JP2015215245A - 放射線測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】サーベイメータ等の放射測定装置において、応答性(レスポンス)の異なる複数の表示値を同時に読み取れるようにする。【解決手段】計数値列に対する移動平均処理によって第1測定値が演算され、同時に、計数値列に対する時定数処理(積分処理)によって第2測定値が演算される。メーター表示部80は、第1測定値及び第2測定値を表す第1針90A及び第2針90Bを有する。それらの表示態様は互いに異なり、両者の重合状態においても各針を識別可能である。メーター表示部80は、共通目盛86を有する。メーター表示部80には2つの針90A,90Bに対応付けられつつ第1時間条件92A及び第2時間条件92Bも表示される。【選択図】図6
Description
本発明は放射線測定装置に関し、特に、放射線測定装置における表示技術に関する。
放射線測定装置として、サーべイメータ、個人線量計、モニタリングポスト等が知られている。それらの内でサーベイメータは、対象物(建築物、自然物、人体、等)からの放射線、環境中に存在する放射線、等を測定する装置である。サーベイメータは、通常、可搬型の装置として構成され、それは、バッテリを内蔵し、バッテリからの電力によって動作する。特許文献1には、平べったい形態を有するサーベイメータが開示されている。
サーベイメータを用いて放射線の測定を行う場合、一般に、ユーザーによって、時定数を切り換えることが可能である。時定数は、時間的に変化する検出信号(例えば計数値列)を平滑化する場合における平滑化度合いを規定するパラメータであり、積分回路における積分係数に相当するものである。
時定数を短くすればするほど検出値に対する表示値の応答性(レスポンス)が良好となる、線量変化を敏感に捉えることが可能であるが、場合によっては、表示値が激しく変化してしまい、それを読み取ることが困難となる。一方、時定数を長くすればするほど応答性が低下して、線量変化を安定的に捉えることが可能となるが、場合によっては、瞬時現象が生じても、それが表示値に現れずあるいはそれがかなり遅れて現れるので、その瞬時現象を見逃すおそれがある。そこで、目的や状況に応じて、時定数を適切に切り換えることが必要である。例えば、サーベイメータを床面上において走査して放射性汚染源を特定する場合、時定数を短くすることが望まれ、空間線量率を測定する場合、時定数を長くすることが望まれる。
他の平滑化方式として移動平均処理も知られている。その場合には移動平均処理の対象となる時間窓の長さ(時間軸上の平均処理期間の長さ)が上記時定数と同じように働く。つまり、時間窓の長さを小さくすると、検出値の変化に対する表示値の応答性が良くなり、時間窓の長さを大きくすると、応答性が低下する(表示値が安定的になる)。
サーベイメータに限られず、放射線測定装置においては、時定数又は時間窓の長さといった時間条件が複数用意されている。その中からユーザーにより又は自動的に1つの時間条件が選択され、それに従って1つの表示値が演算されている。よって、複数の時間条件を同時に適用できないという問題がある。特に、複数の時間条件の適用によって得られた複数の表示値を互いに対比しながら同時に観察できないという問題がある。例えば、バックグランドレベルを確認しながらそれとの対比において瞬時現象を捉えたいニーズがあっても従来においてはそのニーズを満たすことができなかった。
なお、特許文献2及び3には、時定数の異なる2つの計数率計を備えるサーベイメータが開示されている。しかし、それらには2つの計数率を対比しつつ同時に読み取るための構成は開示されていない。特許文献4には、2つの針を有するメーター(デジタル表示部)を備えた放射線測定器が開示されている。しかし、2つの針は現在値と予測値とを表示するものに過ぎない。
本発明の目的は、放射線測定装置において、応答性(レスポンス)の異なる複数の表示値を同時に読み取れるようにすることにある。あるいは、本発明の目的は、放射線測定装置において、応答(レスポンス)の異なる複数の針を対比しながら観察できるようにすることにある。あるいは、複数の針を同じスケール上において運動させる場合において両者が重合する際における視認性の低下等の問題を解消することにある。
本発明に係る放射線測定装置は、放射線を検出し、検出信号を出力する放射線検出器と、第1時間条件に従って前記検出信号を処理することにより、第1測定値を演算する第1演算手段と、第2時間条件に従って前記検出信号を処理することにより、第2測定値を演算する第2演算手段と、前記第1測定値を表す第1針及び前記第2測定値を表す第2針を有する重合メーター表示を提供する出力手段と、を含み、前記重合メータ表示において前記第1針と前記第2針が同じ運動経路上を運動する、ことを特徴とするものである。
上記構成によれば、同じ検出信号に対して第1時間条件及び第2事件条件に従う2種類の処理を並列的に適用することにより第1測定値及び第2測定値が演算される。それらが第1針の位置及び第2針の位置として表示される。すなわち、重合メータ表示は、同じ運動経路上を運動する第1針及び第2針を有し、それらによって第1測定値及び第2測定値が表示されるから、2つの測定値を互いに対比しながら自然に同時に読み取ることが可能である。一方の針(運動の遅い針)に対する他方の針(運動の早い針)の振れ幅や振れの速さ、あるいは、両者の位置関係から、2つの測定値の関係、ひいては線量状態を直感的に総合的に把握することが可能である。このように、重合メータ表示によれば、別々のメータ表示では得られない利点を得ることが可能である。もっとも、2つの針の重なり合いが生じるので、しかもそれは比較的に頻繁に生じるので、そのような重合状態においても各針の視認性を高めるように構成するのが望ましい。
上記構成において、2つの針についてのレスポンスは基本的に互いに相違する。重合メータ表示は、望ましくは、2つ以上の針を有するアナログメータ表示、又は、2つ以上の針(像)を有するデジタルメータ表示として構成される。第1測定値及び第2測定値は計数率、線量率、線量当量率、等である。時間条件に従う信号処理は、典型的には平滑化処理であり、それは時定数処理、移動平均処理等である。時間条件は、時定数、移動平均時間長等である。第1演算手段と第2演算手段とで同じ平滑化方式が採用されてもよいし、それらにおいて異なる平滑化方式が採用されてもよい。検出信号そのものに対して平滑化処理が適用されてもよいし、計数値列や線量率列に対して平滑化処理が適用されてもよい。
望ましくは、前記出力手段は表示画素マトリックスからなる表示画面を有する表示器を含み、前記第1針及び前記第2針はそれぞれ前記表示画面上に現れるイメージである。この構成によれば、画像処理によって重合メータ表示を実現することが可能であり、各針の表示態様を自在に調整することが可能である。
望ましくは、前記第1針と前記第2針は互いに異なる表示態様で表示される。色相、サイズ、形状、等を相互に異ならせることが可能である。望ましくは、前記第1針と前記第2針の重合状態において前記第1針と前記第2針の内で一方が他方からはみ出て且つ他方が一方からはみ出る。この構成によれば、2つの針の重合状態において、個々の針の視認性を高められる。2つの針の重合部分については特別な色相を割り当てて重合部分を明示するようにしてもよい。望ましくは、前記第1針と前記第2針の内で、前記重合状態において、下側になる針が上側になる針よりも太く短い針であり、上側になる針が下側になる針よりも細く長い針である。この構成によれば、重合状態において、それぞれはみ出し部分を有するので、そのはみ出し部分をもって各針を特定可能である。この構成において更に色相を異ならせるのが望ましい。
望ましくは、前記下側になる針よりも前記上側になる針の方が速く運動する。細い針を早く運動させ、太い針をゆっくり運動させてば、時計同様の違和感のない表示態様を構築できる。また、針の運動に伴う目障り感を軽減できる。
望ましくは、前記重合メータ表示は、前記第1針の運動位置及び前記第2針の運動位置によって前記第1測定値及び前記第2測定値を読み取るための共通目盛を有する。共通目盛は各針の先端が指す先であり、円弧状スケールである。2つの針の対比上、単位を含めスケールを完全に共通にするのが望ましいが、針ごとに単位又は倍率を別途定めることも可能である。
望ましくは、前記第1時間条件は、時定数又は移動平均期間についての条件であり、前記第2時間条件は、時定数又は移動平均期間についての条件である。望ましくは、前記表示画面上には、前記第1針に対応付けられつつ前記第1時間条件が表示され、かつ、前記第2針に対応付けられつつ前記第2時間条件が表示される。この構成によれば、それぞれの表示値に対応する時間条件を直ちに特定可能である。すなわち、スイッチ等によって2つの時間条件を読み取れる場合においても、2つの時間条件と2つの針との対応関係が画面上で誤りなく特定されることが必要である。
望ましくは、前記第1測定値及び前記第2測定値の内の少なくとも一方に基づいて安定状態を判定する手段と、前記安定状態が判定された場合に前記表示画面上の表示態様を変更する手段と、を含む。例えば、検出値等のばらつき度合いに基づいて、安定状態が判定される。安定状態が判定された場合、例えば、2針表示から1針表示へ表示形態を変更することが可能である。望ましくは、表示画面上に、重合メータ表示と共に、数値表示、最大値表示、分散値表示、等を行うのが望ましい。
本発明に係る方法は、時定数に従って検出信号を平滑化処理することにより、設定された第1測定値を演算する工程と、設定された移動平均期間の長さに従って前記検出信号を平滑化処理することにより、第2測定値を演算する工程と、表示画面上に、前記第1測定値を表す第1針及び前記第2測定値を表す第2針を有する重合メーターを表示する工程と、を含む。
本発明によれば、放射線測定装置において、応答性(レスポンス)の異なる複数の表示値を同時に読み取れる。あるいは、応答性の異なる複数の針を対比しながら観察できる。
あるいは、複数の針を同じスケール上において運動させる場合において両者が重合する際における視認性の低下等の問題を解消できる。
あるいは、複数の針を同じスケール上において運動させる場合において両者が重合する際における視認性の低下等の問題を解消できる。
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明に係るサーベイメータの好適な実施形態が示されており、図1はその上面図である。このサーベイメータは、建築物や人体等の対象物からの放射線を検出する放射線測定装置である。もちろん、環境中の放射線が測定されてもよい。本実施形態においては、放射線としてγ線が測定されているが、他の放射線が測定されてもよい。
図1において、サーベイメータはバッテリを内蔵し、可搬型の装置として構成されている。本実施形態においては、サーベイメータを片手で把持をしながらその操作を行うことが可能なように当該サーベイメータが構成されている。サーベイメータは、先端側から後端側にかけて3つの区間を有し、具体的には先端部10、中間部12及びグリップ部14を有する。中間部12は、その上面に表示部18を有している。表示部18は液晶表示器等により構成されている。中間部12は、前後方向であるX方向及び左右方向であるY方向に広がった平べったい形態を有しており、すなわち平板型の形状を有している。その厚みは例えば17.5mmである。例えば、その厚さを10〜25mmの範囲内から選択することもできる。
中間部12の前側には屈曲部11を介して先端部10が一体的に連結されている。先端部10は後に説明するように中間部12の下面側へ傾斜した傾斜部を構成している。先端部10は図示されるように左右方向に伸長した形態を有し、また後に説明する主測定方向と左右方向(Y方向)の両方向にわたって広がった平べったい形態を有している。先端部10の厚さ、すなわち左右方向と主測定方向の両方向に直交する方向の厚さは、例えば20mmである。その厚さを例えば15〜30mmの範囲内において選択することも可能である。
先端部10の内部には検出部16が設けられている。本実施形態においては、検出部16は後に説明するように半導体センサを含んで構成されている。先端部10の先端面10Aは検出面であり、それは主測定方向に対して直交した面を構成している。先端部10は図1に示されるように上方から見て若干ながら先細の形状を有している。
グリップ部14はユーザーの手によって把持される部分であり、それは上方から見てくびれ形状を有している。グリップ部14は中間部12と同様にX方向及びY方向に広がった平べったい形態を有し、つまりそれは平板状の形態を有している。グリップ部14の前縁におけるY方向の幅W3が最も大きく、そこから後端方向にその幅を観察すると、中間部分において一旦その幅がW1となり、そこからまた広がって後縁においてその幅はW2となっている。すなわち上述したようにグリップ部14は上方から見てくびれた形状を有している。これによりグリップ部14が掴み易くなっており、またグリップ部14を掴んだ状態において表示部18が手によって隠蔽されてしまう問題を解消又は軽減することが可能である。
グリップ部14の上面、より具体的には表示部18の後側には操作部20が設けられている。本実施形態において操作部20は3つのプッシュボタンによって構成されている。グリップ部14の握り方について説明すると、例えば、右手でそれを把持する場合、グリップ部14の右側面に手のひらが当てられ、親指がグリップ部14の上面に当てられ、残りの4つの指がグリップ部14の左側面に引っ掛けられる。このような状態で親指によって操作部20が操作される。もちろん、対象物の位置や対象物の傾きあるいはユーザーの好み等によって様々な持ち方を採用することが可能である。
ちなみにサーベイメータの全体を包み込む弾性部材で構成されたジャケットを設けるようにするのが望ましい。このようなジャケットによれば、サーベイメータが誤って落下したような場合においてもサーベイメータの筐体及びその内部の電子部品を保護することが可能となる。そのようなジャケットは着脱自在なものとして構成するのが望ましい。ちなみに、図1にはX方向及びY方向が示されているが、それに直交する方向としてZ方向を定義することができ、そのZ方向は中間部12及びグリップ部14についての厚み方向である。
図2には、サーベイメータの斜視図が示されている。上述したように、サーベイメータは先端から後端にかけて先端部10、中間部12及びグリップ部14を有している。先端部10の先端面は検出面10Aを構成し、それは主測定方向に対して交差した面である。ここで、主測定方向は例えば校正が行われた方向であり、あるいは最も感度が高い方向である。先端部10の向く方向が主測定方向である。符号22はUSBポートを示している。符号24はバッテリケースのカバーを示している。本実施形態においては、USBポートを介してバッテリの充電を行うことが可能である。
図3には、サーベイメータの右側面図が示されている。符号200は中間部及びグリップ部の中心を通過する中心軸を示しており、符号202は先端部を通過する中心軸を示している。中心軸202は主測定方向26に合致している。中心軸200と中心軸202とがなす交差角度θは望ましくは10〜60度の範囲内に設定され、特に望ましくは15〜45度の範囲内に設定され、本実施形態においては30度に設定されている。上述したように、中間部及びグリップ部のZ方向の厚さは例えば17.5mmであり、先端部における中心軸102に直交する方向の厚さは例えば20mmである。もちろん本明細書に挙げられている各数値は一例に過ぎない。いずれにおいても片手で容易に把持でき、また片手だけで操作が可能なサーベイメータを構成するのが望ましい。
図1乃至図3に示したサーベイメータの形態はテレビやオーディオ機器などに付属しているリモートコントローラの形態に類似している。しかし、そのようなリモートコントローラはフロア面に向けたり壁面上方へ向けたりするようなものではなく、概ね水平方向に向けられるものである。その一方、本実施形態のサーベイメータは、例えば床面の放射線汚染や壁面上部の放射線汚染等を測定するものであり、上述のような屈曲形態を有している。すなわち、例えば床面へ検出面を向けたような場合に表示部の表示面が自然にユーザー側に向くので、それがユーザー側に正対しないとしても表示面と視線との成す角度を比較的に大きくできるので、表示面の視認性を向上することが可能である。しかも、グリップ部をもった状態において表示面が露出されており、しかも先端部及び対象部を同じ視線の中に捉えることも容易であるから、測定をしながら対象部位を確認しつつ、更に表示面を観察できるという利点が得られる。このように本実施形態に係るサーベイメータはコンパクトであり、また使い勝手が非常に良い。ちなみに、図3に示されるようにストラップを引っ掛けるための凸部30を設けるようにしてもよい。またイヤホンジャック32を設けるようにし、放射線検出器のパルス音をイヤホンを用いて聞くようにしてもよい。
図4には、本発明に係るサーベーメータのブロック図が示されている。検出部(センサ)16は放射線検出器であり、本実施形態においては半導体検出器が用いられている。複数の半導体検出器を設けるようにしてもよい。半導体検出器に代えてシンチレータ型検出器等を設けるようにしてもよい。
検出部16から出力された検出信号(検出パルス)はアンプ34において増幅された上で波高弁別器36に送られる。波高弁別器36は一定の波高値以上のパルスを通過させる回路である。波高弁別後の検出信号が図4に示す例において、第1測定値演算器38及び第2測定値演算器40に並列的に出力されている。
第1測定値演算器38は、検出信号に基づき、第1時間条件に従った平滑化処理を実行することにより、平滑化後の第1測定値を検算する回路である。第2測定値演算器40は、第1測定値演算器38と同様に検出信号に基づいて、第2時間条件に従った平滑化処理を適用することにより、第2測定値を演算する回路である。例えば、第1測定値演算器38は移動平均回路を含むものであり、第2測定値演算器40は積分回路を含むものである。この場合において、第1時間条件は、移動平均期間長を定めるものであり、第2時間条件は時定数を定めるものである。それらの条件はユーザーによって指定されてもよいし、後述するように、検出信号に基づく分散値に従って、自動的に定められてもよい。2つの測定値演算器38,40において、同じ平滑化方式が実行されてもよい。いずれにしても、2つの時間条件に従って、特に時間的に見て異なる2つの時間条件に従って、2つの測定値が演算されることになる。それらは検出信号の変化に対して異なるレスポンスを示すものである。
表示処理回路42は、本実施形態において、表示器44の表示画面上に表示する画像を生成する回路である。本実施形態においては、後に説明するように重合メーター表示が画面上に構成されている。その重合メーター表示は第1測定値を表す第1針(像)及び第2測定値を表す第2針(像)を含むものである。
表示器44は図1に示した表示部18を構成するものであり、本実施形態において表示器44は液晶表示器により構成されている。それは表示画素マトリックスにより構成される表示画面を有するものである。
制御部46は第1測定値演算器38、第2測定値演算器40及び表示処理回路42等を制御するものである。制御部46には入力部48が接続されている。その入力部48は操作部を構成するものであり、入力部48を介してユーザーによって第1時間条件及び第2時間条件を指定することが可能である。一方の時間条件をユーザー指定させ、他方の時間条件を自動的に定めるようにしてもよい。符号50はマイコンを示している。各ブロックはマイコン50の機能を示している。
図5には、表示器に表示される画像の第1例が示されている。その画像は、図5に示されるように、メーター表示部60、数値表示部62及び最大値表示部64を含むものである。メータ表示部60は、図示されるように第1測定値を表示する第1針70Aと、第2測定値を表示する第2針70Bと、を有している。それらの針70A,70Bは円弧状の運動経路に沿って運動するものであり、それぞれの運動領域はオーバーラップしている。つまり、共通である。例えば、第1針70Aよりも第2針70Bの方がレスポンスがよい場合、第1針70Aは比較的ゆっくりと運動し、それに対して第2針70Bは比較的に早く運動することになる。例えば、第1針70Aの両側に振れるように第2針70Bが運動する。線量率が徐々に上昇していくような過程においては、第1針70Aが緩やかに上昇する過程において第1針70Aを跨いで第2針70Bが振れながら徐々に上方に運動していくことになる。その振れ幅は分散あるいは計数率のばらつきに相当するものであると言える。
図5に示す例において、第1針Aは黒色で表現されており、第2針Bは赤色で表現されている。すなわち色相を異ならせることにより、2つの針が識別されている。もちろん、サイズ、形態等を異ならせるようにしてもよい。メーター表示部60は、共通目盛66を有している。それは、円弧状のスケールであり、2つの針70A,70Bによって表される測定値を読み取るためのものである。共通目盛66においては2つの針に対して単位及び倍率が同じである。もちろん異ならせるようにしてもよい。メーター表示部60内の下部には、単位表示68があり、それはμSv/hと表されており、すなわち単位時間あたりの線量を意味している。単位時間あたりの線量すなわち線量率に替えて、単位時間あたりの計数すなわち計数率を表示するようにしてもよいし、あるいは単位時間あたりの線量当量あるいは線量当量率を表示するようにしてもよい。場合によっては、積算計数や積算線量等を表示することも可能である。
メーター表示部60の上側には数値表示部62が設けられている。図5に示す例において、数値表示部62は黒色で表示されており、それは第1針(A)が示す第1測定値に対応している。すなわち第1測定値を数値として表示したものが数値表示部62である。もちろん、2つの測定値の両方を数値表示することも可能であり、あるいはユーザーにより選択された測定値を数値表示することも可能である。一般的にはレスポンスの低い測定値について数値表示を行うのが望ましい。
メーター表示部60の下側には最大値表示部64が設けられている。最大値表示部64は今までの測定値の中での最大値を数値によって表示するものである。所定のタイミングで最大値はリセットされる。ユーザーによる例示的な指示に基づいてリセットが行われてもよい。
符号72は時間条件の表示部を示しており、図5に示す例においては第1針70Aに対応する第1時間条件が示されている。ここでは移動平均期間長が数値によって表示されている。もちろん、第2時間条件が数値表示されてもよい。本実施形態においては、時間条件が黒色によって表示されており、すなわち色相によってメーター表示、数値表示が互いに対応づけられている。
したがって、ユーザーは図5に示されるような画像を観察することにより、特に2つの針70A,70Bの位置や挙動を観察することにより、さらにはそれらを対比観察するこにより、現状における線量状況を総合的に把握することが可能である。例えばバッググラウンドレベルを認識しながら、瞬時的に生じる現象を的確に捉えることが可能である。例えば、フロア面上において汚染源の特定を行うような場合、環境放射線による線量率をモニタリングしつつも汚染源による測定値を針の運動から特定することが可能となる。
図6には、第2表示例が示されている。表示器に表示される画像は、図6に示されるように、メーター表示部80、数値表示部82及び最大値表示部84を有している。数値表示部82は図5に示した数値表示部62と同様のものであり、最大値表示部84は図5に示した最大値表示部64と同様のものである。
メーター表示部80は第1針90Aと第2針90Bとを有している。第1針90Aは第1測定値を表す針であり、第2針90Bは第2測定値を表す針である。図6に示す例において、第1針90Aは黒色によって表現されており、第2針90Bは赤色によって表現されている。すなわち、色相を異ならせることにより、それぞれの針が識別されている。さらに、図6に示されるように第1針90Aと第2針90Bとの間においては、サイズ及び形態が互いに異なっている。第1針90Aは三角形の形態を有する比較的幅の太い針であり、第2針90Bは細い線状の形態をもった比較的長い針である。
メーター表示部80は、第1針90Aの根元に位置する扇状のエリア94Aを有し、それには符号92で示されるように第1時間条件が示されている。例えばそれは移動平均期間の長さを示すものである。また、第2針90Bの根元に設けられたエリア94Bは第2時間条件92Bを表す部分を含んでいる。それは例えば時定数を示すものである。このように、各針90A,Bに対して対応づけられつつ、2つの時間条件が数値により表示されている。これにより、ユーザーにおいて針と時間条件との対応関係を誤りなく理解することが可能である。
メーター表示部80には図5に示したものと同様に共通目盛86が設けられている。それは、円弧状の形態をもったスケールである。針と各数値との対応関係を明確に示すため、対応関係があるものについては同一の色相を与えるのが望ましい。
図7には、図6に示した表示例において、2つの針90A,90Bがちょうど重なった重合状態が示されている。第1針90Aにおいて、針軸方向の長さがL1で示されており、すなわち第1針90Aは針軸方向におけるh1からh2の範囲内において表れている。第1針90Aにおける中間付近の横幅がW1で示されている。
第2針90Bにおいて、それは針軸方向にL2の長さを有し、すなわち針軸方向におけるh3からh4までの範囲内にわたって伸長している。その横幅がW2で示されている。
2つの針の重合状態においては、一方の針から他方の針がはみ出ており、同時に他方の針から一方の針がはみ出ている。これにより、それぞれの針を重合状態においても明確に視認することが可能となる。本実施形態においては、2つの針の色相が異なっているため、それぞれのはみ出し部分を明確に特定することが可能である。
図7に示されるように、針軸方向について観察した場合、h1よりもh3の方が低い位置に設定されており、h3よりもh1の方が若干ながら高い位置に設定されている。その関係を逆転させてもよい。
一般に、第1針90Aがレスポンスの低い方の測定値を表示し、第2針90Bがレスポンスの良好な測定値を表示する。これにより、時計の針関係と同様に、太く短い針をゆっくり運動させ、細く長い針を早く運動させることが可能となり、針の運動を自然なものにすることが可能となる。ただし、図6及び図7に示したものは例示であり、それらに示したもの以外を採用することも可能である。いずれにしても、回転軸を実質的に共通とした複数の針を有する重合メーター表示が実現されるように画像処理を行うのが望ましい。
図8には、他の実施形態に係るブロック図が示されている。センサからの検出信号がカウンタ102に入力される。カウンタ102は一定期間間隔で計数値を求める回路である。カウンタ102から出力される計数値列が図8に示す構成例において第1平滑回路104、第2平滑回路106及び分散演算器110に送られている。
第1平滑回路104は、図8の構成例において移動平均回路によって構成されており、すなわち第1時間条件として指定された移動平均期間長に従って、移動平均処理を計数値列に対して適応することにより、平滑化後の計数値列を求めるものである。
第2平滑回路106は図8に示す構成例において積分回路で構成されており、すなわち第2時間条件として指定された時定数に従った時定数処理を計数値列に対して適用することにより平滑化後の計数値列を求めている。
分散演算器110は、カウンタ102の出力すなわち計数値列に基づいて、各時刻において分散すなわち計数値列のばらつき度合を求めるものである。標準の偏差が計算されてもよい。その計算結果は図8に示す構成例において時間条件設定器112及び安定化判定器114に送られている。
時間条件設定器112は、本実施形態において上記のように計算された分散に基づいて、移動平均期間の長さを演算している。その演算結果が第1平滑回路104に与えられている。分散が大きい場合にはより移動平均の時間長が大きくなり、分散が小さい場合には移動平均の時間長が小さくなるように時間条件が設定されている。
図8に示す例において、時定数についてはユーザーにより設定されており、すなわちユーザーが指定した時定数が時間条件設定器112を介して第2平滑回路106へ与えられている。もちろん、分散等に基づいて時定数が自動的に決定されてもよい。
安定化判定器114は上記のように計算された分散に基づいて線量についての安定化状態を判定している。例えば、分散値が一定の値以下になった場合に、安定化状態が形成されたものと判定される。
表示処理回路108は図5及び図6に示した画像を生成する回路である。具体的には、第1平滑回路104から出力された第1測定値及び第2平滑回路106から出力された測定値を表す重合メーター表示のイメージを構築し、それを表示器へ送っている。表示処理回路108は安定化判定器114が安定化状態を判定した場合、二針表示から一針表示へ表示形態を切り替えるようにしている。すなわち、表示形態の切り替わりをもって状態の安定をユーザーにおいて認識することが可能である。もちろん、安定化状態を発光器の点灯によって表示する等を採用してもよい。
図8における100はマイコンに相当している。すなわち、図8に示される各機能はマイコンの機能として実現され得る。図4及び図8に示した構成例は一例であり、例えばアナログ回路によって2つの測定値を求めることも可能である。
上記実施形態によれば、レスポンスの異なる2つの針をもった重合メーター表示を介して線量状態を総合的に把握することが可能である。しかも、2つの針の表示態様が互いに異なっているので、2つの針を容易に識別できるという利点が得られる。
上述した重合メーター表示をサーベイメータ以外の他の放射線測定装置に設けるようにしてもよい。上記実施形態においてはデジタルメータが採用されていたが、アナログメータを採用することも可能である。また、デジタルメータとアナログメータとが結合されたハイブリットメータを利用することも可能である。
なお、変形例としては、第1測定値をカウンターで表示し、第2測定値を数値で表示することが考えられる。また、2つの測定値をトレンドグラフとして表示することが考えられる。
図6に示した表示例において、第1針90Aの上側を第2針90Bが通過する表示態様が採用されていたが、それらを逆転させるようにしてもよい。ただし、図6に示した表示態様によれば、太い針の上側に細い針が通過することになるので、自然な重合状態を形成できるという利点が得られる。すなわち時計の針構成と同様の利点が得られる。重合メーター表示の構築にあたって、各針について影を表示するようにすれば立体感を得ることが可能である。
10 先端部、11 屈曲部、12 中間部、14 グリップ部、16 検出部、18 表示部、20 操作部、38 第1測定値演算器、40 第2測定値演算器、42 表示処理回路、60 メーター表示部、80 メーター表示部。
Claims (11)
- 放射線を検出し、検出信号を出力する放射線検出器と、
第1時間条件に従って前記検出信号を処理することにより、第1測定値を演算する第1演算手段と、
第2時間条件に従って前記検出信号を処理することにより、第2測定値を演算する第2演算手段と、
前記第1測定値を表す第1針及び前記第2測定値を表す第2針を有する重合メーター表示を提供する出力手段と、
を含み、
前記重合メータ表示において前記第1針と前記第2針が同じ運動経路上を運動する、
ことを特徴とする放射線測定装置。 - 請求項1記載の放射線測定装置において、
前記出力手段は表示画素マトリックスからなる表示画面を有する表示器を含み、
前記第1針及び前記第2針はそれぞれ前記表示画面上に現れるイメージである、
ことを特徴とする放射線測定装置。 - 請求項2記載の放射線測定装置において、
前記第1針と前記第2針は互いに異なる表示態様で表示される、
ことを特徴とする放射線測定装置。 - 請求項3記載の放射線測定装置において、
前記第1針と前記第2針の重合状態において前記第1針と前記第2針の内で一方が他方からはみ出て且つ他方が一方からはみ出る、
ことを特徴とする放射線測定装置。 - 請求項4記載の放射線測定装置において、
前記第1針と前記第2針の内で、前記重合状態において、下側になる針が上側になる針よりも太く短い針であり、上側になる針が下側になる針よりも細く長い針である、
ことを特徴とする放射線測定装置。 - 請求項5記載の放射線測定装置において、
前記下側になる針よりも前記上側になる針の方が速く運動する、
ことを特徴とする放射線測定装置。 - 請求項2記載の放射線測定装置において、
前記重合メータ表示は、前記第1針の運動位置及び前記第2針の運動位置によって前記第1測定値及び前記第2測定値を読み取るための共通目盛を有する、
ことを特徴とする放射線測定装置。 - 請求項1記載の放射線測定装置において、
前記第1時間条件は、時定数又は移動平均期間についての条件であり、
前記第2時間条件は、時定数又は移動平均期間についての条件である、
ことを特徴とする放射線測定装置。 - 請求項2記載の放射線測定装置において、
前記表示画面上には、前記第1針に対応付けられつつ前記第1時間条件が表示され、かつ、前記第2針に対応付けられつつ前記第2時間条件が表示される、
ことを特徴とする放射線測定装置。 - 請求項2記載の放射線測定装置において、
前記第1測定値及び前記第2測定値の内の少なくとも一方に基づいて安定状態を判定する手段と、
前記安定状態が判定された場合に前記表示画面上の表示態様を変更する手段と、
を含む、
ことを特徴とする放射線測定装置。 - 設定された時定数に従って検出信号を平滑化処理することにより、第1測定値を演算する工程と、
設定された移動平均期間の長さに従って前記検出信号を平滑化処理することにより、第2測定値を演算する工程と、
表示画面上に、前記第1測定値を表す第1針及び前記第2測定値を表す第2針を有する重合メーターを表示する工程と、
を含むことを特徴とする放射線測定方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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