JP4264897B2 - 非鉄溶湯用部材 - Google Patents
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Description
C :0.95〜1.5%、Si:0.1〜0.4%、Mn:0.2〜0.5%、Cr:3.0〜5.0%、Mo:4.5〜9.5%、V :1.5〜4.5%、W:1.5〜7.0%、
残部Feおよび不可避的不純物元素を含む鉄鋼材料の表層部に、あらかじめ窒化処理により窒素富化層を形成した後、Crを含む溶融塩に浸漬することにより、窒素富化層をCrの窒化物或いは炭窒化物を含む層に変化させて被覆層を形成してなることを特徴とする非鉄金属溶湯用部材が記載されている。
C :1.0〜4.0% Si:0.1〜2.0%
Mn:0.1〜2.0% Ni≦4.5%(0を含む)
Cr≦10.0%(0を含まない) Mo:0.1〜9.0%
W≦10.0%(0を含む) V :1.0〜15.0%
を含有し残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とする。
Cは、耐摩耗性向上のための炭化物の形成と、基地への固溶による焼入れ・焼戻し時の基地硬さの向上に必要である。Cは、耐摩耗性を付与すべきMC、M2C、M6C、M7C3、M4C3、M23C6系炭化物を生成する。Cが1.0%未満であると耐摩耗性を向上させるために有効な炭化物の晶出が少なく、さらに、基地に固溶するCが不足し、焼入れによっても十分な基地硬さが得られなくなると同時に高合金化が難しくなる。一方、4.0%を超えると炭化物が粗大化しその晶出量も過大となり合金層として必要な靭性が劣化するため上限を4.0%とした。より好ましい含有量は1.5を超え3.0%以下である。
さらに望ましい含有量は1.9〜2.5%である。
Siの含有量は0.1〜2.0%が好ましい。Siは、脱酸剤として作用し、またM6C炭化物中に固溶してW、Moなどの元素を置換して含有されるため、W、Moなどの高価な元素の節減を図るために有効である。Siが0.1%未満では脱酸効果が不足して鋳造欠陥を生じやすい。また、2.0%を超えると脆化が生じやすい。より好ましい含有量は0.5〜1.5%である。
Mnの含有量は0.1〜2.0%が好ましい。Mnは、Siと同様に脱酸作用がある。また、不純物であるSをMnSとして固定する作用がある。Mnが0.1%未満では脱酸性に乏しい。また、2.0%を超えると残留オーステナイトが生じやすくなり、安定して十分な硬さを維持できない。より好ましい含有量は0.4〜1.5%である。
Niは焼入性を向上させ高硬度化させる効果を有する。Niの下限は0%である。4.5%を超えると残留オーステナイトが過剰となりかえって高硬度が得られなくなるためその上限を4.5%とした。より好ましいNi含有量は2.0%以下である。
CrはCと結合し炭化物を晶出生成し、また基地に固溶し基地硬さをあげることで、耐摩耗性を向上させる。Crが10.0%を超えると、常温での残留オーステナイトが多くなるので、焼戻し回数が多くなり不経済となる。さらに、Crは比較的硬さの低いM7C3やM23C6系炭化物を形成し、多量の添加はこれらの炭化物が過剰となり耐摩耗性が劣化する。しかしながら、添加量が少ないとその効果が十分確保できず、多すぎると炭化物が粗大化し靱性が低下する。そこで好ましい範囲は3.0%〜9.0%とした。
MoはCrと同様に硬質の炭化物が得られ、また高温で焼戻しを行う場合、その二次硬化に強く寄与する元素である。MoはCと結合して硬質のM2C、M6C系炭化物を生成するMoが0.1%未満ではその効果が小さい。また、9.0%を超えると、CとVとMoのバランスにおいてM2C、M6C系炭化物が多く晶出しすぎ、靭性が低下する。よってその適切な範囲を0.1%〜9.0%とした。より好ましいMo含有量は4.5を超え8.0%以下である。
Wは、Moと同様に焼入れ性の向上と基地の高温硬さを得るために必要である。また、WはCrやMoと同様に硬い炭化物を生成する為これらの元素に置換して添加することも有効である。さらに、基地の焼入れ性を上げ、Cと結合して硬質のM2C、M6C系炭化物を生成する。Wの下限は0%である。また、10.0%を超えると、M6C系炭化物が粗大化し脆性が劣化するため、その適切な範囲を10.0%以下とした。
Vは、耐摩耗性の向上に最も寄与する硬質な炭化物であるMC、M4C3を形成する。Vが1.0%未満では炭化物の生成が少なく耐摩耗性が劣化する。Vが15.0%を超えると、C含有量とのバランスにより、初晶としてオーステナイト、もしくはMC、M4C3系炭化物が晶出する。オーステナイトが初晶で晶出すれば硬さが不十分となる。また、MC、M4C3が初晶で晶出すれば凝固中に凝集し、使用した場合、硬質炭化物であるMC、M4C3の凝集偏析が脆性の劣化を引き起こすので好ましくない。より好ましいVの含有量は、4.5を超え8.0%以下である。
Coは炭化物の生成とは無関係に基地に固溶し、強靭性を増すとともに高温硬さと耐摩耗性を向上する効果がある。Coの下限は0%である。Coが10.0%を超えるとその効果が飽和し、かつ高価になるのでその上限を10.0%以下とした。
NbはVと同様に、耐摩耗性の向上に最も寄与する硬質な炭化物であるMC、M4C3を形成する。Nbの下限は0%である。Nbが10.0%を超えると、靭性の低下とともにC含有量とのバランスにより、初晶としてオーステナイト、もしくはMC、M4C3系炭化物が晶出する。オーステナイトが初晶で晶出すれば硬さが不十分となる。また、MC、M4C3が初晶で晶出すれば凝固中に凝集し、使用した場合、硬質炭化物であるMC、M4C3の凝集偏析が脆性の劣化を引き起こすので好ましくない。また、NbはVと置換可能である。よって、より好ましいNbおよびVの含有量は、(Nb+V)≦2.0〜8.0%である。
5 皮膜層、 6 堰入れ子、 7 合金層、 8 外表面
Claims (6)
- 外表面から加熱されるとともに、内表面が非鉄溶湯に接触されて使用される部材であり、金属材料からなる母材の非鉄溶湯と接する内表面にハイス系合金からなる合金層を形成するとともに、該母材の外表面に窒化物あるいは炭窒化物からなる被覆層を形成したことを特徴とする非鉄溶湯用部材。
- 前記被覆層が、Crの窒化物あるいはCrの炭窒化物から形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の非鉄溶湯用部材。
- 前記ハイス系合金の化学成分が質量比で、
C :1.0〜4.0% Si:0.1〜2.0%
Mn:0.1〜2.0% Ni≦4.5%(0を含む)
Cr≦10.0%(0を含まない) Mo:0.1〜9.0%
W≦10.0%(0を含む) V :1.0〜15.0%
を含有し残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1または2に記載の非鉄溶湯用部材。 - 前記ハイス系合金がさらに質量比で、Co≦10.0%、Nb≦10.0%のいずれか一種以上を含有することを特徴とする請求項3に記載の非鉄溶湯用部材。
- 非鉄溶湯と接する前記ハイス系合金層の表面に、窒化物からなる皮膜層を形成することを特徴とする請求項4に記載の非鉄溶湯用部材。
- 前記皮膜層の表面に、さらにCrの窒化物あるいはCrの炭窒化物からなる皮膜層を形成することを特徴とする請求項5に記載の非鉄溶湯用部材。
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