JP4264360B2 - 霊長類トロホブラストの産生方法 - Google Patents

霊長類トロホブラストの産生方法 Download PDF

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    • C12N2506/02Differentiation of animal cells from one lineage to another; Differentiation of pluripotent cells from embryonic cells

Description

発明の詳細な説明
関連出願との相互参照
本出願は、2002年3月15日出願の米国仮出願第60/365,136号の権利を主張する。
連邦政府助成研究開発に関する声明
適用なし
背景技術
現代の細胞生物学においては、生きた生物体の各種細胞を生体外で操作する種々の方法がある。とりわけ興味あるのは、幹細胞として知られる細胞カテゴリーである。幹細胞は、多くの前駆体および成熟細胞系統およびタイプに分化する能力を有する未分化またはほんの部分的に分化した細胞である。用語“幹細胞”は、造血幹細胞のような大きめの生物体中の分化細胞系統の前駆体である細胞タイプを称するのに使用し得、あるいは生体組織のいずれかに分化する能力を少なくとも理論的に有する完全に未分化の幹細胞を称し得る。幹細胞は少なくとも多能性であり、幹細胞が多くの異なる細胞タイプに分化する潜在力を有し且つ全能性であり得ることを意味し、種の成熟器官のどの細胞タイプへも分化する潜在力を有すること意味している。幹細胞培養物は、種々の組織タイプおよび多くの異なる動物から開発されている。
最近、ヒトおよびアカゲザルの胚幹細胞を含む霊長類胚幹細胞の培養物を産生させ、培養し、維持することが可能になってきている。例えば、Thomsonに付与された米国特許第5,843,780号および第6,200,806号を参照されたい。霊長類胚幹細胞は、培養物内で無期限に生存し且つ霊長類生体の主要組織タイプに分化する能力を示す胚から産生させた幹培養物である。霊長類胚幹細胞は、培養物内で未分化状態で無期限に維持し得、あるいは各種の細胞が1つまたは複数の発生系統に関与するようになる分化過程を開始させ得る。典型的には、幹細胞の異なる組織タイプへの分化は、胚様体(embryoid body)の発生によって開始し、胚様体によって胚体(embryonic body)内の幹細胞の種々の細胞タイプへの分化は開始される。
科学的および研究的に興味のあるより分化したタイプのヒト細胞は、ヒトトロホブラスト(栄養芽層)である。トロホブラストは、ヒト胎盤の形成に関与する細胞前駆体である細胞である。胚が分化し始めるとき、胚盤胞期において、内部細胞集団中の細胞が胚となる細胞の形成に関与し、一方、胎盤胞の外部細胞が胎盤の発生に関与するようになる。トロホブラスト細胞は、以前に分離されているものの、分離するのは困難であり、有意の量で研究に入手し得ていない。マウストロホブラスト細胞系は、胎盤胞および着床後トロホブラストから産生されている。ヒトトロホブラスト細胞系は、形質転換胎盤細胞から産生されているが、胚細胞または幹細胞系からの霊長類トロホブラストの培養物を産生させる方法は、まだ報告されていない。ヒト胚幹細胞は多くの分化細胞タイプに自然に分化し、幾分かのトロホブラスト細胞を誘発するものの、この現象は、有用なトロホブラスト細胞培養物の創生までに至っていない。事実、マウス胚幹細胞はトロホブラストに分化する能力を欠いているようであり、従って、トロホブラストの供給は常に極めて限られている。一貫したトロホブラスト細胞の十分な供給は、多くの医薬研究において極めて有用であろう。とりわけ、胚着床を目的とする避妊薬の探索および胎盤関連の出生異常を防止する治療は、科学研究の主題のままであり、霊長類トロホブラスト源が入手し得るならばより容易に推進することができる主題である。
発明の概要
本発明は、霊長類幹細胞をたんぱく質トロホブラスト誘発性因子の存在下に培養する工程を含む霊長類幹細胞の主としてヒトトロホブラストへの分化の誘発方法に要約される。
また、本発明は、本明細書において教示する方法によって産生される霊長類トロホブラスト細胞の均一な培養物にも関する。
また、本発明は、作用因子を本明細書において説明するトロホブラスト培養物に暴露させることからなる、胎盤細胞に対する作用因子の試験方法にも関する。
本発明の目的は、均一で一貫し且つ再現性のある方法でほぼ純粋なトロホブラスト培養物の産生を可能にすることである。
本発明の特徴は、本発明が培養物中の霊長類幹細胞を繰返して、直接的に、個々にそして共時的に関連細胞系統に支配的に分化させることが知られる最初の方法を教示することにある。
本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の説明から明らかとなろう。
発明の詳細な説明
本発明は、観察を前提としている。本発明者等は、ある種のたんぱく質因子が霊長類の胚幹細胞をトロホブラスト細胞に直接分化させることを見出した。このトロホブラスト細胞は、安定であり、胎盤前駆体細胞の細胞特性の全てを示す。霊長類およびヒトの胚幹細胞の産生および培養は標準化され容易に再現可能になってきているので、この観察は、ヒトまたは他の霊長類の幹細胞源からの直接の主要群の単一細胞タイプ(トロホブラスト細胞)の産生を、胚様体の産生に介入することなく初めて可能にしている。ここで、霊長類胚幹細胞のトロホブラスト細胞への直接分化を生ずる上記たんぱく質因子としては、骨形成たんぱく質4 (BMP4)およびBMP2、BMP7のような関連たんぱく質因子、並びに増殖および分化因子5 (GDF5)があることを見出した。そのような因子は、本明細書においては、トロホブラスト誘発因子と称する。
再現可能な量でヒトおよび他の霊長類のトロホブラスト細胞を入手し得ることは、胎盤細胞の挙動についての多くの調査研究を可能にする。今や、胎盤前駆体細胞の再現性のある無限の供給を得ることが可能である。とりわけ、上記トロホブラスト細胞培養物は、胎盤細胞に対する一般毒性および特異的作用の双方についての薬物試験において使用する胎盤細胞の挙動をモデルする化学反応研究において使用し得ることが考えられる。例えば、子宮内での受胎胚着床を抑制するであろう作用因子、即ち、受胎調節剤は、上記トロホブラスト細胞培養物に対する推定作用因子の作用を観察することによって研究することができる。
本発明の開示は、ヒトおよび他の霊長類の幹細胞を単一たんぱく質因子によってトロホブラスト細胞に直接形質転換させ得ることを実証するデータを含む。本明細書において使用するとき、霊長類幹細胞とは、少なくとも多能性であるヒトまたは他の霊長類の未分化細胞を称する。以下の各実施例において使用する幹細胞は、ヒトおよびアカゲザルの胚由来であり、従って、霊長類胚幹細胞としては既知である。胚幹細胞は、発生のある段階におけるヒト由来の幹細胞である。しかしながら、本明細書において説明する方法は、成熟霊長類生体から分離した胚生殖系細胞および幹細胞のような他の起源に由来するヒト幹細胞にも等しく応用し得る。ヒト幹細胞をトロホブラスト細胞に分化させるという事実はマウス幹細胞における試験に基づいては予想外であることに留意されたい。外部培養環境の操作によって栄養外胚葉組織をマウス幹細胞から誘導するという努力は今のところ成功しておらず、無欠着床前胚によってキメラ中に形成させた場合、マウス幹細胞はトロホブラストに殆ど寄与していない。マウス胚幹細胞がトロホブラスト細胞を形成し得なかったということは、マウス胚幹細胞が、原始外胚葉の内部細胞集団からの離脱後に形成し且つトロホブラスト系統にはもはや寄与しない原始外胚葉に発生的に類似しているという理論に一致している。ヒト胚幹細胞がトロホブラスト細胞を形成する能力は、マウスとヒトの胚幹細胞発生力間の基本的な差異を示唆している。
本発明方法は、幹細胞の分化に通常関連する介入方法に何らよることなく、培養物中の幹細胞に上記トロホブラスト誘発性因子を直接適用させることを含むことに留意されたい。特に、胚様体への転移期は本発明方法には関与しないことに留意されたい。他の方法によって培養した幹細胞における分化過程は、多くの異なる細胞系または細胞タイプが通常生ずるという点で、一般に均一ではない。対照的に、本発明方法は、幹細胞の共通分化細胞タイプ、即ち、トロホブラストへの集団分化をもたらす。
幹細胞のトロホブラスト細胞への直接の分化が上記トロホブラスト誘発性因子の作用に基づくことを実証するためには、上記トロホブラスト誘発性因子の作用を抑制しその結果を観察することが可能である。BMP4が上記トロホブラスト誘発性因子である場合、このたんぱく質は、可溶性BMP4レセプターによりあるいは拮抗化性たんぱく質ノギン(noggin)により抑制し得る。即ち、霊長類幹細胞をBMP4のみで培養する場合、幹細胞培養物は、トロホブラスト細胞タイプへの大規模な直接分化を示す。しかしながら、同様な霊長類幹細胞培養物をBMP4と上記可溶性BMP4レセプターまたはノギンのような抑制剤とで培養する場合、トロホブラスト細胞への分化は生じない。
培養物中のヒト胚幹細胞は、極めて特徴的な形態を有する。この細胞は、小さくてコンパクトで均一であり、明確な細胞膜と群内集団を有する。幹細胞の他の細胞タイプへの文化は、幹細胞がより大きくより拡散するようになるので、目視し得る過程である。経験ある技術者は、多くの細胞タイプにおける分化細胞の細胞外観によって認識することができる。トロホブラスト細胞の場合、細胞はより大きくなって平坦化し、細胞膜は拡散して目視できなくなる。しかしながら、トロホブラスト細胞の状態を補完するために、この細胞の種々の特性決定試験を行った。DNAマイクロアレーを使用する遺伝子発現試験を実施して、この細胞の遺伝子発現パターンを検証した。この細胞による胎盤ホルモンの分泌も試験した。結果は、これらの分化細胞のトロホブラスト細胞としての同定と一致していた。これによって、これらの細胞の形態学的同定が正しかったことを確認した。
実施例
ヒト胚幹細胞系、H1を、マウス胚線維芽細胞(MEF)に対して状態調節し4mg/mlで塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)を補充した培地中のMatrigelTMコーティーングプラスチックプレート上で培養した。ヒト骨形成たんぱく質4 (BMP4) (ミネソタ州ミネアポリスのR & D Systems社本明細書に挙げた他の組換えたんぱく質の源でもある)を上記幹細胞に培養培地の1、10および100ng/mlの濃度で適用した。幹細胞は、胚様体内で単層として存在し、凝集してなかった。その後、上記H1細胞は、投与量および時間依存性形態変化を受け、拡散し、平坦で薄くなり、拡大または伸張し、細胞核は小さくなった。これらの変化は、トロホブラスト細胞の形態と一致していた。形態変化は、各コロニーの端部の細胞で始まり、そこから内部に拡大した。変化形態は、100ng/mlのBMP4で処理した培養物においては2日目で、10ng/mlで処理した培養物においては3日目または4日目で、1ng/mlのBMP4で処理した培養物においては4〜5日目で明白になった。
同様な試験をBMP4たんぱく質シグナル群の他のメンバーによっても実施した。同様な作用を活性化させ、幹細胞をトロホブラスト細胞に変化させるのを実証したたんぱく質は、BMP2、BMP7、および増殖および分化因子5 (GDF5)を含んでいる。TGFベータ1およびアクチビンのようなTGF上科のメンバーを含む他のたんぱく質は、幹細胞内でこの同じ形態変化を活性化しないことが判明した。同様な形態変化は、BMP4、BMP2、BMP7およびGDF5で処理したアカゲザル胚幹細胞系においても観察された。
上記トロホブラスト誘発性因子で処理した幹細胞の形態変化は、幾つかの細胞が胎盤を生ずる系統に関与するようになる胚発生において起る形態変化と一致する。形態変化に加え、上記細胞は、転写因子GATA2およびGATA3並びに絨毛性ゴナダトロフィン(gonadatrophin)アルファおよびベータ遺伝子を発現し始め、これらは、すべて他の方法によって産生させたトロホブラストにおいて発現される。上記細胞は、高量の絨毛性ゴナダトロフィン類、エストラジオールおよびプロゲステロンのような胎盤ホルモンを産生する。上記細胞は、これらのホルモンを無限に分泌し続ける。上記細胞のフローサイトメトリーは、上記細胞が少なくとも主としてCGベータ陽性であることを明らかている。
また、BMP群因子の拮抗薬を上記たんぱく質因子と同時に培養物に添加した試験も実施した。可溶性BMPレセプター(100ng/mlで)またはBMP拮抗化性たんぱく質ノギン(300 ng/mlで)をBMP4におけるのと同時に培養物に添加した場合、幹細胞中の形態変化は、完全に阻止されていることが判った。このことは、活性化用たんぱく質因子の作用の特異性を示唆している。
同様な試験をH9と称するもう1つの幹細胞系において実施したところ、トロホブラスト細胞の同様な産生結果を得た。さらに、同様の試験をbFGFの不存在下で培養したH1細胞において実施したところ、作用は種々のドナーからヒト幹細胞に対して普遍的であり、bFGFの存在に依存性ではないことを示唆していた。
トロホブラストの特性をさらに試験するために、cDNAマイクロアレーを使用してBMP4処理細胞および未処理未分化H1細胞中で特異的に発現した遺伝子を分析した。上記アレー上で試験した43,000のcDNA遺伝子のうち、14の遺伝子を示す19のクローンのみの1つの群生が試験期間中のすべての時点において強力に増加(upregulate)していた。これら14の遺伝子のうち、11は、トロホブラストまたは胎盤発生に関連するものとして以前に特性決定されている。これらの遺伝子の多くは、転写因子AP-2 (TFAP-2)、mshホメオボックス2 (MSX2)、サイトカインシグナリング3のサプレッサー(SSI3)、GATA結合性たんぱく質2および3 (GATA2およびGATA3)、およびYPRWモチーフ1に関連するヘアリー/エンハンサー・オブ・スプリ(hairy/enhancer-of-spli) (HEY1)のような転写因子をコード化する。BMP4による処理の7日目までに、CG-αおよびCG-βサブユニット、黄体形成ホルモン-アルファおよび胎盤増殖因子をコード化する遺伝子のような、トロホブラストまたは胎盤中で発現することが知られている多くの遺伝子のmRNA発現の劇的な増加も観察された。また、本発明者等は、RT-PCRを使用してCg-β、グリア細胞ミッシング-1 (GCM1)、非古典的HLAクラス1分子HLA-G1、およびCD9のようなトロホブラストマーカーの増強された発現も観察した。上記マイクロアレー分析において8遺伝子を示す上位10位の増加クローンは、1つを除いて、すべてトロホブラスト細胞中で発現する遺伝子に以前は関連していたたんぱく質またはペプチドをコード化している。対照的に、BMP4処理の7日後、POUドメイン、クラス5、転写因子1 (POU5F1、OCT4としても知られている)およびテロメラーゼ逆転転写因子(TERT)をコード化する遺伝子のような多能性細胞中で高度に発現していた数種の遺伝子の転写体は、減少していた。
上記細胞の特性をさらに確認するため、上記細胞の培地中で分泌した胎盤ホルモンCG、エストラジオールおよびプロゲステロンの量を検証した。BMP4で処理したH1細胞は、未分化細胞または状態調節していない培地中で分化させた細胞と比較したとき、各ホルモンの著しく高い濃度を示した。図1は、BMP4を含まない細胞(CM)および状態調節していない培地中で分化させた細胞(UM)と比較したときの、BMP4に暴露させた細胞(CM+BMP4)のこれらホルモンの増加における時間的経過を例示している。
本発明に従って培養したトロホブラスト細胞によるホルモン分泌を示すグラフである。

Claims (6)

  1. ヒト胚幹細胞のヒトトロホブラスト細胞への分化の誘発方法であって、
    該ヒト胚幹細胞を、骨形成たんぱく質4 (BMP4)、骨形成たんぱく質2 (BMP2)、骨形成たんぱく質7 (BMP7)、並びに増殖および分化因子5 (GDF5)からなる群より選ばれるタンパク質トロホブラスト誘発性因子を含む培養培地において培養して、該ヒト胚幹細胞のヒトトロホブラスト細胞への分化を起こす工程を含む、方法。
  2. 前記たんぱく質トロホブラスト誘発性因子の濃度が培養培地1ミリリットル当り1〜100ナノグラムである、請求項1記載の方法。
  3. 霊長類胚幹細胞の霊長類トロホブラスト細胞への分化の誘発方法であって、
    該霊長類胚幹細胞を、骨形成たんぱく質4 (BMP4)、骨形成たんぱく質2 (BMP2)、骨形成たんぱく質7 (BMP7)、並びに増殖および分化因子5 (GDF5)からなる群より選ばれるタンパク質トロホブラスト誘発性因子を含む培養培地において培養する工程を含む、方法。
  4. 前記たんぱく質トロホブラスト誘発性因子の濃度が培養培地1ミリリットル当り1〜100ナノグラムである、請求項3記載の方法。
  5. ヒト胚幹細胞からヒトトロホブラスト細胞を生産する方法であって、
    該ヒト胚幹細胞を、 BMP4 BMP2 BMP7 及び GDF5 からなる群より選ばれるタンパク質トロホブラスト誘発性因子へインビトロで暴露して、該ヒト胚幹細胞をヒトトロホブラスト細胞へと分化させる工程を含む、方法。
  6. 非ヒト霊長類胚幹細胞から非ヒト霊長類トロホブラスト細胞を生産する方法であって、
    該非ヒト霊長類胚幹細胞を、 BMP4 BMP2 BMP7 及び GDF5 からなる群より選ばれるタンパク質トロホブラスト誘発性因子へインビトロで暴露して、該非ヒト霊長類胚幹細胞を非ヒト霊長類トロホブラスト細胞へと分化させる工程を含む、方法。
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