JP4268371B2 - 熱可塑性樹脂組成物及び成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波用の回路基板に使用される熱可塑性樹脂組成物及び成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高度情報化時代を迎え、情報伝送はより高速化・高周波数化の傾向にある。特に近年では、ITS(Intelligent Transport Systems)関連をはじめ、1GHz以上の周波数帯が盛んに使われる傾向にある。例えば、ETC(自動料金支払いシステム)では5.8GHz、スマートプレート(電子ナンバープレート)では5.8GHz、無線LAN(IEEE(米国電気電子学会)811.01a規格)では5.2GHzなどである。またこれらの情報伝送に使用される機器は小型化が望まれており、ITS関連の車載用途等では設置できるスペースが限られることから特に小型化が望まれている。
【0003】
この小型化に対応するには、高周波用の回路基板の大きさは使用電磁波の波長が基準となっているので、比誘電率εrの大きい材料を用いて回路基板を形成することが必須である。これは、比誘電率εrの誘電体中を伝播する際の電磁波の波長λは、真空中の伝播波長をλ0とすると下記式(1)で表される波長となり、回路基板に用いる材料の比誘電率εrが大きい程、波長λが小さくなるので、回路基板を小型化することが可能となるからである。
【0004】
λ=λ0/(εr)1/2 (1)
このように比誘電率を大きくすればするほど高周波用の回路基板を小型化するができる。しかし、このような高周波用の回路基板でアンテナを作製するにあたって、アンテナにはサイズ効果があり、小さくし過ぎるとアンテナ特性が極端に低下してしまうので、アンテナの小型化には限界がある。
【0005】
更に、高周波用の回路基板に使われる材料の特性としては、誘電正接(tanδ)が小さいことも必須である。これは、下記式(2)で表されるように、誘電正接(tanδ)が大きくなると、伝送中の損失Pが大きくなる為である。尚、下記式(2)中、fは周波数を表し、Vは電圧を表し、Cは静電容量を表す。
【0006】
P=2πfV2Ctanδ (2)
また、高周波用の回路基板に使われる材料の特性としては、比誘電率の温度係数や誘電正接が小さいことも必須である。
【0007】
そして、これらの高周波用の回路基板の材料として、樹脂系材料やセラミック系材料を使用することが従来から検討されている。しかし、樹脂単体の材料は、セラミック系材料に比べて、価格や後加工性の点で非常に優れているが、一般的に比誘電率が小さいという問題点があり、アンテナの小型化に対応することが難しい。そこで、樹脂系材料の比誘電率を高める為に、ポリフッ化ビニリデン(比誘電率13)やシアノ樹脂(比誘電率16〜20)などの高比誘電率樹脂を用いることが検討されているが、これらの樹脂は誘電正接が大きく、高周波用の回路基板の材料としては不適である。
【0008】
そこで、樹脂中に無機誘電体粒子を分散させることによって比誘電率を大きくする複合化技術が注目され、現在まで検討され続けている(例えば、特公昭49−25159号公報、特公昭54−18754号公報、特開平5−128912号公報を参照)。しかし、特公昭49−25159号公報や特公昭54−18754号公報に記載されている樹脂系材料については、高周波用途に用いる為の工夫がなされておらず、しかも誘電正接が大きいために高周波用の回路基板の用途には全く適していない。また、特開平5−128912号公報には、樹脂にポリフェニレンエーテルやトリアリルイソシアネレートを用い、無機誘電体粒子にチタニアを用い、それをガラスクロスで補強する樹脂系材料が提案されている。この樹脂系材料の場合、誘電正接が改善されているものの、この樹脂系材料を用いても、誘電正接は0.003程度の値であり、高周波用の回路基板には不十分である。また製造工法の点からもガラスクロスから作製する積層材料では、中央部分と端面部分で厚みにばらつきがあるなど回路基板の厚み精度や、生産性が劣り、適していない。
【0009】
また、回路基板の信頼性向上のために、比誘電率の温度特性を安定にする技術が注目され、現在まで検討され続けている(例えば、特開平4−161461号公報、特表2000−510639号公報を参照)。すなわち特開平4−161461号公報では、比誘電率の温度特性が正のセラミックと比誘電率の温度特性が負のセラミックと高分子材料による温度係数を安定にするような複合材料が提案されている。また特表2000−510639号公報では、熱可塑性ポリマーと、1.0GHz及び20℃において少なくとも約50の誘電率を有する高誘電性セラミックと、1.0GHz及び20℃において少なくとも約5の誘電率を有する第2のセラミック材料から製造したポリマー組成物が提案されており、高誘電性セラミック及び第2のセラミック材料として互いに正負が反対の温度係数を有するものを用い、温度によって殆ど変化しない高い誘電率を有するポリマー組成物が提供されている。しかし、これらの方法では、誘電特性の大きく異なる2種類のセラミックと高分子材料を合わせて少なくとも3種類の原材料を用いる必要があるので、セラミックの分散状態が変動して特性が変動し易く、実用には適していない。
【0010】
また特開平11−323046号公報には、シンジオタクチックポリスチレンと、チタニア、チタン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム及びアルミナからなる群の中から選ばれた少なくとも1種からなる樹脂組成物が提供されている。この中のシンジオタクチックポリスチレンとチタン酸マグネシウムの樹脂組成物は、比誘電率の温度特性は安定ではあるものの、その比誘電率が低いという問題がある。
【0011】
以上のような理由で、更に大きな比誘電率、小さな誘電正接、小さな比誘電率の温度係数の三つの特性を有する樹脂系材料が強く望まれているものの、このような樹脂系材料が実用レベルでは未だに提供されていないのが現状である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、1GHz以上の高周波数領域で大きな比誘電率と、小さな誘電正接と、小さな比誘電率の温度係数を有する熱可塑性樹脂組成物及び成形品を提供することにある。
【0013】
【課題を解決する為の手段】
本発明の請求項1に係る熱可塑性樹脂組成物は、主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体からなる熱可塑性樹脂と、1MHzでの比誘電率が30以上、1MHzでのQ値が5000以上、−20℃〜80℃における1MHzでの比誘電率温度係数が正の値である無機充填材として、アミノ基、又はエポキシ基、又はメルカプト基を有するカップリング剤で処理されたチタン酸ネオジムとを含有して成ることを特徴とするものである。
【0015】
また請求項2の発明は、請求項1において、熱可塑性樹脂と無機充填材の合計100質量部中で、熱可塑性樹脂10〜90質量部に対し、無機充填材を90〜10質量部含有することを特徴とするものである。
【0020】
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体は、パラレルプレート法により温度300℃、角速度100rad/sの条件下で測定したときの溶融粘度が、1〜250Pa・sであることを特徴とするものである。
【0021】
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体は、昇温速度10℃/分、温度330℃での質量減少が、5質量%以下であることを特徴とするものである。
【0025】
また請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかにおいて、無機充填材は、平均粒径が0.1〜15μmであることを特徴とするものである。
【0030】
また請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかにおいて、無機充填材に処理するカップリング剤が、(N−フェニル−γ−アミノプロピル)トリメトキシシランであることを特徴とするものである。
【0031】
本発明の請求項7に係る成形品は、請求項1乃至6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を射出成形することによって得られて成ることを特徴とするものである。
【0035】
また請求項8の発明は、請求項7において、熱可塑性樹脂組成物を射出成形する際に少なくとも一種類の電極材料を一体化することによって、電極が形成されていることを特徴とするものである。
【0036】
また請求項9の発明は、請求項8において、電極材料がマット面を有する金属箔であることを特徴とするものである。
【0037】
また請求項10の発明は、請求項8又は9において、メッキによって電極が形成されていることを特徴とするものである。
【0039】
また請求項11の発明は、請求項8乃至10のいずれかにおいて、電極の材料が銅であることを特徴とするものである。
【0040】
また請求項12の発明は、請求項8乃至11のいずれかにおいて、電極の厚みが10〜110μmであることを特徴とするものである。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0042】
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と無機充填材を主成分とするものであり、射出成形することによって回路基板などを作製するために用いられるものである。
【0043】
本発明において熱可塑性樹脂としては、主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を用いるものである。
【0044】
ここで、本発明において熱可塑性樹脂として用いる、上記の主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(以下SPS樹脂と記することがある)は、ポリスチレン系樹脂のシンジオタクチック構造を有するものであり、立体構造が主としてシンジオタクチック構造、すなわち、炭素−炭素結合から形成される主鎖に対して側鎖であるフェニル基や置換フェニル基が交互に反対方向に位置する立体構造を有するものである。そのタクティシティーは同位体炭素による核磁気共鳴法(13C−NMR法)より定量することができる。13C−NMR法により測定されるタクティシティーは、連続する複数個の構成単位、例えば、2個の場合はダイアッド、3個の場合はトリアッド、5個の場合はペンタッドの存在割合によって示すことができるが、本発明にいう主としてシンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂とは、通常は、ダイアッドで75%以上、好ましくは85%以上、又は、ペンタッド(ラセミペンタッド)で30%以上、好ましくは、50%以上のシンジオタクティシティーを有するポリスチレン、ポリ(アルキルスチレン)、ポリ(ハロゲン化スチレン)、ポリ(アルコキシスチレン)、ポリ(ビニル安息香酸エステル)及びこれらの混合物、あるいはこれらを主成分とする共重合体をいうものである。尚、ポリ(アルキルスチレン)としては、ポリ(メチルスチレン)、ポリ(エチルスチレン)、ポリ(イソプロピルスチレン)、ポリ(t−ブチルスチレン)などがあり、ポリ(ハロゲン化スチレン)としては、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(ブロモスチレン)、ポリ(フルオロスチレン)などがある。またポリ(アルコキシスチレン)としては、ポリ(メトキシスチレン)、ポリ(エトキシスチレン)などがある。これらのうち、本発明において特に好ましいポリスチレン系樹脂としては、ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(m−メチルスチレン)、ポリ(p−t−ブチルスチレン)、ポリ(p−クロロスチレン)、ポリ(m−クロロスチレン)、ポリ(p−フルオロスチレン)、更には、スチレンとp−メチルスチレンとの共重合体を挙げることができる。
【0045】
これらのSPS樹脂として本発明では、溶融粘度が、パラレルプレート法により温度300℃、角速度100rad/sの条件下で測定して、1〜250Pa・sであるものが好適に用いられる。溶融粘度が、この範囲未満であれば、得られた成形品の機械的強度の低下が大きくなり、又、この範囲を超えると、成形の際の流動性が劣り成形時に未充填を起こし易い。ここでパラレルプレート法は、厚み1mm×直径25mmのペレットをハンドプレスで作製し、直径25mmの下部パラレルプレートの上にペレットを置いて上部パラレルプレートを降ろして挟み、300℃で10分間保持した後に測定をすることによって行われるものであり、例えば、レオメトリックサイエンティフィック社製、アレス(商品名)での測定が適当である。
【0046】
またこれらのSPS樹脂として本発明では、熱質量分析において、昇温速度10℃/分、温度330℃での質量減少が、5質量%以下であるものが好ましく用いられる。質量減少が5質量%を超えるものであると、得られた成形品の表面にモールドデポジット(汚れ)を生じるおそれがあるので好ましくない。質量減少は小さいほど好ましく、0%が理想であるが、入手の可能性などから実用上は0.1質量%である。
【0047】
また、SPSの分子量分布は特に制限はなく、さまざまなものを充当することが可能である。上記のようなSPS樹脂は、融点が高く、従来のアタクチック構造のポリスチレン系樹脂に比べて耐熱性が格段に優れている。このようなSPS樹脂は例えば、不活性炭化水素溶媒中又は溶媒の不存在下に、チタン化合物、及び水とトリアルキルアルミニウムの縮合生成物を触媒として、スチレン系単量体(SPS樹脂に対応する単量体)を重合することにより製造することができる(特開昭62−187708号公報参照)。
【0052】
本発明において用いる無機充填材は、1MHzでの比誘電率が30以上であり、1MHzでのQ値が5000以上であり、−20℃から80℃における1MHzでの比誘電率の温度係数が正である無機化合物である。これらはネットワークアナライザーを用いて、比誘電率は両端短絡法で、Q値は伝送ライン法で、比誘電率の温度係数は空洞共振法で測定することができる。1MHzでの比誘電率が30未満であると、熱可塑性樹脂組成物の比誘電率を大きくすることが困難になる。また1MHzでのQ値が5000未満であると、誘電正接を小さくすることができない。Q値の上限は特に設定されないが、10000程度が望ましい。さらに−20℃から80℃における1MHzでの比誘電率の温度係数が正であれば、熱可塑性樹脂組成物として、比誘電率の温度係数を安定にできるものである。好ましい範囲は樹脂の温度係数と打ち消し合う範囲であり、好ましい温度係数の範囲は50〜300ppm/℃である。
【0053】
無機充填材としては、チタン酸ネオジムが用いられる。チタンを中心金属とするペロブスカイト構造のAサイトに希土類元素が入ると温度係数が正になる傾向がある。良好な結晶構造が得られるのは希土類のなかでランタン、ネオジムだけである。
【0054】
またこの無機充填材の粒径は、特に限定されるものではないが、平均粒径が0.1〜15μmであるものが好ましい。平均粒径が0.1μm未満であると、無機充填材の比表面積が比較的大きくなるために、熱可塑性樹脂との濡れ性が低下して空気を巻きこみ、熱可塑性樹脂との界面に空隙が生じて空隙に水分が入り込むおそれがある。逆に平均粒径が15μmを超えると、熱可塑性樹脂中に無機充填材を均一に分散させることが難しくなる。本発明で使用することができる無機充填材は公知のものであり、共立マテリアル(株)などで市販されているものを入手して使用することが可能である。
【0055】
また本発明において無機充填材は、その表面に無機水酸化物及び/又は無機酸化物からなる無機コーティング層が形成された粒子であることが好ましい。このように無機充填材の表面に無機水酸化物や無機酸化物からなる無機コーティング層を形成することによって、無機コーティング層を介して無機充填材が熱可塑性樹脂と馴染みやすくなり、熱可塑性樹脂と無機充填材との密着性が向上するものである。
【0056】
無機コーティング層を形成する無機水酸化物や無機酸化物としては、チタン、アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、スズ、亜鉛、アンチモン及びマグネシウムからなる群の中から選ばれる少なくとも1種の元素の水酸化物や酸化物が好ましい。これらの無機水酸化物や無機酸化物は熱可塑性樹脂との馴染み性が特に優れているので好ましいのである。
【0057】
また無機充填材の表面に形成する無機コーティング層は、無機充填材を構成する無機化合物に含有される金属元素と同じ金属元素の水酸化物及び/又は酸化物によって形成するのが好ましい。
【0058】
さらに、無機コーティング層を多層構造に形成し、無機充填材と接する側は無機充填材と馴染みの良い無機コーティング層にすると共に熱可塑性樹脂と接する側は熱可塑性樹脂や後述するカップリング剤と馴染みの良い無機コーティング層にするようにしてもよい。このようにすることによって無機充填材と熱可塑性樹脂との間の結合がより強固になるものである。
【0059】
無機充填材の表面に無機コーティング層を形成する方法としては、気相処理法(CVD法)や液相処理法(液相反応を利用する方法)などを挙げることができる。液相処理法の場合、次のようにして無機コーティング層を形成することができる。例えば酸化チタンの無機コーティング層の場合、四塩化チタンや硫酸チタニウムを含む水溶液中に無機充填材を投入し、水溶液をpH8.5〜10.5に調整することによって、酸化チタンの無機コーティング層を形成することができる。このとき、無機充填材の表面に形成する酸化チタンの無機コーティング層の厚み(体積量)は、上記水溶液中のチタンイオンの濃度によって調整することができる。また酸化アルミニウムのコーティング層の場合、アルミン酸ナトリウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムを含む水溶液中に無機充填材を投入し、水溶液をpH7程度に調整することによって、酸化アルミニウムのコーティング層を形成することができる。このとき、無機充填材の表面に形成する酸化アルミニウムの無機コーティング層の厚みは、上記水溶液中のアルミニウムイオンの濃度で調整することができる。さらに酸化ケイ素のコーティング層を形成する場合には、ケイ酸塩を含む水溶液を使えば良い。
【0060】
また、無機酸化物や無機水酸化物を2種類以上用いた無機コーティング層を段階的あるいは同時に形成する場合には、2種以上の塩を含む液を用いて膜が析出するようにpHを調整することによって行なうことができる。無機コーティング層を段階的に複数層に形成する場合には、例えば四塩化チタンを溶解した液を用いて、水酸化ナトリウムでpH調整することにより、無機充填材の表面にチタン系の第1コーティング層を形成し、次にその液にアルミン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウムを溶解させた後、硫酸でpH調整することにより、その上にアルミニウム−シリコン系の第2コーティング層を形成することができる。あるいは第2コーティング層をアルミニウム系の層とし、その上にシリコン系の第3コーティング層を形成するようにすることもできる。
【0061】
尚、上記のように無機充填材の表面に無機コーティング層を形成した後、表面の洗浄と乾燥を行うことが望ましい。特に洗浄は導電性成分が残留しないように細心の配慮を払いながら十分に行うことが重要である。
【0062】
さらに本発明では、無機充填材の表面に、あるいは無機充填材に形成した無機コーティング層の表面に、カップリング剤の処理を施しておくのが好ましい。このようにカップリング剤で表面処理することによって、無機充填材と熱可塑性樹脂との馴染みがさらに良くなって、無機充填材と熱可塑性樹脂との密着性が優れるものである。上記のカップリング剤としては、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基を有するカップリング剤を用いることができるものであり、例えば、(N−フェニル−γ−アミノプロピル)トリメトキシシラン、(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジルアミノエチル−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン、アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、クロロプロピルメチルジメトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリス(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等を挙げることができる。これらの中でも(N−フェニル−γ−アミノプロピル)トリメトキシシランが、無機充填材と熱可塑性樹脂との密着性を高める効果が高いので、特に好ましい。これは、熱可塑性樹脂の化学構造と類似していることによる効果と考えられる。
【0063】
上記の熱可塑性樹脂と無機充填材の配合量は、熱可塑性樹脂と無機充填材の合計100質量部中で、熱可塑性樹脂の10〜90質量部に対して、無機充填材を90〜10質量部に設定するのが好ましい。熱可塑性樹脂が10質量部未満であると、熱可塑性樹脂組成物の溶融粘度が上昇して成形性が低下するおそれがある。逆に熱可塑性樹脂が90質量部を超えると、無機充填材を含有量が少なくなって比誘電率が比較的小さくなり、回路基板を小型に形成することができず、機器の小型化に対する寄与が期待できなくなるおそれがある。
【0064】
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物には、上記の熱可塑性樹脂と無機充填材の他に、酸化剤可溶性無機充填材を配合する場合がある。このように酸化剤可溶性無機充填材を配合して調製した熱可塑性樹脂組成物を成形し、得られた成形品を酸化剤で処理すると、成形品の表面に露出する酸化剤可溶性無機充填材が酸化剤に溶出し、成形品の表面に微細な凹凸が生じて表面を粗面化することができる。従って、成形品の表面にメッキを施す場合に、凹凸粗面によるアンカー効果でメッキ皮膜の密着性を高く得ることができるのである。
【0065】
この酸化剤可溶性無機充填材は、重クロム酸、過マンガン酸、重クロム酸/硫酸混液、クロム酸、クロム酸/硫酸混液等の酸化剤溶液に可溶なものから任意に選択して使用することが可能であり、繊維状、粒状、粉状、フレーク状等、様々な形状のものを用いることができる。例えば、繊維状の酸化剤可溶性無機充填材としては、ウィスカー等が挙げられる。また粒状又はフレーク状の酸化剤可溶性無機充填材の材質としては、例えば炭酸カルシウム、塩基性マグネシウムオキシサルフェート、炭酸マグネシウム、ドロマイト、ドーソナイト、水酸化マグネシウム、カオリン、パイオフェライト、ゼオライト、ネフェライト、アダマイン、パリゴルスカイト、三酸化アンチモン、酸化チタン、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、金属粉末等を挙げることができる。これらは一種を単独で用いる他、複数を併用することができるが、これらの中でも、電気特性を低下させることがない等の理由によって、特に炭酸カルシウムが好ましい。
【0066】
酸化剤可溶性無機充填材の平均粒子径は、6μm以下であることが好ましく、その中でも5μm以下がより好ましく、4μm以下であることが更に好ましい。
【0067】
そして酸化剤可溶性無機充填材の配合量は、熱可塑性樹脂と酸化剤可溶性無機充填材の合計100質量部中で、酸化剤可溶性無機充填材が5〜30質量部になるように設定するのが好ましい。酸化剤可溶性無機充填材の配合量が5質量部未満であると、成形品にメッキを施すにあたって、成形品の表面の粗面化が不十分になってアンカーの不足により、メッキスキップの発生や、メッキ皮膜の密着強度が不充分になるおそれがある。逆に30質量部を超えると、熱可塑性樹脂組成物の溶融粘度が上昇し、成形性が低下するおそれがある。
【0068】
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の目的を損なわない限り、上記の熱可塑性樹脂、無機充填材、酸化剤可溶性無機充填材の3成分以外の、熱可塑性樹脂、エラストマー、無機物、難燃性を付与する成分、酸化防止剤、結晶核剤、結晶化促進剤、カップリング剤、離型剤、滑剤、着色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等を配合することができる。
【0069】
上記の熱可塑性樹脂、エラストマーとしては、例えば、ノルボルネン系樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン6樹脂、ナイロン66樹脂、ナイロン610樹脂、共重合ナイロン樹脂)、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、石油樹脂、石炭樹脂、ノルボルネン系の樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の合成樹脂やポリオレフィンゴム、オレフィン系共重合体、水素添加ゴム等のエラストマーを挙げることができる。これらは、2種類以上を混合して使用することもできる。
【0070】
上記の無機物としてはガラス繊維などを用いることができるものであり、特に、アスペクト比5〜1500のガラス短繊維を含有させると、成形して得られる回路基板等の機械的強度が向上し好ましい。このガラス短繊維の配合量としては、熱可塑性樹脂と無機充填材と酸化剤可溶性無機充填材及びガラス短繊維の合計100質量部中に対してガラス短繊維を5〜30質量部の範囲が好ましい。ガラス短繊維が5質量部未満の場合はその添加効果を十分に得ることができず、逆に30質量部を超える場合は成形性や成形品の誘電特性が低下する場合がある。
【0071】
上記の難燃性付与する成分の難燃剤としては、一般に市販されているものを用いることができ、テトラブロモブタン、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモ・エチルベンゼン、ヘキサブロモ・ビフェニル、ペンタブロモクロロ・シクロヘキサン、テトラブロモ・ビスフェノオールS、トリス(2,3ジブロモプロピルー1)イソシアヌレート、2,2−ビス[4(2,3ジブロモプロポキシ)−3,5−ジブロモフェニル]プロパン、ハロゲン化アセチレンアルコール、臭素化エポキシ、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールAやそのカーボネートオリゴマーをはじめとする誘導体、オクタブロモジフェニルオキサイド、ペンタブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモフェノール、ジブロモスチレン、ペンタブロモベンジルアクリレート、テトラブロモスチレン、ポリジブロモフェニレンオキサイド、ビストリブロモフェノキシエタン、テトラブロモフェタレーテトジオール、テトラブロモ無水フタル酸、ジブロモ・クレジル・グリシジルエーテル、エピブロモヒドリン、ジブロモネオペンチル・グリコール、トリブロモネオペンチルアルコール、エチレンビステトラブロモフタルイミド、ブロム化ポリスチレンなどの臭素化物、塩素化パラフィン、塩素化ポリオレフィン、ジメチル・クロレンデート、無水クロレンド酸、テトラクロロ無水フタル酸、フェニル・フォスフォン酸ジクロリド、などの塩素系難燃剤、ポリテトラフロロエチレンなどのフッ素化合物、赤リン、トリフェニルフォスフェート、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリクレジルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、クレジル2,6キシレニルフォスフェート、トリス(クロロエチル)フォスフェート、トリス(クロロプロピル)フォスフェート、トリス(ジクロロプロピルフォスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)フォスフェート、ジエチルフェニルフォスフォネート、ジメチルフェニルフォフォネート、ビスフェノールA−ビス(ジクレジルフォスフェート)、縮合リン酸エステルなどのリン化合物、メラミン、メラミンシアヌレート、リン酸メラミン、スルファミン酸グアニジンなどの窒素化合物、メタホウ酸バリウム、ホウ酸亜鉛、無水ホウ酸亜鉛などのホウ素系化合物、シリコーンパウダー難燃剤、シリコーン樹脂などのケイ素含有化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、カオリンクレー、アルミン酸カルシウム、水酸化チタン、水酸化亜鉛、ドーソナイト、2水和石膏、アンチモニー・シリコ・オキシドなどの無機系難燃剤、酸化アンチモンなどの金属酸化物、低融点ガラス等がある。これらは単独で用いても良いし、2種以上併用しても良い。これらの中でも、臭素化物、特に臭素化ポリスチレンが望ましい。形態については、分散性を高める点で、粉末状の臭素化ポリスチレンが好ましい。粒径の大きいペレットでは、均一に分散し難く、熱可塑性樹脂組成物中に分散のばらつきが起こる恐れがある。
【0072】
上記の酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤等が挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種類以上を混合して使用することもできる。結晶核剤としては、ジベンジリデンソルビトール系化合物、t−ブチル安息香酸のアルミニウム塩、リン酸エステルのナトリウム塩等が挙げられる。これらは、単独で使用しても良いし、2種類以上を混合して使用することもできる。
【0073】
上記の滑剤としては、内部滑剤、外部滑剤の両方が使用でき、炭化水素系、脂肪酸系、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル等が挙げられる。これらは、単独で使用しても良いし、2種類以上を混合して使用することもできる。また着色剤としては、公知の各種顔料又は染料を使用することができ、例えば、カーボンブラック等の黒色顔料、赤口黄鉛等の橙色顔料、弁柄等の赤色染顔料、コバルトバイオレット等の紫色染顔料、コバルトブルー等の青色染顔料、フタロシアニングリーン等の緑色染顔料等を、使用することができる。更に、詳しくは、最新顔料便覧(日本顔料技術協会編、昭和52年発行)を参考にして、この便覧に掲載されているものを使用することができる。
【0074】
本発明で用いる熱可塑性樹脂組成物を調製する方法は、上記の各成分をヘンシェルミキサー等の混合機で混合したり、あるいは必要に応じて予め必要成分の一部をマスターバッチ化して混合した後、エクストルーダ等の混練機で溶融混練して、ペレタイズする方法などを採用することができる。勿論、これに限定されるものではない。
【0075】
上記のようにして得られる本発明に係る熱可塑性樹脂組成物を射出成形することによって成形品を得ることができる。そしてこの成形品は主として回路基板に加工して用いることができるものであり、またこの回路基板は主としてアンテナに加工して用いることができるものである。
【0076】
このようにして成形品は、高周波用途の回路基板として用いる場合には、1GHzでの比誘電率が3〜20、1GHzでの誘電正接が0.002以下、−20℃〜80℃における1MHzでの比誘電率の温度係数が、−1000〜1000ppm/℃であることが望ましい。1GHzでの比誘電率を3〜20に設定することは、高周波用回路基板の小型化のために好ましい。また1GHzでの誘電正接を0.002以下に設定することによって、伝送中の損失Pが少なくなるので好ましい。さらに−20℃〜80℃における1MHzでの比誘電率の温度係数を−1000〜1000ppm/℃に設定することによって、基板の信頼性を高く得ることができるので好ましい。
【0077】
成形品を回路基板として用いる場合、成形品の表面に電極を設ける必要がある。このように成形品の表面に電極を設けるにあたっては、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物と射出成形する際に電極材料を同時に一体化して、成形品の表面に電極材料で電極を形成することによって行なうことができる。例えば、電極材料として銅箔等の金属箔を用い、金属箔を金型内にセットしておいて熱可塑性樹脂を射出成形して金型に充填することによって、金属箔を成形品の表面に一体化することができ、金属箔で成形品の表面に電極を形成することができるものである。。電極材料として、電解銅箔のように光沢面とマット面を有する金属箔を用いる場合、粗面であるマット面が成形品の表面に接着されるように使用するのが好ましく、成形品との間で強い密着性を得ることができる。これは、マット面によるアンカー効果と成形時の圧力の効果によるものである。
【0078】
また、成形品を成形した後に、成形品の表面にメッキを施して電極を形成するようにしてもよい。このように成形品の表面にメッキを施すにあたって、上記のように酸化剤可溶性無機充填材を配合した熱可塑性樹脂組成物を成形して得られた成形品を用いることによって、メッキの前工程で成形品を酸化剤で処理して表面を粗面化することができ、メッキ皮膜の密着性を高く得ることができるものである。
【0079】
ここで、上記のように成形品に形成する電極は比抵抗が1×10−5Ω・cm以下であることが好ましい。比抵抗がこれより高いと高周波特性が低下してしまうおそれがある。比抵抗は小さい程望ましい。このような条件を満たす電極材料としては銅が最も好ましい。また電極の厚みは10〜110μmであることが好ましい。電極の厚みが10μm以下になると、回路基板をアンテナとして用いるにあたって、電波を受信し難くなり、逆に電極の厚みが110μmを超えると、温度サイクル試験などで電極の剥離などが生じるおそれがある。
【0080】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって説明する。
【0081】
(実施例1、比較例1)
熱可塑性樹脂、無機充填材、酸化剤可溶性無機充填材及びカップリング剤として、下記のものを用い、表1に示す配合量で配合して溶融混練することによって熱可塑性樹脂組成物を得た。尚、カップリング剤は、無機充填材に直接噴霧して無機充填材の表面を処理するのに使用した。そしてこの熱可塑性樹脂組成物を射出成形することによって、成形品を作製した。
【0082】
1.熱可塑性樹脂
・樹脂A:主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(出光石油化学(株)製ザレック「300ZC」、融点270℃、溶融粘度98Pa・s(パラレルプレート法、300℃、100rad/s)、330℃での質量減少−3.5質量%)
2.無機充填材
・充填材B:チタン酸ネオジム(共立マテリアル(株)製「TNT」、1MHzでの比誘電率40、1MHzでのQ値5000以上、−20℃から80℃における1MHzでの比誘電率温度係数+170ppm/℃、平均粒径1.0μm)
・充填材C:チタニア(石原産業(株)製「CR63」、)1MHzでの比誘電率110、1MHzでのQ値5000以上、−20℃から80℃における1MHzでの比誘電率温度係数−750ppm/℃、平均粒径0.3μm)
3.カップリング剤
・カップリング剤A:アミノシラン系カップリング剤(日本ユニカー社製、品番「Y9669」:(N−フェニル−γ−アミノプロピル)トリメトキシシラン)
<評価>
(1)誘電特性(比誘電率、誘電正接)
実施例1及び比較例1で得た成形品(形状、φ50mm×1mm)を用い、1MHzにおける比誘電率及び誘電正接を測定した。また成形品を切断研磨して1.7mm×1.7mm×78.0mmの形状に加工し、ネットワークアナライザ、誘電体共振器テストフィクスチャを用いて摂動法により、1GHz、3GHz、10GHzにおける比誘電率及び誘電正接を測定した。
(2)誘電特性(比誘電率の温度係数)
実施例1及び比較例1で得た成形品について、−20℃から80℃における1MHzでの比誘電率の温度係数をネットワークアナライザで測定した。
【0083】
これらの結果を表1に示す。
【0084】
【表1】
【0087】
【発明の効果】
上記のように本発明の熱可塑性樹脂組成物は、主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体からなる熱可塑性樹脂と、1MHzでの比誘電率が30以上、1MHzでのQ値が5000以上、−20℃〜80℃における1MHzでの比誘電率温度係数が正の値である無機充填材として、アミノ基、又はエポキシ基、又はメルカプト基を有するカップリング剤で処理されたチタン酸ネオジムとを含有するので、1GHz以上の高周波数領域で大きな比誘電率と、小さな誘電正接と、小さな比誘電率の温度係数を有する成形品を容易に得ることができるものである。
Claims (12)
- 主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体からなる熱可塑性樹脂と、1MHzでの比誘電率が30以上、1MHzでのQ値が5000以上、−20℃〜80℃における1MHzでの比誘電率温度係数が正の値である無機充填材として、アミノ基、又はエポキシ基、又はメルカプト基を有するカップリング剤で処理されたチタン酸ネオジムとを含有して成ることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂と無機充填材の合計100質量部中で、熱可塑性樹脂10〜90質量部に対し、無機充填材を90〜10質量部含有することを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体は、パラレルプレート法により温度300℃、角速度100rad/sの条件下で測定したときの溶融粘度が、1〜250Pa・sであることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体は、昇温速度10℃/分、温度330℃での質量減少が、5質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 無機充填材は、平均粒径が0.1〜15μmであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 無機充填材に処理するカップリング剤が、(N−フェニル−γ−アミノプロピル)トリメトキシシランであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を射出成形することによって得られて成ることを特徴とする成形品。
- 熱可塑性樹脂組成物を射出成形する際に少なくとも一種類の電極材料を一体化することによって、電極が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の成形品。
- 電極材料がマット面を有する金属箔であることを特徴とする請求項8に記載の成形品。
- メッキによって電極が形成されていることを特徴とする請求項8又は9に記載の成形品。
- 電極の材料が銅であることを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載の成形品。
- 電極の厚みが10〜110μmであることを特徴とする請求項8乃至11のいずれかに記載の成形品。
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