JP4266696B2 - 繊維強化複合材料の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プレス成形によって短時間での成形が可能であり、繊維強化樹脂複合材料(以下、FRPと略記する。)とした際に高い機械的物性を発現する熱硬化性樹脂組成物およびプリプレグ並びにFRPに関する。
【0002】
【従来の技術】
FRPは、軽量かつ高強度、高剛性の特徴を生かし、スポーツ・レジャー用途から自動車や航空機等の産業用途まで、幅広く用いられている。
FRPの製造方法としては、強化繊維に熱硬化性樹脂組成物を含浸されたプリプレグを中間材料として使用する方法がよく知られている。
【0003】
プリプレグを用いたFRPの成形方法として、オートクレーブを用いる成形方法、プリプレグをシートラップして、ラップ内を減圧しながら加熱して成形する方法(真空バッグ成形)、可膨張性の芯材にプリプレグを巻きつけ、加熱と同時に芯材を熱膨張し、プリプレグを押しつけて成形する方法(内圧成形)などがある。
しかしながら、オートクレーブ成形や真空バッグ成形で機械的特性の優れたFRPを得るためには、1時間以上の加熱硬化が必要であり、昇温降温の時間も含めると一回の成形に3時間〜6時間程度の成形時間が必要であった。
そこで近年、成形時間を短縮し成形コスト低減を図るべく、成形型内にプリプレグの積層体を配置し、成形型を閉め、でプリプレグの積層体を加圧して成形する成形方法に適した材料が求められるようになってきた。
【0004】
プレス成形に適したプリプレグのマトリクス樹脂に求められる特性として、硬化時間が適切な範囲にあることが挙げられる。プレス成形の成形時間としては、5〜10分、あるいはそれ以下であること要求される。そのため、プレス成形に供するプリプレグには、マトリックス樹脂の硬化時間が短いことが必要となるが、硬化時間が短かすぎても成形圧がプリプレグの積層体全体に行きわたる前に、マトリクス樹脂が硬化してしまうことによる成形不良が発生するので、成形条件に最適な硬化時間が求められる。
【0005】
また、プレス成形に適したプリプレグのマトリクス樹脂に求められる特性として、マトリクス樹脂の樹脂フローが適切な範囲にあることが挙げられる。例えば、オートクレーブの成形圧は0.6MPa程度であるのに対して、プレス成形の成形圧は、3〜8MPa程度と他の成形方法に比べ著しく高い。よって、樹脂フロー性が高すぎるマトリクス樹脂を用いると、成形中の型内での樹脂フローが非常に多くなり、マトリクス樹脂が型外へ流れだし、FRP表面の外観不良や、FRPの繊維含有率が予定以上に高くなり、機械物性が低下するという問題が生じる。従って、プレス成形に供するプリプレグのマトリクス樹脂には樹脂フローが低いことが求められる。
【0006】
上述の条件を具備した熱硬化性樹脂組成物をマトリクス樹脂としたプリプレグ用には、例えば、特許文献1に記載されているものがある。
しかし、特許文献1に記載された熱硬化性樹脂組成物をマトリクス樹脂としたプリプレグは、成形圧が通常10kg/cm(約1MPa)程度である内圧成形には適するものであったが、より高圧で成形するプレス成形に供するには十分な性能を有すると言えるものではなかった。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−86784号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、マトリックス樹脂が硬化性と樹脂フローを有する、特にプレス成形に適したプリプレグ、および、こうしたプリプレグ用の熱硬化性樹脂組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の要旨は、分子内にオキサゾリドン環を有するエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂100質量部に対して、ジシアンジアミドを5〜9質量部含み、ウレア系化合物を3〜15質量部含み、以下の要件(1)〜(3)を全て満たす、エポキシ樹脂組成物を強化繊維に含浸してなるプリプレグの積層体を、120〜250℃に加熱した成形型内に配置し、成形型を閉め、プリプレグ積層体を3〜8MPaに加圧して熱硬化性樹脂組成物を硬化した後、成形型の温度を降温することなく、繊維強化複合材料を取り出す、繊維強化複合材料の製造方法である。
(1)140℃でのゲルタイム(GT)[分]が0.5分〜3.5分
(2)1≦tc(90)/GT≦4(tc(90)[分]:JIS K 6300−2で規定された加硫曲線から算出される90%加硫時間)
(3)25℃で2週間放置した後の60℃での粘度が、放置前の60℃での粘度の2倍以下
【0010】
【発明の実施の形態】
(熱硬化性樹脂組成物)
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、140℃でのゲルタイムが0.5〜3.5分、でなければならない。
本発明におけるゲルタイムは、熱硬化性樹脂組成物がゲル化するまでの時間のことであり、具体的には、JIS K 6300−2に記載された測定方法に基づいて、キュラストメーターで140℃での熱硬化性樹脂組成物のトルクの時間変化を測定し、測定開始からトルクが0.04N・mに達するまでの時間である。
【0011】
140℃でのゲルタイムが0.5分未満の場合、FRP全体に成形圧が加わる前に樹脂フロー性が低下してしまうので、外観不良が発生してしまう。よって、140℃でのゲルタイムは0.5分以上でなければならず、より好ましくは0.7分以上が好ましく、1.0分以上はさらに好ましい。
【0012】
一方、140℃でのゲルタイムが3.5分を超える場合には、熱硬化性樹脂組成物の成形中の樹脂フローが大きくなり過ぎて、機械物性の低下の原因となるので好ましくない。よって、140℃でのゲルタイムは3.5分以下でなければならず、3.0分以下が好ましく、2.5分以下はさらに好ましい。
【0013】
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、1≦t(90)/GT≦4を満足することが必要である。ここで、t(90)は、JIS K 6300−2で規定された加硫曲線から算出される90%加硫時間である。この要件は、熱硬化性樹脂組成物が完全に硬化するまでの時間の指標である。
【0014】
本発明のt(90)は、140℃での熱硬化性樹脂組成物のトルクの時間変化をキュラストメーターにて測定して得られる、いわゆる加硫曲線から、JISK 6300−2に記載された加硫曲線の解析手順を用いて算出することができる。以下、本発明の熱硬化性樹脂組成物から得られた図1の加硫曲線の模式図を用いて、具体的に手順を説明する。
(1)加硫曲線の最大トルク(MH)から最小トルク(ML)を引いた最大トルク差(ME[=MH−ML])を求める。
(2)ML+0.9×ME[=ML+0.9×(MH−ML)]の値を算出する。
(3)加硫曲線上で、ML+0.9×MEに対応する点を見出し、このときの時間をt(90)とする。
なお、図1ではML=0であるので、t(90)は、0.9×MHに対応する点と一致している。
【0015】
(90)/GTが4を超える場合には、速硬化性が発現せず、硬化完了までの時間が長すぎ、プレス成形には適さない。3以下は好ましく、2.5以下はさらに好ましい。図1を見てもわかるとおり、t(90)はGTに比べて大きいので、t(90)/GTの下限値は1を下回ることはない。
【0016】
さらに、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、25℃で2週間放置した後の60℃での粘度ηが、放置前の60℃での粘度ηの2倍以下でなければならない。この要件は、プリプレグのライフの指標である。プレス成形に限らず、プリプレグを成形に用いる際には、他のプリプレグや型に貼り付くためのタック(べとつき)と、型に沿うように適度なドレープ性(軟らかさ)が必要である。
しかし、ηがηの2倍を超えると、製造直後には適度なタックやドレープ性を有しても、2週間後にはそれらがなくなってしまう。従って、ライフが短くなり、ηがηに対して2倍を超えると、プリプレグの取扱い性の安定性が悪くなる。特に、ηがηの1.5倍以下であるときは、ライフが更に長くなり、プリプレグ取扱い性が更に良好となるので好ましい。
【0017】
本発明の熱硬化性樹脂組成物に用いる熱硬化性樹脂の種類は特に制限はなく、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、BT樹脂、シアネートエステル樹脂、ベンゾキサジン樹脂等が例示できる。熱硬化性樹脂組成物と強化繊維との接着性、成形後のFRPの機械物性の点からエポキシ樹脂が特に好適に用いられる。
【0018】
エポキシ樹脂の種類特に制限はなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、アミノグリシジル型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等を用いることができる。中でも分子内にオキサゾリドン環を有するエポキシ樹脂を含有していると、得られるFRPに難燃性や優れた機械物性が発現するため特に好ましい。
【0019】
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物には、用いる熱硬化性樹脂の種類に応じて、適切な硬化剤を配合することが好ましいが、特に、硬化剤としてジシアンジアミドを用いると、硬化性および機械物性が向上するので好ましい。ジシアンジアミドの配合量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して5質量部以上が好ましく、7質量部以上配合することがさらに好ましい。10質量部を超えて用いると、熱硬化性樹脂組成物中でジシアンジアミドが溶け残る可能性があるので、その上限を9質量部以下とすること好ましく、8質量部以下とすることがさらに好ましい。
【0020】
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、硬化剤の反応性を高める適切な硬化助剤を配合することが好ましい。本発明での硬化助剤は、硬化剤とともに使用することで、硬化剤単独使用の場合と比較して反応開始温度が下がる、反応時間が短くなる等の効果が見られるものを指す。よって、従来硬化剤と呼ばれているものの中に、本発明では硬化助剤に含まれるものもある。
例えば、硬化剤としてジシアンジアミドを用いる場合には、硬化助剤として、ウレア系化合物や分子内に硫黄原子を含有するアミン系化合物等が好ましい。ウレア系化合物の例としては、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア、3−フェニル−1,1−ジメチルウレア、3−(4−クロロフェニル)−1,1−ジメチルウレアおよび3−(4−メトキシフェニル)−1,1−ジメチルウレアなどが挙げられ、分子内に硫黄原子を含有するアミン系化合物の例としては、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルファイドおよびO−トリジンスルフォンなどが挙げられる。
【0021】
ウレア系化合物を配合した場合は、硬化後のFRPの機械物性が向上する。硫黄原子を含有するアミン系化合物を配合する場合は、t(90)/GTの値を保ちながら、GTを短くするという効果が得られる。本発明の熱硬化性樹脂組成物には、ウレア系化合物と分子内に硫黄原子を含有するアミン系化合物とを併用しても構わない。ウレア系化合物の配合量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して3〜15質量部、より好ましくは6〜12質量部であると、機械物性にすぐれたFRPが得られる。
また硫黄原子を含有するアミン系化合物の配合量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して、2〜10質量部が好ましく、3〜7質量部含むことがさらに好ましい。
【0022】
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、熱可塑性樹脂を添加すると、熱硬化性樹脂組成物の粘度を調整でき、プリプレグの取扱い性、FRPの外観及び耐衝撃性をはじめとする機械物性が向上する。熱可塑性樹脂の種類は、熱硬化性樹脂に溶解するものの方が好ましい。この例として、熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合は、エポキシ樹脂に溶解する、フェノキシ樹脂、ポリビニルフォルマール、ポリビニルアセタール等が好ましく用いることができる。熱可塑性樹脂の配合量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して、5〜30質量部が好ましい。
【0023】
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、FRPの機械的物性を低下させない範囲で、無機化合物からなる難燃剤を添加することができる。これにより得られるFRPに難燃性を付与することができる。無機化合物からなる難燃剤の例としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウムなどの金属化合物やリン系化合物が挙げられる。
【0024】
本発明では、熱硬化性樹脂組成物から硬化剤および硬化助剤を取り除いた組成物の140℃での粘度が3Pa・sec以上であることが好ましい。これは、硬化反応が進行中であっても、未硬化部分のマトリクス樹脂の粘度が、成形時の樹脂フローに影響を与えるからである。発明者らは、この因子についても検討し、熱硬化性樹脂組成物から硬化剤および硬化助剤を取り除いた組成物の140℃での粘度が3Pa・sec以上であると、特に、樹脂フローを低く保持できることを見出した。なかでも、熱硬化性樹脂組成物から硬化剤および硬化助剤を取り除いた組成物の140℃での粘度が5Pa・sec以上であると好ましい。その粘度の上限としては、成形中の型内に熱硬化性樹脂組成物が行きわたる程度には樹脂フローは必要なので、100Pa・sec以下であることが好ましい。
【0025】
(プリプレグ)
本発明のプリプレグは、上述の熱硬化性樹脂組成物を強化繊維に含浸してなるプリプレグである。
本発明のプリプレグに適用できる強化繊維は、FRPの用途に応じて様々なものが使用できる。例えば、炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、高強度ポリエチレン繊維、タングステンカーバイド繊維、PBO繊維、ガラス繊維、金属繊維等などが好ましく用いられる。また、これらの複数の強化繊維を組み合わせて用いてもかまわない。これらの強化繊維のうち、炭素繊維や黒鉛繊維は、比弾性および比強度が高く、軽量化に大きな効果が認められるので本発明に好適である。また、アラミド繊維や高強度ポリエチレン繊維を用いるとFRPに優れた耐衝撃性を持たせることができるので好ましい。
【0026】
本発明のプリプレグの強化繊維の形態としても特に制限はなく、一方向に引き揃えた一方向材、製織した織物、短く裁断した強化繊維からなる不織布が挙げられる。
【0027】
また、織物の場合は、平織、綾織、朱子織いずれの織組織でもよく、ノン・クリンプト・ファブリックに代表される、繊維束を一方向に引き揃えたシートを角度を変えて積層したシートをほぐれないようにステッチしたステッチングシートも用いることができる。
【0028】
(FRPの製造方法)
本発明のプリプレグは積層体として、加熱・加圧することにより、所望の形状を有するFRPを製造することができる。本発明のプリプレグに適用可能な加熱・加圧する方法としては、オートクレーブによる成形や真空バッグ成形も使用できるが、特筆すべきは、高圧で短時間に成形が可能なプレス成形でも、機械物性や表面の平滑性が良好なFRPを製造できることである。
【0029】
プレス成形を用いた本発明のFRPの製造方法は次のようにして行う。
まず、プリプレグを積層し、必要に応じてプリフォームした積層体とする。次に、この積層体を型にセットする。さらに、型を閉じて加熱・加圧して成形する。そして、型を開けFRPを取り出す。FRPを取り出すときは、型を降温せずに取り出すと生産性の向上につながるので好ましい。
成形する設備、様式については特に制限はないが、シェアエッジ構造を有する型を用いると、成形中の型外への樹脂フローおよび型内での樹脂フローを抑えられるので好ましい。
【0030】
特に、成形温度を120℃、より好ましくは140℃以上とし、成形圧を3MPa以上、より好ましくは、7MPa以上とすると、短時間で成形が完了するので好ましい。特に、マトリックス樹脂がエポキシ樹脂組成物であると、5分以内での成形が可能となる。しかしながら、硬化反応が暴走しない程度とする必要があるので、温度条件は250℃以下で十分であり、220℃以下は更に好ましい。また、成形圧の上限としては100MPaあれば十分である。
【0031】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0032】
(熱硬化性樹脂組成物)
実施例および比較例では、以下の成分からなるエポキシ樹脂組成物を熱硬化性樹脂組成物として用いた。
<エポキシ樹脂>
EP828:ジャパンエポキシレジン(株)製ビスフェノールA型エポキシ樹脂、「エピコート828」(室温で液体)
AER4152:旭化成(株)製分子内にオキサゾリドン環を有するエポキシ樹脂「アラルダイトAER4152」
<熱可塑性樹脂>
YP50S:(株)東都化成製フェノキシ樹脂「YP50S」
<硬化剤>
Dicy:ジャパンエポキシレジン(株)製ジシアンジアミド、「Dicy7」
<硬化助剤>
PDMU:PTIジャパン(株)製3−フェニル−1,1−ジメチルウレア、「オミキュア94」
DDS:和歌山精化(株)製4,4’-ジアミノジフェニルスルフォン「セイカキュアS」
2MZ−OK:四国化成工業(株)製イミダゾール化合物「キュアゾール2MZ−OK」
HX3722:旭化成(株)製マイクロカプセル入りイミダゾール化合物「ノバキュア HX3722」
【0033】
(粘度測定)
熱硬化性樹脂組成物の粘度測定は、TAインスツルメンツ製社動的粘度測定装置DSR200によりおこなった。熱硬化性樹脂組成物の動的粘度を、測定したい温度より20℃低い温度から、2℃/分の昇温速度しながら連続的に粘度測定を行い、熱硬化性樹脂組成物の温度が測定したい温度に達したときの粘度を、測定温度での粘度とした。
25℃で2週間放置した後の粘度は、熱硬化性樹脂組成物を調製した直後にサンプリングし、粘度測定法により60℃での粘度ηを測定したのち、この熱硬化性樹脂組成物を25℃の乾燥機に2週間放置した後、先と同様にして粘度測定を実施し、60℃での粘度ηを測定した。
さらに、硬化剤及び硬化助剤を含まない樹脂組成物の140℃での粘度η’も同様にして測定した。
【0034】
(140℃でのGT及びt(90)の測定)
日合商事(株)製キュラストメーターWP型を用いて熱硬化性樹脂組成物の加硫曲線を測定し、そのグラフから、140℃でのGT及びt(90)を求めた。
【0035】
(プリプレグの取扱い性の評価)
プリプレグの取扱い性の評価は、プリプレグのライフによって評価した。プリプレグを調製直後から室温で2週間放置した後に、FRPの成形に供することができる程度に、適度なべとつきおよび軟らかさを有しているもの、すなわちライフ切れでないものについては「○」、固くなってしまい、取り扱うことができなくなっていたもの、すなわちライフ切れのものは「×」とした。
【0036】
(FRPの機械物性の測定)
ASTM D 790に準拠して曲げ強度を、ASTM D 2344に準拠して層間せん断強度(ILSS)を測定した。
【0037】
(FRPの外観評価)
FRPの外観は、目視により以下の基準で判定した。
表面が平滑で、ピンホールやシミがない。 ・・・◎
表面はほぼ平滑だが、わずかにピンホールやシミ等がある。 ・・・○
樹脂枯れがひどく、表面がでこぼこして外観不良である。 ・・・×
【0038】
(実施例1〜8)
表1に示す組成で熱硬化性樹脂組成物を調製し、GT、t(90)/GT、およびη/ηおよびを測定した。結果は表1に記載した。さらに、Dicy、PCMU、DDSを除いた以外は表1と同じ組成を有する樹脂組成物を別途調製し、この樹脂組成物の140℃における粘度η’を測定した。
得られた熱硬化性樹脂組成物を三菱レイヨン(株)製炭素繊維クロスTR3110(フィラメント数3000本、平織、繊維目付200g/m)に、樹脂組成物の含有率が40質量%となるように含浸し、プリプレグを調製した。
【0039】
得られたプリプレグは、400mm×400mmに切断後、15枚同方向に積層し、シェアエッジ構造を有する140℃に予め調温した金型を用いて、プレス成形により140℃、7MPa×5分で、厚み3mmのFRPを得た。得られたFRPの機械物性について、結果をあわせて表1に示した。
【0040】
実施例1〜6で得られたFRPは、外観が非常に良好で、曲げ強度およびILSSも非常に高い値が得られた。一方、ジシアンジアミドを10質量部配合した、実施例7および8で得られたFRPは、その外観にジシアンジアミドの溶け残りとおもわれるシミが観察され、FRP表面が若干白っぽかったが、平滑であった。また、強度およびILSSも非常に高い値が得られた。
【0041】
(比較例1)
表2に示す組成で熱硬化性樹脂組成物を調製し、GT、t(90)/GT、η/ηを測定した。結果は表2に記載した。表2に示したように、この樹脂組成物のGTは0.3分と短かった。さらに、Dicy、PCMU、DDSを除いた以外は表2と同じで組成を有する樹脂組成物を別途調製し、この樹脂組成物の140℃における粘度η’を測定した。
得られた樹脂組成物で実施例1〜8と同様にしてプリプレグを調製し、プレス成形してFRPを得た。GTが短いためマトリックス樹脂がFRP全体に行きわたっておらず、FRP表面には樹脂枯れした部分が多くみられ外観不良であった。またFRPの曲げ強度およびILSSも低かった。
【0042】
(比較例2)
表2に示す組成で熱硬化性樹脂組成物を調製し、GT、t(90)/GT、η/ηを測定した。結果は表2に記載した。この樹脂組成物のGTは4.2分と長く、t(90)/GTも4.6と大きかった。さらに、Dicy、PCMU、DDSを除いた以外は表2と同じで組成を有する樹脂組成物を別途調製し、この樹脂組成物の140℃における粘度η’を測定した。
得られた熱硬化性樹脂組成物で実施例と同様にしてプリプレグを調製し、プレス成形したが、硬化せずFRPは得られなかった。
【0043】
(比較例3)
表2に示す組成で熱硬化性樹脂組成物を調製し、GT、t(90)/GTおよびη/ηを測定した。結果は表2に記載した。この熱硬化性樹脂組成物のt(90)/GTは6.2と大きかった。さらに、Dicy、HX−3722を除いた以外は、表2と同じ組成を有する樹脂組成物を別途調製し、この樹脂組成物の140℃における粘度η’を測定した。
得られたエポキシ樹脂組成物で実施例と同様にしてプリプレグを調製し、プレス成形してFRPを得た。このFRPは、外観に大きな異常はみられなかったが、硬化が不十分でありFRPの曲げ強度およびILSSは非常に低かった。
【0044】
(比較例4)
表2に示す組成で熱硬化性樹脂組成物を調製し、GT、t(90)/GTおよびη/ηを測定した。結果は表2に記載した。この熱硬化性樹脂組成物のt(90)/GTは6.2と大きかった。さらに、Dicy、2MZ−OKを除いた以外は、表2と同じ組成を有する樹脂組成物を別途調製し、この樹脂組成物の140℃における粘度η’を測定した。この熱硬化性樹脂組成物は25度で放置すると2週間後には完全に硬化していた。よって、表2には、η/ηを∞と記した。
得られた熱硬化性樹脂組成物で実施例と同様にしてプリプレグを調製し、プレス成形してFRPを得た。調製直後のプリプレグは取扱い性も非常に良好であったが、室温で2週間放置した後には硬くなってしまい、成形に用いることができない状態で、ライフは×であった。
【0045】
(実施例9)
実施例6の熱硬化性樹脂組成物に、酸化マグネシウム(協和化学工業(株)製、「マグミック」)を、エポキシ樹脂組成物100質量部に対してさらに20質量部添加して均一に混合した。調製後の熱硬化性樹脂組成物について、実施例と同様に140℃での、t(90)/GTを測定したところ、それぞれ2.1分、1.7であり良好であった。
得られたエポキシ樹脂組成物を、三菱レイヨン(株)製炭素繊維、TR50Sを繊維目付200g/mで一方向に引き揃えたシートに含浸してプリプレグを調製した。樹脂含有量は炭素繊維に対して酸化マグネシウムを除いた樹脂組成物の割合を29質量%とした。得られたプリプレグを、繊維配向方向を同一として5プライ積層し、シェアエッジ構造を有する金型を用い、140℃×5分、成形圧7MPaでプレス成形しFRPを得た。得られたFRPの外観は非常に良好であり、ライフも○であった。また、国土交通省鉄運第81号に準拠して燃焼試験を実施した結果、着火、着炎はみられず不燃性であった。
【0046】
【表1】
Figure 0004266696
【0047】
【表2】
Figure 0004266696
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の熱硬化性樹脂組成物を含浸させて得られる、本発明のプリプレグは、特に、プレス成形によるFRPの製造に適した硬化性および樹脂フロー性を有していることから、短時間で硬化が完了し、かつ、機械物性に優れたFRPを高い生産性で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明熱硬化性樹脂組成物の加硫曲線の一例を示したグラフの模式図である。

Claims (1)

  1. 分子内にオキサゾリドン環を有するエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂100質量部に対して、ジシアンジアミドを5〜9質量部含み、ウレア系化合物を3〜15質量部含み、以下の要件(1)〜(3)を全て満たす、エポキシ樹脂組成物を強化繊維に含浸してなるプリプレグの積層体を、120〜250℃に加熱した成形型内に配置し、成形型を閉め、プリプレグ積層体を3〜8MPaに加圧して熱硬化性樹脂組成物を硬化した後、成形型の温度を降温することなく、繊維強化複合材料を取り出す、繊維強化複合材料の製造方法。
    (1)140℃でのゲルタイム(GT)[分]が0.5分〜3.5分
    (2)1≦tc(90)/GT≦4(tc(90)[分]:JIS K 6300−2で規定された加硫曲線から算出される90%加硫時間)
    (3)25℃で2週間放置した後の60℃での粘度が、放置前の60℃での粘度の2倍以下
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