JP2002357543A - 分析素子、並びにそれを用いた試料の分析方法 - Google Patents

分析素子、並びにそれを用いた試料の分析方法

Info

Publication number
JP2002357543A
JP2002357543A JP2001167166A JP2001167166A JP2002357543A JP 2002357543 A JP2002357543 A JP 2002357543A JP 2001167166 A JP2001167166 A JP 2001167166A JP 2001167166 A JP2001167166 A JP 2001167166A JP 2002357543 A JP2002357543 A JP 2002357543A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal film
substrate
analysis
immobilized
sample
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001167166A
Other languages
English (en)
Inventor
Satoru Isomura
哲 磯村
Takaaki Munebayashi
孝明 宗林
Yoshihiro Oohiraochi
嘉寛 大平落
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2001167166A priority Critical patent/JP2002357543A/ja
Publication of JP2002357543A publication Critical patent/JP2002357543A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/17Systems in which incident light is modified in accordance with the properties of the material investigated
    • G01N21/55Specular reflectivity
    • G01N21/552Attenuated total reflection
    • G01N21/553Attenuated total reflection and using surface plasmons

Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面プラズモン共鳴(SPR)を利用した試
料分析のための分析素子に関し、エバネッセント波を誘
起する光学構造として回折格子の構造制御及び試料と接
触する表面の性状制御を容易にする。 【解決手段】 基板2に支持された平面上に薄膜4を離
散的に積層することによって回折格子5を形成し、上記
の平面を与える層3と上記薄膜4の何れかを金属膜とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面プラズモン共
鳴(SPR)を利用した試料分析のための分析素子(表
面プラズモン共鳴センサチップ)の構造に関し、特に、
エバネッセント波を誘起する光学構造として回折格子を
備えた分析素子の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、生化学や医療検査等の分野におけ
る固相表面における被分析物の分析方法として、表面プ
ラズモン共鳴(SPR)を利用した分析方法が知られて
いる。表面プラズモン共鳴とは、金属表面に光が入射し
た場合に金属表面の自由電子の粗密波(表面プラズモン
波)が入射光により生成されたエバネッセント波に共鳴
して励起される現象であり、表面プラズモン共鳴が励起
されたときには反射光が減少する特徴がある。表面プラ
ズモン共鳴は入射光の波長及び角度、並びに金属表面の
媒質の屈折率に依存しており、媒質の屈折率が変化すれ
ば波長一定の場合には共鳴角が変化し、また、入射角度
一定の場合には共鳴波長が変化する。したがって、反射
光の強度に基づき共鳴角或いは共鳴波長を調べることで
金属表面の媒質の屈折率を分析することができる。そし
て、金属表面の近傍に被分析物が存在する場合には、金
属表面の媒質の屈折率の変化は被分析物の物質量の変化
に対応していることから、共鳴角或いは共鳴波長を調べ
ることで被分析物の分析が可能になる。
【0003】表面プラズモン共鳴を起こすには二つの要
素が必要である。一つは特定の表面プラズモン波を有す
る金属であり、もう一つはその表面プラズモン波と共鳴
する光波、すなわちエバネッセント波を誘起する光学構
造である。エバネッセント波を誘起する光学構造として
は現在二つの構造が知られている。一つはプリズムの全
反射を利用した光学構造であり、もう一つは回折格子を
利用した光学構造である。なお、上記の金属にこれらの
光学構造を組み合わせた分析素子は一般に表面プラズモ
ン共鳴センサチップ(SPR用分析素子)と呼ばれてい
る。
【0004】回折格子を備えた分析素子としては特許1
903195号に開示されたものや特許2502222
号に開示されたものがある。図14はその従来の回折格
子を備えたセンサチップの構造を示した模式図である
が、図14に示すようにこの従来の分析素子100は金
属膜(例えば金)101の表面に回折格子(図中に太線
で強調して示している)102を備えている。この回折
格子102は基板103の表面に周期的な凹凸104を
形成し、凹凸104が形成された基板103表面に金属
を塗布することによって金属膜101の表面に現されて
いる。金属膜101の膜厚は入射光が透過しない程度の
厚さに設定されている。分析素子100の使用時には金
属膜101の表面に被分析物106を捕捉するための抗
体(結合物質)105が固定化される。抗体105は特
定の物質と特異的に結合する性質を備えたものであり、
捕捉すべき被分析物106に応じたものが選択されてい
る。
【0005】このような構成により、分析素子100に
金属膜101の抗体105が固定化された側から光を照
射すると金属膜101表面の回折格子102において入
射光が回折し、行き場を失った高次の回折光が平面波化
してエバネッセント波となる。仮に単色光のように一定
波長の光を照射する場合、入射角が特定の入射角となっ
たときにエバネッセント波と金属膜101表面の表面プ
ラズモン波とが共鳴して強い吸収が生じ、反射光が減少
する。抗体105に被分析物106が捕捉されていると
きにはその物質量に応じて共鳴角が変化するので、共鳴
角の変化量を測定することにより試料中の被分析物10
6の濃度等を分析することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の分析素子100
は金属膜101表面の回折格子102で回折現象を起こ
させているため、金属膜101表面の形状は厳密に制御
される必要がある。しかしながら、上記のように凹凸1
04が形成された基板103表面に金属を塗布する場
合、凹部には金属がたくさん塗れるかわりに凸部には金
属が少ししか塗れないため、従来の分析素子100では
金属膜101表面の形状を厳密に制御することは難しか
った。また、このように金属膜101表面の形状が回折
格子102を形成する条件で最適化されなければならな
いことから、金属膜101表面の形状は必ずしもその後
の化学修飾等の表面処理に有利な状態であるとはいえな
かった。
【0007】本発明は、このような課題に鑑み創案され
たもので、回折格子の構造制御及び試料と接触する表面
の性状制御を容易にした、分析素子並びにそれを用いた
試料の分析方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決すべく
鋭意検討した結果、発明者らは、平面上に薄膜を離散的
に積層することによって回折格子を形成し、上記の平面
を与える層と上記薄膜の何れかを金属膜とした分析素子
を用いることで、回折格子の構造制御及び試料と接触す
る表面の性状制御が容易になることを見出し、本発明を
完成した。
【0009】すなわち、本発明の分析素子は、表面が平
面状の第一層と、上記第一層上に離散的に積層されて回
折格子を形成する第二層とを備え、上記第一層及び第二
層の少なくとも一方は金属膜であることを特徴としてい
る。なお、本発明の分析素子は、励起光の照射により上
記回折格子において生じるエバネッセント波と上記金属
膜の表面に生じる表面プラズモン波との共鳴現象(表面
プラズモン共鳴)を利用して試料の定量的及び/又は定
性的な分析を行うためのSPR用分析素子として用いら
れる。
【0010】さらに、発明者らは、基板上に金属膜を積
層し、その上に上記金属膜とは異なる材質の薄膜を離散
的に配置して回折格子を形成した構造の分析素子とする
ことで、回折格子の構造制御が容易になるとともに、被
分析物を捕捉するための結合物質を金属膜と樹脂膜の片
方あるいは両方に固定化することが可能になって試料と
接触する表面の性状制御が容易になることを見出した。
【0011】すなわち、本発明の分析素子は、上記第一
層を基板上に積層された金属膜とし、上記第二層を上記
金属膜とは異なる材質の薄膜として構成するのが、その
態様(本発明の第1態様)として好ましい。なお、上記
薄膜は、樹脂,ガラス,金属又は金属酸化物のいずれか
より形成することができ、好ましくは樹脂,ガラス又は
金属の何れかよりなる薄膜とし、より好ましくは樹脂又
はガラスの何れかよりなる薄膜とする。そして、最も好
ましくは樹脂からなる薄膜とする。
【0012】そして、この分析素子を試料の定量的及び
/又は定性的な分析に用いる場合には、まず、上記金属
膜の表面及び/又は上記薄膜の表面に特定の物質と特異
的に結合しうる結合物質を固定化しておく。この場合、
上記金属膜の表面に固定化する結合物質と上記薄膜の表
面に固定化する結合物質とでは、結合しうる特定の物質
が異なるようにすることもできる。そして、上記分析素
子の上記結合物質が固定化された側の表面に試料を接触
させるステップ、上記分析素子に対し上記結合物質が固
定化された側から励起光を照射するステップ、上記分析
素子からの反射光を検出するステップ、検出した反射光
の強度に基づき試料の定量的及び/又は定性的な分析を
行うステップを実行する。なお、これらの各ステップ
は、記載順に実行してもよく、同時に実行してもよい。
特に、各ステップを同時に実行する場合には、試料中の
被分析物が上記結合物質に結合していく様子をリアルタ
イムでモニタすることができる。
【0013】また、発明者らは、励起光に対して透過性
を有する基板上に金属膜を積層し、その上に上記金属膜
とは異なる材質の薄膜を離散的に配置して回折格子を形
成した構造の分析素子とすることで、回折格子の構造制
御が容易になるとともに、被分析物を捕捉するための結
合物質を金属膜と薄膜の片方あるいは両方に固定化する
ことが可能になって試料と接触する表面の性状制御が容
易になり、さらに、励起光をこの分析素子の基板側から
照射することで高精度の分析が可能になることを見出し
た。
【0014】すなわち、本発明の分析素子は、その態様
(本発明の第2態様)として、上記第一層を励起光に対
して透過性を有する基板上に積層された金属膜とし、上
記第二層を上記金属膜とは異なる材質の薄膜として構成
するのも好ましい。なお、上記薄膜は、樹脂,ガラス,
金属又は金属酸化物のいずれかより形成することがで
き、好ましくは樹脂,ガラス又は金属の何れかよりなる
薄膜とし、より好ましくは樹脂又はガラスの何れかより
なる薄膜とする。そして、最も好ましくは樹脂からなる
薄膜とする。
【0015】そして、この分析素子を試料の定量的及び
/又は定性的な分析に用いる場合には、まず、上記金属
膜の表面及び/又は上記薄膜の表面に特定の物質と特異
的に結合しうる結合物質を固定化しておく。この場合、
上記金属膜の表面に固定化する結合物質と上記薄膜の表
面に固定化する結合物質とでは、結合しうる特定の物質
が異なるようにすることもできる。そして、上記分析素
子の上記結合物質が固定化された側の表面に試料溶液を
接触させるステップ、上記分析素子に対し上記基板側か
ら励起光を照射するステップ、上記分析素子からの反射
光及び/又は透過光を検出するステップ、検出した反射
光及び/又は透過光の強度に基づき試料の定量的及び/
又は定性的な分析を行うステップを実行する。なお、こ
れらの各ステップも、第1態様にかかる分析方法と同
様、記載順に実行してもよく、同時に実行してもよい。
【0016】また、発明者らは、基板上に金属膜を離散
的に配置して回折格子を形成した構造の分析素子とする
ことで、回折格子の構造制御が容易になるとともに、被
分析物を捕捉するための結合物質を金属膜と基板の片方
あるいは両方に固定化することが可能になって試料と接
触する表面の性状制御が容易になることを見出した。す
なわち、本発明の分析素子は、その態様(本発明の第3
態様)として、上記第一層を基板とし、上記第二層を金
属膜として構成するのも好ましい。この場合、上記基板
を基板本体と上記基板本体の表面を被覆する被覆膜とか
ら構成してもよい。
【0017】この分析素子を試料の定量的及び/又は定
性的な分析に用いる場合には、まず、上記基板の表面及
び/又は上記金属膜の表面に特定の物質と特異的に結合
しうる結合物質を固定化しておく。この場合、上記基板
の表面に固定化する結合物質と上記金属膜の表面に固定
化する結合物質とでは、結合しうる特定の物質が異なる
ようにすることもできる。そして、上記分析素子の上記
結合物質が固定化された側の表面に試料溶液を接触させ
るステップ、上記分析素子に対し上記結合物質が固定化
された側から励起光を照射するステップ、上記分析素子
からの反射光を検出するステップ、検出した反射光の強
度に基づき試料の定量的及び/又は定性的な分析を行う
ステップを実行する。なお、これらの各ステップも、第
1,第2態様にかかる分析方法と同様、記載順に実行し
てもよく、同時に実行してもよい。
【0018】さらに、発明者らは、励起光に対して透過
性を有する基板上に金属膜を離散的に配置して回折格子
を形成した構造の分析素子とすることで、回折格子の構
造制御が容易になるとともに、被分析物を捕捉するため
の結合物質を金属膜と基板の片方あるいは両方に固定化
することが可能になって試料と接触する表面の性状制御
が容易になり、さらに、励起光をこの分析素子の基板側
から照射することで高精度の分析が可能になることを見
出した。すなわち、本発明の分析素子は、その態様(本
発明の第4態様)として、上記第一層を励起光に対して
透過性を有する基板とし、上記第二層を金属膜として構
成するのも好ましい。この場合、上記基板を基板本体と
上記基板本体の表面を被覆する被覆膜とから構成しても
よい。
【0019】この分析素子を試料の定量的及び/又は定
性的な分析に用いる場合には、まず、上記基板の表面及
び/又は上記金属膜の表面に特定の物質と特異的に結合
しうる結合物質を固定化しておく。この場合、上記基板
の表面に固定化する結合物質と上記金属膜の表面に固定
化する結合物質とでは、結合しうる特定の物質が異なる
ようにすることもできる。そして、上記分析素子の上記
結合物質が固定化された側の表面に試料溶液を接触させ
るステップ、上記分析素子に対し上記基板側から励起光
を照射するステップ、上記分析素子からの反射光及び/
又は透過光を検出するステップ、検出した反射光及び/
又は透過光の強度に基づき試料の定量的及び/又は定性
的な分析を行うステップを実行する。なお、これらの各
ステップも、第1〜第3態様にかかる分析方法と同様、
記載順に実行してもよく、同時に実行してもよい。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施の形態について説明する。 (A)第1実施形態 まず、図1〜図4を用いて本発明の第1実施形態につい
て説明する。図1に示すように本実施形態にかかる分析
素子(表面プラズモン共鳴センサチップ)1は、基板2
上にその表面を覆うように金属膜3が積層され、さらに
金属膜3上に別の薄膜4が離散的(例えばスリット状
に)に積層された構造となっている。そして、金属膜3
上に離散的に積層された薄膜4によって、図中に太線で
強調して示すように回折格子5が形成されている(以
下、この薄膜4を回折格子膜4という)。
【0021】この構造によれば、図中に矢印で示すよう
に分析素子1に対しその表面側から照射された励起光
は、表面に離散的に積層された回折格子膜4によって形
成される回折格子5の回折作用によってエバネッセント
波を生じせしめる。このエバネッセント波が金属膜3に
作用することにより金属膜3の表面に表面プラズモン波
が発生し、特定の波長及び入射角の励起光が照射された
ときにエバネッセント波と表面プラズモン波とが共鳴し
て表面プラズモン共鳴(SPR)が起きる。
【0022】なお、基板2の材質は金属膜3及び回折格
子膜4を保持できる機械的強度が十分であるならばその
材質に限定はない。例えば無機材料としてガラス,石
英,シリコン等があり、有機材料としてはポリメタクリ
ル酸メチル,ポリカーボネート,ポリスチレン等の樹脂
が挙げられる。金属膜3の材質は表面プラズモン波を誘
起されうるものであればその種類に限定はない。例え
ば、金,銀,アルミニウム等を用いることができる。
【0023】また、回折格子膜4の材質は金属膜3との
接着性が高く、且つ被分析物を捕捉するための抗体を固
定化しやすい材質が最も望ましいが、少なくとも金属膜
3上に離散的に積層されることで回折現象を起こすこと
のできるものであれば、必ずしもそのような材質に限定
されるものではない。なお、金属膜3との接着性や抗体
の固定化の容易性を考慮した場合には、樹脂が最も好ま
しい。
【0024】金属膜3上に回折格子膜4を離散的に積層
することよって形成される回折格子5の形状は、励起光
が回折現象を起こしてエバネッセント波を生じせしめる
ことのできる形状であればその形状に限定はない。例え
ば図1に示すような矩形波状の他、鋸歯状等の形状であ
ってもよい。また、回折格子膜4の幅や配置間隔につい
ても、励起光が回折現象を起こしてエバネッセント波を
生じせしめることのできるものであれば図1に示すよう
に一定なものに限定されない。
【0025】上記の構造を有する分析素子1は、図2に
示す手順で製造することができる。すなわち、まず図2
(a)に示すように基板2の表面に金属膜3を積層す
る。金属膜3の積層方法は基板2と金属膜3とが十分に
強く結合できる方法ならばその方法に限定はない。代表
的には蒸着,スパッタリング,めっき等である。また、
基板2と金属膜3との間にさらに何らかの別の物質を例
えば接着性を向上させる等の目的で使用することは勿論
可能である。この場合は、その物質も本発明にかかる基
板の一部としてみなすことができる。
【0026】次に、金属膜3の表面に回折格子膜4を積
層する{図2(b)}。回折格子膜4の積層方法は、次
の工程において回折格子5を形成できるならばその方法
に限定はなく、例えば回折格子膜4が樹脂膜の場合には
CVDやスピンコート等の方法を用いることができる。
また、次の工程において回折格子5を形成できるならば
その膜厚にも特に限定はない。
【0027】最後に、金属膜3の表面が離散的に露出す
るように回折格子膜4に加工を施す{図2(c)}。こ
れにより、金属膜3上に回折格子膜4が離散的に配置さ
れた構造となって回折格子5が形成される。回折格子5
を形成するための樹脂膜4の加工方法としては、射出成
型,スタンプ,レーザ加工,モールディング,エッチン
グ等の種々の方法を用いることができる。
【0028】上記の製造方法の具体的な実施例を挙げる
と次のようになる。第1実施例では、まず、ポリカー
ボネートの平板(基板)2にクロムを蒸着し、その上
に金を蒸着して金属膜3を積層する。次に、ポリエチ
レン溶液をスピンコートで塗布して回折格子膜4を一様
に積層する。そして、射出成型により回折格子膜4を
成型して金属膜3の表面を離散的に露出させる。
【0029】また、第2実施例では、まず、ガラス
(基板)2にクロムを蒸着し、その上に金を蒸着して
金属膜3を積層する。次に、有機薄膜をCVDで塗布
して回折格子膜4を一様に積層する。そして、レーザ
の干渉縞により回折格子膜4の表面を離散的に除去して
金属膜3の表面を露出させる。なお、上記の製造方法で
は、樹脂を一様に塗布して連続的な回折格子膜4を形成
した後、回折格子膜4に加工を施すことにより回折格子
5を形成しているが、金属膜3上に樹脂を塗布する段階
で回折格子状に離散的に樹脂を塗布するようにしてもよ
い。
【0030】以上の製造方法からも明らかなように、本
実施形態にかかる分析素子1は従来のように金属膜の塗
布後の形状を考慮して基板に凹凸を形成する必要がな
く、また、回折格子として最適な形状になるように金属
膜の塗布を厳密に制御する必要もない。つまり、本実施
形態にかかる分析素子1によれば、金属膜3上に回折格
子膜4を離散的に配置することによって回折現象を誘起
するという構造により、回折格子5の構造制御が極めて
容易になっている。また、本実施形態にかかる分析素子
1によれば、回折格子5を形成する薄膜4の材料は、従
来のように表面プラズモン波を有効に生じる金属膜に限
定されないので、回折格子5の構造制御に適した材質を
広く選択することができるという利点もある。
【0031】次に、本実施形態にかかる分析素子1の使
用方法について説明する。分析素子1を被分析物の分析
に用いる際には、まず、その表面に抗体を固定化する。
分析素子1の表面には回折格子膜4と金属膜3とが露出
しているが、回折格子膜4の材料は従来のように金属に
限定されないので、表面性状の制御に適した材質を広く
選択することができる。また、金属膜3に関しても、形
状が厳密に規定されないため化学修飾に適した金属の結
晶構造を利用する等、表面性状を容易に制御することが
できる。つまり、本実施形態にかかる分析素子1におい
ては、表面性状に関しては2種類以上がその表面に露出
していることとなり、化学的なバリエーションが得られ
ることも大きな利点である。
【0032】したがって、本実施形態にかかる分析素子
1では、図3に示すように、回折格子膜4の表面に抗体
6を固定化することもでき、金属膜3の表面(回折格子
膜4,4の間に露出している面)に抗体7を固定化する
こともできる。なお、図中では回折格子膜4,金属膜3
の双方に抗体6,7を固定化しているが、何れか一方に
のみ抗体を固定化したものを使用することは勿論可能で
ある。これらの抗体6,7は特定の物質(抗原)と特異
的に結合しうる性質を備えた結合物質であり、分析すべ
き被分析物に応じた抗体が選択される。特に本実施形態
によれば、回折格子膜4に固定化する抗体6と金属膜3
に固定化する抗体7の種類を変えることにより、異なる
被分析物(抗原)を捕捉できるようにすることができ
る。例えば、一方の抗体6で最終物質を捕捉し、他方の
抗体7でその中間体物質を捕捉するようにすることも可
能である。
【0033】なお、これら抗体6,7の回折格子膜4或
いは金属膜3への固定は物理吸着等によって行うことが
できる。また、抗体6,7を固定化する前に回折格子膜
4や金属膜3の表面に何らかのコーティングを行っても
よい。すなわち、回折格子膜4や金属膜3の表面に何ら
かの機能を保有させるための保護膜や活性化膜を導入す
るといった処理等である。
【0034】そして、このように抗体6,7が固定化さ
れた分析素子1を図4に示す構成の分析装置10にセッ
トして分析を行う。この分析装置10は分析素子1を固
定するためのホルダ11,光源12,CCDカメラ13
及び分析部14から主に構成されている。ホルダ11に
は被分析物16を含む試料溶液が通過する流路11aが
形成されている。分析素子1はその金属膜4側の表面が
流路11aを流れる試料に接するように配置されて固定
される。
【0035】光源12は分析素子1に回折格子膜4側
(抗体6,7が固定された側)から励起光を照射するよ
うに分析素子1に対して流路11aを挟んで配置されて
いる。光源12から照射される励起光は単色光でもよく
或いは白色光等の多成分の光でもよく、また、コヒーレ
ントな光でもコヒーレントな光でなくともよい。光源1
2の分析素子1に対する励起光の入射角度は一定でもよ
く可変でもよい。また、図4では一つの光源12のみを
設けているが複数の光源を設けて同時に異なる角度から
入射できるようにしてもよい。
【0036】CCDカメラ13は分析素子1からの反射
光を検出する検出器であり、光源12同様に分析素子1
に対して流路11aを挟んで配置され励起光が回折して
生じる0次の回折光の方向に向けられている。したがっ
て、光源12の入射角度が変わる場合にはCCDカメラ
13の分析素子1に対する角度もそれに合わせて変化す
るようになっている。
【0037】なお、図中では省略しているが、光源12
と分析素子1との間、または分析素子1とCCDカメラ
13との間には、光源12からの励起光、或いは分析素
子1からの反射光を偏光するための偏光子を設置する
(好ましくは、光源12と分析素子1との間に設置す
る)。この偏光子によって、励起光或いは反射光の反射
光の測定精度を向上させることができる。
【0038】分析部14はCCDカメラ13からの検出
情報を処理する装置である。具体的には、特定波長の光
の強度に関するデータの測定、光強度の波長に対する分
布に関するデータの測定、或いは、光強度の角度に対す
る分布に関するデータの測定等、CCDカメラ13から
の検出情報に基づいた種々のデータ測定が可能である。
そして、これらの測定データに基づき表面プラズモン共
鳴による吸収が最大になる、すなわち反射光の強度が最
小になる励起光の入射角度或いは波長を算出する機能も
有している。また、分析部14には既知の濃度の試料溶
液を測定して作成した検量線が記憶されている。この検
量線は濃度と共鳴波長及び共鳴角度との関係を記したも
のであり、表面プラズモン共鳴が起きた時の共鳴波長及
び共鳴角度をこの検量線に照らし合わせることで試料溶
液中の被分析物16の濃度を測定できる。
【0039】上記構成の分析装置10を用いて試料の濃
度分析を行う場合、まず、分析素子1をホルダ11にセ
ットして分析素子1の回折格子膜4及び金属膜3表面を
試料に接触させる(ステップA1)。これにより回折格
子膜4及び金属膜3の表面にそれぞれ固定された抗体
6,7に試料溶液中の被分析物16が特異的に結合す
る。そして、抗体6,7に結合した被分析物16の物質
量に応じて金属膜3表面近傍の媒質の屈折率が変化し、
金属膜3表面における表面プラズモン波の共鳴条件が変
化する。
【0040】次に、光源12から回折格子膜4表面に向
けて励起光を照射する(ステップA2)。照射された励
起光はホルダ11の流路11aを通って回折格子膜4に
達する。そして、回折格子膜4が金属膜3上に離散的に
配置されることによって形成された回折格子5において
回折光を生じさせる。このうち0次の回折光(反射光)
をCCDカメラ13によって検出する(ステップA
3)。
【0041】光源12から照射する励起光が単色光、す
なわち単一波長の光の場合、光源12を移動させて励起
光の分析素子1に対する入射角度を変化させていく。C
CDカメラ13で検出される反射光の強度は励起光の入
射角度に応じて変化し、ある入射角度において最小にな
る。この反射光の強度が最小となる入射角度を分析部1
4において測定し、測定した角度と励起光の波長とを検
量線に対応させて試料溶液中の被分析物の濃度を算出す
る(ステップA4−1)。
【0042】一方、光源12から照射する励起光が白色
光の場合は励起光の分析素子1に対する入射角度は一定
にする。この場合、分析素子1からの反射光には多成分
の光が含まれる。この反射光を分光器(図示略)で波長
毎に分光し、これをCCDカメラ13で検出する。CC
Dカメラ13で検出される反射光の強度は各成分の波長
毎に異なる。このうち強度が最小である成分の波長を分
析部14において測定し、測定した波長と入射角度とを
検量線に対応させて、試料溶液中の被分析物の濃度を算
出する(ステップA4−2)。
【0043】なお、本実施形態にかかる分析素子1のよ
うな表面プラズモン共鳴センサチップ(SPR用分析素
子)を用いて分析を行う場合、各ステップA1〜A3,
及びA4−1或いはA4−2を上述のように順に実行す
る他に同時に実行することも可能である。各ステップを
同時実行する場合には、試料中の被分析物が抗体6,7
に結合していく様子をリアルタイムでモニタすることが
できる。
【0044】(B)第2実施形態 次に、図5〜図7を用いて本発明の第2実施形態につい
て説明する。図5に示すように本実施形態にかかる分析
素子(表面プラズモン共鳴センサチップ)21は第1実
施形態と同様に基板22上にその表面を覆うように金属
膜23が積層され、さらに金属膜23上に別の薄膜(回
折格子膜)24が離散的に積層されることにより、図中
に太線で強調して示すように回折格子25が形成されて
いる。本実施形態では基板22は励起光に対して透過性
を有しており、金属膜23の膜厚も励起光を透過する程
度の厚みに設定されている。
【0045】この構造によれば、図中に矢印で示すよう
に分析素子21に対しその基板22側から励起光が照射
されると励起光は基板22及び金属膜23を通過して表
面(回折格子膜24及び金属膜23と外界との境界面)
の回折格子25に達し、回折格子25の回折作用によっ
てエバネッセント波を生じせしめる。このエバネッセン
ト波が金属膜23に作用することにより金属膜23の表
面に表面プラズモン波が発生し、特定の波長及び入射角
の励起光が照射されたときにエバネッセント波と表面プ
ラズモン波とが共鳴して表面プラズモン共鳴が起きる。
【0046】なお、基板22の材質は励起光の波長付近
で透過性を有しており(より好ましくは十分に透明であ
り)、金属膜23及び回折格子膜24を保持できる機械
的強度が十分であるならばその材質に限定はない。無機
材料としてはガラス,石英,シリコン等、有機材料とし
てはポリメタクリル酸メチル,ポリカーボネート,ポリ
スチレン等の樹脂が例として挙げられる。金属膜23の
材質は表面プラズモン波を誘起されうるものであればそ
の種類に限定はない。例えば、金,銀,アルミニウム等
を用いることができる。
【0047】また、回折格子膜24の材質は金属膜23
との接着性が高く、且つ被分析物を捕捉するための抗体
を固定化しやすい材質が最も望ましいが(例えば樹
脂)、少なくとも金属膜23上に離散的に積層されるこ
とで回折現象を起こすことのできるものであれば、必ず
しもそのような材質に限定されるものではない。金属膜
23上に回折格子膜24を離散的に積層することよって
形成される回折格子25の形状、及び回折格子膜24の
幅や配置間隔は、励起光が回折現象を起こしてエバネッ
セント波を生じせしめることのできるものであれば第1
実施形態と同様に限定はない。
【0048】上記の構造を有する分析素子21は、第1
実施形態と同様の方法で製造することができる。したが
って、本実施形態にかかる分析素子21も金属膜の塗布
後の形状を考慮して基板に凹凸を形成する必要がなく、
また、回折格子として最適な形状になるように金属膜の
塗布を厳密に制御する必要もない。つまり、本実施形態
にかかる分析素子21によれば、金属膜23上に回折格
子膜24を離散的に配置することによって回折現象を誘
起するという構造により、回折格子25の構造制御が極
めて容易になると同時に、さらに回折格子23を形成す
る薄膜24の材料として回折格子25の構造制御に適し
た材質を広く選択することができる等、第1実施形態と
同様の利点がある。
【0049】次に、本実施形態にかかる分析素子21の
使用方法について説明する。分析素子21を被分析物の
分析に用いる際には、まず、その表面に抗体を固定化す
る。本実施形態においても第1実施形態と同様に、図6
に示すように、回折格子膜24の表面に抗体26を固定
化することもでき、金属膜23の表面(回折格子膜2
4,24の間に露出している面)に抗体27を固定化す
ることもできる。そして、回折格子膜24に固定化する
抗体26と金属膜23に固定化する抗体27の種類を変
えることにより、異なる被分析物(抗原)を捕捉するよ
うにすることもできる。なお、これら抗体26,27の
回折格子膜24或いは金属膜23への固定は物理吸着
等、第1実施形態と同様の方法で行うことができる。
【0050】そして、本実施形態では上記のように抗体
26,27が固定化された分析素子21を図7に示す構
成の分析装置20にセットして分析を行う。この分析装
置20は第1実施形態と同様に分析素子21を固定する
ためのホルダ11,光源12,CCDカメラ13及び分
析部14から主に構成されている。各構成機器11〜1
4の機能は第1実施形態と同様であるが、本実施形態で
は、分析素子21に基板22側から励起光を照射してそ
の反射光を検出するように、分析素子21に対し流路1
1aと反対側に光源12とCCDカメラ13を配置した
ことを特徴としている。
【0051】上記構成の分析装置20を用いて試料の濃
度分析を行う場合、まず、分析素子21をホルダ11に
セットして分析素子21の回折格子膜24及び金属膜2
3表面を試料に接触させる(ステップB1)。これによ
り回折格子膜24及び金属膜23の表面にそれぞれ固定
された抗体26,27に試料溶液中の被分析物16が特
異的に結合する。そして、抗体26,27に結合した被
分析物16の物質量に応じて金属膜23表面近傍の媒質
の屈折率が変化し、金属膜23表面における表面プラズ
モン波の共鳴条件が変化する。
【0052】次に、光源12から基板22表面(分析素
子21の裏面)に向けて励起光を照射する(ステップB
2)。照射された励起光は基板22及び金属膜23を通
過して分析素子21と試料溶液との境界面に達し、分析
素子21の表面(分析素子21と外界との境界面)に形
成された回折格子25において回折光を生じさせる。こ
のうち0次の回折光(反射光)をCCDカメラ13によ
って検出する(ステップB3)。そして、CCDカメラ
13からの検出情報に基づき、第1実施形態と同様の方
法により試料溶液中の被分析物の濃度を算出する(ステ
ップB4)。なお、本実施形態でも、各ステップB1〜
B4は上述のように順に実行する他に同時に実行するこ
とも可能である。
【0053】このように本実施形態では励起光は分析素
子21に対し基板22側から照射される。従来の分析素
子や第1実施形態では、抗体が不透明である場合や抗体
を金属に結合させるための固定化剤が不透明である場
合、或いは試料溶液が励起光付近に散乱や吸収を有する
物質の溶液である場合には得られる反射光の減少により
正確な表面プラズモン共鳴の測定が難しいが、本実施形
態のように基板22側から励起光を照射する場合にはそ
のような不具合はない。つまり、本実施形態にかかる分
析素子21を用いた分析方法によれば、抗体や試料溶液
の性状の影響を受けることなく常に正確な分析が可能に
なるという利点がある。
【0054】(C)第3実施形態 次に、図8〜図10を用いて本発明の第3実施形態につ
いて説明する。図8に示すように本実施形態にかかる分
析素子(表面プラズモン共鳴センサチップ)31は、基
板32上に金属膜33が離散的(例えばスリット状に)
に積層された構造となっている。そして、基板32上に
離散的に積層された金属膜33によって、図中に太線で
強調して示すように回折格子35が形成されている。
【0055】この構造によれば、図中に矢印で示すよう
に分析素子31に対しその表面側から照射された励起光
は、表面に離散的に積層された金属膜33によって形成
される回折格子35の回折作用によってエバネッセント
波を生じせしめる。このエバネッセント波が金属膜33
に作用することにより金属膜33の表面に表面プラズモ
ン波が発生し、特定の波長及び入射角の励起光が照射さ
れたときにエバネッセント波と表面プラズモン波とが共
鳴して表面プラズモン共鳴が起きる。
【0056】なお、基板32の材質は金属との結合性が
良好で被分析物を捕捉するための抗体を容易に固定化で
きる材質が望ましいが、少なくとも金属膜33を保持で
きる機械的強度が十分であるならばそのような材質に限
定されるものではない。例えば無機材料としてガラス,
石英,シリコン等があり、有機材料としてはポリメタク
リル酸メチル,ポリカーボネート,ポリスチレン等の樹
脂が挙げられる。また、試料と接する面の性質を制御す
るために基板本体の表面に何らかの被覆膜をコーティン
グしてもよい。例えばカルボキシル基を表面に導入する
ための、メタクリル酸とメタクリル酸メチルの共重合ポ
リマー等である。
【0057】金属膜33の材質は表面プラズモン波を誘
起されうるものであればその種類に限定はない。例え
ば、金,銀,アルミニウム等を用いることができる。ま
た、基板32上に金属膜33を離散的に積層することよ
って形成される回折格子35の形状は、励起光が回折現
象を起こしてエバネッセント波を生じせしめることので
きる形状であればその形状に限定はない。図8に示すよ
うな矩形波状の他、鋸歯状等の形状であってもよい。ま
た、金属膜33の幅や配置間隔についても、励起光が回
折現象を起こしてエバネッセント波を生じせしめること
のできるものであれば図8に示すように一定なものに限
定されない。
【0058】上記の構造を有する分析素子31は、図9
に示す手順で製造することができる。すなわち、まず図
9(a)に示すように基板32の表面に金属膜33を積
層する。金属膜33の積層方法は基板32と金属膜33
とが十分に強く結合でき、且つ次の工程において回折格
子5を形成できるならばその方法に限定はない。代表的
には蒸着,スパッタリング,めっき等である。また、基
板32と金属膜33との間にさらに何らかの別の物質を
使用することは勿論可能である。
【0059】次に、基板32の表面が離散的に露出する
ように金属膜33に加工を施す{図9(b)}。これに
より、基板32上に金属膜33が離散的に配置された構
造となって回折格子35が形成される。回折格子35を
形成するための金属膜33の加工方法としては、スタン
プ,レーザ加工,エッチング等の種々の方法を用いるこ
とができる。
【0060】上記の製造方法の具体的な実施例を挙げる
と次のようになる。第1実施例では、まず、ポリスチ
レンの平板(基板)32に金をスパッタリングして金属
膜33を形成する。次に、その金属膜33の表面にレ
ジストを塗布し、マスクを利用して所望の回折格子状
にフォトリソグラフィを行う。そして、エッチングに
より金属膜33を離散的に加工し、レジストを除去す
る。
【0061】また、第2実施例では、まず、ガラス
(基板)32にクロムを蒸着し、その上に金を蒸着し
て金属膜33を積層する。次に、その金属膜33の表
面にレジストを塗布し、マスクを利用して所望の回折
格子状にフォトリソグラフィを行う。そして、エッチ
ングにより金属膜33を離散的に加工し、レジストを
除去する。
【0062】なお、上記の製造方法では、スパッタリン
グ等により基板32の表面全体に一様に金属膜33を形
成した後、金属膜33に加工を施すことにより回折格子
35を形成しているが、基板32上に金属を積層する段
階で回折格子状に離散的に金属を塗布するようにしても
よい。例えば、基板32の表面に回折格子状のマスクを
施した状態で金属をスパッタリングすることによって、
金属膜33を基板32上に回折格子状に積層することが
できる。
【0063】以上の製造方法からも明らかなように、本
実施形態にかかる分析素子31も金属膜の塗布後の形状
を考慮して基板に凹凸を形成する必要がなく、また、回
折格子として最適な形状になるように金属膜の塗布を厳
密に制御する必要もない。つまり、本実施形態にかかる
分析素子31によれば、基板32上に金属膜33を離散
的に配置することによって回折現象を誘起するという構
造により、回折格子35の構造制御が極めて容易になる
という利点がある。
【0064】次に、本実施形態にかかる分析素子31の
使用方法について説明する。分析素子31を被分析物の
分析に用いる際には、まず、その表面に抗体を固定化す
る。分析素子31の表面には基板32と金属膜33とが
露出しているが、基板32に関しては、表面性状の制御
に適した材質を広く選択することができ、また、表面性
状の制御に適した被覆膜をコーティングしたものを用い
ることもできる。また、金属膜33に関しても、形状が
厳密に規定されないため化学修飾に適した金属の結晶構
造を利用する等、表面性状を容易に制御することができ
る。つまり、本実施形態にかかる分析素子31において
も、第1〜第2実施形態と同様、表面性状に関しては2
種類以上がその表面に露出していることとなり、化学的
なバリエーションが得られることが大きな利点になって
いる。
【0065】したがって、本実施形態にかかる分析素子
31では、図10に示すように、金属膜33の表面に抗
体36を固定化することもでき、基板32の表面(金属
膜33,33の間に露出している面)に抗体37を固定
化することもできる。なお、図中では金属膜33,基板
32の双方に抗体36,37を固定化しているが、何れ
か一方にのみ抗体を固定化したものを使用することは勿
論可能である。また、本実施形態によっても、金属膜3
3に固定化する抗体36と基板32に固定化する抗体3
7の種類を変えることにより、異なる被分析物(抗原)
を捕捉できるようにすることができる。
【0066】なお、これら抗体36,37の基板32或
いは金属膜33への固定方法について一例を挙げると、
例えば基板32がガラスであり金属膜33が金の場合に
は、金属膜33に対しては、チオール基とカルボン酸を
有する物質を吸着させ、次いでカルボン酸と被分析物を
特異的に中間体物質に変換する酵素(抗体)36とをカ
ルボジイミドを介して結合させる。また、基板32に対
しては、シラノールを介してビオチンを固定化し、次い
でビオチンを介してアビジン化した前記中間体物質を特
異的に沈着性物質に変換する酵素(抗体)37を固定化
する。上記の固定方法の他、物理吸着等によって固定す
ることもできる。また、抗体36,37を固定化する前
に金属膜33や基板32の表面に保護膜や活性化膜等の
何らかのコーティングを行ってもよい。
【0067】そして、本実施形態では上記のように抗体
36が固定化された分析素子31を第1実施形態と同構
成の分析装置(図4参照)にセットして分析を行う。こ
こでは第1実施形態の分析装置10を用いて分析を行う
ものとし、図6を参照しながら本実施形態にかかる分析
素子31を用いた試料の分析方法について説明する。ま
ず、図6に示す分析装置10のホルダ11に分析素子3
1をセットして分析素子31の基板32及び金属膜33
表面を試料に接触させる(ステップC1)。これにより
基板32及び金属膜33の表面に固定された抗体36,
37に試料溶液中の被分析物16が特異的に結合する。
そして、抗体36,37に結合した被分析物16の物質
量に応じて金属膜33表面近傍の媒質の屈折率が変化
し、金属膜33表面における表面プラズモン波の共鳴条
件が変化する。
【0068】次に、光源12から金属膜33表面に向け
て励起光を照射する(ステップC2)。照射された励起
光はホルダ11の流路11aを通って金属膜33表面に
達し、金属膜33が基板32上に離散的に配置されるこ
とによって形成された回折格子35において回折光を生
じさせる。このうち0次の回折光(反射光)をCCDカ
メラ13によって検出する(ステップC3)。そして、
CCDカメラ13からの検出情報に基づき、第1〜第2
実施形態と同様の方法により試料溶液中の被分析物の濃
度を算出する(ステップC4)。なお、本実施形態で
も、各ステップC1〜C4は上述のように順に実行する
他に同時に実行することも可能である。
【0069】(D)第4実施形態 次に、図11,図12を用いて本発明の第4実施形態に
ついて説明する。図11に示すように本実施形態にかか
る分析素子(表面プラズモン共鳴センサチップ)41
は、第3実施形態と同様に基板42上に金属膜43が離
散的(例えばスリット状に)に積層されることにより、
図中に太線で強調して示すように回折格子45が形成さ
れている。特に本実施形態では基板42は励起光に対し
て透過性を有していることを特徴としている。
【0070】この構造によれば、図中に矢印で示すよう
に分析素子41に対しその基板42側から励起光が照射
されると励起光は基板42を通過して表面(基板42及
び金属膜43と外界との境界面)の回折格子45に達
し、回折格子45の回折作用によってエバネッセント波
を生じせしめる。このエバネッセント波が金属膜43に
作用することにより金属膜43の表面に表面プラズモン
波が発生し、特定の波長及び入射角の励起光が照射され
たときにエバネッセント波と表面プラズモン波とが共鳴
して表面プラズモン共鳴が起きる。
【0071】なお、基板42の材質は励起光に対して透
過性を有しており(より好ましくは十分に透明であ
り)、金属との結合性が良好で被分析物を捕捉するため
の抗体を容易に固定化できる材質が望ましいが、少なく
とも金属膜43を保持できる機械的強度が十分であるな
らばそのような材質に限定されるものではない。無機材
料としてはガラス,石英,シリコン等、有機材料として
はポリメタクリル酸メチル,ポリカーボネート,ポリス
チレン等の樹脂が例として挙げられる。また、カルボキ
シル基を表面に導入するためのメタクリル酸とメタクリ
ル酸メチルの共重合ポリマー等、試料と接する面の性質
を制御するために基板本体の表面に何らかの被覆膜をコ
ーティングしてもよい。
【0072】金属膜43の材質は表面プラズモン波を誘
起されうるものであればその種類に限定はない。例え
ば、金,銀,アルミニウム等を用いることができる。ま
た、基板42上に金属膜43を離散的に積層することよ
って形成される回折格子45の形状、及び金属膜43の
幅や配置間隔は、励起光が回折現象を起こしてエバネッ
セント波を生じせしめることのできるものであれば第3
実施形態と同様に限定はない。
【0073】上記の構造を有する分析素子41は、第3
実施形態と同様の方法で製造することができる。したが
って、本実施形態にかかる分析素子41も従来のように
金属膜の塗布後の形状を考慮して基板に凹凸を形成する
必要がなく、また、回折格子として最適な形状になるよ
うに金属膜の塗布を厳密に制御する必要もない。つま
り、本実施形態にかかる分析素子41によれば、基板4
2上に金属膜43を離散的に配置することによって回折
現象を誘起するという構造により、回折格子45の構造
制御が極めて容易になる等、第3実施形態と同様の利点
がある。
【0074】次に、本実施形態にかかる分析素子41の
使用方法について説明する。分析素子41を被分析物の
分析に用いる際には、まず、その表面に抗体を固定化す
る。本実施形態においても第3実施形態と同様に、図1
2に示すように、金属膜43の表面に抗体46を固定化
することもでき、基板42の表面(金属膜43,43の
間に露出している面)に抗体47を固定化することもで
きる。そして、金属膜43に固定化する抗体46と基板
42に固定化する抗体47の種類を変えることにより、
異なる被分析物(抗原)を捕捉するようにすることもで
きる。なお、これら抗体46,47の金属膜43或いは
基板42への固定は第3実施形態と同様の方法で行うこ
とができる。
【0075】そして、本実施形態では上記のように抗体
46,47が固定化された分析素子41を第2実施形態
と同構成の分析装置(図7参照)にセットして分析を行
う。ここでは第2実施形態の分析装置20を用いて分析
を行うものとし、図7を参照しながら本実施形態にかか
る分析素子41を用いた試料の分析方法について説明す
る。
【0076】まず、図7に示す分析装置20のホルダ1
1に分析素子41をセットして分析素子41の基板42
及び金属膜43表面を試料に接触させる(ステップD
1)。これにより基板42及び金属膜43の表面に固定
された抗体46,47に試料溶液中の被分析物16が特
異的に結合する。そして、抗体46,47に結合した被
分析物16の物質量に応じて金属膜43表面近傍の媒質
の屈折率が変化し、金属膜43表面における表面プラズ
モン波の共鳴条件が変化する。
【0077】次に、光源12から基板42表面(分析素
子41の裏面)に向けて励起光を照射する(ステップD
2)。照射された励起光は基板42を通過して分析素子
41と試料溶液との境界面に達し、分析素子41の表面
(分析素子41と外界との境界面)に形成された回折格
子45において回折光を生じさせる。このうち0次の回
折光(反射光)をCCDカメラ13によって検出する
(ステップD3)。そして、CCDカメラ13からの検
出情報に基づき、第1〜第3実施形態と同様の方法によ
り試料溶液中の被分析物の濃度を算出する(ステップD
4)。なお、本実施形態でも、各ステップD1〜D4は
上述のように順に実行する他に同時に実行することも可
能である。
【0078】このように本実施形態では励起光は分析素
子41に対し基板42側から照射される。このため、抗
体が不透明である場合や抗体を金属に結合させるための
固定化剤が不透明である場合、或いは試料溶液が励起光
付近に散乱や吸収を有する物質の溶液である場合でも、
正確な表面プラズモン共鳴の測定が可能である。つま
り、本実施形態にかかる分析素子41を用いた分析方法
によれば、第2実施形態と同様に抗体や試料溶液の性状
の影響を受けることなく常に正確な分析が可能になると
いう利点がある。
【0079】(E)その他 以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明
は上述の実施の形態に限定されるものではなく本発明の
趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することがで
きる。例えば、第2実施形態の分析素子21及び第4実
施形態の分析素子41に関しては、図13に示すような
分析装置40を用いて分析を行ってもよい。この分析装
置40は上述の第2実施形態にかかる分析装置20と同
様にホルダ11,光源12,CCDカメラ13及び分析
部14から主に構成されている。各構成機器11〜14
の機能は分析装置20と同様であるが、本実施形態で
は、分析素子21(41)に基板22(42)側から励
起光を照射するように流路11aに対して分析素子21
(41)と同側に光源12を配置するとともに、分析素
子21(41)からの透過光を検出するように分析素子
21(41)に対して流路11aを挟んでCCDカメラ
13を配置している。
【0080】第2,第4実施形態の分析素子21,41
のように、基板22,42励起光に対して透過性を有し
ている場合には、その構造上、基板22,42側から照
射された励起光のうち一部の光は分析素子21,41を
透過してしまう。しかしながら、表面プラズモン共鳴が
生じたときには強い光の吸収が生じるので、反射光のみ
ならず透過光の強度にも影響が生じると考えられる。し
たがって、この透過光をCCDカメラ13で検出してそ
の強度を計測することで、表面プラズモン共鳴の発生を
検出することができ、その共鳴波長や共鳴角度を検量線
に対応させることで、試料溶液中の被分析物の濃度を算
出することができる。
【0081】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の分析素子
によれば、平面上に薄膜を離散的に積層することによっ
て回折格子が形成されるので、回折格子の構造制御及び
試料と接触する表面の性状制御が容易になるという利点
がある。特に、基板上に金属膜を積層し、その上に樹脂
膜を離散的に配置して回折格子を形成する場合には、回
折格子の構造制御が容易になるとともに、回折格子を形
成する膜の材料として回折格子の構造制御に適した材質
を広く選択することが可能になるという利点もある。ま
た、薄膜の材料は金属に限定されないので、表面性状の
制御に適した材質を広く選択することができ、金属膜に
関しても形状が厳密に規定されないため化学修飾に適し
た金属の結晶構造を利用する等、表面性状を容易に制御
することができるので、被分析物を捕捉するための結合
物質を金属膜と樹脂膜の片方あるいは両方に固定化する
ことが可能になるという利点もある。さらにこの場合、
少なくとも基板を励起光に対して透過性を有するものに
して、その基板側から励起光を照射して試料の分析を行
う場合には、表面プラズモン共鳴の測定に表面の結合物
質や試料の性状の影響を受けることなく、常に正確な分
析が可能になるという利点がある。
【0082】また、基板上に金属膜を離散的に配置して
回折格子を形成する場合には、基板の材料には表面性状
の制御に適した材質を広く選択することができるととも
に、金属膜に関しても形状が厳密に規定されないため化
学修飾に適した金属の結晶構造を利用する等、表面性状
を容易に制御することができるので、被分析物を捕捉す
るための結合物質を金属膜と基板の片方あるいは両方に
固定化することが可能になるという利点もある。さらに
この場合、少なくとも基板を励起光に対して透過性を有
するものにして、その基板側から励起光を照射して試料
の分析を行う場合には、表面プラズモン共鳴の測定に表
面の結合物質や試料の性状の影響を受けることなく、常
に正確な分析が可能になるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる分析素子の構成
を示す模式的断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる分析素子の製造
方法を示す図であり、(a)〜(c)の順に製造手順を
示している。
【図3】図1の分析素子に抗体を固定化した状態を示す
模式的断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態にかかる分析装置の構成
を示す模式図である。
【図5】本発明の第2実施形態にかかる分析素子の構成
を示す模式的断面図である。
【図6】図5の分析素子に抗体を固定化した状態を示す
模式的断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態にかかる分析装置の構成
を示す模式図である。
【図8】本発明の第3実施形態にかかる分析素子の構成
を示す模式的断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態にかかる分析素子の製造
方法を示す図であり、(a),(b)の順に製造手順を
示している。
【図10】図8の分析素子に抗体を固定化した状態を示
す模式的断面図である。
【図11】本発明の第4実施形態にかかる分析素子の構
成を示す模式的断面図である。
【図12】図11の分析素子に抗体を固定化した状態を
示す模式的断面図である。
【図13】本発明の第2,第4実施形態にかかる分析装
置の他の構成を示す模式図である。
【図14】従来の分析素子の構成を示す模式的断面図で
ある。
【符号の説明】
1,21 分析素子(SPR用分析素子) 2,22 基板 3,23 金属膜 4,24 回折格子膜 5,25 回折格子 6,26 抗体(結合物質) 7,27 抗体(結合物質) 10,20,40 分析装置 11 ホルダ(固定手段) 12 光源 13 CCDカメラ(検出手段) 14 分析部(分析手段) 16 被分析物 31,41 分析素子(SPR用分析素子) 32,42 基板 33,43 金属膜 35,45 回折格子 36,46 抗体(結合物質) 37,47 抗体(結合物質)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大平落 嘉寛 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社内 Fターム(参考) 2G059 AA01 BB13 CC20 DD12 DD13 EE04 FF03 JJ30 KK04 2H049 AA07 AA55 AA64

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面が平面状の第一層と、 上記第一層上に離散的に積層されて回折格子を形成する
    第二層とを備え、 上記第一層及び第二層の少なくとも一方は金属膜である
    ことを特徴とする、分析素子。
  2. 【請求項2】 励起光の照射により上記回折格子におい
    て生じるエバネッセント波と上記金属膜の表面に生じる
    表面プラズモン波との共鳴現象を利用して試料の定量的
    及び/又は定性的な分析を行うためのSPR用分析素子
    として構成されていることを特徴とする、請求項1記載
    の分析素子。
  3. 【請求項3】 上記第一層が基板上に積層された金属膜
    であり、上記第二層が上記金属膜とは別の材質からなる
    薄膜であることを特徴とする、請求項2記載の分析素
    子。
  4. 【請求項4】 上記金属膜の表面及び/又は上記薄膜の
    表面に特定の物質と特異的に結合しうる結合物質が固定
    化されていることを特徴とする、請求項3記載の分析素
    子。
  5. 【請求項5】 上記金属膜の表面に固定化された結合物
    質と上記薄膜の表面に固定化された結合物質とでは、結
    合しうる特定の物質が異なっていることを特徴とする、
    請求項4記載の分析素子。
  6. 【請求項6】 請求項4又は5記載の分析素子を用いて
    試料の定量的及び/又は定性的な分析を行う方法であっ
    て、 上記分析素子の上記結合物質が固定化された側の表面に
    試料を接触させるステップと、 上記分析素子に対し上記結合物質が固定化された側から
    励起光を照射するステップと、 上記分析素子からの反射光を検出するステップと、 検出した反射光の強度に基づき試料の定量的及び/又は
    定性的な分析を行うステップとを備えたことを特徴とす
    る、分析方法。
  7. 【請求項7】 上記第一層が励起光に対して透過性を有
    する基板上に積層された金属膜であり、上記第二層が上
    記金属膜とは別の材質からなる薄膜であることを特徴と
    する、請求項2記載の分析素子。
  8. 【請求項8】 上記金属膜の表面及び/又は上記薄膜の
    表面に特定の物質と特異的に結合しうる結合物質が固定
    化されていることを特徴とする、請求項7記載の分析素
    子。
  9. 【請求項9】 上記金属膜の表面に固定化された結合物
    質と上記薄膜の表面に固定化された結合物質とでは、結
    合しうる特定の物質が異なっていることを特徴とする、
    請求項8記載の分析素子。
  10. 【請求項10】 請求項8又は9記載の分析素子を用い
    て試料の定量的及び/又は定性的な分析を行う方法であ
    って、 上記分析素子の上記結合物質が固定化された側の表面に
    試料溶液を接触させるステップと、 上記分析素子に対し上記基板側から励起光を照射するス
    テップと、 上記分析素子からの反射光及び/又は透過光を検出する
    ステップと、 検出した反射光及び/又は透過光の強度に基づき試料の
    定量的及び/又は定性的な分析を行うステップとを備え
    たことを特徴とする、分析方法。
  11. 【請求項11】 上記第一層が基板であり、上記第二層
    が金属膜であることを特徴とする、請求項2記載の分析
    素子。
  12. 【請求項12】 上記基板は、基板本体と上記基板本体
    の表面を被覆する被覆膜とから構成されていることを特
    徴とする、請求項11記載の分析素子。
  13. 【請求項13】 上記基板の表面及び/又は上記金属膜
    の表面に特定の物質と特異的に結合しうる結合物質が固
    定化されていることを特徴とする、請求項11又は12
    記載の分析素子。
  14. 【請求項14】 上記基板の表面に固定化された結合物
    質と上記金属膜の表面に固定化された結合物質とでは、
    結合しうる特定の物質が異なっていることを特徴とす
    る、請求項13記載の分析素子。
  15. 【請求項15】 請求項13又は14記載の分析素子を
    用いて試料の定量的及び/又は定性的な分析を行う方法
    であって、 上記分析素子の上記結合物質が固定化された側の表面に
    試料を接触させるステップと、 上記分析素子に対し上記結合物質が固定化された側から
    励起光を照射するステップと、 上記分析素子からの反射光を検出するステップと、 検出した反射光の強度に基づき試料の定量的及び/又は
    定性的な分析を行うステップとを備えたことを特徴とす
    る、分析方法。
  16. 【請求項16】 上記第一層が励起光に対して透過性を
    有する基板であり、上記第二層が金属膜であることを特
    徴とする、請求項2記載の分析素子。
  17. 【請求項17】 上記基板は、基板本体と上記基板本体
    の表面を被覆する被覆膜とから構成されていることを特
    徴とする、請求項16記載の分析素子。
  18. 【請求項18】 上記基板の表面及び/又は上記金属膜
    の表面に特定の物質と特異的に結合しうる結合物質が固
    定化されていることを特徴とする、請求項16又は17
    記載の分析素子。
  19. 【請求項19】 上記基板の表面に固定化された結合物
    質と上記金属膜の表面に固定化された結合物質とでは、
    結合しうる特定の物質が異なっていることを特徴とす
    る、請求項18記載の分析素子。
  20. 【請求項20】 請求項18又は19記載の分析素子を
    用いて試料の定量的及び/又は定性的な分析を行う方法
    であって、 上記分析素子の上記結合物質が固定化された側の表面に
    試料溶液を接触させるステップと、 上記分析素子に対し上記基板側から励起光を照射するス
    テップと、 上記分析素子からの反射光及び/又は透過光を検出する
    ステップと、 検出した反射光及び/又は透過光の強度に基づき試料の
    定量的及び/又は定性的な分析を行うステップとを備え
    たことを特徴とする、分析方法。
JP2001167166A 2001-06-01 2001-06-01 分析素子、並びにそれを用いた試料の分析方法 Pending JP2002357543A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001167166A JP2002357543A (ja) 2001-06-01 2001-06-01 分析素子、並びにそれを用いた試料の分析方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001167166A JP2002357543A (ja) 2001-06-01 2001-06-01 分析素子、並びにそれを用いた試料の分析方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002357543A true JP2002357543A (ja) 2002-12-13

Family

ID=19009593

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001167166A Pending JP2002357543A (ja) 2001-06-01 2001-06-01 分析素子、並びにそれを用いた試料の分析方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002357543A (ja)

Cited By (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004113880A2 (en) * 2003-06-23 2004-12-29 Canon Kabushiki Kaisha Chemical sensor and chemicalsensor apparatus
GB2404918A (en) * 2003-08-11 2005-02-16 Toshiba Res Europ Ltd An encoded carrier
WO2005078415A1 (ja) * 2004-02-13 2005-08-25 Omron Corporation 表面プラズモン共鳴センサー
KR100623522B1 (ko) 2004-03-09 2006-09-18 한국생산기술연구원 광변조장치의 제조방법
KR100623520B1 (ko) 2004-03-09 2006-09-18 한국생산기술연구원 광변조장치
JP2007078621A (ja) * 2005-09-16 2007-03-29 Canon Inc センシング装置
JP2008128787A (ja) * 2006-11-20 2008-06-05 Canon Inc 表面増強振動分光分析用治具並びにその製造方法及び表面増強ラマン散乱分光分析用治具並びにその製造方法
JP2008216055A (ja) * 2007-03-05 2008-09-18 Omron Corp 表面プラズモン共鳴センサ及び当該センサ用チップ
JP2008268188A (ja) * 2007-03-23 2008-11-06 Canon Inc センシング装置
JP2009074947A (ja) * 2007-09-21 2009-04-09 Hitachi High-Technologies Corp 標的物質を検出するための分析装置、又は分析方法、若しくはこれら分析装置及び分析方法に用いるデバイス
WO2011142118A1 (ja) * 2010-05-12 2011-11-17 パナソニック株式会社 プラズモンセンサと、この使用方法および製造方法
JP2012181480A (ja) * 2011-03-03 2012-09-20 Dainippon Printing Co Ltd ポリジメチルシロキサンシートとこれを使用した光学素子およびこれらの製造方法
JP2013007614A (ja) * 2011-06-23 2013-01-10 Seiko Epson Corp 光デバイス及び検出装置
JP5328915B2 (ja) * 2009-07-03 2013-10-30 株式会社日立製作所 高感度蛍光検出デバイス
WO2014002475A1 (ja) * 2012-06-26 2014-01-03 パナソニック株式会社 光学的センサと、光学的センサを用いた検出方法と、捕捉体の固定方法と、検査ユニット
CN104198434A (zh) * 2014-08-20 2014-12-10 中山大学 一种垂直透射型局域等离子谐振折射率传感器及其制备方法
CN106125175A (zh) * 2016-06-24 2016-11-16 中国科学院长春光学精密机械与物理研究所 一种慢光结构、吸光度检测方法及微流控芯片
CN109001157A (zh) * 2018-06-22 2018-12-14 江南大学 一种基于双重表面等离子体共振实现折射率传感的方法

Cited By (26)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004113880A2 (en) * 2003-06-23 2004-12-29 Canon Kabushiki Kaisha Chemical sensor and chemicalsensor apparatus
WO2004113880A3 (en) * 2003-06-23 2005-05-12 Canon Kk Chemical sensor and chemicalsensor apparatus
GB2404918A (en) * 2003-08-11 2005-02-16 Toshiba Res Europ Ltd An encoded carrier
GB2404918B (en) * 2003-08-11 2006-03-01 Toshiba Res Europ Ltd An encoded carrier
US7829326B2 (en) 2003-08-11 2010-11-09 Kabushiki Kaisha Toshiba Encoded carrier
WO2005078415A1 (ja) * 2004-02-13 2005-08-25 Omron Corporation 表面プラズモン共鳴センサー
KR100623520B1 (ko) 2004-03-09 2006-09-18 한국생산기술연구원 광변조장치
KR100623522B1 (ko) 2004-03-09 2006-09-18 한국생산기술연구원 광변조장치의 제조방법
JP4726212B2 (ja) * 2005-09-16 2011-07-20 キヤノン株式会社 センシング装置
JP2007078621A (ja) * 2005-09-16 2007-03-29 Canon Inc センシング装置
JP2008128787A (ja) * 2006-11-20 2008-06-05 Canon Inc 表面増強振動分光分析用治具並びにその製造方法及び表面増強ラマン散乱分光分析用治具並びにその製造方法
JP2008216055A (ja) * 2007-03-05 2008-09-18 Omron Corp 表面プラズモン共鳴センサ及び当該センサ用チップ
US7839508B2 (en) 2007-03-05 2010-11-23 Omron Corporation Surface plasmon resonance sensor and sensor chip
JP2008268188A (ja) * 2007-03-23 2008-11-06 Canon Inc センシング装置
JP2009074947A (ja) * 2007-09-21 2009-04-09 Hitachi High-Technologies Corp 標的物質を検出するための分析装置、又は分析方法、若しくはこれら分析装置及び分析方法に用いるデバイス
JP4597175B2 (ja) * 2007-09-21 2010-12-15 株式会社日立ハイテクノロジーズ 標的物質を検出するための分析装置、又は分析方法、若しくはこれら分析装置及び分析方法に用いるデバイス
JP5328915B2 (ja) * 2009-07-03 2013-10-30 株式会社日立製作所 高感度蛍光検出デバイス
WO2011142118A1 (ja) * 2010-05-12 2011-11-17 パナソニック株式会社 プラズモンセンサと、この使用方法および製造方法
JP2012181480A (ja) * 2011-03-03 2012-09-20 Dainippon Printing Co Ltd ポリジメチルシロキサンシートとこれを使用した光学素子およびこれらの製造方法
JP2013007614A (ja) * 2011-06-23 2013-01-10 Seiko Epson Corp 光デバイス及び検出装置
WO2014002475A1 (ja) * 2012-06-26 2014-01-03 パナソニック株式会社 光学的センサと、光学的センサを用いた検出方法と、捕捉体の固定方法と、検査ユニット
JPWO2014002475A1 (ja) * 2012-06-26 2016-05-30 パナソニックIpマネジメント株式会社 光学的センサと、光学的センサを用いた検出方法と、捕捉体の固定方法と、検査ユニット
CN104198434A (zh) * 2014-08-20 2014-12-10 中山大学 一种垂直透射型局域等离子谐振折射率传感器及其制备方法
CN106125175A (zh) * 2016-06-24 2016-11-16 中国科学院长春光学精密机械与物理研究所 一种慢光结构、吸光度检测方法及微流控芯片
CN109001157A (zh) * 2018-06-22 2018-12-14 江南大学 一种基于双重表面等离子体共振实现折射率传感的方法
CN109001157B (zh) * 2018-06-22 2020-07-07 江南大学 一种基于双重表面等离子体共振实现折射率传感的方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Dostálek et al. Rich information format surface plasmon resonance biosensor based on array of diffraction gratings
JP2002357543A (ja) 分析素子、並びにそれを用いた試料の分析方法
JP4072018B2 (ja) 表面プラズモン共鳴センサチップ、並びにそれを用いた試料の分析方法及び分析装置
US20020018610A1 (en) Optical sensor having dielectric film stack
JPH0627703B2 (ja) 物質の選択的検出および測定物質内の屈折率変化検知を行なう光学センサ
JPH04282435A (ja) 光学センサー
JPH0244230A (ja) バイオセンサー
US9322824B2 (en) Immunochromatography detection sensor comprising optical waveguide and a detection method using the same
JPH052181B2 (ja)
JPH07502814A (ja) 入射角度可変分析装置
JPH0650972A (ja) 検定用物体及び検定方法
JP2007538256A (ja) イメージング方法及び装置
JP4035016B2 (ja) 表面プラズモン共鳴センサチップ、並びにそれを用いた試料の分析方法及び分析装置
Plowman et al. Planar integrated optical methods for examining thin films and their surface adlayers
JP4878238B2 (ja) 標的物質検出用の素子及びそれを用いた標的物質の検出方法、並びにそのための検出装置及びキット
JP2001337036A (ja) 差動式sprセンサー及び該センサーを用いた測定法
EP0321523B1 (en) Waveguide sensor
US8932880B2 (en) Method for the direct measure of molecular interactions by detection of light reflected from multilayered functionalized dielectrics
JPH07502815A (ja) 光散乱を利用した分析装置
JPH06500636A (ja) 化学、生化学および生物学的な測定試料の特異物質を選択的に検出する光学的な方法
JP2002357542A (ja) 分析素子、並びにそれを用いた試料の分析方法
JP2008122405A (ja) 反応解析方法
JP2002357537A (ja) 分析素子の製造方法及び分析素子、並びにそれを用いた試料の分析方法
JP3945636B2 (ja) 測定装置
JP2004245638A (ja) 測定装置