JP4261854B2 - 積層セラミックコンデンサ製造方法及びセラミックシート積層装置 - Google Patents

積層セラミックコンデンサ製造方法及びセラミックシート積層装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エリアアレイタイプ(ビアアレイタイプ)の積層セラミックコンデンサを製造するための技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エリアアレイタイプの積層セラミックコンデンサは、内部構造として、平面状の電極をセラミック層を間に介して多層積層して成り、積層方向に層間を貫くビアを多数配置し、そのビアによって一層ごとに電極同士を接続する構造を有している。このような構造を有するエリアアレイタイプの積層セラミックコンデンサは、インダクタンスが小さいため、高周波用の電子部品として用いるのに適している。
【0003】
ところで、エリアアレイタイプに限らず、一般に、積層セラミックコンデンサを製造する場合、例えば、表面上にL個の電極パターンが印刷されたセラミックシートを、所望の枚数だけ、順次積層し、得られた積層体をプレスによって圧着し、その後、脱脂,焼成などの種々の工程を経ることによって、L個の積層セラミック電子コンデンサを一度に製造するようにしている。
【0004】
ここで、セラミックシートに印刷されるL個の電極パターンとしては、少なくとも2種類以上必要であり、セラミックシートを積層する際には、種類の異なるものを適宜積層する必要がある。
【0005】
そこで、従来では、電極パターンの種類に応じた個数の印刷製版を準備し、電極パターンの種類が異なる度毎に、印刷製版を変えて印刷していた。
【0006】
このため、印刷製版の枚数が多くなり、印刷設備が複雑になると共に、印刷製版の製造、保管及び準備等に多大な労力及び費用を必要とするという問題点があった。
【0007】
また、多数の印刷製版を、電極パターンの種類が異なる毎に選択する必要があるため、印刷工程が面倒で、複雑になるという問題点もあった。
【0008】
さらに、多数の印刷製版を用いて電極パターンを印刷するため、印刷製版間の誤差に起因するパターンずれが生じ、それに積層する際の誤差が加算されるため、例えば積層コンデンサでは、電極間の重なり面積の変動等を招き、延ては、容量精度が低下する等の問題点があった。
【0009】
そこで、このような問題点を解決する方法として、従来においては、例えば、特開2002−184647号公報に記載されているような方法が提案されていた。
【0010】
かかる既提案例においては、帯状の連続セラミックシートの表面に、4種類の電極パターンをM行N列のマトリックス状に配列して成る領域パターンを、同一の印刷製版で繰り返し印刷し、その連続セラミックシートを搬送させながら、切り出し部において、その連続セラミックシートから、各領域パターンごとに、順次、その領域パターンを含む領域をカットセラミックシートとして切り出し、積層部において、切り出したカットセラミックシートを、各カットセラミックシートごとに、順次、行方向または列方向に電極パターンの1列分または1行分ずらすようにして、積層することにより、或る電極パターンの上には異なる種類の電極パターンが配置されるようにして、1つの積層セラミック電子部品においては、上記4種類の電極パターンが所望の順序で積層されるようにしていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記既提案例においては、切り出したカットセラミックシートの積層位置を、各カットセラミックシートごとに、ずらして積層しているため、積層されたカットセラミックシートでできた積層体の端面は揃っておらず、凹凸になってしまう。その後、プレスによって圧着する際には、その積層体を型などによって端面を規制した状態で加圧することになるが、上記のごとく、積層体の端面が揃っておらず、凹凸になっていると、凹の部分は規制を受けず、自由であるため、圧着時に、積層体に高温・高圧がかかると、凹の部分が延びて、積層体の端部が変形してしまうという問題があった。また、この問題を回避するために、プレスによって圧着する前に、上記積層体の端部を切断して、端面を揃えて、凹凸がないようにすることも可能であるが、端部を切断するための工程が新たに追加されることになり、今度は、工程数が増えるという問題を生じる。
【0012】
従って、本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を解決し、カットセラミックシートを積層する際に、積層したカットセラミックシートの端部から成る積層体の端面を揃えることができ、エリアアレイタイプの積層セラミックコンデンサを製造するのに適した積層セラミックコンデンサ製造方法及びセラミックシート積層装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記した目的の少なくとも一部を達成するために、本発明の第1の方法は、積層セラミックコンデンサを製造するための方法であって、
(a)同一の領域パターンが長手方向に沿って繰り返し印刷された帯状の連続セラミックシートを用意する工程と、
(b)前記連続セラミックシートから、各領域パターンごとに、順次、その領域パターンを含む一定形状の領域を切り出して、カットセラミックシートを得る工程と、
(c)切り出した前記カットセラミックシートを順次積層する工程と、
を備え、
前記領域パターンは、1つ以上の電極パターンを有し、
該電極パターンは、電極部に千鳥状に配列した複数の窓を開けて成り、各窓は、少なくとも前記長手方向に沿って一定の配置間隔αで並んで、複数の列を成していると共に、
前記工程(b)では、前記領域パターンに対する前記切り出し領域の相対的位置が、前回の切り出し時における領域パターンに対する切り出し領域の相対的位置よりも、ほぼ(1/2)α+nα(但し、nは0以上の整数)の距離だけ前記長手方向にずれるように、切り出すことを要旨とする。
【0014】
本発明では、電極パターンにおいて、連続セラミックシートの長手方向における各窓の配置間隔をαとした場合に、領域パターンごとにカットセラミックシートを切り出す際に、領域パターンに対する切り出し領域の相対的位置を、前回の位置より、連続セラミックシートの長手方向に沿って、ほぼ(1/2)α+nαの距離だけずらすことにより、それらカットセラミックシートを順次積層した場合に、得られる積層体において、上下に位置する電極パターン同士は、互いに、上記距離分ずれるため、その積層体を上方から見た場合に、上に位置する電極パターンにおける窓同士の間のほぼ中間点に、下に位置する電極パターンにおける窓をそれぞれ配置させることができ、エリアアレイタイプの積層セラミックコンデンサ用の積層体を得ることができる。しかも、カットセラミックシートを積層する際に、積層位置をずらしていないので、積層体の端面を揃えることができる。よって、その後、そのような積層体をプレスによって圧着しても、積層体の端部が変形することがない。しかも、積層体の端部を切断する必要もないので、工程数が増えることもない。
【0015】
本発明の第2の方法は、積層セラミックコンデンサを製造するための方法であって、
(a)同一の領域パターンが長手方向に沿って繰り返し印刷された帯状の連続セラミックシートを用意する工程と、
(b)前記連続セラミックシートから、各領域パターンごとに、順次、その領域パターンを含む一定形状の領域を切り出して、カットセラミックシートを得る工程と、
(c)切り出した前記カットセラミックシートを順次積層する工程と、
を備え、
前記領域パターンは、1つ以上の電極パターンを有し、
該電極パターンは、電極部に千鳥状に配列した複数の窓を開けて成り、各窓は、少なくとも前記連続セラミックシートの幅方向に沿って一定の配置間隔αで並んで、複数の列を成していると共に、
前記工程(b)では、前記領域パターンに対する前記切り出し領域の相対的位置が、前回の切り出し時における領域パターンに対する切り出し領域の相対的位置よりも、ほぼ(1/2)α+nα(但し、nは0以上の整数)の距離だけ前記幅方向にずれるように、切り出すことを要旨とする。
【0016】
本発明では、電極パターンにおいて、連続セラミックシートの幅方向における各窓の配置間隔をαとした場合に、領域パターンごとにカットセラミックシートを切り出す際に、領域パターンに対する切り出し領域の相対的位置を、前回の位置より、連続セラミックシートの幅方向に沿って、ほぼ(1/2)α+nαの距離だけずらすことにより、第1の方法と同様に、それらカットセラミックシートを順次積層した場合に、得られる積層体において、上下に位置する電極パターン同士は、互いに、上記距離分ずれるため、その積層体を上方から見た場合に、上に位置する電極パターンにおける窓同士の間のほぼ中間点に、下に位置する電極パターンにおける窓をそれぞれ配置させることができ、エリアアレイタイプの積層セラミックコンデンサ用の積層体を得ることができる。しかも、カットセラミックシートを積層する際に、積層位置をずらしていないので、積層体の端面を揃えることができる。よって、その後、そのような積層体をプレスによって圧着しても、積層体の端部が変形することがない。しかも、積層体の端部を切断する必要もないので、工程数が増えることもない。
【0017】
なお、本発明は、上記した積層セラミックコンデンサ製造方法などの方法発明の態様に限ることなく、セラミックシート積層装置などの装置発明としての態様で実現することも可能である。
【0018】
また、これら発明において、「ほぼ(1/2)α+nα」には、(1/4)α+nαより長く、かつ、(3/4)α+nαより短い範囲まで含まれるものとする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1の実施例:
A−1.セラミックシート積層装置の構成及び動作の概要:
A−2.領域パターンの一例:
A−3.セラミックシート切り出し動作:
A−4.実施例の効果:
B.第2の実施例:
B−1.セラミックシート積層装置の構成及び動作の概要:
B−2.領域パターンの一例:
B−3.セラミックシート切り出し動作:
B−4.実施例の効果:
C.変形例:
【0020】
A.第1の実施例:
A−1.セラミックシート積層装置の構成及び動作の概要:
図1は本発明の第1の実施例としてのセラミックシート積層装置を示す構成図である。本実施例のセラミックシート積層装置100は、エリアアレイタイプの積層セラミックコンデンサを製造するのに適した装置であって、連続セラミックシートからセラミックシートを切り出して積層するものである。このセラミックシート積層装置100は、送り出しローラ102と、搬送ローラ103と、切り出しステージ104と、巻き取りローラ106と、積層ヘッド108と、切り出しカッタ110と、カメラ112と、積層ステージ114と、を備えている。
【0021】
このうち、送り出しローラ102には、帯状の連続セラミックシート10が巻き付けられている。この連続セラミックシート10は、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等のキャリアフィルム上に、チタン酸バリウムなどから成るセラミックスラリを均一に薄く塗布し、乾燥させることによって形成されている。さらに、この連続セラミックシート10の表面には、スクリーン印刷などによって、後述するような電極パターンを含む領域パターンが一定の間隔で繰り返し印刷されている。
【0022】
このような連続セラミックシート10が、送り出しローラ102から、搬送ローラ103,切り出しステージ104を介して、巻き取りローラ106に渡してある。そこで、送り出しローラ102,搬送ローラ103,巻き取りローラ106がそれぞれ回転することにより、連続セラミックシート10は、送り出しローラ102から順次送り出され、切り出しステージ104を通って、矢印aの方向に搬送され、巻き取りローラ106に巻き取られる。
【0023】
一方、切り出しステージ104の上方には、カメラ112が据え付けられており、これによって、連続セラミックシート10上に印刷された領域パターンや、領域パターンと共に印刷されているストップマークなどを読み取る。読み取ったストップマークの位置が、切り出しステージ104上に設定された停止基準位置まで来ていたら、連続セラミックシート10の搬送を一時的に停止させる。
【0024】
停止基準位置の上方には、積層ヘッド108が配備されており、この積層ヘッド108の周囲には、切り出しカッタ110が設けられている。連続セラミックシート10の搬送が停止されると、積層ヘッド108が矢印b方向に下りてきて、切り出すべき領域の上で停止する。そして、カメラ112からの読み取った領域パターンの情報に基づいて、積層ヘッド108が微妙に位置決めされ、その後、矢印d方向に沿って、切り出しカッタ110が切り出しステージ104上に下りて、連続セラミックシート10から一定形状の領域を切り出し、切り出したカットセラミックシートを積層ヘッド108が吸着する。そして、切り出しステージ104の縁を利用して、吸着されたカットセラミックシートをキャリアフィルムから剥離する。その後、積層ヘッド108は、カットセラミックシートを吸着したまま、矢印c方向に移動し、積層ステージ114の上方に来たら、位置合わせをした上で積層ステージ114上に下りて、吸着していたカットセラミックシートを放し、積層ステージ114上の、先に切り出されたカットセラミックシートの上に積層する。
【0025】
そして、積層ヘッド108を矢印b方向に戻すと共に、連続セラミックシート10の搬送を再開し、以下同様の処理を繰り返して、連続セラミックシート10から、領域パターンごとに、所望の領域をカットセラミックシートとして切り出して、順次積層する。
【0026】
A−2.領域パターンの一例:
本実施例において、連続セラミックシート10の表面に印刷する領域パターンには、エリアアレイタイプの積層セラミックコンデンサ用として、例えば、図2に示すような領域パターンを用いるようにする。
【0027】
図2は連続セラミックシート10の表面に印刷される領域パターンの一例を示す説明図である。図2(a)において、矢印eは連続セラミックシート10の搬送方向を示している。
【0028】
図2(a)に示すように、1つの領域パターン12は、矩形を成す一定の領域内にマトリックス状に配列された複数の電極パターン14の集合として構成されている。本実施例では、連続セラミックシート10の長手方向(すなわち、矢印eに沿った方向)と同じ方向を列方向、連続セラミックシート10の幅方向と同じ方向を行方向としている。従って、図2に示すように、1つの領域パターン12には、4行×4列の計16個の電極パターン14が配列されている。
【0029】
これら電極パターン14としては、図2(b)に示すようなAパターンが用意されている。エリアアレイタイプの積層セラミックコンデンサ用として、この電極パターンでは、電極部20に、千鳥状に配列された複数の円形窓22が開けられている。行方向,列方向で隣接する円形窓22同士の間隔は、それぞれ、距離αとなっている。
【0030】
一方、各領域パターン12の間には、図2(a)に示すように、切り出し時の干渉を防ぐために、空き領域16が設けられている。また、各領域パターン12の両側には、ストップマーク18が付されている。
【0031】
A−3.セラミックシート切り出し動作:
それでは、本実施例の特徴部分であるセラミックシートの切り出し動作について、図3を用いて説明する。図3は連続セラミックシート10からカットセラミックシートを切り出す際の動作を説明するための説明図である。
【0032】
本実施例においては、図3(a)に示す動作と図3(b)に示す動作を、領域パターンごとに交互に行う。
【0033】
図3(a)に示す動作では、まず、連続セラミックシート10が矢印e方向に搬送されており、領域パターンの両側に付されたストップマーク18の位置が、矢印fで示す切り出しステージ上の停止基準位置に来たことを検出したら、連続セラミックシート10の搬送を停止させる。そして、積層ヘッド108を基準となる第1の切り出し位置に位置決めし、その位置で切り出しカッタ110を下ろし、領域パターンのうち、一点鎖線で囲まれた第1の切り出し領域30を連続セラミックシート10から切り出して、カットセラミックシートとして積層ヘッド108で吸着する。
【0034】
切り出された第1の切り出し領域30に相当するカットセラミックシートは、前述したとおり、積層ヘッド108によって積層ステージ114に運ばれ、位置合わせをした上で、先に切り出されたカットセラミックシートの上に積層される。
【0035】
続いて、連続セラミックシート10の搬送を再開し、図3(b)に示す動作に移る。この動作でも、同様に、次のストップマーク18の位置が、矢印fで示す停止基準位置に来たことを検出したら、連続セラミックシート10の搬送を停止させる。次に、今度は、積層ヘッド108を、基準となる第1の切り出し位置から、列方向で隣接する円形窓22同士の間隔αの1/2に相当する距離だけ、矢印方向に移動させ、第2の切り出し位置に位置決めする。そして、その位置で切り出しカッタ110を下ろし、領域パターンのうち、一点鎖線で囲まれた第2の切り出し領域32を連続セラミックシート10から切り出して、カットセラミックシートとして積層ヘッド108で吸着する。
【0036】
従って、図3(b)に示す動作で切り出される第2の切り出し領域32は、図3(a)に示す動作で切り出される第1の切り出し領域30より、搬送方向に対し後方に、距離(1/2)α分ずれた領域が切り出されることになる。
【0037】
切り出された第2の切り出し領域32に相当するカットセラミックシートは、積層ヘッド108によって積層ステージ114に運ばれ、位置合わせをした上で、先に切り出された第1の切り出し領域30に相当するカットセラミックシートの上に積層される。
【0038】
以下同様にして、図3(a),(b)に示す動作が、前述したとおり、領域パターンごとに交互に繰り返されることになる。
【0039】
図4はセラミックシートの切り出しから積層までの様子を概略的に示す説明図である。図4において、(a)は切り出し後の連続セラミックシート10を示し、(b)は切り出されたカットセラミックシートを示し、(c)は積層されたカットセラミックシート、すなわち、積層体を示している。
【0040】
上記したとおり、連続セラミックシート10の領域パターンごとに、図3(a),(b)に示す切り出し動作が交互に行われることにより、図3(a)に示す動作では、第1の切り出し領域30が、図4(b)に示すように、カットセラミックシート50,52として切り出され、連続セラミックシート10には、図4(a)に示すように、切り出し跡40,42が残り、図3(b)に示す動作では、第2の切り出し領域32が、図4(b)に示すように、カットセラミックシート51,53として切り出され、連続セラミックシート10には、図4(a)に示すように、切り出し跡41,43が残る。こうして切り出されたカットセラミックシート50〜53は、いずれも、4行×4列の計16個の電極パターンを含んでいるものの、カットセラミックシート50,52と、カットセラミックシート51,53と、では切り出し領域の位置が異なるため、含まれる電極パターンは、前述した通り、互いに、搬送方向について距離(1/2)α分だけずれたものとなっている。
【0041】
このようなカットセラミックシート50〜53を、位置合わせをしながら、順次積層することによって、図4(c)に示すような積層体が得られる。
【0042】
図4(c)から明らかなように、上下に位置する電極パターン同士は互いに、搬送方向であった方向について距離(1/2)α分だけずれている。しかし、上下に位置するカットセラミックシート同士自体はずれておらず、従って、これらカットセラミックシートから成る積層体の端面は、揃っており、ほとんど凹凸ができない。
【0043】
図5は図4の積層体における上下に位置するカットセラミックシートの位置関係を上方から見て示した説明図である。上述したように、上下に位置するこれら電極パターン同士は、互いに、搬送方向であった方向について距離(1/2)α、すなわち、列方向で隣接する円形窓22同士の間隔αの半分の距離だけずれているため、図5に示すように、上方から見た場合、上に位置する電極パターンの千鳥状に配列された円形窓22同士の間の中間点に、下に位置する電極パターンの千鳥状に配列された円形窓22が配置されることになり、全体として複数の円形窓22が格子状に配置されたように見える。また、上に位置する電極パターンと下に位置する電極パターンの重なり部分は、ほぼ正方形となっている。
【0044】
以上のようにして得られた積層体は、次に、各々の円形窓22の中心部を通って貫通するように、レーザによって複数の穴が開けられ、続いて、それらの穴に導電材料を充填してビアを形成し、その後、プレスによる圧着を行って、脱脂,焼成などの種々の工程を経ることにより、計16個のエリアアレイタイプの積層セラミックコンデンサを一度に製造する。すなわち、かかる積層セラミックコンデンサの内部構造としては、平面状の電極がセラミック層を間に介して多層積層されており、しかも、積層方向に層間を貫くビアが多数配置され、そのビアによって一層ごとに電極同士が接続された構造を成すことになる。
【0045】
A−4.実施例の効果:
以上説明したように、本実施例においては、セラミックシートを切り出す際に、領域パターンごとに、切り出し領域を、連続セラミックシート10の長手方向(すなわち、搬送方向)に沿って、列方向で隣接する円形窓22同士の間隔αの半分の距離だけ、交互にずらすことにより、それらセラミックシートを順次積層した場合に、得られる積層体において、上下に位置する電極パターン同士は、互いに、上記距離分ずれるため、その積層体を上方から見た場合に、図5に示すように、上に位置する電極パターンにおける円形窓22同士の間の中間点に、下に位置する電極パターンにおける円形窓22をそれぞれ配置させることができ、エリアアレイタイプの積層セラミックコンデンサ用の積層体を得ることができる。
【0046】
しかも、セラミックシートを積層する際には、積層位置をずらして積層していないので、積層されたセラミックシートから成る積層体の端面は、図4(c)に示すように揃っており、ほとんど凹凸ができない。
【0047】
従って、その後、このような積層体をプレスによって圧着する場合に、積層体の端面が揃っているため、端面全体が型による規制を受け、端部が変形することがない。
【0048】
このことを、前述の既提案例との比較の上で、図6を用いて詳細に説明する。図6はプレスによる積層体圧着時の様子を既提案例の場合と本実施例の場合とで比較して示した説明図である。図6において、(a)が既提案例の場合であり、(b)が本実施例の場合である。
【0049】
前述したとおり、既提案例においては、カットセラミックシート60を積層する際に積層位置をずらしているため、図6(a)に示すように、積層体62の端面は揃っておらず、凹凸になってしまう。プレスによって圧着する際には、積層体62を型64によって端面を規制した状態で加圧することになるが、積層体62の端面が揃っておらず、凹凸になっていると、凹の部分は規制を受けず、自由となっている。従って、そのままでは、圧着時に、積層体62に高温・高圧がかかると、凹の部分が矢印方向に延びるため、積層体62の端部が変形してしまう。
【0050】
これに対し、本実施例においては、カットセラミックシート60を積層する際に積層位置をずらしていないため、図6(b)に示すように、積層体62の端面は揃っており、凹凸はほとんどない。従って、積層体62の端面は全体的に型64による規制を受けるため、圧着時に、積層体62に高温・高圧がかかっても、積層体62の端部が変形することはない。
【0051】
また、既提案例においては、カットセラミックシートの積層位置をずらすことに起因して、次のような問題も発生し得る。すなわち、通常、積層ヘッド108によってカットセラミックシートを積層する際には、1枚積層するごとに、積層したカットセラミックシートが動かないように、積層ヘッド108によって加圧するが、積層したカットセラミックシートの端部は、積層位置のずれによって、部分的に浮いており、加圧されない領域が発生する。このため、加圧する際には、加圧の中心軸(加圧方向に平行で積層ヘッド108の中心を通る軸:積層ヘッドに力を伝える機械軸もしくは積層ステージ114を保持しているフレーム)は、均等に加圧するために、カットセラミックシート(正確には、積層ステージ114)に対して完全に垂直である必要があるが、カットセラミックシートに加圧されない領域が偏っていると、その方向に中心軸が傾く可能性があり、軸が傾けば当然位置も変わるので、精度が出ないことになる。
【0052】
これに対し、本実施例においては、積層時に、カットセラミックシートの積層位置をずらしていないため、加圧の中心軸が傾くことなく、シート全体を均等に加圧することができる。
【0053】
また、既提案例においては、積層時におけるカットセラミックシートのずらす距離は電極パターンの1列分または1行分であるのに対し、本実施例では、切り出し時における切り出し位置のずらす距離は、列方向で隣接する円形窓22同士の間隔αの半分の距離であるため、移動量が少ない分、精度よく位置決めすることができる。
【0054】
さらに、既提案例においては、積層時におけるカットセラミックシートのずらす方向を、行方向,列方向の2方向としているのに対し、本実施例では、切り出し時における切り出し位置のずらす方向を連続セラミックシート10の長手方向(すなわち、連続セラミックシート10の列方向)の1方向としているため、移動軸が少ない分、精度よく位置決めすることができ、セラミックシート積層装置自体の構造も複雑化することがなく、装置のコストも安価で済む。
【0055】
なお、その他、既提案例以外における従来の方法としては、例えば、Aパターンの電極パターンのみを配置して成る領域パターンの印刷された連続セラミックシートと、Aパターンとは異なるBパターンの電極パターンのみを配置して成る領域パターンの印刷された連続セラミックシートと、を用意し、特開平10−71611号公報などに記載されているような、切り出し部を2箇所有するセラミックシート積層装置を用いて、2つの連続セラミックシートから、交互に、上記領域パターンを含む領域を切り出して、電極パターンの異なるカットセラミックシートを取得し、積層位置をずらすことなくカットセラミックシートを積層するような方法も考えられるが、かかる方法の場合、カットセラミックシートを異なる連続セラミックシートからそれぞれ切り出すことになるため、積層時の位置決め誤差が大きくなるとと共に、セラミックシート積層装置自体の構成が大規模となり、装置のコストも高価となる。これに対し、本実施例では、カットセラミックシートを1つの連続セラミックシートから切り出しているため、積層時の位置決め誤差が少なく、また、セラミックシート積層装置自体も、切り出し部が1箇所であるため、小規模で、かつ、装置のコストも安価で済む。
【0056】
また、本実施例では、積層体において、上下に位置するこれら電極パターン同士は互いに、搬送方向であった方向について距離(1/2)α分だけずれている。このため、その後、この積層体をプレスによって圧着する際に、圧力が加わっても、上記方向における急激な形状変化が緩和されるため、クラック等が発生しにくいという利点もある。
【0057】
図7は積層体において上下に位置する電極パターンがずれていない場合と、本実施例のごとくずれている場合のプレス圧着時の変化を模式的に示す説明図である。図7において、(a)は、ずれていない場合を示しており、右図は、左図のh部におけるプレス圧着時の様子を拡大して示したものである。(b)は、本実施例のごとくずれている場合を示しており、右図は、左図のj部におけるプレス圧着時の様子を拡大して示したものである。
【0058】
図7(a)に示すように、積層体において上下に位置する電極パターンがずれていない場合、積層体の端部において、電極パターンの端部が揃っているため、その積層体をプレスによって圧着すると、圧力が加わることによって、その部分で急激な変形が起こり、矢印iで示す部分にクラックを発生する可能性がある。
【0059】
これに対し、本実施例においては、図7(b)に示すように、積層体において上下に位置する電極パターンがずれているため、積層体の端部において、電極パターンの端部も揃っていない。従って、このような積層体をプレスによって圧着すると、圧力が加わっても、電極パターンの端部がずれている分、その部分での急激な変形が緩和されるため、クラックが発生しにくい。
【0060】
B.第2の実施例:
B−1.セラミックシート積層装置の構成及び動作の概要:
本実施例のセラミックシート積層装置は、第1の実施例のセラミックシート積層装置100と同じ構成を成しており、基本的に、同様の動作を行う。但し、動作上、次の点が異なってい。すなわち、第1の実施例のセラミックシート積層装置100では、積層ヘッド108を、基準となる第1の切り出し位置から搬送方向(すなわち、列方向)に距離(1/2)α移動させることが可能であったが、本実施例のセラミックシート積層装置100では、積層ヘッド108を、基準となる第1の切り出し位置から搬送方向とは垂直な方向(すなわち、行方向)に距離(1/2)α移動させることが可能となっている。
【0061】
B−2.領域パターンの一例:
本実施例において、連続セラミックシート10の表面に印刷する領域パターンには、エリアアレイタイプの積層セラミックコンデンサ用として、例えば、図8に示すような領域パターンを用いるようにする。
【0062】
図8は連続セラミックシート10の表面に印刷される領域パターンの一例を示す説明図である。図8(a)において、矢印eは連続セラミックシート10の搬送方向を示している。
【0063】
図8(a)に示すように、1つの領域パターン12’は、図2(a)の場合と同様に、矩形を成す一定の領域内にマトリックス状に配列された複数の電極パターン14’の集合として構成されている。本実施例においても、連続セラミックシート10の長手方向(すなわち、矢印eに沿った方向)と同じ方向を列方向、連続セラミックシート10の幅方向と同じ方向を行方向としている。従って、図8に示すように、1つの領域パターン12’には、4行×4列の計16個の電極パターン14’が配列されている。
【0064】
これら電極パターン14’としては、図8(b)に示すようなCパターンが用意されている。エリアアレイタイプの積層セラミックコンデンサ用として、この電極パターンでも、電極部20に、千鳥状に配列された複数の円形窓22が開けられている。行方向,列方向で隣接する円形窓22同士の間隔は、それぞれ、距離αとなっている。
【0065】
また、図8(a)に示すように、各領域パターン12’の間には、図2(a)の場合と同様に、空き領域16が設けられている。また、各領域パターン12’の両側には、ストップマーク18が付されている。
【0066】
B−3.セラミックシート切り出し動作:
それでは、本実施例の特徴部分であるセラミックシートの切り出し動作について、図9を用いて説明する。図9は連続セラミックシート10からカットセラミックシートを切り出す際の動作を説明するための説明図である。図9において、(b),(c)は、それぞれ、(a)に対して90度異なる方向から示している。
【0067】
本実施例においては、図9(b)に示す動作と図9(c)に示す動作を、領域パターンごとに交互に行う。
【0068】
図9(b)に示す動作では、まず、連続セラミックシート10が矢印e方向に搬送されており、領域パターンの両側に付されたストップマーク18の位置が、図9(a)において矢印fで示す切り出しステージ上の停止基準位置に来たことを検出したら、連続セラミックシート10の搬送を停止させる。そして、積層ヘッド108を基準となる第1の切り出し位置に位置決めし、その位置で切り出しカッタ110を下ろし、領域パターンのうち、一点鎖線で囲まれた第1の切り出し領域30を連続セラミックシート10から切り出して、カットセラミックシートとして積層ヘッド108で吸着する。
【0069】
切り出された第1の切り出し領域30’に相当するカットセラミックシートは、前述したとおり、積層ヘッド108によって積層ステージ114に運ばれ、位置合わせをした上で、先に切り出されたカットセラミックシートの上に積層される。
【0070】
続いて、連続セラミックシート10の搬送を再開し、図9(c)に示す動作に移る。この動作でも、同様に、次のストップマーク18の位置が、図9(a)における矢印fで示す停止基準位置に来たことを検出したら、連続セラミックシート10の搬送を停止させる。次に、今度は、積層ヘッド108を、基準となる第1の切り出し位置から、行方向(搬送方向に対して垂直な方向)で隣接する円形窓22同士の間隔αの1/2に相当する距離だけ、矢印方向に移動させ、第2の切り出し位置に位置決めする。そして、その位置で切り出しカッタ110を下ろし、領域パターンのうち、一点鎖線で囲まれた第2の切り出し領域32’を連続セラミックシート10から切り出して、カットセラミックシートとして積層ヘッド108で吸着する。
【0071】
従って、図9(c)に示す動作で切り出される第2の切り出し領域32’は、図9(b)に示す動作で切り出される第1の切り出し領域30’より、搬送方向に対し垂直な方向において、左側に、距離(1/2)α分ずれた領域が切り出されることになる。
【0072】
切り出された第2の切り出し領域32’に相当するカットセラミックシートは、積層ヘッド108によって積層ステージ114に運ばれ、位置合わせをした上で、先に切り出された第1の切り出し領域30’に相当するカットセラミックシートの上に積層される。
【0073】
以下同様にして、図9(b),(c)に示す動作が、前述したとおり、領域パターンごとに交互に繰り返されることになる。
【0074】
図10はセラミックシートの切り出しから積層までの様子を概略的に示す説明図である。図10において、(a)は切り出し後の連続セラミックシート10を示し、(b)は切り出されたカットセラミックシートを示し、(c)は積層されたカットセラミックシート、すなわち、積層体を示している。なお、(c)は、(b)における矢印z方向から見た場合を示している。
【0075】
上記したとおり、連続セラミックシート10の領域パターンごとに、図9(b),(c)に示す切り出し動作が交互に行われることにより、図9(b)に示す動作では、第1の切り出し領域30’が、図10(b)に示すように、カットセラミックシート50’,52’として切り出され、連続セラミックシート10には、図10(a)に示すように、切り出し跡40’,42’が残り、図9(c)に示す動作では、第2の切り出し領域32’が、図8(b)に示すように、カットセラミックシート51’,53’として切り出され、連続セラミックシート10には、図10(a)に示すように、切り出し跡41’,43’が残る。こうして切り出されたカットセラミックシート50’〜53’は、いずれも、4行×4列の計16個の電極パターンを含んでいるものの、カットセラミックシート50’,52’と、カットセラミックシート51’,53’と、では切り出し領域の位置が異なるため、含まれる電極パターンは、前述した通り、互いに、搬送方向に対して垂直な方向に、距離(1/2)α分だけずれたものとなっている。
【0076】
このようなカットセラミックシート50’〜53’を、位置合わせをしながら、順次積層することによって、図10(c)に示すような積層体が得られる。
【0077】
図10(c)から明らかなように、上下に位置する電極パターン同士は互いに、搬送方向に対して垂直方向であった方向について距離(1/2)α分だけずれている。しかし、上下に位置するカットセラミックシート同士自体はずれておらず、従って、これらカットセラミックシートから成る積層体の端面は、揃っており、ほとんど凹凸ができない。
【0078】
図11は図10の積層体における上下に位置するカットセラミックシートの位置関係を上方から見て示した説明図である。上述したように、上下に位置するこれら電極パターン同士は、互いに、搬送方向に対して垂直方向であった方向について距離(1/2)α、すなわち、行方向で隣接する円形窓22同士の間隔αの半分の距離だけずれているため、図11に示すように、上方から見た場合、上に位置する電極パターンの千鳥状に配列された円形窓22同士の間の中間点に、下に位置する電極パターンの千鳥状に配列された円形窓22が配置されることになり、全体として複数の円形窓22が格子状に配置されたように見える。また、上に位置する電極パターンと下に位置する電極パターンの重なり部分は、ほぼ正方形となっている。
【0079】
以上のようにして得られた積層体は、次に、各々の円形窓22の中心部を通って貫通するように、レーザによって複数の穴が開けられ、続いて、それらの穴に導電材料を充填してビアを形成し、その後、プレスによる圧着を行って、脱脂,焼成などの種々の工程を経ることにより、計16個のエリアアレイタイプの積層セラミックコンデンサを一度に製造する。すなわち、かかる積層セラミックコンデンサの内部構造としては、平面状の電極がセラミック層を間に介して多層積層されており、しかも、積層方向に層間を貫くビアが多数配置され、そのビアによって一層ごとに電極同士が接続された構造を成すことになる。
【0080】
B−4.実施例の効果:
以上説明したように、本実施例においては、セラミックシートを切り出す際に、領域パターンごとに、切り出し領域を、連続セラミックシート10の幅方向(すなわち、搬送方向に対し垂直な方向)に沿って、行方向で隣接する円形窓22同士の間隔αの半分の距離だけ、交互にずらすことにより、それらセラミックシートを順次積層した場合に、得られる積層体において、上下に位置する電極パターン同士は、互いに、上記距離分ずれるため、その積層体を上方から見た場合に、図11に示すように、上に位置する電極パターンにおける円形窓22同士の間の中間点に、下に位置する電極パターンにおける円形窓22をそれぞれ配置させることができ、エリアアレイタイプの積層セラミックコンデンサ用の積層体を得ることができる。
【0081】
しかも、セラミックシートを積層する際には、積層位置をずらして積層していないので、積層されたセラミックシートから成る積層体の端面は、図10(c)に示すように揃っており、ほとんど凹凸ができない。
【0082】
従って、その後、このような積層体をプレスによって圧着する場合に、積層体の端面が揃っているため、端面全体が型による規制を受け、端部が変形することがない。
【0083】
また、本実施例においては、その他の効果についても、第1の実施例と同等の効果を奏し得る。
【0084】
C.変形例:
なお、本発明は上記した実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様にて実施することが可能である。
【0085】
上記した実施例のうち、第1の実施例においては、電極パターン14として、図2(b)に示すようなAパターンを用い、また、第2の実施例においては、電極パターン14’として、図8(b)に示すようなCパターンを用いるようにしたが、本発明は、これらパターンに限るものではない。
【0086】
図12は電極パターンの他の具体例を示す説明図である。第1の実施例においては、電極パターン14として、Aパターンの代わりに、図12(a)に示すBパターンを用いて、第2の実施例においては、電極パターン14’として、Cパターンの代わりに、図12(a)に示すDパターンを用いるようにしてもよい。
【0087】
また、上記した実施例においては、1つの領域パターンに電極パターンとして、1種類のパターンのみを用いるようにしたが、2種類以上のパターンを混在して用いるようにしてもよい。例えば、第1の実施例においては、1つの領域パターン12に電極パターン14として、AパターンとBパターンとを混在して用いるようにしてもよいし、また、第2の実施例においては、1つの領域パターン12’に電極パターン14’として、CパターンとDパターンとを混在して用いるようにしてもよい。
【0088】
上記した実施例では、電極パターンにおける行方向,列方向で隣接する円形窓22同士の間隔をαとした場合において、連続セラミックシート10からカットセラミックシートを切り出す際に、領域パターンごとに、切り出し領域の位置を、連続セラミックシート10の長手方向(すなわち、列方向)または幅方向(すなわち、行方向)に沿って、交互に、距離(1/2)α分だけずらしながら切り出していた。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、ずらす距離を変えるようにしてもよい。
【0089】
例えば、領域パターンごとに、切り出し領域の位置を、連続セラミックシート10の長手方向(すなわち、列方向)または幅方向(すなわち、行方向)に沿って、交互に、距離(3/2)α分だけずらすようにしてもよい。具体的には、或る領域パターンについては、積層ヘッド108を基準となる第1の切り出し位置に位置決めし、その位置で切り出しカッタ110を下ろし、第1の切り出し領域を連続セラミックシート10から切り出し、次の領域パターンについては、積層ヘッド108を、基準となる第1の切り出し位置から、列方向または行方向で隣接する円形窓22同士の間隔αの3/2に相当する距離だけ、連続セラミックシート10の長手方向または幅方向に移動させて位置決めし、その位置で切り出しカッタ110を下ろし、第2の切り出し領域を連続セラミックシート10から切り出し、以降、この動作を交互に繰り返すようにする。
【0090】
なお、(1/2)αまたは(3/2)αの距離だけずらす場合に限らず、(1/2)α+nα(但し、nは0以上の整数)の距離だけずらすようにしてもよい。かかる距離であれば、その積層体を上方から見た場合に、上に位置する電極パターンにおける円形窓22同士の間の中間点に、下に位置する電極パターンにおける円形窓22をそれぞれ配置させることができる。但し、nの値は、電極パターンにおける円形窓22の長手方向や幅方向に配置された数や、ずれによって電極パターンの端部における使用されない部分の大きさなどを考慮して決定する必要がある。
【0091】
また、本発明において、ずらす距離をΔsとした場合、その範囲は、好ましくは、(1/4)α+nα<Δs<(3/4)α+nα(但し、nは0以上の整数)であり、より好ましくは、上記したとおり、Δs=(1/2)α+nαである。しかし、円形窓22の中心部に設けられる貫通穴、すなわち、ビアの直径をβとすると、ずらす距離Δsとして許容できる最大の範囲は、β+nα<Δs<α−β+nαである。ずらす距離Δsがこの範囲内にないと、隣接するビア同士が接触してしまうことになる。
【0092】
また、上記した実施例においては、電極パターンに開けられた窓の形状は、円形であったが、楕円形や多角形であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例としてのセラミックシート積層装置を示す構成図である。
【図2】連続セラミックシート10の表面に印刷される領域パターンの一例を示す説明図である。
【図3】連続セラミックシート10からカットセラミックシートを切り出す際の動作を説明するための説明図である。
【図4】セラミックシートの切り出しから積層までの様子を概略的に示す説明図である。
【図5】図4の積層体における上下に位置するカットセラミックシートの位置関係を上方から見て示した説明図である。
【図6】プレスによる積層体圧着時の様子を既提案例の場合と本実施例の場合とで比較して示した説明図である。
【図7】積層体において上下に位置する電極パターンがずれていない場合と、本実施例のごとくずれている場合のプレス圧着時の変化を模式的に示す説明図である。
【図8】連続セラミックシート10の表面に印刷される領域パターンの一例を示す説明図である。
【図9】連続セラミックシート10からカットセラミックシートを切り出す際の動作を説明するための説明図である。
【図10】セラミックシートの切り出しから積層までの様子を概略的に示す説明図である。
【図11】図10の積層体における上下に位置するカットセラミックシートの位置関係を上方から見て示した説明図である。
【図12】電極パターンの他の具体例を示す説明図である。
【符号の説明】
10…連続セラミックシート
12,12’…領域パターン
14,14’…電極パターン
16…空き領域
18…ストップマーク
20…電極部
22…円形窓
30,30’…第1の切り出し領域
32,32’…第2の切り出し領域
40〜43,40’〜43’…切り出し跡
50〜53,50’〜53’…カットセラミックシート
60…カットセラミックシート
62…積層体
64…型
100…セラミックシート積層装置
102…送り出しローラ
103…搬送ローラ
104…切り出しステージ
106…巻き取りローラ
108…積層ヘッド
110…カッタ
112…カメラ
114…積層ステージ

Claims (4)

  1. 積層セラミックコンデンサを製造するための方法であって、
    (a)同一の領域パターンが長手方向に沿って繰り返し印刷された帯状の連続セラミックシートを用意する工程と、
    (b)前記連続セラミックシートから、各領域パターンごとに、順次、その領域パターンを含む一定形状の領域を切り出して、カットセラミックシートを得る工程と、
    (c)切り出した前記カットセラミックシートを順次積層する工程と、
    を備え、
    前記領域パターンは、1つ以上の電極パターンを有し、
    該電極パターンは、電極部に千鳥状に配列した複数の窓を開けて成り、各窓は、少なくとも前記長手方向に沿って一定の配置間隔αで並んで、複数の列を成していると共に、
    前記工程(b)では、前記領域パターンに対する前記切り出し領域の相対的位置が、前回の切り出し時における領域パターンに対する切り出し領域の相対的位置よりも、ほぼ(1/2)α+nα(但し、nは0以上の整数)の距離だけ前記長手方向にずれるように、切り出すことを特徴とする積層セラミックコンデンサ製造方法。
  2. 積層セラミックコンデンサを製造するための方法であって、
    (a)同一の領域パターンが長手方向に沿って繰り返し印刷された帯状の連続セラミックシートを用意する工程と、
    (b)前記連続セラミックシートから、各領域パターンごとに、順次、その領域パターンを含む一定形状の領域を切り出して、カットセラミックシートを得る工程と、
    (c)切り出した前記カットセラミックシートを順次積層する工程と、
    を備え、
    前記領域パターンは、1つ以上の電極パターンを有し、
    該電極パターンは、電極部に千鳥状に配列した複数の窓を開けて成り、各窓は、少なくとも前記連続セラミックシートの幅方向に沿って一定の配置間隔αで並んで、複数の列を成していると共に、
    前記工程(b)では、前記領域パターンに対する前記切り出し領域の相対的位置が、前回の切り出し時における領域パターンに対する切り出し領域の相対的位置よりも、ほぼ(1/2)α+nα(但し、nは0以上の整数)の距離だけ前記幅方向にずれるように、切り出すことを特徴とする積層セラミックコンデンサ製造方法。
  3. 積層セラミックコンデンサを製造するために、セラミックシートを切り出して積層するセラミックシート積層装置であって、
    同一の領域パターンが長手方向に沿って繰り返し印刷された帯状の連続セラミックシートを、前記長手方向に搬送する搬送部と、
    前記連続セラミックシートから、各領域パターンごとに、順次、その領域パターンを含む一定形状の領域を切り出して、カットセラミックシートを得る切り出し部と、
    切り出した前記カットセラミックシートを順次積層する積層部と、
    を備え、
    前記領域パターンは、1つ以上の電極パターンを有し、
    該電極パターンは、電極部に千鳥状に配列した複数の窓を開けて成り、各窓は、少なくとも前記長手方向に沿って一定の配置間隔αで並んで、複数の列を成していると共に、
    前記切り出し部は、前記領域パターンに対する前記切り出し領域の相対的位置が、前回の切り出し時における領域パターンに対する切り出し領域の相対的位置よりも、ほぼ(1/2)α+nα(但し、nは0以上の整数)の距離だけ前記長手方向にずれるように、切り出すことを特徴とするセラミックシート積層装置。
  4. 積層セラミックコンデンサを製造するために、セラミックシートを切り出して積層するセラミックシート積層装置であって、
    同一の領域パターンが長手方向に沿って繰り返し印刷された帯状の連続セラミックシートを、前記長手方向に搬送する搬送部と、
    前記連続セラミックシートから、各領域パターンごとに、順次、その領域パターンを含む一定形状の領域を切り出して、カットセラミックシートを得る切り出し部と、
    切り出した前記カットセラミックシートを順次積層する積層部と、
    を備え、
    前記領域パターンは、1つ以上の電極パターンを有し、
    該電極パターンは、電極部に千鳥状に配列した複数の窓を開けて成り、各窓は、少なくとも前記連続セラミックシートの幅方向に沿って一定の配置間隔αで並んで、複数の列を成していると共に、
    前記切り出し部は、前記領域パターンに対する前記切り出し領域の相対的位置が、前回の切り出し時における領域パターンに対する切り出し領域の相対的位置よりも、ほぼ(1/2)α+nα(但し、nは0以上の整数)の距離だけ前記幅方向にずれるように、切り出すことを特徴とするセラミックシート積層装置。
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