JP4263774B2 - 現像装置におけるトナー空検知装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、現像装置におけるトナー空検知装置に係り、特に、トナー貯蔵手段に直接トナー空検知手段を備えていないタイプの現像装置におけるトナー空検知装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子写真方式の画像形成装置で用いられる現像装置は、補給用トナーが貯蔵されるトナーカートリッジを有し、このトナーカートリッジ内のトナーを順次補給しながら感光体等の潜像担持体上の静電潜像を可視像化するようになっている。
このような現像装置において、トナーカートリッジ内の補給用トナーが空になると、現像装置による現像動作を継続しえなくなるので、通常トナーカートリッジ内のトナーが空になることを検知するトナー空検知装置が設けられる。
【0003】
従来この種のトナー空検知装置としては、例えばトナーカートリッジ内のトナーの有無を圧電式センサや光学式センサで直接検知するようにしたものが既に提供されている。
しかしながら、圧電式センサにあってはコストが嵩むわりにはトナーの空検知精度をそれ程高くすることができず、また、光学式センサにあってはコストも高く、受光面が浮遊トナーで汚れる等する分、トナーの空検知に対して誤検知し易いという不具合を生ずる。
【0004】
このような不具合を解消するために、従来のトナー空検知装置としては、感光体等の潜像担持体上に濃度測定用のトナーパッチを作成し、このトナーパッチの濃度を測定すると共に、このトナーパッチ濃度が基準レベル以下まで低下したことを検知することにより、トナーエンプティであることを表示するようにしたものが提供されている(例えば特開昭57−29061号公報、特開昭61−188566号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この種のトナー空検知装置にあっては、トナーパッチ濃度の絶対値が基準レベル以下まで低下したことに基づいてトナーエンプティを検知(空表示)するようにしているため、前記空表示基準レベルを目標画像濃度レベルに近接して設定すると、トナーエンプティを検知する直前において濃度低下を少なくすることが可能であるが、トナー補給時のトナー濃度変動やノイズなどによってトナーエンプティを誤検知し易いという技術的課題が生じてしまう。
このような状況下において、前記基準レベルを目標レベルに対してある程度余裕をもって小さく設定せざるを得ないが、このようにすると、トナーエンプティを検知する直前の時点では、画像濃度がかなり薄いものになってしまい、正常な画質を提供し得ないという技術的課題が見られた。
【0006】
この発明は、以上の技術的課題を解決するためになされたものであって、従来方式よりも濃度低下が少ない時に、空トナー状態を正確に検知することができる現像装置におけるトナー空検知装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、この発明は、図1に示すように、補給用トナーが貯蔵されるトナー貯蔵手段2を付設し、潜像担持体1上に形成されるトナー像に対応する濃度を濃度検出手段3にて検出すると共に、前記濃度検出手段3にて検出されたトナー像に対応する濃度が目標値未満に低下した条件下で前記トナー貯蔵手段2内のトナーを順次補給しながら潜像担持体1上の静電潜像を可視像化する現像装置において、前記濃度検出手段3にて検出された濃度の経時的変化のうち新たに検出された濃度情報と以前に検出された濃度情報とに基づく相対変化量を算出する変化量算出手段4と、この変化量算出手段4にて算出された相対変化量が予め設定された基準に比べて減少傾向に至った条件にてトナー貯蔵手段2が空であることを判別する空トナー判別手段5とを備え、この空トナー判別手段5には、トナー貯蔵手段2が空であることを判別する前に前記変化量算出手段4にて算出された相対変化量に基づいてトナー貯蔵手段2が空になることを予告する予告手段8を具備させたことを特徴とする現像装置におけるトナー空検知装置である。
【0008】
このような技術的手段において、濃度検出手段3としては、潜像担持体1上に形成されたトナー像の濃度を直接的に検出するものであってもよいし、潜像担持体1に形成されるトナー像を間接的に検出する、例えば現像装置内の現像剤のトナー濃度を検出するものなど適宜選定して差し支えない。
【0009】
また、変化量算出手段4は、検出された濃度の経時的な相対変化量を算出するものであればよく、例えば前回の濃度情報と今回の濃度情報との差、傾き、比などの相対変化量を算出するものであってもよいし、あるいは、セットアップ時の濃度設定値(固有値)と濃度検出手段3による各濃度情報との差、傾き、比などの相対変化量を算出するものなど適宜選定して差し支えない。
【0010】
更に、前記変化量算出手段4としては、外乱による濃度変動の影響を少なく抑えるという観点からすれば、少なくとも三つ以上の濃度情報を用い、外乱による影響をならすような演算方式を用いることが好ましい。
例えば、新たに検出した濃度情報と以前に検出した濃度情報とを移動平均し、この濃度の移動平均値と前回の検出時に求めた濃度の移動平均値とに基づいて相対変化量を算出する方式が挙げられる。
また、新たに検出した濃度情報と以前に検出した濃度情報とに基づいて演算(差、傾き、比等)を行ない、この演算結果に基づく所定の係数を積算することにより相対変化量を算出する方式が挙げられる。
この積算方式において、前記所定の係数とは、濃度情報の演算結果そのものであってもよいし、その演算結果の程度に応じて選定されたものであってもよい。このとき、トナーの空検知の感度を調整するという観点からすれば、濃度情報の演算結果の程度に応じて係数を選定することも可能である。また、原稿像密度に応じた係数とすることで濃度低下を原稿像密度によらず一定値に抑えることができる。
更に、多数の濃度情報に対する近似直線式を求め、この近似直線式の傾き情報から濃度情報の相対変化量を平均的傾きとして算出する方式が挙げられる。
【0011】
また、例えばメモリ故障のような装置異常時において、トナーの空検知動作の暴走を回避するという観点からすれば、変化量算出手段4として、新たに検出した濃度情報と以前に検出した濃度情報とに基づいて演算(差、傾き、比等)を行ない、この演算結果に基づく所定の係数を積算することにより相対変化量を算出する方式において、新たに検出した濃度情報が所定値以下である条件下で、所定の係数と異なる第二の係数を積算するようにすることが好ましい。
ここで、第二の係数を積算する条件となる「所定値」は従前のトナー空検知方式(トナー濃度情報の絶対値でトナーの空検知を行なう方式)で設定される基準レベルに相当するものであり、また、「第二の係数」とは所定の係数よりも大きく、この第二の係数を積算した時点でトナーの空検知が直ちに検知される程度の変化量に至る範囲で設定されるものである。
【0012】
また、定常状態における濃度変動(トナー補給による遅れなどに起因)の影響を少なく抑えるという観点からすれば、変化量算出手段4として、新たに検出した濃度情報が所定値以上である条件下で、相対変化量の算出動作を禁止するようにすることが好ましい。
ここでいう「所定値」とはセットアップ時の濃度設定値(目標濃度)よりも定常状態における濃度変動振幅分だけ低い濃度値である。
【0013】
また、環境変化に伴う濃度変化による影響を少なく抑えるという観点からすれば、図1に示すように、装置の環境変化が検出される環境変化検出手段6を設け、変化量算出手段4としては環境変化検出手段6で検出された環境変化を考慮して濃度の相対変化量を算出するようにすることが好ましい。
この場合において、環境変化検出手段6としては、湿度、温度などを検出するものが挙げられる。
【0014】
また、前記変化量算出手段4は、少なくとも濃度の減少傾向を把握し、トナーエンプティを検知するために用いれば足りる。
従って、無駄な演算処理をなくすという観点からすれば、トナー補給時にはトナー濃度は一時的に増加傾向になるが、例えば新たに検出した濃度情報と以前に検出した濃度情報とに基づいて濃度の増加傾向が判別される増加傾向判別手段7を設け、この増加傾向判別手段7にて増加傾向を判別した条件下で、変化量算出手段4の相対変化量をリセットすることが好ましい。
【0015】
更に、トナー貯蔵手段2を交換する場合には、その直前においてトナーエンプティを検知した状況と言える。
従って、トナーエンプティを検知した状態のまま継続して変化量算出手段4の演算処理を行なったとしても当初の演算処理が無駄になってしまう。このため、無駄な演算処理をなくすという観点からすれば、トナー貯蔵手段2の交換が検知される手段を設け、トナー貯蔵手段2の交換が検知された条件下で、変化量算出手段4の相対変化量をリセットすることが好ましい。
【0016】
また、トナー貯蔵手段2からのトナー補給による濃度の過渡変動の影響を少なく抑えるという観点からすれば、変化量算出手段4の濃度検出周期が、トナー補給制御手段の濃度検出周期の整数倍であることが好ましい。
【0017】
また、空トナー判別手段5としては、トナーエンプティを判別するものであればよいが、トナーエンプティと同時にコピーがとれなくなると操作性が悪いので、操作性をより良好に保つという観点からすれば、トナーエンプティに加えて、トナーのニアエンプティをも判別することが好ましい。
このとき、例えばトナー貯蔵手段2が空になることを予告する予告手段8を付加するようにすればよく、予告手段8としては通常トナーエンプティに対応する基準値よりも少ないトナーのニアエンプティに対応する予告基準値を設定し、これと変化量算出手段4で算出された算出量を比較するようにすればよい。
【0018】
更に、トナーエンプティが予告されたトナー貯蔵手段2をリセット後に誤って再セットしたような状況下において、トナーエンプティを確実に検知するという観点からすれば、予告手段8による空トナー発生の予告回数が計数される予告計数手段9とを設け、空トナー発生の予告が所定回数に達した条件下で、トナー貯蔵手段2が空になったことを判別するようにすることが好ましい。
【0019】
また、空トナー検知されたトナー貯蔵手段2をリセット後に誤って再セットした状況下において、トナー貯蔵手段2の交換動作を確実に行なわせるという観点からすれば、空トナー判別手段5に、トナー貯蔵手段2が空であると判別した回数を計数する空検知計数手段10と、この空検知計数手段10の計数値が所定値に達した条件下で装置の故障と判断する故障判断手段11とを具備させることが好ましい。
【0020】
また、本発明において、トナー空検知直前における画質をより良好に保つという観点からすれば、濃度検出手段3にて検出されたトナー濃度に基づいて画像形成条件、例えば帯電、露光、現像、階調再現特性条件の少なくともいずれか一つを制御するようにすることが好ましい。
【0021】
また、本発明が適用される現像装置は、一色用のものであってもよいし、また、ロータリ型のように複数の色用の現像部を備えたものであってもよい。
この場合において、複数の現像部を備えた現像装置にあっては、各現像部毎にトナー貯蔵手段2を具備し、また、濃度検出手段3、変化量算出手段4及び空トナー判別手段5については各現像部毎に対応して働くものであればよい。
そして、例えば各現像部のうち一つがトナーエンプティになった場合の処理については適宜選定して差し支えない。
【0022】
次に、上述した技術的手段の作用について説明する。
図1において、濃度検出手段3が潜像担持体1上に形成されるトナー像に対応する濃度を検出すると、変化量算出手段4は、前記濃度検出手段3にて検出された濃度の経時的な相対変化量(前回の濃度検出値と今回の濃度検出値との差、傾き、比、あるいは、三つ以上の濃度検出値による移動平均差、積分値、平均的傾きなど)を算出する。そして、空トナー判別手段5は前記変化量算出手段4にて算出された相対変化量に基づいてトナー貯蔵手段2が空であるか否かを判別する。このとき、空トナー判別手段5の予告手段8はトナー貯蔵手段2が空であることを判別する前にトナー貯蔵手段2が空になることを予告する。
【0023】
また、図1において、環境変化検出手段6は装置の環境変化を検出するものであり、変化量算出手段4は環境変化検出手段6で検出された環境変化を考慮して濃度の相対変化量を算出する。
更に、増加傾向判別手段7を備えた変化量算出手段4にあっては、増加傾向判別手段7は新たに検出した濃度情報と以前に検出した濃度情報とに基づいて濃度の増加傾向を判別するものであり、前記増加傾向判別手段7にて増加傾向が判別されると、その判別信号に基づいて、変化量算出手段7は相対変化量をリセットする。
【0024】
更にまた、本発明において、予告手段8及び予告計数手段9を備えた空トナー判別手段5にあっては、予告手段8はトナー貯蔵手段2が空になることを予告し、予告計数手段9は前記予告手段8による空トナー発生の予告回数を計数し、空トナー判別手段5は、空トナー発生の予告が所定回数に達した条件下で、トナー貯蔵手段2が空になったことを判別する。
【0025】
また、空検知計数手段10及び故障判断手段11を備えた空トナー判別手段5にあっては、空検知計数手段10はトナー貯蔵手段2が空であると判別した回数を計数し、故障判断手段11は前記空検知計数手段10の計数値が所定値に達した条件下で装置の故障(空検知されたトナー貯蔵手段2が誤って再セットされている状態)と判断する。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。尚、実施の形態12以外の各実施の形態は空トナー状態であるか否かを判別する各種態様を示す。
◎実施の形態1
図2はこの発明が適用された現像装置におけるトナー空検知装置の実施の形態1を示す。
同図において、符号21〜28は電子写真複写機などの画像形成装置の各構成要素であり、符号21は潜像担持体としての感光ドラム、22は感光ドラム21を予め帯電するコロトロンなどの帯電器、23は帯電された感光ドラム21上を露光して静電潜像(通常の画像信号に基づく潜像、パッチ画像信号に基づく潜像)を書き込むレーザなどの光書き込み装置、24は感光ドラム21上に形成された潜像をトナーにて現像する二成分現像方式の現像装置、25は感光ドラム21上のトナー像を記録紙26に転写させるコロトロンなどの転写帯電器、27は感光ドラム21に静電吸着した記録紙26を剥離する剥離帯電器、28は感光ドラム21上の残留トナーなどを清掃するクリーニング装置、29は感光ドラム21上の残留電荷を除去する除電器である。
【0027】
また、本実施の形態において、前記光書き込み装置23には図示外の画像処理装置が接続されており、この画像処理装置内にはパッチ画像信号生成装置30が設けられている。
このパッチ画像信号生成装置30は所定のタイミング(本実施の形態では、5コピーで1回の割合)でパッチ画像信号を光書き込み装置23に送出し、光書き込み装置23にて感光ドラム21のインタイメージ部に例えば階調面積率50%の矩形状パッチ潜像を作成する。
【0028】
更に、本実施の形態において、前記現像装置24にはトナー供給装置31が付設され、このトナー供給装置31は補給トナー貯蔵用のトナーカートリッジ(図示せず)を着脱自在に装着したもので、トナー濃度低下時には現像装置24に対してトナーを補給するものである。
【0029】
更にまた、本実施の形態において、符号32はトナーカートリッジ内のトナーが空(トナーエンプティ)になったことを表示する空トナー表示装置である。
【0030】
また、符号41は感光ドラム21上に形成されたパッチ画像(パッチ潜像を現像装置24で現像したもの)の濃度を検出するパッチ濃度センサであり、例えば反射型光学センサにて構成され、図5に示すように、パッチ画像濃度が薄いほど大きい検出値を出力し、この検出値に対応する濃度検出値を検出可能になっている。なお、図5において、Kは黒トナーに対する特性であり、YMCはイエロ、マゼンタ、シアンのカラートナーに対する特性を示す。
【0031】
そして、パッチ濃度センサ41からの検出値はトナー供給制御部51及び濃度変化量算出部52に入力されている。
本実施の形態において、前記トナー供給制御部51はパッチ濃度センサ41からの検出値に対応する濃度検出値が目標レベルより低下した条件下で、トナー供給装置31によるトナー補給動作を一定時間実行させるものである。
【0032】
また、濃度変化量算出部52はパッチ濃度センサ41からの濃度検出値の経時的な相対変化量を算出するものであり、この算出された変化量は空トナー判別部53に入力され、この空トナー判別部53はその変化量に基づいて空トナー状態か否かを判別し、空トナー状態であるという判別信号を空トナー表示装置32に送出し、空トナー表示をするようになっている。
【0033】
更に、前記トナー供給制御部51、濃度変化量算出部52及び空トナー判別部53を構成する制御装置例を図3に示す。
同図において、符号60はCPU61、RAM62及びROM63並びに入力インタフェース64、出力インタフェース65からなるマイクロコンピュータシステムであり、本実施の形態では、前述した濃度検出シーケンス、トナー補給シーケンス及び図4に示すようなトナー空検知シーケンスなどの各種制御プログラムが前記ROM63に格納され、CPU61は、パッチ濃度センサ41及び濃度検出スタート信号42などの信号を入力インタフェース64を介して取り込み、各種制御プログラムを実行し、出力インタフェース65を介してパッチ画像信号生成装置30、トナー供給装置31及び空トナー表示装置32に所定の制御信号を送出するようになっている。
【0034】
次に、図4に基づいて本実施の形態におけるトナー空検知シーケンスについて説明する。
同図において、先ず、パッチ画像濃度が例えば5コピーに1回の割合で検出されると、濃度検出値の変化量として、”前回の濃度検出値−今回の濃度検出値”が算出される(濃度変化量算出工程)。
具体的には、図6に示すように、10コピー目の濃度検出値をa、15コピー目の濃度検出値をbとした場合、変化量は差=a−bとして算出される。
【0035】
次いで、変化量が基準値(空トナー状態に至ると判断される程度のトナー濃度の減少変化量として予め設定された値)を超えたか否かを判断し、変化量が基準値を超えた条件下で空トナー表示装置32に対して空トナー状態(トナーエンプティ)であるという判別信号(トナー空表示信号)を送出し(空トナー判別工程)、一方、変化量が基準値以下であれば、”今回の濃度検出値→前回の濃度検出値”に書き換え、次のトナー空検知サイクルに備える。
【0036】
なお、本実施の形態において、相対変化量としては前回の濃度検出値と今回の濃度検出値との差を用いたが、これに限られるものではなく、両者の傾きや比を用いるようにしてもよい。
ここで、傾き、比について説明すると、例えば図6に示すように、10コピー目の濃度検出値をa、15コピー目の濃度検出値をbとした場合、傾きや比は次式で求められる。
傾き=(a−b)/(15−10)
比=a/b若しくはb/a
【0037】
◎実施の形態2
本実施の形態に係るトナー空検知装置の基本的構成は実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なり、図7に示すようなトナー空検知シーケンスを実行するようになっている。
同図において、濃度検出値の相対変化量は、”セットアップ時に設定した固有値−今回の濃度検出値”にて算出される。
【0038】
◎実施の形態3
本実施の形態に係るトナー空検知装置の基本的構成は実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なり、図8に示すようなトナー空検知シーケンスを実行するようになっている。
同図において、濃度検出値の相対変化量は、”(前々回の濃度検出値+前回の濃度検出値)/2−(前回の濃度検出値+今回の濃度検出値)/2”にて算出され、この変化量が基準値と比較され、空トナー検知が判別される。なお、本実施の形態においては、”前回の濃度検出値→前々回の濃度検出値,今回の濃度検出値→前回の濃度検出値”に書き換えるという更新処理が行なわれる。
従って、本実施の形態によれば、濃度検出値がノイズなどの外乱によりばらついたとしても、移動平均により検出の誤差が低減されるため、空トナー検知に対する誤動作は実施の形態1,2に比べて少なく抑えられる。
【0039】
◎実施の形態4
本実施の形態に係るトナー空検知装置の基本的構成は実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なり、図9に示すようなトナー空検知シーケンスを実行するようになっている。
同図において、濃度検出値の相対変化量(変化量2に相当)は、”前回の濃度検出値−今回の濃度検出値”を毎回積算することにより算出され、この変化量が基準値と比較され、空トナー検知が判別される。なお、本実施の形態においては、実施の形態1と同様に、”今回の濃度検出値→前回の濃度検出値”に書き換えるという更新処理が行なわれる。
従って、本実施の形態によれば、濃度検出値がノイズなどの外乱によりばらついたとしても、変化量の積算処理により検出の誤差が低減されるため、空トナー検知に対する誤動作は実施の形態1,2に比べて少なく抑えられる。
【0040】
◎実施の形態5
本実施の形態に係るトナー空検知装置の基本的構成は実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なり、図10に示すようなトナー空検知シーケンスを実行するようになっている。
同図において、パッチ画像濃度が例えば5コピー毎に1回の割合で検出され、メモリ(図3のRAM62に相当)に蓄えられる。そして、この処理をn回繰り返すことにより、得られたn回分のデータをもとにして平均的傾きを算出する。この算出方法は重回帰分析によりY=aX+bなる一次式を用い、この式のaを平均的傾きとした。
具体的には、平均的傾きaについて、a<0のとき、濃度が濃くなっていることに相当し(図11(A)参照)、a>0のとき、濃度が薄くなっていることに相当し(図11(B)参照)、a=0のとき、濃度変化なしの状態に相当する(図11(C)参照)。
【0041】
このため、本実施の形態においては、平均的傾きa>0のときで基準値を超えたか否かを判別し、超えた条件下で空トナー表示装置32(図3参照)に対して空トナー状態(トナーエンプティ)であるという判別信号(トナー空表示信号)を送出し、一方、変化量が基準値以下であれば、”今回の濃度検出値→前回の濃度検出値,前回の濃度検出値→前々回の濃度検出値……n−2回前の濃度検出値→n−1回前の濃度検出値,n−1回前の濃度検出値→消去”に書き換え、次のトナー空検知サイクルに備える。
従って、本実施の形態によれば、濃度検出値がノイズなどの外乱によりばらついたとしても、n個の濃度検出値による平均的傾き処理により変化量を求めるようにしたので、その分、濃度検出値の検出の誤差が低減され、空トナー検知に対する誤動作は実施の形態1,2に比べて少なく抑えられる。
【0042】
◎実施の形態6
本実施の形態に係るトナー空検知装置の基本的構成は、図12に示すように、実施の形態1と略同様な構成要素に加えて、パッチ画像濃度異常判別部54及び濃度変化量補正処理部55を付加したものである。
ここで、パッチ画像濃度異常判別部54はパッチ画像濃度が異常に低下した場合を判別する機能部であり、濃度変化量補正処理部55はパッチ画像濃度が異常であるときに濃度変化量算出部52で算出された変化量を補正する機能部である。
なお、実施の形態1と略同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
【0043】
本実施の形態において、濃度変化量算出部52〜濃度変化量補正処理部55を構成する制御装置(図3参照)のトナー空検知シーケンスを図13に示す。
同図において、先ず、パッチ画像濃度が例えば5コピーに1回の割合で検出されると、濃度検出値の変化量1として、”前回の濃度検出値−今回の濃度検出値”が算出される。
ここで、変化量1=0のとき係数a、変化量1≦m(所定値)のとき係数b1、変化量1>mのとき係数b2、変化量1<0のとき係数c(c<0≦a<b1<b2)となるように、変化量1の値に応じて重み付けされた係数が生成され、この係数が積算されて相対変化量(変化量2に相当)が算出される(濃度検出値算出工程)。
なお、本実施の形態において、変化量1の係数をより細分化するようにしてもよいことは勿論である。このようにすることで、原稿像密度に対応でき、より検出精度が向上する。
【0044】
次いで、パッチ画像濃度検出値が所定値(従前の絶対濃度を用いたトナー空検知方式における空トナー状態判別用の基準レベル値、言い換えれば、正常な画質が得られない程度に薄い濃度レベル値に相当)以下であるか否かが判別され、所定値以下であれば、係数=d(d>c)に置換し、この係数dを積算して変化量2を補正し、一方、所定値を超えるのであれば、そのまま次の処理へ移行させる(濃度変化量補正工程)。なお、本実施の形態において、係数dは積算した変化量2が直ちに基準値を超えるように係数a,b,cなどに比べて大きく設定されている。
【0045】
この後、変化量2が基準値(空トナー状態に至ると判断される程度のトナー濃度の減少変化量として予め設定された値)を超えたか否かを判断し、変化量2が基準値を超えた条件下で空トナー表示装置32に対して空トナー状態(トナーエンプティ)であるという判別信号(トナー空表示信号)を送出し(空トナー判別工程)、一方、変化量2が基準値以下であれば、”今回の濃度検出値→前回の濃度検出値”に書き換え、次のトナー空検知サイクルに備える。
【0046】
従って、本実施の形態によれば、基本的に、実施の形態4(濃度検出値差の積算処理方式)と略同様な作用を奏するほか、濃度検出値差の積算処理に当たって濃度検出値の差をそのまま用いずに濃度差に応じて重み付けされた係数a〜cを用いるようにしたので、係数a〜cを適宜選定することにより、積算度合を微妙に調整することが可能になり、空トナー検知の感度調整が容易に行なわれる。
また、パッチ画像濃度が所定値以下である場合に、変化量を補正する濃度変化量補正工程が行なわれ、パッチ画像濃度が極端に薄くなった状況下においては、直ちに空トナー検知が行なわれるようになっているので、仮に、メモリ故障のような装置異常時において、異常なデータによる空トナー検知動作が継続されることはなくなり、従前の空トナー検知方式により、空トナー検知が確実に行なわれる。
【0047】
◎実施の形態7
本実施の形態に係るトナー空検知装置の基本的構成は、図14に示すように、実施の形態1と同様な構成要素に加えて、パッチ画像濃度判別部56を付加したものである。
ここで、パッチ画像濃度判別部56はパッチ画像濃度が所定値(セットアップ時に求めた目標濃度レベルより定常状態における濃度変動の振幅分だけ低い値、言い換えれば定常状態における濃度変動の下限値に相当)以上であるか否かを判別し、トナー空検知サイクルを実行するかしないかを決定する機能部である。
なお、実施の形態1と略同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
【0048】
本実施の形態において、濃度変化量算出部52、空トナー判別部53及びパッチ画像濃度判別部56を構成する制御装置(図3参照)のトナー空検知シーケンスを図15に示す。
同図において、パッチ画像濃度が検出されると、パッチ画像濃度が所定値以上であるか否かが判別され、所定値以上であれば原則的にトナー空検知サイクルを実行しない、言い換えれば、パッチ画像濃度の所定値以上の領域をトナー空検知サイクルに対して原則的に不感帯とする。
そして、パッチ画像濃度が所定値以上である回数がN回(Nは後述する制御遅れ時間を吸収する上で必要な回数)に達した条件下でトナー空検知サイクルが実行される。なお、本実施の形態におけるトナー空検知サイクルは実施の形態1と同様な手法を採用している。
【0049】
一般に、トナー供給制御部51によりマシンは常にトナー濃度制御されており、トナー濃度制御過程においては、トナー画像濃度は、トナー補給時の制御遅れ(トナー補給してから一定枚数コピーをとらないとトナーが現像装置に届かない)などにより一定値を中心として上下に変動する。
ところが、本実施の形態によれば、パッチ画像濃度が定常状態における濃度変動範囲内にある場合には、原則的に空トナー検知しないようになっているため、定常状態における濃度変動、特に、濃度の減少傾向部分によって空トナー状態であると誤検知される事態は回避される。
そして、パッチ画像濃度が所定値以上である回数がN回に達すると、制御遅れによる影響がなくなったものとして、トナー空検知サイクルが開始される。
【0050】
◎実施の形態8
本実施の形態に係るトナー空検知装置の基本的構成は、図16に示すように、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なり、画像形成装置の環境湿度を検知する湿度センサ43が付加され、濃度変化量算出部52は湿度センサ43からの湿度信号に応じて変化量の算出処理を休止するようになっている。
【0051】
本実施の形態において、濃度変化量算出部52及び空トナー判別部53を構成する制御装置(図3参照)のトナー空検知シーケンスを図17に示す。
同図において、先ず、マシン電源がオン操作されると、定着装置の温度が所定値以下か否かが判別される。すなわち、マシンの1日の最初の立ち上げ操作か否かが判別される。
そして、定着装置の温度が所定値以下である条件下で、湿度センサ43による湿度検出処理が行なわれ、前回の検出値と今回の検出値との差が求められ、この湿度差(相対湿度)が所定値以下か否かが判別される。
そして、湿度差が所定値以下であれば、直ちにトナー空検知サイクルが実行されるが、逆に、湿度差が所定値を超える場合には、所定回数、例えば5回トナー空検知サイクルが休止され、この間に、トナー濃度コントロールにより濃度が復帰する。
【0052】
一般に、環境変化により湿度が低下すると、現像剤の特性として濃度が低下する。この場合、トナーが無くなって濃度が低下したわけではないが、そのままトナー空検知サイクルを行なうと、変化量の減少傾向が大きくなり、空トナー状態であると誤検知される可能性がある。
ところが、本実施の形態にあっては、環境変化により湿度が低下した場合には、所定回数トナー空検知サイクルが休止されるので、環境変化に伴う濃度変動が空トナー状態であると誤検知される事態は回避される。
そして、この間に、トナー濃度コントロールにより濃度が復帰するので、トナー空検知サイクルが開始された場合には、同一環境条件下での濃度検出値による変化量算出が可能になり、環境変化による濃度変動がトナー空検知サイクルに影響する事態はなくなる。
【0053】
◎実施の形態9
本実施の形態に係るトナー空検知装置の基本的構成は、図18に示すように、実施の形態1と略同様な構成要素に加えて、濃度増加傾向判別部57を付加したものである。
ここで、濃度増加傾向判別部57は濃度変化量算出部(本実施の形態においては、実施の形態6で用いられた係数積算方式を採用)52で算出された変化量の増加傾向を判別し、濃度変化量算出部52にリセット信号(RS信号)を送出するようにしたものである。
【0054】
本実施の形態において、濃度変化量算出部52、空トナー判別部53及び濃度増加傾向判別部57を構成する制御装置(図3参照)のトナー空検知シーケンスを図19に示す。
同図において、先ず、パッチ画像濃度が検出されると、濃度検出値の変化量1として、”前回の濃度検出値−今回の濃度検出値”が算出される。
ここで、変化量1=0のとき係数a、変化量1>0のとき係数b(a<b)となるように、変化量1の値に応じて重み付けされた係数が生成され、この係数が積算されて相対変化量(変化量2に相当)が算出される(濃度検出値算出工程)。
なお、本実施の形態において、変化量1の大きさに応じて係数bを細分化するようにしてもよいことは勿論である。
【0055】
この後、変化量2が基準値を超えたか否かを判断し、変化量2が基準値を超えた条件下で空トナー表示装置32に対して空トナー状態(トナーエンプティ)であるという判別信号(トナー空表示信号)を送出し(空トナー判別工程)、一方、変化量2が基準値以下であれば、”今回の濃度検出値→前回の濃度検出値”に書き換え、次のトナー空検知サイクルに備える。
【0056】
また、変化量1<0ときには、”今回の濃度検出値→前回の濃度検出値”に書き換え、次のトナー空検知サイクルに備える。そして、変化量1<0の状態が所定回数(N回)続いたときには、トナー補給があったものとして、今まで積算してきた変化量2をクリアする。
【0057】
従って、本実施の形態にあっては、実施の形態6の濃度変化量算出部と略同様な作用を奏するものであることに加えて、トナー補給時において変化量が自動的にリセットされ、積算方式の変化量によるトナー空検知サイクルが効率的に行なわれる。
【0058】
◎実施の形態10
本実施の形態に係るトナー空検知装置の基本的構成は、図20に示すように、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なり、トナー供給装置31に着脱自在に装着されるトナーカートリッジ311の着脱状態を検知するトナーカートリッジ交換スイッチ44が付加されている。本実施の形態においては、トナーカートリッジ交換スイッチ44は例えばトナーカートリッジ311交換時にトナー供給装置31の開閉蓋を開けると、オンからオフになるものであり、これにより、トナーカートリッジ311が交換されるであろうことを検知するもので、この検知タイミングにて、濃度変化量算出部52の変化量を0クリアする。
【0059】
本実施の形態において、濃度変化量算出部52及び空トナー判別部53を構成する制御装置(図3参照)のトナー空検知シーケンスを図21に示す。
同図において、トナーカートリッジ311を交換しようとすると、トナーカートリッジ交換スイッチ44がオンからオフに変化し、この時点で、変化量2が0クリアされる。
この後、新しいトナーカートリッジ311が装着されると、実施の形態9と略同様なトナー空検知サイクルが行なわれる。ただし、本実施の形態においては、変化量1<0のとき、濃度が増加傾向にあるものとしてマイナスの係数c(c<0)が変化量2に積算され、濃度増加傾向時の変化量をリセットする方式は採用されていない。
【0060】
従って、本実施の形態によれば、トナーカートリッジ311の空トナー状態が検知された時点で、トナーカートリッジ311の交換が行なわれると、変化量が自動的にリセットされる。
【0061】
◎実施の形態11
本実施の形態に係るトナー空検知装置の基本的構成は、図22に示すように、実施の形態1と略同様であるが、サンプリング制御部58を付加したものである。
ここで、サンプリング制御部58は、トナー濃度制御サイクル及びトナー空検知サイクルにおける濃度検出タイミングを制御するものである。
【0062】
一般に、トナー補給しても、トナー搬送経路が長いために、一定枚数のコピーをとらないと補給トナーが現像装置に届かない。このため、図23に示すように、トナー補給してすぐにパッチ画像濃度を測定しても、真の値が検出されない。
そこで、本実施の形態にあっては、サンプリング制御部58は、トナー供給制御部51のトナー濃度制御(ADC)サイクルでは、図23に☆印で示すように、トナー補給してから一定コピー枚数とった後(本実施の形態では10コピー毎)に濃度検出するようにした。
更に、サンプリング制御部58は、濃度変化量算出部52のトナー空検知サイクルでは、図24(A)に示すように、前記トナー濃度制御サイクルと同じ周期で濃度検出するか、あるいは、図24(B)に示すように、トナー濃度制御サイクルの濃度検出周期の整数倍で濃度検出するようにした。
これにより、トナー濃度制御サイクル及びトナー空検知サイクルで、トナー補給に伴う濃度変動が影響する事態は回避される。
なお、図24(C)に示すように、トナー空検知サイクルにおいて、トナー濃度制御サイクルの濃度検出周期よりも短い周期で濃度検出するようにした場合には、トナー補給に伴う濃度変動がそのままトナー空検知サイクルに影響してしまうため、好ましくない。
【0063】
◎実施の形態12
本実施の形態に係るトナー空検知装置の基本的構成は、図25に示すように、トナー供給制御部51、濃度変化量算出部52及び空トナー判別部53を備えている。
更に、本実施の形態において、前記濃度変化量算出部52は濃度検出値に対応した係数が積算される係数積算方式(例えば実施の形態9の方式)を採用したものであり、この濃度変化量算出部52には濃度増加傾向判別部57が付加されている。
ここで、前記濃度増加傾向判別部57は濃度変化量算出部52で算出された変化量の増加傾向を判別し、濃度変化量算出部52にリセット信号(RS信号)を送出するようにしたものである。
【0064】
また、本実施の形態においては、トナー供給装置31にはトナーカートリッジ311の着脱状態を検知するトナーカートリッジ交換スイッチ44が付加されている。このトナーカートリッジ交換スイッチ44は例えばトナーカートリッジ311交換時にトナー供給装置31の開閉蓋を開けると、オンからオフになるものであり、これにより、トナーカートリッジ311が交換されるであろうことを検知するもので、この検知タイミングにて、濃度変化量算出部52の変化量を0クリアする。
【0065】
更に、本実施の形態において、前記空トナー判別部53は、空トナー予告判別部71と、空トナー最終判別部72とに機能分離されている。
ここで、空トナー予告判別部71は、算出された変化量が空トナー状態の手前のレベルに対応した基準値1を超えた条件下で空トナー状態に近いニアエンプティ(NEAR EMPTY)であると判別するものであり、空トナー最終判別部72は、算出された変化量が空トナー状態のレベルに対応した基準値3を超えた条件下で空トナー状態(EMPTY)であると判別するのである。
【0066】
更にまた、前記空トナー最終判別部72には故障判断部73が付設されており、この故障判断部73は空トナー状態のトナーカートリッジ311が誤って再セットされた状況を装置故障として判断するものである。
そして、マシン作動禁止制御部74は前記故障判断部73からの装置故障判断信号を受け取ると、直ちにマシンを停止させるものである。
【0067】
本実施の形態において、濃度変化量算出部52、空トナー判別部53(空トナー予告判別部71,空トナー最終判別部72)、濃度増加傾向判別部57、故障判断部73、マシン作動禁止制御部74を構成する制御装置(図3参照)のトナー空検知シーケンスを図26、図27に示す。
同図において、パッチ画像濃度が検出されると、濃度検出値の係数積算方式により変化量が算出される。
そして、先ず、変化量<0か否かの判別が行われ、変化量<0(濃度が増加傾向にある(濃くなった))であれば、変化量=0にクリアすると共に、K=0,J=0に設定する。
一方、変化量≧0であれば、先ずトナーカートリッジが交換されたか否かがトナーカートリッジ交換スイッチ44の信号により判別され、交換されたのであれば、変化量=0クリアし、そうでなければ、次のステップへ移行する。
【0068】
この後、Kが所定値3未満か否かが判別され、K<所定値3であれば、変化量≧所定値1(図25の基準値1に相当)か否か、更に、変化量≧所定値2(図25の基準値2に相当)か否かが判別される。
このとき、所定値1≦変化量<所定値2であれば、空トナー表示装置32に例えば図28(A)に示すように、トナーカートリッジが”ニアエンプティ(NEAR EMPTY)状態”であることが表示され、Kがカウントアップされる。
また、変化量≧所定値2であれば、空トナー表示装置32に例えば図28(B)に示すように、トナーカートリッジが”トナーエンプティ(EMPTY)状態”であることが表示され、Jがカウントアップされる。
また、変化量<所定値1であれば、次のステップへ移行する。
【0069】
逆に、K≧所定値3であれば、空トナー表示装置32に例えば図28(B)に示すように、トナーカートリッジが”トナーエンプティ(EMPTY)状態”であることが表示され、Jがカウントアップされる。
【0070】
この後、Jが所定値4を超えたか否かが判別され、J>所定値4であれば、故障と判断され、空トナー表示装置32に例えば図28(C)に示すように、CALL FOR SERVICEが表示された後、マシンが停止せしめられる。
【0071】
従って、本実施の形態によれば、実施の形態9,10と略同様な作用を奏するほか、図29に示すように、トナーカートリッジ311内のトナー残量が”通常(トナーあり)状態”か、”NEAR EMPTY状態”か、”EMPTY状態”であるかが明確に判別され、オペレータは”NEAR EMPTY状態”表示を見て”EMPTY状態”が近いことを把握し、トナーカートリッジの交換時期を容易に予測することが可能である。
【0072】
また、本実施の形態においては、トナーカートリッジが”NEAR EMPTY状態”であると判別される毎にKがカウントアップされ、K>所定値3を超えた時点で、トナーカートリッジが”EMPTY状態”であることが判別されるようになっているので、例えばトナーエンプティと予告されたトナーカートリッジをリセット後に誤って再セットしたとしても、トナー空検知を確実に行うことが可能である。
【0073】
更に、本実施の形態にあっては、トナーカートリッジが”EMPTY状態”であると判別される毎にJがカウントアップされ、J>所定値4を超えた時点で、装置が故障と判断され、マシンが停止せしめられるようになっているので、例えばトナー空検知されたトナーカートリッジをリセット後に誤って再セットしたとしても、マシンそのものが作動しないことになり、トナーカートリッジのセットミスであることが容易に把握される。
【0074】
◎実施の形態13
本実施の形態に係るトナー空検知装置の基本的構成は、図30に示すように、実施の形態1と同様な構成要素に加えて、画像形成条件制御部75を付加したものである。
ここで、画像形成条件制御部75は、パッチ濃度センサ41からのパッチ画像濃度検出値に基づいて画像形成条件、例えば画像信号を制御し、特にトナー空検知直前の濃度低下に起因する画質低下を回避するようにしたものである。
【0075】
本実施の形態において、画像形成条件制御部75は、パッチ画像濃度検出値に応じて階調再現特性(TRC:Tone Reproduction Curveの略)コントローラ76(図30中ではTRCと表示)の図31に示すようなテーブル1〜テーブル13(本実施の形態では例えば50%の濃度が0.05ずつ変化する13個のテーブル)のいずれかを選択し、その選択したテーブルによって入力された画像信号(補正前画像信号に相当)を補正後画像信号に変換し、光書き込み装置23へ送出する。
従って、本実施の形態において、パッチ画像濃度検出値が画質を維持する程度を超えて低下し始めた条件下において、TRCコントローラ76を制御するようにすれば、トナー空検知直前の濃度低下に起因する画質低下は有効に回避される。
なお、TRC制御をトナー空検知直前以外の通常時において行ってもよいことは勿論である。
【0076】
また、本実施の形態にあっては、画像形成条件として画像信号を制御するようにしたが、これに限られるものではなく、例えば現像バイアスVbias77を制御するようにしてもよく、要するに、帯電、露光、現像バイアス、画像信号のうち少なくとも一つ以上を制御するようにすればよい。
【0077】
◎実施の形態14
本実施の形態に係るトナー空検知装置は、図32に示すように、ロータリ式現像装置24に対して使用したものであり、ロータリ式現像装置24はイエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の現像ユニット24a〜24dを具備している。
そして、トナー供給装置31は各現像ユニット24a〜24dに対応したトナーカートリッジを有し、トナー供給制御部51はパッチ濃度センサ41にて各色のトナーパッチ画像の濃度検出値(図5参照)に基づいてトナー供給制御を行うものである。
また、濃度変化量算出部52も各色のトナーパッチ画像の濃度検出値に基づいて変化量を算出し、空トナー判別部53は各色トナーの変化量に基づいて各色トナーの空検知を判別するようになっている。
【0078】
更に、本実施の形態においては、空トナー判別部53にはフルカラーモードか白黒モードかを判別する使用モード判別部78が付設され、この使用モード判別部78には一定の条件下でマシンを停止させるマシン作動禁止制御部79が付設されている。
【0079】
本実施の形態において、濃度変化量算出部52、空トナー判別部53、使用モード判別部78及びマシン作動禁止制御部79を構成する制御装置のトナー空検知シーケンスを図33に示す。
同図において、使用色トナー(Y,M,C,K)の空検知サイクルが実行される。
このとき、ブラック(K)用トナーカートリッジがトナーエンプティであると判別されると、直ちにマシンを停止させる。これは、ブラックトナーが使用できないと、フルカラーコピーの画質にも影響してしまう事に起因する。
一方、ブラック用以外のカラー(Y,M,C)用トナーカートリッジがトナーエンプティであると判別されると、フルカラーモードだけを使用禁止とし、白黒モードについては使用可能とした。
【0080】
これにより、カラートナーの一部がトナーエンプティになったとしても、白黒コピーマシンとしては使用可能な状態に保つことができ、その分、トナー空検知されたトナーカートリッジを交換しない限りマシンの作動を全面的に禁止するタイプに比べて、マシンの使い勝手がよくなる。
【0081】
【発明の効果】
以上説明してきたように、この発明によれば、トナー像に対する検出濃度の経時的変化のうち新たに検出された濃度情報と以前に検出された濃度情報とに基づく相対変化量を算出し、この相対変化量が予め設定された基準に比べて減少傾向に至った条件にてトナーの空検知を行なうようにしたので、空トナー状態に至るトナー濃度の減少傾向を的確に捉えることが可能になり、トナー像の絶対濃度が基準レベル以下に低下した条件下でトナーの空検知を行なう先行技術方式に比べて、濃度低下が少なく、空トナー状態の直前まで正常な画質を維持しながら、空トナー状態を正確に検知することができる。
特に、この発明では、空トナー検知手段は、トナー貯蔵手段が空であることを判別する前に前記相対変化量に基づいてトナー貯蔵手段が空になることを予告する予告手段を備えているため、トナー貯蔵手段が空になるタイミングを事前に把握することができる。
【0082】
また、本発明において、移動平均を用いて相対変化量を求めるようにすれば、外乱による濃度変動の影響を抑え、トナー空検知に対する誤動作を有効に防止することができる。
【0083】
更に、本発明において、前回求めた濃度と新たに求めた濃度とに基づいて演算を行ない、演算結果に応じて所定の係数を積算して相対変化量を算出するようにすれば、外乱による濃度変動の影響を抑え、トナー空検知に対する誤動作を有効に防止することができるほか、前記係数に対する重み付けを的確に行なうことにより、原稿像密度が違う原稿でも一定の濃度低下に抑えることが可能である。
【0084】
更にまた、本発明において、前回求めた濃度と新たに求めた濃度とに基づいて演算を行ない、演算結果に応じて所定の係数を積算して相対変化量を算出する方式に対し、新たに求めた濃度が所定値以下の場合には、所定の係数と異なる第二の係数を積算するという変化量補正を行なうようにすれば、装置異常時における予測していない濃度の推移に対して対応でき、異常な濃度の低下を防止することができる。
【0085】
また、本発明において、新たに求めた濃度が所定値(定常状態における濃度変動範囲の下限値)以上の条件下で相対変化量を求めないようにすれば、定常状態における濃度変動の影響を抑えることができる。
【0086】
また、本発明において、環境変化検出手段にて検出された環境変化に応じて濃度の相対変化量を制御するようにすれば、環境変化に伴う濃度変化による影響を有効に抑えることができる。
【0087】
更に、本発明において、濃度の増加傾向を判別し、相対変化量をリセットするようにすれば、トナー補給に伴うトナー空検知のリセットを自動的に行なうことができる。
【0088】
また、本発明において、変化量算出手段の濃度検出周期をトナー補給制御手段の濃度検出周期の整数倍にするようにすれば、トナー貯蔵手段から補給されるトナーによる濃度の過渡変動の影響を有効に抑えることができる。
【0089】
また、本発明において、空トナーの予告手段と予告回数の計数手段とを設け、予告回数が所定回数に達した条件下で空トナー状態と検知するようにすれば、空トナー予告されたトナー貯蔵手段を誤って再セットしたとしても、確実に空トナー検知を行なうことができる。
【0090】
また、本発明において、空トナー状態が計数される空検知計数手段を設け、空トナー状態の検知回数が所定回数に達した条件下で装置の故障と判断するようにすれば、空トナー検知されたトナー貯蔵手段を誤って再セットしたとしても、そのセット操作の誤りを早急に警告することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る現像装置におけるトナー空検知装置の構成を示す説明図である。
【図2】 実施の形態1に係る現像装置におけるトナー空検知装置の構成を示す説明図である。
【図3】 実施の形態1で用いられるトナー空検知装置の制御系の詳細を示す説明図である。
【図4】 実施の形態1で用いられるトナー空検知シーケンスを示すフローチャートである。
【図5】 パッチ画像濃度と濃度センサ検出値との関係を示すグラフ図である。
【図6】 パッチ画像の濃度検出タイミングを示すグラフ図である。
【図7】 実施の形態2で用いられるトナー空検知シーケンスを示すフローチャートである。
【図8】 実施の形態3で用いられるトナー空検知シーケンスを示すフローチャートである。
【図9】 実施の形態4で用いられるトナー空検知シーケンスを示すフローチャートである。
【図10】 実施の形態5で用いられるトナー空検知シーケンスを示すフローチャートである。
【図11】 (A)〜(C)は実施の形態5における平均的傾きの各パターンを示すグラフ図である。
【図12】 実施の形態6に係る現像装置におけるトナー空検知装置の構成を示す説明図である。
【図13】 実施の形態6で用いられるトナー空検知シーケンスを示すフローチャートである。
【図14】 実施の形態7に係る現像装置におけるトナー空検知装置の構成を示す説明図である。
【図15】 実施の形態7で用いられるトナー空検知シーケンスを示すフローチャートである。
【図16】 実施の形態8に係る現像装置におけるトナー空検知装置の構成を示す説明図である。
【図17】 実施の形態8で用いられるトナー空検知シーケンスを示すフローチャートである。
【図18】 実施の形態9に係る現像装置におけるトナー空検知装置の構成を示す説明図である。
【図19】 実施の形態9で用いられるトナー空検知シーケンスを示すフローチャートである。
【図20】 実施の形態10に係る現像装置におけるトナー空検知装置の構成を示す説明図である。
【図21】 実施の形態10で用いられるトナー空検知シーケンスを示すフローチャートである。
【図22】 実施の形態11に係る現像装置におけるトナー空検知装置の構成を示す説明図である。
【図23】 コピー枚数とパッチ画像濃度との関係を示すグラフ図である。
【図24】 (A)(B)はトナー濃度制御サイクルとトナー空検知サイクルとの好ましい実行タイミングを示す説明図、(C)はトナー濃度制御サイクルとトナー空検知サイクルとの好ましくない実行タイミングを示す説明図である。
【図25】 実施の形態12に係る現像装置におけるトナー空検知装置の構成を示す説明図である。
【図26】 実施の形態12で用いられるトナー空検知シーケンスを示すフローチャートである。
【図27】 実施の形態12で用いられるトナー空検知シーケンスを示すフローチャートである。
【図28】 (A)〜(C)は実施の形態12で用いられるトナー空検知シーケンスの空トナー表示装置への表示例を示す説明図である。
【図29】 実施の形態12で用いられるトナー空検知シーケンスの移行状態を示す説明図である。
【図30】 実施の形態13に係る現像装置におけるトナー空検知装置の構成を示す説明図である。
【図31】 実施の形態13で用いられるトナー空検知シーケンスを示すフローチャートである。
【図32】 実施の形態14に係る現像装置におけるトナー空検知装置の構成を示す説明図である。
【図33】 実施の形態14で用いられるトナー空検知シーケンスを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…潜像担持体,2…トナー貯蔵手段,3…濃度検出手段,4…変化量算出手段,5…空トナー判別手段,6…環境変化検出手段,7…増加傾向判別手段,8…予告手段,9…予告計数手段,10…空検知計数手段,11…故障判断手段
Claims (10)
- 補給用トナーが貯蔵されるトナー貯蔵手段(2)を付設し、潜像担持体(1)上に形成されるトナー像に対応する濃度を濃度検出手段(3)にて検出すると共に、前記濃度検出手段(3)にて検出されたトナー像に対応する濃度が目標値未満に低下した条件下で前記トナー貯蔵手段(2)内のトナーを順次補給しながら潜像担持体(1)上の静電潜像を可視像化する現像装置において、
前記濃度検出手段(3)にて検出された濃度の経時的変化のうち新たに検出された濃度情報と以前に検出された濃度情報とに基づく相対変化量を算出する変化量算出手段(4)と、
この変化量算出手段(4)にて算出された相対変化量が予め設定された基準に比べて減少傾向に至った条件にてトナー貯蔵手段(2)が空であることを判別する空トナー判別手段(5)とを備え、
この空トナー判別手段(5)は、トナー貯蔵手段(2)が空であることを判別する前に前記変化量算出手段(4)にて算出された相対変化量に基づいてトナー貯蔵手段(2)が空になることを予告する予告手段(8)を備えていることを特徴とする現像装置におけるトナー空検知装置。 - 請求項1記載のものにおいて、変化量算出手段(4)は、新たに検出した濃度情報と以前に検出した濃度情報とを移動平均し、この濃度の移動平均値と前回の検出時に求めた濃度の移動平均値とに基づいて相対変化量を算出するようにしたことを特徴とする現像装置におけるトナー空検知装置。
- 請求項1記載のものにおいて、変化量算出手段(4)は、新たに検出した濃度情報と以前に検出した濃度情報とに基づいて演算を行ない、演算結果に応じた所定の係数を積算することにより相対変化量を算出するようにしたことを特徴とする現像装置におけるトナー空検知装置。
- 請求項3記載のものにおいて、変化量算出手段(4)は、新たに検出した濃度情報が所定値以下である条件下で、所定の係数と異なる第二の係数を積算することを特徴とする現像装置におけるトナー空検知装置。
- 請求項1記載のものにおいて、変化量算出手段(4)は、新たに検出した濃度情報が所定値以上である条件下で、相対変化量の算出動作を禁止するものであることを特徴とする現像装置におけるトナー空検知装置。
- 請求項1記載のものにおいて、装置の環境変化が検出される環境変化検出手段(6)を設け、変化量算出手段(4)は環境変化検出手段(6)で検出された環境変化を考慮して濃度の相対変化量を算出することを特徴とする現像装置におけるトナー空検知装置。
- 請求項1記載のものにおいて、変化量算出手段(4)は、新たに検出した濃度情報と以前に検出した濃度情報とに基づいて濃度の増加傾向が判別される増加傾向判別手段(7)を備え、この増加傾向判別手段(7)にて増加傾向を判別した条件下で、相対変化量をリセットすることを特徴とする現像装置におけるトナー空検知装置。
- 請求項1記載のものにおいて、変化量算出手段(4)の濃度検出周期は、トナー補給制御手段の濃度検出周期の整数倍であることを特徴とする現像装置におけるトナー空検知装置。
- 請求項1記載のものにおいて、空トナー判別手段(5)は、トナー貯蔵手段(2)が空になることを予告する予告手段(8)と、この予告手段(8)による空トナー発生の予告回数を計数する予告計数手段(9)とを設け、空トナー発生の予告が所定回数に達した条件下で、トナー貯蔵手段(2)が空になったことを判別することを特徴とする現像装置におけるトナー空検知装置。
- 請求項1記載のものにおいて、空トナー判別手段(5)は、トナー貯蔵手段(2)が空であると判別した回数を計数する空検知計数手段(10)と、この空検知計数手段(10)の計数値が所定値に達した条件下で装置の故障と判断する故障判断手段(11)とを備えていることを特徴とする現像装置におけるトナー空検知装置。
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