JP5912732B2 - 電子増幅用基板および検出器 - Google Patents
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Description
一般的なGEMは、ポリイミド等の絶縁性を有した板状部材の両面が銅等の導電性を有した電極層によって被覆され、さらに板状部材と電極層との積層体の表裏に貫通する複数の貫通孔が形成されてなる電子増幅用基板を備えている。そして、電子増幅用基板を検出用ガス中に配した状態で、その電子増幅用基板における各電極層を電極として用いそれぞれの間に電位差を与えて複数の貫通孔の孔内に強い電場を作り出し、その電場によって電子雪崩増幅を起こして電離電子数を増やして信号として捉え得るようにすることで、検出用ガス中での電離電子についての測定を可能にするように構成されている(例えば特許文献1参照)。
高い増幅率を得るためには、例えば、貫通孔内に強い電場を形成すべく、電子増幅用基板における各電極層に印加する電圧を高くして、それぞれの間の電位差を増大させることが考えられる。ところが、印加する電圧を高くすると、各電極層の間(すなわち貫通孔の孔内)にて放電が発生し易くなってしまい、その放電によって電離電子の測定を行うため(すなわち信号読み出しのため)の電気回路等が破壊されてしまうおそれがある。
両面リング構造では、板状部材52の両面のそれぞれで電圧降下が生じるため、ガードリング部53およびランド部55が存在しない場合に比べると、同じ電圧を印加しても当該両面の各ランド部55の間(すなわち貫通孔51の孔内)に強い電場を形成することができない。これを回避するためには、電圧降下を考慮した高電圧を印加することも考えられるが、その場合は、ガードリング部53の溝幅が板状部材52の板厚に比べて非常に小さいことから、そのガードリング部53を挟む電極層54とランド部55との間で放電が発生するおそれが生じてしまう。
つまり、両面リング構造では、貫通孔51の孔内に強い電場を形成することが難しく、電子雪崩増幅の際に十分な増幅率を得られなくなることが考えられ、これを回避しようとする貫通孔51の孔内以外の箇所にて放電が発生してしまうおそれがある。
本発明の第1の態様は、絶縁性を有する板状部材と、前記板状部材の両面のそれぞれに配された導電性を有する電極層と、前記板状部材と前記電極層との積層体に形成された複数の貫通孔とを備え、前記電極層への電圧印加時の両電極層間の電位差により前記貫通孔内に電界を形成して当該貫通孔内にて電子雪崩増幅を起こすように構成された電子増幅用基板において、前記板状部材の一方の面側の前記電極層には、前記貫通孔の開口部を臨む部分に、当該電極層への印加電圧の電圧降下を生じさせるパターニング部が形成されており、前記一方の面側と他方の面側との両電極層の間で形成パターンの形状に差を有していることを特徴とする電子増幅用基板である。
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の発明において、前記他方の面側の前記電極層は、前記貫通孔の開口部を除く前記板状部材の面上を覆うように形成されており、前記板状部材と前記電極層との積層体における静電容量が、前記パターニング部が形成された前記電極層の電極面積によって規定されるように構成されていることを特徴とする。
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様に記載の発明において、前記パターニング部は、前記貫通孔の開口部を囲うように配された導電性を有するランド部と、前記ランド部の外周側を囲うように配された絶縁性を有するガードリング部と、を有して形成されていることを特徴とする。
本発明の第4の態様は、第1、第2または第3の態様に記載の発明において、前記板状部材は、感光性ガラスによって形成されていることを特徴とする。
本発明の第5の態様は、第1から第4のいずれか1態様に記載の電子増幅用基板と、前記電子増幅用基板をガス中に配置するためのチャンバとを備え、前記ガス中で前記電子増幅用基板が起こす電子雪崩増幅を利用して電離電子についての測定を行うように構成されたことを特徴とする検出器である。
本発明の第6の態様は、第5の態様に記載の発明において、前記電子増幅用基板は、前記電離電子が当該電子増幅用基板における前記貫通孔内を通過する際の入口側に前記パターニング部を有する前記電極層が位置するように、前記チャンバ内に配置されていることを特徴とする。
本実施形態では、以下の順序で項分けをして説明を行う。
1.検出器の概略構成
2.電子増幅用基板の構成
3.電子増幅用基板の製造手順
4.検出器における電離電子の測定手順
5.本実施形態の効果
6.変形例等
先ず、本実施形態における検出器の概略構成について説明する。
検出器は、検出ガス中での電子雪崩増幅を利用して電離電子についての測定を行うことを可能にし、これにより粒子線または電磁波の検出を行うように構成されたものである。
図1は、本実施形態における検出器の概略構成例を示す説明図である。
次に、本実施形態における電子増幅用基板10の構成について説明する。
図2は、本実施形態における電子増幅用基板の要部構成例を示す説明図である。
電子増幅用基板10は、既に説明したように、板状部材11の両面に電極層12,13が形成されてなる積層体14に複数の貫通孔15が二次元配列されており、各電極層12,13への電圧印加時の両電極層12,13間の電位差により貫通孔15内に電界を形成して当該貫通孔15内にて電子雪崩増幅を起こすように構成されている。
ところで、図2(a)および(b)に示すように、板状部材11の一方の面側の電極層12には、貫通孔15の開口部を臨む部分に、当該電極層12への印加電圧の電圧降下を生じさせるパターニング部16が形成されている。ここで「開口部を臨む部分」とは、貫通孔15の開口部の周端縁からその周辺近傍領域を含む部分のことをいい、当該部分が開口部の周端縁の全周にわたって位置している場合の他に、当該部分が開口部の周端縁の一部分のみに対応して位置している場合も含む。
片面リング構造の電子増幅用基板10は、上述したように、電極層12のみにパターニング部16が形成されており、板状部材11の一方の面側と他方の面側との間で各電極層12,13におけるパターン形状に差を有している。したがって、本実施形態の電子増幅用基板10については、検出器1のチャンバ2内への配置にあたり、どのような向きで配置するかが問題となる。
次に、以上のような片面リング構造の電子増幅用基板10の製造手順について説明する。
図3および図4は、本実施形態における電子増幅用基板の製造手順の一例を示す説明図である。
次に、以上のような本実施形態の電子増幅用基板10を用いつつ検出器1を構成した場合において、その検出器1で電離電子の測定を行い、これにより粒子線または電磁波の検出を行う際の手順について、図1を参照しながら具体的に説明する。ここでは、X線を検出対象とした場合を例に挙げて、以下の説明を行う。
検出器1のチャンバ2内には、所定種類の検出ガスを充填しておく。また、ドリフト電極3、読み出し電極4および電子増幅用基板10の各電極層12,13に対しては、ドリフト領域5で発生した電子を読み出し電極4の側へ引き寄せるべく、それぞれに異なる大きさの電圧を印加して、電界E1,E2,E3を発生させておく。つまり、読み出し電極4の側ほど電子の引き寄せ力が大きくなるような電位差を与えるべく、ドリフト電極3、読み出し電極4および電子増幅用基板10の各電極層12,13のそれぞれに対する電圧印加を行うのである。
ところで、上述したようなX線検出の手順において、電子雪崩増幅によって電子を増倍する際には、高い増幅率(ゲイン)を得られるようにすることが求められる。一枚あたりで高い増幅率(例えば104以上、好ましくは105程度)が得られれば、電子増幅用基板10の多段化が不要となるからであり、また測定能力の向上(例えばX線以外にも粒子線の一例である中性子線について検出可能となるといった具合)も期待できるからである。
本実施形態で説明した電子増幅用基板10および検出器1によれば、以下のような効果が得られる。
以上に本発明の実施形態を説明したが、上記の開示内容は、本発明の例示的な実施形態を示すものである。すなわち、本発明の技術的範囲は、上記の例示的な実施形態に限定されるものではない。
Claims (6)
- 絶縁性を有する板状部材と、
前記板状部材の両面のそれぞれに配された導電性を有する電極層と、
前記板状部材と前記電極層との積層体に形成された複数の貫通孔とを備え、
前記電極層への電圧印加時の両電極層間の電位差により前記貫通孔内に電界を形成して当該貫通孔内にて電子雪崩増幅を起こすように構成された電子増幅用基板において、
前記板状部材の一方の面側の前記電極層には、前記貫通孔の開口部を臨む部分に、当該電極層への印加電圧の電圧降下を生じさせるパターニング部が形成されており、
前記板状部材の他方の面側は、前記電極層に前記パターニング部が形成されてなく、当該電極層が前記貫通孔の開口部を除く前記板状部材の面上を覆うように形成されており、
前記一方の面側と前記他方の面側との両電極層の間で形成パターンの形状に差を有している
ことを特徴とする電子増幅用基板。 - 前記板状部材と前記電極層との積層体における静電容量が、前記パターニング部が形成された前記電極層の電極面積によって規定されるように構成されている
ことを特徴とする請求項1記載の電子増幅用基板。 - 前記パターニング部は、
前記貫通孔の開口部を囲うように配された導電性を有するランド部と、
前記ランド部の外周側を囲うように配された絶縁性を有するガードリング部と、
を有して形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の電子増幅用基板。 - 前記板状部材は、感光性ガラスによって形成されている
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の電子増幅用基板。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の電子増幅用基板と、
前記電子増幅用基板をガス中に配置するためのチャンバとを備え、
前記ガス中で前記電子増幅用基板が起こす電子雪崩増幅を利用して電離電子についての測定を行うように構成された
ことを特徴とする検出器。 - 前記電子増幅用基板は、前記電離電子が当該電子増幅用基板における前記貫通孔内を通過する際の入口側に前記パターニング部を有する前記電極層が位置するように、前記チャンバ内に配置されている
ことを特徴とする請求項5記載の検出器。
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