JP4264163B2 - 無機系抗菌・防カビ剤、抗菌性樹脂組成物および抗菌性樹脂製品 - Google Patents

無機系抗菌・防カビ剤、抗菌性樹脂組成物および抗菌性樹脂製品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な無機系抗菌・防カビ剤並びにこれを用いた抗菌性樹脂組成物、抗菌性樹脂製品および該樹脂組成物の製造方法に関するものである。より詳しくは、あらゆる種類の母材樹脂に添加し加工した後の樹脂製品においてその抗菌性を十分に発揮する事のできる無機系抗菌・防カビ剤、これを用いた抗菌性樹脂組成物および抗菌性樹脂製品並びに該組成物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
樹脂(本明細書でいう樹脂は、一般に定義されるものよりも広義に解釈される広い意味内容を指すものとし、具体的には、狭義の樹脂である熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のほか、プラスチックやエラストマー材料のような構造形成材料の母材樹脂を含むものとする。また樹脂組成物には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を主成分とし、さらに任意成分として可塑剤、酸化防止剤、充填剤、帯電防止剤等の配合剤や添加剤を含有するプラスチック、さらにはエラストマー材料のような構造形成材料を含むものとする。また、樹脂製品は、樹脂組成物を用いて形成されたものをさし、樹脂やプラスチックの各種成形加工品のほか、ゴム、繊維などの各種加工品を含むものとする。)の加工には、可塑剤、酸化防止剤、充填剤、帯電防止剤等の配合剤や添加剤が必要不可欠である。抗菌・防カビ剤もまた、一部の樹脂組成物にとっては必須の添加剤の1種であり、用途によっては、母材樹脂の種類に限らず必須成分となっている。例えば、樹脂製品の微生物による被害は今日では常識であり、軟質塩化ビニル樹脂やウレタン樹脂など被害を受けやすい樹脂以外にも何らかの抗菌処理を必要とする場合が多い。
【0003】
現在提供されている樹脂に使用される抗菌・防カビ剤は、大きく分けて有機系と無機系に区別できる。
【0004】
有機系抗菌・防カビ剤には、従来から殺菌剤として知られた薬剤のなかで、樹脂製品の加工時の加熱に耐えることができ、樹脂製品に練り込んだ状態で持続性を有する安定なものが用いられており、代表的な有機系抗菌・防カビ剤には、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−フタルイミド、2,3,5,6−チトクロロ−4−(メチルスルフォニル)−ピリジン、10,10′−オキシビスフェノキシアルシン、トリメトキシシリル−プロピルオクタデシルアンモニウムクロライド、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛等がある。
【0005】
しかしながら、こうした有機系抗菌・防カビ剤は、揮発・溶出により樹脂組成物の加工製品より環境に拡散し即効効果を示すため、その有効期限が比較的短く、人体等への影響が比較的強いといえる。また、有機系抗菌・防カビ剤の中には催奇性の疑いのあるものや、廃棄物が毒性を有するものもあるなど、その安全性の確保に難点がある。さらに、抗菌・防カビ剤自体の潜在的毒性やガス化した場合の毒性、熱分解物の毒性など加工、使用、廃棄の全ての段階において安全であることが望まれる様な用途では特にその安全性の確保に難点があるといえる。また、有機系抗菌・防カビ剤には、樹脂組成物の加工温度(軟質塩化ビニル樹脂のように200℃以下のものもあるが、そのほとんどが200℃以上であり、300℃近くのものさえある。)において、単品での耐熱性はあるが、樹脂組成物に添加した場合には、それ以下の温度で分解して樹脂を黄変させたり、成型に悪影響を及ぼす場合もある。さらには、こうした有機系抗菌・防カビ剤は、比較的高価である。
【0006】
一方の無機系抗菌・防カビ剤は、銀、銅、亜鉛などの抗菌性金属を、燐酸ジルコニウム、ゼオライト、ヒドロキシアパタイト、シリカ・アルミナ、シリカゲル等の無機イオン交換体ないし多孔質体の担体に担持した金属置換型の抗菌・防カビ剤がほとんどで、なかでも効果が高く安全性の高い銀系無機抗菌剤が一般に多く使用されている。こうした無機系抗菌・防カビ剤では、有機系抗菌・防カビ剤のような上記諸問題は生じないものの、有効成分である金属イオンが触媒的に母材樹脂を劣化させたり、銀系無機抗菌剤では、特に光(紫外線)により金属銀に変化し変色しやすいなど耐光性に難点があるものもある。また、こうした無機系抗菌・防カビ剤も、無機イオン交換体や多孔質体に担持させる必要があり、所定の製造工数を要するため比較的高価でもある。こうした従来の無機系抗菌・防カビ剤は、有機系抗菌・防カビ剤のような揮発・溶出はほとんど起こさなず、加工製品等の樹脂製品の表面に分散したものが細菌、カビ類と接触することによって初めて効果を生じるため、母材樹脂(あるいは樹脂表面に抗菌性塗膜を形成する場合には、該塗膜原料である塗料の樹脂成分)に所定の比率で従来既知の無機系抗菌・防カビ剤を添加混入して樹脂組成物(あるいは樹脂表面に抗菌性塗膜)を加工しても充分な抗菌性を有するものを製造することはできない。さらには、母材樹脂等に所定の比率で新規かつ極めて高い抗菌性を有する複合セラミックスを含む無機系抗菌・防カビ剤を添加混入して樹脂等を加工したとしても、従来レベルを超える抗菌性を有するものを製造することはできない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、従来の有機系及び無機系抗菌・防カビ剤の技術課題を解決してなる新規な無機系抗菌・防カビ剤を提供するものである。
【0008】
また、本発明の目的は、従来の有機系及び無機系抗菌・防カビ剤を用いた抗菌性樹脂製品の技術課題を解決し、抗菌性に優れた無機系抗菌・防カビ剤自身の抗菌活性を大幅に低下させることなく、好ましくはほとんど低下させることなく実質的に同一な抗菌活性を有する抗菌性樹脂製品(無機系抗菌・防カビ剤を用いて形成した部分の樹脂を含む)および抗菌樹脂組成物を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成すべく、無機系抗菌・防カビ剤および抗菌性樹脂組成物の技術に関し、鋭意検討した結果、優れた抗菌活性を有する無機系抗菌・防カビ剤に加えて溶剤(母材樹脂の溶解度パラメータとほぼ同等のSP値を有する良溶剤)を母材樹脂等に添加することにより抗菌性樹脂組成物を実現できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0010】
本発明の目的は、下記に示す(1)〜(23)により達成される。
【0011】
(1) 焼成ドロマイトを含有することを特徴とする無機系抗菌・防カビ剤。
【0012】
(2) 焼成ドロマイトを25重量%以上含有することを特徴とする無機系抗菌・防カビ剤。
【0013】
(3) 該焼成ドロマイトが温度900〜1200℃で焼成したものである上記(1)または(2)に記載の無機系抗菌・防カビ剤。
【0014】
(4) 該焼成ドロマイトが酸化マグネシウムと酸化カルシウムを主成分とするものであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の無機系抗菌・防カビ剤。
【0015】
(5) 前記無機系抗菌・防カビ剤の抗菌活性(X)が、大腸菌およびブドウ球菌のいずれに対しても85%以上であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の無機系抗菌・防カビ剤。
【0016】
(6) 母材樹脂に良溶媒と上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の無機系抗菌・防カビ剤とを配合した抗菌性樹脂組成物であって、該無機系抗菌・防カビ剤が母材樹脂に対して2.5〜20重量%、良溶媒が母材樹脂に対して0.05〜1.5重量%である抗菌性樹脂組成物。
【0017】
(7) 該焼成ドロマイトが温度900〜1200℃で焼成したものである上記(6)に記載の抗菌性樹脂組成物。
【0018】
(8) 高分子樹脂が、エラストマー、ハロゲン含有樹脂および高分子重合体から選ばれる1種以上である上記(6)または(7)に記載の抗菌性樹脂組成物。
【0019】
(9) 該良溶媒が、樹脂母材の溶解度パラメーター(SP1 )とほぼ等しい溶解度パラメーター(SP2 )を持つ溶剤であることを特徴とする上記(6)〜(8)のいずれか1つに記載の抗菌性樹脂組成物。
【0020】
(10) 該良溶媒が、該SP1 と該SP2 の関係が、|SP1 −SP2 |≦1を満足するものであることを特徴とする上記(9)に記載の抗菌性樹脂組成物。
【0021】
(11) 上記(6)〜(10)のいずれか1つに記載の抗菌性樹脂組成物を用いて形成されてなることを特徴とする抗菌性樹脂製品。
【0022】
(12) 前記抗菌性樹脂組成物中に含有される無機系抗菌・防カビ剤単体の抗菌率(X)と、抗菌性樹脂組成物を用いて形成した抗菌性樹脂製品の抗菌率(Y)との相間関係が、Y≧0.6Xを満足することを特徴とする上記(11)に記載の抗菌性樹脂製品。
【0023】
(13) 上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の無機系抗菌・防カビ剤を母材樹脂に対して2.5〜20重量%含有することを特徴とする請求項11または12に記載の抗菌性樹脂製品。
【0024】
(14) 上記(1)〜(5)のいずれか1つ無機系抗菌・防カビ剤の粒径が、15μm以下であることを特徴とする上記(11)〜(13)のいずれか1つに記載の抗菌性樹脂製品。
【0025】
(15) 上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の無機系抗菌・防カビ剤を母材樹脂に対して2.5〜20重量%含有する樹脂製品であって、該無機系抗菌・防カビ剤の抗菌活性(X)と、該無機系抗菌・防カビ剤を含有する樹脂物品の抗菌活性(Y)との相関関係が、Y≧0.6Xを満足することを特徴とする抗菌性樹脂製品。
【0026】
(16) 該無機系抗菌・防カビ剤の粒子径が5nm〜15μmである上記(11)〜(15)のいずれか1つに記載の抗菌性樹脂製品。
【0027】
(17) 該無機系抗菌・防カビ剤の抗菌活性(X)と、該樹脂物品の抗菌活性(Y)との相関関係が、Y≧0.90Xを満足することを特徴とする上記(11)〜(16)のいずれか1つに記載の抗菌性樹脂製品。
【0028】
(18) 母材樹脂に、該母材樹脂に対する良溶媒および上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の無機系抗菌・防カビ剤を含む添加剤を添加することを特徴とする抗菌性樹脂組成物の製造方法。
【0029】
(19) 前記良溶媒の添加量が、前記母材樹脂に対して0.05〜1.5重量%である上記(18)に記載の抗菌性樹脂組成物の製造方法。
【0030】
(20) 前記良溶媒が、母材樹脂の溶解度パラメーター(SP1 )とほぼ等しい溶解度パラメーター(SP2 )を持つ溶剤であることを特徴とする上記(18)または(19)に記載の抗菌性樹脂組成物の製造方法。
【0031】
(21) 前記SP1 と前記SP2 の関係が、|SP1 −SP2 |≦1を満足するものであることを特徴とする上記(20)に記載の抗菌性樹脂組成物の製造方法。
【0032】
(22) 上記(6)〜(10)のいずれか1つに記載の抗菌性樹脂組成物を用いて形成することを特徴とする抗菌性樹脂製品の製造方法。
【0033】
(23) 基材の少なくとも表面部分に、上記(6)〜(10)のいずれか1つに記載の抗菌性樹脂組成物を用いて抗菌性を有する被膜ないし積層部分を形成することを特徴とする抗菌性樹脂製品の製造方法。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明の無機系抗菌・防カビ剤は、焼成ドロマイトを含有することを特徴とするものであり、好ましくは焼成ドロマイトを25重量%以上含有することを特徴とするものであり、より好ましくは、該焼成ドロマイトが温度900〜1200℃で焼成したものであるか、あるいは該焼成ドロマイトが酸化マグネシウムと酸化カルシウムを主成分とするものである。特に好ましくは、前記無機系抗菌・防カビ剤の抗菌活性(X)が、大腸菌およびブドウ球菌のいずれに対しても85%以上であることを特徴とするものである。これらの詳細に関しては、後述する抗菌性樹脂組成物ないし抗菌性樹脂製品の説明において詳述する。
【0035】
本発明の抗菌性樹脂製品は、無機系抗菌・防カビ剤自体の抗菌率(X)と、無機系抗菌・防カビ剤を用いた樹脂製品の抗菌率(Y)との相関関係が、Y≧0.6Xを満足することを特徴とするものである。かかる抗菌性樹脂製品では、無機系抗菌・防カビ剤単体が有する抗菌効果を大幅に損なうことなく保持できており、高い抗菌活性を発揮することができる。ここで、抗菌性樹脂製品とは、紫外線照射、ガス殺菌などの一時的な効果ではなく、化学薬剤(抗菌・防カビ剤)を添加配合することにより、細菌・カビ類を抑制する効果をある程度持続させることのできるものをいう。
【0036】
なお、本発明での抗菌活性(X)、(Y)は、日本防菌防黴学会で認定されている測定法を用いるものとする。すなわち、菌類に対する抗菌活性に関しては、▲1▼粉末形態の無機系抗菌・防カビ剤および粉末形態の樹脂については、ともにシェーク法により測定し、▲2▼樹脂の各種加工品(一定の形状を有するもの)については、加圧法により測定するものとする。また、カビ類に関しては、JIS Z2911による測定法を用いるものとする。これらの測定法の概要を以下に簡単に説明する。
【0037】
シェーク法;粉末形態の加工製品に適用し得る抗菌活性評価方法であって、リン酸緩衝液中にサンプル(粉末の無機系抗菌・防カビ剤及び粉末状樹脂製品)と、供試菌とを共存させ、一定の時間振とう後に生菌数を測定するものである。すなわち、水溶液中に分散させたサンプルと供試菌とを振とうにより強制的に接触作用させて効果を確認する方法である。
【0038】
加圧法;一定の形状の加工製品(樹脂の各種加工製品の多くがこれに該当する)に好適に適用し得る抗菌活性評価方法であって、所定の大きさ(例えば、25×25mm)のサンプルである樹脂を1%ペプトン水溶液に供試菌を懸濁したものを適量(例えば、0.050ml)塗布する(サンプル1枚当たり1.0×106 細胞数接種)。次に、殺菌したポリエチレンフィルム(30×30mm)を密着させ適当な温度(例えば、30℃)と湿度(加湿状態)を保ち24時間後、適量のSCDLP培地(例えば、10ml)で菌液を洗い出し適宜希釈を行い平板混釈法(SCDLP寒天培地 培養32℃48時間)により生菌数を測定するものである。
【0039】
JIS Z2911による測定法;カビ抵抗性試験としてJIS Z2911に定められたカビの発育防止効果を評価する方法であり、本発明の無機系抗菌・防カビ剤および樹脂の各種加工品(いかなる形状であっても良い)に適用し得る抗菌活性評価方法であって、平板寒天培地上にサンプルである本発明の無機系抗菌・防カビ剤または樹脂の各種加工品を静置し、その上から一面に胞子懸濁液を接種し、適当な温度と湿度を保ち3〜4週間培養後のサンプル上のカビの発育を目視または顕微鏡により観察し結果を判定する方法である。
【0040】
本発明では、無機系抗菌・防カビ剤自体の抗菌率(X)および無機系抗菌・防カビ剤を用いた樹脂製品の抗菌率(Y)との相関関係が、Y≧0.6Xを満足するものであるが、好ましくはY≧0.75X、より好ましくはY≧0.90Xを満足するものが望ましい。Y<0.6Xの場合には、無機系抗菌・防カビ剤単体が有する抗菌効果を大幅に損なうため、従来の無機系抗菌・防カビ剤を用いた抗菌性樹脂製品が達成することができた抗菌効果と同程度の抗菌効果しか発現できず、従来の抗菌性樹脂組成物に比して優れた抗菌活性の発現が期待できない。また、Y≧0.75X、さらにはY≧0.90Xの関係を満足するものにあっては、無機系抗菌・防カビ剤自体が有する抗菌活性をほとんど損なう事なく極めて優れた抗菌性樹脂製品を実現できるものであり、一定レベル以上の抗菌活性を長期間にわたって持続できるため、抗菌性が強く望まれる衛生分野や長期使用が課せられる壁紙、床材等の家庭内装材、シーリング剤等の建材など幅広い分野において、有用に活用できる。
【0041】
言い換えれば、本発明の抗菌性樹脂製品においては、前記無機系抗菌・防カビ剤の有する抗菌活性と実質的に同一な抗菌活性を保持してなるものが特に望ましいものといえる。したがって、無機系抗菌・防カビ剤単独で使用した場合の抗菌特性を客観的に判定することができるように数値化した値(X)に対して、該無機系抗菌・防カビ剤を含有する樹脂製品の抗菌活性を客観的に判定することができるように数値化した値(Y)が、より好ましい範囲であるY≧0.90Xを満足するものであれば、抗菌活性に関しては、実質的に同一となるといえる。尚、本発明においては、上記測定法による数値を基準にする必要は特になく、例えば、今後新たに日本防菌防黴学会で認定されている評価方法等の他の測定法によっても、無機系抗菌・防カビ剤単独で使用した場合の抗菌活性を客観的に判定することができるように数値化した値(X)が与えられ、さらに該無機系抗菌・防カビ剤を含有する樹脂の抗菌活性を客観的に判定することができるように数値化した値(Y)が与えられるのであれば、これらの数値に基づいて、Y≧0.90Xの関係を満足するものにつき、「その抗菌性樹脂組成物(ないし抗菌性樹脂製品)は無機系抗菌・防カビ剤の有する抗菌活性と実質的に同一な抗菌活性を保持してなる」といえるものである。
【0042】
本発明の抗菌性樹脂組成物は、母材樹脂に良溶媒と無機系抗菌・防カビ剤とを配合した抗菌性樹脂組成物であって、該無機系抗菌・防カビ剤が母材樹脂に対して2.5〜20重量%、良溶媒が母材樹脂に対して0.05〜1.5重量%である抗菌性樹脂組成物である。本発明において、「樹脂」の語は、溶媒に溶解でき、溶媒と混合でき、または溶媒を吸収する高分子物質で有り、ポリアミド,DNAおよびRNAを含まない。
【0043】
本発明の抗菌性樹脂組成物に用いることのできる母材樹脂としては、特に制限されるものではなく、従来既知の樹脂製品の母材として用いられている樹脂(高分子)を使用することができる。こうした樹脂(高分子)の一部(代表的な例)を示すならば、例えば、ブチルゴム、天然ゴム等のエラストマー、ポリテトラクロロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルデンクロライド、ポリビニルクロルアセテート等のハロゲン含有樹脂、および、ポリジメチルシロキサン(シリコン)、ポリプロピレン、ポリエチレン、水素添加ポリブタジエン、ポリブタジエン/スチレン(85/15、75/25、60/40)、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリブチルアクリレート、ポリエチレルヘキシルメタクリレート、ポリエトキシメチルメタクリレート、ポリプロピルアクリレート、ポリスチレン、ポリサルファイド(チオコールゴム)、ポリスチレンジビニルベンゼン、ポリメチルメタクリレート、ネオプレン、ポリブタジエン/アクリロニトリル(75/25)、ポリ酢酸ビニル、ポリエチルアクリレート、ポリメチルアクリレート、エポキシ樹脂、ポリウレタン、エチルセルロース、ポリエチレングリコールテレフタレート、セルロースジアセテート、セルロースジニトレート、ポリメチレノキサイド、フェノール樹脂、ナイロン類、ポリメタアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル等の高分子重合体が挙げられる。これらの母材樹脂として用いられている樹脂材料は、上記に例示したように、単独で用いてもよいし、2種以上の複合化されたものでも、共重合されたものでもよい。
【0044】
上記母材樹脂の配合量は、抗菌性樹脂組成物に対して母材樹脂を20〜97.5重量%、より好ましくは30〜95重量%、特には40〜90重量%含有することである。
【0045】
本発明の抗菌性樹脂組成物に用いることのできる無機系抗菌・防カビ剤としては、特に制限されるものではなく、抗菌活性を有する金属系無機材料および非金属系無機材料のいずれをも用いることができ、これらを適宜組み合わせて用いることもできる。このうち、抗菌性を有する金属系無機材料に関しては、上述したような従来既知の各種の無機系抗菌・防カビ剤のほか、これらの酸化物(例えば、酸化亜鉛、酸化チタンなど)を用いることができる。また、抗菌活性を有する非金属系無機材料としては、例えば、本発明者が別途発明した脱臭および抗菌性を有する複合セラミックス(具体的には、細粒(好ましくは粒径1nm〜2μm)であって、マグネシア微粉末を基材素材とし、該基材素材が35〜65重量%に対して、単一成分のセラミックスである細粒(好ましくは粒径1nm〜2μm)のγ−アルミナ、珪石、角閃石、蛇紋石、酸化亜鉛、ゼオライトまたは大谷石の微粉末のいずれか1種類を混合材として、該混合材を35〜65重量%の割合で前記基礎素材に添加混入したことを特徴とする複合セラミックス)、該複合セラミックスの原料に使われているようなマグネシア(MgO)、γ−アルミナ、角閃石および蛇紋石等の抗菌活性を有する非金属無機材料等が挙げられるほか、本発明者が発明した新規な非金属無機系抗菌・防カビ剤である、酸化マグネシウムと炭酸カルシウムを主成分とする焼成ドロマイト、酸化マグネシウムと酸化カルシウムを主成分とする焼成ドロマイト、未焼成のドロマイトおよびこれらを含む混合組成物がある。これらは、抗菌・防カビ効果のほか脱臭効果をも有する事からより好適なものといえる。
【0046】
本発明では無機系抗菌・防カビ剤として、上記金属系無機材料および非金属系無機材料を単独で用いてもよいし、2種以上の複合化されたものであってもよい。
【0047】
ここで、未焼成のドロマイトとは、一般にカルシウムとマグネシウムの複合炭酸塩CaMg(CO3 2 またはこれを主成分とする岩石をいう。このドロマイトを加熱すると700〜800℃でMgCO3 分が分解してCO2 を放出し、炭酸カルシウム(CaCO3 )と酸化マグネシウム(MgO)の焼成物(以下、単に焼成ドロマイトAともいう)となり、さらに900〜950℃でCaCO3 が分解してCO2 を放出し、酸化カルシウム(CaO)と酸化マグネシウム(MgO)の焼成物(以下、単に焼成ドロマイトBともいう)となる特性を有している。よって、酸化マグネシウムと炭酸カルシウムを主成分とする焼成ドロマイトとは、上記にいう焼成ドロマイトAを指し、酸化マグネシウムと酸化カルシウムを主成分とする焼成ドロマイトとは、上記にいう焼成ドロマイトBを指す。上記無機系抗菌・防カビ剤のなかでも、特に抗菌活性に優れたものであって、さらに簡単に製造することでき、極めて安価であり、安全性に優れ、触媒的に母材樹脂を劣化させることもなく、耐光性、耐熱性にも優れるため、焼成ドロマイトBを含有するものが望ましい。特に、焼成ドロマイトBを含有する組成物を適当な方法によって焼結したセラミックス(以下、単に抗菌性複合セラミックスともいう)としてもよい。こうした、抗菌性複合セラミックスを製造する方法としては、適当な比率で配合されたドロマイトを含有する組成物を、混合機及び粉砕機に順次複数回にわたって投入して、該組成物を所定の粒度に揃えかつ均一に混合し、しかる後に900℃以上の温度で焼成するなどしてもよいほか、ドロマイトを900℃以上、より好ましくは900〜1200℃、特には1000〜1100℃の温度で焼成して焼成ドロマイトBとし、さらに他の組成物成分(焼成ドロマイトAを含む場合には、ドロマイトを700〜800℃での焼成温度で焼成しておく)を適当な比率で配合し、混合機及び粉砕機に順次複数回にわたって投入して、該組成物を所定の粒度に揃えかつ均一に混合し、しかる後200〜500℃の焼成温度で焼成するなどしてもよい。
【0048】
本発明の無機系抗菌抗カビ剤としては、焼成ドロマイトを主成分として25〜100重量%、30〜90重量%、40〜70重量%含有すればよく、その他の成分としてMgOを0〜50重量%、SiOを0〜25重量%、ZnOを0〜10重量%、TiOを0〜50重量%含有することができる。
【0049】
また、上記無機系抗菌・防カビ剤の粒径は、5nm〜15μm、好ましくは5nm〜10μm、より好ましくは5nm〜1μmである。これは、同じ量の無機系抗菌・防カビ剤であってもその粒径が大きくなるにつれて表面積が減少するため、樹脂表面等に分散した無機系抗菌・防カビ剤が細菌、カビ類と接触することにより抗菌活性を発現することから、無機系抗菌・防カビ剤の粒径が15μmを超える場合には、好まない粒子の表面積になるほか、樹脂の強度が低下するため好ましくない。一方、5nmを下回ると、配合容量が多すぎて、樹脂強度が低下することがあるため好ましくない。
【0050】
さらに、上記無機系抗菌・防カビ剤の抗菌率(X)は、大腸菌およびブドウ球菌のいずれに対しても85%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上であることが望ましい。無機系抗菌・防カビ剤の抗菌活性(X)が、大腸菌およびブドウ球菌のいずれか1つに対してでも85%未満の場合には、無機系抗菌・防カビ剤自身の有する抗菌活性以上のものを樹脂に付与することはできないため、一定レベル以上の高い抗菌活性を有する樹脂を提供する事は困難となるため好ましくない。なお、ここで、大腸菌およびブドウ球菌を選んだのは、通例である。すなわち、桿菌および球菌の代表的なものであるからである。また、無機系抗菌・防カビ剤の抗菌作用として有力な活性酸素説では、該抗菌・防カビ剤が酸素あるいは水の共存下、光の照射により生じた活性酸素が菌類全般を酸化殺菌する機構によるとする説であり、これに従えば1〜2種の代表的な細菌、カビ類について示せば十分だからである。
【0051】
本発明において上記無機系抗菌・防カビ剤の含有量は、上記抗菌性樹脂組成物の母材樹脂に対して2.5〜20重量%、好ましくは3.5〜7.5重量%、より好ましくは3.5〜5.0重量%の範囲にあることが望ましい。該無機系抗菌・防カビ剤の含有量が上記抗菌性樹脂組成物の母材に対して2.5重量%未満の場合には、所望の抗菌効果を十分に発現することが困難となるなど好ましくなく、また、20重量%を超える場合には、樹脂の強度が低下するため好ましくない。
【0052】
本発明の抗菌性樹脂組成物に用いることのできる無機系抗菌・防カビ剤以外の他の配合剤ないし添加剤としては、特に制限されるものではなく、従来既知の樹脂用の配合剤ないし添加剤、例えば、希釈モノマー、可塑剤、酸化防止剤、充填剤、帯電防止剤等の配合剤ないし添加剤を適宜、必要に応じて用いる事ができるほか、使用用途に応じて新たな付加価値用途を発現することのできる、脱臭剤、忌避剤等の無機材料を添加することもできる。なお、これらのうち、脱臭剤、忌避剤等の無機材料に関しては、無機系抗菌・防カビ剤の配合成分として無機系抗菌・防カビ剤に加えておくことも可能である。
【0053】
尚、本発明の抗菌性樹脂組成物の使用形態としては、特に制限されるものではなく、その用途に応じたあらゆる形態に適用することができるものであり、1例を示せば、食品包装等に適したフィルム材、食品容器、まな板、台所用品、風呂場用品等の日用品、冷蔵庫、洗濯機、携帯端末(電話器)、浄水器、エアコンなどの電化製品の抗菌性が求められる部分に使われる部品等に適した成形加工材(板材、棒材、用途に適した形状を持つ成型材などの成形加工材)、壁紙、床材などの家庭内装材、シーリング材等の建材、各種タンク、パイプ等の水処理材料などのように本発明の抗菌性樹脂組成物と他の材料との複合材に適した成形加工材(主にフィルム材、薄板材、棒材など)、靴下、カーペット、寝具などの繊維製品に適した繊維材など、あらゆる形態にすることができる。
【0054】
次に、上述してなる本発明の抗菌性樹脂製品は、以下に示す新規な製造方法によって作ることができる。すなわち、本発明の抗菌性樹脂製品は、(1)母材樹脂に、該母材樹脂に対する良溶媒および無機系抗菌・防カビ剤を含む添加剤を添加し、加工することを特徴とする製造方法、あるいは(2)樹脂製品の少なくとも表面部分に、塗料の樹脂成分に対する良溶媒および無機系抗菌・防カビ剤を含む塗料を用いて抗菌性を有する被膜ないし積層部分を形成することを特徴とする製造方法によって作ることができる。なお、上記(1)の製造方法では、あらかじめ母材樹脂の一部に無機系抗菌・防カビ剤を含む添加剤および母材樹脂に対する良溶媒を高濃度に配合したマスターバッチを残りの母材樹脂で希釈することにより母材樹脂全体に均一に分散させて、加工することもできる。あらかじめ母材樹脂の一部に無機系抗菌・防カビ剤を含む添加剤を高濃度に配合したマスターバッチを残りの母材樹脂で希釈する際に所定の比率で母材樹脂に対する良溶媒を添加して母材樹脂全体に均一に分散させて、加工することもできるなど、塗料の樹脂成分に対する良溶媒および無機系抗菌・防カビ剤を含む塗料の添加時期等に関しては、特に制限されるものではなく、従来既知の方法の中から最も適した混合方法を適用することができる。
【0055】
また、上記(1)の製造方法は、特に樹脂製品全体に抗菌活性を持たせるのに適したものであり、樹脂製品を成形すると同時に該樹脂製品に抗菌活性を持たせることが可能な手段である。すなわち、従来の製造方法が、単に、母材樹脂に無機系抗菌・防カビ剤等の添加剤を練り込んで加工していたか、あるいは樹脂製品の表面部分に、無機系抗菌・防カビ剤を含む塗料を用いて抗菌性の塗膜を形成していたのに対して、母材樹脂または塗料の樹脂成分の良溶媒を新たに加えることにより、無機系抗菌・防カビ剤自身の抗菌効果を大幅に低下することなく、好ましくはほぼ同等に保持した抗菌性樹脂製品を得ることができることを見出したものであり、かかる知見が本発明を完成する上で極めて重要なポイントであります。すなわち、かかる知見によって初めて本発明の抗菌特性を有する抗菌性樹脂製品が得られたのである。なお、抗菌性樹脂製品の製造方法で用いた良溶媒によってもたらされる本発明の抗菌性樹脂製品の抗菌活性の作用機序に関しては、最終的に溶媒を使用した部分の抗菌性樹脂組成物が極めて微細な細孔を多数有する多孔性樹脂製品に出来上がり、これにより細孔内表面に現れた無機系抗菌・防カビ剤を起点に、酸素あるいは水の存在下、光の照射により生じる活性酸素が増大し、これにより菌類を酸化殺菌する作用効果も、無機系抗菌・防カビ剤自身の抗菌効果と遜色のない程度にまで高められることになるか、あるいはこうした活性酸素説にはよらない新たな作用機構により、全く予見しない部分で優れた抗菌効果を発現することができるものなのか、今なお明らかではなく、今後の研究成果を待つ必要があるといえる。
【0056】
なお、上記(1)の製造方法に適したものとしては、表面部分が磨耗されやすく(2)の製造方法によっては長期的に抗菌効果を保持することが困難なような場合、あるいは極めて複雑な形状とか大きな形態の成形品であったり、表面に微細(微小)な凹凸模様等があるなど、いわば一旦樹脂製品を得た後に(2)の製造方法を適用することが技術的に困難であったり、技術的には問題ないが経済的にみて(1)の製造方法よりも高価になってしまうような場合などである。一方、(2)の製造方法に適したものとしては、あまり表面部分等への内外圧等を受ける使用態様でない場合、使い捨てとされる食品容器やその包装材料等に特に適している。好ましくは、上記(1)及び(2)の双方を組み合わせて行う態様である。すなわち、洗って繰り返し使用される靴下、カーペット、寝具などの繊維製品、まな板、台所用品、風呂場用品アドの日用品、洗濯機(特に、洗濯槽や脱水槽など)等に適している。たとえば、繊維製品では、繊維自体を抗菌性繊維として成形した後、該繊維ないし繊維製品を塗料の樹脂成分に対する良溶媒および無機系抗菌・防カビ剤を含む塗料に浸漬して抗菌性を有する被膜ないし積層部分を形成しておくことが望ましい。
【0057】
また、上記(1)の製造方法における良溶媒の添加量は、母材樹脂に対して0.05〜1.5重量%、好ましくは0.05〜1.0重量%である事が望ましい。該良溶媒の添加量が母材樹脂に対して0.05重量%未満の場合には、無機系抗菌・防カビ剤自身の抗菌活性を大幅に低下させることなく所望の抗菌活性を発現することが困難となるなど好ましくなく、また、1.5重量%を超える場合には、添加に見合う更なる効果が期待できず好ましくない。
【0058】
一方、上記(2)の製造方法における前記良溶媒の配合量は、塗料の樹脂成分に対して0.05〜1.5重量%、好ましくは0.05〜1.0重量%である事が望ましい。該良溶媒の配合量が塗料の樹脂成分に対して0.05重量%未満の場合には、無機系抗菌・防カビ剤自身の抗菌活性を大幅に低下させることなく所望の抗菌活性を発現することが困難となるなど好ましくなく、また、1.5重量%を超える場合には、添加に見合う更なる効果が期待できず好ましくない。
【0059】
また、本発明の抗菌性樹脂組成物に用いることのできる良溶媒は、母材樹脂または塗料の樹脂成分の溶解度パラメーター(SP1 )とほぼ等しい溶解度パラメーター(SP2 )を持つ溶剤、より具体的には、前記SP1 と前記SP2 の関係が、|SP1 −SP2 |≦1を満足するものであることが望ましい。この場合、母材樹脂または塗料の樹脂成分のSP1 値と溶剤のSP2 値ができるだけ近い、好ましくは同一のものを選定することが原則である。すなわち、SP1 値とSP2 が異なるほど母材樹脂または樹脂成分に添加混入する無機系抗菌・防カビ剤の抗菌性等の活性を失うためである。なお、母材樹脂(塗料の樹脂成分を含む)の溶解度パラメーター(SP1 )および溶剤の溶解度パラメーター(SP2 )に関しては、現在までに極めて多くのものにつき実測値(及び理論値)が求められている。これらのほんの1例を下記表1(樹脂に関するSP値)および表2(溶剤に関するSP値)に示す。ただし、本発明に適用できる溶剤は、これらの表に示すものに限られるものではなく、従来既知の各種の溶剤の中から、使用する母材樹脂または塗料の樹脂成分に応じて適宜選択することができる。なお、下記表1の樹脂の溶解度パラメーターには実測値および理論値の両方を記載しているが、本発明の樹脂組成物の溶解度パラメーター(SP1 )に関しては、原則として実測値を使うものとし、実測値が求められていないもの(下記表1に例示したもので言えば、シリコン(ポリジメチルシロキサン)のみが該当する)に関してのみ理論値を適用するものとする。
【0060】
【表1】
Figure 0004264163
【0061】
【表2】
Figure 0004264163
【0062】
また、上記(1)の製造方法、該組成物および該製品に用いることのできる無機系抗菌・防カビ剤以外の他の添加剤としては、特に制限されるものではなく、上述した抗菌性樹脂組成物および該製品に添加し得る従来既知の各種の添加剤を適当な割合で適宜配合することができるほか、場合によっては、無機系抗菌・防カビ剤を均質に分散させる目的で、適当な分散剤を適当な割合で適宜配合することもできる。同様に、上記(2)の製造方法に用いることのできる無機系抗菌・防カビ剤以外の他の添加剤に関しても、上記(1)の製造方法と同様に従来既知の各種の添加剤を適当な割合で適宜配合することができるが、この場合には、樹脂自体の成形に用いる添加剤は特に必要がなく、該樹脂製品の少なくとも表面部分に形成する抗菌性を有する被膜ないし積層部分の成形に必要となる添加剤を適宜選択して使用すればよい。
【0063】
【実施例】
以下、本発明の望ましい実施例を説明することによって本発明を詳細に説明する。しかし、本発明は以下で開示される実施例に限定されるものでなく、相異なる多様な形態で具現されるものであり、単に本実施例は本発明の開示を完全にし、通常の知識を持った者に発明の範疇を完全に知らせるために提供するものであり、本発明の技術思想及び範囲内で当分野の通常の知識を持った者によって各種の変形および改良が可能であり、かかる変形および改良も本発明の技術範囲に属するものであることはいうまでもない。
実施例1
本実施例1で用いたA〜Gの7種類の異なる無機系抗菌・防カビ剤の組成比率を下記表3に示す。該A〜Gの7種類の異なる無機系抗菌・防カビ剤は、いずれも、表3に示す各原料を粒径10μm以下に調製して得られたものを用いた。
【0064】
【表3】
Figure 0004264163
【0065】
上記表3に示すA〜Gの7種類の異なる無機系抗菌・防カビ剤単独の諸特性を下記表4に示す。
【0066】
【表4】
Figure 0004264163
【0067】
上記表4中、大腸菌およびブドウ状球菌に対する抗菌率に関しては、上述したシェーク法によりそれぞれ測定し算出した値である。また、臭気発生源となる酸系物質およびアルカリ系物質に対する脱臭率のほか、忌避率、放射率、表面積およびpHに関しては、以下に説明する方法よりそれぞれ測定し算出した値である。尚、本実施例では、酸系物質には、硫化水素を、またアルカリ系物質には、アンモニアを用いた。
【0068】
(1)脱臭率の測定法;6段階法を用いて計測した。
【0069】
(2)忌避率の測定法;JIS Z2911を用いて計測した。
【0070】
(3)放射率の測定法;サンプル(試料)を分光計を用いて計測した。
【0071】
試料の表面温度を所定の温度(100℃)で、仮想黒体と試料(20×30×2mmの板状に加工したもの)の放射率を分光器(日本分光工業株式会社製)で比較することにより求めた。
【0072】
(4)表面積の測定法;BET(Brunauer-Emmett-Teller)法を用いて計測した。
【0073】
(5)pHの測定法;pH計を用いて計測した。
実施例1〜10
上記表4に示すような諸特性を有する上記A〜Gの7種類の異なる無機系抗菌・防カビ剤の中から下記表6に示すものを、それぞれ所定の比率(母材樹脂に対して5〜10重量%の範囲)で4種類の異なる母材樹脂(ポリエチレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ナイロン)ごとに添加する時点で、母材樹脂の良溶媒(ここでは、下記表5に示す母材樹脂の溶解度パラメーター(SP1 )と等しい溶解度パラメーター(SP2 )を持つ溶剤)を、下記表6に示す所定の比率(母材樹脂に対して0.5〜1.0重量%の範囲)となるように、無機系抗菌・防カビ剤が予め高濃度で配合されたマスターバッチを稀釈する混合方法にて加工し、それぞれの抗菌性樹脂製品を得た。得られた抗菌性樹脂製品の試験片を用いて、各種の測定を行い得られた諸特性を下記表6に示す。なお、各測定法のうち大腸菌およびブドウ状球菌に対する抗菌率に関しては加圧法により測定し算出し、脱臭率、忌避率、放射率、表面積およびpHに関しては上述した測定法により行った。
【0074】
【表5】
Figure 0004264163
【0075】
【表6】
Figure 0004264163
【0076】
上記表5、6から明らかに分かるように、上記実施例1〜10のいずれの抗菌性樹脂製品においても、配合した無機系抗菌・防カビ剤単体が有していた抗菌活性を含む諸特性(抗菌率、脱臭率、忌避率、放射率)をほとんど損なうことなく、その特性を保持していることが確認された。特に抗菌率に関しては、無機系抗菌・防カビ剤単独の抗菌率(X)と、無機系抗菌・防カビ剤を用いて形成した樹脂の抗菌率(Y)との相関関係が、Y≧0.6Xを充分満足し、さらにY≧0.9Xをもすべて満足した値が得らた。同様に、脱臭率、忌避率、放射率等に関しても、無機系抗菌・防カビ剤単体が有していた特性をほとんど損なうことなく保持していることも確認された。
比較例1〜10
上記表4に示すような諸特性を有する上記A〜Gの7種類の異なる無機系抗菌・防カビ剤の中から下記表7に示すものを、それぞれ所定の比率(母材樹脂に対して5〜10重量%の範囲)となるように、4種類の異なる母材樹脂(ポリエチレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ナイロン)ごとにそれぞれの無機系抗菌・防カビ剤が予め高濃度で配合されたマスターバッチを稀釈する混合方法にて加工し、抗菌性樹脂組成物の成型品を製造した。得られた抗菌性樹脂製品の試験片を用いて、各種の測定を行い得られた諸特性を下記表7に示す。なお、各測定法は、上記無機系抗菌・防カビ剤の特性を測定したと同様の測定法により行った。
【0077】
【表7】
Figure 0004264163
【0078】
上記表7から明らかに分かるように、上記比較例1〜10のいずれの抗菌性樹脂製品においては、配合した無機系抗菌・防カビ剤単体が有していた抗菌性を保持できておらず、大幅にその特性が低下しており、無機系抗菌・防カビ剤単独の抗菌率(X)と、無機系抗菌・防カビ剤を用いて形成した部分の樹脂の抗菌率(Y)との相関関係が、Y≧0.6Xを満足する値は得られなかった。同様に、脱臭率、忌避率、放射率等に関しても、無機系抗菌・防カビ剤単体が有していた諸特性を保持できておらず、大幅に各特性が低下していることも確認された。
【0079】
以上の結果から、抗菌性樹脂組成物を製造加工する場合、母材樹脂に対する良溶媒、詳しくは、母材樹脂の溶解度パラメーター(SP1 )とほぼ等しい溶解度パラメーター(SP2 )を持つ溶剤を選定することが重要な点であることが確認された。
【0080】
【発明の効果】
本発明の抗菌性樹脂組成物及びその抗菌性樹脂製品は、加工時の加熱及び加圧、使用の際に置かれる環境(光、水等)に耐え、しかも樹脂製品の基本性能を損なう事なく無機系抗菌・防カビ剤単独で有する抗菌効果を大幅に損なうことなく有効に発揮することができ、さらに従来の高価な担体に銀等の高価な抗菌性金属材料を置換させる操作を行うことなく、極めて安価に供給される天然鉱物原料を焼成処理するだけの簡単な操作で安価に提供される無機系抗菌・防カビ剤を用いて従来法に比して何らの複雑な加工処理を新たに施すことなく、単に母材樹脂等の樹脂成分に対する良溶媒を所定の比率で添加するだけの操作を付加するだけでよく、比較的安価に製造することができる。また、従来と同様にあらゆる形態(繊維、フィルム、塗膜、成型品等の諸形態)に加工でき、かつ安全性(加工、使用、廃棄の全ての段階における安全性)の極めて高いものとでき、また食中毒の原因ともなる毒素をだすブドウ状球菌、O−157細菌に対する抗菌効果が極めて高く維持できるため、特に食品包装・容器、まな板、台所用品、冷蔵庫などのほか、2次感染しやすいトイレや風呂場用品等の日用品等に幅広く使用することができるなど、本発明の無機系抗菌・防カビ剤および抗菌性樹脂組成物および抗菌性樹脂製品は、多方面で利用できる。
【0081】
この様な抗菌性樹脂製品としては、例えば、食品包装、食品用容器、まな板、台所用品、風呂場用品等の日用・家庭用品、冷蔵庫、洗濯機、携帯端末(電話器)、浄水器、エアコン等の電化製品、壁紙、床材などの家庭内装材、シーリング剤等の建材、靴下、カーペット、寝具等の繊維製品、建設機械、農業資材、工業用品など抗菌性が要求されているものであれば如何なるものであれ使用できる画期的な発明であり、極めて長期にわたって細菌・カビ類により劣化・変色させられ商品価値を失うことを防ぐことができるものである。

Claims (15)

  1. 樹脂母材の溶解度パラメーター(SP )と溶媒の溶解度パラメーター(SP )の関係が|SP −SP |≦1を満足する母材樹脂、溶媒及び、700℃以上で焼成した焼成ドロマイトを含有する抗菌性樹脂組成物。
  2. 前記焼成ドロマイトを含有する無機系抗菌・防カビ剤が前記母材樹脂に対して2.5〜20重量%、前記溶媒が前記母材樹脂に対して0.05〜1.5重量%である請求項1に記載の抗菌性樹脂組成物。
  3. 前記無機系抗菌・防カビ剤が、前記焼成ドロマイトを25重量%以上含有することを特徴とする請求項2に記載の抗菌性樹脂組成物。
  4. 前記無機系抗菌・防カビ剤の抗菌活性(X)が、大腸菌およびブドウ球菌のいずれに対しても85%以上であることを特徴とする請求項2または3に記載の抗菌性樹脂組成物
  5. 前記無機系抗菌・防カビ剤の粒径が、15μm以下であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の抗菌性樹脂組成物
  6. 前記無機系抗菌・防カビ剤の粒径が、5nm〜15μmであることを特徴とする請求項に記載の抗菌性樹脂組成物
  7. 前記焼成ドロマイトが温度900〜1200℃で焼成したものである請求項1〜6のいずれか1項に記載の抗菌性樹脂組成物。
  8. 前記焼成ドロマイトが、酸化マグネシウムと酸化カルシウムを主成分とするものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の抗菌性樹脂組成物。
  9. 前記母材樹脂が、エラストマー、ハロゲン含有樹脂および高分子重合体から選ばれる1種以上である請求項1〜8のいずれか1項に記載の抗菌性樹脂組成物。
  10. 請求項のいずれか1項に記載の抗菌性樹脂組成物を用いて形成されてなることを特徴とする抗菌性樹脂製品。
  11. 前記抗菌性樹脂組成物中に含有される前記無機系抗菌・防カビ剤単体の抗菌率(X)と、抗菌性樹脂組成物を用いて形成した抗菌性樹脂製品の抗菌率(Y)との相間関係が、Y≧0.6Xを満足することを特徴とする請求項10に記載の抗菌性樹脂製品。
  12. 記抗菌率(X)と、前記抗菌率(Y)との相間関係が、Y≧0.9Xを満足することを特徴とする請求項11に記載の抗菌性樹脂製品。
  13. 樹脂母材の溶解度パラメーター(SP )と溶媒の溶解度パラメーター(SP )の関係が|SP −SP |≦1を満足する母材樹脂に、前記溶媒及び、700℃以上で焼成した焼成ドロマイトを含有する添加剤を添加することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に抗菌性樹脂組成物の製造方法。
  14. 請求項のいずれか1項に記載の抗菌性樹脂組成物を用いて形成することを特徴とする抗菌性樹脂製品の製造方法。
  15. 基材の少なくとも表面部分に、請求項のいずれか1項に記載の抗菌性樹脂組成物を用いて抗菌性を有する被膜ないし積層部分を形成することを特徴とする抗菌性樹脂製品の製造方法。
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