JP4262523B2 - 地震情報システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は地震情報システムに係わり、特に地震発生後の復帰に好適な地震情報システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の防災システムの例が、特許文献1に記載されている。この公報に記載の防災システムでは、災害等が予測される地域にセンサを設置し、このセンサが検出した情報を商用電源の配電線へ送信している。そして、商用電源の配電線を介して住宅内の警報機に伝送して警報を発する。必要に応じて設けた遮断機や表示灯にもセンサ情報を伝送し、遮断機を用いて道路封鎖するとともに表示灯で警告表示する。
【特許文献1】
特開2000−182174号公報(第7〜9頁、図1)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に記載の防災システムでは、災害地のセンサ情報を用いて警報を発するか、あるいは車両通行を遮断機を用いて遮断していた。災害時にセンサ情報に基づいて警報を発したり、道路の交通遮断や設備稼動停止することは人的被害等を最小限に抑えるために有効である。しかし、災害発生後の状況によっては機能停止した施設等の稼動を再開することも可能であるから、被災状況に応じて自動的に復旧することも社会生活の円滑な運用にとって重要である。特に、災害が発生すると、往々にして広範囲に被害が発生するので保守員等が施設を回り、点検して再稼動する必要があり、復帰に長時間要してしまう。上記公報では、この施設の再稼動については、十分には考慮されていない。
【0004】
本発明は上記従来技術の不具合に鑑みなされたものであり、その目的は地震発生後に速やかに施設の稼動を再開できるようにすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、複数の地震計の出力に基づいて管制センターが地震規模および震源を算出し、算出された情報を個別サイトに送信してこの個別サイトの有するエレベーターの運転可否を判断する地震情報システムにおいて、前記地震計の情報に基づいて地震の規模と震源地を算出し、その情報を各前記個別サイトに送信する前記管制センターと、前記個別サイトに設けられ、受信した前記情報と過去のビルの被害情報とから前記エレベーターを停止するか、運転を続けるかを判断する緊急停止判断部と、前記エレベーターの異常検出センサにより運転可能かどうか判断し、運転可能ならば前記エレベーターに低速運転を指令する自動復帰判断部と、を備え、前記エレベーターが低速で移動中に、前記エレベーターの乗りかごに取り付けられるテールコードの張力を測定する力センサを用いて前記テールコードの引っかかりが検出された場合前記エレベーターの低速運転を停止し、引っかかりが検出されない場合前記エレベーターを自動復帰させるものである。
【0006】
また、上記のものにおいて、前記異常検出センサとして、前記エレベーターのシーブに取付けられ、メインロープが前記シーブから外れていないかどうかを検出する第1の異常検出センサと、前記エレベーターの乗りかごおよび釣合い錘に取付けられ、前記乗りかごと前記釣合い錘に設けたガイド装置がガイドレールから脱線していないかどうかを検出する第2の異常検出センサと、を備えることが望ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明係る地震情報システムの実施例を、図面を用いて説明する。図1は、地震情報システムの模式図である。本実施例では、復旧稼動させる対象設備の例としてエレベーターを取り上げている。図1において、1は地震計、2は管制センター、3は個別サイトの設備制御部、4は設備制御部にある緊急停止判断部、5は設備制御部にある自動復帰判断部、6はエレベーター、7はエレベーター各部に取り付けられた異常検出センサ、8は乗りかご、9は釣合い錘、10はテールコード、11はガバナロープ、12はシーブ、13はメインロープ異常検出センサ、14はメインロープである。
【0009】
ある地点で発生した地震を地震計1が感知すると、この地震情報が管制センター2に送られる。管制センター2では、地震計1の情報に基づいて地震の規模と震源地を算出し、各個別サイト設備制御部3に地震の規模と震源地情報を送信する。管制センター2は、各個別サイト設備制御部3に送信するために、地上波デジタル放送や衛星デジタル放送、FMデータ放送、CATV(ケーブルテレビ)、防災無線の少なくともいずれかを備えている。
【0010】
地震情報を受信した個別サイト設備制御部3の緊急停止判断部4は、そのサイトの地盤情報と、過去のデータと、受信した地震規模および震源地の情報とからエレベーター6を停止するか、運転を続けるかを判断する。停止すると判断したら、緊急停止判断部4はエレベーター6の制御部に停止指令を送信し、エレベーター6を停止させて被害を最小限に食い止める。
【0011】
所定時間が経過して次の地震発生の危険が去り、エレベーター6を運転再開できる状態にエレベーター6の設置環境が復旧したら、地震によるエレベーター6の被害を把握する。そしてエレベーター6を運転可能かどうか判断する。そのため、シーブ12に取付けた第1の異常検出センサ13の出力を確認する。第1の異常検出センサ13が、メインロープ14がシーブ12から外れていないことを示し、乗りかご8および釣合い錘9に取付けた各第2の異常検出センサ7a,7b,7cが、乗りかご8と釣合い錘9に設けた図示しないガイド装置がガイドレールから脱線していないことを示していたら、自動復帰判断部5はエレベーター6の制御部に低速運転を指令する。
【0012】
エレベーター6が低速で移動中に、各部に取り付けた第2の異常検出センサ7a,7b,7cの少なくとも1個から異常出力が検出されたら、エレベーター6の異常を自動復帰判断部5に送信する。自動復帰判断部5は、エレベーター6の低速運転を停止してエレベーター6を止めるとともに、管制センター2にエレベーターの異常を知らせる。エレベーター6を最下階と最上階間で低速運転しているときに、異常検出センサ7a,7b,7cのいずれもが自動復帰判断部5に異常出力を送信してこなければ、エレベーター6を自動復帰させる。
【0013】
本発明の他の実施例を、図2に示す。本実施例が図1に示した実施例と異なるのは、各個別サイト制御部3に設けていた自動復帰判断部5を、管制センター2aに設けたことにある。第2の異常検出センサ7a,7b,7cの出力は、管制センター2aに設けた自動復帰判断部5に送信される。自動復帰判断部5は、送信された第2の異常検出センサ7a,7b,7cの出力に基づいて、エレベーター6の自動復帰が可能かどうかを判断する。
【0014】
図3に、図1及び図2の実施例に用いる異常検出手段7a,7b,7cの詳細を示す。図3において、30は乗りかご用ガイド装置、31は釣合い錘用ガイド装置、32は乗りかご側ガイドレール、33は釣合い錘側ガイドレール、34は乗りかご用ガイド装置脱線検出センサ、35は釣合い錘用ガイド装置脱線検出センサ、36はガバナロープ用プーリである。
【0015】
乗りかご用ガイド装置30と釣合い錘用ガイド装置31には、それぞれ脱線検出センサ34、35を取付けている。脱線検出センサ34、35は、例えば変位センサであり、この変位センサを用いてガイド装置とレールとの距離を測定する。ガイド装置30、31がガイドレール32、33から外れると、変位センサ34、35の出力が異常になり、ガイド装置30、31のガイドレール32、33からの脱線を検出できる。各ガイド装置30、31の脱線検出センサが異常を示したら、自動復帰を実行しない。
【0016】
乗りかご8に加速度センサ7cを取付ける。テールコード10の一端部と乗りかご8間には、力センサ7aを取付ける。乗りかご8には図示しないドアが設けられており、このドアにはハッチ側ドアと係合する係合子が設けられている。係合子は、ハッチ側ドアに設けた係合ローラと係合してハッチ側ドアを開く。地震が発生して乗りかご位置が正規の位置からずれると、乗りかご側ドアの係合子とハッチ側ドアの係合ローラがぶつかる。この状態でエレベーター6を運転すると危険であるから、低速運転中の乗りかご8に取付けた加速度センサ7cの出力から、係合子と係合ローラの衝突の有無を検出して、自動復帰の判断根拠とする。
【0017】
乗りかご8には、乗りかご8の位置を検出するセンサであるポジテクタを取付ける。エレベーター6の乗りかご8の昇降路であって、特定位置にマーカーを取付ける。このマーカーをポジテクタが検出して乗りかご位置を特定する。このマーカーが所定位置からずれていると、運転時にポジテクタとマーカーが衝突するおそれがあるので、乗りかご8の加速度センサ7cがポジテクタとマーカーの衝突の有無をも検出する。
【0018】
エレベーター6を低速運転していて、係合子と係合ローラ、またはポジテクタとマーカーが衝突したら、加速度センサ7cが異常を出力する。そこで自動復帰判断部5は、低速運転を中止し自動復帰を実行しない。ドアの係合子と係合ローラの衝突またはポジテクタとマーカーの衝突を、加速度センサの代わりにマイクを用いて衝突音により検出してもよい。
【0019】
乗りかご8の下に取付けたテールコード10は、地震が発生して揺らされると、昇降路内にある突起物などに引っかかるおそれがある。テールコード10が昇降路内のいずれかの突起物に引っかかったまま運転を再開すると、テールコード10が切れるおそれがある。そこで、自動復帰の際には、テールコード10の引っかかりの有無を検出する。テールコード10にかかる張力を測定するのに、力センサ7aを用いる。低速運転中にテールコード10が引っかかっていれば、余分の張力がかかり、力センサ7aから異常が出力される。これにより、テールコード10の引っかかりを検出する。
【0020】
乗りかご8には図示しない非常止め装置が取付けられていて、この非常止め装置が乗りかご8の異常速度を検出するガバナロープ11と接続されている。地震が発生すると、ガバナロープ11もテールコード10と同様に昇降路内の突起物に引っかかるおそれがある。ガバナロープ11の引っかかりを検出するために、ガバナロープ11に張力を付与するプーリ36に変位センサ7bを取付ける。ガバナロープ11が昇降路内の突起物に引っかかれば、プーリ36は上方に引っ張られて上方に移動する。このとき、変位センサ7bが異常値を出力してガバナロープ11の引っかかりを検出する。
【0021】
図4を用いて、シーブ12からロープ14が逸脱するのを検出する様子を説明する。図4において、40はアンプ、41は発光器、42は受光器である。地震時には、シーブ12の溝からメインロープ14が外れるおそれがある。シーブ12からロープ14が外れたのを感知しないまま自動復帰すると、2次災害を引き起こすおそれがある。そこで、シーブ12の脇であって、シーブ12の外径よりローブ14の径だけ外側に位置するように、発光器41と受光器42を設置する。
【0022】
シーブ12の溝からメインロープ14が浮いて、シーブ12の外径からロープ14が飛び出すと、メインロープ14が発光器42からの光を遮る。したがって、受光器42では異常信号が発生し、この異常信号がアンプ40を介して自動復帰判断部5へ送信される。ロープ14のシーブ12からの外れにより、自動復帰が見送られる。
【0023】
図5に、緊急停止したエレベーターの自動復帰のフローチャートを示す。緊急停止によるエレベーター6の停止状態が初期状態である(ステップ50)。この状態から、自動復帰するときは、最初にメインロープ14がシーブ12から外れていないか、および乗りかご8、釣合い錘9のガイド装置がレールから脱線していないかをチェックする(ステップ51)。ここで異常が検出されたら(ステップ52)、自動復帰不可能ということで保守員による復帰作業(ステップ58)を待つ。
【0024】
ステップ52において異常が検出されなければ、エレベーター6を低速運転する(ステップ53)。エレベーター6を低速運転させているときに、乗りかご8に取付けた各異常検出センサ7a,7b,7cの出力をチェックする(ステップ54)。異常検出センサ7a,7b,7cから異常が検出されたら(ステップ55)、低速運転を休止する(ステップ56)。そして、保守員による復帰作業(ステップ58)を待つ。異常が検出されなければ(ステップ55)、エレベーター6を自動復帰させる(ステップ57)。
【0025】
図6に、上記各実施例に用いる緊急停止判断部を示す。各個別サイト制御部3は、過去の地震において発生した被害状況などの情報を蓄積したデータベースを有している。地震が発生したときのビルの揺れなどは、ビルが建てられた場所の地盤やビルの構造により変化する。そのため、管制センター2から送信された地震情報だけでは、エレベーター6を停止させるかどうかの適切な判断が困難である。データベース60に記憶された地震による過去のビルの被害情報と現在の情報を参照して、エレベーターシステム61を緊急停止させるかどうかを判断する。なお、個別サイト制御部3が備えるデータベース60の蓄積情報は、管制センター2からアップデート可能である。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、エレベーター装置の各部に異常検出センサーを設け、このセンサーの出力を低速試運転時に収集して、エレベーター装置の復帰運転の可否を判断するので、地震等の災害後に速やかにエレベーター装置を自動復帰できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る地震情報システムの一実施例の模式図である。
【図2】本発明に係る地震情報システムの他の実施例の模式図である。
【図3】図1または図2に示した地震情報システムに用いる異常検出手段の模式図である。
【図4】図3に示した異常検出手段に用いるロープ逸脱検出手段の模式図である。
【図5】自動復帰動作を説明するフローチャートである。
【図6】図1または図2に示した地震情報システムに用いる緊急停止部の模式図である。
【符号の説明】
1…地震計、2…管制センター、3…個別サイト設備制御部、4…緊急停止制御部、5…自動復帰判断部、6…エレベーター、7a,7b,7c…(第2の)異常検出センサ、8…乗りかご、9…釣合い錘、10…テールコード、11…ガバナロープ、12…シーブ、13…第1の異常検出センサ、14…メインロープ、21…自動復帰判断部、30…乗りかご用ガイド装置、31…釣合い錘用ガイド装置、32…乗りかご側ガイドレール、33…釣合い錘側ガイドレール、34…乗りかご用ガイド装置脱線検出センサ、35…釣合い錘用ガイド装置脱線検出センサ、36…ガバナロープ用プーリ、40…アンプ、41…発光器、42…受光器、60…データベース。

Claims (2)

  1. 複数の地震計の出力に基づいて管制センターが地震規模および震源を算出し、算出された情報を個別サイトに送信してこの個別サイトの有するエレベーターの運転可否を判断する地震情報システムにおいて、
    前記地震計の情報に基づいて地震の規模と震源地を算出し、その情報を各前記個別サイトに送信する前記管制センターと、
    前記個別サイトに設けられ、受信した前記情報と過去のビルの被害情報とから前記エレベーターを停止するか、運転を続けるかを判断する緊急停止判断部と、
    前記エレベーターの異常検出センサにより運転可能かどうか判断し、運転可能ならば前記エレベーターに低速運転を指令する自動復帰判断部と、
    を備え、前記エレベーターが低速で移動中に、前記エレベーターの乗りかごに取り付けられるテールコードの張力を測定する力センサを用いて前記テールコードの引っかかりが検出された場合前記エレベーターの低速運転を停止し、引っかかりが検出されない場合前記エレベーターを自動復帰させることを特徴とする地震情報システム。
  2. 請求項1に記載のものにおいて、前記異常検出センサとして、前記エレベーターのシーブに取付けられ、メインロープが前記シーブから外れていないかどうかを検出する第1の異常検出センサと、前記エレベーターの乗りかごおよび釣合い錘に取付けられ、前記乗りかごと前記釣合い錘に設けたガイド装置がガイドレールから脱線していないかどうかを検出する第2の異常検出センサと、を備えることを特徴とする地震情報システム。
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