JP4265005B2 - 光プリントヘッドの光量制御方法および光プリントヘッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の発光ドットからなるライン光源を備えた光プリントヘッドの光量制御方法および光プリントヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
真空蛍光管や発光ダイオード(LED)等のライン光源を光プリントヘッドとして用い、感光性フィルム等を線状に順次露光させる光プリンタが知られている。ライン光源に真空蛍光管を用いた光プリントヘッドは、Y.Shimizu and Y.Kobori:"Compact color hard copy system using vacuum fluorescent print head",IS&T's 50th annual conference,p.248(1997)等で知られている。このようなライン光源は、蛍光プリントヘッドと呼ばれている。
【0003】
図5は、蛍光プリントヘッドの発光ドットパターンの説明図である。図中、図5(a)は1ライン配列のパターン、図5(b)は千鳥状の2ライン配列のパターンの説明図である。31は発光ドット、32は奇数番目の発光ドット,33は偶数番目の発光ドットである。
図5(a)において、発光ドット31は、1直線上に僅かな間隔をあけて同一ピッチで配列されている。
図5(b)においては、同形状の奇数番目の発光ドット32,偶数番目の発光ドット33が、発光ドットの幅と同幅の間隔をあけて1ドットおきに列を入れ替えて千鳥状に配列されている。いずれの場合も、左から順にj=1からj=Nまでの発光ドット番号を付している。複数の発光ドットが3列以上の複数列の直線上に設けられる場合もあり、この場合も、各発光ドットは1ドットずつ列を入れ替えて各列に周期的に分配配置される。
【0004】
発光ドット31から放出される光は、反射鏡、セルフォックレンズアレイ(SLA)等の集光光学系を介して感光フィルムを露光させる。複数の発光ドット31の列の長手方向に直角な方向を主走査方向として、真空蛍光管および光学系を移動させる。スタティック駆動の場合において、感光フィルムは、各発光ドット31の発光により副走査方向に線状に同時露光される。一方、図5(b)に示した千鳥配列では、副走査方向において、例えば、偶数番目の各発光ドット33により1ドットおきに線状に露光されるが、露光されなかった1ドットおきの線状の領域が、主走査方向の移動とともに奇数番目の各発光ドット32により露光される。主走査方向の全移動を完了すると、感光フィルムに画像が形成される。この例では、記録媒体に直接に画像形成する場合を示したが、帯電された感光ドラムを露光させて潜像を形成し、これを現像して紙に転写する場合もある。
【0005】
上述した蛍光プリントヘッドでは、各発光ドット31あるいは32,33の発光強度にばらつきがある。したがって、印字品位を向上させるために、各発光ドット31あるいは32,33の光量を均一にする。そのため、あらかじめ、各発光ドット31あるいは32,33の発光強度を測定して光量補正データを作成しておき、この光量補正データをROM(Read Only Memory)に格納して、感光フィルムに画像形成する際に光量補正をしている。
【0006】
しかし、複数の発光ドットが同時駆動されるスタティック駆動方式の真空蛍光管においては、動作原理上、ある発光ドット(i)の発光強度が、同時にスタティック駆動される近傍の、例えば、発光ドット(i−1)等の発光状態によって変化する。従来は、このような近傍の発光ドットの発光状態を考慮せずに、単に各発光ドットを単独で点灯したときの発光強度を測定して光量補正をしていた。したがって、印刷する画像の階調数を大きくしたり、カラー画像プリントにすると、画質の低下が目立つという問題がある。
【0007】
図5(a)の直線配置を例にして、以下、近傍の発光ドットに対応する電極への印加電圧状態の影響を説明する。発光ドット(i)が発光するときの発光強度は、この発光ドット(i)に数ドットの範囲で隣接する発光ドット31の発光状態、例えば、左右2ドットの発光ドット(i−2),(i−1),(i+1),(i+2)の発光状態によって変化する。この原因は、真空蛍光管内の電界分布の変化にある。すなわち、発光ドット(i)に対応するアノードに正のアノード電圧が加わると、この発光ドット(i)が発光する。このとき、同時に、近傍のアノードにも正の電圧が印加されて、これに対応する発光ドットが発光するときに、電界分布が影響を受けて発光ドット(i)の発光強度が変化する。
【0008】
蛍光プリントヘッドでは、階調表示をするために、発光ドット(i)に対応するアノードへの電圧印加時間(パルス幅)Tiを可変することによって、各発光ドット(i)の光量Eiを制御している。しかし、発光ドット(i)の発光強度が近傍の発光ドット(j)に対応するアノードの印加電圧のON,OFFによって変化するため、発光ドット(i)の光量は、近傍の発光ドット(j)に対応するアノードの電圧印加時間の重なり状態によって複雑に変化してしまう。
【0009】
発光ドット(i)に要求される光量Eiは、感光フィルム上にプリントされるべき画像の濃度データCiに基づいて、変換式Ei=g(Ci)によって既に決まっているものとする。ここでは、発光ドット(i)が既定の光量Eiを出力するために、各発光ドット(i)のアノード電圧印加時間Tiを、どのように決めればよいかを考える。
【0010】
上述した従来技術では、表示したい画像の濃度データCiに対応する発光ドット(i)の光量がEi(J/cm2)のとき、蛍光プリントヘッドの発光ドット(i)のアノード電圧印加時間Ti(sec)は、
Ti=Ei/Pi i=1,2,・・・,N (1)
によって決められる。ここで、Pi(W/cm2)は、i番目の発光ドット31の発光強度であり、発光ドット(i)ごとに、単独に点灯したときの測定によって得られた値に基づいて設定する。Nは蛍光プリントヘッドの発光ドット31の総ドット数である。
【0011】
駆動用集積回路ICに入力する、発光ドット(i)のアノード電圧印加時間Tiの階調データDiは、Tiを量子化して、
Di=Integer[Min{(Ti/Tmax),1}×(2q−1)] (2)
とする。ここで、Tmaxは電圧印加時間の最大量子化レベルであり、通常は電圧印加時間の上限値を用いる。qは量子化ビット数(階調ビット数)である。
【0012】
なお、実際には、アノード電圧の調整などの処理を行うが、それは上述したPiの値を調整していることに相当し、やはり、(1),(2)式によって表わすことができる。
【0013】
上述した従来技術では、光量Eiと電圧印加時間Tiの間に、Piを発光強度として、
Ei = PiTi (3)
という関係を仮定していることになる。この(3)式によると、各発光ドット(i)の光量Eiは、この発光ドット(i)の電圧印加時間Tiだけで決まるものとしている。しかし、実際の蛍光プリントヘッドでは、発光ドット(i)の光量Eiは、その発光ドット(i)の電圧印加時間Tiだけでなく、この電圧印加時間中において同時に発光する近傍の発光ドットに対応する電極への電圧印加状態によっても変化する。その結果、出力される光量Eiは、画像の濃度データCiに対応して要求される光量とは異なる値となり、画質を低下させる原因となっている。
【0014】
従来、近傍の発光ドットの駆動状態による光量変化をなるべく小さくするために、グリッド電圧(Ec)をかなり高く設定している。
図6は、近傍の発光ドットに対応する電極への電圧印加状態による光量変化の影響を説明するための線図である。図中、横軸はグリッド電圧、縦軸は発光強度である。自身の発光ドットの左右各2ドットに対応する電極への電圧印加状態がオール0(OFF)であるときの発光強度Pi(00100)と、自身の発光ドットの左右各2ドットに対応する電極への電圧印加状態が、オール1(ON)であるときの発光強度Pi(11111)の場合を示している。グリッド電圧を高く設定すると、近傍の発光ドットの駆動状態による変化は少なくなるが、それでも10%程度の差が生じている。
【0015】
図7は、グリッド電圧とグリッド電流との関係を説明するための線図である。図中、横軸はグリッド電圧、縦軸はグリッド電流である。グリッド電圧を高くすると、グリッドの無効電流も大きくなり、消費電力が増加する。そのため、この蛍光プリントヘッドを携帯型プリンタに用いた場合には、電池使用時間が短くなる。また、発熱により真空蛍光管の温度上昇を招く。その結果、蛍光体の温度消光のみならず、真空蛍光管内の壁面に付着している残留ガスを放出させ、特性の劣化や不安定さの原因になる。
【0016】
同時に選択する発光ドット(i)の間隔を離して、時分割駆動をする方法も考えられる。しかし、この方法でも、個々の発光ドットに対する駆動パルス信号の点灯率(duty factor)が小さくなり、その分だけ光量が減ることになるため、蛍光プリントヘッドの性能が低下する。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたもので、近傍の発光ドットに対応する電極への電圧印加状態による光量変化を補正する光プリントヘッドの光量制御方法および光プリントヘッドを提供することを目的とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の光プリントヘッドの制御方法は、複数の発光ドットが1又は複数のライン状に配列されており、前記ライン状に配列された複数の発光ドットへの電圧印加時間を制御することにより、前記発光ドットの各列毎に、同時に出力される光量を制御する光プリントヘッドの光量制御方法であって、前記複数の発光ドットに対応する電極への電圧印加時間を、前記各発光ドットに対する入力画像データに応じて要求される目標光量になるように補正するために、前記各発光ドットの発光強度データとして、少なくとも前記各発光ドットの近傍の前記発光ドットに対応する電極への印加電圧のオン,オフのパターン毎に設定された発光強度を用い、前記各発光ドットに関し、前記発光強度データを時間で積分した光量が、前記各発光ドットに対する入力画像データに応じて要求される目標光量になるように、前記複数の発光ドットに対応する電極への電圧印加時間を求める際に、前記各発光ドットの発光強度データを時間で積分した光量を、前記各発光ドットおよび前記近傍の発光ドットに対応する電極への電圧印加時間を変数とし、前記変数に依存する前記オン、オフのパターンの変化に応じた係数を有する多変数関数として表し、前記各発光ドットに関する前記多変数関数で表される光量と前記各発光ドットに対する入力画像データに応じて要求される目標光量とが等しいとする連立方程式を解くことによって、前記複数の発光ドットに対応する電極への電圧印加時間を求め、各1ライン毎に、配置されている発光ドットを同時に駆動するようにしている。
【0019】
また、本発明の光プリントヘッドの制御方法では、上記光プリントヘッドはグリッド電極と蛍光材が塗布されたアノード電極によって形成するようになし、特に、蛍光管表示装置で高密度のプリントヘッドを形成する際に、ライン状に並んでいる発光ドットを同時発光した際の相互作用が有効に補正できるようにしてもよい。
【0020】
本発明の光プリントヘッドは、蛍光材が塗布されている複数の発光ドットが、1又は複数のライン状に配列され、前記各発光ドットの電極へ入力画像データを順次供給し、各発光ドットの電圧印加時間を制御することにより、前記発光ドットが出力する光量を制御する光プリントヘッドにおいて、1ラインの入力画像データを、予めROMテーブルに格納されている発光強度データにより補正し、前記発光ドットが出力する光によって感光するフイルムの特性に応じて適正な光量データとなるようにして出力する濃度補正部と、該濃度補正部より出力された各発光ドットに対する光量に対して、前記ROMテーブルから出力される補正データにより、複数の発光ドットに対する電極への電圧印加時間を補正する光量変化補正部とを設けている。
【0021】
そして、前記光量変化補正部は、前記各発光ドットの近傍の前記発光ドットに対応する入力画像データに対応する電極への印加電圧のオン・オフのパターン毎に設定される発光強度データを時間で積分して目標光量を設定する際に、前記各発光ドットの発光強度データを時間で積分した光量を、前記各発光ドットおよび前記近傍の発光ドットに対応する電極への電圧印加時間を変数とし、前記変数に依存する前記オン、オフのパターンの変化に応じた係数を有する多変数関数として表し、前記各発光ドットに関する前記多変数関数で表される光量と前記各発光ドットに対する入力画像データに応じて要求される目標光量とが等しいとする連立方程式を解くことによって、前記光プリントヘッドの1ライン毎に同時に供給される階調データに応じた前記複数の発光ドットに対応する電極への電圧印加時間を求めるようにした点に特徴を有する。
したがって、近傍の発光ドットへの電圧印加状態による光量変化を動的に補正することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
複数の発光ドット(i),i=1〜Nに対応するアノードへの電圧印加時間Tiを制御することにより発光ドット(i)が出力する光量(発光エネルギー)Eiを制御する蛍光プリントヘッドにおいて、発光ドット(i)の光量Eiは、自身の発光ドット(j=i)および近傍の発光ドット(j≠i)の電圧印加時間Tjの多変数関数として表わすことができる。
【0023】
まず、この関数関係の具体的な表式を与える。そして、画像データ(濃度データCi)に対応して要求される発光ドット(i)の光量Eiを、この発光ドット(i)が出力するように、各発光ドット(j)の電圧印加時間Tjを決めるべきであり、その連立方程式を解くための手順を示す。
【0024】
図1は、自身および近傍の発光ドットの電圧印加時間と自身の発光強度の関係を説明するための線図である。図5(a)に示した1直線上の配列において、自身の発光ドット(i)を含め、その左右近傍の5つの発光ドット(j),(j==i−2〜i+2)を考慮したものである。図中、上段の線図は、自身の発光ドットおよび近傍の発光ドットに対応するアノード電極に印加される電圧Vj(j=i−2〜i+2)を示す。中段の線図は、自身の発光ドット(i)の電流密度Ji(t)を示す。下段の線図は、自身の発光ドット(i)の発光強度Pi(t)を示す。
【0025】
図示の例では、発光ドット(i−2)に対応するアノードには、t=0〜Ti-2の期間において正の電圧Vi-2が印加される。発光ドット(i−1)に対応するアノード電極には、t=0〜Ti-1の期間において正のアノード電圧Vi-1が印加される。発光ドット(i)には、t=0〜Tiの期間において正の電圧Viが印加される。発光ドット(i+1)には、t=0〜Ti+1の期間において正の電圧Vi+1が印加される。発光ドット(i+2)には、t=0〜Ti+2の期間において正の電圧Vi+2が印加される。
【0026】
蛍光プリントヘッドの光量Eiと電圧印加時間Tj(j=1,2,・・・,N)の関係は、一般的に、
Ei=fi(Ti-m,・・・,Ti,・・・,Ti+n) (4)
という多変数関数として表わすことができる。ただし、i=1,2,・・・,N、0≦m≦i−1、0≦n≦N−iである。
各発光ドット(i)について、(4)式の関係が成り立つように、電圧印加時間Tiを決める。既知の目標光量Eiに対し、N元連立方程式(4)を解くことによってTiを決定することができる。
【0027】
(4)式において、関数fiの引数である電圧印加時間Ti-m,・・・,Ti,・・・,Ti+nの値が具体的に与えられているとして、それらの値を時間について昇順に並べ替える。図示の例では、Ti-1,Ti+2,Ti-2,Ti+1,Tiと並べ替えられるが、対応するドット番号を、それぞれ、σ(1)=i−1,σ(2)=i+2,σ(3)=i−2,σ(4)=i+1,σ(5)=iと置く。
ここで、便宜的に、
【数1】
と置く。すなわち、全期間点灯時の電圧印加時間をT〜(Tチルダ)と置き、T〜=Tσ(6)とするとともに、電圧印加の開始時点をTσ(0)とする。
【0028】
したがって、電圧印加時間Tj(j=i−m,・・・,i,・・・,i+n)の大きさが、小さい方からk番目であるとき、jとkの対応関係を、j=σ(k)によって表わすことにする。すなわち、
【数2】
である。そして、
【数3】
を満足するtを、期間k(k=1,2,・・・,m+n+2)と名付ける。すなわち、電圧印加時間を順に並べたときの各電圧印加時間の間の期間について、kという番号を付ける。上段の線図からわかるように、各期間kの間、自身の発光ドットおよび近傍の発光ドット(j),j=(i−m)〜(i+n)に対応する電極への印加電圧のON,OFFの組み合わせパターンは変わらない。
【0029】
蛍光プリントヘッドでは、ある時点における発光ドット(i)の電流密度Ji(t)は、自身および近傍の発光ドット(j)に対応する電極への印加電圧のON,OFFの組み合わせパターンによって異なる値をとる。それらの組み合わせパターンを、ONを1,OFFを0として、発光ドット(j)の配列順に並べて、ビット列
{bs}={bi-m・・・bi・・・bi+n}
で表わす。
【0030】
図示の例においては、期間k=1において{bs}={11111},期間k=2において{bs}={10111},期間k=3において{bs}={10110},期間k=4において{bs}={00110},期間k=5において{bs}={00100},期間k=6において{bs}={00000}である。
期間kの間、このビット列{bs}は一定であるので、期間kにおける電流密度は、次式のように一定値をとり、これをビット列{bs (k)}のパターンの関数として表すことができ、
【数4】
と書くことにする。
【0031】
期間kにおけるビットbs (k)は、上述したj=σ(k)の逆変換をk=σ-1(j)とし、jをsに置き換えて表現すると、
【数5】
である。すなわち、各期間kにおいて、発光ドット(s)の電圧印加時間の順番σ-1(s)がk以上であるとき、この発光ドット(s)に対応する電極への印加電圧はONであり、発光ドット(s)の電圧印加時間の順番σ-1(s)がk未満であるとき、この発光ドット(s)に対応する電極への印加電圧はOFFである。
【0032】
発光ドット(i)の電流密度は、図1の中段の線図に示すように、期間kにおいて一定値をとり、階段状の変化を示す。この電流密度は、単位関数を用いて次のように表わすこともできる。
【数6】
ここで、u(x)は単位関数で、
【数7】
である。すなわち、(8)式は、時間tが、Tσ(k-1)からTσ(k)の期間において一定値をとることを表現している。
【0033】
ところで、電流密度に対する発光強度Pi(t)(発光パワー)は、蛍光体材料によって決まる時間応答特性を有する。蛍光体の発光中心の励起状態の寿命τは、ある統計分布に従う。蛍光プリントヘッドで使用するZnO:Zn等の通常の蛍光体では、寿命τの分布関数は
【数8】
で与えられる。λは蛍光体材料により異なる定数であり、ZnO:Znでは約(5μs)-1である。
電流密度Ji(t)に対する発光強度Pi(t)は、(10)式を用いて、
【数9】
で与えられる。ここで、Viは蛍光体の励起エネルギーとしての印加電圧、ηiは発光効率である。図1の下段の線図に発光強度Pi(t)を示す。
【0034】
発光ドット(i)の光量Eiは、式(11)に示した発光強度Pi(t)を全時間について積分して、
【数10】
である。
(12)式の第4式におけるJi(t−t’)の積分は、(8)式において、tをt−t’と置き換えたものを代入して、
【数11】
である。
【0035】
また、(10)式より、
【数12】
である。この(14)式は、分布関数h(τ)の規格化条件であり、一般的に成り立つとしてよい。τをt’に置き換えると、(12)式の第4式のh(t’)の積分が1となる。
従って、(12)式は、
【数13】
となる。
【0036】
図1の中段の線図において、(15)式によれば、発光ドット(i)の光量Eiは、発光ドットの電流密度Ji(t)を時間で積分した値にηiViを乗算したものとなる。すなわち、期間kにおける発光ドット(i)の電流密度とこの期間kの時間長(Tσ(k)−Tσ(k-1))とを乗算した値を、全ての期間kについて加算し、これにηiViを乗算したものとなる。したがって、図1の下段に示した発光強度Pi(t)に見られる、立ち上がり、立ち下がりの発光強度Pi(t)の過渡的変化の影響は、厳密に相殺されていることがわかる。
【0037】
(15)式は、電圧印加時間Tσ(k)ごとに、期間(k)の電流密度から次の期間(k+1)の電流密度を引いた差に、その電圧印加時間Tσ(k)を乗算したものの全ての期間の総和をとり、これにηiViを乗算すると光量Eiが得られることを意味する。図1の中段の線図においては、各電圧印加時間Tσ(k)を横の長さとし、隣接する期間の電流密度差を縦の長さとした長方形の面積を各電圧印加時間Tσ(k)ごとに求め、これらの総和を計算することによって全面積を計算することに対応する。
【0038】
(15)式は、次の(16)式のように書き換えることができる。中間の電圧印加時間Tσ(k)(k=1〜m+n+1),全電圧印加時間Tσ(m+n+2),電圧印加開始時間Tσ(0)の項に分ける。さらに、図1からもわかるように、全電圧印加時間に対応する最後の期間では電流密度が0であり、また、電圧印加開始時間が0である。すなわち、
【数14】
となる。したがって、
【数15】
となる。
【0039】
この(16)式の和をとる順番を、期間kの順番から、発光ドット(j)のドット番号jの順番に並び替えると、k=σ-1(j)であるから、
【数16】
が得られる。さらに、(6)式を用いて、ビット列の関数で表すと、
【数17】
である。
【0040】
ここで、(6)式と同様な関係として、発光強度(発光パワー)を、図1の下段の発光強度Pi(t)の線図に示すように、
【数18】
とする。そこで、
【数19】
と置き、電流密度よりも測定の容易な発光強度によって(18)式を表すと、
【数20】
である。ここで、ビット列 {bs (k)},k=σ-1(j)は、(7)式で与えられる。
【0041】
この(20)式によれば、各発光ドット(i)に対する入力画像データに応じて要求される光量Eiは、各発光ドットおよび近傍の発光ドット(j),j=i−m〜i+nに対応するアノードへの電圧印加時間Tjを変数とする多変数関数として表わされる。そして、印加電圧のON,OFF状態の組み合わせパターンを表わすビット列{bs (k)}に応じた発光強度Pi({bs (k)})の、期間k=σ-1(j)+1と期間k=σ-1(j)との差分に応じた係数を有する。ただし、ビット列{bs (k)}は変数Tjに依存するので、係数も変数Tjに依存する。ビット列{bs (k)}のパターンに応じた発光強度Pi({bs (k)})は、あらかじめ測定して設定しておく。
【0042】
なお、上述した(20)式は、上述した(12)式に示されるように、各発光ドット(i)に関し、発光ドット(i)の光量(発光エネルギー)が、発光強度Pi(t)(発光パワー)を時間について積分した値になることに基づいている。
上述した(20)式を用い、各発光ドット(i)に対する入力画像データに応じて要求される光量Eiになるように、複数の発光ドット(j)に対応する電極への電圧印加時間Tjを決定することにより、各発光ドット(i)は、近傍の発光ドット(j),j≠iに対応する電極への電圧印加状態の影響を加味した光量Eiを出力することができる。
【0043】
なお、(20)式をj=i−m〜i−1,j=i,j=i+1〜i+nに分割すると次式となる。
【数21】
ここで、自身の発光ドット(i)がOFFである期間は、他の近傍の発光ドット(j),j≠iがONであっても、自身の発光ドット(i)の光量はゼロである。そうすると、期間k=σ-1(i)が、発光ドット(i)の電圧印加時間Tiの最後の期間であるので、その次の期間k=σ-1(i)+1においては、次式が成り立つ。
【数22】
さらに、期間k=σ-1(j)が、発光ドット(i)の電圧印加時間Tiの最後の期間σ-1(i)の次の期間以降であるとき、すなわち、σ-1(j)>σ-1(i)であるときには、次式が成り立つ。
【数23】
上述した(20−1)式に(20−2)式を考慮すると、
【数24】
と書くことができる。なお、(20−3)式の関係は暗黙に含まれる。
【0044】
次に、上述した(20)式、あるいは、実質的に同じである(21)式におけるTjの係数の求め方を説明する。これらの係数を得るためには、全発光ドット(i),i=1〜Nについて、各ビット列{bs (k)},k=σ-1(j)に対する発光強度Pi({bs (k)})の値を知らなければならない。ここで、発光強度は、各期間(k)のビット列のパターンに依存するが、期間(k)自体の違いによっては変化しない。したがって、以後、{bs (k)}={bs}と表記して説明する。
【0045】
発光強度Pi({bs})が0でない値を取るのは、上述したように、自身の発光ドット(i)のビットbi=1のときのみである。したがって、自身の発光ドット(i)のビットbi=0のときは、考慮しなくてもよい。しかし、それでも、近傍の発光ドット(s),s≠iのビットの組み合わせは、図示の例では、24通りある。しかし、それらの組み合わせを全てのドットについて測定するのは効率が良くない。そこで、全てのドットについて、Pi({bs})を得るための方法として、次のような方法をとる。いま、
【数25】
という量を考える。これは、自身および近傍の発光ドット(s)のビット列{bs (k)}の中で、s=iのみが単独で点灯しているときの発光強度Pi(0・・・010・・・0)を基準にした発光強度である。このPi(0・・・010・・・0)は、近傍の発光ドット(j),j≠iに対応する電極への電圧印加状態の影響を考えず、単独に点灯したときの発光強度に等しいから、従来技術においても光量補正用に測定していた数値である。
なお、(22)式は、
【数26】
と表わすこともできる。
【0046】
(22)式,(19)式により、電流密度に関しても同様に、
【数27】
と表すことができる。このΦi({bs})は、蛍光プリントヘッドの電極寸法、例えば、フィラメントカソードの傾き、ねじれ等の位置ずれ、および、電極電圧に依存して決まる量である。上述した蛍光プリントヘッドの長手方向の電極寸法の変化は小さく、かつ滑らかであるとみなすことができる。従って、電極電圧が一定のとき、上述した(24)式は、近似的に、発光ドットの配列位置を示す発光ドット番号iの近似多項式として、
【数28】
と表わすことができる。
【0047】
a0({bs}),a1({bs}),・・・,ar({bs})は、各ビット列{bs}ごとに定まる(r+1)個の定数である。Pi({bs})の値は、N個の全発光ドット(i)の各ビット列{bs}ごとに測定する必要はない。(r+1)個またはそれ以上の個数の、異なる発光ドット(i)について、発光強度Pi({bs})を測定し、測定結果をPi(0・・・010・・・0)で割り算をして、Φi({bs})を計算する。そして、最小2乗法により、係数a0({bs}),a1({bs}),・・・,ar({bs})を決定すればよい。(25)式の次数は、通常r=3次の項まで考えれば充分である。したがって、r=3としたとき、Φi({bs})を少なくとも4点の発光ドット(i)について測定することにより、全ての発光ドット(i)について、Φi({bs})を近似的に得ることができる。
一方、(23)式のPi(0・・・010・・・0)の値は、蛍光体の塗布状態等に依存して不規則に変化する。したがって、全発光ドット(i),i=1〜Nについて測定する必要がある。
【0048】
なお、発光ドットの両端近傍では、Φi({bs})が必ずしも滑らかに変化するとはいえない。しかし、蛍光プリントヘッドの両端の領域には、蛍光体が塗布されず電圧が印加されても発光しないダミーのアノード電極が複数個設けられている。全発光ドット(i)には、これらを含めている。したがって、実際に使用する蛍光体が塗布された発光ドット(i)については、Φi({bs})が滑らかに変化している。
【0049】
次に、(20)式の多変数関数の連立方程式を解く方法を説明する。(20)式を、未知数をTjとする一般的な連立方程式として、
【数29】
と表わすことにする。ただし、iの値によって、m,nの値は制限される。すなわち、0≦m≦i−1,0≦n≦N−iである。ここで、上述した(20−2),(20−3)式を考慮して、(20),(21)式との対応関係を示すと、
【数30】
である。
【0050】
ここで、係数Aijの値は、各発光ドット(j),j=(i−m)〜(i+n)の電圧印加時間Tjの大小関係、すなわち、σ-1(j)によって異なる。その結果、係数Aijは、Tjに関して定数ではなく、Ti-m,・・・,Ti,・・・,Ti+nが与えられなければ計算できない。したがって、(26)式は、通常の連立1次方程式ではない。しかし、通常の連立1次方程式における解法として知られた反復法を用いれば、係数Aijを反復の都度、更新することにより変数Tijを求めることができる。なお、以下の記載において、変数kは反復回数を表す変数である。したがって、これまでの記載における、期間を表すkとは異なるものである。
【0051】
第1の数値解法として、ガウス・ザイデル法を応用した例を示す。
Tiの初期値は、自身の発光ドット(i)のみが発光していると仮定したときの値を用いる。すなわち、
【数31】
とする。そして、k回目の値Ti (k)は、前回の値Ti (k-1)を用いて次の(a)〜(f)のステップで計算する。
【0052】
(a) (27)式に、T1 (k-1),T2 (k-1),T3 (k-1)・・・・T1+n (k-1)を代入して、A1j (k)を求める。なお、1−m≦j≦1+nであるが、i=1であるのでm=0となる。
【数32】
【0053】
(b) このA1j (k)と、T2 (k-1),T3 (k-1),・・・・,T1+n (k-1)とを、(26)式でi=1とした、第1番目の方程式に代入し、T1 (k)について、次式のように解く。
【数33】
【0054】
(c) Aijも、A1jと同様に、(a),(b)のステップで求めることができる。しかし、T1〜Ti-1に関しては、T1 (k-1)〜Ti-1 (k-1)よりも確かなT1 (k)〜Ti-1 (k)の値を用いて求めるようにする。したがって、既に、Ti-1 (k)までが解かれているときに、Aij (k)が、次式のように求まる。
【数34】
【0055】
(d) このAij (k)と、Ti-m (k),Ti-m+1 (k),・・・,Ti-1 (k),Ti+1 (k-1),・・・,Ti+n (k-1)とを、(26)式の第i番目の方程式に代入し、Ti (k)について、次式のように解く。
【数35】
【0056】
(e) 既に、TN-1 (k)までが解かれていると、ANj (k)が、次式のように求まる。
【数36】
【0057】
(f) このANj (k)と、TN-m (k),TN-m+1 (k),・・・,TN-1 (k)とを、(26)式の第N番目の方程式に代入し、TN (k)について、次式のように解く。
【数37】
【0058】
(g) 上述した(29)〜(34)式を、反復回数k=1,2,3,・・・と繰り返すと、Ti (k)の値は、それぞれ、ある一定値に近づいていく。繰り返しは、所定の回数だけ行えば終了するか、または反復誤差εが1/(2q−1)以下になれば終了する。ここで、qは(2)式における量子化ビット数である。反復誤差εは、例えば、
【数38】
により定義する。
【0059】
上述した(a)〜(g)のステップにより、T1,T2,・・・・,TN-1,TNが求まると、駆動ICに入力する発光ドット(i)に対応する電圧印加時間の階調データDiは、(2)式と同様に量子化して得ることができる。
【0060】
なお、連立方程式(26)の数値解法は、上述した(28)〜(34)式の方法に限定されるものではない。第2の数値解法としてSOR法(加速収斂法)を応用した例を説明する。定数ω(0<ω<2)を用い、(30),(32),(34)式を、それぞれ、次のようにすればよい。ω=1とすると、第1の数値解法に一致する。
【数39】
【数40】
【数41】
【0061】
次に、図5(b)に示した千鳥状に配列された蛍光プリントヘッドがスタティック駆動される場合を説明する。上述した説明は、図5(a)に示した1直線上に配列された蛍光プリントヘッドがスタティック駆動される場合であった。
千鳥状に配列された蛍光プリントヘッドにおいては、奇数番目の発光ドット32の配列と偶数番目の発光ドット33の配列との間隔が離れているため、蛍光プリントヘッドの電極寸法等に関して条件が異なる場合がある。このような場合には、(25)式を別々に用いて、その近似係数a0({bs}),a1({bs}),・・・,ar({bs})を別々に定めるようにすればよい。
【0062】
上述した説明では、スタティック駆動を前提に説明した。しかし、ダイナミック駆動の場合にも、同時に選択される発光ドット間に、同様に近傍の発光ドットに対応する電極への電圧印加状態の影響がある場合には、相互に影響のある複数の発光ドット群に対し、同様に(20)式を用いて光量変化を補正することができる。
【0063】
図2は、本発明の蛍光プリントヘッドの光量制御方法の実施の一形態のブロック構成図である。図中、1は真空蛍光管、2は濃度補正部、3はROM、4は光量変化補正部、5はパルス幅変調部、6は階調クロック発生部、7はアノードドライバである。
図2を用いて、光量制御の機能を概念的に説明する。真空蛍光管1は、蛍光体を被着した複数のアノード電極と、このアノード電極の近傍に設けられたグリッド電極と、フィラメントカソードを有し、480個の発光ドットを備えるものとする。
【0064】
入力画像データ(濃度データ)Ciは、真空蛍光管1のi番目の発光ドットに対応するアノードへの電圧印加時間を制御するデータである。この入力画像データCiは、濃度補正部2において、ROM3から読み出される関数g(Ci)のテーブルデータに応じて光量Ei=g(Ci)のデータに変換される。ここで感光フィルムの特性に応じて濃度補正等が行われる。この光量Eiのデータに対し、光量変化補正部4において、ROM3から読み出されるデータを用いて、上述した(20)式あるいは(21)式の連立方程式を解くことにより、発光ドット(i)に対応するアノードを駆動するパルス信号のパルス幅を決めるための電圧印加時間Tiのデータ、あるいは、これを量子化した階調データDiが出力される。
【0065】
ROM3に格納された480個の発光強度Pi(0…010…0)のデータは、従来技術においてもROMに格納されている、発光ドット(i)自身の輝度のばらつきを補正するための補正データでもある。また、(23)式のΦi({bs})を決めるデータとして、(25)式の係数a0({bs})〜ar({bs})の(r+1)個のデータが、ビット列{bs}の個数2m+n個のパターンごとに格納されている。この図では、発光ドットの配列が、図5(a)に示した1直線状の配列の場合のデータを図示しているが、図5(b)に示した千鳥配列の場合についても、千鳥配列に応じたデータを格納しておけばよい。
なお、既に説明したように、発光強度Pi({bs})が0でない値を取るのは、自身の発光ドット(i)のビットbi=1のときのみである。したがって、自身の発光ドット(i)のビットbi=0のときのビット列{bs}のパターンについては、係数a0({bs})〜ar({bs})のデータは、必要としない。
【0066】
電圧印加時間Tiのデータ、あるいは、これを量子化した階調データDiは、パルス幅変調部5に入力される。ここでは、所定周期でリセットされる毎に、階調クロック発生部6からのクロックパルスを電圧印加時間Tiのデータに応じた数だけ計数して、電圧印加時間Tiのデータに応じた幅のパルス信号を発生する。パルス幅を8ビットで制御する場合には、28=256種類のパルス幅が得られ、256階調の制御が行える。
【0067】
アノードドライバ7は、図5に示した複数の発光ドット31または32,33に対応した複数のアノード電極にアノード電圧を印加する。スタティック駆動の場合は、複数のアノード電極に同時に印加される。したがって、パルス幅変調部5から出力されるパルス信号は、i番目のアノード電極に与えられる駆動パルス信号となる。したがって、駆動パルス信号は、入力画像データCiに応じた階調に制御されるとともに、i番目の発光ドット(i)の光量を補正したものである。上述した第1の濃度補正部2,光量変化補正部4の機能は、CPU(Central Processing Unit)または専用の演算回路を用い、演算することによって実現することができる。
【0068】
なお、集光光学系における問題として、発光ドット(i)は、感光フィルムを露光させるときに、周辺の領域への漏れ露光によって、隣接する発光ドット(i−1),(i+1)のみが本来感光させるべき領域をもわずかながら感光させてしまうことがある。この問題点を解決するために、本出願人は、特願平9−165629号において、光量を補正する先願発明を出願している。本発明において、上述した漏れ露光の問題点を簡易に解決するには、入力画像データに対応して各発光ドットに要求される目標光量の値を、隣接の発光ドットの漏れ露光の分を考慮し、上述した先願の発明と同様の方法により補正しておけばよい。
【0069】
図3は、光量測定方法を説明するための光量測定装置の斜視図である。1は真空蛍光管、11は光電子増倍管、12は点灯中の発光ドット、13は消灯中の発光ドットである。発光ドット(i)の発光強度Piは、光電子増倍管を用いて次のような光量測定によって決定される。発光強度Pi(0…010…0)については、各発光ドットに対応するアノードに電圧を印加して、1つずつ順次発光させ、光電子増倍管11をこの点灯中の発光ドット12の上に位置させて発光量を測定する。真空蛍光管1を光電子増倍管11に対し相対的に移動させて各発光ドットの光量を測定する。
【0070】
しかし、(25)の多項式の係数a0({bs})〜ar({bs})の決定については、近傍の発光ドットに対応するアノードにも電圧を印加して、同時に点灯する必要がある。したがって、この光電子増倍管11が、同時点灯される近傍の点灯中の発光ドットの光を同時に受光すると、測定精度を低下させてしまうという問題がある。
【0071】
図4は、光電子増倍管の斜視図および光量測定装置の側面図である。図中、図3と同様な部分には同じ符号を付して説明を省略する。11aは受光窓、21は拡散板、22はアパーチャあるいはスリットを有する遮光板、23は集光光学系である。
図4(a)に示すように、光電子増倍管11は受光窓11aを有する。図4(b)に示すように、受光窓11aの前面には拡散板21が設けられ、この受光窓11aから入射した光が電気信号に変換される。ライン光源として前面発光形真空蛍光管を用いた場合、アノード電極が設けられた基板が透光部となっている。図示しない線状カソードから放出された電子の射突により蛍光体が発光すると、アノードの上に被覆された蛍光体の発光は、アノード電極のメッシュあるいはスリットから透光部を透過して外部に放射される。真空蛍光管1は、発光ドットを有すればよく、直視型であってもよい。
【0072】
発光中の発光ドット12からの空間伝搬光は、セルフォックレンズアレイ等の集光光学系23を通し、拡散板21に結像する。この集光光学系23は、真空蛍光管1を光プリンタ用ヘッドとして使用する際に感光フィルムとの間に設けられるものである。光電子増倍管11の受光窓11aの直径は、発光ドットの大きさよりもかなり大きい。したがって、集光光学系23があるものの、同時点灯される近傍の点灯中の発光ドットの光も受光してしまう。そのため、拡散板21の前に、アパーチャあるいはスリットを有する遮光板22を設けて、入射する光の範囲を従来よりも制限することにより、当該発光ドット12の発光強度のみを検出できるようにする。
【0073】
光電子増倍管11に代えて、CCD(電荷結合素子)を用いたイメージセンサを用いれば、1つの発光ドットの大きさよりも小さな範囲を単位とした発光強度を検出することができるので、同時発光する隣接する発光ドットの光を受けることはない。なお、光電子増倍管11を用いるにしても、隣接する発光ドットからの光を受けていることを前提として発光強度を測定し、その後で、連立方程式を解くことにより、単独の発光ドットの発光強度を求めることも可能である。
【0074】
上述した説明では、フィラメントカソードを有する真空蛍光管を用いた蛍光プリントヘッドについて説明した。しかし、電界放出カソードを用いた場合でも、近傍のアノード電極に印加される電圧の影響を受けるため、同様の作用効果を奏する。また、蛍光プリントヘッドについて例示したが、一般的なライン光源においても近傍の発光ドットの影響による光量変化を補正することができる。
【0075】
【発明の効果】
上述した説明から明らかなように、本発明によれば、光プリントヘッドにおける近傍の発光ドットの影響による光量変化を考慮して、各発光ドットの電圧印加時間を決めるため、画像データに対応して各発光ドットに要求される光量を正確に出力することができる。その結果、従来のような、近傍の発光ドットの影響による光量変化から生じる画質の低下を解消することができるという効果がある。また、本発明によれば、グリッド電圧を比較的低く設定できるので、消費電力が低減するとともに、蛍光プリントヘッドの発熱を抑制することができる。
本発明によれば、スタティック駆動だけでなく、ダイナミック駆動の場合にも、同時に選択する近傍の発光ドットに対する電極に印加される電圧の影響がある場合にも、同様の効果がある。
【0076】
近傍の発光ドットの影響を少なくするために、同時に選択する発光ドットの間隔を離して時分割駆動をする方法では、駆動パルスの点灯率(duty factor)が小さくなり、その分だけ光量が減る。これに対し、本発明では、スタティック駆動のままで光量変化を低減することができため、光量を損ねることがない。
光量から電圧印加時間への変換は、従来、画像の濃度データから光量へ変換するときに使用しているCPUおよびROMを用いることができるので、ハードウエアの構成は従来のままでよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】自身および近傍の発光ドットの電圧印加時間と自身の発光強度の関係を説明するための線図である。
【図2】本発明の光量制御方法の実施の一形態のブロック構成図である。
【図3】光量測定方法を説明するための光量測定装置の斜視図である。
【図4】光電子増倍管の斜視図および光量測定装置の側面図である。
【図5】蛍光プリントヘッドの発光ドットパターンの説明図である。
【図6】近傍の発光ドットに対応する電極への電圧印加状態による光量変化の影響を説明するための線図である。
【図7】グリッド電圧とグリッド電流との関係を説明するための線図である。
【符号の説明】
1 真空蛍光管、2 濃度補正部、3 ROM、4 光量変化補正部、5 パルス幅変調部、6 階調クロック発生部、7 アノードドライバ、、11 光電子増倍管、12 点灯中の発光ドット、13 消灯中の発光ドット、11a 受光窓、21 拡散板、22 アパーチャあるいはスリットを有する遮光板、23集光光学系、31 発光ドット、32 奇数番目の発光ドット,33 偶数番目の発光ドット
Claims (3)
- 複数の発光ドットが1又は複数のライン状に配列されており、前記ライン状に配列された複数の発光ドットへの電圧印加時間を制御することにより、前記発光ドットの各列毎に、同時に出力される光量を制御する光プリントヘッドの光量制御方法であって、
前記複数の発光ドットに対応する電極への電圧印加時間を、前記各発光ドットに対する入力画像データに応じて要求される目標光量になるように補正するために、
前記各発光ドットの発光強度データとして、少なくとも前記各発光ドットの近傍の前記発光ドットに対応する電極への印加電圧のオン,オフのパターン毎に設定された発光強度を用い、
前記各発光ドットに関し、前記発光強度データを時間で積分した光量が、前記各発光ドットに対する入力画像データに応じて要求される目標光量になるように、前記複数の発光ドットに対応する電極への電圧印加時間を求める際に、
前記各発光ドットの発光強度データを時間で積分した光量を、前記各発光ドットおよび前記近傍の発光ドットに対応する電極への電圧印加時間を変数とし、前記変数に依存する前記オン、オフのパターンの変化に応じた係数を有する多変数関数として表し、
前記各発光ドットに関する前記多変数関数で表される光量と前記各発光ドットに対する入力画像データに応じて要求される目標光量とが等しいとする連立方程式を解くことによって、前記複数の発光ドットに対応する電極への電圧印加時間を求め、各1ライン毎に、配置されている発光ドットを同時に駆動することを特徴とする光プリントヘッドの光量制御方法。 - 上記光プリントヘッドはグリッド電極と蛍光材が塗布されたアノード電極によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光プリントヘッドの光量制御方法。
- 蛍光材が塗布されている複数の発光ドットが、1又は複数のライン状に配列され、前記各発光ドットの電極へ入力画像データを順次供給し、各発光ドットの電圧印加時間を制御することにより、前記発光ドットが出力する光量を制御する光プリントヘッドにおいて、
1ラインの入力画像データを、予めROMテーブルに格納されている発光強度データにより補正し、前記発光ドットが出力する光によって感光するフイルムの特性に応じて適正な光量データとなるようにして出力する濃度補正部と、
該濃度補正部より出力された各発光ドットに対する光量に対して、前記ROMテーブルから出力される補正データにより、複数の発光ドットに対する電極への電圧印加時間を補正する光量変化補正部とを設け、
前記光量変化補正部は、前記各発光ドットの近傍の前記発光ドットに対応する入力画像データに対応する電極への印加電圧のオン・オフのパターン毎に設定される発光強度データを時間で積分して目標光量を設定する際に、
前記各発光ドットの発光強度データを時間で積分した光量を、前記各発光ドットおよび前記近傍の発光ドットに対応する電極への電圧印加時間を変数とし、前記変数に依存する前記オン、オフのパターンの変化に応じた係数を有する多変数関数として表し、前記各発光ドットに関する前記多変数関数で表される光量と前記各発光ドットに対する入力画像データに応じて要求される目標光量とが等しいとする連立方程式を解くことによって、前記光プリントヘッドの1ライン毎に同時に供給される階調データに応じた前記複数の発光ドットに対応する電極への電圧印加時間を求めるようにしたことを特徴とする光プリントヘッド。
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