537A (ja) 2001-06-01 2001-06-01 分析素子の製造方法及び分析素子、並びにそれを用いた試料の分析方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002357537A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005078415A1 (ja) * 2004-02-13 2005-08-25 Omron Corporation 表面プラズモン共鳴センサー
JP2008527395A (ja) * 2005-01-12 2008-07-24 インスティチュート オブ フォトニクス アンド エレクトロニクス エーエス シーアール, ブイ.ブイ.アイ. 表面プラズモン共鳴センサにおける表面プラズモンの分光のための方法およびその使用のためのエレメント
EP1726939A3 (en) * 2005-05-23 2009-03-25 Hitachi, Ltd. Molecular interaction detector and molecule recovery device using the same
JP2010133921A (ja) * 2008-12-08 2010-06-17 Korea Electronics Telecommun 一回用診断キット
JP2012528310A (ja) * 2009-05-25 2012-11-12 インスプリオン エービー 局在表面プラズモン共鳴(lspr)を使用するセンサ

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005078415A1 (ja) * 2004-02-13 2005-08-25 Omron Corporation 表面プラズモン共鳴センサー
JP2008527395A (ja) * 2005-01-12 2008-07-24 インスティチュート オブ フォトニクス アンド エレクトロニクス エーエス シーアール, ブイ.ブイ.アイ. 表面プラズモン共鳴センサにおける表面プラズモンの分光のための方法およびその使用のためのエレメント
EP1726939A3 (en) * 2005-05-23 2009-03-25 Hitachi, Ltd. Molecular interaction detector and molecule recovery device using the same
JP2010133921A (ja) * 2008-12-08 2010-06-17 Korea Electronics Telecommun 一回用診断キット
JP2012528310A (ja) * 2009-05-25 2012-11-12 インスプリオン エービー 局在表面プラズモン共鳴(lspr)を使用するセンサ

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Singh SPR biosensors: historical perspectives and current challenges
JP4072018B2 (ja) 表面プラズモン共鳴センサチップ、並びにそれを用いた試料の分析方法及び分析装置
JP2002357543A (ja) 分析素子、並びにそれを用いた試料の分析方法
TWI384214B (zh) Biological sensing device and its system
JP2007538256A (ja) イメージング方法及び装置
JP4035016B2 (ja) 表面プラズモン共鳴センサチップ、並びにそれを用いた試料の分析方法及び分析装置
JPWO2014168041A1 (ja) 標的物質捕捉装置
JP2012518169A (ja) ターゲット物質を検出する検知装置
JP2001337036A (ja) 差動式sprセンサー及び該センサーを用いた測定法
JP4584352B1 (ja) 生体成分濃度の測定方法および測定装置
KR20160040478A (ko) 분석대상 시료의 실시간 분석이 가능한 표면 플라즈몬 공명 센서 시스템 및 이를 이용한 분석방법
JPH0815133A (ja) 分析素子
JPH07502815A (ja) 光散乱を利用した分析装置
JP2002357537A (ja) 分析素子の製造方法及び分析素子、並びにそれを用いた試料の分析方法
US7330263B2 (en) Measurement method and apparatus
JP2002357542A (ja) 分析素子、並びにそれを用いた試料の分析方法
JP2008122405A (ja) 反応解析方法
JP2004219401A (ja) 表面プラズモンセンサー及び、表面プラズモン共鳴測定装置、検知チップ
JP4219689B2 (ja) イメージングの装置及び方法
JP6946537B2 (ja) 測定用チップ、測定装置、および測定方法
KR20070105568A (ko) 물질 분석용 칩과 이를 포함하는 물질 분석 장치
US20130230931A1 (en) Target substance detecting apparatus, and target substance detecting method
JP2015111063A (ja) 表面プラズモン増強蛍光測定方法および表面プラズモン増強蛍光測定装置
JP2006337244A (ja) 表面プラズモン共鳴法によるサンプル試料の測定方法及び装置
JP4173746B2 (ja) 測定装置