JP4264984B2 - 放射線検出器 - Google Patents

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Description

本発明は、荷電粒子、陽子、X線および中性子のような電離放射線を正しい位置で検出するために用いることができる非常に高性能な放射線検出器を実施するための改良技術に関する。
気体におけるイオン化と電荷増倍との過程を利用する放射線検出器は、すでに100年前から用いられており、また改良も重ねられてきた。気体検出器において大きな「安定な」比例ゲインを得るための方法は、検出器の業界における恒常的な研究対象である。
数年前、G.チャーパックおよびF.ソーリは、以下の記述においてはMWPCと呼ばれる平行板および多線式比例チェンバーにおけるゲインの限界を克服するための方法として、以後はMSCと呼ばれる多段式チェンバーを導入した。MSCチャンバにおいては、ドリフトしている電子は、従来の気体検出器のドリフト域に取り付けられていて平行板増倍器として作用する2つの平行なグリッド電極によって前置増幅され、そしてこれら電子は主検出要素に送られる。このMSCチェンバーは、感光性の混合気体を用いて動作され、以下の記述ではRICHと呼ばれるリング結像チェレンコフ検出器中において単一の光検出に充分なゲインを達成することができる。
MSCチェンバーおよびRICHチャンバに関するより詳細な点については、我々は以下の刊行物、すなわち、
― G.チャーパックおよびF.ソーリ、Physics Letter 1978年、第78B巻、523ページと、そして
― M.アダムズ等、Nuclear Instrumentation Methods 1983年217巻、237ページ
を参照している。
さらに最近になると、G.チャーパックおよびY.ジオマタリスが、増倍素子として狭間隙平行板アバランシェチェンバーを用いる高ゲイン気体検出器である改良放射線検出器を開発した。、以下の記述では、この放射線検出器をミクロメガスと記す。
このような検出器は一般的には、微細メッシュのある薄い金属の電極を読出し面に平行に引き延ばすことによって得られる50〜100μmの範囲内にある間隙から成る。G.チャーパックおよびY.ジオマタリスは、非常に高い電界中における電極アバランシェの特定の性質から生じると理解されている、非常に高いゲインおよびレート性能を立証した。このミクロメガス検出器に関するより詳細な点については、我々はNuclear Instruments Methods,1996年A376巻29頁に示されているY.ジオマタリス、P.ルブジャール、J.P.ロバートおよびG.チャーパック編の論文を参照している。
上記の両検出器の主要な欠点は、平行なメッシュを非常に高い精度で引き延ばし、そしてそれを維持しなければならない点にある。特に寸法の大きな検出器においては、この問題に加えて強力な静電引力の存在が付け加わる。こうした欠陥を克服するために、重い支持フレームが必要になり、またミクロメガス検出器の場合には間隙に絶縁ラインまたはピンを接近して配置する必要もあり、そのため後の組立が複雑になり、その上、効率のロスも生じる。
最近、もう一つの放射線検出器が、F.バートルその他によって開発され、Journal of Physics III6(1996)、337ページに提案された。
この検出装置は、以下の記述では
Figure 0004264984
と呼ばれ、基本的には、陰極のフォイルに開けられている孔のマトリックスから成る。陰極と埋込み陽極との間に絶縁シートを挿入することによって、間隙の優れた均一性を保証しそして高ゲインを得ることができる。
さらに特殊な装置としては、平面天球形(planispherical)のX線イメージ装置のための放射線検出器が現在まで研究されている。この特定の対象に関する最も重要な研究は、ジュネーブ(スイス)にある核研究のための欧州機構においてジョージ・チャーパックによって展開されている。
最初の展開は、球形のドリフトスペースを有する比例チェンバーの特性に関するものであった。
ワイヤチェンバーのドリフトスペース内に適当な球形の等電位面を生成するための抵抗ディバイダを備えている比例ワイヤチェンバーは先ず、スイス、ジュネーブの欧州合同原子核研究所(CERN)のG.チャーパック、Z.ハッダック、A.ジーボン、R.スタッブスによって、そしてフランスのパリ7区のジェネラル・ド・ゴール通り、クレタイユにある多科学センターのR.カーンによって開示され、またNUCLEAR INSTRUMENTS AND METHODS 307巻(1974年)―ジュネーブ、1974年7月29日により刊行された。
また、球形のドリフトスペースを備えた大開口X線イメージチェンバーとして具体化された比例ワイヤチャンバも、ジュネーブのCERNにおいてG.チャーパック、C.ドミエール、R.カーン、J−C.スタンディアールおよびF.ソーリによって開示された。NUCLEAR INSTRUMENTS AND METHODS 141巻(1977年)441〜455頁、North-Holland Publishing Co.を参照されたい。
球形のドリフトスペースは、90°までの受け入れ角を有する球形の入射電極および射出電極として具体化されることが開示されている。球形のドリフトスペースと読出し比例チェンバーとの結合部は、移動スペースTから成ることが開示されており、このスペースTの側壁は、読出し比例チェンバーの第1の陰極電極まで増大する半径を有する球形の等電位面を生成するための抵抗ディバイダを含んでいる。
X線および紫外線のための気体検出器に関する視差誤差の様々な補正法に関する全般的な検討が、スイス、ジュネーブのCERNにおいてG.チャーパックによりなされ刊行されている。NUCLEAR INSTRUMENTS AND METHODS 201巻(1982年)181〜192頁、North Holland Publishing Companyを参照されたい。
更に最近では、ブルックヘーブン国立研究所、ニューヨーク、アップタウン11973のP.リーアック、S.C.スミスおよびB.ユーは、1996年IEEE Nuclear Science Symposium(1996年11月2〜9日、カリフォルニア州アナハイムで開催)において、気体ベースの位置感受性検知器における視差幅の縮小方法を示し、これはIEEE Transactions on Nuclear Science 1997年、第44巻3号、651〜655ページとして刊行されている。
光量子のためのドリフトスペースは入射電極内に限定され、そして読出しチェンバーの陰極ワイヤ面は平坦でかつ平行であるが、読出しチェンバーの入射窓は更に、等電位面を漸進的に湾曲させるために採用された特定の導電パターンを有しており、その結果、焦点から放射するX線の衝突方向がどのようであろうとも、視差誤差を補正しそして減少させるために、電気力線はこの等電位面と90°に交差する。
上記のX線イメージ装置は一般的には、視差誤差が数パーセントに減少している点で満足できるものといえるであろう。しかし、視差誤差の完全な補正を果たすために採用されている導電パターンを備えた読出しチャンバの入射窓は、その実施が困難である。それは、実際の導電パターンとこれら導電パターンに印加される対応電圧は、電界が環形の入射窓の近くでのみほぼ放射状であって、変換領域を構成する等電位の第2の電極に近づくに従って電界はほぼ平行になるからである。その結果、視差誤差は変換X線の貫通と共に増大することになる。
したがって、本発明の目的は、従来技術の放射線検出器における上述の欠点を克服する非常に高性能な放射線検出器を提供することである。
本発明のもう一つの目的は更に、MSCチェンバーの単純さとミクロメガス放射線検出器およびCAT放射線検出器の高電界の利点とを有し、かつ、その実施が機構的により簡単であり、かつ、より多用途の、非常に高性能な放射線検出器を提供することである。
本発明の更にもう一つの目的は、ほぼ1に等しい電荷転送率によって非常に高い精度と解像度が得られる非常に高性能な放射線検出器を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、105Hz/mm2までのカウントレートのためのほぼ一定な増幅度を有する放射線検出器を提供することである。
また本発明のもう一つの目的は、特に、イメージ装置が、その入射窓に直交する対称軸に関して完全に対称な構造を有することによって、像の歪みが抑制される視差のない平面天球形のX線イメージ装置に用いられる放射線検出器を提供することである。
更にまた、本発明のもう一つの目的は、特に、従来技術の対応するX線イメージ装置の欠点を克服してしかもその実施が機構的に非常に簡単である特殊な気体電子増倍構造を実現している非常に高性能の視差のない平面天球形のX線イメージ装置に用いられる放射線検出器を提供することである。
本発明によってよって、特に、一次電子が電離放射線によって気体中に解放され、電界によって捕集電極にドリフトする放射線検出器が提供される。本発明の放射線検出器には、複数の電界集束エリア(electric field condensing area)から成る少なくとも1つのマトリックスを含む気体電子増倍装置が含まれていて、これらの電界集束エリアは電界にほぼ垂直な立体面(solid surface)に分布している。各電界集束エリアはそれぞれ、気体中において各一次電子から電子アバランシェを発生させるように局所的に電界振幅(electric field amplitude)を増大させる。このようにして、気体電子増倍装置は、一次電子の所定のゲインをもつ増幅器として作用する。
本発明の目的、利点そしてその他の特徴は、単なる例示として示されている幾つかの実施例について、添付の図面を参照しながら、以下になされる説明を読めば、より明らかになるであろう。
添付の図面において、
― 図1aは、本発明による円筒形の放射線検出器の好ましい1実施例の斜視図である。
― 図1bは、本発明による平面形の放射線検出器の特殊な1実施例の斜視図である。
― 図1cは、本発明による球形の放射線検出器の特殊な1実施例の斜視図である。
― 図2aは、図1aおよび図1bの破線で示されている面Pとして図示されている断面に沿う断面図である。
― 図2bは、図1cにおいて破線で示されている面Pとして図示されている断面に沿う断面図である。
― 図3aは、図2aに対する電気力線を表す図である。
― 図3bは、図2bに対する電気力線を表す図である。
― 図4aは、図1bの細部を示す前面図であり、この細部は、電界集束エリアの1つのマトリックスを含む気体電子増倍装置から成る。
― 図4bは、図4aの細部を示す前面図で、電界集束エリアのマトリックスが複数の円形の通し孔から成ることを非限定的な例示として示されている。
― 図4c、4d、4eおよび4fは、異なる形状とピッチとを有する通し孔を備えたマトリックスの特殊な実施例を示す。
― 図5aは図4bの細部の斜視図で、本発明による放射線検出器内の気体電子増倍装置の動作モードは一次電子から電子アバランシェを発生させるように働くことを示すである。
― 図5bは、図5aにおいて破線で示されている面Rとして図示されている断面に沿う断面図であり、同図において、電気力線および等電位線は1つの局所電界集束エリアの位置で図示され、等電位線は実線で示され、電気力線は破線で示されている。
― 図5cは、図5bに示されている局所電界集束エリア内における電界分布を示すグラフであり、この電界は図5bに示されている対称軸X’Xに関してプロットされている。
― 図6aおよび6bはそれぞれ、本発明による放射線検出器の概略図で、電界集束エリアの複数のマトリックスがこの放射線検出器を実施するために用いられている。
― 図7aは、特定の放射線検出器に挿入される、本発明による気体電子増倍装置の概略図であり、このようにして、本発明のこの気体電子増倍装置は一次電子のための前置増幅器として作用する。
― 図7bは、特定のホスト放射線検出器に組み込まれている、本発明による多段電子増倍装置を表す概略図であり、このようにして、この多段気体電子増倍装置は一次電子のための個別の前置増幅器として作用する。
― 図8aは、本発明による放射線検出器に充填されている幾つかの気体の混合物に対する増幅率を示すグラフであり、この増幅率は局所電界集束エリアのマトリックスに印加されている電圧(ボルト)に対してプロットされている。
― 図8bは、MSSCチェンバーを用いて形成されている本発明による放射線検出器から得られた相対パルス高を表すグラフであり、気体電子増倍装置は図7aに示されているように挿入されていてこの相対パルス高は、Hz/mm2の単位のカウントレートに対してプロットされている。
― 図8cは、アルゴンおよび二酸化炭素の乾燥混合気体とそして湿潤混合気体とがそれぞれ、本発明による放射線検出器内に充填される気体として用いられている場合における本発明による気体電子増倍装置の前置増幅率または増幅率の比較測定値のグラフであり、この増幅率または前置増幅率は分単位の時間に対してプロットされている。
― 図8dには、局所電界集束エリアの中央対称軸に沿った電界の増加が、この局所電界集束エリアの特定ゾーンに注入された永久電荷によって更に増している、局所電界集束エリアの好ましい1実施例が示されている。
― 図9aは、特に結晶学の実験のために用いられる本発明による放射線検出器の前面図である。
― 図9bおよび9cは、より特別に、シンクロトン型の加速器の衝突用リングパス内において加速された衝突粒子によって生成される電離放射線の検出のために設計された本発明による放射線検出器の好ましい1実施例を示す前面図であり、したがって、この加速粒子は非常に高いエネルギーレベルを有する。
― 図10は、より特別に光子検出のための本発明による放射線検出器の非限定的な1実施例の、図3aと同様の断面図である。
― 図11aは、本発明による視差のないX線イメージ装置の好ましい1実施例の断面図である。
― 図11bは、球形の変換領域チェンバー内に生成される一次電子の所定のゲインの増幅器として動作するために特に適している本発明の視差のないX線イメージ装置に組み込まれている気体電子増倍装置の断面であり、これらの一次電子の増幅は電子アバランシェ現象によって生じる。
― 図11cは、本発明の視差のないX線イメージ装置を実施するための入射窓の機械的構造と、気体電子増倍装置の構造とそしてこれらの相対的位置とが示されている図1aの部分斜視図である。
― 図11dは、本発明による視差のないX線イメージ装置を実現する、入射窓および気体電子増倍構造を形成する電極に逐次に印加される電圧を示す電圧分布である。
― 図12aは、本発明の視差のないX線イメージ装置を構成する、球形の変換ボリュームチェンバーと気体電子増倍装置の構造と転送および誘起体積との部分断面図であり、これには、対応する電極と、対応する等電位面とに印加されている相対電圧値が示されている。
― 図12bは、気体電子増倍装置の構造を形成する電界集束エリアの近傍における等電位面および対応する電気力線の局所的歪みがより分かりやすく示されている図2aの細部である。
― 図12cは、より特別に、供給接続線のマスキングによって像の実質的な劣化が生じない逐次導電リングの適正電圧の供給を可能にする本発明の視差のないX線イメージ装置に組み込まれている気体電子増倍装置の構造の断面図である。
本発明による放射線検出器が以下に、当明細書における非限定的な例として開示される。特に、本発明による放射線検出器は、X線撮影や画像診断のような多くの種類の応用に、そしてより一般的には気体に一次電子を解放するために実施されるあらゆる種類の放射線に、同一の利点を持って使用することができる。
以下に、本発明による放射線検出器を図1a、1bおよび1cを参照しながら説明する。
添付の図面においては、同一の参照符号は同一の要素を示すが、全体をより良く理解させるために、これらの図面は、これら要素の相対的寸法を表してはいない。
図1aに示されているように、本発明による放射線検出器は、一次電子が電離放射線によって気体中に解放され、そして、これらの一次電子は、電界によって捕集電極にドリフトされる型の検出器である。上記の図面において、ベクトル
Figure 0004264984
は電界を表し、CEは捕集電極を表す。
一般的に、本発明の放射線検出器は、気体が充填されている、参照符号Vで表されている容器を含み、この容器内で入射電離放射線により一次電子が解放される。図1a、1bおよび1cにおいては、電離放射線は、Sという参照符号で表されている発生源によって生成されるX線またはガンマ線として示されている。このようにして、発生源Sにより生成されたX線またはガンマ線は、参照符号IWで表されている入射窓を通って本発明の放射線検出器内に入りそして一次電子を生成し、この一次電子は容器V内に含まれる気体中に解放される。入射窓IWは、一般的には薄い金属フィルムから成るメタルクラッド内部表面を有し、このフィルムはドリフト電位におかれる。以下の記述においては、このドリフト電位をVDと表す。たとえば図1aに示されているように、捕集電極CEと入射窓IWとそしてドリフト電極DEは、気体を収容するための容器Vを形成することができ、一次電子は電離放射線との衝突時にこの気体中において解放される。この容器Vを構成するために参照符号F1およびF2で表されている軽量フレームを用いることもできる。
また、図1a、1bまたは1cに示されているように、容器Vには更に、以下の記載においてGIと記されるガス入口とそしてGOと記されるガス出口とが設けられており、これらは共に、ネジ切りされた1本の小管から成り、後により詳細に説明するように、ガス入口およびガス出口によって特定の混合気体または専用気体を容器Vに充填することができる。ガス入口GIとガス出口GOは、適切な気体充填と循環を保証するために容器Vの両側に配置することもできる。
図1a、1bおよび1cに明示されているように、本発明による放射線検出器は更に、気体電子増倍装置をも備えている。以下、気体電子増倍装置をGEMと記し、参照番号1を付して表す。この気体電子増倍装置1は、複数の電界集束エリアの少なくとも1つのマトリックスを有し、以下、これらの電界集束エリアをそれぞれ1iという参照符号で示す。
上記の図において、電界集束エリアは、電界ベクトル
Figure 0004264984
にほぼ垂直な立体面内に分布している。各電界集束エリア1iは各々の一次電子から気体中に電子アバランシェを生成するのに適した局所的な、電界振幅の増加を生じさせる。したがって、気体電子増倍装置1は、これらの一次電子に対する所定ゲインの増幅器として作用し、捕集電極CEによって、後に本明細書に開示されているように、電子アバランシェの検出を行うことができる。図1a、1bおよび1cに示されているように、電界集束エリアのマトリックスを形成する立体面は様々な形状が可能であり、したがって気体を収めている容器Vの形状は上記の図面に示されているように、当該立体面に適合させることができる。このようにして、図1aにおいては、気体電子増倍装置を構成している立体面は円筒形であり、入射窓IWおよびこれに結合しているドリフト電極DEは捕集電極CEと共に同じ円筒形をなしていて、気体電子増倍装置1を形成するこの円筒形の立体面にほぼ垂直な、半径方向の電界ベクトル
Figure 0004264984
を形成する。
図1bにおいては、図1aと逆に、気体電子増倍装置1は、平面的な形状である立体面によって形成されており、入射窓IWおよびこれに結合しているドリフト電極DEは捕集電極CEと共に、平面的な構造を構成するように、互いに平行である。その結果、捕集電極CEと入射窓およびドリフト電極DEとの間に生成されている電界ベクトル、すなわちベクトル
Figure 0004264984
は、気体電子増倍装置1を構成している平面的な立体面にほぼ垂直である。
図1cにおいては、気体電子増倍装置1を構成している立体面は球形であり、この立体面はこの立体面と平面との交差面によって画定されている。図1aおよび1bと同様に、捕集電極CEと入射窓IWおよびこれに結合しているドリフト電極DEとは球形の形状であって、気体電子増倍装置1を構成している、対応する球形の立体面にほぼ垂直な電界ベクトル
Figure 0004264984
を生成する。
図1a、1bおよび1cに示されているように、各電界集束エリア1iは、より理解し易いように、1つの孔から成るように表示されているが、ここに生じる局所電界振幅の増大はこの集束エリアの対称軸に関してほぼ対称である。このようにして、この局所電界振幅の増大は各局所集束エリア1iの対称の中心においてほぼ最大になる。本発明の放射線検出器のある特定の実施形態によると、複数の電界集束エリア1iはほぼ同一の形状であり、そうして、図1a〜1cに示されているように、その形状がどのようなものであろうとも、それらの電界集束エリア1iは、気体電子増倍装置1を形成するように、規則的に立体面に分布されている。
次に、図2a、2bおよび3a、3cを参照しながら、本発明の放射線検出器を構成している気体電子増倍装置1の構造および動作モードに関する、より詳細な説明をする。
図2aは、図1aまたは図1bに示されている本発明による放射線検出器の断面図を示しており、この横断面図は、図1aおよび1bにおいて破線で示されている交差面Pに沿って切断したものであり、一方図2bは、図1cにおいて破線で示されている対応する交差面Pに沿った横断面図である。
図2aと2bとを比較すると、気体電子増倍装置1および捕集電極CEと入射窓IWおよびその関連ドリフト電極DEとを構成する立体面が、図2bの放射線検出器においては球形であるので、図2bの同一の要素が湾曲している点においてのみ異なるだけである。いずれの場合でも、捕集電極CEは、本明細書において上述したように、アバランシェの検出ができるように、例えば、プリント回路板上に配置されている金属パッドまたはストリップから成るものと考えられる。
本発明の放射線検出器を形成する気体電子増倍装置の好ましい1実施例においては、図2aおよび2bに示されているように、電界集束エリア1iのマトリックスはメタルが被覆された絶縁物フォイル(参照番号10が付されている)を有する。その絶縁物フォイル10の各面には第1と第2の金属クラッド(それぞれ参照番号11および12が付されている)が形成され、これらの金属クラッド11、12は、絶縁物フォイル10を挟んでいて、正規のサンドイッチ構造を形成している。更に、電界集束エリアのマトリックスには、これらの電界集束エリアを形成するように、規則的サンドイッチ構造(図2aおよび2b参照)を貫通して多くの通し孔(参照番号1i)が設けられている。
更に通し孔の各々の所に1つの電界集束エリア1iを生成するためにバイアス回路が設けられ、該バイアス回路は、第1と第2の金属クラッド11、12に印加されるバイアス電圧を生成する。図2aおよび図2bでは、バイアス回路は参照番号2で表され、そしてVGEMとして示されている電位差を生じさせる。
次に、本発明による放射線検出器の動作モード、特に、図2aおよび図2bに示されている気体電子増倍装置1の動作モードを図3aおよび図3bを参照しながら説明する。
一般的には、規則的サンドイッチ構造は、動作時には、電界ベクトル
Figure 0004264984
にほぼ垂直に配置され、したがって第1の金属クラッド11はドリフト電子の入口面を形成し、一方、第2の金属クラッド12は、電界集束エリア1iの1つを形成する各通し孔の所で生成されるアバランシェの出口面を形成する。
図3aを参照すると、電界ベクトル
Figure 0004264984
を導く電気力線はドリフト電極DEと気体電子増倍装置1との間の電界を表し、一方電界ベクトル
Figure 0004264984
を導く電気力線は気体電子増倍装置1と捕集電極CEとの間の電界を表している。第1と第2の金属クラッド11、12を適宜な電圧に、すなわち連続的な電位差の値に設定すると、各々の局所電界集束エリア1iすなわち各通し孔は双極子として振る舞い、この双極子によって、事実上、もう一つの電界ベクトル
Figure 0004264984
が重畳される。このもう一つの電界
Figure 0004264984
は、各通し孔の対称軸にほぼ沿う方向を向く。したがって、電気力線は、図3aまたは3bに示されているように、各局所電界集束エリア1iの所で曲げられていることに留意してほしい。
明瞭、かつ、分かり易くするために、図3aおよび3bはドリフト域と検出域内に電荷がないものとして示されているが、このような場合は電離放射線が不在の場合に完全に相当している。例えば、所定の局所電界集束エリアに達する最も外側の電気力線によって画定されている仮想立体面(以下、FTと記す)は、例えば図3aに示されているように、電気力管FTを形成し、その中では、電力束は保存する性質を示す。その結果、各局所電界集束エリア1iの所における電界の増加が次のようにしてなされることは、当該技術に通常の知識をもつ当業者には明らかであろう。すなわち、集束電界のベクトル
Figure 0004264984
が通る任意の面は、本来の電界ベクトル
Figure 0004264984
と、重ね合わされる電界のベクトル
Figure 0004264984
とのベクトル和に等しい合成電界の増加に直接的に関係する。
図3aにおいて面Qとして参照されている対称面に関して対称な特性を有するサンドイッチ構造によって、任意の局所電界集束エリア1iに達する最も外側の電気力線によって形成される仮想立体面(ドリフト域における仮想立体面)は、同じ電気力管FTに関して、図3aに示されているように、検出域における、同じ局所電界集束エリア1iから出る電気力線によって形成される対称な仮想立体面(対称面Qに関して、ドリフト域における仮想立体面に対称な仮想立体面)としてほぼ写像される。その結果、本明細書において後に説明される、絶縁物フォイル10を挟んでいる第1と第2の金属クラッド11、12に印加される電位差間の所定の関係が達成されると、ドリフト域における曲げられた電気力線の立体面が、図3aに示されているように、検出域内においては完全に復元されることは明らかである。さらに、ドリフト域内における電界
Figure 0004264984
と検出域内の電界
Figure 0004264984
とはほぼ平行であるが、これらは異なる値の振幅を有し得ることは強調されなければならない。一例として、捕集電極への転送速度を増大させてより速い信号を得るために、検出域の電界の振幅
Figure 0004264984
を、ドリフト域の電界の振幅
Figure 0004264984
より大きい値に設定することもできる。電気力線の全体的な形が、サンドイッチ構造の球形の形状のみによって、またはさらに特別な場合として、図3bに示されているような円筒状の形状のみによって変更されている図3bにおいても、状況は同様である。
本発明による放射線検出器を構成する気体電子増倍装置の好ましい実施例を、図4a、4bと、そしてより一般的には図4c〜4fを参照して以下に説明する。例えば図4aに示されているように、気体電子増倍装置1は、参照番号10の薄い絶縁物フォイルによって構成し、該絶縁物フォイルの各面に金属被覆をすることができる。したがって、この金属被覆は図2aおよび2bを参照すると、番号11および12によって表され、このようにして形成されたサンドイッチ構造には、また、番号1iによって表される幾つかの小孔の規則的なマトリックスが貫通している。このフォイルの厚さの典型的な値は25〜500μmで、これらの小孔の中心は50〜300μmの距離で隔てられている。これらの小孔は、20〜100μmの直径を有する。小孔1iのマトリックスは一般的に図4aに示されている規則正しい形状の絶縁物フォイルの中央領域に形成されている。この絶縁物フォイル10はその各面に番号120および110で参照される電極を有し、これらの電極は、小孔のマトリックスを構成しているメッシュの両側の金属面間に電位差を与えるために用いられる。この複合メッシュは、本明細書において後に説明される従来技術によって作製され、設置するに際して簡単であり、頑丈で、そして事故による放電にも強い。
図4aに示されているメッシュは従来のプリント回路技術によって実現することができる。一例として、2枚の同等なフィルムまたはマスクを所望の孔のパターンに形成し、そのフィルムまたはマスクを、予め感光樹脂がコーティングされたメタル被覆絶縁物フォイル10の各側面上に被せる。絶縁物フォイル10はKAPTONまたはこれと同様なポリマーから成る(KAPTONはDUPONT DE NEMOURSの登録商標である)。樹脂被覆を紫外線光に露光し、金属の除去すべき箇所、すなわち小孔になる所のみを酸腐食させる。次にフォイルは、用いられているポリマーにふさわしい溶剤に浸され、化学エッチングによって両側からフォイル内に孔があけられる。エッチングのパラメータの正確な制御は再生可能なメッシュを得るために必須であるが、この全工程は、通常の公知の工業手順を用いる。上述の方法は、例えば20〜100μmの厚さの絶縁物フォイルからメッシュを作製するのに適している。もっと大きな厚さ、すなわち約100〜500μmの厚さの絶縁物フォイルには、プラズマエッチングまたはレーザ穿孔のような代替の標準的製作法を用いることができ、同様な結果が得られる。レーザ穿孔は、本発明に付随する応用にふさわしい形状の小孔マトリックスが得られるように穿孔工程を計算して制御することができるので、特に興味深い方法の1つであるように思われる。
このようにして得られたメッシュの細部は図4bに示されている。図4bに示されている小孔は円形であるが、図4c、4dおよび4eを参照して開示されているように、これらの小孔は様々な形状であり得る。
これらの図面は、メッシュの前面図と、そして当該前面図において小孔のマトリックスを形成している、隣接する2つの小孔の対称中心を含む面に沿って切断した当該前面の断面図とからなる。図4b、4c、4dおよび4eを参照すると、各小孔は20〜100μmの範囲内にある開口部直径をもつものと見なされる。図4bに示されている小孔は円形であり、これらの孔の最も外側の寸法はその開口直径に完全に一致するが、これに反して、図4cおよび4dに示されている小孔は丸い角を有する正方形の孔に完全に一致し、この丸い角が孔の開口直径に相当する。
このような丸い角によって、不規則な放電現象を少なくすることができる。
図4eにおいては、その小孔は、図4bに示されている小孔と完全に対応するように図示されている。図4c、4dおよび4eにおいては、パラメータP、D、d、TおよびSは以下のように定義される。すなわち、
Pは、相次ぐ順序にある2つの小孔の中心間の距離、
Dは、正方形の小孔の最も外側の寸法、
dは、正方形の小孔の最も内側の寸法、
Tは、絶縁物フォイル10の厚さ、
Sは、サンドイッチ構造を形成する第1の金属クラッド11と第2の金属クラッド12の厚さである。
上記のパラメータP、D、d、TおよびSの対応する値は図4cおよび4dに対してマイクロメータの寸法の単位で与えられる。
図4cおよび4dにおける例に示されているように、各通し孔1iは第1と第2の切頭台形の穿孔によって形成されている通し孔から成る。第1の切頭台形の穿孔は、第1の金属クラッド11から、図3a、3bおよび4c、4eにおいて面Qとして示されている規則的サンドイッチ構造の中間面まで延びている。第2の切頭台形の穿孔は、第2の金属クラッド12から、面Qとして示されている同じ中間面まで延びており、切頭台形の穿孔は双方とも、対応する金属クラッド11または12のところで、上述のような所定の値の直径を持つ第1の円形開口を有している。双方の切頭台形穿孔は規則的サンドイッチ構造の中間面のところで連結して、図4cおよび4eに示されている対応する通し孔1iを形成する。上述したような所定の値のピッチPを用いて、同一の形状を有し、かつ絶縁物フォイル10のメタルクラッド面全体にわたって規則的に分布されている通し孔1iは、このようにして、動作中に局所電界集束エリアのマトリックスを構成する小孔マトリックスを形成する。
図4dには、本発明の小孔マトリックスのもう一つの特殊な実施例が示されいる。この場合には、各通し孔1iはその通し孔の縦方向の対称面に沿った円錐体形の断面を有する。
以下に、図4c〜4eに関して、対応するパラメータを記す。
P、TおよびSは、図4cおよび4dの場合と同じパラメータを指す。そして
1は、例えば、第1の金属クラッド11のところに形成されている小孔の最も外側の寸法、
2は、第2の金属クラッド12のところに形成されている正方形の小孔の最も外側の寸法、
1は、第1の金属クラッド11のところにおける絶縁物フォイル10の通し孔の最も外側の寸法、
2は、絶縁物フォイル10を貫通しかつ第2の金属クラッド12のところにある正方形の通し孔の最も外側の寸法である。
これらの寸法の単位はマイクロメータである。これらのパラメータの値は、寸法例としてのみ表I、IIおよびIIIに記されている。表I、表IIおよび表IIIは、それぞれ、図4cと、図4dと、そして図4eおよび4fとに関連している。
Figure 0004264984
Figure 0004264984
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図4dに示されている各通し孔1iは、このように、互いに異なっている所定の値の第1と第2の円形の開口またはほぼ円形の開口を有し、したがって、第1の金属クラッド11および第2の金属クラッド12のところでそれぞれ異なる値の第1と第2の開口直径を形成する。
図4fは、各通し孔が完全に円形で貫通されているもう一つの特殊な実施例である。図4fにおける寸法は、したがって、表IIIに示されている寸法に対応することができ、この場合dはDに等しくなる。図4fに示されているようなマトリックスはレーザ穿孔で作製することができる。
次に、本発明による放射線検出器を構成している気体電子増倍装置1のより詳細な動作モードを図5a、5bおよび5cを参照しながら以下に説明する。
動作中において、メッシュの第1と第2の金属クラッド11および12間に電位差が印加されたとき、図3a、3bおよび図5a、5b、5cに示されているように、上述のベクトル
Figure 0004264984
のような非常に強い局所電界が小孔内のオープンチャンネル内に発生する。
図3aまたは5a、5bに示されている電界の増加は、図3a、3bまたは5aに示されているドリフト域における電気力管FTの一つに入る一次電子のアバランシェ増倍を誘発するのに充分な大きさである。
図5bは、本発明の目的にしたがって放射線検出器を構成する気体電子増倍装置1の電界集束エリア1iにある電気力線および等電位線の分布を示しており、ここでは電気力線を実線で表し、等電位線を破線で表している。ある所定の電位差VGEMが本発明による放射線検出器を構成する気体電子増倍装置1の第1および第2の金属クラッド11および12に印加されるならば、図5bに明瞭に示されているように、電気力線が第1と第2の金属クラッド11および12にもまた絶縁物フォイル10にも達することがないことは、特に強調しておかなくてはならない。
また、図5bまたは3a、3bにおいてX’Xとして示されている対称軸にそった電界の分布は、図5cに示されているように、図5bの分布曲線に関する対称面である中間面Qに関してほぼ対称であることも、特に強調しておかなくてはならない。セルすなわち電気力管FTの数学的境界を除いてドリフト域からの電気力線はどれも上部電極までで終わるということはないので、局所電界集束エリア1iはドリフト電子を電子アバランシェとして完全に伝達し、このようにして本発明の放射線検出器を構成する気体電子増倍装置1は電荷の完全な伝達を行い、その結果、ほぼ1に等しい電気的透過率を実現することが大切なことである。この電気的透過性は、気体電子増倍装置1を構成するメッシュの光学的透過性とは区別されなければならない。その理由は、ほぼ1に等しいこの電気的透過性は、メタルクラッド絶縁物フォイルの全表面積に対する、局所電界集束エリアを構成する全ての小孔の全表面積の比率として定義される光学的透過率をもつメッシュによって実現され、この光学的透過率は10%〜50%であるからである。また、チャンネルすなわち小孔の高密度によって、電子の拡散に起因する本来の広がりに匹敵する値にまで像の歪みを減少させることができることも強調しなければならない。
次に、図6aを参照しながら、本発明の放射線検出器の特定の一実施例を説明する。
放射線のゲインすなわち増幅率は、本明細書に開示されている気体電子増倍装置によって得られる増幅率のイールドと直接的関係がある。この増幅率は、電界の増加に直接的に関係しており、特に、電界集束エリアを構成する各小孔の対称軸X’Xに沿って電界振幅と、局所電界集束エリア内におけるアバランシェの経路の長さ、したがってメタルクラッド絶縁物フォイル10の厚さに直接的に関係している。本明細書において前述したように、小孔をレーザ処理によって穿孔することによって上記厚さが100μmに達し得る限り、1つの一次電子に対する、検出域に入るアバランシェ電子の数の比率として定義される増幅率の値は、1000以上の値になる。このようなゲインまたは増幅率で、捕集電極CEは例えばイオン化状態においてゲイン1で動作する。このような場合には、この電極CEは、例えば図1a〜1cに示されているように、複数の陽極素子から成り、各々の陽極素子は導電材料の1枚の帯板またはパッドから成り、その導電材料によって各電子アバランシェの電子的検出を行う。例えば図2aおよび図2bに示されている各陽極素子は、基準電位、例えば、グラウンド電位に設定され、上記の図面には示されていない検出装置に検出信号を伝達するための増幅器AにコンデンサCAを介して接続されている。この検出装置は、当該技術に通常の知識を有する当業者にとっては公知であるので、ここでは説明しない。
ほぼ1に等しい上述の電気的透過率のために、本発明の放射線検出器は、一次元の位置検出でも二次元の位置検出でも行うことができる。このような目的のために、図2aに非限定的な1つの例として示されているように、捕集電極CEは、気体電子増倍装置1に面している絶縁物フォイルまたはプリント回路基板上に配置されている幾つかの陽極素子STiを備えており、一次元検出の場合には、各陽極素子はそれぞれ1枚の導電帯板から成り、これらの帯板は互いに平行でありそして第1の方向に延びている。しかし、二次元検出の場合には、絶縁物フォイルの他方の側に更に陽極素子STjを設置することができ、これらは、第1の陽極素子とは別に第1の方向と直交する第2の方向に延びている平行な導電帯板を形成する。気体電子増倍装置1に面している導電帯板STiは、捕集電極CEの全表面積の50%のみを覆うように、互いに規則的に一定の間隔を置いて配置されることが好ましい。それによって、気体電子増倍装置1に面している任意の陽極素子STiの前面に生成される電子アバランシェが、陽極素子STiに部分的にマスクされている、対応する陽極素子STjにも、対応する検出信号を誘起させることができる。コンデンサCAおよび抵抗器RAと共に検出回路を構成する検出増幅器Aのゲインは、それぞれ、陽極素子の各セットに誘起される検出信号の良好な平衡をとるために、各セットの陽極素子に対してそれぞれ異なる適正な値に設定することができる。
本発明の放射線検出器を構成する気体電子増倍装置のゲインイールドを改善するために、図6aに示されているように、電界集束エリアの複数の相継ぐマトリックス(以下、順次配列マトリックスと記す)を用いることができる。これらのマトリックスは一次電子の流れに対してカスケード関係になっており、図6aにおいては、理解を助けるためにGEM1およびGEM2として参照される2つのマトリックスのみが示されている。これらの順次配列マトリックスは互いに平行に、すなわち、交差せずに配置されており、図6aに示されているように、共通の中心に対して相似(homothetic)のマトリックスを形成して放射線検出器を形成している。この図に示されているように、相次ぐ2つのマトリックスは、対応する電界に平行な方向に、所定の距離だけ互いに隔てられて配置されている。その結果、ドリフト電極DE、第1のマトリックスすなわち第1の気体電子増倍装置GEM1、第2のマトリックスすなわち第2の気体電子増倍装置GEM2、さらにそれに続くマトリックスは捕集電極CEと共に、それらの間に、ベクトル
Figure 0004264984
ベクトル
Figure 0004264984
ベクトル
Figure 0004264984
等として表されている、順次に配列された電界(以下、順次配列電界と記す)を形成する。このように、順次に配列された各電界によって任意の一次電子、または1つの電子アバランシェの電子が一次電子として、その対応する電界によって、マトリックスの分離距離に沿ってドリフトすることが可能になる。
図6aおよび6bに示されている順次配列マトリックスによって形成されている気体電子増倍装置は、このようにして増幅器として動作し、そのゲインは各マトリックスのゲインイールドの積である。図6bは事実上、図6aに示されている放射線検出器の平面的な実施例を示す。図6bに示されているような平面的な実施例では、共通の中心Cは実際上無限遠にあることを想起すべきである。
図1a〜6bを参照して今までに説明された本発明の放射線検出器は増幅器として完全に作用し、その捕集電極CEはゲイン1で動作し、したがって、簡単でかつ非常に安価な裸のプリント回路で作ることができ、そのため、1段気体電子増倍装置でも図6aと6bとに示されている多段気体電子増倍装置でも、全ゲインすなわち増幅率は気体電子増倍装置のみから得られる。
本発明の放射線検出器を実施するためのもう一つのモードを、図7aおよび7bを参照しながら以下に説明する。この場合には、気体電子増倍装置は、適当なゲインをもつホスト検出器に挿入されている。このホスト検出器は一般的に、非限定的な実例として、以後はMSGCと呼ばれる公知のマイクロストリップ気体チェンバー、またはマルチワイヤ比例チェンバーから成る。図7aに示されているように、MSGCの場合には、捕集電極CEは、順次に配列されている陽電極(記号ANとして表されている)と、陰電極(記号COとして表されている)からなり、これらは捕集電極CEを形成するように、誘電支持体に交互に配置され分布されている。各陽電極ANは抵抗器RAを介してグラウンド電位として引用される基準電位に接続され、そして検出できるように増幅器Aにも接続される。一方、陰電極COの各々はバイアス電位発生器VCに接続される。このようにしてMSGCチェンバーは、各陰電極と陽電極間の増幅によって得られるゲインに依存するMSGCチェンバー自身のゲインを有する。更に図7aに示されているように、第1のドリフト域drift1と第2のドリフト域drift2とを形成するために、ドリフト電極DEと捕集電極CEとの間に更に1つの気体電子増倍装置1が挿入されており、これら2つのドリフト域はこの気体電子増倍装置1によって互いに分離されている。
比例計数器、マルチワイヤチェンバー、そしてマイクロストリップ気体チェンバーは全て、電子アバランシェ増倍の基本的増幅過程を利用するが、それらの構造と性能においてのみは異なっているけれど、安全に到達できる最大増幅率は、多くのパラメータに依存しており、そして大きすぎるゲインすなわち大きすぎる電圧が用いられている場合、突発的で危険な放電の確率によって制限される。
一例として、薄くて脆弱な金属帯板で作られているマイクロストリップ気体チェンバーは、特に放電により損傷されやすいように思われる。図7aに示されている増幅器Aのような、帯板に接続されている精巧な電子回路もまた、これらの放電によって不可逆的な損傷を受ける恐れがある。
例えばマイクロストリップ気体チェンバー内に図7aに示されているような気体電子増倍装置1を、適度の電界の影響の下で気体中でドリフトしている電子の経路に挿入することによって、第1のドリフト域drift1に生成されている一次電子を引っ張って、局所電界集束エリアを形成する小孔に送り、そして高い局所電界内でこれらの電子をアバランシェに増倍させ、他方の側から、すなわち、第2のドリフト域drift2内に、これらの電子を押し出し、こうして一次電子を数100倍の倍率で増倍させる効果を生じる。
したがって、本発明の気体電子増倍装置1は、放射線検出器の捕集電極CEの上流(一次電子を供給する側)にある一次電子に対して所定のゲインの前置増幅器として作用する。
ドリフト電極DEおよび捕集電極CEに対して、特に図7aに示されている陰電極COおよび第1と第2の金属クラッド11および12におけるバイアス電位が独立であれば、このような構造は、前置増幅をする気体電子増倍装置1への電離電子の制御された注入を可能にするばかりでなく、気体電子増倍装置1とマイクロストリップ気体チェンバーまたはマルチワイヤ比例チェンバーとの独立した動作を可能にする。
このような動作モードは前置増幅法と呼ばれ、検出される電子を大きく増加させるために用いられる。マルチワイヤまたはマイクロストリップ気体チェンバーと組み合わせれば、はるかに容易に、かつ、安全に少量の電荷を検出することができる。気体電子増倍装置1と、対応する形状のマルチワイヤ比例チェンバーまたはマイクロストリップ気体チェンバーとの組合せは、これらチェンバーの形状を球形または円筒形の気体電子増倍装置に対応させることによって実施することが可能であるが、本発明の気体電子増倍装置1の前置増幅動作法は、平面的構造のマルチワイヤ比例チェンバーまたはマイクロストリップ気体チェンバーの場合に、最も有利であるように考えられる。このような場合においても気体電子増倍装置1は、図7aに示されている平坦な構造に対応する。
気体電子増倍装置が増幅モードで動作している図6aまたは6bについては、図7bに示されているように、幾つかの順次配列の気体電子増倍装置を組み合わせることは、これらの気体電子増倍装置が独立に動作するようになっている限り、非常に興味深いことのように思われる。それは、各要素を中程度の増幅率に独立に設定し、したがって内部的にはより安全に動作するように設定し、これらの要素を順次配列することによってゲインを増大させることが可能になるからである。図7bに示されているように、符号GEM1およびGEM2で表されている順次配列されている2つの気体電子増倍装置が開示されている。各気体電子増倍装置GEM1、GEM2はゲインすなわち増幅率を100に設定されている合成気体電子増倍装置を形成している。したがって、合成増幅率は各ゲインの積であり、10,000に等しい値をもつことになる。
その動作モードとは無関係に、図6a、6bまたは図7a、7bに示されている本発明の放射線検出器を動作させるために、電圧を以下の値に設定することができる。すなわち
― 図6aまたは6bの捕集電極CEの導電帯板はグラウンド電位として引用される基準電位に、
― 図7aまたは7bの捕集電極CEの陽電極ANはグラウンド電位である基準電位に、
他の電位は全て基準電位すなわちグラウンド電位に関連して設定される。下記の電位値は、図8aに示されているように、所定のA−CO2(アルゴン・2酸化炭素)混合気体、厚さ50μmの絶縁物フォイル10と直径100μmの小孔を実現するための所定の気体電子増倍装置の幾何学的構造に対する非限定的な一例として与えられている。この気体電子増倍装置は、大気圧の混合気体の中で動作させられる。パラメータの変化があれば、下記の電位値の範囲の相関的変化を生じる。
― 図7aまたは7bにおける各陰電極COに印加する陰極電位VC=−500V、
― V4は−100V〜−1000Vに設定、
― V3は、電位差VGEM=−500Vのとき、−600V〜−1500Vに設定、
― V2は、−1600V〜−2300Vに設定、
― V1は、VGEM=−500Vのとき、−2100V〜−2800Vに設定。
気体電子増倍装置をドリフト電極から離す距離、または気体電子増倍装置をその次に配列される電極CEから離す距離は3mmに設定された。
本発明による多段式検出器は、増幅モードまたは前置増幅モードで動作しているときには、このように、気体環境で動作していることを除けば、マルチダイノード光電子倍増管と機能的に同様の役割を果たす。しかし、局所電界集束エリアの各マトリックス要素は、マルチダイノード光電子倍増管よりは遙かに大きなゲインを有する。
引き延ばした幾つかの平行な金属メッシュで作られている同様の気体装置、いわゆる平行板多段チェンバーと比較すると、本発明の対象である気体電子増倍装置は、検出器またはホスト検出器内のこの気体電子増倍装置の正確な位置に係わりなく、絶縁物フォイルの厚が一定であることによって増倍ギャップ、したがってゲインがほぼ一定に保たれるので、完全に自立(self-supporting)している。そのうえ、重い支持フレームの必要がない。このことによって、コストを削減しながら、構造を非常に単純化し、信頼性を増加させることができる。
増幅モードで、またはホスト検出器と組み合わせて動作している幾つかのタイプおよびモデルの気体電子増倍装置、すなわち自立している気体電子増倍装置としてのメッシュに関して、広範にわたる実験的な測定がなされている。これらに関しては、以下に列挙されている論文に記載されている。
・Nuclear Instrum.Methods,Methods in Phys.Res.A386(1997)531;F.SAULI
・IEEE Trans.Nucl.Sci.NS-(1997);R.BOUCLIER,M.CAPEANS,W.DOMINIK,M.HOCH,J-C.LABBE,G.MILLION,L.ROPELEWSKI,F.SAULI and A.SHARMA;
・CERN-PPE/97-32;R.BOUCLIER,W.DOMINIK,M.HOCH,J-C.LABBE,G.MILLION,L.ROPELEWSKI,F.SAULI,A.SHARMA and G.MANZIN
・Progress with the Gas Electron.Multiplier,CERN-PPE/97-73;C.BUETTNER,M.CAPEANS,W.DOMINIK,M.HOCH,J-C.LABBE,G.MANZIN,G.MILLION,L.ROPELEWSKI,F.SAULI,A.SHARMA
これらの実験的測定中において、2酸化炭素、メタンおよびジメチルエーテルのような有機または無機の急冷材を加えた、ヘリウム、アルゴン、キセノンなどのような多くの稀ガスおよびこれら稀ガスの混合気体について、100以上の前置増幅率が観測された。図8aは、気体電子増倍装置の増幅率の幾つかの例を示している。これらの増幅率は本発明による1つの気体電子増倍装置を構成する第1と第2の金属クラッド11および12に印加される電位差VGEMに対してプロットされている。図8aに示されている実験結果は、以下のような第1の混合気体について記されている。すなわち、
― アルゴンとジメチルエーテル、アルゴン90%とDME10%、以下、A−DMEと記す、
― アルゴンと2酸化炭素、アルゴン90%とCO2の割合、10%、以下、A−CO2と記す、
― ヘリウムとメタン、ヘリウム70%、メタン30%の割合、以下、He−CH4と記す、
― アルゴンとジメチルエーテル、アルゴン50%とDME50%の割合、以下、A−DMEと記す。
上記の割合は体積比である。
第1と第2の金属クラッド11および12に印加される電位差は200〜約600Vである。以下、この電位差をVGEMと記す。
ほとんど全ての測定は、軽量で安全な検出器の製造と動作に適している大気圧で行われたが、数ミリバールから10バールまでの間で、その正しい性能は満足すべきものであることが判明した。
本発明の放射線検出器を構成する気体電子増倍装置の基本的な性質は、実際に生じるゲインに影響を及ぼさずに局所電界集束エリアのマトリックスを形成するメッシュに印加することのできる電界の強さは、広範囲であるということであるように思われる。このような特性は、非常に重要であると考えられる。その理由は、この特性によって、本発明の放射線検出器が周囲の電極における大きな機械的変化にほとんど影響されないからである。その結果、このような特性によって、電子のドリフト速度、拡散時間と捕集時間の値のような物理的要件を最適にするようにドリフト域を選択することが可能になる。
高レート使用の際に気になることは、検出される電流が大きいという条件のもとで、本発明による放射線検出器を構成する気体電子増倍装置の挙動である。ほとんどの電荷、電子および陽イオンは、装置の動作に影響を及ぼすことなく、開かれている気体のチャンネル(通し孔)中で円滑にドリフトするが、幾つかの漂遊電荷が絶縁体の表面に集まることがある。そのため、このような漂遊電荷は電界をゆがませ、得られるゲインにも影響を与える。しかし、1%を越えない少量の水蒸気をガスに添加することによってチャンネル内の非常に小さな表面導電性を簡単に得ることができ、その表面導電性によって107Hz/cm-2以上の検出X線束まで動作を安定化させることができることが判明している。
イオン注入または半導体層の真空蒸着のような、表面導電性を所望の値に増大させる他の方法が研究されている。その結果、1012〜1013Ω×cmの固有抵抗をもつ、絶縁物フォイル10を構成するポリマーフォイルを用いることによって、自然に、上記の電荷蓄積問題を解決することができることが観測された。
図8dに示されているように、各小孔すなわち通し孔1iは、絶縁物フォイル10によって区画されている内側面を有している。図8dに明瞭に示されているように、この内側面には、1012〜1013Ω×cmの固有抵抗を有する1つの局所領域が含まれることが好ましい。非限定的な一例として、図8dに示されているように、この局所領域は、陽イオンのような電荷が例えばイオン注入によって導入されている切頭台形の通し孔の端末部を覆っていると考えられる。
図8dを参照すれば、当該技術に通常の知識を有する当業者には明らかなことであろうが、絶縁物フォイルの切頭台形の端末部に注入されている陽電荷の存在により、(これらの電荷は小孔の周囲全てに、すなわち図5bを参照しながら既に述べた中間面、すなわち、対称面Qの近傍に、ほぼ同じ濃度で分布されている)電気力線は図8dに示されている中間面すなわち対称面Qのところで非常に密になっており、したがって、注入された電荷の存在によって修正された立体面すなわち電気力管FT内におけるその電力束の保存特性によって、電界は増加される。
軟X線または高速粒子によって気体中に解放される電荷の量を検出するには、現代の高集積度エレクトロニクスの限界により、約100個の電子、10000程度の増幅率が必要である。これは、ゲイン100で安全に動作するマルチワイヤまたはマイクロストリップ気体チェンバーに、増幅率100の気体電子増倍メッシュを組み合わせることによって実現可能である。ホスト検出器における電極(ワイヤまたは帯板である)の離散的な性質によって、電子アバランシェの局所化を達成することが可能になる。
上記のことは、増幅器として動作する下記のような放射線検出器によるか、または、例えば図6aまたは6bに示されている多段式気体電子増倍装置によって達成されることも、当該技術に通常の知識を有する当業者には明らかなことであろう。この場合には、上記放射線検出器において、捕集電極CEがゲイン1に設定され、気体電子増倍装置1は、10,000に等しい増幅率の対応する値を生じるように充分な厚さを持っており、したがってサンドイッチ構造の厚さはほぼ500μmに等しい厚さに達している。
本発明の放射線検出器を構成する気体電子増倍装置のもう一つの基本的性質は、その高レート性能であり、一方、この放射線検出器のゲインまたは相対的パルス高はその全定格範囲においてほぼ一定の値を維持している。
本発明の放射線検出器を構成する気体電子増倍装置のゲインは、一次電子の電子数すなわち気体電子増倍装置を構成するマトリックスの各局所電界集束エリアにおける入口面に入る電子の数に対する、出口面から離れる電子アバランシェにおける電子数の比として定義される。しかし、このようなゲインの数値を求める演算の1つのモードは、一例を挙げれば、外部の55Fe線源によって放射された5.9keV線に対する転送スペクトル(transfer spectra)と直接スペクトル(direct spectra)との間の最も確率の高いパルス高の比として定義される前置増幅率、または増幅率を測定することである。
図8bに示されているように、マイクロストリップ気体チェンバーから成るホスト検出器内に挿入された気体電子増倍装置の3種の動作モードにおいて、相対的パルス高PHは以下の状況において、Hz/mm2を単位として表したレートに対してプロットされている。すなわち
― マイクロストリップ気体チェンバー(MSGC)のみ、
― 気体電子増倍装置(GEM)のみ、そして
― マイクロストリップ気体チェンバーと気体電子増倍装置との組合わせ(MSGC+GEM)。
図8bに示されている結果によれば、電荷ゲイン対する高レート性能は、達成可能な最高レート、約105Hz/mm2まで数パーセントの誤差範囲内で基本的に一定であることが明瞭に確認される。したがって、図8bの結果は、動作モードに係わりなく、局所電界集束エリアにおける短時間のイオン誘導電荷蓄積効果や電荷空間効果がないことを示している。
気体電子増倍装置の局所電界集束エリア中に、またこのエリアを通って後退するイオンの割合は、印加される電圧に依存することに注意を払うべきである。マイクロストリップ気体チェンバーのゲインを1に設定し、気体電子増倍装置のみを動作状態におく動作モードでは、下方の気体内に陽イオンは生成されず、そして恐らく基板の電荷蓄積やエージングの問題は生じないであろう。
気体電子増倍装置より成る本発明の放射線検出器のもう一つの基本的特徴は、時間依存性のゲイン変動がないことでる。
増倍チャンネルすなわち小孔に近い絶縁体材料の存在は、電荷の蓄積による動的ゲイン変動とそのため電界の変動の可能性を生じさせる。しかし、本明細書において上述されているように、所定の比率の水蒸気が導入されている湿潤混合気体を用いるか、または各小孔の内部の所定領域に特定の値の導電性を与えて適切な局所電界集束エリアを形成することによって、この欠点を完全に克服することができる。
図8dに示されているように、例えば陽イオンを注入する上記の後者の解決法に関しては、図8dに示されている対称軸X’Xに向かう電子アバランシェによって生成される可能性のある陽電荷を反発する効果が生じ、それによって、絶縁物フォイルの内側面の電荷蓄積現象を減少させることがきる。しかし、電子アバランシェの電子は、注入されたイオンの存在によって全く影響されない。絶縁物フォイルの内側面によって蓄積される残留電荷は、このようにして電界の全ひずみに対する寄与を劇的に減少させ、したがって電荷蓄積現象は克服される。
図8cは、本発明の目的である気体電子増倍装置1のパルス増幅率の変化を示す図である。同図で、増幅率は、気体電子増倍装置1が実際に動作している時間に対してプロットされており、時間は分単位である。
対応する曲線Iは、サンドイッチ構造の、第1と第2の金属クラッド11および12に、420Vに設定された電位差を印加して動作する気体電子増倍装置に関する曲線であって、放射線検出器は、72%対28%の比のアルゴンと2酸化炭素の混合気体が充填されている。
電荷蓄積現象は、初期値が40に等しいパルス増幅率を、放射線検出器の始動20分後には52以上、またはほぼこれに等しい値に増大させる結果を生じる。
対応する曲線IIは、この混合気体に更に0.35%の水蒸気が加えられていることを除いて、曲線Iを得るために用いられたものと同じ放射線検出器に関する曲線である。
曲線IIは、本発明の放射線検出器が動作している間中ずっと、すなわち実験開始時から50分後の終了時まで、パルス増幅率がほぼ40に等しいという完全一定特性を明らかに示している。
水蒸気を加えた後に、気体電子増倍メッシュの電極間の固有抵抗は10分の1に、、100GΩから10GΩまで次第に減少し、それから一定になることを理解すべきである。チャンネルの全エリア、そして特にチャンネルを構成する小孔の全エリアを考慮すると、曲線IIは明らかに、最も高いレートとして、電荷蓄積現象を除去するのに充分な値は約1016Ω/平方の表面固有抵抗であることを示している。水蒸気を加えた後における固有抵抗の初期値は、最終値と同様に、小孔の全エリア面積とその数に依存している。上記の数値は、約5×105の小孔を備えている10×10cm2の気体電子増倍装置1に関するものである。
特殊な応用に適している幾つかの特定の実施例を、図9a、9bおよび9cを参照しながら以下に説明する。
上述の実施例は、本明細書において上述された増幅モードでも前置増幅モードでも、充分に動作することができる。非常に高エネルギーレベルの電離放射線が研究対象である応用には、増幅モードが好ましいことを更に強調しなければならない。
図9aには、気体電子増倍装置1を形成するサンドイッチ構造が球形である本発明の放射線検出器が示されている。この放射線検出器は、図1cに示されている放射線検出器に相当し、その外形は図9aの前面図で示されているように円形である。この放射線検出器は、X線が結晶に向けて放射される結晶学の試験用のもので、したがって本発明の放射線検出器は結晶へX線が入射することによって発生する回折パターンを完全に検出することができるようになっている。図9aに明瞭に示されているように、電界集束エリアを形成する通し孔は、放射線検出器に関してはBZと呼ばれる少なくとも1つのブラインド検出帯を形成するように、絶縁物フォイルのメタルクラッド面の一部のみに規則的に配分されている。したがって、ブラインド検出帯はほぼ球形であってサンドイッチ構造の中心部分に配置され、通し孔は、このブラインド検出帯の外の回折パターンのみの検出を行うことができるように、このブラインド検出帯の周囲全体に分布されている。特に、図9aに示されている本発明の放射線検出器が増幅モードで用いられている場合、すなわち最終増幅器としてのマイクロストリップ気体チェンバーやマルチワイヤ比例チェンバーがないとき、捕集電極CEの形状を必要に合わせることが可能である。例えばこの電極を帯板、パッドまたはリングで構成する。特にリングは結晶回折の測定の場合に適している。図9aでは、その図面をより理解しやすくするために、捕集電極CEを形成するリングは破線で示されている。
図9bおよび9cはより特殊な場合として、スイス、ジュネーブの欧州合同原子力研究機関(CERN)で稼働中であるものと同様な衝突ビーム加速器または超高速粒子衝突リング加速器に適合している本発明による放射線検出器に関する。図9bおよび図9cにおいて、衝突リング加速器は、曲率半径が大きいので、直線部分として表現されている。図9bおよび図9cに示されているように、本発明による放射線検出器を構成する気体電子増倍装置は、隣接する複数の基本立体面から作られている1つの立体面から成り、各基本立体面は、記号RD1〜RD9によって参照される基本検出器を形成するように、電界集束エリアの少なくとも1つのマトリックスを含む1つの基本気体電子増倍装置を形成する。この基本検出器は、図9bおよび9cに示されている衝突リング加速器を囲む3次元放射線検出器を形成するように、互いに結合されている。
図9bに示されている3次元放射線検出器は球形であり、そして複数の基本放射線検出器から形成されており、これら基本放射線検出器はそれぞれ形状は球形であり、そして図1cに示されている本発明の放射線検出器に完全に一致している。基本検出器RD1、RD2、RD3およびRD4は、スカルキャップを形成するように設計されており、その他の基本検出器は対応する球形体の一部として設計されている。基本検出器RD2およびRD3は、すでに図9aで示されているように、中央ブラインド検出帯を有することも可能である。このブラインド検出帯は更に、衝突リング加速器が貫通できるように穿孔されている。各基本放射線検知器は、本発明によるどのような放射線検出器または基本放射線検出器を製造するために必要な全ての構成要素、例えば、入射窓およびドリフト電極、サンドイッチ構造、捕集電極CEおよび中間フレームを熱成形することによって、図1cに示されている放射線検出器として制作することができる。図9bまたは9cに示されている1つの基本放射線検出器を構成するために、図1aまたは1cに示されているようなガス入口GIとガス出口GOは取り除かれ、そして通し孔と換えることができる。その場合には、通し孔は、図9bにおけるRD2およびRD5のような2つの隣接する基本放射線検出器のガス入口とガス出口を形成する。これらの通し孔は互いに対向して設けられ、そしてOリングによって密封される。図1aおよび1cに示されている第1と第2の金属クラッド11および12によって形成されている入口面および出口面に電位差を印加するための電極端子は少なくされ、そして更に2つの隣接する連続基本放射線検出器のそれぞれ第1と第2の金属クラッド11および12を相互接続させる。このようにして同じ電圧が、各基本放射線検出器を構成する各気体電子増倍装置に印加され、その結果同じゲインが得られる。
更に図9aに示されているように、1つずつの総合ガス入口GIとガス出口GOのみが設置され、その位置は衝突リング加速器の近辺のブラインド検出帯に密接していることが好ましい。電極110および120についても同様で、これらの電極の1つずつのみが配置され、同じ電位差VGEMが第1と第2の金属クラッド11と12とに印加される。
図9cは、ほぼ円筒形をなしている3次元放射線検出器に関する。同図の放射線検出器の両端にはそれぞれ2つの半球形の放射線検出器が接している。この半球形の基本放射線検出器は、以後、記号RD1、RD2、RD8、RD9で示される1つまたは複数の基本放射線検出器によって構成することができる。基本放射線検出器RD1およびRD9は、図9bにおけるRD2およびRD3のような基本検出器と同じ役割を果たしている。図9cに示されている円筒形部分の長さは、衝突リング加速器に沿って数メータにわたって延びている。この円筒形の部分は、幾つかの隣接する基本放射線検出器から成る。以後、これらの基本放射線検出器を、記号RD3乃至RD7で表す。大寸法の3次元放射線検出器が動作できるようにするために、図9bおよび9cに示されているこれら検出器の内部は、各基本放射線検出器の入射窓の外側に、非常に高いエネルギーのX線またはガンマ線に対してほぼ透明なフォーム(foam)を充填することができる。
気体電子増倍装置を素粒子実験の分野に使用することができる、本発明による非常に高い効率の放射線検出器が上述のように開示された。
一般的に、例えばマイクロストリップ気体チェンバー内に設置されている気体電子増倍装置を有し前置増幅モードで動作している、本発明による放射線検出器を実施することによって、従来技術より遙かに安全な条件で、このような精巧ではあるが脆弱な装置を動作させることが可能になる。
本発明の目的にしたがった気体電子増倍装置を実施するための幾つかの新な実験が実際に行われた。
第1の新しい公認の実験(以下、HERA-B AT DESY in Hamburg,Germany(DESY,for Deutsche Elektron Synchrotron)と記す)は、高レートホスト追跡検出器の信頼性を改善するために、本発明の気体電子増倍装置を適当と認めそして採用した。
第2の新しい公認の実験(以下、COMPASS at CERNと記す)は、同様の理由で本発明による気体電子増倍装置テクノロジーを採用することになった。
提案されたもう一つの新たな実験(以下、FELIXと記す)は、ジュネーブのCERN(欧州合同原子核研究機関)で行われ、増幅モードで動作している円筒形構造の放射線検出器を改善するために実施されている。
もう一つの検出器(以下、HELLAZと記す)は、単一電子を検出するのに充分に大きなゲインを達成する目的で、GRAN SASSO社のイタリア研究所の大規模な宇宙線実験のために提案されている。
本発明の放射線検出器のさらにもう一つの特殊な使用には、外部電圧の制御により電子およびイオンの双方または一方の移送を妨げることも含まれる。図2aおよび2bに示されているように、バイアス発生源2は、共通スイッチKによって切り換えることができる逆の極性を有する2つの電圧発生器からなる。スイッチKを操作すると、電子およびイオンの双方または一方が移送を妨げるられるように、電位差VGEMを逆転させることができ、したがってサンドイッチ構造は活性ゲートとして作用する。このようにして増加された電界は、所定の荷電イオンまたは電子を反発する程充分に強力になる。
本発明の目的にしたがった放射線検出器のさらにもう一つの実施例を図10を参照しながら以下に説明する。
この実施例は、より特殊な実施例で、外部発生源によって放射された光子の放射線検出器としてのものである。
本発明の目的にしたがった、光子検出器として作用する気体電子増倍装置1の動作原則は、以下のようなその構造の特性に基づいている。すなわち
― 増幅器または前置増幅器として作用し、そして本明細書において上述の気体電子増倍装置を含む複合構造における様々な電極に印加される電位に実際上は依存する、0から1までの制御された電気的透過性と、
― 製造時における適切なパターニングによって得られる約10から50%までの幾何学的構造によって制御される光透過性と、
― 光電陰極材料に実際上無害であることが分かっている純粋で不活性な気体中におけるゲインに関して実証されている動作と、そして可視または不可視の多くの特殊な波長において動作し、気体環境で高い量子効率と長い寿命とを有する光電陰極材料材の存在。
図10には、本発明の目的にしたがったリバース光電陰極、気体電子増倍装置、そして光子検出器の概要が、それに対応する特徴および電気力線と共に示されている。
例えば図3aを参照して本明細書に上述されているように、本発明の目的である光子のための放射線検出器は1つの容器を備えている。この容器は、分かり易くするために図10では省略されているが、電界によって一次電子から電子アバランシェを発生させるための気体が充填されている。
さらに、記号Cとして表されている透明電極に連結されている入射窓IWが設置されていて、この入射窓および透明電極は、容器内に含まれている気体中に光子を透過するように準備されている。入射窓IWと透明電極Cは、光子の波長に対してほぼ透明である材料から作られている。入射窓IWと透明電極Cとを結合するために公知の技術を用いればよい。この理由で透明な電極Cは図10において破線のみで示されている。
さらに上記の図に示されているように、透明電極Cに面して光電陰極層(参照記号PhC)がある。この光電陰極層は、光子の1つがそれぞれこの光電陰極層に衝突すると一次電子として1つの光電子を発生させるように形成されている。
気体電子増倍装置1は、本明細書において前記したように、少なくとも1つの電界集束エリアのマトリックスを含むように準備されている。該マトリックスは、両面に金属クラッド11、12を備えているメタルクラッド絶縁物フォイル10から形成され、金属クラッド11は透明電極Cに面している。図10に明瞭に示されているように、光電陰極層PhC、金属クラッド11、12およびメタルクラッド絶縁物フォイル10は、本明細書に上述したような正規のサンドイッチ構造を形成する。そのうえ、複数の通し孔(参照符号1i)が当該正規のサンドイッチ構造を貫通し、これらの通し孔の各々を通って、気体と、そしてこの気体の中で生成された荷電粒子とが自由に流れることができる。実際に図10に示されている気体電子増倍装置1を実施するためには、先ずメタルクラッド絶縁物フォイル10の両面を金属クラッド11および12で被覆し、これらの金属クラッドの面の一方に、光電陰極層PhCを構成するために感光材料の層を堆積させる。次に、本明細書において現に開示されている技術のいずれかにしたがって、通し孔を穿孔することができる。
図10に示されているように、入射窓IWと透明な電極Cは、図3aのドリフト域と同様に作用する移送域を形成するために、間隔を置いて配置されている。このことは、本明細書において後により詳細に説明される。
本発明の放射線検出器は更に、容器の底部側に、検出域内に生成される電子アバランシェの位置の検出を行うように設計されている検知ユニットを有する。検出域は、図10に示されているように、気体電子増倍装置1と検知ユニットとの間に形成されている。検知ユニットは、分かりやすいように、図2aまたは図3aを参照して上述した捕集電極CEとして図示されている。分かりやすいように図10には示されていないけれど、検知ユニットは、例えば上述の多段式気体電子増倍装置、またはマイクロストリップ気体チェンバーまたはマルチワイヤ比例チェンバーでさえもを形成するために、もう1つの気体電子増倍装置を備えることができることを強調したい。
一方、図10に示されているように、捕集電極CEの上部電極には幾つかの陽極素子が配置され、これらの陽極素子は、それぞれSTiと記されている。これらの陽極素子は、例えば、平行な導電帯板からなり、それらの導電帯板は、FCEと表示されている絶縁物フォイル上に配置されている。さらに、前掲の抵抗器RA、コンデンサCAおよび増幅器Aから成る電子回路も設けられている。
更に図10に示されているように、参照符号B1のバイアス回路が設置されている。この回路は、発射された光子の各々が光電陰極層PhCと衝突して生成される光電子を引き出すために、透明電極Cおよび第1の金属クラッド11を、基準電位に対してほぼ同じ電位に維持するように作用する。したがって、バイアス回路B1は、図では、短絡回路として表されている。
参照符号B2で示されているもう一つのバイアス回路も設けられている。このバイアス回路B2は、各通し孔のところで前掲の電界集束エリア1iを形成するように金属クラッド11と12との間に印加される電位差VGEMを発生する。このような電圧を印加することによって、各電界集束エリアにおいてベクトル
Figure 0004264984
で表わされている集束電界を生成させる。
もう一つのバイアス回路(参照符号B3)も設けられている。後に説明されるように電子アバランシェを検出できるように、金属クラッド12と捕集電極CEとの間に、また、さらに特定すれば、図10においてSTiと表わされている陽極素子との間に実際に印加されるバイアス電圧を生成する。以下に説明するように、このバイアス電圧によって電子アバランシェの検出が可能になる。
先ず、捕集電極CEの一部を形成する各陽極素子STiは、抵抗器RAによってほぼ基準電位に設定されていることを想起してほしい。この抵抗器RAは、対応する各陽極素子を基準電位に接続する非常に高い抵抗値をもつ抵抗器である。
図10に示されている放射線検出器の動作モードを、この図を参照しながら以下に説明する。
透明電極Cと、この透明電極に面している金属クラッド11とを、バイアス回路B1によって同じ電位値に維持することによって、図3aに示されている電界ベクトル
Figure 0004264984
はほぼ0に等しい値になる。
その結果、各電界集束エリア内に生成されたそれぞれの集束電界ベクトル
Figure 0004264984
(したがって非常に高い振幅値を有する)は、図10で示されているように、透明電極Cと、金属クラッド11および光電陰極層PhCとの間に区画されている領域内で各光電子を所定の電界集束エリアに搬送するように作用する。この所定の電界集束エリアは、図10に示されているように、金属クラッド11と捕集電極CEとの間に現に生成されている電気力管FT内にあって、当該光電子の衝突域に最も近い電界集束エリアである。透明電極Cの近傍において、振幅を0に設定することによって、電界ベクトル
Figure 0004264984
を消去することは、移送域を図3aに示されているドリフト域に代える効果を生む。その結果、電気力管FTは金属クラッド11の方へ折り返されて、光電子は、対応する電界集束エリア1iに送られる。集束電界のベクトル
Figure 0004264984
は、この光電子を一次電子として、この光電子から1つの電子アバランシェを対応する通し孔内に生成する。この電子アバランシェは、図10に示されているように、上記通し孔を通って検出域に達する。このようして、この電子アバランシェは電界ベクトル
Figure 0004264984
と捕集電極CEの陽極素子STiによって検出される。
透明電極Cを光電陰極層PhCから隔てている距離と、金属クラッド12を陽極素子STiから隔てている距離とは、それぞれ移送域と検出域を限定している。これらの距離は、図3aを参照しなら説明した値と全く同じであり、したがって、対応する電位も同じ値に設定されている。その結果、電位差VGEMを500Vに設定し、金属クラッド12と陽極素子STi間に印加される電圧は1,000Vに設定される。これらの値は一例として挙げられたものである。
更に図10に示されているように、電界集束エリア1iを通過する電子アバランシェの位置検出は2次元検出として実施されることが好ましい。捕集電極CEの内側面は第1のセットの陽極素子STiが設けられているが、同じ捕集電極CEの外側面はこれもまた平行な導電帯板から成るもう一つのセットの陽極素子STjが配置されていて、2つのセットの陽極素子STiとSTjは、それぞれ互いに直交する方向における二次元検出を可能にするように、対応する直交する方向に延びている。
光子用の多段式放射線検出器を実施するために、さらにもう1つの気体電子増倍装置を用いる場合には、孔の中の高電界の所でアバランシェ過程で増倍された電子は更に増幅されるために第2の増幅要素にドリフトする。
1段方式であっても多段方式であっても、他の公知の気体検出器では得ることができないこの放射線検出器の基本的特性は、気体電子増倍装置の各電界集束エリアを形成する通し孔内の一次増倍においても、第2段階要素内の2次増倍においても、電子アバランシェ過程の間に生成された2次光子は、光電陰極層PhCを熱することはなく、それによって、2次放射が誘起されることを防止することができるということである。
このようにして、通し孔内で生成される双極子の高電界によって、1に近い電気的透明度と0に近い光学的透明度の収集効率を得ることができる。
孔エリアに対する全エリアの大きな比率は、また、金属クラッド11の表面のほとんどが光感知材によってコーティングされ、その結果、1に近い幾何学的量子効率を有することを意味している。金属クラッド12と陽極素子STi間の大きな電位差によって得られる電界分布によって、最終増幅段階で生成される陽イオンの小部分のみしか実際に光電陰極層PhCに達することができず、したがって損傷効果を減少させることができる。
本発明が目的とする光子用の放射線検出器は、このようにして、
― 広いエリア全体の大きな量子効率と、そして
― 光子のフィードバックはなく、そのうえイオンのフィードバックは非常に小さい大きなゲイン
とを同時に得ることを可能にする。
多段式気体電子増倍装置の場合における2つの増幅要素の全総合ゲインは、このようにして、単一光電子の検出と位置測定とを行うために充分な値に設定することができる。このことは、チェレンコフリング結像、イメージ増幅器、可視または近紫外領域における蛍光分析、または広いエリアにおける光子の検出および位置測定を必要とする応用のような数多くの科学的、技術的または工業的応用に道を開くものである。
本発明の目的にしたがった気体電子増倍検出装置は、前置増幅モードでも増幅モードでも、堅固で、かつ、簡単な構造を有するので、工業的診断または医学的診断に放射線の低レートおよび高レートの検出および位置測定が用いられる多くの分野における応用が期待される。
最後に、本発明の放射線検出器を構成する気体電子増倍装置を製作するために用いられる現在のテクノロジーは化学エッチング、プラズマエッチング、またはレーザ穿孔によってメタルクラッドに孔を開けることに依っているが、将来の技術発展によって、例えばミクロ細孔フィルタのような微細な孔を有する絶縁メッシュに導体をコーティングすることになるかも知れない。
医学的診断では、以下のような幅広い、対応する医学分野がある。すなわち
― 放射線およびβ線のクロマトグラフィと、電子を放出するアイソトープで標識付けをされた分子が解剖標本または吸い取り紙上の拡散標本に含まれている電気泳動と、除去標識を付けられている分子における組織に関してまたは電界の効果により台紙に拡散している物質の分子量に関して情報を提供するスライドサンプルについて測定された二次元放射線の分布。
― 広いエリア全体にわたる軟X線のエネルギーと放射点に関する情報を同時に得られる性能が考古学および美術鑑定における材料分析のために利用できる位置依存蛍光分析。
― 気体電子増倍検出器が結晶化された分子の回折パターンの位置と強さを視差の歪みなしに写像することができる球形の配置において実現される蛋白質結晶学。専用のシンクロトロン放射線施設で高レートが達成可能である。
― 2次電子放射コンバータに連結された時の本発明による気体電子増倍装置が、柔らかい組織のX線撮影のために用いられるX線の吸収プロフィールをサブミリメートルの解像度で効果的に写像できる乳房造影。
― 高放射線束粒子ビームが、露光前または露光中に空間およびエネルギー損失プロフィールを完全に確認できる療法に用いられる高放射線束ビーム診断。そのような応用においては、ビーム特性の動的制御が可能である。
本発明の放射線検出器のもう一つの可能性は、加速器またはこれと同等なものにおいて真空ビーム管との関連をもつことに関する応用または特定の需要そして特に特殊な切欠きを有するその形状に合わせて気体電子増倍装置を特製する可能性にも関している。
上述の広い医学的応用分野のうちでも、本発明の気体電子増倍装置において最も重要なのは、視差のないX線イメージ装置を実施することであるように思われる。
より特殊な実施態様として、本発明によって、X線イメージ装置の入射窓に照射するために円錐形のX線を生成するように、平行なX線ビームが結晶に向かって放射される視差のない平面天球形のX線イメージ装置が提供される。X線イメージ装置は、入射窓を通して電離される電離気体を収容する容器を有する。
このX線イメージ装置には更に、容器内に、入射窓と結合している球形の変換体積チェンバー(spherical conversion volume chamber)が含まれている。この変換体積チェンバーには、動作中に球形の当該変換体積チェンバー内に球形の等電位面および対応する半径方向の電気力線を生成するための第1と第2の平行な電極が含まれており、これらの球形の等電位面はそれぞれ、球形の変換体積チャンバ内に一次電子を発生し、該一次電子が半径方向の電気力線に沿ってドリフトすることができるように、ほぼ結晶の位置に一致するフォーカス共通中心点を中心にしている。第3の電極は、第2の電極にほぼ平行に設けられ、第2,第3の電極は、協働して気体電子増倍装置を形成する。この気体電子増倍装置は、1つの立体面に配分されている幾つかの電界集束エリアからなる少なくとも1つのマトリックスを有する。気体電子増倍装置構造が一次電子に対して所与のゲインの増幅器として動作することができるように、各電界集束エリアは、気体中で一次電子の1つから電子アバランシェを生成するために適正な局所電界振幅の増加を生成するように設計されている。更に、読出電極が設けられ、該読出電極は電極素子の配列を備え、その電極素子の配列は、容器の壁上に形成されていて第3の電極に平行に配置されている。
X線イメージ装置は、また、その容器の外側に、電気的バイアス回路を有し、該電気的バイアス回路は、第1、第2、第3の電極と接続され、球形の変換体積チャンバ内で一次電子をドリフトさせ、次に、気体電子増倍構造内においてアバランシェ現象により、ドリフトされている対応する一次電子を増倍させるように、適当な電圧を出力するように構成されている。また検出回路も設置されていて、実質的な視差の読出し現象がない気体電子増倍構造によって、発生したアバランシェ現象の位置の2次元読出しができるように、読出し電極に接続されている。
以下に非限定的な一例として、本発明による特定の放射線検出器を構成する視差のないX線イメージ装置を開示する。特に、本発明による視差のない平面天球形のX線イメージ装置は、様々な種類の応用、例えば蛋白質構造の分析およびゲノム特性の決定のために用いられる、結晶から拡散されたX線の回折パターンの結像、乳房撮像のための医学診断に用いれる低線量吸収X線撮影、工業的な吸収性のある後方散乱X線撮影、そして周囲の物質から放射される光子によるぼけのある物体内の特定域の結像などに用いることができ、特定の利点があることに留意すべきである。
より特定の実施形態として、入射窓を照射する円錐形のX線ビームとして放出され、気体中において一次電子を解放する効果があるどのような種類の放射線も、本発明の視差のない平面天球形のX線イメージ装置によって検出することができる。
次に図11a、11bおよび11cを参照しながら、本発明による視差のない平面天球形のX線イメージ装置を開示する。
添付の図面においては、対応する要素の相対的寸法は、全体の理解のために表されてはいない。
図11aは、本発明の視差のない平面天球形のX線イメージ装置の断面図である。この断面図は、図11aの平面に一致する対称面内に表示されている。本発明の視差のないX線イメージ装置は、円筒形状で実施されることがより好ましく、したがってこの対称面は、当明細書において後により詳細に説明されるように、この円筒の半径方向対称面に相当する。
図11aに示されているように、本発明の視差のない平面天球形のX線イメージ装置は、このX線イメージ装置の入射窓(参照記号IW)を照射する円錐形のX線ビームを生成するように、結晶に向けらる平行なX線を用いて使用される。
更に図11aに示されているように、本発明のX線イメージ装置は、容器Vを有し、該容器Vには、入口すなわち入射窓IWを通過して容器V内にX線ビーム特に円錐形X線ビーム(円錐形X線ビームについては、当明細書において更に説明されている)が入射したときに、一次電子を生成するための電離気体が充填されている。当明細書において上に述べたように、容器Vは円筒形であり、したがってその入射窓IWは円形で、平坦であり、そして入射する円錐形のX線ビームの方を向いている。
図11aに示されている本発明のX線イメージ装置は、また更に、入射窓IWに結合している、球形変換体積チェンバー(参照符号SPC)を有する。変換体積チェンバーSPCは、平行な第1の電極と第2の電極とを備え、この第1の電極と第2の電極とは、動作中に、球形の等電位面およびそれに対応する、半径方向を向く電気力線FLをこの球形変換体積チェンバーSPC内に生成するように構成されている。
その結果、本発明の視差のないX線イメージ装置の最も重要な特徴の1つによれば、変換体積チェンバーSPCは、その等電位面が球形の形状であるので、完全に球形の変換体積チェンバーとして作用するが、それは完全に平面的な構造または正方形の構造を有するのみである。したがって、このような長方形または平面的な構造は、実施が極めて簡単であるけれど、当明細書において後に説明されるように、このような長方形の、または平面的な構造を構成している電極に印加される電位を適切にとることによって、球形の等電位面の形の微調整が行われる。
本発明による視差のないX線イメージ装置に本質的な特徴の1つによれば、等電位面ほそれぞれ参照符号FPで表されているフォーカス共通中心点(focus common centered point)をその中心にしており、この中心点は、球形変換体積チェンバーSPC内に生成された一次電子が半径方向の電気力線に沿ってドリフトすることができるように、動作中においてはほぼ結晶の位置に一致する。
図11aにおいては、半径方向の電気力線は1本だけ示されているが、この電気力線は、変換体積チェンバーSPC内の点線で示されている球形の等電位面に完全に直交している。この電気力線は図11aではFLという記号が付けられている。
第1と第2の電極に加えて、本発明による視差のないX線イメージ装置を構成する容器には更に、第2の電極にほぼ平行である第3の電極が含まれており、これらの第2と第3の電極は、参照記号GEMの気体電子増倍構造を形成し、一次電子のための所定ゲインの増幅器として動作する。
一般的に、この気体電子増倍構造GEMには複数の電界集束エリア(参照符号Ciで表されている)からなる1つのマトリックスが含まれ、これらの電界集束エリアCiは立体面の内部に分布されており、この立体面は容器V内に含まれている上述の第2と第3の電極によって区画されている。
この構造GEMは図11bに示されており、そしてその動作モードは図3aの動作モードとほぼ一致する。しかし、図11bにおいてはドリフト電極DEは第1の電極1と記され、第1と第2の金属被覆はそれぞれ第2と第3の電極2および3と記され、そして捕集電極CEは読出し電極4と記されている。
図11bにより詳細に示されているように、上記立体面は、プリント回路基板によって実施することも可能であり、そして各面に金属被覆されている薄い絶縁物フォイルからなることも好ましい。この金属被覆は、参照番号2および3を付され、容器内に含まれている第2と第3の電極を構成する。このようにして形成されたサンドイッチ構造は、また、図11bにおいては参照記号Ciで表されている複数の小孔からなる正規のマトリックスによって貫通されている。この絶縁物フォイルの典型的な厚さは25〜500μmで、小孔の中心は距離50〜300μmだけ隔たっている。小孔は、20〜100μmの直径を有する。小孔のマトリックスは一般的に、標準形状の絶縁物フォイルの全エリアまたは大部分のエリア内に形成されている。したがって、絶縁物フォイルはその各面に電極を配置され、これらの電極は第2の電極2と第3の電極3を形成し、そして小孔マトリックスを構成するメッシュの金属側面間に電位差を印加する。
複合メッシュは当明細書において上述した従来技術によって作ることができ、そして堅牢に設置することが簡単にでき、事故による放電にも抵抗があると考えられる。
小孔マトリックスを構成するメッシュは、従来のプリント回路技術で実現することができる。
小孔マトリックスの構造、これら小孔の寸法と形状、気体または混合気体の種類、そしてGEM構造の対応する動作モードは当明細書においてすでに開示されている。
第2の電極2と第3の電極3は、適宜な電位差、すなわち、この立体面内に小孔マトリックスを形成する各小孔のところで各小孔に対応する電界集束エリアCiを形成するために連続的な電位差に設定されるように形成されている。
サンドイッチ構造を貫通する各小孔または通し孔は、実際上は付加的な電界ベクトル
Figure 0004264984
を重畳する双極子として振る舞い、この電界
Figure 0004264984
は、当明細書で上述したように、ほぼ各小孔の対称軸に平行に向いていることを理解すべきである。
その結果、各電界集束エリアは、円錐形のX線ビームの射線の1つが入射したときに球形変換体積チャンバ(参照記号SPC)内において生成される一次電子から気体中に1つの電子アバランシェを生成するために適切な局所的電界振幅の増加
Figure 0004264984
を生じるようになる。
図を明瞭にし、かつ、より良く理解をするために、図11bは、ドリフト域内すなわち球形変換体積チェンバーSPC内と、そして検出域に相当する移送および誘起体積チェンバー(参照記号TIVCで表されている)内に電荷が存在しない状態で表示されている。この場合は、例えば電離放射能が存在しない場合に相当する。図11bを参照すると、例えば図11aに示されている1つの局所電界集束エリアに到達する最も外側の電気力線によって区画されている、以後はFTと呼ばれる仮想立体面は電気力管FTを形成し、電気力管FT内では、電力束が保存される性質を示す。その結果、各局所電界集束エリアのところで電界が増加することは、当該技術に通常の知識のある当業者には明らかであろう。この場合には、集束電界のベクトル
Figure 0004264984
が貫通する任意の面は、本来の電界ベクトル
Figure 0004264984
と重畳される電界のベクトル
Figure 0004264984
との和に等しい合成電界の増加に直接的に関係する。
電界集束エリアCiのマトリックスを構成するサンドイッチ構造は、図1bにおいて平面Qとして表されている対称面に関して対称な性質を有していることを強調しなければならない。その結果、ある局所電界集束エリアCiに到達する最も外側の電気力線によって形成される仮想立体面は、同じ電気力管FTに関して、図1aに示されているように、検出域における同じ局所電界集束エリアCiを離れる電気力線によって形成された対称な仮想立体面としてほぼ写像される。
更に図11aに示されているように、本発明による視差のないX線イメージ装置は、容器V内に、また好ましくはこの容器Vの壁部に形成された信号読出し電極4を備え、該信号読出し電極4は第3の電極3に平行に形成されている。この信号読出し電極4は例えば、幾つかの電極素子(参照番号4jk)から成ることもでき、2次元読出しがなされる場合は、各電極素子は例えば平行な幾つかの導電帯板またはパッドより成る。
一般的な意味で、読出し電極4および対応する電極素子4jkは、第3の電極3と共に、移送および誘起体積チェンバーTIVCを形成する。この移送および誘起体積チェンバーTIVCは、図11bを参照して上述した検出域に完全に相当する。したがって、移送および誘起体積チェンバーTIVCの等電位面は、図11aに示されているように、信号読出し電極4に平行に表示されている。後に当明細書においてより詳細に説明されるように、TIVCチェンバーの等電位面は、実質的な視差誤差がない場合に、各電界集束エリアCiにおいて生成されるアバランシェ現象を完全に移送するために、いくつかの適当な電極によって幾分屈曲させることさえ可能である。
また図11aに更に示されているように、本発明による視差のない平面天球形の結像装置は、また、容器Vの外側に、電気的バイアス手段5を備え、このバイアス手段は、第1の電極1と、第2の電極2と、そして第3の電極3に接続され、そして適当な電位を出力し、球形変換体積チェンバーSPC内で一次電子をドリフトさせ、気体電子増倍構造GEM内で上記アバランシェ現象によって、当該ドリフトされた一次電子を増倍させ、そして適切な条件の下でこのアバランシェ現象をTIVCチャンバ内で信号読出し電極4まで送る。理解を助けるために、この電気的バイアス回路5は、図1aにおいては、従来通りの方法で、つまり公知のように第1の電極1、第2の電極2および第3の電極3に必要な電位を送るのに適している抵抗器に供給するD.C.として、または、電圧発生源として表示されている。信号読出し電極4、換言すれば、この読出し電極を構成する電極素子4jkは、基準電位に設定されており、第3の電極、第2の電極および第1の電極に印加される差の電位は、このようして順次に減少する負の電位の差である。
電気的バイアス回路5の他に、容器Vの外側に検出回路6が設けられ、該検出回路6は読出し回路4に接続されている。検出回路は複数の増幅器素子6jkからなることが可能で、各々は信号読出し電極4を構成する電極素子の1つに、公知の方法で接続されている。各電極素子が、それに固有の演算増幅器素子と連結している場合には、生成されたアバランシェ現象の位置は、各電極素子および連結されている演算増幅器にそれぞれ割り当てられているインデックスjおよびkによって2次元読出しで読み出すことができる。
さらに図11aに示されているように、第1の電極1、第2の電極2、第3の電極3は、それぞれ、電導性のフィールドリングまたは表面を備え、これらのフィールドリングまたは表面は、これらの電極上に印刷(engrave)されている。第1の電極1の導電フィールドリングは、10〜1Nで表し、第2の電極2の導電フィールドリングは、20〜2Nで表し、第3の電極3の導電フィールドリングは、30〜3Nで表されている。これらの導電フィールドリングは共通の中心を有し、これらの共通の中心はそれぞれ10、20、30と記されている。そうして、これらの導電フィールドリングは、対応する電極の外表面の全面に分布している。
本発明の視差誤差のないX線イメージ装置の全体斜視図は、円筒形の容器Vの場合に関して、図11cに示されている。このような場合、入射窓IW、第1の電極1、第2の電極2および第3の電極3と読出し電極4はディスク様の形状をなしており、これらのディスクの各々は、円筒形の容器Vを形成するように、側面の湾曲表面によって一体になるよう結合されている。図11cに関連してより詳細に説明されているように、第1の電極1、第2の電極2、第3の電極3の共通の中心10、20、および30は、したがって、導電材料の単一ディスクからなることができるが、上位ランクのリングはそれら自身の共通な中心を有し、そして、それぞれ、対応する電極の外面に分布されている。
図11a、11cおよび11dにおいてより詳細に示されているように、第2の電極2と第3の電極3はそれぞれ、同心円の導電フィールドリングを有し、それらの導電フィールドリングは、円形の溝によってその対応する電極の一方の面上で相互に隔てられている。そうして、第2の電極2の同じランクの1つの円形溝と1つの導電フィールドリングが第3の電極3の同しランクの1つの対応する円形溝と導電フィールドリングに対向している。それによって、一方では、第2の電極の導電フィールドリングに適当な電位が設定されているとき、これらのフィールドリングが第2の電極2の表面に平行な方向の等電位面に対して対応する電位限度値を決定することができ、そして他方では、第2と第3の電極が実質的な歪みがない状態で、気体電子増倍装置の機能を果たすことができる。
さらに特殊な実施形態として、本明細書において上述したように、例えば、小孔のマトリックスを作製した後に、フォイルをもう一度エッチングすることによって気体電子増倍構造の両側に、同一のリングパターンを実現することは理解されるであろう。このようにして細かい分割ができ、気体電子増倍構造を構成する第2の電極2と第3の電極3における局所電位差をほぼ一定にし、それによって、ゲインの均一性を保証することができる。
実際には、第1と第2の電極を結合し、または第3の電極3と信号読出し電極4をも結合する側方の曲面と、参照記号ES1〜ESNが付されている縁成形用電極が配置されている。第1の電極1、第2の電極2と、対応する側方の曲面とそして縁成形用電極ES1〜ESNはこのようにして球形変換体積チェンバーSPCを形成し、縁成形用電極ES1〜ESNは、図11aに示されれているように、球形の等電位面に適合している電位限度値を生成するように、適当な電位に設定される。本明細書において後により詳細に開示されるように、対応する同じ特徴が、TIVCチェンバーのところで、電位面またはTIVCチェンバーに僅かな湾曲を与えるように与えている。
図11dにより詳細に示されているように、信号読出し電極4は作動中に基準電位に設定され、第3、第2および第1の中央の導電フィールドリング(それぞれ30、20、10)は、基準電位に対して相対的に減少しているバイアス電位に設定されている。したがって、第3、第2、第1の電極の1つに属する導電フィールドリングはそれぞれ、電気的バイアス回路5によって、その対応する中央の導電フィールドリング30、20、10の対応するバイアス電位に対して逐次に増大するバイアス電位に設定されている。
その結果、これらの第2の電極2と第3の電極3の互いに対向している2つの導電フィールドリング間の電位勾配は、共役のフィールドリング20、30〜2N、3Nの間でほぼ同一の値をもつ。このようにして同一の値のこれらの電位勾配は、全気体電子増倍構造GEM内においてほぼ同じ増幅用の電界
Figure 0004264984
を生成する。
また図11aに示されているように、電気的バイアス回路5には、抵抗器R12、R23、R34に電圧を供給する調節可能なバイアス電位装置を設置することができる。この回路5は、図11aに示されている対称軸に沿って焦点位置を変えるように、この装置は、第1と第2の電極に印加される、所定の電圧範囲内で調整された値のバイアス電位を出力するように構成されている。調節可能なバイアス電圧装置を作動させ、または1つまたは幾つかの抵抗器の値を調整することによって、主なノードと、そして次に導電フィールドリングに印加される電位を外部から調節することによって、所定の範囲内で焦点距離を動的に変えることが可能になる。
球形変換体積チェンバーSPC内の球形の等電位面およびTIVCチェンバー内の対応する等電位面、換言すれば、それぞれドリフト域および検出域の各等電位面が、第1の電極1、第2の電極2および第3の電極3と、上記の両チェンバーの対応する縁成形用電極ES1〜ESMとを形成する、順次に配列されたリングに印加される所定の電位に関して、図12aに完全に表示されている。
図2aには、これらのチェンバーの半分、すなわち、対称軸Y’Yに関して図11aの左半分が示されている。
電位値は、1つの例としてのみkVで表示されている。
TIVCチェンバーの等電位面を、図12aで示されているように、いくらか湾曲させるために、100ボルトごとの所定の電位の段階が、図12aに示されている縁成形用電極ES1〜ESpに沿って広がっている。
第3の電極3の最も外側の導電フィールドリング3Nはこのようにして、最後の縁成形用電極ESpに対して1電圧段階だけ減少している電位に設定されることが好ましい。しかし、順次に内側のフィールドリングは、同じ電圧段階すなわち100Vずつ減少した電位値に設定し、中央のリング30は−1.3kVに設定される。
図11dを参照すると、対応する共役の導電フィールドリングは、共役のリング20、30〜2N、3Nの間に同じ電圧勾配を生成するように、対応する電位に設定される。最も外側の導電フィールドリング2Nは、図12aに示されているように−1.0kVの電位に設定されている。球形変換体積チェンバーSPCの側面に配置されている順次に配列された縁成形用電極ESP+1〜ESMは、図12aに示されているように、100V毎に逐次に変化する階段状電位に設定されており、最後の縁成形用電極ESMは−2.6kVに設定されている。
最も外側の導電フィールドリング1Nから始まる次々の第1の電極1の導電フィールドリングは、最後の縁成形用電極ESMに印加された最後の電位値に対応する段階値から減少していく階段状電位に設定され、このようにして中央の導電ディスク10は、最も負の電圧電位、−3.7kVに設定される。
図12aに示されているように、まず、縁成形用電極ES1〜ESpに、次に共役の導電フィールドリング3N、2N〜30、20に、そして次に縁成形用電極ESP+1〜ESMおよび第1の電極の次々の導電フィールドリング1N〜10に、順次に減少する階段状電圧をかけることによって、球形変換体積チェンバーSPCのドリフト域内に球形の等電位面を生成し、そして次に、これらの等電位面を、いくらか湾曲している等電位面に変形することが可能になることを強調しておきたい。なお、湾曲された上記等電位面は、読出し電極4の近辺においてこの読出し電極上に読み込まれた画像に実質的な歪みを生じることなく、平面的な等電位面に修正されている。
2つの共役の導電フィールドリング、例えば電極3の導電フィールドリング32と電極2の導電フィールドリング22との電界集束エリアCiの近傍における等電位面EPSおよび電気力線FLの表示を図12bを参照して以下に説明する。
実際上、図12bは、例えば図12aに示されているように、等電位面がドリフト域で湾曲している図11bに完全に対応しているが、検出域の対応する等電位面もまた、検出域におけるTIVCチェンバーの等電位面に対応していくらか湾曲している。
図12bに示されているように、等電位面EPSは、各電界集束エリアCiの近傍のみでいくらか湾曲しておりそして歪んでいる。その結果、電力線は歪んだ等電位面EPSと直交する関係を保つので、対応する電力線FLは局所的な歪みしか受けていない。そのため、、図12bに示されているように、電気力管FTが図11bと同様に保存され、電子アバランシェ現象による増幅の後にもドリフト域から検出域への電子の移送によって実質的な像の歪みを生じることはない。順々に配列されている導電フィールドリング20〜2Nおよび30〜3Nに供給される適当なバイアス電圧は、絶縁導体を用いて、外部の配電網から各導電フィールドリングへ適当な電圧を直接的に供給することができる。または、前記の導電フィールドリング20〜2Nおよび30〜3Nに供給される適当なバイアス電圧は、単一の絶縁導体を介して中央の導電フィールドリング20および30に適当な電圧を供給しながら、隣接する導電フィールドリングの間で直接にはんだ付けされ、接続された適当な値の表面搭載の抵抗器を介して生成することができる。
図12cは、好ましい実施例におけるGEM構造の断面図である。この実施例においては、供給接続ラインによって導入されるマスキングによって、像の実質的な劣化を生じることなく、導電フィールドリングへ適切な電圧を供給することができる特殊なサンドイッチ構造が開発されている。
このサンドイッチ構造は、図12cに示されているように、第2の電極2およびその導電フィールドリング20〜2Nと、絶縁物フォイル10を被覆する抵抗層10aおよびもう1つの抵抗層10bと、そして第3の電極3およびその導電フィールドリング30〜3Nとから成っている。全構造には、電界集束エリアを構成する小孔が貫通されているが、これらの小孔は、図示されていない。抵抗層10aおよび抵抗層10bを適当な抵抗器R10a1、R10a2とR10b1、R10b2を介して、それぞれ適合する電圧値−VU1、−VU2および−VD1、−VD2に接続することによって、対応する導電フィールドリングを、図12aに示されているように、それぞれ適合する電圧電位値に設定することができる。そのとき、1つの導電フィールドリングから隣接する導電フィールドリングへの電界の遷移を平滑にすることができ、2つの共役の導電フィールドリング間の電圧勾配が一定に保たれ、その結果として、GEM構造の増幅度またはこの構造の全表面にわたるゲインを平滑にすることができる。

Claims (19)

  1. 一次電子が電離放射線によって気体中に放出されそして電界によって捕集電極にドリフトされる放射線検出器であって、
    該放射線検出器は、電界集束エリアの二次元配列の少なくとも1つを有する気体電子増倍装置を含み、
    前記電界集束エリアは前記電界の方向にほぼ垂直な立体面内に分布されており、前記電界集束エリアの各々は、前記立体面に設けられた通し穴によって形成され、かつ、気体中に前記一次電子の1つから電子アバランシェを生じさせるために適した局所電界強度の増加を生じるように形成されており、
    前記気体電子増倍装置はこのようにして前記一次電子のための所定のゲインの増幅器として作用し、
    前記立体面は、平らな面、球形及び円筒形のいずれかであり、
    前記捕集電極は、イオン化モードにおいて、単位ゲインで動作するように設計され、前記捕集電極は少なくとも、各電子アバランシェの電子的検出を可能にする複数の陽極素子を有する、放射線検出器。
  2. 前記電界集束エリアの各々によって生成された前記局所電界強度の増加は前記電界集束エリアの対称軸に関してほぼ対称であり、したがって、前記局所電界強度の増加は前記電界集束エリアの対称の中心で最大になる、請求項1に記載の放射線検出器。
  3. 前記電界集束エリアは、形状がほぼ同一であり、そして前記二次元配列を形成するように前記立体面内に規則的に分布されている、請求項1に記載の放射線検出器。
  4. 前記電界集束エリアの二次元配列は、
    各々の面にメタル被覆を有するフォイル状の絶縁物であって、該フォイル状の絶縁物をサンドイッチ状に挟む第1と第2の金属被覆を形成して規則的サンドイッチ構造を形成するフォイル状のメタルクラッド絶縁物と、
    前記規則的サンドイッチ構造を貫通する複数の通し孔と、そして
    前記通し孔の各々のところに前記電界集束エリアの1つを生成するように前記第1と第2の金属被覆に印加されるバイアス電圧を発生させるためのバイアス手段と、
    を有する請求項1に記載の放射線検出器。
  5. 前記規則的サンドイッチ構造は作動中において前記電界の方向にほぼ垂直になるように配置され、前記第1の金属被覆は前記ドリフトする電子のための入口面を形成し、そして前記第2の金属被覆は前記電界集束エリアの1つを形成する各通し孔のところに生成される電子アバランシェのための出口面を形成する、請求項4に記載の放射線検出器。
  6. 前記通し孔は、前記規則的サンドイッチ構造にほぼ垂直な方向に見て、ほぼ同一の形状であって完全に円形である、請求項5に記載の放射線検出器。
  7. 前記通し孔の各々は第1と第2の円錐台形の抜き孔によって形成され、前記第1の円錐台形の抜き孔はほぼ前記第1の金属被覆から前記規則的サンドイッチ構造の中間面まで延び、前記第2の円錐台形の抜き孔はほぼ前記第2の金属被覆から前記規則的サンドイッチ構造の前記中間面まで延びており、前記第1と第2の円錐台形の抜き孔はそれぞれ前記入口面と前記出口面のところに第1の所定の値の直径を有する第1の円形開口部とそして前記第1の所定の値より小さい第2の所定の値の直径を有する第2の円形開口部とを有し、前記第1と第2の円錐台形の抜き孔の前記第2の円形開口部は前記規則的サンドイッチ構造の前記中間面のところで互いに連結して前記通し孔を形成する、請求項5に記載の放射線検出器。
  8. 前記通し孔は形状が同一であり、そして前記絶縁物フォイルの金属被覆面の全てにわたって規則的に分布されている請求項4に記載の放射線検出器。
  9. 前記通し孔は形状が同一であり、そして前記放射線検出器のための少なくとも1つのブラインド検出帯を形成するように、前記絶縁物フォイルの金属被覆面の一部に規則的に分布されている請求項4に記載の放射線検出器。
  10. 前記立体面は隣接する複数の基本立体面から成り、前記複数の基本立体面の各々はこうして電界集束エリアの二次元配列の少なくとも1つを含む1つの基本気体電子増倍装置を形成する、請求項1に記載の放射線検出器。
  11. 相次いで配列された電界集束エリアの二次元配列複数有し、前記相次いで配列された二次元配列は、共通の中心に関して相似な二次元配列を形成するように相互に平行に配置されて前記気体電子増倍装置を形成し、そして前記相次いで配列された二次元配列のうちの相次ぐ2つの二次元配列は、第1の電界を形成する前記電界に平行な方向に所定の分離距離だけ相互に離れて配置され、それによって相次ぐ2つの二次元配列の間に一連の電界を形成し、そして1つの電子アバランシェの任意の電子をその対応する電界によって前記分離距離に沿って一次電子としてドリフトさせ、前記気体電子増倍装置は、前記相次いで配列されている各二次元配列のゲインイールドの積をゲインとする増幅器として動作する、請求項1に記載の放射線検出器。
  12. 前記電界集束エリアの二次元配列は、
    各々の面がメタル被覆を有するフォイル状の絶縁物であって、該フォイル状の絶縁物をサンドイッチ状に挟む第1と第2の金属被覆が形成して規則的サンドイッチ構造を形成するフォイル状のメタルクラッド絶縁物と、
    前記規則的サンドイッチ構造を貫通し、20μm〜100μmの開口部直径を有する複数の通し孔と、
    を有する、請求項1に記載の放射線検出器。
  13. 前記フォイル状の絶縁物は厚さ25μm〜500μmのポリマー材料で作られており、前記通し孔は50μm〜300μmの距離で相互に離れて配置されている、請求項12に記載の放射線検出器。
  14. 前記複数の通し孔の各通し孔は前記絶縁物によって区画されている内側面を備えており、前記内側面は永久電荷が注入されている少なくとも1つの局所域を含み、前記永久電荷は、対応する各電界集束エリアの位置で前記電界をさらに増加させ、かつ、安定化するように、前記絶縁物およびその局所域に分布されている、請求項12に記載の放射線検出器。
  15. 前記複数の通し孔の各々は前記絶縁物によって区画されている内側面を備えており、前記内側面は1015〜1016Ω/平方の導電率を有する少なくとも1つの局所域を含む、請求項12に記載の放射線検出器。
  16. 前記複数の通し孔のうちの各々は前記通し孔の縦方向の対称面に沿って円錐形の断面を有し、前記通し孔の各々は互いに異なる所定の値の第1と第2の円形の開口部を有し、該第1と第2の円形の開口部は第1と第2の異なる値の開口部直径を形成し、前記放射線検出器はさらに、関数的には反転されている前記電界集束エリアの1つを各通し孔のところで生成するように、第1と第2の金属被覆に印加される直接および反転バイアス電圧をそれぞれ発生させるために構成されている、制御可能な直接および反転バイアス手段を有する、請求項12に記載の放射線検出器。
  17. 外部の発生源によって放射された光子のための放射線検出器であって、該放射線検出器は、電界によって一次電子から電子アバランシェを生成するための気体を収容している容器内に、少なくとも、
    入射窓と、該入射窓の内側面に配置されている透明電極であって、前記気体中に前記光子を透過させるように構成されている入射窓および透明電極と、
    前記透明電極に対向して設けられ、前記光子の一つが入射する毎に、一次電子として1つの光電子を生成するための光電陰極層と、
    電界集束エリアの二次元配列の少なくとも1つを含む1つの気体電子増倍装置であって、前記電界集束エリアの二次元配列は、各々の面が金属被覆されているフォイル状の絶縁物であって、該フォイル状の絶縁物に第1と第2の金属被覆が形成され、前記光電陰極層は前記第1の金属被覆上に形成されて前記透明電極と対向し、前記光電陰極層および第1および第2の金属被覆が規則的サンドイッチ構造を形成するフォイル状のメタルクラッド絶縁物と、前記規則的サンドイッチ構造を貫通し、気体と、気体の内部で生成された荷電粒子とをそれぞれ自由に流通させる複数の通し孔と、を有する、気体電子増倍装置と、
    前記光子の各々と光電陰極層との衝突時に光電陰極層によって生成される光電子のいずれもを引き込むことができるように、前記透明電極と第1の金属被覆をほぼ同じ電位値に維持するための第1のバイアス手段と、
    集束電界が生成された1つの電界集束エリアを前記通し孔の各々のところで形成するために、第1と第2の金属被覆の間に印加されるバイアス電圧を発生させるための第2のバイアス手段であって、前記集束電界は、前記光電子の各々を所定の電界集束エリアに送り、次に、一次電子と見なされる前記光電子から1つの電子アバランシェを生成し、前記電子アバランシェが前記所定の電界集束エリアを形成する通し孔を通過するように作用する、第2のバイアス手段と、
    前記第2の金属被覆に対向し、前記容器内に検出域を形成するために第2の金属被覆から一定の間隔を置いて配置されていて、少なくとも複数の陽極素子を有する捕集電極と、
    前記電子アバランシェの検出を可能にするために前記捕集電極に印加されるバイアス電位を発生させるための第3のバイアス手段と、
    を有する放射線検出器。
  18. 前記捕集電極は、絶縁物フォイル上に、
    前記絶縁物フォイルの第1の面に形成されている陽極素子の第1のセットと、
    前記絶縁物フォイルの第2の面に形成されている陽極素子の第2のセットと、
    を有し、
    前記絶縁物フォイルの前記第1の面および前記陽極素子の第1のセットは前記気体電子増倍装置に対向しており、前記陽極素子の第1のセットは、少なくとも、第1の所定の方向に沿って延びている複数の平行な導電帯板を有し、
    前記陽極素子の第1と第2のセットは、前記絶縁物フォイルによって分離され、前記陽極素子の第2のセットは、少なくとも、前記第1の所定の方向を横切って、所定の方向に沿って延びている複数の平行な導電帯板を有し、
    このようにして、前記陽極素子の第1と第2のセットは、2方向の放射線検出器を形成するように、それぞれ第2および第1の方向に沿う前記電子アバランシェの検出を可能にする、請求項17に記載の放射線検出器。
  19. 前記捕集電極は、絶縁物フォイル上に、
    前記絶縁物フォイルの第1の面に形成されている陽極素子の第1のセットと、
    前記絶縁物フォイルの第2の面に形成されている陽極素子の第2のセットと、
    を有し、
    前記絶縁物フォイルの前記第1の面および前記陽極素子の第1のセットは前記気体電子増倍装置に対向しており、前記陽極素子の第1のセットは、少なくとも、第1の所定の方向に沿って延びている複数の平行な導電帯板を有し、
    前記陽極素子の第1と第2のセットは、前記絶縁物フォイルによって分離され、前記陽極素子の第2のセットは、少なくとも、前記第1の所定の方向を横切って、所定の方向に沿って延びている複数の平行な導電帯板を有し、
    このようにして、前記陽極素子の第1と第2のセットは、2方向の放射線検出器を形成するように、それぞれ第2および第1の方向に沿う前記電子アバランシェの検出を可能にする、請求項1に記載の放射線検出器。
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