JP4263163B2 - ガスハイドレートペレット貯蔵装置とその貯蔵方法 - Google Patents

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Description

本願発明は、天然ガス等のガスハイドレートをペレット化したガスハイドレートペレットを貯蔵するガスハイドレートペレット貯蔵装置と、その貯蔵方法に関する。
従来より、天然ガスを例にすると、天然ガス田(天然ガス採掘地)のある産出地から消費地まで輸送する場合、輸送距離が短い場合にはパイプライン輸送され、輸送距離が長い場合には天然ガスを超低温(マイナス162℃)のLNG(Liquefied Natural Gas:液化天然ガス)として、LNG船にて輸送する方法が一般的に行われている。
しかし、天然ガスを超低温のLNGとして運ぶ場合には、その液化設備、輸送設備、再ガス化設備に大規模な初期投資を必要とすることから、現在では非常に大規模な天然ガス田のみしか開発対象とされていないので、世界中に非常に多くの中小規模天然ガス田が未開発の状態で残っている。
一方、近年、天然ガス等のガスハイドレート(以下の説明では、天然ガスハイドレート(Natural Gas Hydrate:「NGH」という。)の自己保存効果が公表され、この自己保存効果により、天然ガスをNGHとして輸送・貯蔵する技術が、LNGでは設備採算的に開発が難しいとされている中小規模天然ガス田を開発できる可能性がある技術として注目されている。
このNGHは、水の分子の作るカゴの中にガスの分子が一つずつ収まっている結晶構造を持っており、例えば、純粋なメタンハイドレートでは、水分子のカゴの中に入るガス分子の占有率を考慮すると、通常、固体のメタンハイドレート1m3 中の成分は、メタンガス約150m3 と水0.79m3 といわれている。また、このNGHが大気圧下で安定化するのはマイナス80℃といわれている。
また、LNGの1m3 は約600m3 に相当する天然ガスを包含するが、NGHの場合は固体であるためその貨物充填率によって異なるがNGH貨物1m3 でLNGの1/4〜1/6に相当する天然ガスを包含しており、比重は、LNGの0.42〜0.47程度に対して、NGHの見掛け比重は0.62〜0.90程度(空隙率30%〜0%に相当する値)である。
このようなNGHの自己保存効果とは、このNGHがマイナス80℃よりも高い温度となって溶けたとしても、そのNGHが溶けてできた表面の水が凍結して氷となってNGHを断熱保護する現象であるといわれており、NGHの状態図によれば、この自己保存効果によって、常圧下の氷点下温度、例えば約マイナス20℃でもNGHの分解・解離が抑制される、というものである。
そのため、NGHの場合にはLNGのような超低温の設備を必要としないので、設備面で大幅なコスト削減が可能となり、前記したように中小規模天然ガス田を開発できる可能性がある技術として、近年、注目されている。
この種の従来技術として、天然ガスをペレット化して輸送する船舶の貯蔵タンクを、船体構造とその内側に設けた防熱材とタンク本体とその内側に設けた冷媒管と冷媒管プロテクタとを設けた構造とし、この貯蔵タンクを独立タンクとするとともに、タンク本体の内壁全面に設けた冷媒管プロテクタの内側に張り巡らした冷媒管によって冷却するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
また、他の従来技術として、NGH等を貯蔵する貨物倉の保冷装置として、タンク本体とタンク本体の外側に設けた防熱材との間に空間スペースを設け、この空間スペースを気体冷却して独立タンクの外側全面を冷却するものがある(例えば、特許文献2参照。)。
特開2003−65496号公報(第4頁、図4) 特開2003−285794号公報(第4頁、図2)
ところで、NGHはガスと水が作る水和物であり、水分子が作るカゴの中にガス分子が閉じ込められたもので、NGH重量の約88%は水分の重量である。このNGHは、外見上は氷のようなものであり、分解するとガスが発生すると共に水あるいは氷ができることになる。この状態変化時の潜熱は下記と言われている。
・NGHが氷とガスに分解する場合、36.2kcal/kgf
・NGHが水とガスに分解する場合、108.4kcal/kgf
このNGHが分解してガスが発生するのは吸熱反応によって生じる。
しかし、NGHの自己保存効果が安定的に確保できる温度は約マイナス20℃以下であるため、この温度状態で保持されたNGHが分解すると、氷とガスとになる状態変化が起こることになる。しかも、前記したようにNGHは少しの外部進入熱によって氷とガスに分解されるので、安定した保存状態のNGHに対して外部進入熱があると多くのNGHが分解され、ガスの発生と共に大量の氷が発生することになる。
また、前述したLNGの場合には外部進入熱によってガスに状態変化しても設備の燃料源として使用することができるが、NGHの場合には外部進入熱によってガスと氷となるので、ガスを燃料源として使用したとしても氷が貯蔵タンク内に残り、その後のNGHのハンドリングに悪影響を及ぼす場合がある。
そのため、NGHの貯蔵タンクの場合には、可能な限り外部からの進入熱を防止して、氷が発生しないようにする必要がある。
一方、図7のガスハイドレートペレットを貯蔵する例を示す模式図のように、天然ガス田100のある生産地に設けられたNGH製造設備101を積荷地とし、その天然ガスの消費地に設けられた再ガス化設備102を揚荷地とした場合、例えば、積荷地におけるNGH製造設備101のNGH製造装置103で製造したNGHペレットを貯蔵するNGH貯蔵タンク104や、NGH輸送船105のNGH貯蔵タンク106、また、揚荷地における再ガス化設備102のNGH貯蔵タンク107等、積荷地と揚荷地とそれらの間の輸送中においてNGHを安定した状態で貯蔵する必要があり、これらの貯蔵タンクにおいてNGHペレットを安定した状態で貯蔵できるようにする必要がある。
しかも、NGH貨物1m3 当りの天然ガス包含量はその貨物充填率にもよるが前述のようにLNGの1/4〜1/6倍程度となるため、LNGと同程度に相当する天然ガスをNGH化して貯蔵しようとすれば、NGH貯蔵タンクはLNG貯蔵タンクよりも必然的に大きな容積が必要となるが、NGH貯蔵タンクはできるだけコンパクトなタンクが好ましい。特に、NGHを船舶輸送する場合には、船体の大きさ制限等から貯蔵タンクの大きさが制限されるので、安定して外部進入熱を防止できるコンパクトな貯蔵タンクが好ましい。
なお、前記特許文献1の場合、タンク内壁全面に渡って、冷媒管及び冷媒管のプロテクタを張り巡らす必要があるとともに、貯蔵タンク設備を船体構造と防熱材とタンク本体と冷媒管とプロテクタ設備とで構成した5重構造と大掛かりなものとなり、多くの費用と労力を要する。
また、前記特許文献2の場合、タンク本体と防熱材との間に空間スペースを必要とするので、タンク容積を大きくしたい場合には必然的に全体が大きくなって多くの製作費用を要する。
そこで、本願発明は、NGHペレットを安定した状態で貯蔵できるコンパクトな貯蔵装置とその貯蔵方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本願発明のガスハイドレートペレット貯蔵装置は、タンク本体の内面に防水性を備えた防熱層を形成し、該タンク本体の上部に該タンク本体内に貯蔵したガスハイドレートペレットを安定した状態に保つ温度の冷却液体を供給する液供給ラインを設け、該タンク本体の下部に前記液供給ラインから供給してガスハイドレートペレットを対流冷却した冷却液体を排出する液排出ラインを設け、該液排出ラインを、タンク本体下面側に網目状膜を設けた液体戻り入口管と、該液体戻り入口管に入った冷却液体が上昇する上端がタンク内に開放した戻り立上り管と、該戻り立上り管の前記タンク本体に供給する冷却液体の液面よりも低い所定位置から該戻り立上り管内の冷却液体を排出する戻りオーバーフロー管とで構成している。これにより、貯蔵したガスハイドレートペレット間の空隙を流れる冷却液体の対流冷却によってガスハイドレートペレットを冷却することができ、貯蔵タンク内でガスハイドレートペレットを安定した状態で貯蔵することができる。しかも、タンク本体内に所定量の冷却液体を残しながらタンク本体下部から冷却液体を排出することができる。
また、タンク本体の底面を構造体と所定の空間を設けて支持し、該タンク本体の底面を除く内面に防水性を備えた防熱層を形成し、該タンク本体を支持する構造体の内面に防熱材を設け、前記タンク本体の上部に該タンク本体内に貯蔵したガスハイドレートペレットを安定した状態に保つ温度の冷却液体を供給する液供給ラインを設けるとともに、該タンク本体の下部に前記液供給ラインから供給してガスハイドレートペレットを対流冷却した冷却液体を排出する液排出ラインを設け、前記タンク本体の底面と構造体との間の空間に冷却気体を供給する気体冷却ラインを設けてもよい。この明細書及び特許請求の範囲の書類中で「冷却気体」とは、NGHペレット1を安定した状態で貯蔵できる温度に冷却された気体であり、安定した状態が崩れると可燃性ガスを生じるNGHペレットの場合には不活性ガスを用いるのが好ましい。
さらに、このガスハイドレートペレット貯蔵装置において、前記液排出ラインを、タンク本体下面側に網目状膜を設けた液体戻り入口管と、該液体戻り入口管に入った冷却液体が上昇する上端がタンク内に開放した戻り立上り管と、該戻り立上り管の前記タンク本体に供給する冷却液体の液面よりも低い所定位置から該戻り立上り管内の冷却液体を排出する戻りオーバーフロー管とで構成すれば、タンク本体内に所定量の冷却液体を残しながらタンク本体下部から冷却液体を排出することができる。
また、これらのガスハイドレートペレット貯蔵装置において、前記戻りオーバーフロー管を設ける所定位置を、該戻りオーバーフロー管の位置における冷却液体にタンク本体内の冷却液体液面差から冷却液体に応じた液圧が作用する位置に設定すれば、冷却液体の性状(密度、比重、粘性等)に応じてタンク本体内から安定した冷却液体の排出ができる。
さらに、これらのいずれかのガスハイドレートペレット貯蔵装置において、前記タンク本体に供給する液体を貯蔵する液体タンクと、該液体タンク内の液体を供給するポンプと、該供給する液体をNGHペレットを安定して貯蔵できる温度に冷却する冷却器とを設け、該冷却器で冷却した冷却液体を前記タンク本体に供給するとともに、該タンク本体から排出された冷却液体を前記液体タンクに戻して冷却液体を循環させるように構成すれば、冷却液体を効率良く冷却して循環利用することができる。
一方、本願発明のガスハイドレートペレット貯蔵方法は、底面と構造体との間に空間を設けて支持したタンク本体の底面を除く周囲を防熱して該タンク本体内にガスハイドレートペレットを貯蔵し、該貯蔵したガスハイドレートペレットを安定した状態に保つ温度の冷却液体をタンク本体の上部から供給し、該タンク本体内に供給した冷却液体でタンク本体内のガスハイドレートペレットに浮力を生じさせるとともに、該タンク本体の下部から冷却液体を排出することにより冷却液体の対流冷却でガスハイドレートペレットを冷却し、前記タンク本体の底面と構造体との間の空間に冷却気体を供給してタンク下面を冷却するようにしている
また、他の方法として、前記タンク本体の下部から排出した冷却液体を貯蔵し、該貯蔵した冷却液体をガスハイドレートペレットを安定した状態に保つ温度に冷却してタンク本体の上部から供給することにより冷却液体を循環させてもよい。
本願発明は、以上説明したような手段により、貯蔵タンクをコンパクトに構成できるとともに、ガスハイドレートペレットを貯蔵タンク内で安定した状態で貯蔵することが可能となる。
以下、本願発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態は、全て前述した図7に示す積荷地におけるNGH製造設備101のNGH貯蔵タンク104、NGH輸送船105のNGH貯蔵タンク106、及び揚荷地における再ガス化設備102のNGH貯蔵タンク107等に適用可能である。
図1は本願発明の第1実施形態に係るガスハイドレートペレット貯蔵装置を示す構成図であり、図2は図1に示すII−II断面図、図3は図1に示すガスハイドレート貯蔵タンクの壁部拡大断面図である。
図1,2に示すように、この実施形態では、ペレット化したNGHペレット1を貯蔵するためのNGH貯蔵タンク2が2基設けられており、構造体3の内部に固定されている。このNGH貯蔵タンク2に貯蔵されるNGHペレット1としては、例えば、5〜50mm程度の粒径に形成されたものが貯蔵される。
図3に示すように、このNGH貯蔵タンク2は、外側のタンク本体4と、その内側に設けられた防熱材5と、この防熱材5の内側に設けられた防水性を備えた膜体6とからなる3重構造で形成されている。この膜体6によって防熱材5の内側に防水性を持たせている。この実施形態では、防熱層が、防熱材5と、この防熱材5の内面に設けた防水性を備えた膜体6とから構成されている。この防熱層は、他の構成によって形成してもよい。
タンク本体4は、鋼材によって形成された容器であり、防熱材5は、グラスウールやロックウール、ポリウレタン等の樹脂で形成されたもの等が用いられる。また、膜体6としては、NGHペレット1を安定した状態で貯蔵できる温度で防水性を備えている材料が用いられ、例えば、プラスチック材や薄板の鋼材等が用いられる。この実施形態では、この膜体6によって防熱材5の内側に防水性を具備させている。これらは使用条件等に応じて適宜選択すればよい。
図1,2に示すように、NGH貯蔵タンク2は、底面が図1に示すように中央部に向けて傾斜して形成されている。このNGH貯蔵タンク2の底板7と構造体3の底板8との間は、所定の空間Sを設けて複数の支持部材9により連結されている。また、図では省略しているが、NGH貯蔵タンク2の底板7の下面中央部には、貯蔵されたNGHペレット1を排出するためのNGH輸送配管が設けられている。図2に示すように、このNGH輸送配管33は構造体3とNGH貯蔵タンク2との間の空間Sを通っている。
このNGH貯蔵タンク2の上部には、NGHペレット1を安定した状態で貯蔵できる温度(例えば、マイナス20℃)よりも低い温度に冷却された冷却液体10を供給するスプレーライン11が設けられている。このスプレーライン11が、液供給ラインである。このスプレーライン11には、NGH貯蔵タンク2内の全体に冷却液体10を散布するように複数のスプレーノズル12が設けられており、これらのスプレーノズル12によって冷却液体10がタンク内のNGHペレット1にほぼ均等に散布される。
一方、このスプレーノズル12からNGH貯蔵タンク2内に散布する冷却液体10を貯蔵する液体タンク13が設けられている。この液体タンク13と前記スプレーノズル12とは、前記スプレーライン11によって連結されている。このスプレーライン11には、液体タンク13に貯蔵された冷却液体10をNGH貯蔵タンク2に供給するスプレーポンプ14と、このスプレーポンプ14によって吐出する冷却液体10をNGHを安定した状態に保つ温度に冷却する冷却器15とが設けられている。
この冷却液体10としては、マイナス20℃前後で液体の状態を保つ、ナフサや航空機用ケロシン、灯油等が好ましく、軽油やジメチルエーテル等も用いることができる。しかも、これらの冷却液体10は、NGHペレット1をスラリー化して移送するスラリー媒体として用いることができるので、このスラリー媒体を冷却液体10として利用することにより、例えば、図7に示すようにNGH輸送船105で輸送する場合、積荷地でスラリー化したNGHペレット1をNGH貯蔵タンク2へ積込んだ後にそのスラリー媒体を循環させて冷却し、揚荷地で循環させているスラリー媒体を利用してNGHペレット1をスラリー化して荷揚げすることができ、NGHペレット1の移送に要する媒体を有効利用してNGHペレット1を安定した状態に保つことができる。
また、NGH貯蔵タンク2の下部には、NGH貯蔵タンク2内の冷却液体10を排出する液体戻り管16が設けられている。この液体戻り管16は、図3に示すように、下面に網目状膜17が設けられた液体戻り入口管18と、この液体戻り入口管18に入った冷却液体10が上昇する戻り立上り管19とで構成されている。戻り立上り管19は、タンク2の外部に設けてもよい。
この液体戻り入口管18は、図1,2に示すように、この実施形態では環状に形成してタンク内の全周から冷却液体10が入るようにしているが、この液体戻り入口管18は複数の戻り立上り管19を連結したものや1本毎の戻り立上り管19に対応して設けたものであってもよく、この実施形態に限定されるものではない。
図3に示すように、前記戻り立上り管19は上端がタンク内に開放しており、所定位置に戻りオーバーフロー管20が設けられている。この戻りオーバーフロー管20を設ける所定位置としては、NGH貯蔵タンク2内に貯蔵したNGHペレット1のほぼ上端まで供給される冷却液体10の液面差によって作用する液圧(ヘッド圧)により、戻り立上り管16内を上昇してきた冷却液体10が戻りオーバーフロー管20に排出されるような高さhに設定される。この高さhとしては、冷却液体10の性状等に応じて設定され、この液圧を作用させることにより、NGH貯蔵タンク2内に貯蔵したNGHペレット1に所定の浮力を作用させながら、NGH貯蔵タンク2から一定量の冷却液体10を排出するための動力を不要とすることができる。
さらに、図1,2に示すように、この戻りオーバーフロー管20から排出された冷却液体10を前記液体タンク13に戻す戻り傾斜管21が設けられており、この戻り傾斜管21に流れ出た冷却液体10が液体タンク13に戻される。これら戻り傾斜管21とオーバーフロー管20と前記液体戻り管16とによって液排出ラインが形成されている。
なお、図1に示すように、NGH貯蔵タンク2と液体タンク13との配置関係によって戻り傾斜管21の傾斜角度αを十分に確保できない場合には、図の下側に二点鎖線で囲んだように、戻り傾斜管21に十分な傾斜角度αを持たせた位置に戻り中間タンク22を設け、この戻り中間タンク22と液体タンク13との間を移送配管23で連結し、この移送配管23に液体移送ポンプ24を設けて冷却液体10を強制的に液体タンク13へ戻すようにすればよい。この戻り中間タンク22を設けるか否かは設置条件等に応じて決定すればよく、どちらか一方の構成を設ければよい。
このようにして、液体タンク13内の冷却液体10を冷却器15で所定温度に冷却してNGH貯蔵タンク2の上部から供給し、この冷却液体10をNGHペレット1の間の空隙(例えば、数十%)に流して対流循環させ、下部から排出して液体タンク13に戻して循環させることにより、NGHペレット1を安定した状態に保ちつつ冷却液体10を効率良く使用している。
以上のように構成されたガスハイドレートペレット貯蔵装置25によれば、NGH貯蔵タンク2内に所定量のNGHペレット1を貯蔵し、そのNGH貯蔵タンク2の上部からNGHペレット1に向けて冷却液体10をスプレーする。スプレーした冷却液体10はNGH貯蔵タンク2内に所定量溜められる。この冷却液体10を溜める量としては、貯蔵しているNGHペレット1に浮力が作用するような量が好ましく、貯蔵しているNGHペレット1のほぼ上端部まで溜められる。
このNGH貯蔵タンク2内に供給された冷却液体10は、そのタンク内液面と液体戻り管16の戻りオーバーフロー管20位置との液面差によって作用する液圧によってNGH貯蔵タンク2の下部に設けられた液体戻り入口管18の網目状膜17から入って戻り立上り管19内を上昇する。そして、この立上り管19の所定位置に設けられた戻りオーバーフロー管20へと流れ出て、戻り傾斜管21から液体タンク13へと戻される。この液体タンク13に戻された冷却液体10は、スプレーポンプ14を介して冷却器15で所定温度まで冷却されてNGH貯蔵タンク2に再度供給され、その後は循環使用される。
なお、このように冷却液体10を循環させることにより、NGH貯蔵タンク2から排出されて液体タンク13に戻る冷却液体10はある程度低い温度であるので、この冷却液体10を再度冷却器15で所定温度まで冷却するための効率を向上させることができる。
したがって、このガスハイドレートペレット貯蔵装置25によれば、貯蔵されたNGHペレット1の空隙を通過させる冷却液体10によってNGHペレット1の周囲と上部とが循環冷却され、タンク下面は防熱材5によって防熱されているので、NGH貯蔵タンク2内への外部進入熱を防いでNGHペレット1を安定状態の温度に保つことができる。
その上、NGH貯蔵タンク2内の設備が簡単であるとともに、タンク貯蔵容積割合を大きく取ってコンパクトなNGH貯蔵タンク2を形成することができる。
また、NGH貯蔵タンク2に貯蔵したNGHペレット1に浮力を作用させているので、貯蔵しているNGHペレット1の圧着・凝着を防止することができ、NGH貯蔵タンク2からNGHペレット1を排出する場合に安定したハンドリングを行うことができる。
図4は本願発明の第2実施形態に係るガスハイドレートペレット貯蔵装置を示す構成図であり、図5は図4に示すV−V断面図、図6は図4に示すVI−VI断面図である。この第2実施形態は、NGH貯蔵タンク2の下面を気体冷却する例である。なお、NGH貯蔵タンク2の下面を気体冷却する構成以外は前述した第1実施形態と同一であるため、同一の構成には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図4,5に示すように、この第2実施形態のNGH貯蔵タンク2は、前述した第1実施形態におけるタンク本体4の下面に設けられていた防熱材5を構造体3の底板8内面に設け、この構造体3の底板8とタンク本体4の底板7との間の空間Sを気体冷却用の循環通路27として形成している。この循環通路27は、タンク本体4の底板7と構造体3の底板8とを連結する複数の支持部材9で空間Sが仕切られたものであり、これによって底板7,8の間の空間Sを、タンク本体4を底板側から冷却する冷却気体26の循環通路27としたものである。
図6に示すように、冷却気体26の循環通路27は、タンク本体4の底板7と構造体3の底板8との間を連結する支持部材9によって仕切られた各区画毎に冷却気体26を通過させることができるように構成されている。
図示するように、気体冷却・送風ユニット28によってNGHペレット1を安定した状態で保存できる所定温度に冷却された冷却気体26が各NGH貯蔵タンク2の図示する下側に設けられた供給通路29の供給口30から循環通路27に供給され、上側に設けられた還流通路31の排出口32から排出され、排出された冷却気体26は前記気体冷却・送風ユニット28によって再度冷却されて循環するように構成されている。この構成が気体冷却ラインであり、これによってタンク本体4の下面は冷却気体26で冷却されている。
また、このようにしてタンク本体4と構造体3との間の空間Sを冷却気体26で冷却することにより、この空間Sに設けられるNGH輸送配管33等に防熱処理を施さなくてよくなる。
以上のように構成されたガスハイドレートペレット貯蔵装置34によれば、前述した第1実施形態と同様に、NGH貯蔵タンク2内に所定量のNGHペレット1を貯蔵し、そのNGH貯蔵タンク2の上部からNGHペレット1に向けて冷却液体10をスプレーする。このスプレーした冷却液体10はNGH貯蔵タンク2内に所定量溜められる。この冷却液体10を溜める量としては、貯蔵しているNGHペレット1に浮力が作用するような量が好ましく、貯蔵しているNGHペレット1のほぼ上端部まで溜められる。
このNGH貯蔵タンク2内に供給された冷却液体10は、そのタンク内液面と液体戻り管16の戻りオーバーフロー管20位置との液面差によって作用する液圧によってNGH貯蔵タンク2の下部に設けられた液体戻り入口管18の網目状膜17から入って戻り立上り管19内を上昇する。そして、この立上り管19の所定位置に設けられた戻りオーバーフロー管20へと流れ出て、戻り傾斜管21から液体タンク13へと戻される。この液体タンク13に戻された冷却液体10は、スプレーポンプ14を介して冷却器15で所定温度まで冷却されてNGH貯蔵タンク2に再度供給され、その後は循環使用される。また、NGH貯蔵タンク2の下面においては、循環させた冷却気体26によって安定して冷却される。
なお、この第2実施形態の場合も前述した第1実施形態と同様に、冷却液体10を循環させることにより、NGH貯蔵タンク2から排出されて液体タンク13に戻るある程度低い温度冷却液体10を冷却器15で所定温度まで冷却するための効率を向上させることができるとともに、循環させる冷却気体26もある程度低い温度で循環させるので冷却するための効率向上を図ることができる。
したがって、このガスハイドレートペレット貯蔵装置34によれば、貯蔵されたNGHペレット1の空隙を通過させる冷却液体10によってNGHペレット1の周囲と上部とが循環冷却され、また、タンク下面は冷却気体26て冷却されているので、NGH貯蔵タンク2内への外部進入熱を防いでNGHペレット1を安定状態の温度に保つことができる。しかも、このガスハイドレートペレット貯蔵装置34によれば、NGH貯蔵タンク2の下部の空間Sに設けられるNGH輸送配管33等に防熱材を設ける必要がなくなる。
その上、この実施形態の場合も、NGH貯蔵タンク2内の設備が簡単であるとともに、タンク貯蔵容積割合を大きく取ってコンパクトなNGH貯蔵タンク2を形成することができる。
また、NGH貯蔵タンク2に貯蔵したNGHペレット1に浮力を作用させているので、貯蔵しているNGHペレット1の圧着・凝着を防止することができ、NGH貯蔵タンク2からNGHペレット1を排出する場合に安定したハンドリングを行うことができる。
なお、前述した実施形態ではいずれも2個のNGH貯蔵タンク2を例に説明したが、NGH貯蔵タンク2の個数は前述した実施形態に限定されるものではない。
また、前述した説明ではNGHペレット1を安定した状態で保存できる温度としてマイナス20℃を例示しているが、この温度は一例であり、NGHペレット1が分離することなく安定した状態を維持できる温度であればよく、前述した温度に限定されるものではない。
さらに、前述した実施形態は一例を示しており、本願発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本願発明は前述した実施形態に限定されるものではない。
本願発明に係るガスハイドレートペレット貯蔵装置は、ガスハイドレートペレットを、ガス生産元におけるNGH製造設備やガス生産元からガス消費地まで海上輸送するNGH輸送船、及びガス消費地における再ガス化設備においてNGHを貯蔵する場合等に利用できる。
本願発明の第1実施形態に係るガスハイドレートペレット貯蔵装置を示す構成図である。 図1に示すII−II断面図である。 図1に示すガスハイドレート貯蔵タンクの壁部拡大断面図である。 本願発明の第2実施形態に係るガスハイドレートペレット貯蔵装置を示す構成図である。 図4に示すV−V断面図である。 図4に示すVI−VI断面図である。 ガスハイドレートペレットを貯蔵する例を示す模式図である。
符号の説明
1…NGHペレット
2…NGH貯蔵タンク
3…構造体
4…タンク本体
5…防熱材
6…膜体
7…底板
8…底板
9…支持部材
10…冷却液体
11…スプレーライン
12…スプレーノズル
13…液体タンク
14…スプレーポンプ
15…冷却器
16…液体戻り管
17…網目状膜
18…液体戻り入口管
19…戻り立上り管
20…戻りオーバーフロー管
21…戻り傾斜管
22…戻り中間タンク
23…移送配管
24…液体移送ポンプ
25…ガスハイドレートペレット貯蔵装置
26…冷却気体
27…循環通路
28…気体冷却・送風ユニット
29…供給通路
30…供給口
31…還流通路
32…排出口
33…NGH輸送配管
34…ガスハイドレートペレット貯蔵装置

Claims (7)

  1. タンク本体の内面に防水性を備えた防熱層を形成し、該タンク本体の上部に該タンク本体内に貯蔵したガスハイドレートペレットを安定した状態に保つ温度の冷却液体を供給する液供給ラインを設け、該タンク本体の下部に前記液供給ラインから供給してガスハイドレートペレットを対流冷却した冷却液体を排出する液排出ラインを設け、該液排出ラインを、タンク本体下面側に網目状膜を設けた液体戻り入口管と、該液体戻り入口管に入った冷却液体が上昇する上端がタンク内に開放した戻り立上り管と、該戻り立上り管の前記タンク本体に供給する冷却液体の液面よりも低い所定位置から該戻り立上り管内の冷却液体を排出する戻りオーバーフロー管とで構成したガスハイドレートペレット貯蔵装置。
  2. タンク本体の底面を構造体と所定の空間を設けて支持し、該タンク本体の底面を除く内面に防水性を備えた防熱層を形成し、該タンク本体を支持する構造体の内面に防熱材を設け、前記タンク本体の上部に該タンク本体内に貯蔵したガスハイドレートペレットを安定した状態に保つ温度の冷却液体を供給する液供給ラインを設けるとともに、該タンク本体の下部に前記液供給ラインから供給してガスハイドレートペレットを対流冷却した冷却液体を排出する液排出ラインを設け、前記タンク本体の底面と構造体との間の空間に冷却気体を供給する気体冷却ラインを設けたガスハイドレートペレット貯蔵装置。
  3. 求項2記載のガスハイドレートペレット貯蔵装置において、
    前記液排出ラインを、タンク本体下面側に網目状膜を設けた液体戻り入口管と、該液体戻り入口管に入った冷却液体が上昇する上端がタンク内に開放した戻り立上り管と、該戻り立上り管の前記タンク本体に供給する冷却液体の液面よりも低い所定位置から該戻り立上り管内の冷却液体を排出する戻りオーバーフロー管とで構成したガスハイドレートペレット貯蔵装置。
  4. 請求項1又は3記載のガスハイドレートペレット貯蔵装置において、
    前記戻りオーバーフロー管を設ける所定位置を、該戻りオーバーフロー管の位置における冷却液体にタンク本体内の冷却液体液面差から冷却液体に応じた液圧が作用する位置に設定したガスハイドレートペレット貯蔵装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスハイドレートペレット貯蔵装置において、
    前記タンク本体に供給する液体を貯蔵する液体タンクと、該液体タンク内の液体を供給するポンプと、該供給する液体をNGHペレットを安定して貯蔵できる温度に冷却する冷却器とを設け、該冷却器で冷却した冷却液体を前記タンク本体に供給するとともに、該タンク本体から排出された冷却液体を前記液体タンクに戻して冷却液体を循環させるように構成したガスハイドレートペレット貯蔵装置。
  6. 底面と構造体との間に空間を設けて支持したタンク本体の底面を除く周囲を防熱して該タンク本体内にガスハイドレートペレットを貯蔵し、該貯蔵したガスハイドレートペレットを安定した状態に保つ温度の冷却液体をタンク本体の上部から供給し、該タンク本体内に供給した冷却液体でタンク本体内のガスハイドレートペレットに浮力を生じさせるとともに、該タンク本体の下部から冷却液体を排出することにより冷却液体の対流冷却でガスハイドレートペレットを冷却し、前記タンク本体の底面と構造体との間の空間に冷却気体を供給してタンク下面を冷却するようにしたガスハイドレートペレット貯蔵方法。
  7. 請求項6記載のガスハイドレートペレット貯蔵方法において、
    前記タンク本体の下部から排出した冷却液体を貯蔵し、該貯蔵した冷却液体をガスハイドレートペレットを安定した状態に保つ温度に冷却してタンク本体の上部から供給することにより冷却液体を循環させるようにしたガスハイドレートペレット貯蔵方法。
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