JP4265813B2 - 放射線検出値の予測方法及び予測応答型放射線検出器及び放射線モニタリング方法 - Google Patents

放射線検出値の予測方法及び予測応答型放射線検出器及び放射線モニタリング方法 Download PDF

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Description

本発明は、原子力産業、放射線医療、放射線工業計測、非破壊検査等のように、放射性物質や放射線を使用する分野で、放射線の存在場の空間線量率、あるいは、放射性物質の存在場における計数率を静止状態又は移動しながら迅速に測定するための放射線検出値の予測方法、該予測方法を用いた予測応答型放射線検出器、及び、該放射線検出器を用いた放射線モニタリング方法に関する。
放射線検出器、例えばサーベイメータとして用いる従来の放射線検出器は、単位時間当たりの線量である線量率や、単位時間当たりの計数である計数率を求めるものである。この際、まず移動させながら自然放射線レベル(以下バックグラウンドという)を有意に超える場所を発見し、次に、その場所で適当時間測定し指示が安定してから最終的な線量率あるいは計数率(静止時の最終応答値とも称する)を測定するのが一般的である。
従って、例えば緊急被ばく事故等の発生時において、空間の線量率や汚染箇所の計数率を測定する際は、サーベイメータ等の放射線検出器を移動させながら広範な範囲を測定し、異常と認知した場所で静止させ30秒から60秒以上を測定に費やすため、測定を完了させるためには膨大な時間が必要であった。また汚染箇所の検査のためにサーベイメータ等を移動させながら測定値を読む場合、例えば測定対象との距離10mm、時定数10秒、移動速度毎秒50mmとすると、出力は静止時の最終応答値の10%から15%程度に急減するため、熟練者以外では異常個所を発見することさえ難しいのが現状である。
又、人体の汚染検査には、一人当たり長時間かかると、大人数の場合に検査の遅延や検査者の被爆量が深刻な問題となる。更に、日常の放射線管理においても、測定場所が多数あると長時間を要するという問題があった。
一方、本発明に類似するものとして、体温の最終応答値を予測する予測応答型体温計が実用化されているが、サーミスタ等から放出される電子の数が多く、時定数が一定で既知であるため、予測が容易であり、確率現象として放射線の放出が1個単位で発生する、ばらつきの大きい放射線検出器には、そのまま用いることができなかった。
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、放射線検出値を予測可能として、測定時間を大幅に短縮することを課題とする。
本発明は、又、移動時において放射線検出値を予測可能として、測定時間を大幅に短縮することを課題とする。
更に、熟練者以外でも異常個所の発見を容易にすることを課題とする。
本発明は、放射線あるいは放射性物質の存在場において、応答が1次遅れ系で近似できるサーベイメータ等の放射線検出器を使用して線量率あるいは計数率を求める際に、初期あるいは中期の応答における2点の線量率あるいは計数率N 、N を用いて、次式
=(N −C*N )/(1−C)
ここで、C=exp(−Δt/T)
Δt:2点間の時間
T:応答の時定数
により最終応答値N を予測するようにして、前記課題を解決したものである。
あるいは、初期あるいは中期の応答における3点の線量率あるいは計数率N、N、Nを用いて、次式
=(N*N−N*N)/(2*N−N−N
により最終応答値Nを予測するようにして、時定数が不明な場合でも、予測できるようにしたものである。
又、同時に応答の特徴を表わす時定数を求めて、放射線検出器の健全性の評価を可能としたものである。
本発明によれば、単位時間当たりの線量である線量率や単位時間当たりの計数である計数率を、時定数10秒の場合、その半分の5秒程度で求めることができ、従来は一般的に30秒〜60秒必要であった測定時間を大幅に短縮することが可能となる。従って、事故時の放射線測定にも通常の放射線測定にも有用である。
又、同時に時定数を求めて、放射線検出器の健全性も評価することができる。
本発明は、放射線検出値の応答を一次遅れ系として近似し、応答の特徴を表わす時定数が既知の場合は、応答の初期あるいは中期の2つの線量率あるいは計数率から最終応答値を予測するようにしたものである。あるいは、応答の特徴を表わす時定数が未知の場合は、応答の初期あるいは中期の3つの線量率あるいは計数率から最終応答値を予測するようにしたものである。
ここで、応答の初期とは、図1に示す如く、測定開始から時定数Tの0.5倍程度まで、応答の中期とは、時定数Tの0.5〜1.5倍程度を言い、例えばT=10秒の時は、それぞれ0〜5秒、5〜15秒となる。
本発明は、又、放射線あるいは放射性物質の存在場において、応答が1次遅れ系で近似できるサーベイメータ等の放射線検出器を使用して線量率あるいは計数率を求める際に、放射線検出器を移動させながら測定した、ある時刻t とそれ以降の時刻t に得られた線量率あるいは計数率の出力値を、それぞれN 、N とし、予め設定される時定数Tを用いて、次式
=N +(N −N )/(1−C)
ここで、C=exp[−(t −t )/T]
により、この出力値を得た近傍で放射線検出器を静止させて測定した場合に得られる最終応答値N を予測するようにして、前記課題を解決したものである。
即ち、放射線検出値の応答を一次遅れ系として近似し、応答の特徴を表わす時定数を予め設定し、放射線検出器を移動させながら測定した、その出力値である線量率あるいは計数率等の測定値を2点以上用いて、この出力値を得た近傍で静止させて測定した場合に得られる最終応答値を予測する。
具体的には、応答が始まってからの経過時間をt秒、1次遅れ系の時定数をT秒とすると、途中の応答値Nは、
N=N(1−exp(−t/T)) …(1)
で示すことができる。経過t1秒のときの応答値をN1、経過時間t2秒のときの応答値をN2とし、予め設定する時定数Tとし、
C=exp[−(t−t)/T] …(2)
なる定数とする。(1)式から
=N*(1−exp(−t/T)) …(3)
=N*(1−exp(−t/T)) …(4)
となる。但しt>tである。この(3)式、(4)式を連立してNについて解くと、経過時間t秒における初期値N、そして同様に経過時間t秒までの応答変化分N−Nに増幅率1/(1−C)を乗じたと解釈できる次式
=N+(N−N)/(1−C) …(5)
が得られる。
図2乃至図4を用いて、(5)式が応答中のいかなる段階においても成立することを示す。放射線検出器に入る放射線を入力と考えると、いかなる入力の時系列も、ある時間持続する矩形パルスの合成で十分に近似できる。図2のIは入力で、時刻10秒から時刻15秒まで持続し、計数率は1000cpmとする。この矩形パルスの入力は、図3の時刻10秒から続く計数率1000cpmのステップ入力Iuと、時刻15秒から続く−1000cpmのIdの合成と考える。入力IuとIdの応答は、(1)式で示すRuとRdである。従って、矩形パルス入力Iの応答Rは、RuとRdを加算したものになる。
次に図4で(5)式の挙動を明らかにする。RuとRが完全に重なる時刻10秒から15秒の任意の2点、P1とP2を(5)式に代入すると1000cpmが得られる。次に15秒以降の場合を考える。R上の2点、P3とP4について、P3と同時刻のP5、P7及びP4と同時刻のP6、P8を考えると、
P3=P5+P7 …(6)
P4=P6+P8 …(7)
が成立する。
P3とP4を(5)式に代入すると
N0=P3+(P4−P3)/(1−C)
=(P5+P7)+((P6+P8)−(P5+P7))/(1−C)
=(P5+(P6−P5)/(1−C))+(P7+(P8−P7)/(1−C))
=(1000)+(−1000)
=0 …(8)
となる。即ち、時刻15秒以降の入力Iが0になったとき、(5)式は0を示している。
従って、(5)式は、応答のいかなる段階においても応答値を用いて入力値(最終応答値に一致)、即ちここでは放射線検出器の最終応答値を予測できることを示している。
放射線検出器が移動中のある時刻(応答値N)と直後の時刻(応答値N)を考えると、この時間で移動した場所の空間線量率あるいは計数率が一定であれば、時刻の選び方、移動速度の大小に拘わらず、(5)式により、通過場所の近傍で放射線検出器を静止させて測定した場合に得られる最終応答値を予測できる。
図5は一つの場所(移動速度x経過時間に対応)に汚染がある場合の入力I、その応答R及び予測値Pを示している。入力Iと予測値Pは一致している。
本発明は、図5のように汚染が1ヶ所ある場合だけではなく、図6のように複数ヶ所ある場合や、図7のように連続してある場合にも有効である。
図6は、離れた場所(移動速度x経過時間に対応)に汚染がある場合の入力I、I、その応答R及び予測値P、Pを示している。入力Iと予測値Pは一致し、入力Iと予測値Pも一致している。
図7は、隣接した場所(移動速度x経過時間に対応)に汚染がある場合の入力I、I、その応答R及び予測値P、Pを示している。入力Iと予測値Pは一致し、入力Iと予測値Pも一致している。
なお、移動平均を用いて、最終応答値をNとした予測値を高精度化することができる。
本発明は、又、前記の放射線検出値の予測方法が採用された予測応答型放射線検出器を提供するものである。
又、予測値と測定値を共に表示可能としたものである。
又、横軸に時間又は距離を対応させ、縦軸に予測値と測定値を共に液晶等によって表示可能としたものである。
又、縦軸に時間又は距離を対応させ、横軸に予測値と測定値を共に液晶等によって表示可能としたものである。
又、GPS等による位置情報と予測値及び測定値を、共にマップ上に液晶等によって表示可能としたものである。
又、予測値が閾値以上のときに発する警報を、音あるいは光で明示するようにしたものである。ここで、音は、サイレン、自動アナウンスなど聴覚的警報手段を意味し、光は、ランプ、LED、赤色灯、赤色回転灯など視覚的警報手段を意味する。
又、予測値が閾値以上のときに発する警報を、通信によって他の器に伝達するようにしたものである。これにより、例えば警報を、関係者の携帯電話や監視モニターに自動送信することができる。あるいは、警報をGPS等の位置検出装置からの位置情報と同期させて、警報時に監視カメラを警報発生位置に向けさせたり、非常扉を自動閉鎖させたりすることもできる。更に、閾値をランク分けして複数設定しておき、自動マッピングさせて線量率あるいは計数率等のランク分けマップを自動作成させることもできる。
本発明は、又、前記の移動予測応答型放射線検出器を用いることを特徴とする放射線モニタリング方法を提供するものである。
本発明によれば、又、単位時間当たりの線量である線量率や単位時間当たりの計数である計数率を、静止することなく移動中に予測できる。例えば、ある基準点から500mm前後にある汚染箇所の、サーベイメータ等が静止した状態での計数率を求める際に、図8(全体)、図9(詳細)及び図10(測定値の立上がりの拡大)に示す時定数10秒、移動速度毎秒50mmの場合、最大の予測値を示した時点、即ち500mmの位置を通過した直後、経過時間で450mmから550mmまでの移動時間であるおよそ2秒で求めることが出来る。静止させる必要がないため、測定箇所1箇所あたり30秒から60秒必要であった測定時間を大幅に短縮することが可能となる。従って、事故時の放射線測定にも通常の放射線測定にも有用である。また静止時の測定値を予測するので、実際の測定値より大きな値となるため、熟練者以外でも容易に異常個所を発見し得る。
また汚染箇所を通過し出力値が減少する状態において予測値はバックグランド相当になるので、汚染箇所の端を知ることが可能である。即ち、予測値上昇時に汚染箇所の始まりを、予測値がバックグランド相当になった時点で汚染箇所の終わりを知ることができる。
本発明で用いる用語の定義を説明する図 本発明の原理を説明するための矩形パルス入力を示す図 同じくステップ入力と応答曲線を示す図 同じく予測原理を示す図 同じく単一の汚染の予測を示す図 同じく離れた汚染の予測を示す図 同じく接近した汚染の予測を示す図 同じく応答曲線と予測曲線の全体を示す図 同じく応答曲線と予測曲線の詳細を示す図 同じく測定値の立上がりを拡大して示す図 本発明の第1及び第2実施形態の構成を示す正面図 同じく検出器の構成を示すブロック図 本発明の測定原理を説明するための図 同じく立上り部の詳細を示す図 前記実施形態の検出器による応答及び予測応答を示す図 同じく立上り部分の詳細図 第1実施形態における移動平均の様子を示す図 第2実施形態における移動平均の様子を示す図 本発明の第3実施形態の構成を示す正面図 第3実施形態の検出器の構成を示すブロック図
以下図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明に係る放射線検出器の第1実施形態は、図11に示す如く、測定対象である線源10の近傍に配置されるプローブ20と、該プローブ20の出力がケーブル22を介して入力される検出器30を備えている。
前記検出器30は、実際の測定値を時々刻々と表示する現在値指針34と、本発明に係る予測値を示す予測値指針36とを備えたアナログ表示部32と、現在値及び予測値を切替表示可能なデジタル表示部40と、操作部42とを備えている。
前記検出器30の内部には、図12に詳細に示す如く、前記プローブ20からの信号を増幅する増幅器50と、該増幅器50の出力を線量率あるいは計数率に変換して現在値とするレートメータ52と、該レートメータ52からの信号を受け、本発明により最終応答値を予測して出力する予測演算器54とを備えている。
以下、時定数が既知の場合に用いられる第1実施形態の予測演算器54の作用を説明する。
本実施形態では、放射線検出器のプローブ20に放射線が入射し、検出され、レートメータ52で出力され、指示されるまでの過程を「1次遅れ系」で近似する。最終応答値(単に最終値とも称する)Nを100とし、応答が始まってからの経過時間をt(秒)、1次遅れ系の時定数をT(秒)とすると、途中の応答値Nは、図13の応答曲線、即ち
N=100(1−exp(−t/T)) …(9)
で示すことができる。この応答曲線Nの初期から中期の状態を図14に示す。経過時間t1をt(秒)、そのときの応答値をN、微少時間をΔt(秒)とし、その時の応答値をN2、更にΔt(秒)後の応答値をN3とする。ここで、本実施形態のように、時定数Tが事前に分かっている場合、
C=exp(−Δt/T) …(10)
とすると、
1=N*(1−exp(−t/T)) …(11)
2=N*(1−C*exp(−t/T)) …(12)
となる。この(3)、(4)を連立してNについて解くと、
=(N2−C*N1)/(1−C) …(13)
が得られる。この場合、N=100が解となる。従って、応答の初期の段階あるいは中期の段階で2点の応答値N1、N2を測定して該連立方程式(11)(12)に代入して解けば、最終応答値Nに達する時間を待たずして解が得られ、測定時間を大幅に短縮できる。
次に、時定数が未知の場合に用いる第2実施形態の予測演算器54の作用を説明する。
本実施形態では、時定数Tが事前に分かっていないので、仮に
C=exp(−Δt/T) …(14)
とすると、
1=N*(1−exp(−t/T)) …(15)
2=N*(1−C*exp(−t/T)) …(16)
3=N*(1−C*C*exp(−t/T)) …(17)
となる。この(15)、(16)、(17)式を連立してCを消去しNについて解くと、
=(N2*N2−N1*N3)/(2*N2−N1−N) …(18)
が得られる。この場合、N=100が解となる。従って、応答の初期の段階あるいは中期の段階で3点の応答値N1、N2、N3を測定して該連立方程式(15)(16)(17)に代入して解けば、最終応答値Nに達する時間を待たずして解が得られ、測定時間を大幅に短縮できる。
同時に時定数Tも、
T=−t/1n[(N3−N2)/(N2−N1)] …(19)
として計算できる。時定数は、入力から出力に至る検出器全体の応答を表わすもので、測定対象の放射能の強さ、放射線の放出数、放射線の検出数等に拘わらず測定中においては系全体の時定数は一定であるから、求めた時定数の変化の大小や経時変化から検出器自体の健全性を評価して素子の劣化等を知ることができる。
前記実施形態の放射線検出器を用い、空間線量率を測定する場合には、測定1箇所当たり5秒程度でμSv/h値を読み取ることができる。又、固定的に1点のみを連続的にモニタリングすることも可能である。表面汚染を測定する場合には、測定1箇所当たり5秒程度で計数率cpm値を読み取ることができる。従って、従来の1点当たり30秒程度から大幅に測定時間を短縮して放射線をモニタリングすることが可能となる。
前記実施形態においては、現在値と予測値を共に表示するようにしているので、現在値が予測値に近づいていく様子を目視することができる。なお、予測値のみを表示することも可能である。
又、前記実施形態においては、移動平均を用いているので、放出が1個単位で確率現象であり、ばらつきの大きな放射線の線量率や計数率を確実に予測することができる。
第1、2実施形態を用いて、計数率を測定した。図15(全体)及び図16(初期〜中期)の応答曲線Nは、実際のGMサーベイメータの出力の時間変化を示す。実験条件は線源10としてストロンチウム90の37000ベクレルの線源から1cm離れたところにプローブ20の先端が位置するように配置した。検出器の時定数Tは10秒とした。60秒以上の時間が経過し安定した状態での計数率Nは26800cpmであった。
微少時間Δtは0.2秒とした。
第1実施形態の実施例では、図17に示す如く、応答曲線Nの連続した2点から(13)式に従いNを求めた。次に、この2点の終点と次の点から同様にNを求めた。始点を1つずつずらしながら、この走査を30回繰り返して、30回の移動平均値を求め、予測応答曲線N’として表示した。この予測値の最初の値は26944cpmであった。これは最終値N0の26800cpmと極めて近い値であった。予測応答曲線N’の最初の予測値が得られるのは測定開始6秒(=0.2秒×30回)後であった。測定時間が大幅に短縮されたことが分かる。
次に第2実施形態の実施例は、図18に示す如く、連続した3点から(18)式に従いNを求めた。次に、この連続した3点の中間点と終点と次の点の3点から同様にNを求めた。始点を1つずつずらしながら、この走査を30回繰り返して、30回の移動平均値を求めた。この予測値の最初の値は26370cpmであった。これは最終値Nの26800cpmと極めて近い値であった。最初の予測値が得られたのは測定開始6秒後であった。測定時間が大幅に短縮されたことが分かる。又、時定数Tは真値10秒に対して8から12秒の値が計算された。この測定に使用した検出器は正常に動作していたことが伺える。
なお、前記実施例では、Δtを0.2秒、移動平均回数を30回としていたが、例えばΔtを0.1秒、移動平均回数を60回としたり、Δtを1秒、移動平均回数を6秒とすることもできる。又、線源が強い場合には、測定開始3秒〜1秒後から予測値を得るようにすることもできる。
次に、移動予測に適用した本発明に係る放射線検出器の第3実施形態は、図19に示す如く、測定対象である汚染箇所を模擬した線源110の直上を移動するプローブ120と、該プローブ120の出力がケーブル122を介して入力される検出器130を備えている。
前記検出器130は、実際の測定値を時々刻々と表示する測定値指針134と、本発明に係る予測値を示す予測値指針136とを備えたアナログ表示部132と、測定値及び予測値を切替表示可能なデジタル表示部140と、操作部142とを備えている。
前記検出器130の内部には、図20に詳細に示す如く、前記プローブ120からの信号を増幅する増幅器150と、該増幅器150の出力を線量率あるいは計数率に変換して測定値とするレートメータ152と、該レートメータ152からの信号を受け、本発明により予測値を出力する予測演算器154とを備えている。
以下、予測演算器154の作用を説明する。
本実施形態では、放射線検出器のプローブ120に放射線が入射し、検出され、レートメータ152で出力され、指示されるまでの過程を「1次遅れ系」で近似する。静止させた場合、そのプローブ120の中心軸の位置での最終応答値をN0とし、移動時において測定値の上昇時の段階で2点の応答値N、Nを測定して(5)式に代入して解けば、放射線検出器のプローブ120を静止させることなく移動の状態で静止時の最終応答値を解Nとして得られ、測定時間を大幅に短縮できる。そして測定値の減少の段階で2点の応答値N、Nを測定して(5)式に代入して解けば、放射線検出器のプローブ120を静止させることなく移動の状態で静止時の最終応答値であるバックグラウンド相当の解を得ることができる。
前記実施形態の放射線検出器を用い、空間線量率を測定する場合には、測定点を通過する際にバックグラウンドに対し異常な上昇があれば、およそ2秒程度でμSv/h値を読み取ることができる。又、表面汚染を測定する場合には、汚染箇所を通過する際にバックグラウンドに対し異常な上昇があれば、およそ2秒程度で計数率cpm値を読み取ることができる。従って、従来の1点当たりに必要な時間30秒から60秒程度から大幅に測定時間を短縮して放射線をモニタリングすることが可能となる。
前記実施形態においては、測定値と予測値を共に表示するようにしているので、測定値が上昇したとき、同時に予測値が上昇し最大を示す様子を目視することができる。なお、予測値のみを表示することも可能である。表示はデジタルでも指針によってもよい。もしくは指針を液晶などの表示によって示してもよい。
汚染箇所を模擬した線源の計数率を測定した。図8乃至図10に示した応答曲線Nは、実際のGMサーベイメータの出力である測定値の位置による変化を示す。線源110はストロンチウム90の3700ベクレルで直径20mmの薄い密封線源である。該線源110から直上10mm離れたところにプローブ120の先端が位置するように配置した。検出器の時定数Tは10秒とした。静止して60秒以上の時間が経過し安定した状態でGMサーベイメータのプローブ先端の中心と線源との距離10mmで最大の計数率は26400cpmであった。これを静止時の最大の測定値(最大の最終応答値とも称する)Nmaxとした。またバックグラウンドは100cpm以下であった。
サーベイメータの移動速度を毎秒50mmとし、5mm毎に、即ち0.1秒間隔でサンプリングした。
実施例では、図8乃至図10に示した如く、汚染箇所を模擬した線源を位置500mmに配置し、移動開始位置0mmから移動終了位置1500mmまでの応答曲線Nの上昇部の連続した2点から(5)式に従いN0を求めた。次に、この2点の終点と次の点から同様にNを求めた。始点を1つずつずらしながら、この走査を5回繰り返して、5回の移動平均値を求め、予測応答曲線N’として表示した。この予測値の最大値は26410cpmであった。これは静止時の最大の最終応答値Nmaxの26400cpmと極めて近い値であった。予測応答曲線N’の予測値の最大値が得られるのは上昇後2秒程度であることが分かる。自然放射線によるバックグラウンドより十分大きな値を予測値として出力するので熟練者以外でも容易に異常個所を発見し得る。また測定値の減少の段階で2点の応答値より80cpm前後を予測し、バックグラウンド相当であることを予測した。
本実施例においては、移動平均を用いているので、放出が1個単位で確率現象であり、ばらつきの大きな放射線の線量率や計数率を確実に予測することができる。
産業上の利用の可能性
本発明は、例えばNaIシンチレータを用いた空間線量率計として使用することができる。又、エリアモニターとしても使用できる。GM管を用いた計数率計としても使用することができる。例えばGM計数管等を用いたフロアーモニターとしても使用できる。固定的に配置することも可能であるし、サーベイメータのように可搬式にして使用することもでき、多様なモニタリング方法を提供することができる。多様なモニタリング方法を提供することができる。又、モニタリングカー、モニタリングボート、ヘリコプター等へ搭載し、移動しながらのモニタリングを迅速且つ確実に実施することもできる。

Claims (13)

  1. 放射線あるいは放射性物質の存在場において、応答が1次遅れ系で近似できる放射線検出器を使用して線量率あるいは計数率を求める際に、
    初期あるいは中期の応答における2点の線量率あるいは計数率N 、N を用いて、次式
    =(N −C*N )/(1−C)
    ここで、C=exp(−Δt/T)
    Δt:2点間の時間
    T:応答の時定数
    により最終応答値N を予測することを特徴とする放射線検出値の予測方法。
  2. 放射線あるいは放射性物質の存在場において、応答が1次遅れ系で近似できる放射線検出器を使用して線量率あるいは計数率を求める際に、
    初期あるいは中期の応答における3点の線量率あるいは計数率N、N、Nを用いて、次式
    =(N*N−N*N)/(2*N−N−N
    により最終応答値Nを予測することを特徴とする放射線検出値の予測方法。
  3. 請求項において、同時に応答の特徴を表す時定数を求め、放射線検出器の健全性を評価することを特徴とする放射線検出値の予測方法。
  4. 放射線あるいは放射性物質の存在場において、応答が1次遅れ系で近似できる放射線検出器を使用して線量率あるいは計数率を求める際に、
    放射線検出器を移動させながら測定した、ある時刻t とそれ以降の時刻t に得られた線量率あるいは計数率の出力値を、それぞれN 、N とし、予め設定される時定数Tを用いて、次式
    =N +(N −N )/(1−C)
    ここで、C=exp[−(t −t )/T]
    により、この出力値を得た近傍で放射線検出器を静止させて測定した場合に得られる最終応答値N を予測することを特徴とする放射線検出値の予測方法。
  5. 請求項1乃至のいずれかにおいて、最終応答値をNとした予測値を高精度化するために移動平均を用いることを特徴とする放射線検出値の予測方法。
  6. 請求項1乃至のいずれかに記載の放射線検出値の予測方法が採用されたことを特徴とする予測応答型放射線検出器。
  7. 請求項において、予測値と実測値が共に表示可能とされたことを特徴とする予測応答型放射線検出器。
  8. 請求項において、横軸に時間又は距離を対応させ、縦軸に予測値と測定値が共に表示可能とされた表示器を有することを特徴とする予測応答型放射線検出器。
  9. 請求項において、縦軸に時間又は距離を対応させ、横軸に予測値と測定値が共に表示可能とされた表示器を有することを特徴とする予測応答型放射線検出器。
  10. 請求項において、GPSによる位置情報と予測値及び測定値が共にマップ上に表示可能とされた表示器を有することを特徴とする予測応答型放射線検出器。
  11. 請求項において、予測値が閾値以上のときに発する警報を、音あるいは光で明示することを特徴とする予測応答型放射線検出器。
  12. 請求項6において、予測値が閾値以上のときに発する警報を、通信によって他の機器に伝達することを特徴とする予測応答型放射線検出器。
  13. 請求項乃至12のいずれかに記載の放射線検出器を用いることを特徴とする放射線モニタリング方法。
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