JP4266590B2 - 記録装置及び記録方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録装置及び記録方法に関し、特に、所定方向に配列された複数の記録素子を有する記録ヘッドを記録媒体の搬送方向と交差する方向に記録媒体上で走査させて記録を行う記録装置及び記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、ファクシミリ等に於ける情報出力装置として、所望される文字や画像等の情報を用紙やフィルム等シート状の記録媒体に記録を行うプリンタが広く使用されている。
【0003】
プリンタの記録方式としては様々な方式が知られているが、ワイヤードット方式、感熱方式、熱転写方式、インクジェット方式によるものなどがあり、特に、インクジェット方式は、記録用紙に直接インクを吐出するものであるので、ランニングコストが安く、静粛性に優れた記録動作が可能な方式として注目されている。
【0004】
また、その構成としては、記録ヘッドを搭載したキャリッジを記録媒体の搬送方向と交差する方向へ移動させながら記録(走査)を行なう、シリアル型が安価で小型化が容易などの点から一般的に広く用いられている。このようなシリアル型のインクジェットプリンタにおいては、キャリッジの走査の間に記録ヘッドに具備された多数のノズルが記録情報に基づき駆動されることにより、1回の走査による記録領域の記録を行った後、記録媒体をキャリッジの走査方向と交差する方向に記録領域の幅だけ搬送するように構成されており、この走査と記録媒体の搬送とを交互に行うことによって所望の画像が記録される。
【0005】
記録ヘッドにはインク滴を吐出するための多数のノズル(吐出口)が設けられており、このノズル内には記録媒体に記録を行うのに使用するインクが充填されている。画像等を記録する場合には、画像データに対応して駆動するノズルが適時選択され、選択されたノズルからインク滴を吐出することにより、記録が行われる。
【0006】
一般にインク等の液体を吐出する吐出部(ノズル)は、極めて微細な構成であるため、インクに混入されている染料や顔料が固着する状態が生じたり、異物が付着することにより吐出不良を生じることがある。そのため、インクジェット記録装置のような液体吐出装置においては、吐出不良により正しい記録が行えなくなる。
【0007】
このような問題が発生しないように、適当な間隔で、吸引、加圧等による液体の強制排出や、吐出部の表面を清掃したり、吐出部の吐出領域に対して気体あるいは液体を吐出する、いわゆる回復動作が行われている。
【0008】
インクジェット記録装置においては、記録装置としての性格上、高品位、高解像度の記録が望まれ、使用されるノズルは一層微細になってきている。微細なノズルを用いるため、前述のような問題に起因して記録が不安定となり、記録画像を劣化させることとなっていた。
【0009】
記録画像の劣化を原因で分類すると、インクの吐出方向が不安定となりインク滴の着弾位置が微妙に異なることによる記録のよれ、塵や増粘インクによる吐出口(ノズル)の目詰りが原因の吐出不良、電気・熱変換体(ヒータ)を用いてインク中に気泡を生成してインクの吐出を行うバブルジェット(登録商標)方式におけるヒータの断線による吐出不良、また、インク滴が吐出口面に付着して吐出口を覆うことにより発生する吐出不良等がある。
【0010】
このような吐出不良が発生することにより、シリアル方式のプリンタにおいては、スキャン方向に沿って記録が行われないラインが発生し、記録画像中に白スジとして現れるため、記録画像を大きく劣化させていた。
【0011】
このような問題は、記録のスループットを高めるべく、ノズル数を数百、数千と増やした場合には、それに比例して不良ノズルが発生する確率も増加してしまい、正常に記録される画像を得ることが一層困難となってしまう。
【0012】
また記録ヘッドを製造する観点から見ると、従来はすべてのノズルが正常な欠陥の無い記録ヘッドが要求されていた。しかしながら、上述のようにノズル数を増やした場合、製造中に欠陥のあるノズルの発生確率がそれに比例して増加するため、製造歩留りが低下してしまい、製造コストが上昇してしまう。
【0013】
また従来は、たとえ製造された時点では欠陥の無い記録ヘッドであっても、記録に使用されていく過程で多数のノズルの内の1本のノズルに故障が発生した場合、そのノズルは記録に使用できなくなる。そのため、多数のノズルを有するマルチノズルヘッドで記録を行う記録装置においては、いずれかのノズルに異常が生じることがあり、その度に記録不良が発生してしまう。
【0014】
また、インクジェット記録方式に限らず、各種記録素子を用いて記録媒体上に画像形成を行う記録装置において、記録素子が損傷等により記録不能となった場合には、記録画像中の一部のドットが記録されなくなるのを承知で記録を続けるか、記録を停止させて、記録ヘッドの交換等により記録できる状態に修復させる必要がある。
【0015】
これに対し、例えば、特開平10-006488号公報、及び特開2000−94662号公報に開示されているように、1ラスタの記録を複数のノズルで行うようにし、たとえ欠陥のあるノズルがあっても、他の正常なノズルを用いて補完する記録方法が提案されている。
【0016】
また、特開2000−94662号公報には、各ラスタをN回の走査で完成させるマルチパス記録において、1ラスタの記録をN個のノズルを用いて完成させるようにし、N個のノズルの内に欠陥のあるノズルがあっても他のノズルを使用して補完する記録方法が提案されている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の方法では、欠陥のあるノズルによる記録不良を回避する際に、以下のような点で問題がある。
【0018】
例えば、欠陥のあるノズルを検知すると別途用意された補完用ノズルを用いて補完記録する方法の場合、記録ヘッドに予備の補間用ノズルを予め備える必要があり、記録ヘッドの小型化の妨げになることにつながり、また、消耗品である記録ヘッドのコストを上昇させる要因となる。
【0019】
加えて、この方法でも、欠陥のあるノズルに対応した補間用ノズルにも欠陥が生じた場合、補完記録を行うことができない。
【0020】
また、マルチパス記録の際に、欠陥のあるノズルがあっても他のノズルを使用して補完する記録方法においても、同じラスタの記録に用いられる複数のノズル全てに欠陥があると、補完記録を行うことはできない。
【0021】
加えて、この方法で同じラスタを記録する全てのノズルに欠陥がある場合以外でも、例えば、4パス記録で同じラスタを記録する4つのノズルの内、3つのノズルに欠陥があると、残り1つの正常なノズルを用いて他のノズルで記録する分まで補完記録が行われるため、正常な1つのノズルの使用頻度が増えて、該ノズルの寿命が極端に短くなり、その結果、4つのノズル全てに欠陥がある状態となり、補完ができなくなる可能性が高い。
【0022】
本発明は以上のような状況に鑑みてなされたものであり、欠陥のある記録素子で記録する画素を他の記録素子によって、より有効かつ効果的に補間記録を行うことができる、記録装置及び記録方法を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の記録装置は、複数の記録素子を有する記録ヘッドを記録媒体の搬送方向と交差する方向に記録媒体上の同じラスタに対して複数回走査させて前記同じラスタの記録を完成させるマルチパス記録を実行可能な記録装置であって、前記マルチパス記録を実行するための、前記記録媒体の搬送量、前記記録ベッドの使用ノズル数、及び前記複数回の走査で同じラスタ上の画素を記録するのに用いる記録素子の組合せが規定された複数のテーブルを記憶する記憶手段と、正常な記録が行えない記録素子に関する情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得した情報に応じて、前記複数のテーブルから使用するテーブルを選択する選択手段と、前記選択手段により選択されたテーブルで規定される前記搬送量、前記使用ノズル数、及び前記記録素子の組合せに基づいて前記マルチパス記録を実行することで、前記正常な記録が行えない記録素子で記録すべき画素を、他の正常な記録素子で記録する記録制御手段とを備え、前記複数のテーブルは、前記ラスタに対する走査の回数は同じであるものの、異なる搬送量、異なる使用ノズル数、及び異なる記録素子の組合せが規定されたテーブルを含むことを特徴とする。
【0024】
また、上記目的を達成する本発明の記録方法は、複数の記録素子を有する記録ヘッドを記録媒体の搬送方向と交差する方向に記録媒体上の同じラスタに対して複数回走査させて前記同じラスタの記録を完成させるマルチパス記録を実行するための記録方法であって、前記マルチパス記録を実行するための、前記記録媒体の搬送量、前記記録ベッドの使用ノズル数、及び前記複数回の走査で同じラスタ上の画素を記録するのに用いる記録素子の組合せが規定された複数のテーブルを用意する工程と、正常な記録が行えない記録素子に関する情報を取得する工程と、前記取得した情報に応じて、前記用意した複数のテーブルから使用するテーブルを選択する工程と、前記選択したテーブルで規定される前記搬送量、前記使用ノズル数、及び前記記録素子の組合せに基づいて前記マルチパス記録を実行することで、前記正常な記録ができない記録素子で記録すべき画素を、他の正常な記録素子で記録する工程とを備え、前記用意した複数のテーブルは、前記ラスタに対する走査の回数は同じであるものの、異なる搬送量、異なる使用ノズル数、及び異なる記録素子の組合せが規定されたテーブルを含むことを特徴とする。
【0026】
このようにすると、シリアル型の記録装置でマルチパス記録を行うときに、正常な記録が行えない記録素子が複数あっても、同じラインの画素を記録する記録素子の組合せが、正常な記録が行えない記録素子同士とならない組合せテーブルを選択でき、同じライン上の画素を記録する記録素子の組合わせに、正常な記録ができない記録素子が含まれる場合、この正常な記録ができない記録素子で記録すべき画素を、他の記録素子で記録することができる。
【0027】
従って、正常な記録ができない記録素子を有する記録ヘッドで記録を行う際に、有効かつ効率的な補間記録を行うことができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0029】
なお、以下に説明する実施形態では、本発明に係る記録装置として、インクジェット記録方式を用いたインクジェットプリンタを例に挙げて説明する。
【0030】
本明細書において、「記録」(「プリント」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。
【0031】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
【0032】
さらに、「インク」(「液体」と言う場合もある)とは、上記「記録(プリント)」の定義と同様広く解釈されるべきもので、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。
【0033】
始めに、以下の実施形態に共通な記録装置の構成について説明する。
【0034】
<記録装置概要>
この記録装置は、インクジェット方式を採るカラー記録装置であって、その要部は、図1に示すような構造の記録手段200aを有している。図1において、1は紙またはプラスチックシート等からなる記録媒体としての記録シートであって、カセット等に複数枚積層された状態で収納されており,その積層されたシート束の最上位または最下位記録シート1の一面に接する給紙ローラ(不図示)が回転することによってカセットから記録シートが一枚ずつ供給され、一定間隔を隔ててプラテンに配置される。そして、プラテンに配置された記録シート1は、それぞれ個々のステッピングモータ(図示せず)によって駆動する一対の第1搬送ローラ3、及び一対の第2搬送ローラ4によって矢印A方向(副走査方向)に搬送されるようになっている。
【0035】
6は副走査方向Aと交差する主走査方向に保持された水平なガイドシャフト9に沿って直線往復動可能に設けられたキャリッジであり、このキャリッジ6はべルト7及びプーリ8a,8bを介してキャリッジモータ23に連動しており、このキャリッジモータ23を駆動することにより、ガイドシャフト9に沿って往復移動を行なうようになっている。また、このキャリッジ6には、記録シート1に記録を行うためのインクジェット方式の記録ヘッド5とこのヘッドにインクを供給する不図示のインクカートリッジが設けられている。ここでは、記録ヘッドとして、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)の4色のインクの吐出を行なう4種類の記録ヘッド及びこれらにインクを供給するインクカートリッジが搭載されており、C、M、Yの各記録ヘッドには、1280本のノズルが、Kには640本のノズルが設けられている。
【0036】
上記構成を有する記録手段200aにおいて、記録ヘッド5は、主走査方向(矢印B方向)に移動しながら記録信号に応じてインクを記録シート1に吐出し、副走査方向において記録ヘッドのノズル数に対応する幅の記録領域に記録を行う。そして、必要に応じて記録ヘッド5はホームポジショシに戻り、インク回復装置によってノズルの目詰まりを解消すると共に、一対の搬送ローラ3,4の駆動によって記録シート1を矢印A方向へ記録領域の幅だけ搬送する。また、主走査方向において、記録シート1を挟んで両側には、予備吐出を行なうための不図示の予備吐口が設置され、各走査スキャンにおいて、往復どちらの方向から記録を行う場合でも予備吐出を行うことができる。この動作を繰リ返すことによって記録シート1には、所定数のラスタからなるインク画像が形成される。
【0037】
また、記録ヘッド5の吐出性能回復のため、記録ヘッドがホームポジションに戻った差異に吐出口面をカバーしてインクの蒸発を防止すると共に、不図示の吸引ポンプにて回復動作を行なうためのキャップと、吐出口表面に付着したゴミや固着したインク等を清掃するためのブレードとを有する回復機構10が設けられている。
【0038】
次に前記記録手段200aを有する記録装置200の制御系について、図2を参照して説明する。
【0039】
この制御系は図2に示すように、例えばマイクロプロセッサ等のCPU20aによって実行される制御プログラムや各種データを格納しているROM20c、及びCPU20aのワークエリアとして使用されると共に記録画像データなどの各種データの一時記憶等を行うRAM20b等を有する演算制御部20が設けられ、この演算制御部20にはインターフェイス21、操作パネル22、各モータ(キャリッジモータ23、給紙モータ24、第1搬送ローラ駆動モータ25、第2搬送ローラ駆動モータ26)を駆動するためのドライバー27、及び記録ヘッド駆動用のドライバー28が接続されている。
【0040】
上記演算制御部20はインターフェイス21を介して後述のホスト201からの各種情報(例えば文字ピッチ、文字種類等)や、外部装置との画信号などの入出力(情報の入出力)を行う。また前記制御部20はインターフェイス21を介して各モータ23〜26を駆動させるためのON,OFF信号、及び画信号を出力し、その画信号によって各部の駆動を行なう。
【0041】
<画像処理装置概要>
次に、記録装置200にて記録動作を実行させるための記録信号データを生成する記録情報処理装置について説明する。
【0042】
図3は本発明の各実施形態における情報処理装置としてのホストコンピュータ(以下、単にホストと称す)の概略構成を示す図である。図において、ホスト201はCPU202と、メモリ204(記録情報発生手段)と、外部記憶装置203と、入力部205と、記録装置202とのインターフェイス206とを備える。CPU202は、メモリ204に格納されたプログラムを実行することで種々の演算、判別、制御などの動作を行い、後述の色処理、量子化処理及び補正処理などを実現するものとなっており、トータル算出手段、記録信号補正手段(第1,第2の補正手段)等として機能する。このプログラム及び記録情報は外部記憶装置203に記憶されており、ここから読み出されてCPU202に供給され、一旦メモリ204に格納される。ホスト201はインターフェイス206を介して前記記録装置202と接続されており、色処理を施した画像データを記録装置202に送信して記録動作を実行させるようになっている。
【0043】
また、図4はホスト201によって実現される画像処理部230の機能を説明する機能ブロック図である。この画像処理部230は、入力されるR,G,B各色8ビット(256階調)の画像データをC,M,Y,K各色1ビットのデータとして出力するものとなっており、色処理部210と量子化部220とからなる。色処理部210は、色空間変換処理部211と、色変換処理部212と,出力γ処理部213とからなる。このうち、色空間変換処理部211及び色変換処理部212は、3次元LUT(ルックアップテーブル)によって構成され、出力γ処理部213は1次元LUT(ルックアップテーブル)によって構成されている。なお、各LUTは、ホストコンピュータ201におけるメモリ204に格納されている。
【0044】
以上の構成を有する画像処理部230において、外部記憶装置203から読み出されるR,G,B各色ビットデータは、まず3次元のルックアップテーブルによりR',G',B'各色8ビットデータに変換される。この処理は色空間変換処理(前段色処理)と称し、入力画像の色空聞(カラースペース)と出力装置の再現色空間の差を補正するための変換処理となっている。この色空間変換処理を施されたR',G',B'各色8ビットデータは次の3次元LUTによりC,M,Y,K各色8ビットデータに変換される。この色変換処理は後段色処理と称し、入力画像の色空間(カラースペース)と出力装置の再現色空間の差を補正するための変換処理となっている。
【0045】
また、前段色処理を施されたR',G',B'各色8ビットデータは、次の色変換処理部212を構成する3次元LUTによりC,M,Y,K各色8ビットデータに変換される。この色変換処理は後段色処理と称し、入力系のRGB系カラーから出力系のC,M,Y,K系カラーに変換する処理となっている。なお、入力される画像データは、ディスプレイなど発光体の加法混色の3原色(R,G,B)であることが多いが、プリンタなど光の反射で色を表現する場合は減法混色の3原色系(C,M,Y)の色材が用いられるのでこのような色変換処理が必要となる。
【0046】
前段色処理に用いられる3次元LUTや後段色処理に用いられる3次元LUTは離散的にデータを保持しており、保持しているデータ間は補間処理で求めるが、その補間処理は公知の技術であるので、ここでは補間処理に関する詳細な説明は省略する。
【0047】
この後、後段色処理が施されたC,M,Y,K各色8ビットデータは、出力γ処理部213を構成する1次元LUTによって出力γ補正が施される。単位面積当たりの記録ドット数と出力特性(反射濃度など)の関係は多くの場合に線形関係とはならないので、出力γ補正を施すことでC,M,Y,K8ビットの入力レベルと、その時の出力特性との線形関係とを保証する。以上が画像処理部201の概略説明である。
【0048】
<マルチパス記録における補間記録>
図5は、一般的なマルチパス記録の記録方法を説明するための図である。図示した例では4パス記録の場合である。
【0049】
記録ヘッド100には、図中下から上へ向かって101から116までの16個のノズルが配置されている。4パス記録の場合、主走査方向に記録ヘッドを移動させて記録走査を行った後、副走査方向に4ノズル分紙送り動作を行う。記録領域120は、4パスで記録される領域であり、各画素に対応した縦4×幅24の領域に分割されている。16個のノズルは4個ずつA,B,C,Dの4つのブロックに分割され、記録領域120に記録を行う場合には、Aから順にB,C,Dの順番でブロックが使用され、4回の記録走査を行うことで画像の記録を完成させる。
【0050】
ここで、記録領域120内にグレーで表示した1つのラスタ121に注目すると、この1ラスタの領域の画像を完成するには、まず1回目の記録走査(1パス)で記録ヘッド100が主走査方向に走査し、Aブロックのノズル101で所定の画素に記録を行う。次に、主走査方向と交差する副走査方向に4ノズル分紙送りを行い、2回目の記録走査(2パス)を行い、Bブロックのノズル105で記録を行う。同様に、再度4ノズル分紙送りした後に、3回目の記録走査(3パス)では、Cブロックのノズル109を用いて記録し、再度4ノズル分紙送りした後の、4回目の記録走査(4パス)では、Dブロックのノズル113で記録し、このラスタ内の所定の画素への記録が完了する。
【0051】
このように4パス記録の場合、ラスタ121の記録領域には、101,105,109,113の4つのノズルを用いて記録を行うことになる。
【0052】
図5において記録領域120のグレーで表示したラスタ121に対して、横方向にL1からL24というように指数を割り振って画素を指定しているが、このグレーで表示されたラスタ121に対する各走査での記録の様子を図6に示す。
【0053】
図6(a)は、このラスタ121の記録に使用される4つのノズルがいずれも正常である場合における、第1回から第4回までの各走査での記録の様子を示している。ここでは、第1記録走査でノズル101が4N+1(N=0,1,2,…)の画素を記録し、第2記録走査でノズル105がノズル4N+2の画素を、第3記録走査でノズル109が4N+3の画素を、第4記録走査でノズル113が4N+4の画素を記録する場合を示している。
【0054】
ここで、ノズル101が欠陥のあるノズル(不吐ノズル)である場合を想定する。図6(b)は、ノズル101が不吐ノズルである場合の、各走査での記録の様子を示している。この場合、第1回の記録走査で記録されるべき、4N+1の画素が記録されないため空白となる。このような記録不良は、特にベタ部分等で目立ってしまう。
【0055】
図6(c)は、このような記録不良を防止するために、他のノズルを使用して補完記録を行う様子を示している。ここで示した補間記録は、ノズル101で記録すべき画素をノズル105で記録する例である。従って、第2記録走査でノズル101が記録する画素を、ノズル105が本来記録する画素に加えて記録する。
【0056】
このような補完記録を行うことで、記録すべきデータ全てを記録することが可能となる。また、この場合は、ノズル105を用いて補完を行ったが、ノズル109,113のいずれかを用いて補完記録を行ってもよいのはもちろんである。更に、ノズル101で記録すべき画素を、ノズル105,109,113の3つのノズル、あるいは任意の2つのノズルで分割して補完記録を行っても良い。
【0057】
さて、マルチパス記録を行う際には、記録ヘッドの総ノズル数を走査回数(パス数)、例えば、2パス記録なら2ブロックに、4パス記録なら4ブロックに分割し、1回の記録走査毎に各ブロックに属するノズル数分の紙送りを行うようにするのが一般的である。例えば、記録ヘッドの総ノズル数が16ノズル、全てのノズルを使用する際の1回の紙送り量は、2パス記録なら8ノズル分、4パス記録なら4ノズル分、8パス記録なら2ノズル分になる。
【0058】
ノズル数16で、2パス(a)、4パス(b)、8パス(c)のマルチパス記録を行う場合のノズルの組合せを図7に示す。この図からも明らかなように、紙送り量を一定にしてマルチパス記録を行う場合、1つのラスタの記録を行う複数のノズルの組み合わせは、常に一定となり変化しない。例えば、(a)に示す2パス記録の場合においては、第1記録走査でノズル番号3が記録するラスタの記録は、紙送り量が8ノズル分なので、第2記録走査ではノズル番号11で必ず記録を行うことになる。(b)に示す4パス記録の場合においても、紙送り量が4ノズル分なので、例えば、第1記録走査でノズル番号3が記録したラスタの記録は、第2記録走査でノズル番号7が、第3記録走査ではノズル番号11が、第4記録走査ではノズル番号15が記録することになる。8パス記録の場合も同様である。
【0059】
このため、例えば、図7(a)に示した組合せにおいて、2パス記録でノズル番号3が不吐ノズルであった場合には、ノズル番号11が正常なノズルであるならば、補完記録することが可能であるが、ノズル番号11も不吐ノズルであった場合、補完記録することは不可能となる。つまり、同じラスタを記録する組み合わせのノズルが全て不吐ノズルである場合には補完記録することはできないのである。
【0060】
また、例えば、図7(b)に示した組合せにおいて、4パス記録でノズル番号3、7及び11が不吐ノズルである場合、第4記録走査においてノズル番号15を使用して、ノズル番号3,7,11で記録すべきデータ全てを記録することで補完記録は可能となるが、この場合には、ノズル番号15は他のノズルの4倍の記録を行うこととなる。記録の際にはノズルを駆動してインク滴を吐出させる動作が行われるが、この動作を繰り返す過程で、ノズルの特性が劣化し、経時的に変化していく。具体的には吐出量変動、インク滴のヨレ、不整吐出として現れる。そして吐出数がある数以上になると、ノズル内のヒータ等が断線し、不吐になる場合が発生してくる。そのため補完に使用されるノズルは、他のノズルと比べると使用頻度が高くなるため、上記のようなノズル特性の劣化が早期に発生することとなる。
【0061】
(第1実施形態)
以下、このような従来のマルチパス記録における補間記録の欠点を補う、本発明に係る第1の実施形態について説明する。
【0062】
本発明の第1の実施形態は、同じラスタの記録を行うノズルの組み合わせが、不吐ノズル同士にならない、もしくは不吐ノズル同士となる組合せの数を減らすようにするものである。
【0063】
図8は、本実施形態における2パス記録において、使用ノズル数と送り量とに対応して1つのラスタを記録するノズル番号の組み合わせを示す図である。なお、本実施形態の記録ヘッドの総ノズル数は20ノズルであり、使用ノズル数とは総ノズル数の内、実際に記録に使用するノズル数を意味している。図8における各数字はノズル番号を示しており、(a)から(e)の各組み合わせを不吐ヘッドランクテーブルと称し、それぞれに不吐ヘッドランクテーブル番号としてT(1)からT(5)を割り振ってある。
【0064】
これら不吐ヘッドランクテーブルは、予めROMに記憶されていても良いし、記録装置に接続されたホスト機器にインストールされたプリンタドライバから、記録装置で実行可能なマルチパス記録のモードに対応するテーブルの情報を受信してRAMに記憶するような構成であってもよい。
【0065】
ここで、ノズル番号3と11が不吐ノズルである場合を想定する。図8にはこの2つのノズル番号をグレーで表示している。図8において、(c)に示す不吐ヘッドランクテーブル3の場合には、不吐ノズルであるノズル番号3と11との組合わせで同じラスタの記録を行うことになり、補完記録ができない。しかしながら、(a)、(b)、(d)、(e)の各不吐ヘッドランクテーブルでは、不吐ノズル同士で同じラスタを記録する組合せとはならないため、補完記録が可能となる。
【0066】
図9には、図8に示した不吐ヘッドランクテーブルにおいて、不吐ノズルがノズル番号3,11に加えて、ノズル番号1,4も不吐ノズルである場合を示した。ここでも、不吐ノズルの番号をグレーで表示している。この場合には、不吐ノズル数が多いため、(a)、(d)に示す不吐ヘッドランクテーブルの組合せ以外では、2つの記録走査で不吐ノズル同士で記録されるラスタが存在する。すなわち、図9に示す例では、(a)、(d)の不吐ヘッドランクテーブルの組合せのうち、どちらかを選択すれば補完記録が可能となる。
【0067】
以下、本実施形態で実行される、不吐出ノズルの位置情報に対する不吐ヘッドランクテーブルの決定方法について、図10のフローチャートを参照して説明する。
【0068】
まず、ステップS401で、記録ヘッド内における不吐ノズルの位置情報として不吐ノズル番号を取得する。このノズル番号は、記録ヘッド内に設けられた全てのノズルに割り振られているものとする。
【0069】
次に、ステップS402で、記録装置のROM又はRAMに記憶されている不吐ランクテーブルT(1)からT(Max)までの全てを参照する。
【0070】
そして、ステップS403で、取得した不吐ノズル番号と、不吐ランクテーブルT(1)からT(Max)とを照合し、2つの記録走査で不吐ノズル同士で同じラスタを記録する組み合わせを検索し、その数をカウントしていく。例えば、不吐ランクテーブル1にこのような組み合わせが2つある場合、不吐ランクテーブル1のカウント値として、K(1)=2が求められ、全ての不吐ランクテーブルに対して、このカウント値を求める。
【0071】
次に、ステップS404で、算出したK(1)からK(Max)のカウント値をそれぞれ比較して、最も低い値のカウント値を選択する。このとき、最も低い値のカウント値が複数存在する場合には、その中で、テーブル番号Nの値が最も大きいカウント値を選択する。
【0072】
ここで、最も数の大きいテーブル番号を選択する理由としては、図8及び図9に示されるように、本実施形態ではテーブル番号が大きいほど、1回の走査での記録紙の送り量、使用するノズル数が多く、その結果、記録速度がより高速であるためである。
【0073】
また、本実施形態では、算出したカウント値の中で、最も低い値のものを選択させているが、基本的にカウント値が0でない場合は、不吐ノズルが重なる組み合わせが存在することを意味するので、カウント値が0のものがない場合には、この記録ヘッドが使用不能であると判断し、エラー信号を出すようにしても良い。
【0074】
最後に、ステップS405で、例えば選択されたカウント値がK(2)ならば、不吐ヘッドランクテーブル2に対応した不吐ヘッドランクとして、R(2)が決定され、対応する不吐ヘッドランクテーブルが選択されて使用するノズルの数及び送り量が決定される。
【0075】
以上、本実施形態で実行される不吐ノズルの位置情報に基づいて不吐ヘッドランクテーブルを決定する方法について説明をおこなった。
【0076】
また、図8、図9に示したような不吐ヘッドランクテーブルは、パス数の異なるマルチパス記録モード毎に用意し、各記録モード毎に不吐ヘッドランクテーブルを決定するものとする。
【0077】
<変形例>
以上の説明は2パス記録の場合について説明したが、4パス記録以上のマルチパス記録の場合には、図10のフローチャートのステップS403において、K(N)の値を算出する際に、カウントの重み付けを行う。
【0078】
例えば、4パス記録の場合に、図11の(a)から(c)にそれぞれ示すような不吐ヘッドランクテーブルT(1)からT(3)を用意し、不吐ノズルとしてノズル番号3,4,7及び11が検出されたと想定する。(a)に示したT(1)に注目すると、同じラスタの記録にノズル番号4,7の2つの不吐ノズルが使用されることになる。このように同じラスタの記録に不吐ノズル2つが重なった場合にはカウント値に1を加える。また、T(2)に注目すると、同じラスタの記録にノズル番号3,7,11の3つの不吐ノズルが重なっている。このように同じラスタの記録に3つの不吐ノズルが重なった場合にはカウント値に5を加える。このように、不吐ノズルが重なる数に応じてカウント値に重み付けをし、カウント値の累計によって使用するヘッドランクテーブルを決定する。
【0079】
更に、図示はしていないが、同じラスタの記録に4つの不吐ノズルが重なった場合には、カウント値に15のような大きな値を加えるようにしても良い。あるいは、この場合は、補完記録ができないラスタが存在することとなるので、この記録ヘッドを使用不能であると判定し、エラー信号を出すようにしても良い。
【0080】
(第2実施形態)
以下、本発明に係る第2の実施形態について説明する。なお、以下の説明では上記第1の実施形態と同様な部分については説明を省略し、本発明の特徴的な部分を中心に説明する。
【0081】
上記の第1の実施形態は、予め不吐ノズルの位置情報が検出されており、この位置情報(ノズル番号)を取得して、記録に使用するヘッドランクテーブルを決定するものであったが、本実施形態は、記録装置が不吐ノズルの検知機能を備え、これを利用して不吐ノズル番号を検知するものである。
【0082】
本実施形態における不吐ヘッドランクテーブルの決定方法について、図12のフローチャートを参照して説明する。
【0083】
まず、ステップS501で、記録装置に備えられた不吐ノズルの検知機能を用いて、不吐ノズル番号を特定する。
【0084】
次に、ステップS502で、検知結果から不吐ノズル番号を取得する。ステップS503〜S506は、第1の実施形態のS402〜S405と同じである野で説明を省略する。
【0085】
本実施形態はこのように不吐ノズルの検知機能を備えているため、例えばA41枚の記録媒体への記録が終了する度に不吐ノズルの検知を行い、検知された不吐ノズル情報に応じて、使用する不吐ヘッドランクテーブルを決定するようにできる。このようにすると、記録動作を実行する過程で発生する吐出不良にも対応することができ、その結果、多数の不吐ノズルが記録ヘッドに発生した場合に対しても、最大限の補完記録を行うようにして記録不良を抑制することができる。
【0086】
尚、不吐ノズルを検知するタイミングについては特に限定されず、例えば、記録ヘッドが記録するドット数をカウントし、このカウント値がある閾値以上になった際に検知を行ってもよいし、吸引等の記録ヘッドの回復動作を実行する際に検知を行って、使用する不吐ヘッドランクテーブルを決定するようにしてもよい。また、プリンタサーバから出力されるデータ毎、即ちジョブ毎に検知を行って、不吐ヘッドランクテーブルを決定するようにしてもよい。
【0087】
尚、本実施形態における不吐ノズルの検知機能については、不吐出が発生したノズルが特定されればよく、その検知方法や特定方法等については特に限定されるものではない。
【0088】
例えば、記録されたパターンを記録装置内部に設けられた光学センサ等により読み取り、その結果から不吐ノズルを検出する方法や、記録ヘッド内部に設けられるヒータ等のノズル駆動手段の動作状態を判定して不吐ノズルを検出する方法、また、記録装置とは別の検査装置を用いて吐出不良となったノズルや不吐ノズルを特定する方法、さらには、記録されたパターンをユーザが目視によって判断し、不吐出となったと判断されるノズルの番号をユーザ自身が入力する方法等が知られており、これらのいずれの方法であっても本実施形態に適用することが可能である。
【0089】
(第3の実施形態)
以下、本発明に係る第3の実施形態について説明する。なお、以下の説明では上記第1及び第2の実施形態と同様な部分については説明を省略し、本発明の特徴的な部分を中心に説明する。
【0090】
第1の実施形態に関しても説明したが、ノズルは記録を行うためにインク滴の吐出を繰り返す過程で、ノズル特性の劣化が起こり、経時的に変化していく。そのため補完に使用されるノズルは、他のノズルと比べて使用頻度が高くなり、ノズル特性の劣化が早期に発生することとなる。
【0091】
本実施形態はこのような問題を解決するために、使用する不吐ヘッドランクテーブルを切り替えるものであり、以下にその方法を説明する。
【0092】
すなわち、本実施形態では、各マルチパス記録モード毎に、使用する不吐ヘッドランクテーブルとして複数の不吐ヘッドランクテーブルを決定し、所定のタイミングで使用する不吐ヘッドランクテーブルを切り替える。
【0093】
2パス記録モードの場合を例に説明すると、同じラスタの記録を行うノズルの組み合わせが不吐ノズル同士にならない不吐ヘッドランクテーブルが2つ存在した場合、これら2つの不吐ヘッドランクテーブルの番号を記憶し、一方の不吐ヘッドランクを最初に使用する不吐ヘッドランクテーブルとして選択する。
【0094】
上述のように同じ不吐ヘッドランクテーブルをずっと使用すると、補完に使用されるノズルは他のノズルと比較して早期に劣化する。それを回避するために、所定のタイミングで記録に使用する不吐ヘッドランクテーブルを他方に切り替える。切り替えるタイミングとしては、A4の記録媒体1枚への記録終了後や、記録ヘッドが記録するドット数をカウントし、カウント値がある閾値以上に達したタイミングとしてもよいし、プリンタサーバから出力されるデータ毎、即ちジョブ毎に切り替えてもよい。この場合、2つのヘッドランクをタイミング毎に交互に切り替えて使用してもよい。
【0095】
また、他のマルチパス記録モードの場合については、第1の実施形態で述べたカウント値の小さいものから2つの不吐ヘッドランクテーブルを使用する不吐ヘッドランクテーブルとして選択、記憶し、所定のタイミングで切り替えるようにしてもよい。
【0096】
また、切り替える不吐ヘッドランクテーブルの数としては2つに限定されず、3つまたはそれ以上でもよいのはもちろんである。
【0097】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、インクジェット方式を採るカラー記録装置に本発明を適用した場合について説明したが、本発明はインクジェット方式以外の記録方式を採用する記録装置にも適用できる。
【0098】
すなわち、記録素子を複数有する記録ヘッドを記録媒体に対して相対的に移動させて記録を行う記録装置であれば、その記録方式には限定されない。
【0099】
以上の実施形態は、特にインクジェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために利用されるエネルギーとして熱エネルギーを発生する手段(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エネルギーによりインクの状態変化を生起させる方式を用いることにより記録の高密度化、高精細化が達成できる。
【0100】
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書、同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式はいわゆるオンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に1対1で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。
【0101】
この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。
【0102】
このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書、同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことができる。
【0103】
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に熱作用面が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4459600号明細書に記載された構成も本発明に含まれるものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスロットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギーの圧力波を吸収する開口を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基づいた構成としても良い。
【0104】
加えて、上記の実施形態で説明した記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドのみならず、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッドを用いてもよい。
【0105】
また、以上説明した記録装置の構成に、記録ヘッドに対する回復手段、予備的な手段等を付加することは記録動作を一層安定にできるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換体あるいはこれとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合わせによる予備加熱手段などがある。また、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードを備えることも安定した記録を行うために有効である。
【0106】
さらに、記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによってでも良いが、異なる色の複色カラー、または混色によるフルカラーの少なくとも1つを備えた装置とすることもできる。
【0107】
以上説明した実施の形態においては、インクが液体であることを前提として説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクであっても、室温で軟化もしくは液化するものを用いても良く、あるいはインクジェット方式ではインク自体を30°C以上70°C以下の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時にインクが液状をなすものであればよい。
【0108】
加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温をインクの固形状態から液体状態への状態変化のエネルギーとして使用せしめることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化するインクを用いても良い。いずれにしても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状インクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点では既に固化し始めるもの等のような、熱エネルギーの付与によって初めて液化する性質のインクを使用する場合も本発明は適用可能である。
【0109】
このような場合インクは、特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔に液状または固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明においては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0110】
なお、本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ,インターフェース機器,リーダ,プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機,ファクシミリ装置など)に適用してもよい。また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0111】
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0112】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,CD−ROM,CD−R,磁気テープ,不揮発性のメモリカード,ROMなどを用いることができる。
【0113】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0114】
さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0115】
本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明した(図10および/または図12に示す)フローチャートに対応するプログラムコードが格納されることになる。
【0116】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、シリアル型の記録装置でマルチパス記録を行うときに、正常な記録が行えない記録素子が複数あっても、同じラインの画素を記録する記録素子の組合せが、正常な記録が行えない記録素子同士とならない組合せテーブルを選択でき、同じライン上の画素を記録する記録素子の組合わせに、正常な記録ができない記録素子が含まれる場合、この正常な記録ができない記録素子で記録すべき画素を、他の記録素子で記録することができる。
【0117】
従って、正常な記録ができない記録素子を有する記録ヘッドで記録を行う際に、有効かつ効率的な補間記録を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る記録装置の要部機構を示す概略斜視図である。
【図2】図1に示した記録装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図3】図1の記録装置に対する情報処理装置としてのホストコンピュータの概略構成を示す図である。
【図4】図3のホストコンピュータによって実現される画像処理部の機能を説明する機能ブロック図である。
【図5】マルチパス記録の記録方法を説明するためのものである。
【図6】マルチパス記録における補完記録を説明するための図である。
【図7】マルチパス記録における使用ノズル数及び紙送り量と、同じラスタを記録するノズル番号の組み合わせを示す図である。
【図8】本発明の第1の実施形態における2パス記録の不吐ヘッドランクテーブルを示す図である。
【図9】本発明の第1の実施形態における2パス記録の不吐ヘッドランクテーブルを示す図である。
【図10】本発明の第1の実施形態における不吐ヘッドランクテーブルの決定方法を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第1の実施形態における4パス記録の不吐ヘッドランクテーブルを示す図である。
【図12】本発明の第2の実施形態における不吐ヘッドランクテーブルの決定方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 用紙
6 キャリッジ
5、100 記録ヘッド
101〜116 ノズル
120 記録領域
121 ラスタ
200 記録装置
200a 記録手段
201 ホスト
202 CPU
204 メモリ
230 記録情報処理
213 出力γ処理部

Claims (10)

  1. 複数の記録素子を有する記録ヘッドを記録媒体の搬送方向と交差する方向に記録媒体上の同じラスタに対して複数回走査させて前記同じラスタの記録を完成させるマルチパス記録を実行可能な記録装置であって、
    前記マルチパス記録を実行するための、前記記録媒体の搬送量、前記記録ベッドの使用ノズル数、及び前記複数回の走査で同じラスタ上の画素を記録するのに用いる記録素子の組合せが規定された複数のテーブルを記憶する記憶手段と、
    正常な記録が行えない記録素子に関する情報を取得する取得手段と、
    前記取得手段により取得した情報に応じて、前記複数のテーブルから使用するテーブルを選択する選択手段と、
    前記選択手段により選択されたテーブルで規定される前記搬送量、前記使用ノズル数、及び前記記録素子の組合せに基づいて前記マルチパス記録を実行することで、前記正常な記録が行えない記録素子で記録すべき画素を、他の正常な記録素子で記録する記録制御手段とを備え
    前記複数のテーブルは、前記ラスタに対する走査の回数は同じであるものの、異なる搬送量、異なる使用ノズル数、及び異なる記録素子の組合せが規定されたテーブルを含むことを特徴とする記録装置。
  2. 前記選択手段は、前記同じラスタ上の画素を記録する記録素子として、正常な記録素子を少なくとも1つ含むテーブルを前記使用するテーブルとして選択することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 前記選択手段は、前記同じラスタ上の画素を記録するのに用いる記録素子の組合せに含まれる前記正常な記録が行えない記録素子の数に応じて、前記使用するテーブル選択することを特徴とする請求項1又は2に記載の記録装置。
  4. 前記選択手段は、前記同じラスタ上の画素を記録するのに用いる記録素子の組合せが前記正常な記録が行えない記録素子同士の組合せとなる数を検索し、当該検索数が最も少なくなるテーブルを前記使用するテーブルとして選択することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の記録装置。
  5. 前記選択手段は、前記検索数が最も少なくなるテーブルが複数種存在する場合、当該複数種のテーブルの中で、最も多い搬送量を規定したテーブルを、前記使用するテーブルとして選択することを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
  6. 前記選択手段、記録動作実行に関する所定のタイミングに従って、前記使用するテーブルを切り替えることを特徴とする請求項1又は2に記載の記録装置。
  7. 前記正常に記録できない記録素子を検出する検出手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の記録装置。
  8. 前記記録ヘッドは、インクを吐出して記録を行うインクジェット記録ヘッドであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の記録装置。
  9. 前記複数のテーブルは、前記同じラインに対する走査の回数が異なる前記マルチパス記録を実行するためのテーブルを含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の記録装置。
  10. 複数の記録素子を有する記録ヘッドを記録媒体の搬送方向と交差する方向に記録媒体上の同じラスタに対して複数回走査させて前記同じラスタの記録を完成させるマルチパス記録を実行するための記録方法であって、
    前記マルチパス記録を実行するための、前記記録媒体の搬送量、前記記録ベッドの使用ノズル数、及び前記複数回の走査で同じラスタ上の画素を記録するのに用いる記録素子の組合せが規定された複数のテーブルを用意する工程と、
    正常な記録が行えない記録素子に関する情報を取得する工程と、
    前記取得した情報に応じて、前記用意した複数のテーブルから使用するテーブルを選択する工程と、
    前記選択したテーブルで規定される前記搬送量、前記使用ノズル数、及び前記記録素子 の組合せに基づいて前記マルチパス記録を実行することで、前記正常な記録ができない記録素子で記録すべき画素を、他の正常な記録素子で記録する工程とを備え
    前記用意した複数のテーブルは、前記ラスタに対する走査の回数は同じであるものの、異なる搬送量、異なる使用ノズル数、及び異なる記録素子の組合せが規定されたテーブルを含むことを特徴とする記録方法。
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