JP5912732B2 - 電子増幅用基板および検出器 - Google Patents

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Description

本発明は、電子増幅用基板およびその電子増幅用基板を用いて構成された検出器に関する。
近年、粒子線または電磁波の検出を行う検出器として、ガス電子増幅器(Gas Electron Multitplier、以下「GEM」と略す。)による電子雪崩増幅を利用したものが知られている。
一般的なGEMは、ポリイミド等の絶縁性を有した板状部材の両面が銅等の導電性を有した電極層によって被覆され、さらに板状部材と電極層との積層体の表裏に貫通する複数の貫通孔が形成されてなる電子増幅用基板を備えている。そして、電子増幅用基板を検出用ガス中に配した状態で、その電子増幅用基板における各電極層を電極として用いそれぞれの間に電位差を与えて複数の貫通孔の孔内に強い電場を作り出し、その電場によって電子雪崩増幅を起こして電離電子数を増やして信号として捉え得るようにすることで、検出用ガス中での電離電子についての測定を可能にするように構成されている(例えば特許文献1参照)。
ところで、GEMに対しては、電子増幅用基板の一枚あたりにつき、電子雪崩増幅の際に高い増幅率(ゲイン)を得られるようにすることが求められている。一枚あたりで高い増幅率が得られれば、電子増幅用基板の多段化が不要となるからであり、また測定能力の向上(例えば粒子線の一例である中性子線について検出可能となるといった具合)も期待できるからである。
高い増幅率を得るためには、例えば、貫通孔内に強い電場を形成すべく、電子増幅用基板における各電極層に印加する電圧を高くして、それぞれの間の電位差を増大させることが考えられる。ところが、印加する電圧を高くすると、各電極層の間(すなわち貫通孔の孔内)にて放電が発生し易くなってしまい、その放電によって電離電子の測定を行うため(すなわち信号読み出しのため)の電気回路等が破壊されてしまうおそれがある。
このことから、GEMを構成する電子増幅用基板については、図5に示すように、貫通孔51の孔内での放電の発生を抑制することを目的として、板状部材52の両面のそれぞれの側に、ガードリング部53を設けることが提案されている(例えば非特許文献1参照)。ガードリング部53は、貫通孔51の開口部外周に沿って形成された平面リング状の空隙溝である。空隙溝であることから、ガードリング部53を設けると、貫通孔51の開口部の周縁には、電極層54とは導通しないランド部55が存在することになる。このようなガードリング部53およびランド部55が存在する構成の電子増幅用基板では、板状部材52の両面に配された各電極層54に電圧を印加すると、電極層54とランド部55との間で生じる誘電作用により、板状部材52の両面に配された各ランド部55の間(すなわち貫通孔51の孔内)に電場が形成される。ただし、電極層54とランド部55との間では、ガードリング部53が電気抵抗となるので電圧降下が生じる。したがって、ガードリング部53およびランド部55が存在しない場合と比べると、電極層54に対して同じ電圧を印加しても、貫通孔51の孔内での放電が発生し難くなる。
特開2006−302844号公報
三津谷有貴、「GlassGEM検出器の開発」、Isotope News 2011年3月号 PP16-18、2010 IEEE Nuclear Science Symposium、October30−November5、N66-5,Knoxville,USA
しかしながら、板状部材52の両面に対してガードリング部53を設けた構造(以下、単に「両面リング構造」という。)の電子増幅用基板には、以下に述べるような難点がある。
両面リング構造では、板状部材52の両面のそれぞれで電圧降下が生じるため、ガードリング部53およびランド部55が存在しない場合に比べると、同じ電圧を印加しても当該両面の各ランド部55の間(すなわち貫通孔51の孔内)に強い電場を形成することができない。これを回避するためには、電圧降下を考慮した高電圧を印加することも考えられるが、その場合は、ガードリング部53の溝幅が板状部材52の板厚に比べて非常に小さいことから、そのガードリング部53を挟む電極層54とランド部55との間で放電が発生するおそれが生じてしまう。
つまり、両面リング構造では、貫通孔51の孔内に強い電場を形成することが難しく、電子雪崩増幅の際に十分な増幅率を得られなくなることが考えられ、これを回避しようとする貫通孔51の孔内以外の箇所にて放電が発生してしまうおそれがある。
そこで、本発明は、信号読み出しのための電気回路等の破壊に繋がる放電の発生を抑制しつつ、その場合でも電子雪崩増幅の際に十分な増幅率を得ることを可能にする電子増幅用基板および検出器を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために案出されたものである。
本発明の第1の態様は、絶縁性を有する板状部材と、前記板状部材の両面のそれぞれに配された導電性を有する電極層と、前記板状部材と前記電極層との積層体に形成された複数の貫通孔とを備え、前記電極層への電圧印加時の両電極層間の電位差により前記貫通孔内に電界を形成して当該貫通孔内にて電子雪崩増幅を起こすように構成された電子増幅用基板において、前記板状部材の一方の面側の前記電極層には、前記貫通孔の開口部を臨む部分に、当該電極層への印加電圧の電圧降下を生じさせるパターニング部が形成されており、前記一方の面側と他方の面側との両電極層の間で形成パターンの形状に差を有していることを特徴とする電子増幅用基板である。
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の発明において、前記他方の面側の前記電極層は、前記貫通孔の開口部を除く前記板状部材の面上を覆うように形成されており、前記板状部材と前記電極層との積層体における静電容量が、前記パターニング部が形成された前記電極層の電極面積によって規定されるように構成されていることを特徴とする。
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様に記載の発明において、前記パターニング部は、前記貫通孔の開口部を囲うように配された導電性を有するランド部と、前記ランド部の外周側を囲うように配された絶縁性を有するガードリング部と、を有して形成されていることを特徴とする。
本発明の第4の態様は、第1、第2または第3の態様に記載の発明において、前記板状部材は、感光性ガラスによって形成されていることを特徴とする。
本発明の第5の態様は、第1から第4のいずれか1態様に記載の電子増幅用基板と、前記電子増幅用基板をガス中に配置するためのチャンバとを備え、前記ガス中で前記電子増幅用基板が起こす電子雪崩増幅を利用して電離電子についての測定を行うように構成されたことを特徴とする検出器である。
本発明の第6の態様は、第5の態様に記載の発明において、前記電子増幅用基板は、前記電離電子が当該電子増幅用基板における前記貫通孔内を通過する際の入口側に前記パターニング部を有する前記電極層が位置するように、前記チャンバ内に配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、信号読み出しのための電気回路等の破壊に繋がる放電の発生を抑制しつつ、その場合でも電子雪崩増幅の際に十分な増幅率を得ることが可能となる。
本実施形態における検出器の概略構成例を示す説明図である。 本実施形態における電子増幅用基板の要部構成例を示す説明図であり、(a)は斜視図、(b)は側断面図である。 本実施形態における電子増幅用基板の製造手順の一例を示す説明図(その1)である。 本実施形態における電子増幅用基板の製造手順の一例を示す説明図(その2)である。 従来における電子増幅用基板の要部構成例を示す斜視図である。
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
本実施形態では、以下の順序で項分けをして説明を行う。
1.検出器の概略構成
2.電子増幅用基板の構成
3.電子増幅用基板の製造手順
4.検出器における電離電子の測定手順
5.本実施形態の効果
6.変形例等
<1.検出器の概略構成>
先ず、本実施形態における検出器の概略構成について説明する。
検出器は、検出ガス中での電子雪崩増幅を利用して電離電子についての測定を行うことを可能にし、これにより粒子線または電磁波の検出を行うように構成されたものである。
検出器が利用する「電子雪崩増幅」とは、強い電場の中で自由電子が気体分子と衝突すると新たな電子が叩き出され、これが電場で加速されてさらに別の分子と衝突して加速度的に電子数が増える現象をいう。電子雪崩増幅を利用する検出器には、例えばガス比例計数管(Capillary Gas Proportional Counter;CGPC)も含まれるが、本実施形態ではGEMを用いて電子雪崩増幅を起こすものを検出器と呼ぶ。
ここで「GEM」とは、二次元配列された微細な複数の貫通孔を有する電子増幅用基板を検出ガス中に配した状態で、その電子増幅用基板における貫通孔の孔内に強い電場を作り出し、その電場によって電子雪崩増幅を起こすように構成されたものをいう。電子増幅用基板は、単板状のものであっても、複数枚が多層化されたものであってもよい。
検出器での検出対象となり得る「粒子線」には、アルファ線、ベータ線、陽子線、重荷電粒子線、電子線(原子核崩壊によらず加速器で電子を加速するもの)、中性子線、宇宙線等が含まれる。また「電磁波」には、電波(低周波、超長波、長波、中波、短波、超短波、マイクロ波)、光(赤外線、可視光線、紫外線)、X線、ガンマ線等が含まれる。これらのうちでいずれのものを検出対象とするかは、検出ガスの種類や作り出す電場の強さ等を適宜選択することによって、所望のものに設定することが可能である。
以上のような本実施形態における検出器、すなわちGEMによる電子雪崩増幅を利用して粒子線または電磁波の検出を行う検出器は、具体的には以下に述べるように構成されている。
図1は、本実施形態における検出器の概略構成例を示す説明図である。
図例の検出器1は、所定種類の検出ガスが充填されるチャンバ2の内部に、ドリフト電極3と読み出し電極4とを備えるとともに、これらドリフト電極3と読み出し電極4との間に配置された電子増幅用基板10を備えている。電子増幅用基板10は、電子雪崩増幅を起こしてGEMとしての機能を実現するもので、板状部材11の両面に電極層12,13が形成されてなる積層体14に複数の貫通孔15が二次元配列されて構成されている。複数の貫通孔15は、電子増幅用基板10を平面視した場合に各々が円形形状を有し、互いが一定の間隔で配列されている。なお、チャンバ2内には、外部から検出対象となる粒子線または電磁波が入射し得るように構成されている。
チャンバ2内のドリフト電極3および読み出し電極4に対しては、図示せぬ電源部から所定の電圧が印加されるようになっている。さらに、電子増幅用基板10の両面における各電極層12,13に対しても、それぞれが電極として機能することで、図示せぬ電源部から所定の電圧が印加されるようになっている。このような電源部からの電圧印加により、ドリフト電極3と電子増幅用基板10の間の領域(以下「ドリフト領域」という。)5には電界E1が発生し、電子増幅用基板10と読み出し電極4の間の領域(以下「インダクション領域」という。)6には電界E3が発生する。また、電子増幅用基板10の貫通孔15の孔内には電界E2が発生する。そして、貫通孔15の孔内で電界E2が収束され、ここに侵入した電子が加速されることにより電子雪崩増幅が生じ、この電子雪崩増幅により増倍された電子を読み出し電極4で測定するように構成されている。
また、読み出し電極4には、保護回路、増幅回路、ノイズフィルタ回路等としての機能を備えた集積回路(Application Specific Integrated Circuit、以下「ASIC」と略す。)7が接続されている。このASIC7は、読み出し電極4での測定結果について、外部(例えば検出器1の上位装置)への信号出力を可能にするためのもので、信号読み出しのための電気回路として機能するものである。つまり、検出器1は、電子増幅用基板10の貫通孔15の孔内で生じた電子雪崩増幅により増倍された電子を読み出し電極4で測定し、その測定結果を読み出し電極4に接続するASIC7を通じて外部へ出力するように構成されている。
<2.電子増幅用基板の構成>
次に、本実施形態における電子増幅用基板10の構成について説明する。
図2は、本実施形態における電子増幅用基板の要部構成例を示す説明図である。
(基本構成)
電子増幅用基板10は、既に説明したように、板状部材11の両面に電極層12,13が形成されてなる積層体14に複数の貫通孔15が二次元配列されており、各電極層12,13への電圧印加時の両電極層12,13間の電位差により貫通孔15内に電界を形成して当該貫通孔15内にて電子雪崩増幅を起こすように構成されている。
このような電子増幅用基板10において、板状部材11は、絶縁性を有する材料によって形成されている。絶縁性を有する材料としては、例えば一般的なGEMであればポリイミド等の樹脂材料を用いているが、樹脂材料では耐熱性、平滑性、剛性等が低く、またアウトガスが生じ得るといった問題があることから、このような問題が生じることのないガラス材を用いることが考えられる。ただし、板状部材11には、例えば微粉噴射法等の機械加工では形成が困難な程度に微細な孔径および配列ピッチの貫通孔15を設ける必要がある。このことから、板状部材11は、半導体製造プロセスで用いられる微細加工技術を利用して貫通孔15を設けることを可能にすべく、感光性ガラスによって形成されているものとする。
「感光性ガラス」とは、SiO−LiO−Al系ガラスに、感光性金属として少量のAu,Ag,Cu、さらに増感剤としてCeOを含んだガラスである。感光性ガラスは、紫外線を照射することによって、酸化還元反応が起こり、金属原子が生じる。さらに加熱すると金属原子が凝集しコロイドを形成し、このコロイドを結晶核にしてLiO・SiO(メタケイ酸リチウム)の結晶が成長する。ここで析出するLiO・SiO(メタケイ酸リチウム)はHFに容易に溶解し、紫外線の照射されていないガラス部分と比べると約50倍程度の溶解速度の差がある。この溶解速度差を利用することで選択的エッチングが可能となり、機械加工を用いることなく微細な加工物を形成することができる。このような感光性ガラスとしては、例えばHOYA株式会社製の「PEG3(商品名)」が挙げられる。
感光性ガラスである「PEG3」は、体積抵抗率が8.5×1012Ωm程度である。したがって、体積抵抗率が1015Ωm以上であるポリイミド等に比べると、絶縁抵抗の低さにより帯電し難いものであると言える。さらには、体積抵抗率が1013Ωm程度であるソーダガラス、体積抵抗率が1014Ωm程度である硼珪酸ガラス、体積抵抗率が1018Ωm程度である石英ガラス等と比べても、絶縁抵抗の低さにより帯電し難いと言える。つまり、感光性ガラスである「PEG3」は、上述した他材料に比べると帯電し難いことから、電極層12,13への電圧印加時のチャージアップ抑制にも有効である。
また、電子増幅用基板10において、板状部材11の両面に形成された電極層12,13は、導電性を有する材料によって形成されている。導電性を有する材料としては、例えばCu(銅)等の金属材料を用いることが考えられる。ただし、電極層12,13は、必ずしも単層構造である必要はなく、例えばCu(銅)等の金属層の他に、板状部材11に対する密着性を向上させるべくCr(クロム)等の密着層を介在させた、多層構造のものであってもよい。
(パターニング部の構成)
ところで、図2(a)および(b)に示すように、板状部材11の一方の面側の電極層12には、貫通孔15の開口部を臨む部分に、当該電極層12への印加電圧の電圧降下を生じさせるパターニング部16が形成されている。ここで「開口部を臨む部分」とは、貫通孔15の開口部の周端縁からその周辺近傍領域を含む部分のことをいい、当該部分が開口部の周端縁の全周にわたって位置している場合の他に、当該部分が開口部の周端縁の一部分のみに対応して位置している場合も含む。
これに対して、板状部材11の他方の面側の電極層13は、貫通孔15の開口部を除く板状部材11の面上を覆うように形成されている。つまり、他方の面側の電極層13には、パターニング部16が形成されていない。したがって、電極層12,13は、板状部材11の一方の面側と他方の面側との間で、形成パターンの形状に差を有していることになる。
一方の面側のみに形成されるパターニング部16は、ランド部16aおよびガードリング部16bを有して形成されている。ガードリング部16bは、貫通孔15の開口部外周に沿って形成された平面リング状の空隙溝である。空隙溝であることから、ガードリング部16bを設けると、貫通孔15の開口部の周縁には、電極層12とは導通しないランド部16aが存在することになる。このランド部16aは、貫通孔15の開口部を囲うように配されたものであり、電極層12と同一材料によって形成されていることから導電性を有する。一方、ガードリング部16bは、ランド部16aの外周側を囲うように配されたものであり、空隙溝であることから絶縁性を有している。なお、ガードリング部16bは、ランド部16aを形成し、かつ、絶縁性を有したものであれば、必ずしも空隙溝である必要はなく、例えば空隙溝に樹脂等の絶縁材料が充填されてなるものであってもよい。
このようなランド部16aおよびガードリング部16bを有したパターニング部16が形成されている電極層12に電圧を印加すると、ガードリング部16bが絶縁性を有していても、そのガードリング部16bを挟んで位置するランド部16aと電極層12とが近接していれば、これらの間で生じる誘電作用により、ランド部16aにも電圧が印加されることになる。ただし、ランド部16aと電極層12との間では、絶縁性を有したガードリング部16bが電気抵抗となるので、電圧降下が生じる。このような原理で、パターニング部16は、電極層12への印加電圧の電圧降下を生じさせるのである。
以上のような構造(以下、単に「片面リング構造」という。)の電子増幅用基板10は、絶縁性を有する板状部材11と導電性を有する電極層12,13との積層体14からなるので、平行平板コンデンサとして擬制することができる。その場合に、積層体14における静電容量C[F]は、C=εS/dとなる。εは板状部材11の誘電率、Sは平板導体である各電極層12,13が重なり合う面積[m]、dは各電極層12,13の間の距離[m]である。ここで、各電極層12,13の面積について考えると、パターニング部16が形成されている電極層12のほうが、当該パターニング部16が形成されている分、他方の電極層13に比べて小さくなっている。そのため、各電極層12,13が重なり合う面積Sは、パターニング部16が形成されている電極層12の電極面積に依存して決まる。つまり、他方の電極層13が貫通孔15の開口部を除く板状部材11の面上を覆うように形成されていても、一方の面側の電極層12にはパターニング部16が形成されていることから、板状部材11と各電極層12,13との積層体14における静電容量は、パターニング部16が形成された電極層12の電極面積によって規定されることになる。
(電子増幅用基板の配置)
片面リング構造の電子増幅用基板10は、上述したように、電極層12のみにパターニング部16が形成されており、板状部材11の一方の面側と他方の面側との間で各電極層12,13におけるパターン形状に差を有している。したがって、本実施形態の電子増幅用基板10については、検出器1のチャンバ2内への配置にあたり、どのような向きで配置するかが問題となる。
この点については、以下に詳述する理由により、電子が電子増幅用基板10における貫通孔15を通過する際の入口側にパターニング部16を有する電極層12が位置するように、電子増幅用基板10をチャンバ2内に配置することが望ましい。ただし、必ずしもこのような配置に限定されることはなく、これとは逆に、電子が貫通孔15を通過する際の出口側にパターニング部16を有する電極層12が位置するように、電子増幅用基板10をチャンバ2内に配置することも実現可能である。
<3.電子増幅用基板の製造手順>
次に、以上のような片面リング構造の電子増幅用基板10の製造手順について説明する。
図3および図4は、本実施形態における電子増幅用基板の製造手順の一例を示す説明図である。
電子増幅用基板10の製造にあたっては、先ず、図3(a)に示すように、「PEG3」等の感光性ガラスにより所望外形形状(例えば300mm×300mmの矩形状)で所望厚さ(例えば0.3mm〜1mm程度)に形成された平板状の板状部材11を用意する。
そして、図3(b)に示すように、用意した板状部材11上に、所望パターンが形成されたフォトマスク21を重ね、そのフォトマスク21を介して板状部材11に対して紫外線22を照射する。これにより、板状部材11では、紫外線照射箇所において、酸化還元反応が起こり、金属原子が生じる。
その後は、紫外線照射後の板状部材11に対して、例えば450〜600℃の温度で熱処理をする。そうすると、板状部材11では、図3(c)に示すように、紫外線照射によって生じた金属原子が凝集しコロイドを形成し、このコロイドを結晶核にしてLiO・SiO(メタケイ酸リチウム)の結晶部分23が成長する。
ここで析出するLiO・SiO(メタケイ酸リチウム)はHF(フッ化水素)に容易に溶解し、紫外線の照射されていないガラス部分と比べると約50倍程度の溶解速度の差がある。そこで、熱処理による結晶成長後は、図3(d)に示すように、板状部材11に対してHFを用いたエッチングを行う。これにより、熱処理で析出した結晶部分23を除去するエッチング、すなわちHFに対する溶解速度差を利用した選択的エッチングがされることになり、その結果として機械加工を用いることなくフォトマスク21のパターンと略同等の精度の微細(例えば、孔径φ30μm〜170μm程度、配列ピッチ50μm〜340μm程度)な貫通孔15を板状部材11に形成することができる。
板状部材11に貫通孔15を形成した後は、図3(e)に示すように、その板状部材11の表裏面のそれぞれに対して、例えばCu等の薄膜またはCuおよびCr等の積層膜をスパッタリングにより成膜して、薄膜状(例えば膜厚2μm程度)の電極層12,13を形成する。
その後は、板状部材11の一方の面側の電極層12に対して、パターニング部16の形成を行う。そのためには、先ず、図3(f)に示すように、電極層12上にレジスト膜24を形成する。レジスト膜24の形成は、貫通孔15の開口部にも当該開口部以外の部分と同様にレジスト膜24を形成すべく、例えばフィルム状レジスト材料を用いて行うことが考えられる。
レジスト膜24を形成した後は、そのレジスト膜24に対して、パターニング部16を形成するためのパターニングを行う。具体的には、図4(a)に示すように、例えばレジスト膜24がネガ型のものであれば、パターニング部16のガードリング部16b以外に対応する部分(すなわち除去すべきでない部分)を露光する。露光は、図示せぬフォトマスクを介して行ってもよいが、微細形状を高精度に形成する必要があることから、レーザ光等のエネルギービーム25をレジスト膜24に対して直接的に照射して行うことが考えられる。エネルギービーム25の直接照射によれば、板状部材11に対してTg(ガラス転移点)を超える温度の熱処理を行うことで歪等が生じ得る場合であっても、その歪等を考慮しつつビーム照射位置の補正を行うことで、微細形状の高精度なパターニングが実現可能となるからである。
そして、レジスト膜24への露光を行った後は、そのレジスト膜24に対する現像処理を行う。現像処理を行うと、例えばレジスト膜24がネガ型のものであれば、露光部が硬化するので、当該露光部は除去されずに、当該露光部以外が現像液に溶解して除去されることになる。その結果、図4(b)に示すように、パターニング部16のガードリング部16bに対応する部分が除去されたレジストパターン26が形成される。なお、レジストパターン26の形成は、ネガ型のレジスト膜24ではなく、ポジ型のレジスト膜24を用いて行っても構わない。その場合は、ネガ型とは全く逆の手法で、レジストパターン26が形成されることになる。
レジストパターン26を形成したら、その後は、図4(b)に示すように、レジストパターン26をマスクにして電極層12に対するエッチングを行う。エッチングは、電極層12がCu等の薄膜であればFeCl等のエッチング液を用いたウエットエッチングによって行うことが考えられる。ただし、電極層12の形成材料に応じて他種のエッチング液を用いて行ってもよいし、あるいは所定種類の処理ガスを用いたドライエッチングであっても構わない。このようなエッチングを行うことで、電極層12は、ガードリング部16bの部分(例えば溝幅20μm〜50μm程度)が除去される。
その後は、レジストパターン26の除去を行う。これにより、図4(c)に示すように、板状部材11の一方の面側の電極層12には、ランド部16aおよびガードリング部16bを有したパターニング部16が形成されることになる。なお、ランド部16aおよびガードリング部16bは、それぞれの形成幅を20μm〜50μm程度で形成することが考えられる。
<4.検出器における電離電子の測定手順>
次に、以上のような本実施形態の電子増幅用基板10を用いつつ検出器1を構成した場合において、その検出器1で電離電子の測定を行い、これにより粒子線または電磁波の検出を行う際の手順について、図1を参照しながら具体的に説明する。ここでは、X線を検出対象とした場合を例に挙げて、以下の説明を行う。
(測定手順)
検出器1のチャンバ2内には、所定種類の検出ガスを充填しておく。また、ドリフト電極3、読み出し電極4および電子増幅用基板10の各電極層12,13に対しては、ドリフト領域5で発生した電子を読み出し電極4の側へ引き寄せるべく、それぞれに異なる大きさの電圧を印加して、電界E1,E2,E3を発生させておく。つまり、読み出し電極4の側ほど電子の引き寄せ力が大きくなるような電位差を与えるべく、ドリフト電極3、読み出し電極4および電子増幅用基板10の各電極層12,13のそれぞれに対する電圧印加を行うのである。
具体的には、例えば、検出ガスとしてAr70%、CH30%の混合ガスを圧力1atmでチャンバ2内に充填しておく。また、例えば、ドリフト領域5の電界E1が125〜500V/cm程度、インダクション領域6の電界E3が2.5〜5kV/cm程度となるように、ドリフト電極3、読み出し電極4および電子増幅用基板10に対する印加電圧の大きさやそれぞれの位置関係(間隔の大きさ)を適宜設定しておく。さらに、例えば、電子増幅用基板10の各電極層12,13に対する印加電圧についても、貫通孔15の孔内にて電子雪崩増幅が起こるのに十分な電界E2が形成できるように、適宜設定しておく。
このような状態で例えば55Feの線源から放射されるX線がチャンバ2内に入射すると、そのチャンバ2内では、ドリフト領域5において、入射したX線がガスを電離させ、この電離作用により電子が発生する。このとき、ドリフト領域5には電界E1が形成されているので、発生した電子は、電子増幅用基板10の側へ引き寄せられる。そして、電子増幅用基板10の貫通孔15を通過しようとする。
ただし、貫通孔15の孔内には、電界E2の形成によって高電場が生じている。そのため、貫通孔15を通過しようとする電子は、高電場によって速度が加速されて運動エネルギーが増加し、これにより他の周りの電子にエネルギーを与えて、新たな電離作用により電子を放出させる。このことが繰り返されることで、電子は増幅していき、結果として雪崩式に増幅していく。つまり、電子が貫通孔15の孔内を通過する際に、電子雪崩増幅が起こるのである。
電子雪崩増幅により増倍された電子は、インダクション領域6に形成されている電界E3により、読み出し電極4の側へ引き寄せられる。そして、読み出し電極4にて電子数が信号として読み出される。このような信号読み出しを行う読み出し電極4は、小さくエリア分けされている。そのため、どのエリアにて電子が測定されたかを特定することができる。
以上のような手順を経ることで、検出器1では、検出対象であるX線について、検出を行うことができる。
(電子雪崩増幅)
ところで、上述したようなX線検出の手順において、電子雪崩増幅によって電子を増倍する際には、高い増幅率(ゲイン)を得られるようにすることが求められる。一枚あたりで高い増幅率(例えば10以上、好ましくは105程度)が得られれば、電子増幅用基板10の多段化が不要となるからであり、また測定能力の向上(例えばX線以外にも粒子線の一例である中性子線について検出可能となるといった具合)も期待できるからである。
高い増幅率を得るためには、貫通孔15の孔内に強い電場を形成すればよい。しかしながら、その場合には、放電が発生し易くなってしまうおそれが生じる。この点、片面リング構造の電子増幅用基板10であれば、板状部材11の一方の面側の電極層12に、当該電極層12への印加電圧の電圧降下を生じさせるパターニング部16が形成されているので、貫通孔15の孔内に強い電場を形成しつつ、放電の発生を抑制することが可能である。
以下に、その理由について説明する。電子雪崩増幅を起こさせるために各電極層12,13に対して電圧印加を行うと、パターニング部16が形成された面側では電極層12とパターニング部16のランド部16aとの間で誘電作用が生じ、その結果として電極層13とランド部16aとの間(すなわち貫通孔15の孔内)に電界E2が形成されることになる。
このとき、電極層12とランド部16aとの間では、ガードリング部16bが電気抵抗となるので、電圧降下が生じる。したがって、片面リング構造の電子増幅用基板10では、いずれの面にもパターニング部16が形成されていない場合と比べると、各電極層12,13への印加電圧が同じであっても、パターニング部16での電圧降下の分だけ電場の強さが抑制されるので、貫通孔15の孔内での放電が発生し難くなる。
その一方で、電極層13の側には、パターニング部16が形成されていない。そのため、片面リング構造の電子増幅用基板10では、いずれの面にもパターニング部16が形成された両面リング構造の場合と比べると、各電極層12,13への印加電圧が同じであっても、パターニング部16による電圧降下が一方の面だけで済むので、強い電場を形成すること、すなわち電子雪崩増幅を起こさせるために十分と考えられる強さの電界E2を貫通孔15の孔内に形成することが可能である。
しかも、片面リング構造の電子増幅用基板10では、十分な強さの電界E2を形成できれば、両面リング構造の場合とは異なり電圧降下を考慮した高電圧を印加する必要もないことから、ガードリング部16bの溝幅(例えば溝幅20μm〜50μm程度)が板状部材11の板厚(例えば0.3mm〜1mm程度)に比べて非常に小さくても、そのガードリング部16bを挟む電極層12とランド部16aとの間での放電発生も抑制されることになる。
以上の理由により、片面リング構造の電子増幅用基板10では、では、貫通孔15の孔内に強い電場を形成しつつ、放電の発生を抑制することが可能となるのである。
さらに、片面リング構造の電子増幅用基板10では、板状部材11と各電極層12,13との積層体14における静電容量が、パターニング部16が形成された電極層12の電極面積によって規定される。つまり、一方の面側のみにパターニング部16が形成されていれば、いずれの面にも形成されていない場合と比べて積層体14における静電容量を抑えることが可能であり、両面リング構造の場合と同等の静電容量を実現することができる。したがって、放電の発生を抑制することを可能にしつつ、仮に万が一放電が発生してしまった場合であっても、積層体14における静電容量を抑えることで、信号読み出しのための電気回路であるASIC7等に与えてしまうダメージを小さくすることができる。つまり、積層体14の静電容量を抑えることで、ASIC7等の電気回路が破壊されてしまうのを回避することが実現可能となる。
その上、本実施形態の電子増幅用基板10では、板状部材11が「PEG3」等の感光性ガラスによって形成されているので、他材料の場合に比べると帯電し難くく、電極層12,13への電圧印加時のチャージアップ抑制に有効である。この点においても、本実施形態の電子増幅用基板10は、貫通孔15の孔内に強い電場を形成しつつ、放電の発生を抑制する上で、非常に有効なものであると言える。
また、上述したようなX線検出の手順において、電子雪崩増幅によって電子を増倍する際には、ドリフト領域5から貫通孔15の孔内に電子が入り易く、かつ、貫通孔15の孔内からインダクション領域6に電子が出易いことが望ましい。この点、本実施形態において、片面リング構造の電子増幅用基板10は、電子の入口側にパターニング部16を有する電極層12が位置するように、チャンバ2内に配置されている。つまり、電子の入口側ではパターニング部16による電圧降下が生じ得るが、電子の出口側では電圧降下が生じることなく高電位が与えられたままとなる。したがって、このような配置であれば、片面リング構造の電子増幅用基板10は、電子雪崩増幅によって電子を増倍するのにあたり、ドリフト領域5から貫通孔15の孔内に電子が入り易く、かつ、貫通孔15の孔内からインダクション領域6に電子が出易いものとなり、その結果として電子雪崩増幅の際のゲイン向上に寄与し得るようになる。
<5.本実施形態の効果>
本実施形態で説明した電子増幅用基板10および検出器1によれば、以下のような効果が得られる。
本実施形態においては、電子増幅用基板10における各電極層12,13の間でパターン形状に差があるので、両パターンが同一の場合に比べると、貫通孔15の孔内に強い電場を形成しつつ、放電の発生を抑制することが可能となる。さらに詳しくは、いずれの面にもパターニング部16が形成されていない場合と比べると、貫通孔15の孔内での放電が発生し難くなり、またいずれの面にもパターニング部16が形成された両面リング構造の場合と比べると、貫通孔15の孔内に強い電場を形成することが可能となる。したがって、本実施形態によれば、ASIC7等の電気回路等の破壊に繋がる放電の発生を抑制しつつ、その場合でも電子雪崩増幅の際に十分な増幅率(例えば10以上、好ましくは105程度)を得ることが可能である。
また、本実施形態においては、電子増幅用基板10を構成する板状部材11と各電極層12,13との積層体14における静電容量が、パターニング部16が形成された電極層12の電極面積によって規定される。そのため、一方の面側のみにパターニング部16が形成されている片面リング構造の場合であっても、両面リング構造の場合と同等の静電容量を実現することができ、貫通孔15の孔内に強い電場を形成しつつ放電の発生を抑制する上で非常に好適なものとなる。また、仮に万が一放電が発生してしまった場合であっても、ASIC7等の電気回路が破壊されてしまうのを回避することが実現可能となる。
また、本実施形態においては、電子増幅用基板10におけるパターニング部16が、ランド部16aとガードリング部16bとを有して形成されている。そして、ランド部16aおよびガードリング部16bは、単に貫通孔15の開口部を臨む部分に形成されているだけではなく、当該開口部を囲うように配されている。つまり、ランド部16aおよびガードリング部16bは、貫通孔15の開口部の周端縁の全周にわたって均等に位置している。したがって、各電極層12,13への電圧印加を行う際に、パターニング部16にて誘電作用や電圧降下等の影響があっても、貫通孔15の孔内には、当該貫通孔15の全周にわたって均等な分布の電場が形成されることになる。このことは、貫通孔15の孔内にて電子雪崩増幅を確実に生じさせて、その際に高い増幅率(ゲイン)を得るためには、非常に有効なことであると言える。
また、本実施形態においては、電子増幅用基板10を構成する板状部材11が「PEG3」等の感光性ガラスによって形成されているので、電圧印加時のチャージアップ抑制に有効であり、この点によっても貫通孔15の孔内に強い電場を形成しつつ放電の発生を抑制する上で非常に有効と言える。
また、本実施形態においては、電子の入口側にパターニング部16を有する電極層12が位置するように、片面リング構造の電子増幅用基板10がチャンバ2内に配置されている。したがって、片面リング構造の電子増幅用基板10での電子雪崩増幅によって電子を増倍するのにあたり、貫通孔15の孔内に電子が入り易く、かつ、貫通孔15の孔内から電子が出易くなるので、電子雪崩増幅の際のゲイン向上が期待できる。
<6.変形例等>
以上に本発明の実施形態を説明したが、上記の開示内容は、本発明の例示的な実施形態を示すものである。すなわち、本発明の技術的範囲は、上記の例示的な実施形態に限定されるものではない。
例えば、上述した実施形態では、チャンバ2内の電子増幅用基板10が一枚のみである場合を例示している。ただし、電子増幅用基板10は、チャンバ2内に複数枚が設けられていてもよい。電子増幅用基板10を複数枚備える構成の検出器1では、一枚のみの場合に比べると、装置構成の複雑化を招いてしまうが、電子雪崩増幅の際のゲインを増大させることが容易に実現可能となる。
また、上述した実施形態では、片面リング構造の電子増幅用基板10を例示している。ただし、電子増幅用基板10は、貫通孔15の孔内に強い電場を形成しつつ放電の発生を抑制し得るようなパターン差が各電極層12,13に与えられていれば、他の構造のものであっても構わない。すなわち、パターニング部16は、各電極層12,13の間でパターン差を生じさせるものであれば、必ずしもリング状である必要はなく、例えば格子状に配された導電性の部分が貫通孔15の開口部を臨むように配されたメッシュ状のものであってもよい。
また、上述した実施形態では、電子増幅用基板10における貫通孔15が丸孔である場合を例示している。ただし、貫通孔15は、孔内に電場を形成し得る形状であれば、丸孔ではなく、角孔等の他形状のものであっても構わない。
また、上述した実施形態では、検出器1を構成するチャンバ2内の読み出し電極4等が平板状に形成されている場合を例示している。ただし、読み出し電極4等は、例えばマイクロストリップと呼ばれる線状に形成されたものであってもよい。
1…検出器、2…チャンバ、3…ドリフト電極、4…読み出し電極、10…電子増幅用基板、11…板状部材、12,13…電極層、14…積層体、15…貫通孔、16…パターニング部、16a…ランド部、16b…ガードリング部、

Claims (6)

  1. 絶縁性を有する板状部材と、
    前記板状部材の両面のそれぞれに配された導電性を有する電極層と、
    前記板状部材と前記電極層との積層体に形成された複数の貫通孔とを備え、
    前記電極層への電圧印加時の両電極層間の電位差により前記貫通孔内に電界を形成して当該貫通孔内にて電子雪崩増幅を起こすように構成された電子増幅用基板において、
    前記板状部材の一方の面側の前記電極層には、前記貫通孔の開口部を臨む部分に、当該電極層への印加電圧の電圧降下を生じさせるパターニング部が形成されており、
    前記板状部材の他方の面側は、前記電極層に前記パターニング部が形成されてなく、当該電極層が前記貫通孔の開口部を除く前記板状部材の面上を覆うように形成されており、
    前記一方の面側と前記他方の面側との両電極層の間で形成パターンの形状に差を有している
    ことを特徴とする電子増幅用基板。
  2. 前記板状部材と前記電極層との積層体における静電容量が、前記パターニング部が形成された前記電極層の電極面積によって規定されるように構成されている
    ことを特徴とする請求項1記載の電子増幅用基板。
  3. 前記パターニング部は、
    前記貫通孔の開口部を囲うように配された導電性を有するランド部と、
    前記ランド部の外周側を囲うように配された絶縁性を有するガードリング部と、
    を有して形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の電子増幅用基板。
  4. 前記板状部材は、感光性ガラスによって形成されている
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載の電子増幅用基板。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の電子増幅用基板と、
    前記電子増幅用基板をガス中に配置するためのチャンバとを備え、
    前記ガス中で前記電子増幅用基板が起こす電子雪崩増幅を利用して電離電子についての測定を行うように構成された
    ことを特徴とする検出器。
  6. 前記電子増幅用基板は、前記電離電子が当該電子増幅用基板における前記貫通孔内を通過する際の入口側に前記パターニング部を有する前記電極層が位置するように、前記チャンバ内に配置されている
    ことを特徴とする請求項5記載の検出器。
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