JP4262152B2 - サーミスタ - Google Patents

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Description

本発明は、温度上昇とともに抵抗値が急激に増大するPTC(Positive Temperature Coefficient:正温度係数)特性を有するサーミスタに関する。
従来、有機質正特性サーミスタに備えられるサーミスタ素体のマトリックス材料として、熱可塑性樹脂が広く知られている。しかし、熱可塑性樹脂を用いる場合、耐熱性を得るための架橋処理や不燃化処理が必要であるため、サーミスタ素体の製造工程が複雑になっていた。そこで、かかる処理を必要とせず、製造工程を簡略化できるマトリックス材料として、熱硬化性樹脂が注目されている。
これまでに検討されている熱硬化性樹脂を用いる有機質正特性サーミスタとしては、例えば、熱硬化性樹脂に繊維状の導電性物質を分散させたもの(例えば、特許文献1参照。)、熱硬化性樹脂にスパイク状の突起を有する導電性粒子を分散させたもの(例えば、特許文献2参照。)、熱硬化性樹脂にスパイク状の突起を有する導電性粒子と導電性短繊維とを分散させたもの(例えば、特許文献3参照。)等がある。
米国特許第4966729号明細書 特開平5−198403号公報 特開平5−198404号公報
ところで、サーミスタは、過電流・加熱保護素子、自己制御型発熱体、温度センサー等に利用することができる。これらのデバイスに要求される特性としては、室温抵抗値が十分小さいこと、PTC特性における抵抗値の変化率が十分大きいこと、繰り返し動作させた場合における抵抗値の変化(使用初期の室温抵抗値と繰り返し動作させた後の室温抵抗値との差)が小さいことなどが挙げられ、このような特性を同時に満足できるサーミスタが求められている。
しかしながら、特許文献1に記載のサーミスタを始めとする従来のサーミスタは、PTC特性における抵抗値の変化率を十分に確保したまま室温抵抗値を下げることが困難であった。
また、特許文献2及び3に記載のサーミスタでは、室温抵抗値と抵抗値の変化率とを実用レベルで両立させようとすると、サーミスタの特性として重要な、加熱冷却した際の室温抵抗値の復帰性、及び繰り返し動作させた場合における抵抗値の復帰性(断続負荷特性)などの信頼性を十分に満足させることができなかった。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、室温抵抗値が十分小さく、PTC特性における抵抗値の変化率が十分大きく、かつ信頼性に優れたサーミスタを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、サーミスタ素体の構成材料として、特定のエポキシ樹脂とアミン化合物を含む硬化剤と導電性粒子とを含む混合物の硬化体を用いることにより、そのサーミスタ素体を備えるサーミスタにおいて、室温抵抗値と所望の抵抗変化率とを高水準でバランスよく両立するとともに、高い信頼性を達成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1のサーミスタは、互いに対向して配置された1対の電極と、1対の電極間に配置されたサーミスタ素体と、を備え、サーミスタ素体が、下記一般式(1)で表わされる化合物を含むエポキシ樹脂と、アミン化合物を含む硬化剤と、導電性粒子と、を含む混合物から誘導される硬化体を含有することを特徴とする。
Figure 0004262152
[式(1)中、R、R及びRは、それぞれ2価の有機基を示し、かつ、R及びRのうちの少なくとも一つは、置換基を有していてもよい、炭素数1以上の2価の鎖式基を示す。]
本発明において、「鎖式基」とは、主鎖に環式構造を含まず、主鎖を構成する原子が線状に配列した鎖状構造を有する基を意味する。この「鎖式基」は枝分かれ構造を有していてもよい。また、「鎖式基」は、飽和炭化水素基あるいは不飽和炭化水素基のように、主鎖を構成する原子が炭素のみであるものでもよく、酸素、硫黄又は窒素等のヘテロ原子が主鎖骨格に含まれているものであってもよい。また、本発明において、「炭素数1以上の2価の鎖式基」という場合は、主鎖(一般式(1)中のR及びO(酸素原子)との結合方向に沿った主鎖)を構成している炭素の数が1以上である2価の鎖式基を意味する。
上記第1のサーミスタによれば、サーミスタ素体を上記構成とすることで、サーミスタの室温抵抗値を十分小さくすることができ、PTC特性における抵抗値の変化率を十分大きくすることができ、さらにサーミスタの信頼性を優れたものとすることができる。
なお、本発明の第1のサーミスタにより上述の効果が得られる理由は必ずしも明確でないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明にかかるサーミスタ素体においては、上記一般式(1)で表される化合物を含むエポキシ樹脂とアミン化合物を含む硬化剤とを組み合わせることによって、これらにより形成されるマトリックス中に導電性粒子を十分に均一にかつ安定的に分散させることができるものと考えられる。
また、従来のサーミスタにおける熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂)からなるマトリックスは、加熱・減熱により膨張・収縮を繰り返すと、徐々に樹脂構造が変化して熱膨張率・収縮率が低下すると本発明者らは考えている。そして、このことが、従来のサーミスタにおける上記課題の主要な原因であると推察している。一方、本発明の第1のサーミスタは、サーミスタ素体のマトリックスに上記一般式(1)で表わされる化合物が組み込まれることにより、サーミスタ素体に適度な可とう性が付与され、その結果、上記の効果が得られるものと本発明者らは考えている。
更に、上記一般式(1)で表される化合物を含むエポキシ樹脂とアミン化合物を含む硬化剤(以下、場合により「アミン系硬化剤」という。)との硬化反応は、硬化促進剤を用いなくても比較的マイルドな反応条件で速やかに行うことができるものである。つまり、アミン系硬化剤の使用により、十分に低い反応温度で硬化反応を進行させることができるため、マトリックスの形成の際に導電性粒子の変質(酸化等)が生じにくく、したがってサーミスタ素体へのダメージを十分に低減できる。また、その場合の硬化反応は十分に速い硬化速度で進行するため、硬化の際に導電性粒子が沈降してマトリックス中での分散状態が不均一となる現象を十分に抑制することができる。これらのことが、本発明のサーミスタにおける使用初期の室温抵抗値、抵抗変化率、室温抵抗値の復帰性などの特性に反映されていると本発明者らは考えている。
また、本発明の第2のサーミスタは、互いに対向して配置された1対の電極と、1対の電極間に配置されたサーミスタ素体と、を備え、サーミスタ素体が、下記一般式(2)で表わされる化合物を含むエポキシ樹脂と、アミン化合物を含む硬化剤と、導電性粒子と、を含む混合物から誘導される硬化体を含有することを特徴とする。
Figure 0004262152
[式(2)中、Rは置換又は未置換の炭素数1〜20の2価の鎖式基を示し、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ下記一般式(a)又は(b)で表される2価の有機基を示す。
−(Ar−X)− …(a)
(式(a)中、Arは置換又は未置換の2価の5員環基、置換又は未置換の2価の6員環基、置換又は未置換の2価のナフタレン基、あるいは置換又は未置換の2価のアントラセン基を示し、Xは炭素数1以上の2価の鎖式基を示す。)
−Y− …(b)
(式(b)中、Yは、置換又は未置換の炭素数1以上の2価の鎖式基を示し、該鎖式基には一般式(2)中のグリシジルエーテル基に結合する炭素原子が含まれる。)]
上記第2のサーミスタによれば、サーミスタ素体を上記構成とすることで、サーミスタの室温抵抗値を十分小さくすることができ、PTC特性における抵抗値の変化率を十分大きくすることができ、さらにサーミスタの信頼性を優れたものとすることができる。また、このような効果が得られる要因としては、サーミスタ素体のマトリックスに上記一般式(2)で表わされる化合物が組み込まれることにより、上記第1のサーミスタの場合と同様に、サーミスタ素体に適度な可とう性が付与された結果であると本発明者らは考えている。
本発明の第2のサーミスタの場合、上記一般式(2)において、Rが、−CH−、−CH(CH)−、又は−C(CH−で示される2価の有機基であり、R及びRが、前記一般式(a)で表され、かつArが−C−である2価の有機基であることが好ましい。このような化合物を含むエポキシ樹脂を用いることにより、上述した本発明による効果が有効に得られるとともに、サーミスタの耐熱性を向上させることができる。
また、本発明の第3のサーミスタは、互いに対向して配置された1対の電極と、1対の電極間に配置されたサーミスタ素体と、を備え、サーミスタ素体が、下記一般式(3)で表わされる化合物を含むエポキシ樹脂と、アミン化合物を含む硬化剤と、導電性粒子と、を含む混合物から誘導される硬化体を含有することを特徴とする。
Figure 0004262152
[式(3)中、Rは置換又は未置換の炭素数1〜20の2価の鎖式基を示し、R及びRは単結合又は2価の有機基を示し、かつ、R又はRの少なくとも一方は、−CHCHO−、−CHCH(CH)O−、−CH(CH)CHO−、−SiO−、−CH=CH−、−CH=CH−CH=CH−、−CH=C(CN)−、−CHO−、−CHS−、−NH−CO−O−、−CO−O−、−CH=N−、及び、−O−CO−O−から選ばれる1種以上の構造単位を含む。]
上記第3のサーミスタによれば、サーミスタ素体を上記構成とすることで、サーミスタの室温抵抗値を十分小さくすることができ、PTC特性における抵抗値の変化率を十分大きくすることができ、さらにサーミスタの信頼性を優れたものとすることができる。また、このような効果が得られる要因としては、サーミスタ素体のマトリックスに上記一般式(3)で表わされる化合物が組み込まれることにより、上記第1及び第2のサーミスタの場合と同様に、サーミスタ素体に適度な可とう性が付与された結果であると本発明者らは考えている。
また、本発明の第4のサーミスタは、互いに対向して配置された1対の電極と、1対の電極間に配置されたサーミスタ素体と、を備え、サーミスタ素体が、下記一般式(4)で表わされる化合物を含むエポキシ樹脂と、アミン化合物を含む硬化剤と、導電性粒子と、を含む混合物から誘導される硬化体を含有することを特徴とする。
Figure 0004262152
[式(4)中、R10は置換基を有していてもよい、炭素数1〜20の2価の鎖式基を示し、R11及びR12は単結合又は2価の有機基を示し、かつ、R11又はR12の少なくとも一方が、−CH−、−CHCHO−、−CHCH(CH)O−、−CH(CH)CHO−、−SiO−、−CH=CH−、−CH=CH−CH=CH−、−CH=C(CN)−、−CHO−、−CHS−、−NH−CO−、−NH−CO−O−、−CO−O−、及び、−CH=N−からなる群より選択される1種以上の構造単位を含み、かつ当該構造単位がグリシジルエーテル基に結合している。]
上記第4のサーミスタによれば、サーミスタ素体を上記構成とすることで、サーミスタの室温抵抗値を十分小さくすることができ、PTC特性における抵抗値の変化率を十分大きくすることができ、さらにサーミスタの信頼性を優れたものとすることができる。また、このような効果が得られる要因としては、サーミスタ素体のマトリックスに上記一般式(4)で表わされる化合物が組み込まれることにより、上記第1、第2及び第3のサーミスタの場合と同様に、サーミスタ素体に適度な可とう性が付与された結果であると本発明者らは考えている。
上記第4のサーミスタの場合、上記一般式(4)において、R11又はR12の少なくとも一方が、下記一般式(5)で示される構造単位を含み、かつ当該構造単位がグリシジルエーテル基に結合していることが好ましい。これにより、所望の室温抵抗値と所望の抵抗変化率とを有し、かつ信頼性に優れるサーミスタをより容易にかつ確実に得ることができる。
−(R13−O)− …(5)
[式(5)中、R13は、炭素数1〜20の2価の炭化水素基を示し、nは1〜10の整数を示す。]
本発明の第1、第2、第3及び第4のサーミスタのそれぞれにおいては、硬化剤が、芳香族環、脂環式環及び複素環から選ばれる少なくとも1種を有するジアミン化合物を含有することが好ましく、下記一般式(6)又は(7)で表されるジアミン化合物を含むことがより好ましい。このようなジアミン化合物を含有する硬化剤を用いることにより、エポキシ樹脂と硬化剤とによるマトリックスの形成を効率よく実施することができ、また、そのときの反応を容易にかつ確実に制御することができる。
Figure 0004262152
[式(6)中、R14は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R15及びR16は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜20のアルキル基を示し、p及びqは同一でも異なっていてもよく、それぞれ0〜4の整数を示す。]
Figure 0004262152
[式(7)中、R17及びR18は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜20のアルキレン基を示す。]
本発明によれば、室温抵抗値が十分に小さく、PTC特性における抵抗値の変化率が十分に大きく、かつ信頼性に優れたサーミスタを提供することが可能となる。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付することとし、重複する説明は省略する。
図1は、本発明のサーミスタの好適な一実施形態を模式的に示す斜視図である。
図1に示すサーミスタ10は、互いに対向して配置された1対の電極2及び電極3と、電極2と電極3との間に配置された正の抵抗−温度特性を有するサーミスタ素体(以下、場合によって「サーミスタ素体」ともいう。)1と、を備える。なお、図1には示して以内が、電極2及び電極3にはそれぞれ必要に応じてリードが電気的に接続される。
電極2及び電極3は、サーミスタの電極として機能する電子伝導性を有するものであれば、その形状や材質について特に限定されない。また、リードは、それぞれ電極2及び電極3から外部に電荷を放出又は注入することが可能な電子伝導性を有していれば、その形状や材質について特に限定されない。
サーミスタ素体1は、下記一般式(1)で表される化合物を含むエポキシ樹脂と、アミン化合物を含む硬化剤と、導電性粒子と、を含有する混合物から誘導される硬化体を含んで構成されている。ここで、導電性粒子は、サーミスタ素体1中、すなわちエポキシ樹脂と硬化剤とから形成されたマトリックス中に分散保持されている。
サーミスタ素体1を形成する際に用いるエポキシ樹脂には、前述の通り、下記一般式(1)で表される化合物が含まれる。
Figure 0004262152
[式(1)中、R、R及びRは、それぞれ2価の有機基を示し、かつ、R又はRのうちの少なくとも一つは、置換基を有していてもよい、炭素数1以上の2価の鎖式基を示す。]
ここで、炭素数1以上の2価の鎖式基としては、例えば、下記一般式(8)〜(11)で示される2価の有機基が挙げられる。
−(CH− …(8)
[式(8)中、aは1〜20の整数を示す。]
−(CHCHO)− …(9)
[式(9)中、bは1〜20の整数を示す。]
−(CHCH(CH)O)− …(10)
[式(10)中、cは、1〜20の整数を示す。]
−(CH(CH)CHO)− …(11)
[式(11)中、dは、1〜20の整数を示す。]
すなわち、本実施形態のサーミスタ10は、そのサーミスタ素体1において、上記一般式(1)で表わされる化合物を含むエポキシ樹脂と硬化剤とから形成されるマトリックスに導電性粒子が分散した状態となっている。これによって、サーミスタの室温抵抗値を十分小さくすることができ、PTC特性における抵抗値の変化率を十分大きくすることができ、さらにサーミスタの信頼性を優れたものとすることができる。
なお、サーミスタ素体1を形成する際に用いるエポキシ樹脂として、下記一般式(2)で表わされる化合物を含むエポキシ樹脂を用いても、上記の効果を得ることができる。
Figure 0004262152
[式(2)中、Rは、置換基を有していてもよい、炭素数1〜20の2価の鎖式基を示し、R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ下記一般式(a)又は(b)で表される2価の有機基を示す。
−(Ar−X)− …(a)
(式(a)中、Arは、置換基を有していてもよい、2価の、5員環基、6員環基、ナフタレン基、若しくはアントラセン基を示し、Xは、炭素数1以上の2価の鎖式基を示す。)
−Y− …(b)
(式(b)中、Yは、置換基を有していてもよい、グリシジルエーテル基に結合した炭素原子を含む炭素数1以上の2価の鎖式基を示す。)]
ここで、Rとしては、例えば、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、及び−C2n−(nは2〜20の整数)等の鎖式基が挙げられる。
また、R及びRとしては、R及びRが同一である場合、例えば、(a)−C−O−CH−CH−で示される2価の有機基、及び(b)−CH−で示される2価の有機基等が挙げられる。また、R及びRが異なる場合、例えば、一方が(b)−CH−で示される2価の有機基、他方が(b)−CHCH−で示される2価の有機基が挙げられる。
上記一般式(2)においては、Rが−CH−、−CH(CH)−、又は−C(CH−で示される2価の有機基であり、R及びRがそれぞれ一般式(a)で表され、一般式(a)中のArが−C−である2価の有機基であることが好ましい。すなわち、エポキシ樹脂は下記一般式(2−1)〜(2−3)のいずれかで表される化合物を含むことが好ましい。なお、一般式(2−1)〜(2−3)で表される化合物は、上記一般式(1)で表される化合物、あるいは後述する一般式(3)又は(4)で表される化合物にも包含される。
Figure 0004262152
[式(2−1)〜(2−3)中、Xは炭素数1以上の2価の鎖式基を示す。]
このような化合物を用いることにより、上記の効果が得られると共に、耐熱性に優れたサーミスタをより確実に得ることができる。
また、サーミスタ素体1を形成する際に用いるエポキシ樹脂として、下記一般式(3)で表わされる化合物を含むエポキシ樹脂を用いても、サーミスタの室温抵抗値を十分小さくすることができ、PTC特性における抵抗値の変化率を十分大きくすることができ、さらにサーミスタの信頼性を優れたものとすることができる。
Figure 0004262152
[式(3)中、Rは、置換基を有していてもよい、炭素数1〜20の2価の鎖式基を示し、R及びRは単結合又は2価の有機基を示し、かつ、R又はRの少なくとも一方は、−CHCHO−、−CHCH(CH)O−、−CH(CH)CHO−、−SiO−、−CH=CH−、−CH=CH−CH=CH−、−CH=C(CN)−、−CHO−、−CHS−、−NH−CO−O−、−CO−O−、−CH=N−、及び、−O−CO−O−からなる群より選択される1種以上の構造単位を含む。]
また、サーミスタ素体1を形成する際に用いるエポキシ樹脂として、下記一般式(4)で表わされる化合物を含むエポキシ樹脂を用いても、サーミスタの室温抵抗値を十分小さくすることができ、PTC特性における抵抗値の変化率を十分大きくすることができ、さらにサーミスタの信頼性を優れたものとすることができる。
Figure 0004262152
[式(4)中、R10は置換基を有していてもよい、炭素数1〜20の2価の鎖式基を示し、R11及びR12は単結合又は2価の有機基を示し、R11又はR12の少なくとも一方が、−CH−、−CHCHO−、−CHCH(CH)O−、−CH(CH)CHO−、−SiO−、−CH=CH−、−CH=CH−CH=CH−、−CH=C(CN)−、−CHO−、−CHS−、−NH−CO−、−NH−CO−O−、−CO−O−、及び、−CH=N−からなる群より選択される1種以上の構造単位を含み、かつ当該構造単位がグリシジルエーテル基に結合している。
11及びR12の具体例としては、上記一般式(8)〜(11)で示される2価の有機基が挙げられる。
上記一般式(4)においては、R11又はR12の少なくとも一方が、下記一般式(5)で示される構造単位を含み、かつ当該構造単位がグリシジルエーテル基に結合していることが好ましい。これにより、所望の室温抵抗値と所望の抵抗変化率とを有し、かつ信頼性に優れるサーミスタを、より確実かつ容易に得ることができる。
−(R13−O)− …(5)
[式(5)中、R13は炭素数1〜20の2価の炭化水素基を示し、nは1〜10の整数を示す。]
さらに、上記一般式(4)においては、Rが−CH−、−CH(CH)−、又は−C(CH−で示される2価の有機基であり、かつ、R及びRが、−C−(O−L)−(Lは、炭素数1〜20の鎖式基を示し、mは、1〜10の整数を示す)で示される2価の有機基であることがより好ましい。かかる化合物を用いることにより、サーミスタ素体に、より一層適度な可とう性を付与することができ、所望の室温抵抗値と所望の抵抗変化率とを有し、かつ信頼性に優れるサーミスタを、より確実かつ容易に得ることができる。
上記一般式(1)〜(4)で表わされる化合物は、公知のものであれば特に限定されない。そのうち、商業的に入手可能なものとしては、例えば、一般式(1)中、R又はRの少なくとも一方が−CHCH(CH)O−、又は−CH(CH)CHO−の構造単位を有するエポキシ樹脂である「リカレジンBPO20E」(新日本理化社製、商品名)、「EP4005」(旭電化工業社製、商品名)、「EP4000」(旭電化工業社製、商品名)、及び「YD−716」(東都化成(株)社製、商品名)等が挙げられる。
また、一般式(1)中、R又はRの少なくとも一方が−CO−O−、又は−O−CO−の構造単位を有するエポキシ樹脂として「YD−171」(東都化成(株)社製、商品名)等が挙げられる。
また、一般式(1)中、R又はRの少なくとも一方が、−CHO−、−OCH−、−CHS−、又は−SCH−の構造単位を有するエポキシ樹脂として「リカレジンBPO60E」(新日本理化社製、商品名)、「YH−300」(東都化成(株)社製、商品名)、「PG202」(東都化成(株)社製、商品名)、「EP4085」(旭電化工業社製、商品名)、「リカレジンDME100」(新日本理化社製、商品名)、及び「リカレジンDME200」(新日本理化社製、商品名)等が挙げられる。
サーミスタ素体1を形成する際に用いるエポキシ樹脂は、1種又は2種以上の上記一般式(1)〜(4)で表わされる化合物のみであってもよいが、上記一般式(1)〜(4)で表わされる化合物と、他のエポキシ樹脂との混合物であってもよい。上記一般式(1)〜(4)で表わされる化合物以外の他のエポキシ樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、平均して1分子あたり2個以上のエポキシ基を有するものが挙げられる。例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、カテコール及びレゾルシノール等の多価フェノール、若しくは、グリセリン及びポリエチレングリコール等の多価アルコールと、エピクリルヒドリンとを反応させて得られるポリグリシジルエーテル、p−ヒドロキシ安息香酸及びβ−ヒドロキシナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸と、エピクリルヒドリンとを反応させて得られるグリシジルエーテルエステル、フタル酸及びテレフタル酸等のポリカルボン酸と、エピクリルヒドリンとを反応させて得られるポリグリシジルエステル、エポキシ化フェノールノボラック樹脂、エポキシ化クレゾールノボラック樹脂、並びに、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記一般式(1)〜(4)で表わされる化合物は、エポキシ樹脂全体を100質量部として、5〜100質量部の配合割合で用いることが好ましく、10〜100質量部の配合割合で用いることがより好ましい。上記一般式(1)〜(4)で表わされる化合物の配合割合が、5質量部未満であると、得られるサーミスタが所望の室温抵抗値と所望の抵抗変化率とを同時に満たすことが困難となる傾向にあり、また、信頼性が不十分となる傾向にある。なお、ここでいう配合割合とは、一般式(1)〜(4)で表わされる化合物のうちの1種を単独で用いる場合は当該化合物の配合割合を意味し、2種以上を組み合わせて用いる場合はそれらの配合割合の合計を意味する。
また、本実施形態で用いられるアミン系硬化剤としては、アミノ基を有するものであれば特に制限されず、例えば、アミノ基を有する脂肪族アミン(鎖式及び環式の双方を含む)、芳香族ポリアミン、第三アミンなどのアミン化合物を含むものが用いられる。これらのアミン化合物の中でも、芳香族環、脂環式環及び複素環から選ばれる少なくとも1種を有するジアミン化合物が好ましく、下記一般式(6)又は(7)で表されるジアミン化合物がより好ましい。
Figure 0004262152
[式(6)中、R14は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R15及びR16は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜20のアルキル基を示し、p及びqは同一でも異なっていてもよく、それぞれ0〜4の整数を示す。]
Figure 0004262152
[式(7)中、R17及びR18は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜20のアルキレン基を示す。]
その他のアミン系硬化剤として、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、メタキシレンジアミン(MXDA)、イソホロンジアミン(IPDA)の変性物、トリスジメチルアミノメチルフェノール、ジシアンジアミド(DICY)等を用いることができる。これらのアミン系添加剤としては、例えば、エピキュアT、エピキュアT1、エピキュア3012、エピキュア3019、エピキュア3010、エピキュアDICY7(全てジャパンエポキシレジン株式会社製)等の市販品を用いてもよい。
上記一般式(1)で表される化合物を含むエポキシ樹脂とアミン系硬化剤との硬化反応は、硬化促進剤を用いなくても比較的マイルドな反応条件で速やかに行うことができる。例えば、脂肪族ポリアミンを用いる場合は、硬化温度を室温から100℃までの範囲内とし、硬化時間を数分とすることができる。また、芳香族ポリアミンを用いる場合は、硬化温度を室温から150℃までの範囲内とし、反応時間を1〜3時間とすることができる。このように、アミン系硬化剤の使用により、十分に低い反応温度で硬化反応を進行させることができるため、マトリックスの形成の際に導電性粒子の変質(酸化等)が生じにくく、したがってサーミスタ素体へのダメージを十分に低減できる。また、その場合の硬化反応は十分に速い硬化速度で進行するため、硬化の際に導電性粒子が沈降してマトリックス中での分散状態が不均一となる現象を十分に抑制することができる。これらのことが、本発明のサーミスタにおける使用初期の室温抵抗値、抵抗変化率、室温抵抗値の復帰性などの特性に反映されていると本発明者らは考えている。
硬化剤の配合割合としては、上記一般式(1)〜(4)で表わされる化合物を含むエポキシ樹脂の全量に対して当量比で、0.5〜1.5が好ましく、0.8〜1.2がより好ましい。硬化剤の当量比がエポキシ樹脂に対して0.5未満、あるいは1.5を超えると、未反応のエポキシ基及びアミノ基が増加することにより、サーミスタ素体の機械的強度が低下したり、サーミスタのPTC特性における抵抗変化率が低下したりする傾向にある。
サーミスタ素体1に含有される導電性粒子は、電子伝導性を有していれば特に限定されず、例えば、カーボンブラック、グラファイト、各形状の金属粒子若しくはセラミック系導電性粒子を用いることができる。金属粒子の金属材料としては、銅、アルミニウム、ニッケル、タングステン、モリブデン、銀、亜鉛、コバルト、及び銅紛にニッケルめっきを施したもの等が挙げられる。セラミック系導電性粒子の材料としては、TiC及びWC等が挙げられる。これらは、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
これらの導電性粒子の中でも、金属粒子を用いることが好ましい。導電性粒子として金属粒子を用いると、サーミスタの抵抗変化率を十分に確保したまま、室温抵抗値をより低下させることができ、例えば、本発明のサーミスタを過電流保護素子として用いる場合に好適である。また、金属としてニッケルを用いることが、酸化され難い等、化学的安定性の観点からより好ましい。
導電性粒子の形状としては、球状、フレーク状、繊維状及び棒状等が挙げられるが、粒子の表面にスパイク状の突起を有するものが好ましい。スパイク状の突起を有する導電性粒子を用いることにより、隣接する粒子間におけるトンネル電流が流れやすくなるため、サーミスタの抵抗変化率を十分に確保したまま、室温抵抗値をより低くすることができる。また、真球状の粒子に比べて、粒子同士の中心間距離を大きくすることができるため、PTC特性においてより大きな抵抗変化率を得ることができる。さらに、繊維状の粒子を用いた場合に比べて、サーミスタの室温抵抗値のばらつきを低減することができる。
スパイク状の突起を有する導電性粒子は、一つ一つの粒子(一次粒子)が個別に存在する粉体であってもよいが、10〜1000個程度の一次粒子が鎖状に連なりフィラメント状の二次粒子を形成しているものが好ましい。また、その材質は金属が好ましく、ニッケルを主成分とするものがより好ましい。さらに、その比表面積が0.3〜3.0m/gであって、見かけ密度が3.0g/cm以下であることが好ましい。ここで、「比表面積」とは、BET一点法に基づく窒素ガス吸着法により求められる比表面積を示す。
また、一次粒子の平均粒径は、0.1〜7.0μmが好ましく、0.5〜5.0μmがより好ましい。なお、平均粒径はフィッシャー・サブシーブ法で測定したものである。
商業的に入手可能なスパイク状の突起を有する導電性粒子としては、例えば、「INCO Type210」、「INCO Type255」、「INCO Type270」、「INCO Type287」(いずれもINCO社製、商品名)等が挙げられる。
サーミスタ素体1に含有される導電性粒子の配合割合としては、サーミスタ素体中で5〜90質量%となるように配合することが好ましく、60〜80質量%となるように配合することがより好ましい。導電性粒子の配合割合が、50質量%未満であると、低い室温抵抗値が得られ難くなる傾向にあり、90質量%を超えると、PTC特性においてより大きな抵抗変化率を得ることが困難になる傾向にある。
サーミスタ素子1に含まれる硬化体は、上記一般式(1)〜(4)で表される化合物を含むエポキシ樹脂と、アミン化合物を含む硬化剤と、導電性粒子とを含有する混合物を加熱して硬化させることにより得ることができる。
なお、本発明では、上記エポキシ樹脂とアミン化合物を含む硬化剤とを組み合わせているため、硬化促進剤を用いずとも、混合物を硬化させる際の硬化温度を下げることや硬化に要する時間を短縮することができるが、必要に応じて硬化促進剤を用いてもよい。硬化促進剤としては、例えば、第三アミン、アミンアダクト化合物、イミダゾールアダクト化合物、ほう酸エステル、ルイス酸、有機金属化合物、有機酸金属塩、及びイミダゾール等の一般に用いられているものが挙げられる。硬化促進剤の配合量については、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されない。
また、本発明による効果が損なわれない限りにおいて、アミン系硬化剤以外の硬化剤を併用してもよい。アミン系硬化剤以外の硬化剤としては、酸無水物、ポリアミド、フェノール、ポリメルカプタン、ルイス酸錯体等が挙げられ、これらは市販品を用いてもよい。例えば、ポリアミド系硬化剤としては、ポリマイドLシリーズ、L−25−3、L−203、L−504、L−2513、L−45−3、L−55−3、L−4051、L−3702(全て三洋化成工業株式会社製)等が例示できる。
次に、本発明のサーミスタの製造方法の一例を示す。
まず、所定量のエポキシ樹脂、アミン化合物を含む硬化剤、導電性粒子、及び、必要に応じて硬化促進剤などの添加剤を混合する(混合工程)。この混合工程の際に用いられる装置は、各種撹拌機、分散機、ミル等の公知のものが挙げられる。混合する時間は、特に限定されないが、通常、10〜60分間混合することで、各成分を分散させることができる。
混合中に気泡が混入した場合は、真空脱泡を行うことが好ましい。
次に、得られた混合物をスクリーン印刷等の方法により電極としての金属箔上に塗布する。さらに、別の金属箔で挟み、プレス成形することによりシート状にする。また、混合物をニッケルや銅等の金属箔電極間に流し込むことによりシート状にしてもよい。
次に、得られたシートを加熱処理して硬化させる(硬化工程)。
また、混合物のみをドクターブレード方法などによりシート状に成形し、これを硬化したものに導電性ペースト等を塗布して電極を形成することもできる。
得られたシート状の硬化体を所望の形状(例えば、3.6mm×9mm)に打ち抜くことにより、サーミスタを得ることができる(打ち抜き工程)。打ち抜き方法としては、通常のサーミスタを打ち抜く方法であれば特に限定されることなく用いることができる。
また、必要に応じて、打ち抜き工程によって得られたサーミスタの電極の表面に、それぞれリードを接合することにより、リードを有するサーミスタを作製できる。リード接合方法としては、通常のサーミスタの製造方法において用いられるものであれば特に限定されることなく用いることができる。
以上、本発明のサーミスタの好適な実施形態及び製造方法について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、図1に示したサーミスタは1個のサーミスタ素体を備えるものであるが、本発明のサーミスタは複数のサーミスタ素体を積層して構成されていてもよい。
本発明のサーミスタは、上述した優れた特性を有するものであるため、過電流・加熱保護素子、自己制御型発熱体、温度センサー等の用途に好適に利用することができる。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
先ず、下記式(12)で表されるエポキシ樹脂(商品名:リカレジン BPO20E、新日本理化製、エポキシ当量314g/eq)と、下記式(13)で表されるジアミンの変性アミンであるアミン系硬化剤(商品名:エポメート B002、ジャパンエポキシレジン製、アミン価:317〜337KOHmg/g)と、フィラメント状ニッケル粒子(商品名:Type255ニッケルパウダ、INCO社製、平均粒径2.2〜2.8μm、見かけ密度0.5〜0.65g/cm、比表面積0.68m/g)と、をそれぞれ準備した。
Figure 0004262152
[式(12)中、m及びnはそれぞれ1以上の整数を示す。]
Figure 0004262152
上記のエポキシ樹脂に対して硬化剤を50重量%加え、攪拌機にて攪拌混合した。次いで、エポキシ樹脂とアミン系硬化剤との合計量に対して導電性粒子が75重量%となるように、導電性粒子を添加して混合攪拌し、目的の混合物を得た。
得られた混合物を、Ni箔(厚さ0.5mm)上に塗布し、塗膜上にもう1枚のNi箔を配置し、塗膜を2枚のNi箔で挟んだ積層体を得た。この積層体をオーブンに入れ、100℃にて塗膜の硬化を行い、シート状の硬化体を形成させた。
このようにして得られたNi箔/シート状硬化体/Ni箔の積層体を3.6mm×9.0mmの形状に打ち抜き、サーミスタを得た。
得られたサーミスタを恒温槽に入れ、室温から200℃まで3℃/minで加熱し、更に200℃から室温まで冷却し、所定の温度で4端子法で抵抗値の測定を行ない、温度−抵抗曲線を得た。初期室温抵抗値は5.0×10−3Ω(3.2×10−2Ωcm)であった。また、90℃付近で抵抗が急激に増加し、抵抗変化率は6桁程度であり、低い室温抵抗値でありながら大きい抵抗変化率を得られることが確認された。また、加熱−冷却後の室温抵抗値は1.0×10−2Ω(6.5×10−2Ωcm)となり、室温抵抗値の復帰性は良好であった。
なお、サーミスタを約200℃の高温中に放置した後、室温に取り出しても、素子の変形は全く見られなかった。
[実施例2]
硬化剤として下記式(14)で表されるアミン系硬化剤(商品名:カヤハードA−A、日本化薬工業(株)製)を使用し、その配合量をエポキシ樹脂に対して35重量%とし、硬化温度を150℃とした以外は、実施例1と同様にしてサーミスタを得た。
Figure 0004262152
得られたサーミスタについて、実施例1と同様にして温度−抵抗曲線を得るべく測定を行ったところ、初期室温抵抗値は3.0×10−3Ω(1.9×10−2Ωcm)であった。また、150℃付近で抵抗が急激に増加し、抵抗変化率は6桁であり、低い室温抵抗値でありながら、大きな抵抗変化率を得られることがわかった。また、加熱−冷却後の室温抵抗値は4.0×10−3Ω(2.6×10−2Ωcm)であり、室温抵抗値の復帰性は良好であった。
なお、素子を約200℃の高温中に放置した後室温に取り出しても、素子の変形は全く見られなかった。
[実施例3]
硬化剤として、上記式(13)で表されるジアミンの変性アミンであるアミン系硬化剤(商品名:エポメート N001、ジャパンエポキシレジン製、アミン価:330〜350KOHmg/g)を使用し、エポキシ樹脂に対して60重量%添加したこと以外は実施例1と同様の方法でサーミスタを得た。
得られたサーミスタについて、実施例1と同様にして温度−抵抗曲線を得るべく測定を行なったところ、初期抵抗値は4.0×10−3Ω(2.6×10−2Ωcm)であった。また、抵抗変化率は7桁程度であり、低い室温抵抗値を確保しながら大きな抵抗変化率を得ることができた。また、加熱−冷却後の室温抵抗値は1.0×10−2Ω(6.5×10−2Ωcm)であり、室温抵抗値の復帰性は良好であった。
なお、このサーミスタを約200℃の高温中に放置した後室温に取り出しても、素子の変形は全く見られなかった。
[実施例4]
硬化剤として、上記式(13)で表されるジアミンの変性アミンであるアミン系硬化剤(商品名:エポメート LX1N、ジャパンエポキシレジン製、アミン価:480〜520KOHmg/g)を使用し、エポキシ樹脂に対して35重量%添加したこと以外は実施例1と同様の方法でサーミスタを得た。
得られたサーミスタについて、実施例1と同様の方法で、温度−抵抗曲線を得るべく測定を行ったところ、初期抵抗値は4.0×10−3Ω(2.6×10−2Ωcm)であった。また、抵抗変化率は7桁であり、低い室温抵抗値を確保しながら大きな抵抗変化率を得ることができた。更に、加熱−冷却後の室温抵抗値は9.0×10−3Ω(5.8×10−2Ωcm)となり、室温抵抗値の復帰性は良好であった。
なお、このサーミスタを200℃の高温中に放置した後室温に取り出しても、素子の変形は全く見られなかった。
[比較例1]
エポキシ樹脂として、下記式(15)で表されるビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:EPICLON850、大日本インキ化学工業製、エポキシ当量190g/eq)、を使用した以外は、実施例1と同様にしてサーミスタを得た。
Figure 0004262152
得られたサーミスタについて、実施例1と同様にして温度−抵抗曲線を得るべく測定を行なったところ、初期室温抵抗値は3.0×10−3Ω(1.9×10−2Ωcm)あり、加熱−冷却後の室温抵抗値は4.0×10−3Ω(2.6×10−2Ωcm)であった。このサーミスタの抵抗変化率は2桁と小さく、十分なPTC特性が得られなかった。
[比較例2]
エポキシ樹脂として、上記式(15)で表されるビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:EPICLON850、大日本インキ化学工業製、エポキシ当量190g/eq)を使用した以外は、実施例2と同様にしてサーミスタを得た。
得られたサーミスタについて、実施例1と同様にして温度−抵抗曲線を得るべく測定を行なったところ、初期室温抵抗値は4.0×10−3Ω(2.6×10−2Ωcm)であり、加熱−冷却後の室温抵抗値は5.0×10−3Ω(3.2×10−2Ωcm)であった。このサーミスタの抵抗変化率は3桁と小さく、十分なPTC特性を示さなかった。
[比較例3]
エポキシ樹脂として、上記式(15)で表されるビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:EPICLON850、大日本インキ化学工業製、エポキシ当量190g/eq)を使用し、硬化剤として酸無水物硬化剤(商品名:B570、大日本インキ化学工業製、酸無水物当量168g/eq)とした以外は、実施例2と同様にしてサーミスタを得た。
得られたサーミスタについて、実施例1と同様にして温度−抵抗曲線を得るべく測定を行なったところ、初期室温抵抗値は4.0×10−3Ω(2.6×10−2Ωcm)であり、加熱−冷却後の室温抵抗値は4.0×10−3Ω(2.6×10−2Ωcm)であった。このサーミスタは、所定の温度領域で大きな抵抗変化を生じず、十分なPTC特性を示さなかった。
実施例1〜4及び比較例1〜3について、エポキシ樹脂の種類及び配合比、硬化剤の種類及び配合比、並びにニッケル粒子の配合比を下記の表1にまとめて示す。なお、表1中の「phr(= PER hundred resin)」は、 エポキシ樹脂100に対する配合比(重量比)を意味する。また、ニッケル粒子の配合比は、上述したように、エポキシ樹脂と硬化剤との合計に対する重量比である。
また、実施例1〜4及び比較例1〜3について、初期室温抵抗値、抵抗変化率、及び加熱−冷却後の室温抵抗値を下記の表2にまとめて示す。
Figure 0004262152
Figure 0004262152
本発明のサーミスタの好適な一実施形態を模式的に示す斜視図である。
符号の説明
1…サーミスタ素体、2…電極、3…電極、10…サーミスタ。

Claims (8)

  1. 互いに対向して配置された1対の電極と、前記1対の電極間に配置されたサーミスタ素体と、を備え、
    前記サーミスタ素体が、下記一般式(1)で表わされる化合物を含むエポキシ樹脂と、アミン化合物を含む硬化剤と、導電性粒子と、を含む混合物から誘導される硬化体を含有することを特徴とするサーミスタ。
    Figure 0004262152
    [式(1)中、R、R及びRは、それぞれ2価の有機基を示し、かつ、R又はRのうちの少なくとも一つは、置換基を有していてもよい、炭素数1以上の2価の鎖式基を示す。]
  2. 互いに対向して配置された1対の電極と、前記1対の電極間に配置されたサーミスタ素体と、を備え、
    前記サーミスタ素体が、下記一般式(2)で表わされる化合物を含むエポキシ樹脂と、アミン化合物を含む硬化剤と、導電性粒子と、を含む混合物から誘導される硬化体を含有することを特徴とするサーミスタ。
    Figure 0004262152
    [式(2)中、Rは、置換基を有していてもよい、炭素数1〜20の2価の鎖式基を示し、R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ下記一般式(a)又は(b)で表される2価の有機基を示す。
    −(Ar−X)− …(a)
    (式(a)中、Arは、置換基を有していてもよい、2価の、5員環基、6員環基、ナフタレン基、若しくはアントラセン基を示し、Xは、炭素数1以上の2価の鎖式基を示す。)
    −Y− …(b)
    (式(b)中、Yは、置換基を有していてもよい、グリシジルエーテル基に結合した炭素原子を含む炭素数1以上の2価の鎖式基を示す。)]
  3. 前記一般式(2)において、Rが、−CH−、−CH(CH)−、又は−C(CH−で示される2価の有機基であり、R及びRが、前記一般式(a)で表され、かつArが−C−である2価の有機基であることを特徴とする請求項2記載のサーミスタ。
  4. 互いに対向して配置された1対の電極と、前記1対の電極間に配置されたサーミスタ素体と、を備え、
    前記サーミスタ素体が、下記一般式(3)で表わされる化合物を含むエポキシ樹脂と、アミン化合物を含む硬化剤と、導電性粒子と、を含む混合物から誘導される硬化体を含有することを特徴とするサーミスタ。
    Figure 0004262152
    [式(3)中、Rは、置換基を有していてもよい、炭素数1〜20の2価の鎖式基を示し、R及びRは単結合又は2価の有機基を示し、かつ、R又はRの少なくとも一方は、−CHCHO−、−CHCH(CH)O−、−CH(CH)CHO−、−SiO−、−CH=CH−、−CH=CH−CH=CH−、−CH=C(CN)−、−CHO−、−CHS−、−NH−CO−O−、−CO−O−、−CH=N−、及び、−O−CO−O−から選ばれる1種以上の構造単位を含む。]
  5. 互いに対向して配置された1対の電極と、前記1対の電極間に配置されたサーミスタ素体と、を備え、
    前記サーミスタ素体が、下記一般式(4)で表わされる化合物を含むエポキシ樹脂と、アミン化合物を含む硬化剤と、導電性粒子と、を含む混合物から誘導される硬化体を含有することを特徴とするサーミスタ。
    Figure 0004262152
    [式(4)中、R10は置換基を有していてもよい、炭素数1〜20の2価の鎖式基を示し、R11及びR12は単結合又は2価の有機基を示し、かつ、R11又はR12の少なくとも一方が、−CH−、−CHCHO−、−CHCH(CH)O−、−CH(CH)CHO−、−SiO−、−CH=CH−、−CH=CH−CH=CH−、−CH=C(CN)−、−CHO−、−CHS−、−NH−CO−、−NH−CO−O−、−CO−O−、及び、−CH=N−からなる群より選択される1種以上の構造単位を含み、かつ当該構造単位がグリシジルエーテル基に結合している。]
  6. 前記一般式(4)において、R11又はR12の少なくとも一方が、下記一般式(5)で示される構造単位を含み、かつ当該構造単位がグリシジルエーテル基に結合していることを特徴とする請求項5記載のサーミスタ。
    −(R13−O)− …(5)
    [式(5)中、R13は、炭素数1〜20の2価の炭化水素基を示し、nは1〜10の整数を示す。]
  7. 前記硬化剤が、芳香族環、脂環式環及び複素環から選ばれる少なくとも1種を有するジアミン化合物を含有することを特徴とする、請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載のサーミスタ。
  8. 前記硬化剤が下記一般式(6)又は(7)で表されるジアミン化合物を含むことを特徴とする、請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載のサーミスタ。
    Figure 0004262152
    [式(6)中、R14は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R15及びR16は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜20のアルキル基を示し、p及びqは同一でも異なっていてもよく、それぞれ0〜4の整数を示す。]
    Figure 0004262152
    [式(7)中、R17及びR18は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜20のアルキレン基を示す。]
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