JP4264742B2 - ラクトnビオースホスホリラーゼ遺伝子、該遺伝子を含む組換えベクター及び該ベクターを含む形質転換体 - Google Patents

ラクトnビオースホスホリラーゼ遺伝子、該遺伝子を含む組換えベクター及び該ベクターを含む形質転換体 Download PDF

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Description

本発明はラクトNビオースホスホリラーゼ遺伝子、該遺伝子を含む組換えベクター及び該ベクターを含む形質転換体に関する。
ラクトNビオースホスホリラーゼ(EC2.4.1.211)は、ラクトNビオース(ガラクトピラノシルβ1,3N−アセチルグルコサミン)をガラクトース−1−リン酸とN−アセチルグルコサミンに加リン酸分解する酵素であり、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)の菌体内にその活性が報告されている(非特許文献1)。本酵素はまたその逆反応を触媒することから、本酵素を用いることにより、食品用素材,医薬品用素材などとして有用と期待される種々のラクトNビオース誘導体を合成することが可能である。このように、ラクトNビオースホスホリラーゼは産業上極めて重要な酵素である。
しかしながら、従来、ラクトNビオースホスホリラーゼはビフィドバクテリウム・ビフィダム菌体から抽出したものが粗酵素あるいは部分精製酵素として利用されているにすぎず(非特許文献2)、該酵素を安定的に生産して工業的利用の向上を図ることは行われていなかった。
Danielle Derensy−Dron, Frederic Krzewinski, Colette Brassart, and Stephane Bouquelet, Biotechnol. Appl. Biochem., 29, 3−10 (1999) Erzsebet Farakas, Jachim Thiem, Ferederic Krewinski, Stephane Bouquelet, Synlett, 728−730 (2000)
ラクトNビオースホスホリラーゼ遺伝子が提供されれば、それを用いることによりラクトNビオースホスホリラーゼの安定的で効率的な生産が可能になると期待される。
そこで本発明は、ラクトNビオースホスホリラーゼ遺伝子、該遺伝子を含む組換えベクター及び該ベクターを含む形質転換体を提供することを目的とする。
本発明は以下の発明を包含する。
(1)以下の(a)、(b)又は(c)のDNAからなる遺伝子。
(a)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
(b)配列番号1で表されるアミノ酸配列において1〜数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつラクトNビオースホスホリラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA
(c)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAの全部又は一部と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつラクトNビオースホスホリラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA
(2)以下の(a)、(b)又は(c)のDNAからなる遺伝子。
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
(b)配列番号2で表されるアミノ酸配列において1〜数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつラクトNビオースホスホリラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA
(c)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAの全部又は一部と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつラクトNビオースホスホリラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA
(3)上記(1)又は(2)に記載の遺伝子を含有する組換えベクター。
(4)上記(3)に記載の組換えベクターを含む形質転換体。
本発明によれば、ラクトNビオースホスホリラーゼ遺伝子、該遺伝子を含む組換えベクター及び該ベクターを含む形質転換体が提供される。
本発明は、配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAからなる遺伝子に関する。配列番号1または2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質はラクトNビオースホスホリラーゼ活性を有する。配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAの塩基配列としては、例えば配列番号20の第286〜2538番のDNA塩基配列が挙げられる。配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAの塩基配列としては、例えば配列番号19の第20〜2272番のDNA塩基配列が挙げられる。
本発明に係る遺伝子はまた、配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列において1〜数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつラクトNビオースホスホリラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAからなる遺伝子であってよい。アミノ酸の欠失、置換若しくは付加は、天然に生じたものであってもよく、部位特異的変異導入方法等を行った結果として生じたものであってもよい。
本発明に係る遺伝子はまた、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAの全部又は一部と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつラクトNビオースホスホリラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAからなる遺伝子であってもよい。同様に、本発明に係る遺伝子はまた、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAの全部又は一部と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつラクトNビオースホスホリラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAからなる遺伝子であってもよい。ストリンジェントな条件とは、特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。例えば、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAに対し高い相同性(相同性が90%以上、好ましくは95%以上)を有するDNAが、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとハイブリダイズする条件が挙げられる。より具体的には、ナトリウム塩濃度が15〜750mM、好ましくは50〜750mM、より好ましくは300〜750mM、温度が25〜70℃、好ましくは50℃〜70℃、より好ましくは55〜65℃、ホルムアミド濃度0〜50%、好ましくは20〜50%、より好ましくは35〜45%での条件をいう。さらにハイブリダイゼーション後のフィルターの洗浄条件が、ナトリウム塩濃度が15〜600mM、好ましくは50〜600mM、より好ましくは300〜600mM、温度が50〜70℃、好ましくは55〜70℃、より好ましくは60〜65℃での条件である場合も、本発明における「ストリンジェントな条件」に含めることができる。
ここで、「一部の配列」とは、所定の遺伝子の塩基配列の一部分を含むDNAの塩基配列であって、該DNAがラクトNビオースホスホリラーゼ活性を有するタンパク質をコードするものを指す。また「一部の配列」は、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズさせるのに十分な塩基配列の長さを有するもの、例えば、少なくとも10塩基、好ましくは少なくとも50塩基、より好ましくは少なくとも200塩基の配列である。
ラクトNビオースホスホリラーゼ活性は、50mM MOPS緩衝液(pH7.0)中30℃において、10mM αガラクトース−1−リン酸及び10mM N−アセチルグルコサミンから生じるリン酸の遊離量を測定することにより評価した。
配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAからなる遺伝子は、例えばビフィドバクテリウム・ビフィダム JCM 1254(理化学研究所微生物系統保存施設より入手可能)から、実施例に示す手法で得ることができる。ビフィドバクテリウム・ビフィダム由来のラクトNビオースホスホリラーゼをクローニングするためには、ラクトNビオースホスホリラーゼを完全精製された状態で入手することが不可欠である。しかしながら従来、部分精製の方法および部分精製酵素の利用が報告されているのみであり(非特許文献1,2)、完全精製は安定性の面から困難である旨が報告されていた(非特許文献1)。本発明者らは、疎水クロマトグラフィーとイオン交換クロマトグラフィーを効果的に配置することにより困難な完全精製に初めて成功した。そして、こうして得られた完全精製酵素を用いることにより本発明を完成するに至った。更にまた本遺伝子のクローニングを行うに際して、全アミノ酸配列情報を得ることが困難であり通常のPCR法では遺伝子全長を取得することが難しい。本発明者らは、鋭意研究の結果、DNAの内部配列を増幅してからその配列を元に実施例に詳述する特殊なPCR法を行うことによりタンパク質コード領域全長を取得することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAからなる遺伝子は、例えばビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)JCM 1217株(理化学研究所微生物系統保存施設より入手可能)から、実施例に示す手法で得ることができる。本遺伝子を得るためには、まず、タンパク質コード領域の外側のDNA配列に対するプライマーを作成しPCRにて増幅できる条件を検討した後に、得られた増幅断片の配列をもとにプライマーを設計し全長配列のクローニングを行うという二段階のPCRを行うことを特徴とする方法を用いる必要があった。なお、配列番号2で表されるアミノ酸配列は、データベース上に開示されているビフィドバクテリウム・ロンガムNCC2705株由来の機能未知遺伝子BL1641がコードするアミノ酸配列と97%程度の相同性を示すのであるが、本発明に係る遺伝子の入手にもまた酵素の完全精製が必須であったこと及び上記のように二段階の特殊なPCR増幅を行う必要があることに鑑みれば、機能未知遺伝子BL1641が開示されているという事実にかかわらず、本発明に係る遺伝子を入手することは決して容易なことではない。
本発明はまた、本発明の遺伝子を含有する組換えベクターに関する。本発明の遺伝子を挿入するためのベクターは、宿主細胞で複製可能なものであれば特に限定されず、例えば、プラスミド、シャトルベクター、ヘルパープラスミドなどが挙げられる。また、該ベクター自体が単独では複製され得ないものであっても、宿主の染色体に挿入されることによって、複製可能となるものであればよい。
プラスミドとしては特に限定されないが、大腸菌由来のプラスミド(例えば、pET系プラスミド、pBR322、pBR325、pUC118、pUC119、pUC18、pUC19、pBluescript等)、枯草菌由来のプラスミド(例えば、pUB110、pTP5等)、酵母由来のプラスミド(例えばYep13等のYep系、Ycp50等のYcp系等)が挙げられ、ファージDNAとしては、特に限定されないが、λファージ(Charon4A、Charon21A、EMBL3、EMBL4、λgt10、λgt11、λZAP等)が挙げられる。さらにはレトロウイルス又はワクシニアウイルス等の動物ウイルス、バキュロウイルス等の昆虫ウイルスベクターを用いることができる。
本発明はまた、これらの組換えベクターを含む形質転換体に関する。かかる形質転換体は、前記組換えベクターを用いて宿主を形質転換することにより得ることができる。前記形質転換は、例えばプロトプラスト法、塩化ルビジウム法、塩化カルシウム法、エレクトロポレーション法、コンピテントセル法等の常法により行われる。宿主としては、ラクトNビオースホスホリラーゼの発現に適する宿主であればよく、微生物が好ましく、例えば、大腸菌(Escherichia coli)などのエッシェリヒア属に属する細菌、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)などのサッカロミセス(Saccharomyces)属に属する酵母、カンジダ・マルトーサ(Candida maltosa)などのカンジダ(Candida)属に属する酵母、COS細胞、CHO細胞、マウスL細胞、ラットGH3、ヒトFL細胞などの動物細胞、SF9細胞などの昆虫細胞などが挙げられる。
次に、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
ビフィドバクテリウム・ビフィダム JCM 1254株(理化学研究所微生物系統保存施設(埼玉県和光市広沢2番1号)より入手)を減酸素条件下において栄養培地にて培養したのち、培養物から菌体を分離した。次いで該菌体(培養液4L分)を10mLの10mM MOPS緩衝液(pH7.0)中で定法により破砕した後、遠心分離を行い菌体破砕液を得た。該菌体破砕液に硫酸アンモニウムを30%飽和濃度に達するまで加え、生じた沈殿を遠心分離にて除去した。該遠心上清を、30%飽和濃度硫酸アンモニウムを含んだ10mM MOPS緩衝液(pH7.0)により平衡化したButyl−Toyopearl 650M (東ソー)カラムに通液し吸着させた後、該カラムから、10mM MOPS緩衝液(pH7.0)中30%飽和〜0%の硫酸アンモニウムの濃度勾配により酵素を溶出させた。ラクトNビオースホスホリラーゼ活性を示した画分を集めた後、硫酸アンモニウムを終濃度60%飽和になるよう加え、遠心分離により沈殿を回収した。該沈殿を10mM MOPS緩衝液(pH7.0)に再溶解した後、同緩衝液により平衡化されたDEAE−Toyopearl 650M(東ソー)カラムに通液し吸着させた後、該カラムから、10mM MOPS緩衝液(pH7.0)中150〜300mM塩化ナトリウムの濃度勾配により酵素を溶出させた。ラクトNビオースホスホリラーゼ活性を示した画分を集めた後、硫酸アンモニウムを終濃度60%飽和になるよう加え、遠心分離により沈殿を回収した。該沈殿を10mM MOPS緩衝液(pH7.0)に再溶解した後、同緩衝液により平衡化されたMonoQカラム(Amersham社)に通液し吸着させた後、該カラムから、10mM MOPS緩衝液(pH7.0)中150〜300mM塩化ナトリウムの濃度勾配により酵素を溶出させた。ラクトNビオースホスホリラーゼ活性を示した画分を集めた後、10mM MOPS緩衝液(pH7.0)に対して透析することにより、精製されたラクトNビオースホスホリラーゼを得た。得られた酵素はSDS−PAGE上で単一のバンドを示し高度に精製されていた。
この精製ラクトNビオースホスホリラーゼについて、プロテインシーケンサー(PerkinElmer社製)により、そのN末端のアミノ酸配列を決定した。決定した配列を配列番号3に示す。さらに、このラクトNビオースホスホリラーゼをV8プロテアーゼ(Merck社製)で分解してペプチドフラグメントを調製し、2種類のペプチドフラグメントのアミノ酸配列を決定した。決定されたアミノ酸配列を配列番号4及び5に示す。
解読されたアミノ酸配列について相同検索を行ったところ、BL1641としてGENES Databaseに登録されているビフィドバクテリウム・ロンガム由来の機能未知遺伝子産物と高い相同性(相同性81%)を示した。そこでこのBL1641のゲノム情報を基に、隣接するタンパク質コード領域及びタンパク質コード領域内部を増幅するために2つのフォーワードプライマー(配列番号6及び7)及び2つのリバースプライマー(配列番号8及び9)を作成した。
これらのプライマーを組み合わせて使用し、InstaGene Matrix(Bio-Rad社製)を用いて調製したビフィドバクテリウム・ビフィダム JCM 1254株及びビフィドバクテリウム・ロンガム JCM 1217株(理化学研究所微生物系統保存施設より入手)のゲノムDNAを鋳型とし、それぞれPCR反応により増幅させた。
ビフィドバクテリウム・ビフィダム JCM 1254株のゲノムDNAを鋳型とし、配列番号7に記載したフォーワードプライマーと、配列番号8に記載したリバースプライマーとを用いてPCR反応(PCR条件:ポリメラーゼとしてKOD Dash(東洋紡)を用い、94℃30秒、60℃30秒、74℃3分を27サイクル)を行ない、反応産物をアガロースゲル電気泳動に供したところ、1848bpの明瞭なバンドが確認された。このバンドをクローニングし、DNAシークエンサーで分析したところ、配列番号18で示すDNA塩基配列(1788bp)が含まれていることが決定された。このDNA塩基配列をアミノ酸に翻訳したところ、BL1641がコードするアミノ酸配列の一部分と相同であることが確認された(相同性93%)。すなわち、配列番号18で示すDNA塩基配列がタンパク質コード領域の一部分であると推定された。
ビフィドバクテリウム・ビフィダム JCM 1254株由来遺伝子の完全長のタンパク質コード領域を取得するために、解析されたDNA塩基配列(配列番号18)の情報をもとにPCR増幅を更に行った。
完全長のタンパク質コード領域を含むDNAの5’末端側上流を増幅することを目的として、ビフィドバクテリウム・ビフィダム JCM 1254株のゲノムDNAを鋳型とし、配列番号6に示すフォーワードプライマーと配列番号10に示すリバースプライマーとを用いてPCR反応(PCR条件:ポリメラーゼとしてKOD Dash(東洋紡)を用い、94℃30秒、60℃30秒、74℃3分を27サイクル)を行ない、反応産物をアガロースゲル電気泳動に供したところ、1949bpの明瞭なバンドが確認された。更にまた、完全長のタンパク質コード領域を含むDNAの3’末端側下流を増幅することを目的として、ビフィドバクテリウム・ビフィダム JCM 1254株のゲノムDNAを鋳型とし、解析されたDNA塩基配列(配列番号18)をもとに作製したプライマー(配列番号11〜13)を用いてサーマルアシンメトリックインターレイストPCR法(TAIL−PCR、「植物のPCR実験プロトコール」、島本功、佐々木卓治監修、秀潤社、1997年、83頁)を行った(PCR条件:ポリメラーゼ KOD plus(東洋紡) PCR1回目 94℃1分、65℃1分、68℃3分を5サイクル、94℃1分、25℃3分、68℃3分を1サイクル、94℃30秒、63℃1分、68℃3分、94℃30秒、63℃1分、68℃3分、94℃30秒49℃1分、68℃3分を15サイクル: PCR2回目 94℃30秒、63℃1分、68℃3分、94℃30秒、63℃1分、68℃3分、94℃30秒49℃1分、68℃3分を15サイクル)。反応産物をアガロースゲル電気泳動に供したところ、約1000bpの明瞭なバンドが確認された。
こうして得られた2つのバンドをそれぞれクローニングし、DNAシークエンサーで分析してDNA塩基配列をそれぞれ解読した。解読結果から、ビフィドバクテリウム・ビフィダム JCM 1254株ゲノムDNA中には、配列番号20で示すDNA塩基配列が存在することが確認された。このDNA塩基配列をアミノ酸に翻訳したところ、配列番号20の第286番〜第2538番がコードするアミノ酸配列が、BL1641がコードするアミノ酸配列と相同であることが確認された(相同性90%)。すなわち、配列番号20の第286番〜第2538番がタンパク質コード領域であると推定された。
また、ビフィドバクテリウム・ロンガム JCM 1217株のゲノムDNAを鋳型とし、配列番号6に記載したフォーワードプライマーと、配列番号9に記載したリバースプライマーとを用いてPCR増幅を行ない(PCR条件:ポリメラーゼとしてKOD Dash(東洋紡)を用い、98℃10秒、60℃10秒、74℃2分を27サイクル)、反応産物をアガロースゲル電気泳動に供したところ、2600bpの明瞭なバンドが確認された。このバンドをDNAシークエンサーで分析したところ、配列番号19で示すDNA塩基配列(2335bp)が含まれていることが決定された。このDNA塩基配列をアミノ酸に翻訳したところ、配列番号19の第20番〜第2272番(2253bp)がコードするアミノ酸配列が、BL1641がコードするアミノ酸配列と相同であることが確認された(相同性97%)。すなわち、配列番号19の第20番〜第2272番がタンパク質コード領域であると推定された。
次に、これらのタンパク質コード領域がラクトNビオースホスホリラーゼ遺伝子であることを確認するために、大腸菌による遺伝子の発現系を構築した。
タンパク質コード領域の5’末端配列及び3’末端配列をもとにプライマー(配列番号14〜17)を作成した。ビフィドバクテリウム・ビフィダム JCM 1254株については配列番号14のフォーワードプライマー及び配列番号15のリバースプライマーを用い、また、ビフィドバクテリウム・ロンガム JCM 1217株については配列番号16のフォーワードプライマー及び配列番号17のリバースプライマーを用い、それぞれのゲノムDNAを鋳型としてタンパク質コード領域の全長をPCRにより増幅した(PCR条件:ポリメラーゼとしてKOD Dash(東洋紡)を用い、96℃15秒、60℃15秒、74℃2分を27サイクル)。PCR産物を制限酵素NcoI及びXhoIで消化後、同様に処理した市販の遺伝子発現用プラスミドpET28a(Novagen社製)にDNAライゲーションキット(宝酒造株式会社製)を用いて連結した。さらに、これらのプラスミドを用いてSambrook,J.,Fritsch, E. F. and Maniatis, T. "Molecular Cloning, A Laboratory Manual 第2版”1.74章 Vo1. 1 (1989)に記載された方法に従い、大腸菌BL21株(Novagen社製)を形質転換した。形質転換はジーンパルサー(BioRad社製)を用いる電気穿孔法により行った。
以上のようにして得た形質転換体を用い、常法に従って該遺伝子を発現させ、組換えタンパク質の生産を行った。これらの組換えタンパク質がラクトNビオースホスホリラーゼ活性を有していたことからクローニングされた遺伝子がいずれもラクトNビオースホスホリラーゼ遺伝子であることが確認された。なお、ラクトNビオースホスホリラーゼ活性はαガラクトース1リン酸とNアセチルグルコサミンからのリン酸遊離、及びラクトNビオースの加リン酸分解によるガラクトース1リン酸とNアセチルグルコサミンの生成により確認した。
また、活性型ラクトNビオースホスホリラーゼの分子量を、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いて評価したところ、ビフィドバクテリウム・ビフィダム JCM 1254株由来ラクトNビオースホスホリラーゼ及びビフィドバクテリウム・ロンガム JCM 1217株由来ラクトNビオースホスホリラーゼのいずれについても約85,000ダルトンであり、遺伝子でコードされるタンパク質の分子量84,250及び84,327とそれぞれ良く一致していた。
以上の通り、ラクトNビオースホスホリラーゼ遺伝子が見出された。すなわち、ラクトNビオースホスホリラーゼの構造遺伝子は、ビフィドバクテリウム・ビフィダム JCM 1254株では配列番号20の塩基配列中の286番目以降2538番目までの間に、ビフィドバクテリウム・ロンガム JCM 1217株では配列番号19の塩基配列中の20番目以降2272番目までの間にそれぞれ存在することが確認された。
配列番号6:合成DNA
配列番号7:合成DNA
配列番号8:合成DNA
配列番号9:合成DNA
配列番号10:合成DNA
配列番号11:合成DNA
配列番号12:合成DNA
配列番号13:合成DNA
配列番号14:合成DNA
配列番号15:合成DNA
配列番号16:合成DNA
配列番号17:合成DNA

Claims (4)

  1. 以下の(a)又は(b)のDNAからなる遺伝子を含有する組換えベクターを含む形質転換体を用いて前記遺伝子を発現させ、ラクトNビオースホスホリラーゼを生産する方法。
    (a)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
    (b)配列番号1で表されるアミノ酸配列において1〜数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつラクトNビオースホスホリラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA
  2. 以下の(a)、又は(b)のDNAからなる遺伝子。
    (a)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
    (b)配列番号1で表されるアミノ酸配列において1〜数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつラクトNビオースホスホリラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA
  3. 請求項に記載の遺伝子を含有する組換えベクター。
  4. 請求項に記載の組換えベクターを含む形質転換体。
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