JP4261799B2 - 鏡像異性的に純粋なα−置換カルボン酸の製造方法 - Google Patents
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Description
発明の分野
本発明は、概して、鏡像異性的に純粋なα-置換カルボン酸の製造方法に関する。本発明は、さらに詳細には、1つの反応槽における鏡像異性的に純粋なα-アミノ酸の製造方法であって、シアン化物化合物、アンモニアもしくはアミン化合物およびアルデヒドまたはケトンとの存在下での立体選択的ニトリラーゼの使用を含む該方法に関する。
【0002】
発明の背景
不斉有機合成は薬物の設計および開発において未だ重要であることから、新しい合成方法およびキラル前駆体の探索に拍車がかかっている。この研究努力により、多くの新規な合成方法およびキラル前駆体が同定され、これらは生物学的に関心のある複雑な分子の開発に利用されている。
【0003】
キラル分子の1つの主要なクラスは、α-置換カルボン酸である。これらの分子は、長い間、多種多様な複雑で生物学的に活性な分子の重要なキラル前駆体であると認識されてきた。特に、鏡像異性的に純粋なα-アミノ酸の合成方法の開発には多大な研究努力がなされてきた。近年、例えばキラル薬剤を含む種々の用途のための鏡像異性的に純粋なα-アミノ酸がますます必要とされてきている。
【0004】
α-アミノ酸への一般的な合成経路は以下に示すストレッカー(Strecker)合成である。
【0005】
【化3】
シアン化物およびアンモニアのアルデヒドまたはケトンに対する可逆的な付加により、アミノニトリル中間体が生じ、これを加水分解すると、所望のα-アミノ酸が得られる。この合成はラセミ型のアミノ酸を工業的規模で製造するのに用いられているが、ストレッカー合成のキラル型の開発はそれほど成功しているとは言えない。
【0006】
したがって、当技術分野では、例えばα-アミノ酸およびα-ヒドロキシ酸のような鏡像異性的に純粋なα-置換カルボン酸の効率的で、安価で、高収率な合成方法が必要とされている。
【0007】
発明の概要
本発明によれば、例えばα-アミノ酸およびα-ヒドロキシ酸のような鏡像異性的に純粋なα-置換カルボン酸の製造方法が提供される。この方法は、アルデヒドまたはケトンを、アミノニトリルまたはシアノヒドリン中間体を立体選択的に加水分解するニトリラーゼの存在下で、該カルボン酸を生成するのに十分な条件下で、シアン化物およびアンモニア含有化合物もしくはアンモニウム塩と組み合わせることを含む。
【0008】
第1の実施形態において、本発明は、鏡像異性的に純粋なα-置換カルボン酸の製造方法を提供する。この方法は、アルデヒドまたはケトンを、シアン化物含有化合物およびアンモニア含有化合物もしくはアンモニウム塩もしくはアミンと接触させ、得られたアミノニトリルまたはシアノヒドリン中間体をニトリラーゼまたはニトリラーゼ活性を有するポリペプチドで加水分解することを含み、但し、該ニトリラーゼは、それら反応成分の存在下で該カルボン酸を生産するのに十分な条件下および時間にわたり加水分解を行うのに十分活性である。
【0009】
本発明の別の態様において、本明細書に記載の方法により製造される化合物が提供される。
【0010】
さらに別の実施形態において、本発明は、ニトリラーゼポリペプチドおよびそのようなニトリラーゼポリペプチドをコードする核酸を提供する。これらのニトリラーゼポリペプチドは、本発明の方法において有用なポリペプチドの例であるが、該方法はこれらの特定のポリペプチドの使用に限定されないと理解すべきである。1つの態様において、本発明は、配列番号2または4に示すアミノ酸配列およびそれらに対して少なくとも70%の同一性を有しかつニトリラーゼ活性を有する配列を有する実質的に精製されたポリペプチドを提供する。
【0011】
別の態様において、本発明は、配列番号2または4に示すアミノ酸配列およびそれらに対して少なくとも70%の同一性を有しかつニトリラーゼ活性を有する配列をコードする単離された核酸配列、ならびに該核酸配列にハイブリダイズするその断片を提供する。
【0012】
詳細な説明
本発明によれば、鏡像異性的に純粋なα-置換カルボン酸の製造方法が提供される。本発明の方法は、アルデヒドまたはケトンを、シアン化物含有化合物(好ましくは金属または気体シアン化物化合物)およびアンモニア含有化合物もしくはアンモニウム塩もしくはアミンと接触させ、得られたアミノニトリルまたはシアノヒドリン中間体をニトリラーゼで立体選択的に加水分解することを含み、但し、該ニトリラーゼは、シアン化物およびアンモニアの存在下で加水分解を行うのに十分活性である。この立体選択的合成をスキーム1に概記する。
【0013】
【化4】
アミノニトリルまたはシアノヒドリンの形成は可逆的なプロセスなので、立体選択的なニトリラーゼの使用はキラル誘導をもたらし、それにより、所望のアミノ酸またはヒドロキシ酸エナンチオマーを100%の理論的収率で生成する。事実、アリールアルデヒドおよびケトン(この場合、平衡はアミノニトリルまたはシアノヒドリンの形成の方に傾きにくい)でさえ、効果的にキラルα-カルボン酸へと変換される。さらに、本発明の実施において用いようとする立体選択的ニトリラーゼはシアン化物およびアンモニアの存在下で加水分解を行うことができるので、発明の方法は、1つの反応槽内で所望の鏡像異性的に純粋なα-置換カルボン酸を製造する、というさらなる利点をもたらす。典型的なモデルにおいて、ニトリラーゼは配列番号2または4であるが、本方法はそのように限定されない。
【0014】
本発明の方法により製造される鏡像異性的に純粋なα-置換カルボン酸は以下の構造を有する。
【0015】
【化5】
[式中、
R1およびR2はそれぞれ独立して、−H、置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、複素環であり、但し、該置換基は低級アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、シクロアルキル、複素環、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシまたはハロゲンであるか、または場合によりR1およびR2は結合して共同で環状官能基を形成し;
Eは−N(Rx)2または−OH(式中、各Rxは−Hまたは低級アルキルである)である。]
本明細書中で用いる「アルキル」なる用語は、炭素数1〜24の一価の直鎖または分岐鎖または環状の基をいい、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ヘキシルなどを含む。「低級アルキル」なる用語は、炭素数が1から約6の一価の直鎖または分岐鎖または環状の基をいう。
【0016】
本明細書中で用いる「置換アルキル」とは、ヒドロキシ、(低級アルキル基の)アルコキシ、(低級アルキル基の)メルカプト、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、ニトロン、アミノ、アミド、-C(O)H、アシル、オキシアシル、カルボキシル、カルバメート、スルホニル、スルホンアミド、スルフリルなどから選ばれる1以上の置換基をさらに有するアルキル基を含む。
【0017】
本明細書中で用いられる「アルケニル」とは、1以上の炭素−炭素二重結合を有し、かつ炭素数が約2から24の範囲の直鎖または分岐鎖の炭化水素基(hydrocarbyl group)をいい、「置換アルケニル」とは、1以上の上記の置換基をさらに有するアルケニル基をいう。
【0018】
本明細書中で用いられる「シクロアルキル」とは、炭素数が約3から8の範囲の環含有基をいい、「置換シクロアルキル」とは、1以上の上記の置換基をさらに有するシクロアルキル基をいう。
【0019】
本明細書中で用いられる「複素環(heterocyclic)」とは、環構造の一部として1以上のヘテロ原子(例えば、N、O、Sなど)を含み、かつ炭素数が3から14の範囲である環状の(すなわち、環含有)基をいい、「置換複素環」とは、1以上の上記の置換基をさらに有する複素環基をいう。
【0020】
本明細書中で用いられる「アルキニル」とは、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有し、かつ炭素数が約2から12の範囲の直鎖または分岐鎖の炭化水素基をいい、「置換アルキニル」とは、1以上の上記の置換基をさらに有するアルキニル基をいう。
【0021】
本明細書中で用いられる「アリール」とは、炭素数が6から14の範囲の芳香族基をいい、「置換アリール」とは、1以上の上記の置換基をさらに有するアリール基をいう。
【0022】
好ましい実施形態では、本発明の方法により製造される鏡像異性的に純粋なα-置換カルボン酸とは、α-アミノ酸またはα-ヒドロキシ酸である。特に好ましい実施形態において、鏡像異性的に純粋なα-アミノ酸はD-フェニルアラニン、D-フェニルグリシンまたはL-メチルフェニルグリシン、L-tert-ロイシン、D-アラニンまたはD-ヒドロキシノルロイシン、R-パントラクトン、2-クロロマンデル酸、(S)-および(R)-マンデル酸であり、鏡像異性的に純粋なα-ヒドロキシ酸は(S)-シクロヘキシルマンデル酸である。
【0023】
本発明の実施において用いようとするアルデヒドおよびケトンは以下の構造を有する:
【化6】
[式中、R1およびR2は上記のとおりである。]。好ましい実施形態において、R1およびR2の少なくとも一方はアリール基である。
【0024】
本発明の実施において用いようとする金属シアン化物としては、アルカリ金属シアン化物であるLiCN、NaCN、KCN、RbCNおよびCsCNが挙げらる。好ましいアルカリ金属シアン化物としては、LiCN、NaCNおよびKCNが挙げられる。最も好ましいアルカリ金属シアン化物はKCNである。さらに、気体シアン化物は本発明の方法において有用である。
【0025】
アンモニアまたはアンモニウム塩またはアミンは本発明に従って使用できる。本発明の実施において用いようとするアンモニウム塩は、式NH2(R)2 +X-[式中、各Rは独立して−Hまたは低級アルキルであり、Xはフッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素または任意の対イオンである。]を有する。したがって、Rが低級アルキルである場合、本発明の方法はまた、N-置換またはN,N-二置換の鏡像異性的に純粋なα-アミノ酸も提供する。好ましい実施形態では、アンモニウム塩はNH4+Cl-である。
【0026】
本発明の実施において用いようとするニトリラーゼとしては、ストレッカー条件下(すなわち、シアン化物およびアンモニアの存在下)で、中間体のアミノニトリルまたはシアノヒドリンを立体選択的に加水分解するのに十分強いものが挙げられる。そのようなニトリラーゼとしては、例えば配列番号2および4に示すものが挙げられる。
【0027】
本明細書中で用いられる「核酸」または「核酸配列」なる語句は、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、ポリヌクレオチドもしくはそれらの任意の断片、またはゲノムもしくは合成起源のDNAもしくはRNAをいい、それらは一本鎖であっても二本鎖であってもよく、センスもしくはアンチセンス鎖、ペプチド核酸(PNA)、または任意のDNA様もしくはRNA様の物質であってもよく、起源が天然であっても合成であってもよい。1つの実施形態において、本発明の「核酸配列」としては、例えば、配列番号2および4に示すポリペプチドをコードする配列ならびにそれらの変異体が挙げられる。別の実施形態では、本発明の「核酸配列」としては、例えば、配列番号1および3に示す配列、それらに相補的な配列、前記配列の断片、ならびにそれらの変異体が挙げられる。
【0028】
「コード配列」または特定のポリペプチドもしくはタンパク質を「コードするヌクレオチド配列」とは、適切な調節配列の調節下におかれた場合にポリペプチドまたはタンパク質へと転写および翻訳される核酸配列である。
【0029】
「遺伝子」なる用語は、ポリペプチド鎖の産生に関与するDNAのセグメントを意味し、それは、コード領域の前および後ろの領域(リーダーおよびトレーラー)、ならびに、該当する場合には、個々のコードセグメント(エキソン)の間の介在配列(イントロン)を含む。
【0030】
本明細書中で用いられる「アミノ酸」または「アミノ酸配列」とは、オリゴペプチド、ペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質の配列、またはこれらの任意のものの断片、部分またはサブユニット、ならびに天然存在または合成の分子をいう。1つの実施形態において、本発明の「アミノ酸配列」または「ポリペプチド配列」としては、例えば、配列番号2および4に示す配列、前記配列の断片、ならびにそれらの変異体が挙げられる。別の実施形態において、本発明の「アミノ酸配列」としては、例えば、配列番号1および3に示す配列を有するポリヌクレオチドによりコードされる配列、それらに相補的な配列、前記配列の断片、ならびにそれらの変異体が挙げられる。
【0031】
本明細書中で用いられる「ポリペプチド」なる用語は、ペプチド結合または改変ペプチド結合[すなわち、ペプチドアイソスター(peptide isosteres)]により互いに結合しているアミノ酸をいい、20種の遺伝子コードされるアミノ酸以外の修飾アミノ酸を含んでもよい。このポリペプチドは、翻訳後プロセッシングなどのいずれかの天然のプロセスにより、または当業界で周知の化学的改変法により改変されていてもよい。改変は、ポリペプチドのどこで起こっていてもよく、ペプチドバックボーン、アミノ酸側鎖、およびアミノもしくはカルボキシル末端が挙げられる。所与のポリペプチドの幾つかの部位に、同じタイプの改変が同程度または様々な程度で存在してもよいことが理解されよう。所与のポリペプチドはまた、多くのタイプの改変を有してもよい。改変としては、アセチル化、アシル化、ADP-リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合による結合、ヘム成分の共有結合による結合、ヌクレオチドもしくはヌクレオチド誘導体の共有結合による結合、脂質もしくは脂質誘導体の共有結合による結合、ホスフィチジルイノシトールの共有結合による結合、架橋環化、ジスルフィド結合の形成、脱メチル化、共有架橋の形成、システインの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、γ-カルボキシル化、グルコシル化、GPIアンカーの形成、ヒドロキシル化、ヨード化、メチル化、ミリストリル化、酸化、パーギル化(pergylation)、タンパク質分解的プロセッシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、およびトランスファーRNAに媒介されるタンパク質へのアミノ酸の付加(例えばアルギニル化)が挙げられる[Proteins-Structure and Molecular Properties 第2版, T.E. Creighton, W.H. Freeman and Company, New York (1993);Posttranslational Covalent Modification of Proteins, B.C. Johnson編, Academic Press, New York, 1-12頁 (1983)を参照]。
【0032】
本明細書中で用いられる「単離された」なる用語は、物質がその元の環境(例えば、それが天然に存在するものである場合には天然の環境)から取り出されていることを意味する。例えば、生きている動物内に存在する天然のポリヌクレオチドまたはポリペプチドは単離されているとは言わないが、天然の系において共存物質の幾つかまたは全部から分離された同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドは単離されていると言う。そのようなポリヌクレオチドはベクターの部分であってもよいし、かつ/または、そのようなポリペプチドもしくはポリヌクレオチドは組成物の部分であってもよく、さらに、そのようなベクターもしくは組成物がその天然の環境の一部ではないという点において単離されていてもよい。
【0033】
本明細書中で用いられる「精製された」なる用語は、絶対的な純度は必要とせず、相対的な定義とする。ライブラリーから得られた個々の核酸は、常法により精製して電気泳動的に均質にしてある。これらのクローンから得られる配列は、ライブラリーからも、全ヒトDNAからも直接得ることはできないだろう。本発明の精製された核酸は、生物内のゲノムDNAの残りのものから少なくとも104〜106倍精製される。しかし、「精製された」なる用語はまた、ゲノムDNAの残りのものから、またはライブラリー中の他の配列から、または他の環境から、少なくとも1桁のオーダーで、典型的には2桁または3桁のオーダーで、さらに典型的には4桁または5桁のオーダーで精製されている核酸も含む。
【0034】
本明細書中で用いられる「組換え」なる用語は、核酸が、その天然の環境では隣接していない「バックボーン」核酸に隣接していることを意味する。さらに、「富化」されているとは、その核酸が、核酸バックボーン分子の集団中の核酸インサートの数の5%以上となっていることである。本発明によるバックボーン分子としては、発現ベクター、自己複製型核酸、ウイルス、組込み型核酸、および関心のある核酸インサートを維持または増幅するのに用いられる他のベクターまたは核酸などの核酸が挙げられる。典型的には、富化された核酸とは、組換えバックボーン分子の集団における核酸インサートの数の15%以上に該当する。さらに典型的には、富化された核酸とは、組換えバックボーン分子の集団における核酸インサートの数の50%以上となっているものである。1つの実施形態において、富化された核酸は、組換えバックボーン分子の集団における核酸インサートの数の90%以上となっているものである。
【0035】
「組換え」ポリペプチドまたはタンパク質とは、組換えDNA法により生産された、すなわち、所望のポリペプチドまたはタンパク質をコードする外因性のDNA構築物で形質転換された細胞から産生されたポリペプチドまたはタンパク質をいう。「合成」ポリペプチドまたはタンパク質とは、化学的合成により調製されたものである。固相化学ペプチド合成法を用いて、本発明のポリペプチドまたは断片を合成することもできる。そのような方法は当業界では1960年代初頭から知られており(Merrifield, R.B., J. Am. Chem. Soc., 85:2149-2154, 1963)(また、Stewart, J.M.およびYoung, J.D., Solid Phase Peptide Synthesis, 第2版, Pierce Chemical Co., Rockford, III, 11-12頁も参照されたい)、近年では市販の実験室用ペプチド設計および合成キット(Cambridge Research, Biochemicals)において用いられている。そのような市販の実験室用キットは一般にH.M. Geysenら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:3998(1984)の技法を利用しており、多数の「ロッド(rod)」または「ピン(pin)」(その全てが一枚のプレートに連結している)の先端でペプチドを合成するために提供されている。そのような系を用いる場合、ロッドまたはピンのプレートは引っくり返し、対応するウェルまたはリザーバー(これらは適切なアミノ酸を該ピンまたはロッドの先端に付着またはアンカリングするための溶液を含んでいる)の第2のプレートに挿入する。そのようなプロセスステップを繰り返すことにより、すなわち、該ロッドおよびピンの先端を引っくり返して適切な溶液に挿入することにより、アミノ酸が所望のペプチドへと組み立てられる。さらに、多くの市販のFMOCペプチド合成系が利用可能である。例えば、ポリペプチドまたは断片の構築は、固相支持体上で、Applied Biosystems, Inc. Model 431A自動ペプチド合成装置を用いて行うことができる。そのような装置を用いると、直接合成により、または他の公知の技法を用いて結合できる一連の断片の合成により、本発明のペプチドへと容易に到達できる。
【0036】
プロモーター配列は、該プロモーターにおいて転写を開始するRNAポリメラーゼがコード配列をmRNAへと転写する場合、該コード配列に「機能し得る形で連結」されている。
【0037】
「プラスミド」は、小文字pの前および/または後ろに、大文字および/または数字を付けて示す。本明細書における出発プラスミドは、市販のものか、制約なしに公的に利用可能なものであり、あるいは利用可能なプラスミドから公表された手順にしたがって構築されてもよい。さらに、本明細書中に記載のものと等価のプラスミドは当業界では公知であり、当業者には明らかである。
【0038】
DNAの「消化」とは、該DNAの特定の配列においてのみ作用する制限酵素による該DNAの触媒的切断をいう。本明細書において用いられる種々の制限酵素は市販されており、それらの反応条件、補因子および他の要件は、当業者に公知なように用いた。分析目的の場合、典型的には1gのプラスミドまたはDNA断片を、2単位の酵素と共に、約20Lの緩衝溶液中で用いる。プラスミド構築のためにDNA断片を単離する目的の場合には、典型的には5〜50gのDNAを、20〜250単位の酵素で大容量中で消化する。特定の制限酵素についての適切な緩衝液および基質の量は製造元により特定される。37℃にて約1時間のインキュベーション時間が通常は用いられるが、供給元の説明書にしたがって様々に変えることができる。消化の後、ゲル電気泳動を行って所望の断片を単離する。
【0039】
「オリゴヌクレオチド」とは、一本鎖ポリデオキシヌクレオチドまたは二本の相補的なポリデオキシヌクレオチド鎖のいずれかをいい、これは化学的に合成されたものでもよい。そのような合成オリゴヌクレオチドは、5′リン酸を有さず、したがって、キナーゼの存在下でATPによりリン酸が付加されない限り別のオリゴヌクレオチドに連結しない。合成オリゴヌクレオチドは、脱リン酸化されていない断片に連結する。
【0040】
2つの核酸配列またはポリペプチドの文脈における「実質的に同一」なる語句は、最大対応について比較しアライメントをとった場合に、既知の配列比較アルゴリズムの1つを用いて、または視覚的検査により測定して、少なくとも60%、70%、80%および、幾つかの場合には90〜95%のヌクレオチドまたはアミノ酸残基の同一性を有する2つ以上の配列をいう。典型的には、実質的な同一性は、少なくとも約100個の残基からなる領域にわたって存在し、最も一般的には、該配列は少なくとも約150〜20残基にわたって実質的に同一である。幾つかの実施形態において、該配列はコード領域の全長にわたって実質的に同一である。
【0041】
さらに、「実質的に同一」なアミノ酸配列とは、1以上の同類または非同類アミノ酸置換、欠失または挿入により(特にそのような置換が、該分子の活性部位ではない部位で起こっている場合)基準配列と異なる配列であり、但し、そのポリペプチドは本質的にその機能特性を保持している。同類アミノ酸置換は、例えば、1個のアミノ酸を同じクラスの別のものと置き換える[例えば、1個の疎水性アミノ酸(例えばイソロイシン、バリン、ロイシンまたはメチオニン)と別のものとの置換、または1個の極性アミノ酸と別のものとの置換(例えば、アルギニンとリシン、グルタミン酸とアスパラギン酸またはグルタミンとアスパラギンとの置換)]。1個以上のアミノ酸を例えばハロアルカンデハロゲナーゼポリペプチドから欠失させて、その生物学的活性を有意に変えることなしに該ポリペプチドの構造を改変させてもよい。例えば、ハロアルカンデハロゲナーゼの生物学的活性に必要でないアミノまたはカルボキシル末端のアミノ酸は取り除くことができる。本発明の改変されたポリペプチド配列は、任意数の方法によりハロアルカンデハロゲナーゼの生物学的活性についてアッセイすることができ、そのような方法としては、改変ポリペプチド配列をハロアルカンデハロゲナーゼ基質と接触させ、該改変ポリペプチドがこのアッセイにおいて特定の基質の量を低下させるか、あるいは機能的ハロアルカンデハロゲナーゼポリペプチドと該基質との酵素反応のバイオプロダクトを増大させるかを判定することが挙げられる。
【0042】
本明細書中で用いられる「断片」とは、少なくとも2種の異なるコンフォメーションで存在し得る天然または組換えのタンパク質の一部分をいう。断片は、天然のタンパク質と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を有し得る。「実質的に同一」とは、アミノ酸配列は(全部ではなく)ほとんど同じであるが、それが関連する配列の少なくとも1つの機能的活性を保持していることを意味する。一般に、2つのアミノ酸配列が「実質的に同一」または「実質的に相同」であると言えるのは、それらが少なくとも約70%、しかしさらに典型的には約85%以上同一である場合である。天然のタンパク質と異なる三次元構造を有する断片も含まれる。この一例は「プロ型(pro-form)」分子であり、例えば、切断により改変されて有意に高い活性を有する成熟型酵素を生じる低活性プロタンパク質が挙げられる。
【0043】
「ハイブリダイゼーション」とは、核酸鎖が塩基対形成により相補的な鎖と結合するプロセスをいう。ハイブリダイゼーション反応は、対象とする特定の配列がそれが低濃度で存在するサンプル中であっても同定できるように感受性かつ選択的であり得る。適切にストリンジェントな条件は、例えば、プレハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーション溶液中の塩またはホルミアミドの濃度により、あるいはハイブリダイゼーション温度により規定でき、当業界では周知である。特に、ストリンジェンシーは、塩の濃度を低下させること、ホルムアミドの濃度を増大させること、またはハイブリダイゼーション温度を上げることにより増大させることができる。
【0044】
例えば、高ストリンジェンシー条件下でのハイブリダイゼーションは、約50%のホルムアミド中で約37℃〜42℃にて起こる。ハイブリダイゼーションは、低いストリンジェンシー条件下で約35%〜25%のホルムアミド中で約30℃〜35℃にて起こり得る。特に、ハイブリダイゼーションは、高ストリンジェンシー条件下で、42℃にて、50%ホルムアミド、5×SSPE、0.3%SDSおよび200n/ml剪断および変性サケ精子DNA中で起こり得る。ハイブリダイゼーションは、上記のような低ストリンジェンシー条件下で、しかし35%ホルムアミド中で35℃という低い温度で起こり得る。特定のレベルのストリンジェンシーに相当する温度範囲は、関心のある核酸のプリンとピリミジンの比率を算出し、それに従って温度を調整することによりさらに狭くすることができる。上記の範囲および条件のバリエーションは当業界では周知である。
【0045】
「変異体(variant)」なる用語は、1以上の塩基対、コドン、イントロン、エキソンまたはアミノ酸残基において(それぞれ)改変されているが、本発明のハロアルカンデハロゲナーゼの生物学的特性は保持したままである本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドをいう。変異体は、任意の数の手段により作製することができ、例えば、誤読の多い(error prone)PCR、シャフリング、オリゴヌクレオチド指令突然変異誘発、構築PCR、セクシャルPCR(sexual PCR)、in vivo突然変異誘発、カセット突然変異誘発、再帰的集合突然変異誘発(recursive ensemble mutagenesis)、指数関数的集合突然変異誘発(exponential ensemble mutagenesis)、部位特異的突然変異誘発、連結再構築、GSSMおよびそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0046】
1つの態様において、合成連結再構築(SLR)と呼ばれる非確率論的方法(これは、確率論的シャフリングに多少関連するものであり、核酸構成ブロックが無作為にシャフル、コンカテマー化(concatenated)またはキメラ化されずに、非確率論的な構築を確保する)を用いて変異体を作製することができる。
【0047】
SLR法は、シャフルしようとするポリヌクレオチド間の高レベルの相同性の存在の有無に依存しない。本発明を用いれば、10100以上の異なるキメラからなる子孫分子のライブラリー(またはセット)を非確率論的に作製することができる。おそらく、SLRは、101000以上の異なる子孫キメラからなるライブラリーを作製するためにも用いることができる。
【0048】
したがって、1つの態様において、本発明は、計画的に選ばれる全体的な構築順序を有する完成したキメラ核酸分子のセットの非確率論的な作製方法を提供し、この方法は、有用で相互に互換性があり連結可能な末端を有する複数の特定の核酸構成ブロックを計画的に作製し、これらの核酸構成ブロックを構築して、設計された全体的構築順序が達成されるようにするステップからなる。
【0049】
構築しようとする核酸構成ブロックの相互に互換性があり連結可能な末端は、それらが該構成ブロックを所定の順序で結合させることができる場合には、このタイプの順序立った構築には「有用」であると考えられる。したがって、1つの態様において、核酸構成ブロックが結合できる構築順序全体は、該連結可能な末端の設計により特定され、もし2以上の構築ステップを用いようとする場合には、核酸構成ブロックが結合できる全体的構築順序は、構築ステップの一連の順序によっても特定される。本発明の1つの実施形態において、アニーリングした構築ピースは、リガーゼ(例えばT4 DNAリガーゼ)のような酵素で処理して、該構築ピースの共有結合を達成する。
【0050】
別の実施形態では、核酸構成ブロックの設計は、完成したキメラ核酸分子の子孫セットを得るためのベースとして役立つ1セットの始原核酸鋳型の配列の分析の際に得られる。したがって、これらの先祖核酸鋳型は、突然変異させようとする(すなわち、キメラ化またはシャフルさせようとする)核酸構成ブロックの設計に役立つ配列情報の供給源としての役割を果たす。
【0051】
1つの例において、本発明は、関連遺伝子のファミリーおよびそれらのコードされる関連生成物のファミリーのキメラ化を提供する。特定の例において、コードされる生成物は酵素である。本発明において用いるための酵素およびポリペプチドは、本明細書中に記載の方法にしたがって突然変異誘発させることができる。
【0052】
したがって、本発明の1つの態様によれば、複数の先祖核酸鋳型の配列のアライメントをとって、1以上の境界点を選択し、この境界点は相同性領域に位置してもよい。この境界点は、作製しようとする核酸構成ブロックの境界を線引きするのに用いることができる。したがって、先祖分子において同定および選択された境界点は、子孫分子の構築において可能性のあるキメラ化点として役立つ。
【0053】
典型的には、有用な境界点は、少なくとも2種の先祖鋳型に共通する相同性領域(少なくとも1つの相同なヌクレオチド塩基からなる)であるが、該境界点は、先祖鋳型の少なくとも半数、先祖鋳型の少なくとも2/3、先祖鋳型の少なくとも3/4、好ましくは先祖鋳型のほとんど全てに共通する相同性領域であってもよい。さらに好ましいくは、有用な境界点は、全ての先祖鋳型に共通する相同性領域である。
【0054】
1つの実施形態において、連結再構築プロセスを、網羅的なライブラリーを作成するために徹底的に行う。つまり、核酸構成ブロックが可能限りの順序に並んだ組合せの全てが、一連の完成キメラ核酸分子の中にある。同時に、各々の組合せにおける構築順(すなわち、各完成キメラ核酸の配列の5’から3’に向っての各構成ブロックの構築順序)は計画的(または非確率論的)である。この方法の非確率論的な性質のために、望ましくない副生成物の可能性は非常に低下する。
【0055】
別の実施形態において、該方法は、例えば系統的に区分されたライブラリーを作製するための、系統的に(例えば1つずつ)スクリーニングできるコンパートメントを用いた連結再構築プロセスの系統的な実施を提供する。つまり、本発明は、順次行われる構築反応の選択的かつ適切な使用と組み合わせた特定の核酸構成ブロックの選択的かつ適切な使用により、子孫生成物の特定のセットが幾つかの反応槽のそれぞれにおいて得られる実験計画の実現を提供する。これにより、系統的な試験およびスクリーニング手順を行うことが可能になる。したがって、潜在的に非常に多数の子孫分子を小さなグループで系統的に調べることができる。
【0056】
高度に適合性があり、かつ網羅的かつ系統的でもある様式でキメラ化できるために、特に先祖(progenitor)分子間の相同性が低レベルである場合には、本発明は、多種の子孫分子からなるライブラリー(またはセット)の作製を提供する。本発明の連結再構築の非確率論的性質のために、作製される子孫分子は、好ましくは、計画的に選ばれた構築順序を全体的に有する完成キメラ核酸分子のライブラリーを含む。特定の実施形態において、このように作製されるライブラリーは、103から101000以上の異なる子孫分子種からなる。
【0057】
1つの態様において、本明細書に記載のようにして作製された完成キメラ核酸分子のセットは、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドからなる。1つの実施形態によれば、このポリヌクレオチドは遺伝子であり、人工の遺伝子であってもよい。別の実施形態によれば、このポリヌクレオチドは遺伝子経路であり、人工の遺伝子経路であってもよい。本発明は、本発明により作製される1以上の人工遺伝子が、真核生物(植物を含む)内で機能し得る経路のような人工遺伝子経路に組み込まれ得ることを提供する。
【0058】
別の例において、構成ブロックが作製されるステップの合成の特性により、場合によっては、後に、in vitro法において(例えば突然変異誘発により)、またはin vivo法において(例えば宿主生物の遺伝子スプライシング能を利用することにより)取り除くことができるヌクレオチド(例えば、1以上のヌクレオチド;これは例えばコドンでもイントロンでも制御配列であってもよい)の設計および導入が可能になる。多くの例において、これらのヌクレオチドの導入は、有用な境界点を作製するという潜在的な利点に加えて、多くの他の理由によっても望ましいことが理解される。
【0059】
したがって、別の実施形態によれば、本発明は、核酸構成ブロックを用いてイントロンを導入することができることを提供する。したがって、本発明は、機能性イントロンが本発明の人工遺伝子に導入しうることを提供する。本発明はまた、機能性イントロンが本発明の人工の遺伝子経路に導入できることも提供する。したがって、本発明は、1個(またはそれ以上)の人工的に導入されたイントロンを含む人工遺伝子であるキメラポリヌクレオチドの作製を提供する。
【0060】
したがって、本発明はまた、1個(またはそれ以上)の人工的に導入されたイントロンを含む人工遺伝子経路であるキメラポリヌクレオチドの作製を提供する。好ましくは、該人工的に導入されたイントロンは、1種以上の宿主細胞内で、遺伝子スプライシングに関して、しばしば天然のイントロンが遺伝子スプライシングにおいて機能的に役立つという意味で機能性である。本発明は、組換えおよび/またはスプライシングのために宿主生物に導入するための人工のイントロン含有ポリヌクレオチドの作製方法を提供する。
【0061】
本発明を用いて作製される人工遺伝子はまた、別の核酸を用いた組換えのための基質としても役立つ。同様に、本発明を用いて作製される人工遺伝子経路もまた、別の核酸を用いた組換えのための基質としても役立つ。好ましい例において、この組換えは、人工のイントロン含有遺伝子と組換えパートナーとして役立つ核酸との間で相同性のある領域により促進されるか、あるいは該相同性のある領域において起こる。特定の好ましい実施例において、その組換えパートナーは本発明により作製される核酸であってよく、人工遺伝子または人工遺伝子経路が含まれる。組換えは、人工遺伝子中の1個(またはそれ以上)の人工的に導入されたイントロンに存在する相同性のある領域により促進されてもよいし、あるいは該相同性のある領域において起こってもよい。
【0062】
本発明の合成連結再構築法は、複数の核酸構成ブロックを用い、それらの各々は、好ましくは2つの連結可能な末端を有する。各核酸構成ブロックの2つの連結可能な末端は、2つの平滑末端(すなわち、それぞれ、0個のヌクレオチドからなる突出部を有する)であってもよいし、好ましくは1つの平滑末端と1つの突出部であってもよいし、さらに好ましくは2つの突出部であってもよい。
【0063】
この目的に有用な突出部は、3’突出部または5’突出部であり得る。したがって、核酸構成ブロックは、3’突出部か、5’突出部か、あるいは2つの3’突出部もしくは2つの5’突出部を有し得る。核酸構成ブロックが構築されて完成キメラ核酸分子を形成する全体的な順序は、意図的に実験計画により決定され、無作為ではない。
【0064】
1つの好ましい実施形態によれば、核酸構成ブロックは、2本の一本鎖核酸(一本鎖オリゴとも呼ばれる)を化学的に合成し、それらを接触させて、それらがアニーリングして二本鎖核酸構成ブロックを形成できるようにすることにより作製される。
【0065】
二本鎖核酸構成ブロックは様々なサイズのものであってよい。これらの構成ブロックのサイズは小さくても大きくてもよい。構成ブロックの好ましいサイズは、1塩基対(あらゆる突出部を除く)から100,000塩基対(あらゆる突出部を除く)の範囲である。他の好ましいサイズの範囲も提供されており、その下限は1bp〜10,000bp(その間の全ての整数を含む)であり、上限は2bp〜100,000bp(その間の全ての整数を含む)である。
【0066】
本発明に有用な二本鎖核酸構成ブロックを作製できる多くの方法があり、これらの当業界で公知であり、当業者であれば容易に実施することができる。
【0067】
1つの実施形態によれば、二本鎖核酸構成ブロックは、まず2本の一本鎖核酸を作製し、それらがアニーリングさせて二本鎖核酸構成ブロックを形成するようにすることにより作製される。二本鎖核酸構成ブロックの二本の鎖は、突出部を形成するヌクレオチドを除く全てのヌクレオチドにおいて相補的であってもよく、したがって、突出部を除いてミスマッチを全く含まないものであってよい。別の実施形態によれば、二本鎖核酸構成ブロックの二本の鎖は、突出部を形成するヌクレオチドを除く全てのヌクレオチドより少数のヌクレオチドにおいて相補的であってもよい。したがって、この実施形態によれば、二本鎖核酸構成ブロックはコドン縮重を導入するのに用いることができる。好ましくは、コドン縮重は、本明細書中に記載の部位集中突然変異誘発(site-saturation mutagenesis)により、1種以上のN,N,G/Tカセットを用いて、あるいは1種のN,N,Nカセットを用いて導入される。
【0068】
本発明のin vivo組換え法は、特定のポリヌクレオチドもしくは配列の未知のハイブリッドまたは対立遺伝子のプールで手当たり次第に実施することができる。しかし、該特定のポリヌクレオチドの実際のDNAまたはRNAの配列がわかっている必要はない。
【0069】
遺伝子の混合集団中での組換えを用いるアプローチは、任意の有用なタンパク質、例えば、インターロイキンI、抗体、tPAおよび成長ホルモンなどの作製に有用でありうる。このアプローチは、改変された特異性または活性を有するタンパク質の作製に用いることができる。このアプローチはまた、ハイブリッド核酸配列例えば、遺伝子のプロモーター領域、イントロン、エキソン、エンハンサー配列、3'の非翻訳領域または5'の未翻訳領域などの作製にも有用でありうる。したがって、このアプローチは、発現率が増大した遺伝子を作製するのに用いることができる。このアプローチはまた、反復DNA配列の研究にも有用であり得る。最後に、このアプローチは、リボザイムまたはアプタマーを突然変異させるために有用でありうる。
【0070】
1つの態様において、本明細書に記載のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの変異体は、復元的再構成(reductive reassortment)、組換え、および選択の反復サイクルを使用することにより得られ、これにより、組換えによる、高度に複雑な直線的配列(DNA、RNA、またはタンパク質など)の指定的分子進化が可能になる。
【0071】
分子のin vivoシャフリングは、変異体を提供するのに有用であり、細胞の生来の特性を利用して実施することにより、多量体を組み換えることができる。in vivoでの組換えは分子多様性への主な天然の経路を提供するものであるが、遺伝子組換えは、依然として、1)相同性の認識;2)鎖の切断、鎖の侵入および代謝のステップによりもたらされる組換えキアズマの生成;および最後に3) キアズマの不連続な組換え分子への分解、を含む比較的複雑なプロセスである。キアズマの形成には、相同配列の認識が必要である。
【0072】
別の実施形態において、本発明は、少なくとも第1のポリヌクレオチドと第2のポリヌクレオチドからのハイブリッドポリヌクレオチドの作製方法を含む。本発明は、少なくとも1つの部分的な配列相同性を有する領域を共通に有する少なくとも第1のポリヌクレオチドと第2のポリヌクレオチド(例えば、配列番号1および3、ならびにそれらの組合せ)を適切な宿主細胞に導入することによりハイブリッドポリヌクレオチドを作製するのに用いることができる。部分的な配列相同性を有する領域は配列認識をもたらすプロセスを容易にし、ハイブリッドポリヌクレオチドを生じる。本明細書中で用いられる「ハイブリッドポリヌクレオチド」なる用語は、本発明の方法により得られる任意のヌクレオチド配列であり、少なくとも2種の元のポリヌクレオチド配列を含む。そのようなハイブリッドポリヌクレオチドは、DNA分子間での配列の組込みを促進する細胞間組換え事象により得ることができる。さらに、そのようなハイブリッドポリヌクレオチドは、反復配列を用いてDNA分子内のヌクレオチド配列を改変する分子内再構成プロセスにより得ることができる。
【0073】
本発明は、生物学的に活性なハイブリッドポリペプチド(例えば、ハイブリッドハロアルカンデハロゲナーゼ)をコードし得るハイブリッドポリヌクレオチドを作製するための手段を提供する。1つの態様において、元のポリヌクレオチドは、生物学的に活性なポリペプチドをコードする。本発明の方法は、元のポリヌクレオチドの配列を組み込み、それにより得られるハイブリッドポリヌクレオチドが元の生物学的に活性なポリペプチドに由来する活性を示すポリペプチドをコードするようにする細胞のプロセスを利用して、新規なハイブリッドポリペプチドを作成する。例えば、元のポリヌクレオチドは、異なる微生物由来の特定の酵素をコードしてもよい。1つの生物または変異体に由来する第1のポリヌクレオチドによりコードされる酵素は、例えば、特定の環境条件下(例えば、高い塩濃度)で効果的に機能してもよい。異種の生物または変異体に由来する第2のポリヌクレオチドによりコードされる酵素は、例えば、異なる環境条件下(例えば、非常に高い温度)で効果的に機能してもよい。第1および第2の元のポリヌクレオチドに由来する配列を含むハイブリッドポリヌクレオチドは、元のポリヌクレオチドによってコードされる両酵素の特徴を示す酵素をコードし得る。したがって、このハイブリッドポリヌクレオチドによりコードされる酵素は、第1および第2のポリヌクレオチドによりコードされる酵素の各々に共通の環境条件下(例えば、高い塩濃度かつ非常に高い温度)で効果的に機能できる。
【0074】
元のポリヌクレオチドによりコードされる酵素としては、ヒドロラーゼ、デハロゲナーゼおよびハロアルカンデハロゲナーゼが挙げられるが、それらに限定されない。本発明の方法により得られるハイブリッドポリペプチドは、元の酵素にはない特化した酵素活性を示すことができる。例えば、ヒドロラーゼ活性をコードするポリヌクレオチドの組換えおよび/または復元的再構成の後に得られたハイブリッドポリヌクレオチドでコードされるハイブリッドポリペプチドを、元の酵素の各々から得られる特化したヒドロラーゼ活性(すなわち、ヒドロラーゼが作用する結合のタイプ、およびヒドロラーゼが機能する温度)についてスクリーニングすることができる。したがって、例えば、ヒドロラーゼをスクリーニングして、:(a)アミド(ペプチド結合)、すなわちプロテアーゼ;(b)エステル結合、すなわちエステラーゼおよびリパーゼ;(c)アセタール、すなわちグリコシダーゼ、ならびに、例えば該ハイブリッドポリペプチドが機能する温度、pHまたは塩濃度、というような、ハイブリッドヒドロラーゼを元のヒドロラーゼから区別する化学的機能特性を突き止めることができる。
【0075】
元のポリヌクレオチドの供給源は、個々の生物(「単離種」)、規定の培地で増殖させた生物の集合(「富化培養物」)、または未培養生物(「環境的サンプル(environmental sample)」)から単離できる。培養に非依存的なアプローチを用いて、環境サンプルから新規な生物活性をコードするポリヌクレオチドを誘導することが最も好ましい。何故ならば、それにより、生物学的多様性の未だ利用されていない供給源を利用できるようになるからである。
【0076】
「環境的ライブラリー」とは、環境的サンプルから作製され、適切な原核宿主内で増幅されうるクローニングベクターにおいて保存されている天然に存在する生物のゲノム全体を提示する。クローニングされたDNAがまず環境的サンプルから直接的に抽出されるからといって、該ライブラリーは純粋培養下で増殖できる原核生物の小さな画分に限定されない。さらに、これらのサンプル中に存在する環境的DNAを標準化(normalization)することにより、元のサンプル中に存在する全ての種に由来するDNAをより均等に提示することができるようになる。これにより、サンプルのわずかな構成要素から対象とする遺伝子を見つける効率を飛躍的に増大し、優性な種と比較して、数オーダーだけ低く表わしうる。
【0077】
例えば、1種以上の未培養微生物から作製される遺伝子ライブラリーを、関心のある活性についてスクリーニングする。関心のある生物活性分子をコードする可能性のある経路は、まず、真核細胞において遺伝子発現ライブラリーの形態で把握される。関心のある活性をコードするポリヌクレオチドは、そのようなライブラリーから単離され、宿主細胞に導入される。この宿主細胞を、組換えおよび/または復元的再構成を促進する条件下で増殖させて、新規または増強された活性を有する潜在的に活性を持つ生体分子を得る。
【0078】
ポリヌクレオチドの調製に用いる微生物としては、キサントバクター(Xanthobacter)、ユーバクテリア(Eubacteria)および始原細菌(Archaebacteria)などの原核微生物、ならびに真菌、幾つかの藻類および原生動物などの下等真核性微生物が挙げられる。ポリヌクレオチドは環境的サンプルから単離でき、この場合、核酸は、生物を培養せずに回収してもよいし、1種以上の培養生物から回収してもよい。1つの態様において、そのような微生物は、超好熱菌(hyperthermophiles)、好冷菌(psychrophiles)、耐冷菌(psychrotrophs)、好塩菌(halophiles)、好圧菌(barophiles)および好酸性菌(acicophiles)などの好極限性細菌(extremophiles)であってもよい。好極限性微生物から単離される酵素をコードするポリヌクレオチドは特に好ましい。そのような酵素は、地上の温泉および深海の熱水噴出口において100℃以上の温度、北極海における0℃以下の温度、死海の飽和塩環境、石炭の堆積物(coal deposits)および地熱による硫黄に富む温泉における0付近のpH値、または下水汚泥における11より高いpH値で、機能できる。例えば、好極限性生物からクローニングされ発現される幾つかのエステラーゼおよびリパーゼは、広い温度およびpHの範囲にわたって高い活性を示す。
【0079】
上記に記載のようにして選択し単離されたポリヌクレオチドは、適切な宿主に導入される。適切な宿主は、組換えおよび/または復元的再構成を促進することができる任意の細胞である。選択されたポリヌクレオチドは、好ましくは、既に適切な制御配列を含むベクター中にある。宿主細胞は、哺乳動物細胞のような高等真核細胞であってもよいし、酵母細胞のような下等真核細胞であってもよく、好ましくは宿主細胞は細菌細胞のような原核細胞であってもよい。宿主細胞への構築物の導入は、リン酸カルシウムによるトランスフェクション、DEAE-デキストランを用いるトランスフェクション、またはエレクトロポレーションにより行うことができる(Davisら, 1986)。
【0080】
適切な宿主の代表的な例としては、大腸菌、ストレプトマイセス(Streptomyces)、サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)などの細菌細胞、真菌細胞、酵母など;Drosophila S2およびSpodoptera Sf9などの昆虫細胞、CHO、COSまたはBowes黒色腫などの動物細胞、アデノウイルス、および植物細胞等を挙げることができる。適切な宿主の選択は、本明細書の教示内容から当業者の理解の範囲にあるとみなされる。
【0081】
特に組換えタンパク質を発現させるのに用い得る種々の哺乳動物細胞の培養系に関しては、哺乳動物発現系の例として、「SV-40-transformed simian cells support the replication of early SV40 mutants」(Gluzman, 1981)に記載されているサル腎臓繊維芽細胞のCOS-7細胞系、および互換性のあるベクターを発現することができる他の細胞系(例えばC127、3T3、CHO、HeLaおよびBHK細胞系)が挙げられる。哺乳動物発現ベクターは、複製起点、適切なプロモーターおよびエンハンサーを含み、また任意の必要なリボゾーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライス供与および受容部位、転写終結配列ならびに5’隣接非転写配列も含む。SV40のスプライス部位およびポリアデニル化部位に由来するDNA配列を用いて、必要な非転写遺伝子エレメントを提供することができる。
【0082】
関心のあるポリヌクレオチドを含む宿主細胞は、プロモーターの活性化、形質転換体の選択、または遺伝子の増幅に適切に改変された通常の栄養培地中で培養することができる。温度やpHなどの培養条件は、発現のために選択された宿主に従来用いられているものであり、当業者には明らかであろう。次に、特化した酵素活性を有すると同定されたクローンを配列決定して、活性の増強を示す酵素をコードするポリヌクレオチド配列を同定することができる。
【0083】
別の態様において、1以上のオペロンもしくは遺伝子クラスターまたはそれらの一部分から生化学的な経路をコードする新規なポリヌクレオチドを生成する方法を用いることができる。例えば、細菌および多くの真核生物は、遺伝子産物産物が関連するプロセスに含まれる遺伝子を調節するための協調的な機構を有する。該遺伝子は、1つの染色体上で密集して「遺伝子クラスター」と呼ばれる構造をとるか、互いに隣接しており、クラスター全体の転写を開始する1つのプロモーターを含む1つの制御配列の制御下で一緒に転写される。したがって、遺伝子クラスターは、通常は機能に関して同一または関連している隣接遺伝子の群である。遺伝子クラスターによりコードされている生化学的経路の一例はポリケチド(polyketides)である。ポリケチドは、抗生物質(例えば、テトラサイクリンおよびエリトロマイシン)、抗癌剤(ダウノマイシン)、免疫抑制剤(FK506およびラパマイシン)および獣医学的製品(モネンシン)を含む、生物活性が極度に豊富な供給源である分子である。多くのポリケチド(ポリケチドシンターゼにより生成される)は、治療薬としての価値を有する。ポリケチドシンターゼは、長さおよび官能基のパターンが異なる非常に多種多様な炭素鎖の生合成および環化を触媒する多機能酵素である。ポリケチドシンターゼの遺伝子は遺伝子クラスターを形成しており、ポリケチドシンターゼの少なくとも1つのタイプ(タイプIと命名)はサイズの大きい遺伝子および酵素を持ち、このために遺伝子操作およびこれらの遺伝子/タンパク質のin vitroでの研究が複雑になっている。
【0084】
遺伝子クラスターDNAは、異なる生物から単離して、ベクター(特に、連結した遺伝子クラスターから検出可能なタンパク質またはタンパク質に関連する関連配列(array)の活性の産生を制御および調節できる発現制御配列を含むベクター)に連結することができる。非常に高い外因性DNA導入能力を有するベクターの使用は、そのような遺伝子クラスターと共に用いる場合に特に適切であり、本明細書中では例として大腸菌のf因子(稔性因子)が挙げられると記載されている。この大腸菌のf因子は、接合の際にそれ自身の高頻度の移動に影響を及ぼすプラスミドであり、混合微生物サンプルからの遺伝子クラスターのような大きなDNA断片を達成しかつ安定に増幅させるのには理想的である。適切なベクターに連結されると、異なるデハロゲナーゼ遺伝子クラスターを含む2つ以上のベクターを適当な宿主細胞に導入することができる。遺伝子クラスター間で共通する部分的に配列相同性を有する領域は、ハイブリッド遺伝子クラスターをもたらす配列の認識を誘導するプロセスを促進する。次に、この新規のハイブリッド遺伝子クラスターは、元の遺伝子クラスターでは見られない活性の増強についてスクリーニングできる。
【0085】
したがって、1つの実施形態において、本発明は、生物学的に活性なハイブリッドポリペプチドを作製し、そのようなポリペプチドを増強された活性についてスクリーニングする方法に関するものであり、これは:
1)少なくとも、機能し得る形で連結した第1のポリヌクレオチドおよび機能し得る形で連結した第2のポリヌクレオチド(但し、該少なくとも第1のポリヌクレオチドおよび第2のポリヌクレオチドは、少なくとも1つの部分的な配列相同性のある領域を共有している)を適切な宿主細胞に導入し;
2)該宿主細胞を、配列再構築を促進する条件下で増殖させて、それにより機能し得る形で連結されたハイブリッドポリヌクレオチドを得;
3)該ハイブリッドポリヌクレオチドによりコードされるハイブリッドポリペプチドを発現させ;
4)該ハイブリッドポリペプチドを、増強された生物学的活性の同定を促進する条件下でスクリーニングし、
5)該ハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを単離すること、により行われる。
【0086】
種々の酵素活性をスクリーニングするための方法は当業者には公知であり、本明細書中で十分に述べられている。このような方法は、本発明のポリペプチドおよびポリヌクレオチドを単離する場合に用いることができる。
【0087】
用い得る発現ベクターの代表的な例として、ウイルス粒子、バキュロウイルス、ファージ、プラスミド、ファージミド、コスミド、フォスミド、細菌の人工染色体、ウイルスDNA(例えば、ワクシニア、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルスおよびSV40の誘導体)、P1に基づく人工染色体、酵母プラスミド、酵母の人工染色体、ならびに対象とする特定の宿主(例えばバシラス菌、アスペルギルス菌および酵母)に特異的な任意の他のベクターを挙げることができる。したがって、例えば、DNAは、ポリペプチドを発現するための種々の発現ベクターの任意の1つに含まれ得る。そのようなベクターとしては、染色体性、非染色体性および合成DNA配列が挙げられる。多数の適切なベクターが当業者には公知であり、市販されている。以下のベクターを例として示す:細菌性(pQEベクター(Quiagen)、pBluescriptプラスミド、pNHベクター、λ-ZAPベクター(Stratagene)、ptrc99a、pKK223-3、pDR540、pRIT2T(Pharmacia))、真核性(pXT1、pSG5(Stratagene)、pSVK3、pBPV、pMSG、pSVLSV40(Pharmacia))。しかし、宿主内で複製可能であり生存可能である限り、任意の他のプラスミドまたは任意の他のベクターを用いてもよい。低コピー数のベクターでも高コピー数のベクターでも本発明では使用可能である。
【0088】
本発明で使用するためのベクターの好ましいタイプは、f因子複製起点を含む。大腸菌中のf因子(稔性因子)は、接合の際にそれ自身の高頻度の移動および細菌染色体自体の低頻度の移動に影響を及ぼすプラスミドである。特に好ましい実施形態は、「フォスミド」と呼ばれるクローニングベクターまたは細菌性人工染色体(BAC)ベクターを用いることである。これらは、ゲノムDNAの大きなセグメントを安定に組み込むことができる大腸菌のf因子から誘導される。混合非培養環境的サンプルに由来するDNAを用いて組み込んだ場合には、大きなゲノム断片を安定な「環境的DNAライブラリー」の形態にすることが可能になる。
【0089】
本発明で用いるための別のタイプのベクターはコスミドベクターである。コスミドベクターは、元々は、ゲノムDNAの大きなセグメントをクローニングし増殖するために設計された。コスミドベクターへのクローニングは、「Molecular Cloning: A laboratory Manual」(Sambrookら, 1989)に詳細に記載されている。
【0090】
発現ベクター中のDNA配列は、RNA合成を誘導する適切な発現制御配列(プロモーター)と機能し得る形で連結されている。特によく知られている細菌性プロモーターとしては、lacI、lacZ、T3、T7、gpt、λPR、PLおよびtrpが挙げられる。真核生物プロモーターとしては、CMV前初期、HSVチミジンキナーゼ、初期および後期SV40、レトロウイルス由来のLTR、ならびにマウス・メタロチオネイン-Iが挙げられる。適切なベクターおよびプロモーターの選択は、十分に当業者の知識レベルの範囲内である。発現ベクターはまた、翻訳開始のためのリボゾーム結合部位および転写ターミネーターも含む。該ベクターはまた、発現を増幅するための適切な配列も含み得る。プロモーター領域は、任意の所望の遺伝子からCAT(クロラムフェニコールトランスフェラーゼ)ベクターまたは選択マーカーを有する他のベクターを用いて選択できる。さらに、発現ベクターは、好ましくは、真核細胞培養物におけるジヒドロ葉酸レダクターゼもしくはネオマイシン耐性または大腸菌におけるテトラサイクリンもしくはアンピシリン耐性などの、形質転換した宿主細胞を選択するための表現型特性を提供する1つ以上の選択マーカー遺伝子を含む。
【0091】
in vivo再構成は、包括的に「組換え」と呼ばれる「分子間」プロセスを意味し、これは、細菌においては、通常「RecA-依存性」現象として見られる。本発明は、配列を組み換えて再構成させるための宿主細胞の組換えプロセスに基づくか、あるいは該細胞内の準反復配列(quasi-repeated sequences)の複雑性を欠失により低減するための該細胞の復元的プロセスを媒介する能力に基づく。「復元的再構成」のこのプロセスは、「分子内」RecA-非依存的プロセスにより起こる。
【0092】
したがって、本発明の別の態様では、復元的再構成のプロセスにより改変ポリヌクレオチドを作製することができる。この方法は、連続配列(元のコード配列)を含む構築物の作製、それらの適切なベクターへの挿入、およびその後のそれらの適切な宿主への導入を含む。個々の分子自体の再構成は、相同性領域をプロセシングする、構築物における該連続配列間または準反復単位間でのコンビナトリアルプロセスにより起こる。この再構成プロセスは、該反復配列を組み換え、かつ/または該反復配列の複雑性および程度を低減して、新規の分子種を生成する。種々の処理を適用して、再構成の割合を向上させることができる。これらの処理としては、紫外光またはDNA損傷性薬品による処理、および/または「遺伝子の不安定性」のレベルの増大を示す宿主細胞系の使用を挙げることができる。したがって、この再構成プロセスは、準反復配列の均質な組換えまたは天然の特性を含み、それら自身の進化を指令する。
【0093】
反復または「準反復」配列は、遺伝子の不安定性においてある役割を担う。本発明では、「準反復」とは、元の単位構造に制限されない反復をいう。準反復単位とは、構築物中の配列の並んだものとして表わすことができ、同様の配列の連続する単位である。連結されると、該連続配列間の接合点は本質的に隠れ、得られる構築物の準反復特性は分子レベルで連続するものとなる。細胞の欠失プロセスは、得られた構築物の複雑性を低下させるために行い、準反復配列間で作用する。準反復単位は、実際に無限の鋳型のレパートリーをもたらし、この際、スリッページ(slippage)事象が起こり得る。したがって、準反復を含む構築物は、該準反復内のどこででも欠失(および潜在的に挿入)事象が実際に起こり得るのに十分な分子の弾性を効果的に提供する。
【0094】
準反復配列(quasi-repeated sequence)が全て同じ方向、例えば、ヘッド・トゥー・テイル(head to tail)又はその逆で連結されているとき、細胞は個々の単位を区別できない。それ故、復元工程が、配列の全体に渡って生じうる。これと対照的に、例えば、単位が、ヘッド・トゥー・テイルよりもヘッド・トゥー・ヘッドで存在するときは、逆位(inversion)が隣接の単位の終点を表し、欠失形成(deletion formation)が不連続単位の減少に有利に働くであろう。このように、本発明では、配列が同一方向にあるのが好ましい。準反復配列のランダム方向性は、再構成効率の低下をもたらし、一方、配列の一定の方向性は、最も高い効率を与えるであろう。しかしながら、同一方向において隣接する配列がより少ない場合は効率を低下させるが、それはまだ新規分子の効率的な回収において十分な適応性を提供しうる。構築物は、同一方向の準反復配列で作製でき、より高い効率を与え得る。
【0095】
配列は、下記方法を含む多様な方法のいずれかを用いてヘッド・トゥー・テイル方向で構築することができる:
a)1本鎖で作られたときに方向を与えるであろうポリAヘッド及びポリTテイルを含むプライマーを利用することができる。これは、最初の数塩基のプライマーをRNAから作らせ、その後RNaseHを容易に除去することによって達成される。
【0096】
b)特有の制限開裂部位を有するプライマーを利用することができる。複合部位、一連の特有配列、並びに反復合成及び連結ステップが必要であろう。
【0097】
c)プライマー内部の数塩基をチオール化でき、適当なテイル分子を生成するためにエクソヌクレアーゼを用いることができるであろう。
【0098】
再構成された配列は、復元したRIを有するクローニングベクターの同定を基づいて回収する。次いで、再構成されたコード配列は、増幅によって回収できる。生成物を再クローニングし、発現させる。復元したRIを有するクローニングベクターの回収は次のようにして実行できる:
1)構築物が複雑に還元されている場合、単に安定に維持されたベクターの使用;
2)物理的手法による短縮化されたベクターの物理的回収。この場合、クローニングベクターは、標準的なプラスミド単離手法及び標準手法を用いたアガロースゲル、又は低分子量カットオフのカラムでのサイズ分画を用いて回収されるであろう;
3)挿入物のサイズが小さい場合、選択され得る中断遺伝子(interrupted gene)を含むベクターの回収;
4)発現ベクター及び適当な選択方法による直接選択法の使用。
【0099】
近縁生物由来のコード配列(例えば、遺伝子)は、高度な相同性を示し、極めて多種多様なタンパク質産物をコードしうる。これらのタイプの配列は、準反復物として本発明において特に有用である。しかしながら、下記に示す実施例は、殆ど同一のオリジナルコード配列(準反復物)の再構成を示し、この工程はこのような殆ど同一の反復物に限定されない。
【0100】
下記実施例は、本発明の方法を示す。3つの特有の種から由来のコード核酸配列(準反復物)を示している。各配列は一組の識別可能な特性を有するタンパク質をコードする。各配列は、「A」、「B」及び「C」で表示される配列中の特有の部位の単一又は数塩基対によって異なる。可能な全ての順列及び組み合わせが連結された分子の集団中で入手できるように、準反復配列は、個別に又は集合的に増幅され、ランダム構築体(random assemblies)中に連結される。準反復単位の数は、構築条件(assembly condition)によって制御できる。構築物中の準反復単位の平均数を、反復指数(repetitive index; RI)として定義する。
【0101】
一旦形成された構築物は、公表されているプロトコールに従ってアガロースゲルでサイズ分画してもしなくてもよく、クローニングベクター中に挿入し、適当な宿主細胞にトランスフェクションする。次いで、この細胞を増殖させ、「復元的再構成」を実施する。復元的再構成工程の速度は、所望により、DNA損傷の導入によって促進することができる。RIの減少が「分子内」メカニズムによって反復配列間の欠失形成によって仲介されるのか、又は「分子間」メカニズムによる組み換え的事象によって仲介されるのかは重要ではない。最終的成果は可能な全ての組み合わせへの分子の再構成である。
【0102】
場合によっては、この方法は、結合あるいは相互作用する能力、又は特定の反応を触媒する能力(例えば、ハロアルカンの加水分解を触媒するなど)を有する個々のシャフルされたライブラリーメンバーを同定するためのシャフルされたプールのライブラリーメンバーをスクリーニングするさらなるステップを含む。
【0103】
そのようなライブラリーから同定されたポリペプチドは、治療目的、診断目的、研究目的及び関連する目的(例えば、触媒、水溶液のモル浸透圧濃度を増加させるための溶質など)に使用でき、及び/又は1以上の追加のシャフリングサイクル及び/又は選択に供することができる。
【0104】
別の態様では、組み換え若しくは再構成の前又は間に、本発明のポリペプチド又は本明細書中に記載された方法で生成されたポリペプチドを、オリジナルのポリヌクレオチド中への突然変異の導入を促進する試薬又は工程に供することができる。そのような突然変異の導入は、得られたハイブリッドポリヌクレオチド及びそれからコードされたポリペプチドの多様性を増加させるであろう。突然変異誘発を促進する試薬又は工程としては、下記に限定されないが、(+)−CC−1065、又は(+)−CC−1065−(N3−アデニン(Sun及びHurley、1992を参照されたい)などの合成アナログ;DNA合成を阻害しうるN−アセチル化又は脱アセチル化4'−フルオロ−4−アミノビフェニル付加生成物(例えば、van de Pollら、1992を参照されたい);又はDNA合成を阻害しうるN−アセチル化又は脱アセチル化4−アミノビフェニル付加生成物(これについてもvan de Pollら、1992、pp.751-758を参照されたい);3価クロム、3価クロム塩、DNA複製を阻害しうるポリ環状芳香族炭化水素(「PAH」)DNA付加生成物(例えば、7−ブロモメチル−ベンズ[a]アントラセン(「BMA」)、トリス(2,3−ジブロモプロピル)リン酸塩(「トリス−BP」)、1,2−ジブロモ−3−クロロプロパン(「DBCP」)、2−ブロモアクロレイン(2BA)、ベンゾ[a]ピレン−7,8−ジヒドロジオール−9,10−エポキシド(「BPDE」)、白金(II)ハロゲン塩(halogen salt)、N−ヒドロキシ−2−アミノ−3−メチルイミダゾ[4,5−f]−キノリン(「N−ヒドロキシ−IQ」)、及びN−ヒドロキシ−2−アミノ−1−メチル−6−フェニルイミダゾ[4,5−f]−ピリジン(「N−ヒドロキシ−PhIP」)など)を挙げることができる。PCR増幅の速度を落とす又は停止させる特に好ましい手段は、UV光(+)−CC−1065及び(+)−CC−1065−(N3−アデニン)からなる。特に包含される手段は、さらなる加工の前にポリヌクレオチドを含む溶液を加熱することを含む工程によって放出又は除去されうる、DNA付加生成物又はポリヌクレオチド若しくはポリヌクレオチドプール由来のDNA付加生成物を含むポリヌクレオチドである。
【0105】
別の態様では、本発明は、ハイブリッド又は再構成ポリヌクレオチドの製造を提供する本発明による条件下において、野生型タンパク質をコードする2本鎖鋳型ポリヌクレオチドを含むサンプルを処理することによって生物学的活性を有する組み換えタンパク質の製造方法に関する。
【0106】
本発明は、ポリヌクレオチドに点突然変異を導入し、全範囲の単一アミノ酸置換が各アミノ酸位置(遺伝子部位飽和突然変異誘発(GSSM))で示される一組の子孫ポリヌクレオチドを生産するための、(縮重N,N,G/T配列を含む)本発明の(proprietary)コドンプライマーの使用をも提供する。用いられるオリゴ(oligos)は、隣接する第1の相同配列、縮重N,N,G/T配列、及び好ましくは必須ではないが、第2の相同配列を含む。N,N,G/T配列の縮重は、20種全てのアミノ酸に対するコドンを含んでいるので、そのようなオリゴの使用に由来する下流の子孫翻訳生成物は、ポリペプチドに沿った各アミノ酸位置において起こり得る全てのアミノ酸変化を含む。
【0107】
ある態様では、1つのそのような縮重オリゴ(1つの縮重N,N,G/Tカセットを含む)が、先祖ポリヌクレオチド鋳型中の各オリジナルコドンを全範囲のコドン置換に用いられる。別の態様では、同一又は同一でないオリゴのいずれかの少なくとも2つ以上の縮重N,N,G/Tカセットが、全範囲のコドンを置換するために先祖ポリヌクレオチド鋳型中の少なくとも2つ以上のオリジナルコドンで用いられる。このように、1以上のN,N,G/T配列を、1つのオリゴ中に含ませて、1以上の部位でアミノ酸突然変異を導入することができる。この複数のN,N,G/T配列は、直接隣接しうるか、又は1以上の追加的なヌクレオチド配列によって隔てられうる。別の態様では、付加及び欠失を導入するのに働きうるオリゴは、単独で又はN,N,G/T配列を含むコドンとの組み合わせのいずれかで用いられ、アミノ酸付加、欠失、及び/又は置換の任意の組み合わせ又は順列を導入できる。
【0108】
特定の例示では、隣接するN,N,G/Tトリプレット、すなわち、縮重(N,N,G/T)n配列を含むオリゴを用いて、2以上の隣接するアミノ酸位置を同時に突然変異させることが可能である。
【0109】
別の態様では、本発明は、N,N,G/T配列より縮重の少ない縮重カセットの使用を提供する。例えば、たった1つのNを含んでなり、このNがトリプレットの第1、第2又は第3の位置に存在しうる場合、(例えば、オリゴ中で)縮重トリプレット配列を用いることが場合により望ましい。それらの任意の組み合わせ及び順列を含む幾つかの他の塩基は、トリプレットの残りの2つの位置で用いることができる。あるいは、(例えば、オリゴ中で)縮重N,N,Nトリプレット配列(例えば、N,N,G/T又はN,N,G/Cトリプレット配列)、又はN,N,G/Cトリプレット配列を用いることが場合により望ましい。
【0110】
しかしながら、本発明で開示したように、縮重トリプレットの使用は、幾つかの理由で有利であることが理解される。ある態様では、本発明は、体系的且つ完全で容易に(全部で20種のアミノ酸について)可能な全範囲のアミノ酸のポリペプチド中のそれぞれの及び全てのアミノ酸位置への置換を生じさせる手段を提供する。すなわち、100個のアミノ酸からなるペプチドについて、本発明は、体系的且つ完全で容易に2000個の異なる種(すなわち、位置当たり20種の可能なアミノ酸×100アミノ酸位置)を生じさせる方法を提供する。縮重N,N,G/T又はN,N,G/Cトリプレット配列を含むオリゴの使用によって、20種の可能なアミノ酸をコードする32種の個別の配列が提供されることが理解される。従って、先祖ポリヌクレオチド配列が1つのそのようなオリゴを用いる飽和突然変異誘発に付される反応容器中では、20種の異なるポリペプチドをコードする32種の異なる子孫ポリヌクレオチドが生成する。これに対し、部位特異的突然変異誘発における非縮重オリゴを使用すると、反応容器当たりたった1つの子孫ポリペプチド生成物しか得られない。
【0111】
本発明はまた、開示された縮重プライマーとの組み合わせで任意に使用できる、非縮重オリゴの使用を提供する。ある状況において、実用的なポリヌクレオチドでの特異的な点突然変異を生じさせるために非縮重オリゴを用いることが有利であることが理解される。これは、特異的でサイレントな(silent)点突然変異、対応するアミノ酸変化を誘導する点突然変異、及び停止コドンの生成及びポリペプチド断片の対応する発現を引き起こす点突然変異を生じさせる手段を提供する。
【0112】
このように、ある実施態様では、各飽和突然変異誘発反応容器には、少なくとも20種以上の子孫ポリペプチド分子をコードするポリヌクレオチドが含まれ、先祖ポリヌクレオチド中の突然変異誘発されたコドン位置に対応する20種全てのアミノ酸が1つの特異的なアミノ酸位置を表す。各飽和突然変異誘発反応容器から生成された32倍縮重子孫ポリペプチドを、クローン増幅(例えば、発現ベクターを用いて好適な大腸菌宿主中にクローニングする)させ、発現スクリーニングに供することができる。個々の子孫ポリペプチドを、(先祖ポリペプチドに比べて)都合の良い特性の変化を示すスクリーニングによって同定する場合、それを配列してその中に含まれる対応する都合の良いアミノ酸置換体を同定することができる。
【0113】
本明細書中に開示された飽和突然変異誘発を用いた先祖ポリペプチド中の各アミノ酸位置、及び全てのアミノ酸位置を突然変異させると、都合の良いアミノ酸変化を1以上のアミノ酸位置で同定できることが理解される。これらの都合の良いアミノ酸置換体の全て又は部分の組み合わせを含む、1以上の新たな子孫分子を生成させることができる。例えば、2つの特異的な都合の良いアミノ酸変化が、ポリペプチドの3つのアミノ酸位置のそれぞれで同定されるなら、順列は各位置(オリジナルアミノ酸から変化が無く、2つの都合の良い変化のそれぞれ)及び3つの位置において3つの可能性を有する。従って、3×3×3すなわち全部で27の可能性があり、予め試験された6つの単一点突然変異体(すなわち、3つの位置のそれぞれで2つ)及びいずれの位置にも変化がないものの7つが含まれる。
【0114】
さらに別の態様では、スクリーニングに加えて、シャフリング、キメラ化(chimerization)、組み換え及び他の突然変異誘発工程と共に部位飽和突然変異誘発を用いることができる。本発明は、反復的な飽和突然変異誘発を含む、任意の突然変異誘発工程の使用を提供する。1つの例示では、任意の突然変異誘発工程の反復使用は、スクリーニングとの組み合わせで用いられる。
【0115】
このように、非限定的な例示においては、本発明のポリヌクレオチド及びポリペプチドは、2以上の関連ポリヌクレオチドを好適な宿主細胞中に導入して、組み換え及び復元的再構成によってハイブリッドポリヌクレオチドを生成する工程などの、追加的な突然変異誘発工程と組み合わせた飽和突然変異誘発によって誘導できる。
【0116】
遺伝子の配列全体に沿って突然変異誘発を行うのに加え、突然変異誘発を用いてポリヌクレオチド配列中の任意の数の各塩基を置換することができ、突然変異されるべき塩基の数は15〜100,000の全ての整数であることが好ましい。すなわち、分子に沿って全ての位置を突然変異させる代わりに、全ての又は不連続の数の塩基(好ましくはトータルで15〜100,000のサブセット)を突然変異誘発させることができる。個別のヌクレオチドを、ポリヌクレオチド配列に沿った各位置又は位置のグループを突然変異させるために用いることが好ましい。突然変異されるべき3つの位置のグループは、コドンであってもよい。突然変異カセットとも呼ばれる、異種カセットを含む突然変異誘発プライマーを用いて突然変異を導入するのが好ましい。好ましいカセットは、1〜500個の塩基を有することができる。そのような異種カセット中の各ヌクレオチド位置は、N、A、C、G、T、A/C、A/G、A/T、C/G、C/T、G/T、C/G/T、A/G/T、A/C/T、A/C/G、又はEであり、ここでEはA、C、G、又はTではない任意の塩基である(Eはデザイナーオリゴと呼ぶことができる)。
【0117】
一般的には、飽和突然変異誘発は、突然変異誘発されるべき定義されたポリヌクレオチド配列中の突然変異誘発カセット(各カセットは長さ約1〜500塩基であることが好ましい)の完全セットを突然変異誘発することからなる(突然変異誘発される配列は長さ約15〜100,000であることが好ましい)。このように、(1〜100個の突然変異の範囲の)突然変異のグループが、突然変異誘発されるべき各カセットに導入される。1つのカセット中に導入されるべき突然変異誘発のグループ分けは、1ラウンドの飽和突然変異誘発の適用の間、第2のカセット中に導入されるべき突然変異の第2のグループと異なっていることも又は同一であることもできる。このようなグループ分けは、欠失、付加、特定コドンのグループ分け、及び特定ヌクレオチドカセットのグループ分けによって例示される。
【0118】
突然変異誘発されるべき定義された配列としては、遺伝子全体、経路、cDNA、オープンリーディングフレーム(ORF)全体、及びプロモーター全体、エンハンサー、リプレッサー/トランス活性化因子、複製起点、イントロン、オペレーター、又は任意のポリヌクレオチド官能基が挙げられる。一般に、この目的のための「定義された配列(defined sequences)」は、15塩基−ポリヌクレオチド配列、及び15塩基及び15,000塩基の間の長さのポリヌクレオチド配列である任意のポリヌクレオチドであり得る(本発明はその数値間の全ての整数を具体的に指定する)。コドンのグループ分けの選択において考慮すべきこととしては、縮重突然変異誘発カセットによってコードされるアミノ酸のタイプが挙げられる。
【0119】
突然変異誘発カセット中に導入されうる突然変異のグループ分けの特に好ましい例示においては、本発明は、各位置の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、及び20種のアミノ酸、並びにそれによってコードされるポリペプチドのライブラリーをコードする(縮重オリゴを用いた)縮重コドン置換体を特異的に提供する。
【0120】
本発明のある態様は、配列番号1及び3の配列の1つ、それと実質的に同一の配列、それに相補的な配列、又は配列番号1及び3の配列の1つの少なくとも10、15、20、25、30、35、40、50、75、100、150、200、300、400、若しくは500個の連続的な塩基を含む断片を含む単離された核酸である。単離された核酸は、cDNA、ゲノムDNA、及び合成DNAを含むことができる。DNAは、2本鎖又は1本鎖であってよく、1本鎖はコード鎖又は非コード鎖(アンチセンス)であってよい。あるいは、単離された核酸はRNAを含んでいてもよい。
【0121】
下記により詳細に考察するように、本発明の単離された核酸配列を用いて配列番号2及び4のポリペプチドの1つ、及びそれに実質的に同一な配列、又は配列番号2及び4のポリペプチドの1つの、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100、若しくは150個の連続的なアミノ酸を含む断片、及びそれと実質的に同一の配列を製造できる。
【0122】
従って、本発明の別の態様は、配列番号2及び4のポリペプチドの1つ、それと実質的に同一の配列、又は配列番号2及び4のポリペプチドの1つの、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100、若しくは150個の連続的なアミノ酸を含む断片をコードする単離された核酸配列である。遺伝暗号の冗長性又は縮重性の結果として、これらの核酸のコード配列は、配列番号1及び3のコード配列の1つ、又はその断片と同一であるか又は配列番号2及び4のポリペプチドの1つ、それと実質的に同一の配列、及び配列番号2及び4のポリペプチドの1つの、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100、若しくは150個の連続的なアミノ酸を有する断片をコードする異なるコード配列でありうる。遺伝暗号は当業者に周知であり、例えば、参照によってその開示が本明細書中に組み入れられる、B.Lewin,Genes VIの214頁、Oxford University Press, 1997によって得られる。
【0123】
配列番号2及び4のポリペプチドの1つ、及びそれと実質的に同一の配列をコードする単離された核酸配列は、下記に限定されないが、配列番号1及び3のうちの1つのコード配列のみ、及びそれと実質的に同一の配列、並びに追加的なコード配列(例えば、リーダー配列又はプロタンパク質配列など)及び非コード配列(例えば、イントロン又はコード配列の5’及び/又は3’の非コード配列など)を含む。従って、本明細書中で用いる語句「ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド」は、ポリペプチドに対するコード配列のみを含むポリヌクレオチドだけでなく、追加的なコード配列及び/又は非コード配列を含むポリヌクレオチドを包含する。
【0124】
あるいは、本発明の核酸配列を、部位特異的突然変異誘発、又は当業者によく知られている他の方法などの従来の方法を用いて突然変異を起こさせ、配列番号1及び3のポリヌクレオチド、及びそれと実質的に同一の配列中にサイレントな変化を導入することができる。本明細書中で用いられる「サイレントな変化(silent changes)」としては、例えば、ポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列を改変しない変化が挙げられる。このような変化は、宿主生物中でしばしば生じるコドン又はコドンペアを導入することによるポリペプチドをコードするベクターを含有する宿主によって製造されるポリペプチドの濃度を増加させるために望ましい。
【0125】
本発明はまた、本発明のポリペプチド(例えば、配列番号2及び4)におけるアミノ酸置換、付加、欠失、融合及び切断をもたらすヌクレオチド変化を有するポリヌクレオチドにも関する。このようなヌクレオチド変化は、部位特異的突然変異誘発、ランダム化学突然変異誘発、エクソヌクレアーゼIII欠失、及び他の組み換えDNA技術などの技術を用いて導入されうる。あるいは、このようなヌクレオチド変化は、本明細書中に示されたような高、中、又は低ストリンジェンシー条件下で、配列番号1及び3の配列の1つ、及びそれと実質的に同一の配列(又はそれに相補的な配列)の少なくとも10、15、20、25、30、35、40、50、75、100、150、200、300、400、又は500個の連続的な塩基を含むプローブに特異的にハイブリダイズする核酸配列を同定することによって単離される天然の対立遺伝子変異体であってもよい。
【0126】
配列番号1及び3の単離された核酸、それと実質的に同一の配列、相補的配列、又は前記配列の1つの、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、50、75、100、150、200、300、400、又は500個の連続的塩基を含む断片はまた、プローブとして用いて、土壌サンプルなどの生物学的サンプルが、本発明の核酸配列を有する生物又はそれから核酸が得られる生物を含むか否かを決定できる。このような手法では、それから核酸が単離された生物を潜在的に含んでいる(harboring)生物学的サンプルが得られ、このサンプルから核酸が得られる。プローブがその中に存在する任意の相補的配列に特異的にハイブリダイズすることを可能にする条件で、この核酸をプローブと接触させる。
【0127】
必要ならば、プローブを相補的配列と特異的にハイブリダイズさせる条件は、相補的配列だけでなく相補的配列を含まない調節配列を含むことが知られているサンプル由来の相補的配列とプローブを接触させることによって決定できる。ハイブリダイゼーションバッファーの塩濃度、ハイブリダイゼーションバッファーのホルムアミド濃度、又はハイブリダイゼーション温度などの、ハイブリダイゼーション条件を変動させて、プローブを相補的核酸に特異的にハイブリダイズさせる条件を同定することができる。
【0128】
サンプルがそれから核酸を単離した生物を含むなら、次いで、プローブの特異的ハイブリダイゼーションが検出される。ハイブリダイゼーションは、放射性同位体、蛍光染料又は検出可能な生成物の形成を触媒しうる酵素などの検出可能な試薬でプローブを標識することによって検出される。
【0129】
標識プローブを用いてサンプル中の相補的核酸の存在を検出する多くの方法は、当業者によく知られている。これらとしては、サザンブロット法、ノーザンブロット法、コロニーハイブリダイゼーション法、及びドットブロット法が挙げられる。これらの方法のそれぞれについてのプロトコールは、参照によってその開示の全体が本明細書中に組み入れられる、Ausubelら、分子生物学の最新プロトコール(Current Protocols in Molecular Biology), John Wiley 503 Sons, Inc. 1997及びSambrookら、分子クローニング:研究室マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989に記載されている。
【0130】
あるいは、1個以上のプローブ(少なくともそのうちの1つは核酸サンプル中に存在する任意の相補的配列に特異的にハイブリダイズできる)を増幅反応に用いて、サンプルが本発明の核酸配列を含有する生物(例えば、それから核酸が単離された生物)を含んでいるか否かを決定することができる。通常は、プローブは、オリゴヌクレオチドを含む。ある実施態様では、増幅反応は、PCR反応を含んでいてもよい。PCRプロトコールは、前記Ausubel及びSambrookに記載されている。あるいは、増幅はリガーゼ連鎖反応、3SR、又はストランド置換反応(strand displacement reaction)を含んでいてもよい。(その全体を参照することによってその開示が本明細書中に組み入れられる、Barany,F.、「PCRワールドにおけるリガーゼ連鎖反応(The Ligase Chain Reaction in a PCR World)」、PCR法及び応用(PCR Methods and Applications)、1:5-16、1991;E.Fahyら、「自立配列複製(3SR):PCRに代わる等温転写系増幅システム(Self-sustained Sequence Replication (3SR): An Isothermal Transcription-based Amplification System Alternative to PCR)」、PCR法及び応用(PCR Methods and Applications)、1:25-33、1991;及びWalker G.T.ら、「ストランド置換増幅−in vitroでの等温DNA増幅技術(Strand Displacement Amplification-an Isothermal in vitro DNA Amplification Technique)」、Nucleic Acid Research 20:1691-1696, 1992を参照されたい)。このような方法では、サンプル中の核酸をプローブと接触させ、増幅反応を行い、得られた任意の増幅産物を検出する。増幅産物は、反応生成物についてゲル電気泳動を行い、臭化エチジウムなどの挿入剤(intercalator)でゲルを染色することによって検出できる。あるいは、1個以上のプローブを放射性同位体で標識することができ、放射性増幅産物の存在をゲル電気泳動後のオートラジオグラフィーによって検出できる。
【0131】
配列番号1及び3に記載された配列、及びそれと実質的に同一の配列の末端近くの配列から誘導されたプローブを、染色体歩行法(chromosome walking procedures)に用いて、上記の核酸配列と隣接して位置するゲノム配列を含有するクローンを同定することもできる。そのような方法は、宿主生物由来の追加的なタンパク質をコードする遺伝子の単離を可能にする。
【0132】
配列番号1及び3に記載された単離された核酸配列、それと実質的に同一の配列、それと相補的な配列、又は前記配列のうちの1つの、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、50、75、100、150、200、300、400、又は500個の連続的な塩基を含む断片を、プローブとして用いて、近縁の核酸を同定及び単離することができる。ある実施態様では、近縁の核酸は、その核酸が単離された生物以外の生物由来のcDNA又はゲノムDNAであってもよい。例えば、他の生物は近縁の生物であってもよい。このような方法では、プローブを近縁の配列に特異的にハイブリダイズさせる条件下で、核酸サンプルをプローブと接触させる。次いで、近縁生物由来の核酸へのプローブのハイブリダイゼーションを、上記の方法の幾つかを用いて検出する。
【0133】
核酸ハイブリダイゼーション反応では、特定レベルのストリンジェンシーを達成するために用いられる条件は、ハイブリダイズされる核酸の性質に依存して変動するであろう。例えば、長さ、相補性の程度、ヌクレオチド配列組成(例えば、GC対AT含量)、及び核酸のハイブリダイズする領域の核酸タイプ(例えば、RNA対DNA)は、ハイブリダイゼーション条件の選択において考慮されうる。核酸の1つが、例えば、フィルタ上に固定されているか否かが付加的に考慮される。
【0134】
ハイブリダイゼーションは、低ストリンジェンシー、中ストリンジェンシー又は高ストリンジェンシー条件下で行うことができる。核酸のハイブリダイゼーションの例として、固定された変性核酸を含有する高分子膜を、0.9M塩化ナトリウム、50mM NaH2PO4、pH7.0、5.0mM Na2EDTA、0.5%SDS、10×デンハート(10X Denhardt's)、及び0.5mg/mlポリリボアデニル酸からなる溶液中、45℃で30分間、最初にプレハイブリダイズする。次いで、約2×107cpm(比放射能4〜9×108cpm/μg)の32P末端標識オリゴヌクレオチドプローブを溶液に添加する。12〜16時間のインキュベーション後、0.5%SDSを含む1×SET(150mM塩化ナトリウム、20mMトリス塩酸、pH7.8、1mM Na2EDTA)中、室温で30分間洗浄し、次いでオリゴヌクレオチドプローブを新たな1×SET中、Tm−10℃で30分間洗浄した。次いで、この膜をオートラジオグラフィー用フィルムに露出して、ハイブリダイゼーションシグナルを検出する。
【0135】
検出可能なプローブにハイブリダイズする、cDNA又はゲノムDNAなどの、核酸を同定するために用いられるハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーを変化させることにより、プローブに対する異なるレベルの相同性を有する核酸が同定でき単離できる。ストリンジェンシーは、プローブの溶融温度未満の変動する温度でハイブリダイゼーションを行うことによって変動させることができる。溶融温度Tmは、(規定のイオン強度及びpHで)50%の標的配列が完全に相補的なプローブにハイブリダイズする温度である。非常にストリンジェントな条件は、特定プローブに対してTmと同じか又はTmより約5℃低いように選択される。プローブの溶融温度は、下記式を用いて算出できる:
14及び70の間のヌクレオチド長さのプローブについては、溶融温度(Tm)は、式:Tm=81.5+16.6(log[Na+])+0.41(画分G+C)−(600/N)(ここで、Nはプローブの長さである)を用いて算出される。
【0136】
ハイブリダイゼーションがホルムアミドを含有する溶液中で行われるならば、溶融温度は、式:Tm=81.5+16.6(log[Na+])+0.41(画分G+C)−(0.63%ホルムアミド)−(600/N)(ここで、Nはプローブの長さである)を用いて算出してもよい。
【0137】
6×SSC、5×デンハート試薬、0.5%SDS、100gの断片化された変性サケ精子DNA又は6×SSC、5×デンハート試薬、0.5%SDS、100gの断片化された変性サケ精子DNA、50%ホルムアミド中でプレハイブリダイゼーションを行ってもよい。SSC及びデンハート溶液の処方は、前記Sambrookらに列挙されている。
【0138】
検出可能なプローブを上記列挙したプレハイブリダイゼーション溶液に添加することによってハイブリダイゼーションを行う。プローブが2本鎖DNAを含む場合、それを変性させてからハイブリダイゼーション溶液に添加する。フィルタを十分な時間ハイブリダイゼーション溶液と接触させて、プローブに相補的か若しくはプローブと異種の配列を含むcDNA又はゲノムDNAにプローブをハイブリダイズさせる。長さ200ヌクレオチドを超えるプローブについては、Tm未満の15〜25℃でハイブリダイゼーションを行うことができる。オリゴヌクレオチドプローブなどの、より短いプローブについては、Tm未満の5〜10℃でハイブリダイゼーションを行うことができる。一般的には、6×SSC中でのハイブリダイゼーションでは、約68℃でハイブリダイゼーションを行う。通常、溶液を含む50%ホルムアミド中でのハイブリダイゼーションでは、約42℃でハイブリダイゼーションを行う。
【0139】
上記全てのハイブリダイゼーションは、高ストリンジェンシー条件下にあると考えられるであろう。
【0140】
ハイブリダイゼーションに続き、フィルタを洗浄して任意の非特異的に結合された検出可能プローブを除去する。フィルタの洗浄に用いるストリンジェンシーもまた、ハイブリダイズされる核酸の性質、ハイブリダイズされる核酸の長さ、相補性の程度、ヌクレオチド配列組成(例えば、GC対AT含量)、及び核酸のタイプ(例えば、RNA対DNA)に依存して変動しうる。ストリンジェンシーが漸次高くなる条件の洗浄の例は、次のとおりである:2×SSC、0.1%SDS、室温で15分間(低ストリンジェンシー);0.1×SSC、0.5%SDS、室温で30分〜1時間(中ストリンジェンシー);0.1×SSC、0.5%SDS、ハイブリダイゼーション温度と68℃の間で15〜30分間(高ストリンジェンシー);及び0.15M塩化ナトリウム、72℃で15分間(非常に高ストリンジェンシー)。最終の低ストリンジェンシー洗浄は、0.1×SSC中、室温で行うことができる。上記の例はフィルタを洗浄するために用いることができる1組の条件の単なる実例である。当業者であれば、異なるストリンジェンシー洗浄の多数の処方があることがわかるであろう。幾つかの他の例を下記に示す。
【0141】
プローブにハイブリダイズしている核酸は、オートラジオグラフィー又は他の従来技術によって同定される。
【0142】
上記方法を修飾して、プローブ配列に対する相同性のレベルが低下した核酸を同定できる。例えば、検出可能プローブに対する相同性が低下した核酸を得るために、より低いストリンジェント条件を用いることができる。例えば、約1MのNa+濃度を有するハイブリダイゼーションバッファー中で、ハイブリダイゼーション温度を、68℃〜42℃まで5℃づつ低下させることができる。ハイブリダイゼーションに続き、フィルタを2×SSC、0.5%SDS、ハイブリダイゼーション温度で洗浄することができる。これらの条件は、50℃より上が「中程度(moderate)」条件であり、50℃未満が「低」条件であると考えられる。「中程度」ハイブリダイゼーション条件の具体例は、上記ハイブリダイゼーションを55℃で行う場合である。「低ストリンジェンシー」ハイブリダイゼーション条件の具体例は、上記ハイブリダイゼーションを45℃で行う場合である。
【0143】
あるいは、ホルムアミドを含有する、6×SSCなどのバッファー中、42℃の温度でハイブリダイゼーションを行うことができる。この場合、ハイブリダイゼーションバッファー中のホルムアミドの濃度を、50%〜0%まで5%づつ低下させて、そのプローブに対する相同性レベルの低いクローンを同定することができる。ハイブリダイゼーションに続き、50℃で6×SSC、0.5%SDSによりフィルタを洗浄することができる。これらの条件は、ホルムアミド25%より上が「中程度」条件であり、ホルムアミド25%未満が「低」条件であると考えられる。「中程度」ハイブリダイゼーション条件の具体例は、上記ハイブリダイゼーションを30%ホルムアミドで行う場合である。「低ストリンジェンシー」ハイブリダイゼーション条件の具体例は、上記ハイブリダイゼーションを10%ホルムアミドで行う場合である。
【0144】
例えば、上記方法を用いて、配列番号1及び3に示す核酸配列、それと実質的に同一の配列、又はその少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、50、75、100、150、200、300、400、又は500個の連続的な塩基を含む断片に対して、少なくとも約97%以上、少なくとも95%以上、少なくとも90%以上、少なくとも85%以上、少なくとも80%以上、又は少なくとも70%以上の相同性を有する配列を有する核酸を単離することができる。相同性はアラインメントアルゴリズムを用いて測定できる。例えば、相同なポリヌクレオチドは、本明細書中に記載したコード配列の1つの天然の対立遺伝子変異体であるコード配列を有することができる。このような対立遺伝子変異体は、配列番号1及び3に記載の核酸配列、又はそれに相補的な配列と比較して、1個以上のヌクレオチドの置換、欠失又は付加を有することができる。
【0145】
さらに、上述の方法は、配列番号2および4に記載の配列を有するポリペプチド、それらに対して実質的に同一な配列、それらの少なくとも5, 10, 15, 20, 25, 30, 35, 40, 50, 75, 100, もしくは150個の連続するアミノ酸を含んでなる断片に対して、配列アラインメントアルゴリズム(例えば、デフォルトパラメーターを用いるFASTA version 3.0t78アルゴリズムなど)を用いて決定される値である少なくとも約99%、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、もしくは少なくとも70%の相同性を有するポリペプチドをコードする核酸を単離するために用いることができる。
【0146】
本発明の別の1態様は、単離もしくは精製された、配列番号1および3に記載の配列を含んでなるポリペプチド、それらに対して実質的に同一な配列、またはそれらの少なくとも5, 10, 15, 20, 25, 30, 35, 40, 50, 75, 100,もしくは150個の連続するアミノ酸を含んでなる断片である。上述のとおり、このようなポリペプチドは、そのポリペプチドをコードする核酸を、そのコード配列が適切な宿主細胞中でそのコードされたポリペプチドの発現を駆動することのできる配列に機能しうる形で連結されるように、ベクター中に挿入することによって得ることができる。例えば、発現ベクターはプロモーター、翻訳開始のためのリボゾーム結合部位、および転写ターミネーターを含み得る。ベクターには発現を増強するための適切な配列をも含めることができる。
【0147】
該ポリペプチドもしくはその断片の細菌内での発現に適するプロモーターとしては、大腸菌(E.coli)のlacもしくはtrpプロモーター、lacIプロモーター、lacZプロモーター、T3プロモーター、T7プロモーター、gptプロモーター、λPRプロモーター、λPLプロモーター、3-ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)などの解糖酵素をコードするオペロン由来のプロモーター、および酸性ホスファターゼプロモーターが挙げられる。真菌プロモーターとしては因子プロモーターが挙げられる。真核細胞プロモーターとしては、CMV前初期プロモーター、HSVチミジンキナーゼプロモーター、熱ショックプロモーター、初期および後期 SV40プロモーター、レトロウイルスから得たLTR、およびマウスメタロチオネイン-Iプロモーターが挙げられる。原核細胞もしくは真核細胞またはそれらの細胞のウイルス中の遺伝子の発現を調節することが知られている他のプロモーターも用いることができる。
【0148】
哺乳動物の発現ベクターはまた、複製の起点、必須なリボゾーム結合部位の任意のもの、ポリアデニル化部位、スプライス供与体とスプライス受容体部位、転写終結配列、および5'隣接非転写配列をも含み得る。いくつかの実施形態においては、SV40スプライス部位およびポリアデニル化部位に由来するDNA配列を、必須の非転写遺伝子エレメントを提供するために用いることもできる。
【0149】
該ポリペプチドもしくはその断片を真核細胞中で発現させるためのベクターはまた、発現レベルを増加させるためのエンハンサーを含有したものとすることができる。エンハンサーはDNAのシス作用性エレメントであり、通常は約10〜約300bpの長さを持ち、プロモーターに作用してその転写を増大させる。例としては100〜270bpの複製起点の後発側のSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後発側のポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーが挙げられる。
【0150】
さらに、発現ベクターには、典型的には、そのベクターを含んでいる宿主細胞が選択されうるように、1つ以上の選択マーカー遺伝子が含まれている。そのような選択マーカーとしては、ジヒドロ葉酸レダクターゼをコードする遺伝子、または真核細胞培養株にネオマイシン耐性を与える遺伝子、大腸菌(E.coli)にテトラサイクリン耐性もしくはアンピシリン耐性を与える遺伝子、およびS.セレビシエ(S.cerevisiae)のTRP1遺伝子が挙げられる。
【0151】
発現ライブラリーを作製した後に、さらにそのライブラリーをセルソーティングによりスクリーニングする前に「バイオパンニング」するステップを含めることができる。「バイオパンニング」法とは、クローンのライブラリーにおいて配列相同性に対してスクリーニングすることによって、特定の生物活性を有するクローンを同定する方法を意味するが、そのクローンのライブラリーの調製は(i)特定の生物活性を有する生物学的物質をコードするDNA配列の少なくとも一部分を含む少なくとも1種のプローブDNAを用いることによって、少なくとも1種の微生物由来のDNAから標的DNAを選択的に単離し、(ii)必要に応じて単離した標的DNAを用いて宿主を形質転換して、特定の生物学的活性についてスクリーニングされることとなるクローンのライブラリーを作製する、ことによって行われる。
【0152】
少なくとも1種の微生物由来のDNAから、対象となる標的DNAを選択的に単離するために用いられるプローブDNAは、既知の活性を有する酵素のDNAの完全長のコード領域配列もしくはコード領域配列の一部とすることができる。好ましくは最初のDNAライブラリーを、その特定の酵素活性を有する酵素をコードするDNA配列の少なくとも一部分を含むプローブの混合物を用いてプローブすることができる。これらのプローブまたはプローブライブラリーは一本鎖であるのが好ましく、プローブされる微生物DNAは一本鎖形態に変換されていることが好ましい。特に適切なプローブは、スクリーニングしようとしている特定の酵素活性と類似の、もしくは同一の活性を有する酵素をコードするDNAに由来するものである。
【0153】
該プローブDNAは少なくとも約10塩基、好ましくは少なくとも15塩基であるべきである。1実施形態においては、コード領域全体をプローブとして用いることができる。少なくとも1つのDNAプローブの使用によって標的DNAを選択的に単離するためのハイブリダイゼーション条件は、少なくとも約50%の配列同一性となるハイブリダイゼーションストリンジェンシー、より詳細には、少なくとも約70%の配列同一性となるハイブリダイゼーションストリンジェンシーを提供するように設計される。
【0154】
核酸ハイブリダイゼーション反応において特定のレベルのストリンジェンシーを得るために用いられる条件は、ハイブリダイズされる核酸の性質の如何によって変わる。例えば、核酸のハイブリダイズする領域の長さ、相補性の程度、ヌクレオチド配列の組成(例えば、GC対AT含量)、および核酸型(例えばRNA対DNA)が、ハイブリダイゼーション条件を選択する際に考慮されうる。さらに考慮すべきことは核酸の一方が固定化、例えばフィルター上に固定化されているかどうかである。
【0155】
ストリンジェンシーが段階的に高くなるような条件の例は次のとおりである:ほぼ室温で2 x SSC/0.1% SDS(ハイブリダイゼーション条件);ほぼ室温で0.2 x SSC/0.1% SDS(低ストリンジェンシー条件);約42℃で0.2 x SSC/0.1% SDS(中程度ストリンジェンシー条件);約68℃で0.1 x SSC(高ストリンジェンシー条件)。洗浄はこれらの条件のうちの1つのみ、例えば高ストリンジェンシー条件を用いて行ってもよいし、あるいは上記の条件の各々を用いて、例えばそれぞれを上述の順番で10-15分間ずつ、上述のステップのいずれかまたはその全てを繰り返して、行うことができる。しかし、上述のとおり、最適な条件は、行おうとする特定のハイブリダイゼーション反応の如何によって異なり、それを経験的に決定することができる。
【0156】
対象となりうる標的DNAを単離する目的で微生物のDNAライブラリーをプローブするためのハイブリダイゼーション技法は当業界では良く知られており、文献中に述べられている技法はいずれも本発明で用いるために適しているが、特に、プローブDNAをその微生物に由来する他のDNAから分離することを容易にするために、直接的もしくは間接的に結合させる固相結合を利用する技法が適している。
【0157】
好ましくは、そのプローブDNAは特異的結合ペアの一方のパートナー(すなわちリガンド)で「標識」され、そのペアのもう一方のパートナーは、その供給源からの標的の分離を容易にするために固体マトリックスに結合される。そのリガンドと特異的結合パートナーは次のもの(それぞれの配置に対応する)から選択することができる:(1)抗原もしくはハプテンと抗体もしくはその特異的結合フラグメント;(2)ビオチンもしくはイミノビオチンとアビジンもしくはストレプトアビジン;(3)糖とそれに対して特異的なレクチン;(4)酵素とそれに対するインヒビター;(5)アポ酵素とコファクター;(6)相補的なホモポリマー性オリゴヌクレオチド対;ならびに(7)ホルモンとそれに対する受容体。固相は好ましくは次のものから選択される:(1)ガラスもしくはポリマー性表面; (2)ポリマー性ビーズの充填されたカラム;および(3)磁性もしくは常磁性粒子。
【0158】
さらに、単離された標的DNAの増幅を行うことが任意ではあるが、望ましい。この実施形態においては、標的DNAは単離後にプローブDNAから分離する。次いで、その標的DNAを宿主の形質転換に用いる前に増幅する。所与のDNA配列の少なくとも1部分を含むように選択された二本鎖DNAを一本鎖とし、増幅および再アニーリングに供して、選択された二本鎖DNAの数を増加させることができる。今や多数の増幅法が当業界で良く知られている。
【0159】
次いでこの選択されたDNAを用いて、適切な生物体を形質転換することによって、スクリーニング対象のライブラリーを調製する。前記標的DNAを含有するベクターを、そのような形質転換に好適な条件下で注入することにより人工的に導入することで、宿主、特に本明細書中で好ましいものとして特に定めたものを形質転換する。
【0160】
次いで、この結果得られた形質転換されたクローンのライブラリーにおいて、対象とする酵素の活性を示すクローンをスクリーニングする。
【0161】
ある生物体から選択的に単離したDNAから多数のクローンを調製した後、そのクローンを特定の酵素活性についてスクリーニングし、その特定の酵素特性を有するクローンを同定する。
【0162】
酵素活性のスクリーニングは個々の発現クローンについて行ってもよく、あるいはまず発現クローンの混合物についてそのスクリーニングを行って、その混合物が1以上の特定の酵素活性を有するか否かを確認してもよい。もしその混合物が特定の酵素活性を有していれば、次いで個々のクローンをその酵素活性についてもしくはより特定の活性についてFACS機器を用いて再スクリーニングすることができる。あるいはまた、ゲル微小液滴(gel microdroplet)などの被包技法を用いて、複数のクローンを1カ所に局在化させることができ、それによりFACS機器でその一群のクローンうちで陽性発現しているクローンについてスクリーニングし、次いでそれを個々のクローンに分けてFACS機器を用いて再度スクリーニングして陽性の個々のクローンを同定することができる。従って、例えば、あるクローン混合物がヒドロラーゼ活性を持っている場合には、個々のクローンを回収し、FACS機器を用いてそのようなクローンのうちのどれがヒドロラーゼ活性を持っているかを測定する。本明細書で用いている「小インサートライブラリー」とは、最大約5000塩基対のランダムな小サイズの核酸インサートを有するクローンを含んでいる遺伝子ライブラリーを意味する。本明細書で用いている「大インサートライブラリー」とは、約5000〜数十万塩基対もしくはそれ以上のランダムな大サイズの核酸インサートを有するクローンを含んでいる遺伝子ライブラリーを意味する。
【0163】
上述の態様のうちの1つに関して述べたように、本発明はある微生物由来の選択されたDNAを含んでいるクローンの酵素活性スクリーニングの方法を提供し、その方法は以下の工程を含む:ライブラリーを特定の酵素活性についてスクリーニングする工程であって、そのライブラリーには複数種のクローンが含まれ、それらのクローンは微生物のゲノムDNAから選択されたDNAを回収することによって調製されたものであり、その選択されるDNAは、特定の活性を有する酵素をコードするDNA配列の全体もしくは部分であるような少なくとも1つのDNA配列とハイブリダイズさせることによって選択されたものである工程;および、その選択されたDNAにより宿主を形質転換して、その特定の酵素活性についてスクリーニングすべきクローンを作製する工程。
【0164】
1実施形態においては、微生物由来のDNAライブラリーを選択処理に供して、特定の酵素活性を持つ酵素をコードするDNA配列の全体もしくは部分であるような1以上のプローブDNA配列とハイブリダイズするDNAをその中から選択するが、これは以下の工程により行う:
(a) 二本鎖のゲノムDNAの集団を一本鎖のDNAの集団にする工程;
(b) (a)の一本鎖DNAの集団を、リガンドに結合させたDNAプローブと、ハイブリダイゼーションしうる条件下で接触させて、プローブと、ゲノムDNA集団のメンバーであってそのプローブとハイブリダイズするものとの二本鎖複合体を生成する工程;
(c) (b)の二本鎖複合体を該リガンドに対する固相性特異的結合パートナーと接触させて固相複合体を作製する工程;
(d) (b)の一本鎖DNAの集団から、その固相複合体を分離する工程;
(e) 固相結合プローブに結合したゲノム集団のメンバーを該プローブから遊離させる工程;
(f) (e)のゲノム集団のメンバーから二本鎖のDNAを形成させる工程;
(g) (f)の二本鎖DNAを適切な宿主に導入して選択されたDNAを含有する複数種のクローンを含むライブラリーを作製する工程;
(h) そのライブラリーを特定の酵素活性についてスクリーニングする工程。
【0165】
別の1態様においては、該方法はシグナル配列もしくは分泌配列を含むDNAを回収するための前選択を含む。この方法では、上述したようなハイブリダイゼーションによってゲノムDNA集団から、シグナル配列もしくは分泌配列を含んだDNAのみを選択することが可能である。下記のパラグラフは本発明のこの実施形態のためのプロトコール、分泌シグナル配列の一般的な性質と機能、およびそのような配列のアッセイもしくは選択方法への適用の特定の例について述べている。
【0166】
この態様の特定の実施形態は、さらに次のステップを上記の(a)の後であって(b)の前に含む:
(ai) (a)の一本鎖DNA集団を、ある一定のクラスのタンパク質に特有の分泌シグナル配列に相補的なリガンドと結合したオリゴヌクレオチドプローブと、ハイブリダイゼーションし得る条件下で接触させて二本鎖複合体を形成させる工程;
(aii) (ai)の二本鎖複合体を、該リガンドに対する固相性特異的結合パートナーと接触させて、固相複合体を形成させる工程;
(aiii) (a)の一本鎖DNAの集団から固相複合体を分離する工程;
(aiv) 固相結合プローブと結合したゲノム集団のメンバーを遊離する工程;
(av) 固相結合プローブをそれに結合していたゲノム集団のメンバーから分離する工程。
【0167】
シグナル配列を含むように選択され単離されたDNAを、次いで上述の選択法にかけて、その中から、特定の酵素活性を有する酵素をコードするDNAに由来する1以上のプローブDNA配列と結合するDNAを選択し単離する。
【0168】
この方法は米国特許出願第08/692,002号(1996年8月2日出願)に記載され、例示されており、この文献は本明細書中に参照により組み入れることとする。
【0169】
in vivoのバイオパンニングはFACSをベースとした機器を用いて行うことができる。複合遺伝子ライブラリーは転写されたRNAを安定化するエレメントを含んでいるベクターを用いて構築される。例えば、RNAの転写領域に近接するように設計される、2次構造、例えばヘアピンなどを生ずる配列を含めることによって転写されたRNAの安定性が増強されることとなり、細胞内での半減期が延長される。バイオパンニング法に用いられるプローブ分子は、リポーター分子で標識されたオリゴヌクレオチドからなり、そのリポーター分子は標識分子にプローブが結合したときのみ蛍光を発するものである。これらのプローブは数種ある形質転換法のうちの1つを用いてライブラリーから組換え細胞中に導入される。プローブ分子は転写された標的mRNAと結合しDNA/RNAヘテロ二重鎖分子を形成する。そのプローブの標的への結合によって蛍光シグナルが発せられ、それがスクリーニング方法の際にFACS機器によって検出され、ソートされる。
【0170】
いくつかの実施形態においては、配列番号2および4のポリペプチド、それらと実質的に同一な配列、またはそれらのポリペプチドの少なくとも5, 10, 15, 20, 25, 30, 35, 40, 50, 75, 100,もしくは150個の連続するアミノ酸を含んでなる断片のうちの1つをコードする核酸は、翻訳されたポリペプチドもしくはその断片の分泌を指示することのできるリーダー配列と、適切な位置関係にて構築される。場合により、その核酸は、配列番号2および4のポリペプチド、それらと実質的に同一な配列、もしくはそれらのポリペプチドの少なくとも5, 10, 15, 20, 25, 30, 35, 40, 50, 75, 100,もしくは150個の連続するアミノ酸を含んでなる断片のうちの1つが、異種ペプチドもしくはポリペプチド、例えば、所望の特性(増大した安定性もしくは簡素化された精製など)を付与するN末端同定用ペプチドなどと融合された融合タンパク質をコードするものでもよい。
【0171】
適切なDNA配列はベクター中に種々の方法で挿入することができる。一般的には、インサートとベクターを適切な制限エンドヌクレアーゼを用いて消化した後にDNA配列を該ベクター中の所望の位置に連結する。あるいはまた、インサートとベクター双方において平滑末端を連結することができる。種々のクローニング技法が、Ausubelら, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc. 1997およびSambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual 第2版, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989中に開示されており、それらの開示内容全体を本明細書中に参照により組み入れることとする。そのような方法およびその他の方法は当業者の範囲内にあるものと見なされる。
【0172】
ベクターは、例えば、プラスミド、ウイル粒子、もしくはファージの形態であってよい。他のベクターとしては、染色体性、非染色体性、および合成DNA配列、SV40の派生株;細菌性プラスミド、ファージDNA、バキュロウイルス、酵母プラスミド、プラスミドとファージDNAの組み合わせに由来するベクター、ウイルスDNA(例えばワクシニア、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、および仮性狂犬病ウイルスなど)が挙げられる。原核細胞および真核細胞宿主とともに用いるための種々のクローニングベクターおよび発現ベクターについては、Sambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual 第2版, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989)中に記載されており、その開示内容は本明細書中に参照により組み入れることとする。
【0173】
用いることのできる特定の細菌性ベクターとしては、良く知られたクローニングベクターの遺伝子エレメントを含んでいる市販のプラスミドであるpBR322(ATCC 37017)、pKK223-3(Pharmacia Fine Chemicals, Uppsala, スウェーデン)、GEM1(Promega Biotec, Madison, 米国ウィスコンシン州)、pQE70、pQE60、pQE-9(Qiagen)、pD10、psiX174、pBluescript II KS、pNH8A、pNH16a、pNH18A、pNH46A(Stratagene)、ptrc99A、pKK223-3、pKK233-3、pDR540、pRIT5(Pharmacia)、pKK232-8、およびpCM7が挙げられる。特に真核生物のベクターとしてはpSV2CAT、pOG44、pXT1、pSG(Stratagene)、pSVK3、pBPV、pMSG、およびpSVL(Pharmacia)が挙げられる。しかし、その他のベクターのどのようなものでもそれが宿主細胞中で複製可能かつ生存可能である限りは、用いることができる。
【0174】
宿主細胞は当業者には良く知られた宿主細胞のどのようなもので良く、原核細胞、真核細胞、哺乳動物細胞、昆虫細胞、または植物細胞が挙げられる。適切な宿主の代表例として挙げることができるものは:細菌細胞、例えば大腸菌(E.coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、ならびに、シュードモナス(Pseudomonas)属、ストレプトミセス(Streptomyces)属、およびブドウ球菌(Staphylococcus)属内のいろいろな種、酵母などの真菌細胞、Drosophila S2およびSpodoptera Sf9などの昆虫細胞、CHO、COSもしくはBowes メラノーマなどの動物細胞、ならびにアデノウイルスなどである。適切な宿主を選択することは当業者であれば行いうることである。
【0175】
ベクターは宿主細胞中に種々の技法のいずれを用いて導入してもよく、そのような技法としては、形質転換、トランスフェクション、形質導入、ウイルス感染、遺伝子銃、もしくはTi媒介遺伝子移入が挙げられる。特定の方法としてはリン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクション、もしくは電気穿孔法(Davis, L., Dibner, M., Battey, I., Basic Methods in Molecular Biology(1986))が挙げられる。
【0176】
適切と考えられる場合には、遺伝子操作された宿主細胞を、本発明のプロモーターの活性化、本発明の形質転換体の選択、もしくは本発明の遺伝子の増幅に適切なものとなるように改変した従来の栄養培地中で培養することができる。適切な宿主株を形質転換しその宿主株を適切な細胞密度となるまで増殖させた後、選択したプロモーターを適切な方法(例えば、温度シフトもしくは化学的誘導)によって誘導し、細胞をさらなる時間にわたり培養して所望のポリペプチドもしくはその断片を産生するようにさせる。
【0177】
細胞は典型的には遠心分離して集め、物理的もしくは化学的方法で破砕し、その結果得られる粗抽出物はさらに精製するために保存しておく。タンパク質の発現に用いた微生物細胞は都合の良い方法であればどのような方法を用いて破砕してもよく、そのような方法としては凍結-溶解サイクル、超音波処理、機械的破砕、または細胞溶解剤の使用が挙げられる。そのような方法は当業者には良く知られたものである。発現したポリペプチドまたはその断片は、組換え細胞培養液から、硫安沈殿もしくはエタノール沈殿、酸抽出、陰イオンもしくは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、およびレクチンクロマトグラフィーなどの方法によって回収し精製することができる。必要であれば、タンパク質再フォールディングステップをポリペプチドの立体構造を完全なものとする上で用いることができる。所望により、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を最終精製ステップで用いることができる。
【0178】
種々の哺乳動物細胞培養系も組換えタンパク質発現のために用いることができる。哺乳動物発現系の例としては、サル腎臓線維芽細胞のCOS-7細胞系統(Gluzman, Cell, 23:175,1981で報告されている)、および適合性ベクターからタンパク質を発現しうるその他の細胞系統、例えばC127、3T3、CHO、HeLaおよびBHK細胞系統が挙げられる。
【0179】
宿主細胞中の構築物は従来法で組換え配列によってコードされた遺伝子産物を産生させるために用いることができる。組換え産生法で用いられる宿主によって、ベクターを含んでいる宿主細胞によって産生されるポリペプチドは、グリコシル化されたりグリコシル化されなかったりし得る。本発明のポリペプチドは開始メチオニンアミノ酸残基を含めたものとすることもそうでないようにすることもできる。
【0180】
あるいはまた、配列番号2および4のポリペプチド、それらと実質的に同一な配列、またはそれらのポリペプチドの少なくとも5, 10, 15, 20, 25, 30, 35, 40, 50, 75, 100, もしくは150個の連続するアミノ酸を含んでなる断片は、従来のペプチド合成機を用いて合成的に作製することができる。他の実施形態においては、該ポリペプチドの断片もしくは一部分を、対応する完全長のポリペプチドをペプチド合成によって作製するために用いることができる;従って、該断片は完全長のポリペプチド作製の中間体として用いることができる。
【0181】
また、配列番号2および4のポリペプチド、それらと実質的に同一な配列、もしくはそれらのポリペプチドの少なくとも5, 10, 15, 20, 25, 30, 35, 40, 50, 75, 100,もしくは150個の連続するアミノ酸を含んでなる断片のうちの1つを生成するために、該ポリペプチドもしくはその断片をコードする核酸に機能しうる形で連結されたプロモーターを含むDNA構築物から転写されたmRNAを用いる無細胞翻訳系を利用することができる。ある実施形態においては、該DNA構築物はin vitro転写反応を行う前に直鎖状にする。次いで、その転写されたmRNAを適切な無細胞翻訳用抽出液、例えばウサギ網状赤血球抽出物などと共にインキュベートして、所望のポリペプチドもしくはその断片を産生させる。
【0182】
本発明はまた、配列番号2および4のポリペプチド、それらと実質的に同一な配列、もしくはそれらのポリペプチドの少なくとも5, 10, 15, 20, 25, 30, 35, 40, 50, 75, 100,もしくは150個の連続するアミノ酸を含んでなる断片の変異体に関する。「変異体」という用語はこれらのポリペプチドの誘導体もしくは類似体を含んでいる。特に、変異体は、配列番号2および4のポリペプチド、およびそれらと実質的に同一な配列とは、そのアミノ酸配列が、1つ以上の置換、付加、欠失、融合、および末端切断(それらは任意の組み合わせで存在していてよい)の点で異なるものでありうる。
【0183】
それらの変異体は天然に生ずるもの、またはin vitroで作製したものであってよい。特に、そのような変異体は遺伝子工学の技法、例えば部位特異的突然変異誘発、ランダムな化学的突然変異誘発、エキソヌクレアーゼII欠失法、および標準的なクローニング法などを用いて作製することができる。あるいはまた、そのような変異体、断片、類似体、もしくは誘導体は化学合成法、もしくは化学修飾法を用いて作製することができる。
【0184】
変異体を作製するその他の方法もまた、当業者には良く知られているものである。そのようなものとしては、天然の単離株から得られた核酸配列を改変して、工業もしくは研究用途での価値を高めるような性質を有するポリペプチドをコードする核酸を作製する方法が挙げられる。そのような方法では天然の単離株から得られた配列とは1つ以上のヌクレオチドの相異のある、多数の変異体配列が作製され、特徴付けされる。典型的には、これらのヌクレオチドの相異によって、天然の単離株由来の核酸にコードされるポリペプチドにアミノ酸の変化がもたらされる。
【0185】
例えば、変異体は誤読の多いPCR(error prone PCR)を用いて作製することができる。誤読の多いPCRでは、PCR反応をDNAポリメラーゼの複製忠実度が低い条件下で行うことにより、PCR産物の長さ全体にわたって高率の点突然変異が得られる。誤読の多いPCRはLeung, D.W.ら, Technique, 1:11-15,(1989)、およびCaldwel, R.C.とJoyce, G.F., PCR Methods Applic., 2:28-33(1992)に記載されており、それらの開示内容はその全体を参照により本明細書中に組み込むこととする。簡潔に記せば、その方法では、PCR産物の長さ全体にわたって高率の点突然変異を起こさせるために、突然変異誘発させる核酸をPCRプライマー、反応バッファー、MgCl2、MnCl2、Taqポリメラーゼ、および適切な濃度のdNTPと混合する。例えば、PCR反応は20フェムトモルの突然変異誘発させる核酸、30ピコモルの各PCRプライマー、反応バッファー(50mM KCl、10mM Tris HCl(pH8.3)および0.01%ゼラチンを含む)、7mM MgCl2、0.5mM MnCl2、5ユニットのTaqポリメラーゼ、0.2mM dGTP、0.2mM dATP、1mM dCTP、および1mM dTTPを用いて行うことができる。PCRは94℃1分間、45℃1分間、および72℃1分間を30サイクル行えばよい。しかし、これらのパラメーターは適切に変えうることが理解されよう。その突然変異誘発させた核酸を適切なベクター中にクローン化し、その突然変異誘発させた核酸にコードされるポリペプチドの活性を評価する。
【0186】
変異体はまた、対象とするクローン化されたDNAのいかなるものにも部位特異的突然変異を引き起こすことができるオリゴヌクレオチド特異的突然変異誘発を用いて、作製することができる。オリゴヌクレオチド突然変異誘発については、Reidhaar-Olson, J.F.およびSauer, R.T.ら, Science, 241:53-57, 1988に述べられており、その開示内容は本明細書中にその全体を参照により組み入れることとする。簡潔に記せば、その方法では、クローン化DNAに導入されることとなる1つ以上の突然変異を有する複数の二本鎖オリゴヌクレオチドを合成し、突然変異誘発させるべきクローン化DNA中に挿入する。突然変異を誘発させたDNAを含んでいるクローンを回収し、それがコードするポリペプチドの活性を調べる。
【0187】
変異体を作製する別の方法は構築PCRである。構築PCRはDNA小断片の混合物からのPCR産物の構築を含むものである。多数の異なるPCR反応が同じバイアル中で並行して起こり、この際、1つの反応の産物が呼び水となって別の反応の産物が生成される。構築PCRは、"合成法もしくは増幅法をブロックまたは遮断することにより生成されるポリヌクレオチドを用いたDNAシャフリング法(Method of DNA Shuffling with Polynucleotides Produced by Blocking or interrupting a Synthesis or Amplication Process)"と題された、係属中の米国特許出願第08/677,112号(1996年7月9日出願)に記載されており、この開示内容はその全体を参照により本明細書に組み入れることとする。
【0188】
変異体を作製するまた別の方法はセクシャルPCR(sexual PCR)突然変異誘発である。セクシャルPCR突然変異誘発においては、異なってはいるが高度に関連しているDNA配列を有するDNA分子間で、そのDNA分子のランダムな断片化、そしてそれに続くPCR反応におけるプライマーの伸長によるそのクロスオーバーの固定化の結果として、配列の相同性に基づいて強制的な相同組換えがin vitroで生じる。セクシャルPCR突然変異誘発については、Stemmer, W.P., PNAS, USA, 91:10747-10751, 1994 に記載されており、その開示内容は本明細書中に参照により組み入れることとする。簡潔に記せば、その方法では、組換えられることとなる複数の核酸をデオキシリボヌクレアーゼで消化して平均50-200ヌクレオチドのサイズを有する断片を生成する。所望の平均サイズを有する断片を精製し、PCR混液中に再懸濁する。PCRは核酸断片間の組換えを促進する条件下で行われる。例えば、PCRは精製した断片を、0.2mMの各dNTP、2.2mM MgCl2、50mM KCl、10mM Tris HCl pH9.0、および0.1% Triton X-100を含む溶液中に濃度が10-30ng/μLとなるように再懸濁して行う。反応混液100Lあたり2.5ユニットのTaqポリメラーゼを添加し、PCRは次の様式で行う:94℃60秒間、94℃30秒間、50-55℃30秒間、72℃30秒間(これらを30-45回)、ならびに72℃5分間。しかし、これらのパラメーターは適切に変えうることは理解されよう。いくつかの実施形態においては、オリゴヌクレオチドをPCR反応中に含めることができる。別の実施形態においては、DNAポリメラーゼIのクレノウ断片をPCR反応の第1セットにて用いることができ、TaqポリメラーゼをPCR反応のそれに続くセットにて用いることができる。組換え配列を単離し、それがコードするポリペプチドの活性を調べる。
【0189】
変異体はin vivo突然変異誘発によっても作製することができる。いくつかの実施形態においては、細菌株、例えば1つ以上のDNA修復経路に突然変異を有する大腸菌(E.coli)株中で対象となる配列を増幅させることにより、対象とするその配列中にランダムな突然変異を引き起こさせる。そのような「ミューテーター(mutator)」株は野生型の親株と比べてランダム突然変異率が高い。これらの株のいずれかにおいてDNAを増幅させるとやがてそのDNA内にランダムな突然変異が引き起こされる。in vivo突然変異誘発に用いるために適するミューテーター(mutator)株については、"多数遺伝子集団からの表現型創出方法(Methods for Phenotype Creation from Multiple Gene Populations)"と題されたPCT公開番号WO 91/16427(1991年10月31日公開)に記載されており、その開示内容はその全体を本明細書中に参照により組み入れることとする。
【0190】
変異体はまた、カセット突然変異誘発を用いて作製することもできる。カセット突然変異誘発では二本鎖DNA分子の小さい領域を、天然の配列とは異なる合成オリゴヌクレオチド「カセット」で置換する。そのようなオリゴヌクレオチドはしばしば完全に、および/もしくは部分的にランダム化された天然の配列を含むものである。
【0191】
再帰的集合(Recursive ensemble)突然変異誘発も変異体を作製するために用いることができる。再帰的集合突然変異誘発は、表現型が関連した突然変異体の多様な集合であってそのメンバーはアミノ酸配列が異なっているものを作製するために開発されたタンパク質工学(タンパク質突然変異誘発)のためのアルゴリズムである。この方法は組み合わせカセット突然変異誘発の連続した工程を調節するためのフィードバック機構を用いている。再帰的集合突然変異誘発については、Arkin, A.P.およびYouvan, D.C., PNAS, USA, 89:7811-7815, 1992に述べられており、その開示内容はその全体を本明細書中に参照により組み入れることとする。
【0192】
いくつかの実施形態においては、変異体は指数関数的集合(exponential ensemble)突然変異誘発を用いて作製される。指数関数的集合突然変異誘発はユニークかつ機能を有する突然変異体を高率で含んでいる組み合わせライブラリーを作製する方法であり、その方法では、少数の残基群が同時にランダム化され、そのそれぞれの変化した位置で機能を有するタンパク質をもたらすアミノ酸が決定される。指数関数的集合突然変異誘発については、Delegrave, S.およびYouvan, D.C., Biotechnology Research, 11:1548-1552,1993に述べられており、その開示内容はその全体を本明細書中に参照により組み入れることとする。ランダム突然変異誘発および部位特異的突然変異誘発については、Amold, F.H., Current Opinion in Biotechnology, 4:450-455, 1993に記載されており、その開示内容はその全体を本明細書中に参照により組み入れることとする。
【0193】
いくつかの実施形態においては、変異体は、シャフリング法を用いて作製されるが、その方法は別個のポリペプチドをコードする複数の核酸の部分を一つに融合して、キメラポリペプチドをコードするキメラ核酸配列を作製するものであり、その方法については"合成法もしくは増幅法をブロックまたは遮断することにより生成されるポリヌクレオチドを用いたDNAシャフリング法(Method of DNA Shuffling with Polynucleotides Produced by Blocking or interrupting a Synthesis or Amplication Process)"と題された、係属中の米国特許出願第08/677,112号(1996年7月9日出願)および"コンビナトリアル酵素の開発(Combinatory Enzyme Development)"と題された、係属中の米国特許出願第08/651,568号(1996年5月22日出願)の中に述べられている。
【0194】
配列番号2および4のポリペプチドの変異体は、配列番号2および4のポリペプチドの1つ以上のアミノ酸残基が、保存されているか、もしくは保存されていないアミノ酸残基(好ましくは保存されたアミノ酸残基)で置換され、その置換されたアミノ酸残基は該遺伝コードによってコードされたものであってもそうでなくても良い変異体でありうる。
【0195】
保存的置換とはポリペプチド中のある一定のアミノ酸を類似の特性を有する別のアミノ酸で置換することである。典型的に見られる保存的置換は、次のような置換である:Ala、Val、Leu、およびIleなどの脂肪族アミノ酸の別の脂肪族アミノ酸による置換;SerのThrによる、もしくはその反対の置換;AspおよびGluなどの酸性残基の別の酸性残基による置換;アミド基を有する残基例えばAsnおよびGlnのアミド基を持つ別の残基による置換;LysおよびArgなどの塩基性残基の別の塩基性残基による交換;ならびにPhe、Tyrなどの芳香族残基の別の芳香族残基による置換。
【0196】
他の変異体は配列番号2および4のポリペプチドの1つ以上のアミノ酸残基に置換基が含まれるものである。
【0197】
また別の変異体は別の化合物、例えば前記ポリペプチドの半減期を延長させるような化合物(例えばポリエチレングリコール)と結合した該ポリペプチドである。
【0198】
さらに別の変異体は、付加的アミノ酸、例えばリーダー配列、分泌配列、プロタンパク質配列、または前記ポリペプチドの精製、濃縮、もしくは安定化を容易にする配列などを該ポリペプチドに融合させたものである。
【0199】
いくつかの実施例においては、該断片、誘導体、および類似体は配列番号2および4のポリペプチド、およびそれらと実質的に同一な配列と同じ生物学的機能もしくは活性を保持している。別の実施形態においては、該断片、誘導体、または類似体はプロタンパク質を含み、このため該断片、誘導体、もしくは類似体は、そのプロタンパク質部分を切断することにより活性のあるポリペプチドを生成するようにすることができる。
【0200】
本発明の他の態様は、配列番号2および4のポリペプチド、実質的にそれらと同一である配列、またはそれらの少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100もしくは150の連続したアミノ酸を含む断片のうちの1つと、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%または約95%より大きい相同性を有するポリペプチドまたはそれらの断片である。相同性は、比較するポリペプチドもしくは断片をアライメントしてそれらの間のアミノ酸同一性もしくは類似性の程度を確認する上記のプログラムのいずれかを使って決定することができる。アミノ酸「相同性」には、上述したような保存的アミノ酸置換が含まれることを理解されたい。
【0201】
配列番号2および4のポリペプチド、実質的にそれらと同一である配列、またはそれらの少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100もしく150の連続したアミノ酸を含む断片のうちの1つと相同性を有するポリペプチドまたはそれらの断片は、それらをコードする核酸を上記の技術を利用して単離することによって得ることができる。
【0202】
あるいは、相同的なポリペプチドまたは断片は、生化学的な濃縮または精製手法により得ることができる。相同性をもつ可能性のあるポリペプチドまたは断片の配列は、タンパク質分解性消化、ゲル電気泳動および/またはマイクロシーケンシングにより決定することができる。相同性をもつ見込みがあるポリペプチドまたは断片の配列は、配列番号2および4のポリペプチド、実質的にそれらと同一である配列、または、それらの少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100もしくは150の連続したアミノ酸を含む断片のうちの1つと、本明細書に記載のプログラムのいずれかを使って比較することができる。
【0203】
本発明の他の態様は、配列番号2および4のポリペプチドならびに実質的にそれらと同一である配列の酵素機能を保持することを特徴とする配列番号2および4または実質的にそれらと同一である配列の断片または変異体を同定するアッセイである。例えば、ポリペプチドの断片または変異体を生化学反応を触媒するために使い、該断片または変異体が配列番号2および4のポリペプチドの酵素活性を保持することを示すことができる。
【0204】
変異体の断片が配列番号2および4のポリペプチドならびに実質的にそれらと同一である配列の酵素活性を保持するかどうかを確認するためのアッセイは、該ポリペプチド断片または変異体をポリペプチド断片または変異体が機能する条件下で基質分子と接触させるステップと、基質レベルの低下またはポリペプチドと基質との反応による特定反応産物レベルの上昇を検出するステップとを含む。
【0205】
配列番号2および4のポリペプチド、実質的にそれらと同一である配列、または、それらの少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100もしくは150の連続したアミノ酸を含む断片は、様々な用途に使うことができる。例えば、ポリペプチドまたはそれらの断片は、生化学反応を触媒するために使うことができる。本発明の或る態様によれば、配列番号2および4のポリペプチド、ならびに実質的にそれらと同一である配列、またはかかるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、ハロアルカンを加水分解するために利用する方法が提供される。このような方法では、ハロアルカン化合物を含有する物質を、該化合物の加水分解を促進する条件下で、配列番号2および4のポリペプチドならびに実質的にそれらと同一である配列の1つと接触させる。
【0206】
また配列番号2および4のポリペプチド、実質的にそれらと同一である配列、またはそれらの少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100もしくは150の連続したアミノ酸を含む断片は、酵素ポリペプチドまたは断片と特異的に結合する抗体を産生させるために使うこともできる。得られる抗体を免疫アフィニティクロマトグラフィー手法に使い、ポリペプチドを単離もしくは精製したり、または該ポリペプチドが生物学的サンプル中に存在するかどうかを確認することができる。この方法においては、抽出物などのタンパク質調製物または生物学的サンプルを、配列番号2および4のポリペプチド、実質的にそれらと同一である配列、または前記配列の断片のうちの1つと特異的に結合する能力のある抗体と接触させる。
【0207】
免疫アフィニティ手法においては、抗体をビーズまたは他のカラムマトリックスなどの固体支持体に結合させる。タンパク質調製物を、抗体が配列番号2および4のポリペプチド、実質的にそれらと同一である配列、またはそれらの断片のうちの1つと特異的に結合する条件下で、抗体と接触させる。洗浄して非特異的に結合したタンパク質を除去した後、特異的に結合したポリペプチドを溶出する。
【0208】
生物学的サンプル中のタンパク質が抗体と結合する能力は、当業者が周知の様々な方法のいずれかを使って確認することができる。例えば、その結合は、蛍光剤、酵素標識または放射性同位体などの検出可能な標識を用いて抗体を標識することによって確認することができる。あるいは、抗体とサンプルとの結合は、そのような検出可能な標識を付された二次抗体を使って検出することができる。特定のアッセイには、ELISAアッセイ、サンドイッチアッセイ、ラジオイムノアッセイおよびウェスタンブロットが含まれる。
【0209】
配列番号2および4のポリペプチドならびに実質的にそれらと同一である配列、またはそれらの少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100もしくは150の連続したアミノ酸を含む断片に対して生じたポリクローナル抗体は、該ポリペプチドを動物に直接注射することによってまたは該ポリペプチドを動物、例えば非ヒト動物に投与することによって得ることができる。こうして得た抗体は、該ポリペプチドと自ら結合するであろう。このようにして、該ポリペプチドの断片だけをコードする配列であっても、元のポリペプチド全体と結合する抗体を生成させるために使うことができる。次に、このような抗体を使って、該ポリペプチドを発現する細胞から該ポリペプチドを単離することができる。
【0210】
モノクローナル抗体を調製するために、連続細胞系培養により産生される抗体を得る技術のいずれをも使うことができる。例としては、ハイブリドーマ技術(本明細書に参照により組み入れられる、KohlerおよびMilstein, Nature, 256:495-497, 1975)、トリオーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(本明細書に参照により組み入れられる、Kozborら, Immunology Today 4:72, 1983)、およびEBVハイブリドーマ技術(本明細書に参照により組み入れられる、Coleら, 1985, Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy(モノクローナル抗体と癌治療), Alan R. Liss, Inc., pp77-96)が挙げられる。
【0211】
一本鎖抗体の産生について記載された技術(本明細書に参照により組み入れられる、米国特許第4,946,778号)を、例えば、配列番号2および4のポリペプチド、またはそれらの断片に対する一本鎖抗体を産生するように適合させることができる。あるいは、トランスジェニックマウスを使ってこれらのポリペプチドまたは断片に対するヒト化抗体を発現させることができる。
【0212】
配列番号2および4のポリペプチド、実質的にそれらと同一である配列、またはそれらの少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100もしくは150の連続したアミノ酸を含む断片に対して作製された抗体を、他の生物およびサンプルから得た類似ポリペプチドのスクリーニングに使うことができる。このような技術においては、該生物から得たポリペプチドを抗体と接触させ、該抗体と特異的に結合するポリペプチドを検出する。上記の方法のいずれかを抗体結合を検出するために使うことができる。そのようなスクリーニングアッセイの1つは、本明細書に参照によりその全文を組み入れる、"Methods for Measuring Cellulase Activities(セルラーゼ活性を測定する方法)", Methods in Enzymology(酵素学の方法), Vol 160, pp. 87-116に記載されている。
【0213】
本明細書に使われる用語「配列番号1および3に示す核酸配列」は、配列番号1および3に示す核酸配列、前記配列の1つと実質的に同一である配列、前記配列の1以上の断片、配列番号1および3と相同的なもしくは配列番号1および3の断片と相同的なヌクレオチド配列、ならびに以上の配列の全てと相補的な配列を包含する。該断片は、配列番号1および3の少なくとも10、15、20、25、30、35、40、50、75、100、150、200、300、400または500の連続したヌクレオチドを含有する配列番号1および3の部分、ならびに実質的にそれらと同一である配列を含む。配列番号1および3の相同配列および断片、ならびに実質的にそれらと同一である配列は、これらの配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、80%、75%または70%の相同性を有する配列を意味する。相同性は、デフォールトパラメータを用いるFASTAバージョン3.0t78を含む、本明細書に記載のコンピュータプログラムおよびパラメータのいずれかを使って決定することができる。相同配列はまた、配列番号1および3に示す核酸配列においてウリジンがチミジンに置き換わったRNA配列を含む。相同配列は、本明細書に記載の方法のいずれかを使って得ることができるし、または配列決定誤差を修正して得ることができる。本発明の核酸配列は、伝統的な1文字表記法(Stryer, Lubert. Biochemistry, 3版. W. H. Freemann & Co., New Yorkの裏表紙内側を参照)または配列内のヌクレオチドの識別について記録する他の任意の表記法で表現し得ることは認められるであろう。
【0214】
本明細書に使われる用語「配列番号2および4に示すポリペプチド配列」は、配列番号2および4に示すポリペプチド配列、実質的にそれらと同一であり、配列番号1および3に示す配列によりコードされる配列、配列番号2および4のポリペプチドと相同的なポリペプチド配列、ならびに実質的にそれらと同一である配列、または以上の配列のいずれかの断片を包含する。相同的なポリペプチド配列は、本発明のポリペプチド配列の1つと少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、80%、75%または70%の相同性を有するポリペプチド配列を意味する。相同性は、デフォールトパラメータまたは任意の変形パラメータを用いるFASTAバージョン3.0t78を含む、本明細書に記載のコンピュータプログラムおよびパラメータのいずれかを使って決定することができる。相同配列は、本明細書に記載の方法のいずれかを使って得ることができるし、または配列決定誤差を修正して得ることができる。該ポリペプチド断片は、配列番号2および4のポリペプチドならびに実質的にそれらと同一である配列の少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100もしくは150の連続したアミノ酸を含むものである。本発明のポリペプチドは、伝統的な1文字表記法または3文字表記法(Starrier, Lubert. Biochemistry, 3版. W. H. Freemann & Co., New Yorkの裏表紙内側を参照)または配列のポリペプチドの識別に関する他の任意の表記法で表現できることは明らかであろう。
【0215】
当業者であれば、本発明の核酸配列およびポリペプチド配列は、コンピュータにより読み取りかつアクセスできる任意の媒体に保存し、記録し、かつ操作できることが明らかであろう。本明細書に使われる語「記録された」および「保存された」とは情報をコンピュータ媒体に保存する方法を意味する。当業者であれば、コンピュータ可読媒体上に情報を記録する公知の方法のいずれかを容易に採用して、配列番号1および3に示す核酸配列ならびに実質的にそれらと同一である配列の1以上、ならびに配列番号2および4に示すポリペプチド配列ならびに実質的にそれらと同一である配列の1以上を含有する製品を作製することができる。本発明の他の態様は、配列番号1および3に示す少なくとも2、5、10、15または20の核酸配列、ならびに実質的にそれらと同一である配列を記録したコンピュータ可読媒体である。
【0216】
本発明の他の態様は、配列番号1および3に示す核酸配列、ならびに実質的にそれらと同一である配列の1以上を記録したコンピュータ可読媒体である。本発明の他の態様は、配列番号2および4に示すポリペプチド配列、ならびに実質的にそれらと同一である配列の1以上を記録したコンピュータ可読媒体である。本発明の他の態様は、上述した配列の少なくとも2、5、10、15または20の配列を記録したコンピュータ可読媒体である。
【0217】
コンピュータ可読媒体は、磁気式可読媒体、光学式可読媒体、電子式可読媒体および磁気/光学式媒体を含む。例えば、コンピュータ可読媒体は、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気テープ、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)、ランダムアクセスメモリー(RAM)、または読み出し専用メモリー(ROM)ならびに当業者が周知している他の型式の他の媒体であってもよい。
【0218】
本発明の実施形態は、システム(例えばインターネットに基づくシステム)、特に本明細書に記載の配列情報を保存し操作するコンピュータシステムを含む。コンピュータシステム100の1例をブロックダイアグラム形式で説明する。本明細書に使われる「コンピュータシステム」は、配列番号1および3に示す核酸配列ならびに実質的にそれらと同一である配列のヌクレオチド配列、または配列番号2および4に示すポリペプチド配列を分析するために使われるハードウェアコンポーネント、ソフトウェアコンポーネント、およびデータ記憶コンポーネントを意味する。コンピュータシステム100は典型的には、配列データを処理し、アクセスしかつ操作するためのプロセッサを含む。プロセッサ105は、例えば、Intel Corporation製のPentium III(登録商標)、またはSun、Motorola、Compaq、AMDまたはInternational Business Machines製の同様のプロセッサのような周知の型式の中央演算処理装置であってよい。
【0219】
典型的には、コンピュータシステム100は多目的システムであり、プロセッサ105ならびにデータを保存する1以上の内部データ記憶コンポーネント110およびデータ記憶コンポーネントに保存されたデータを検索する1以上のデータ検索デバイスを含む。当業者は、現在利用し得るコンピュータシステムのいずれが適当であるかを容易に認識することができる。
【0220】
ある特定の実施形態においては、コンピュータシステム100はバスに接続されたプロセッサ105を含み、該バスはメインメモリー115(好ましくはRAMとして実装される)ならびにハードドライブのような1以上の内部データ記憶デバイス110および/または記録されたデータを有する他のコンピュータ可読媒体に接続されている。複数の実施形態においては、コンピュータシステム100はさらに、内部データ記憶デバイス110に保存されたデータを読み取る1以上のデータ検索デバイス118を含む。
【0221】
データ検索デバイス118は、例えば、フレキシブルディスクドライブ、コンパクトディスクドライブ、磁気テープドライブ、または遠隔データ記憶システム(例えば、インターネット経由)との接続を可能にするモデムなどを表す。複数の実施形態においては、内部データ記憶デバイス110は、制御論理を含むおよび/またはデータが記録されたフレキシブルディスク、コンパクトディスク、磁気テープなどの取外し可能なコンピュータ可読媒体である。コンピュータシステム100は、データ記憶コンポーネントがデータ検索デバイスに挿入されると、それから制御論理および/またはデータを読取る適当なソフトウェアを含むかまたはプログラムされていることが有利である。
【0222】
コンピュータシステム100は、出力をコンピュータユーザーに表示するために使うディスプレイ120を含む。コンピュータシステム100は、あるネットワークまたは広域ネットワークで他のコンピュータシステム125a-cに連結していて、コンピュータシステム100への集中化アクセスを提供できることも注意すべきである。
【0223】
配列番号1および3に示す核酸配列のヌクレオチド配列ならびに実質的にそれらと同一である配列、または配列番号2および4に示すポリペプチド配列ならびに実質的にそれらと同一である配列にアクセスして処理するソフトウェア(検索ツール、比較ツールおよびモデル化ツールなど)が、実行中、メインメモリー115に存在する。
【0224】
複数の実施形態においては、コンピュータシステム100はさらに、コンピュータ可読媒体に保存されている配列番号1および3に示す核酸配列ならびに実質的にそれらと同一である配列、または配列番号2および4に示すポリペプチド配列ならびに実質的にそれらと同一である配列と、コンピュータ可読媒体に保存されている(1以上の)参照ヌクレオチドまたはポリペプチド配列とを比較する、配列比較アルゴリズムを含んでいてもよい。「配列比較アルゴリズム」は、あるヌクレオチド配列とデータ記憶手段内に保存された他のヌクレオチド配列および/または化合物とを比較する、コンピュータシステム100に(局所にまたは遠隔に)実装される1以上のプログラムを意味する。例えば、配列比較アルゴリズムは、コンピュータ可読媒体に記憶されている配列番号1および3に示す核酸配列のヌクレオチド配列ならびに実質的にそれらと同一である配列、または配列番号2および4に示すポリペプチド配列ならびに実質的にそれらと同一である配列と、コンピュータ可読媒体に記憶されている参照配列とを比較し、相同性または構造モチーフを特定することができる。本明細書に認められる様々な配列比較プログラムは、特に本発明のこの態様における使用を意図するものである。タンパク質および/または核酸配列相同性は、当業界で周知の様々な配列比較アルゴリズムおよびプログラムのいずれかを使って評価することができる。そのようなアルゴリズムおよびプログラムは、限定するものでないが、TBLASTN、BLASTP、FASTA、TFASTA、およびCLUSTALWを含む(PearsonおよびLipman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85(8):2444-2448, 1988;Altschulら, J. Mol. Biol. 215(3):403-410, 1990;Thompsonら, Nucleic Acids Res. 22(2):4673-4680, 1994;Higginsら, Methods Enzymol. 266:383-402, 1996;Altschulら, J. Mol. Biol. 215(3):403-410, 1990;Altschulら, Nature Genetics 3:266-272, 1993)。
【0225】
相同性または同一性は、配列分析ソフトウェア(例えば、Genetics Computer Group, University of Wisconsin Biotechnology Center, 1710 University Avenue, Madison, WI 53705の配列分析ソフトウェアパッケージ)を使って測定されることが多い。このようなソフトウェアは、類似の配列を、相同性の程度を割り付けながら様々な欠失、置換および他の改変にマッチさせる。2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈における「相同性」および「同一性」の用語は、比較ウインドウもしくは指定した領域にわたる最大の対応について比較しかつアラインメントしたときに、任意の数の配列比較アルゴリズムを使ってもしくはマニュアルアラインメントおよび目視検査によって測定して、同じであるかまたは規定したパーセントのアミノ酸残基もしくはヌクレオチドを有する2つ以上の配列またはサブ配列を意味する。配列比較において、典型的には、或る配列を参照配列として、試験配列をその配列と比較する。配列比較アルゴリズムを使うとき、試験および参照配列をコンピュータに入力し、必要があれば、サブ配列座標を指定し、次いで配列アルゴリズムプログラムパラメータを指定する。デフォールトプログラムパラメータを使うことができるし、または代わりのパラメータを指定することができる。次に、配列比較アルゴリズムは、プログラムパラメータに基づいて、参照配列と比較した試験配列に対する配列同一性パーセントを計算する。
【0226】
本明細書で使われる「比較ウインドウ」は、20〜600、通常は約50〜約200、さらに通常は約100〜約150からなる群から選択される連続した位置の数のいずれか1つからなるセグメントに対する参照を含み、その比較ウインドウ内で、或る配列を同数の連続した位置からなる参照配列と、両配列を最適にアラインメントした後に比較することができる。比較のための配列のアラインメント方法は当業界では周知である。比較のための最適な配列のアラインメントは、例えば、Smith & Waterman, Adv. Appl. Math. 2:482, 1981の局所相同性アルゴリズムにより、Needleman & Wunsch, J. Mol. Biol 48:443, 1970の相同性アラインメントアルゴリズムにより、person & Lipman,Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 85:2444, 1988の類似性方法の探索により、これらのアルゴリズムのコンピュータ化実施手法(Wisconsin 遺伝子ソフトウェアパッケージ, Gentetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WI、に収められたGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)により、またはマニュアルアラインメントと目視検査により実施することができる。相同性または同一性を決定する他のアルゴリズムは、例えば、BLASTプログラム(National Center for Biological Information(生物学情報国立センター)のBasic Local Alignment Search Tool(基本的局所アラインメント探索ツール))、ALIGN、AMAS(Analysis of Multiply Aligned Sequences(多重アラインメント配列の分析))、AMPS(Protein Multiple Sequence Alignment(タンパク質多重配列アラインメント))、ASSET (Aligned Segment Statistical Evaluation Tool(アラインメントされたセグメントの統計評価ツール))、BANDS、BESTSCOR、BIOSCAN (Biological Sequence Comparative Analysis Node(生物学的配列比較分析ノード))、BLIMPS (BLocks IMproved Searcher(ブロック改良サーチャー))、FASTA、Intervals & Points、BMB、CLUSTAL V、CLUSTAL W、CONSENSUS、LCONSENSUS、WCONSENSUS、Smith-Watermanアルゴリズム、DARWIN、Las Vegasアルゴリズム、FNAT (Forced Nucleotide Alignment Tool(強制的ヌクレオチドアラインメントツール))、Framealign、Framesearch、DYNAMIC、FILTER、FSAP (Fristensky Sequence Analysis Package(Fristensky配列分析パッケージ))、GAP (Global Alignment Program(全体的アラインメントプログラム))、GENAL、GIBBS、GenQuest、ISSC (Sensitive Sequence Comparison(感受性配列比較))、LALIGN (Local Sequence Alignment(局所配列比較))、LCP (Local Content Program(局所内容プログラム))、MACAW (Multiple Alignment Construction & Analysis Workbench(多重アラインメント構築および分析作業台))、MAP (Multiple Alignment Program(多重アラインメントプログラム))、MBLKP、MBLKN、PIMA (Pattern-Induced Multi-sequence Alignment(パターン誘導多重配列アラインメント))、SAGA (Sequence Alignment by Genetic Algorithm(遺伝子アルゴリズムによる配列アラインメント))およびWHAT-IFを含む。また、このようなアラインメントプログラムを使ってゲノムデータベースをスクリーニングし、実質的に同一な配列を有するポリヌクレオチド配列を同定することができる。複数のゲノムデータベースが利用可能であり、例えば、ヒトゲノムの相当な部分は、ヒトゲノム配列決定プロジェクト(Human Genome Sequencing Project)の成果の一部として利用可能である(J. Roach, http://weber.u.Washington.edu/〜roach/human_genome_progress2.html) (Gibbs, 1995))。少なくとも21の他のゲノムは既に配列決定されており、例えば、それには、マイコプラズマ(M. genitalium)(Fraserら, 1995)、メタン細菌(M. jannaschii)(Bultら, 1996)、インフルエンザ菌(H. influenzae)(Fleischmannら, 1995)、大腸菌(E. coli)(Blattnerら, 1997)、および酵母(S. cerevisiae)(Mewesら, 1997)およびキイロショウジョウバエ(D. melanogaster)(Adamsら, 2000)が含まれる。マウス、線虫(C. elegans)、およびシロイヌナズナ(Arabadopsis sp.)などのモデル生物のゲノムの配列決定にも著しい進歩がある。いくつかの機能的情報を注釈したゲノム情報を含有する複数のデータベースが、様々な組織によって維持されており、インターネットを経由してアクセス可能であり、例えば、http://wwwtigr.org/tdb;http://www.genetics.wisc.edu;http://genome-www.stanford.edu/〜ball;http://hiv-web.lanl.gov;http://www.ncbi.nlm.nih.gov;http://www.ebi.ac.uk;http://Pasteur.fr/other/biology;およびhttp://www.genome.wi.mit.eduが挙げられる。有用なアルゴリズムの1つの例は、BLASTおよびBLAST 2.0アルゴリズムであり、これらは、Altschulら, Nuc. Acids Res. 25:3389-3402, 1977、およびAltschulら, J. Mol. Biol. 215:403-410, 1990、にそれぞれ記載されている。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(国立バイオテクノロジー情報センター)を通して公的に利用可能である(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)。このアルゴリズムは、最初にデータベース配列中の同じ長さのワードとアラインメントさせた場合に、マッチするかまたは任意の正に評価された閾値(threshold)スコアTを満す、長さWの短いワードの問合せ(query)配列を同定することにより、高スコアリング配列対(high scoring sequence pairs;HSP)を同定することに関与する。Tは近隣ワードスコア閾値(neighborhood word score threshold)と呼ばれる(Altschulら,前掲)。これらの最初の近隣ワードヒットは、それらを含有するより長いHSPを見出すためのサーチを開始する手がかりとなる。ワードヒットを、累積アラインメントスコアを増加できる限り、各配列に沿って両方向に広げる。累積スコアは、ヌクレオチド配列に対してはパラメータM(残基とマッチする対に対する得点スコア(reward score);常に>0)を使って計算する。アミノ酸に対しては、スコアリングマトリックスを使って累積スコアを計算する。それぞれの方向におけるワードヒットの拡大は、累積アラインメントスコアがその最高達成値から量Xだけ低下するか;1以上の負のスコア残基アラインメントの蓄積により累積スコアがゼロまたはそれ以下になるか;またはいずれかの配列が末端に到達した場合に終わる。BLASTアルゴリズムパラメータW、T、およびXはアラインメントの感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、デフォールトとして、ワード長さ(W)11、期待値(E)10、M=5、N=-4および両鎖の比較を使う。アミノ酸配列に対して、BLASTPプログラムは、デフォールトとして、ワード長さ3、および期待値(E)10を使い、BLOSUM62スコアリングマトリックス(Henikoff & Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915, 1989を参照)は、アラインメント(B)50、期待値(E)10、M=5、N=-4および両鎖の比較を使う。
【0227】
BLASTアルゴリズムはまた、2配列間の類似性の統計解析も行う(例えば、Karlin & Altschul, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873, 1993を参照)。BLASTアルゴリズムにより提供される類似性の1つの尺度は、最小和確率(the smallest sum probability:P(N))であり、2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列間にマッチが偶然起る確率の表示を与える。例えば、ある核酸は、その試験核酸と参照核酸との比較において最小和確率が約0.2未満、さらに好ましくは約0.01未満、そして最も好ましくは0.001未満である場合、参照配列と類似していると考えられる。
【0228】
一つの実施形態においては、タンパク質および核酸配列の相同性を、Basic Local Alignment Search Tool(基礎的局所アラインメントサーチツール)(「BLAST」)を使って評価する。特に、5つの特定のBLASTプログラムを使って次の作業を実施する:
(1)BLASTおよびBLAST3は、アミノ酸問合せ配列をタンパク質配列データベースに対して比較し;
(2)BLASTNは、ヌクレオチド問合せ配列をヌクレオチド配列データベースに対して比較し;
(3)BLASTXは、問合せヌクレオチド配列(両鎖)の6フレームの概念上の翻訳産物をタンパク質配列データベースに対して比較し;
(4)TBLASTNは、問合せタンパク質配列を全ての6リーディングフレーム(両鎖)で翻訳されたヌクレオチド配列データベースに対して比較し;そして
(5)TBLASTXは、ヌクレオチド問合せ配列の6フレームの翻訳をヌクレオチド配列データベースの6フレームの翻訳に対して比較する。
【0229】
BLASTプログラムは、問合せアミノ酸または核酸配列と試験配列(好ましくはタンパク質または核酸配列データベースから得る)との間で、本明細書で「高スコアリングセグメント対(high-scoring segment pairs)」と呼ぶ類似セグメントを同定することによって相同性配列を同定する。高スコアリングセグメント対は、好ましくは、その多くが当業界で周知であるスコアリングマトリックス(scoring matrix)の方法によって同定(すなわちアラインメント)される。好ましくは、使用されるスコアリングマトリックスは、BLOSUM62マトリックス(Gonnetら, Science 256:1443-1445, 1992;HenikoffおよびHenikoff, Proteins 17:49-61, 1993)である。それより好ましくはないが、PAMまたはPAM250マトリックスを使うこともできる(例えば、SchwartzおよびDayhoff, 編, 1978,「距離の関係を検出するマトリックス:タンパク質配列および構造の地図(Matrices for Detecting Distance Relationships: Atlas of Protein Sequence and Structure)」, Washington: National Biomedical Research Foundation)。BLASTプログラムは、U.S. National Library.of Medicine(合衆国国立医学図書館)を通して、例えばwww.ncbi.nlm.nih. gov.にてアクセス可能である。
【0230】
上記アルゴリズムで使われるパラメータは、研究した配列の長さおよび相同性の程度に応じて適合させることができる。幾つかの実施形態においては、パラメータは、使用者からの指示がない場合にはアルゴリズムにより使われるデフォールトパラメータであってもよい。
【0231】
配列のデータベースは、コンピュータシステム100に保存された個人データベース、またはインターネットを通して利用可能であるGENBANKなどの公共データベースであってもよい。
【0232】
プロセス200は、出発ステート(state)201に始まり、次いでステート202へ移動して、比較すべき新しい配列をコンピュータシステム100のメモリーに保存する。以上考察したように、メモリーは、RAMまたは内部記憶デバイスを含む任意の型式のメモリーであることができる。
【0233】
次に、プロセス200はステート204に移動し、分析と比較のために配列のデータベースを開く。次に、プロセス200はステート206に移動し、データベースに保存された第1配列をコンピュータのメモリーに読取る。次に、ステート210にて、第1配列が第2配列と同じであるかを決定する比較を実施する。このステップは、新しい配列とデータベースの第1配列との間の厳密な比較の実施に限定されないことに注意することが重要である。2つのヌクレオチドまたはタンパク質配列を、たとえそれらが同一でなくても比較するための周知の方法が、当業者に知られている。例えば、試験される2つの配列間の相同性レベルを上げるために、1つの配列中にギャップを導入することができる。比較中に1つの配列中にギャップまたは他の特性を導入するかどうかを制御するパラメータは、通常、コンピュータシステムの使用者により入力される。
【0234】
ステート210にて2つの配列間の比較が実施されれば、判定ステート(decision state)210にて2つの配列が同じであるかどうかの決定が行われる。勿論、「同じ」という用語は、絶対的に同一である配列に限定されるものでない。使用者が入力した相同性パラメータ内にある配列は、プロセス200で「同じ」とマークされるであろう。
【0235】
2つの配列が同じであると決定される場合、プロセス200はステート214に移動し、データベースからの配列の名称を使用者に表示する。このステートは、表示した名称を有する配列は入力された相同性制約条件を満たすことを使用者に知らせる。保存された配列の名称を使用者に表示すると、プロセス200は判定ステート218へ移動し、データベースにさらに配列が存在するかどうかを決定する。データベースに配列がもう存在しない場合、次に、プロセス200は終結ステート220にて終結する。しかし、データベースにさらに配列が存在する場合、次に、プロセス200はステート224に移動し、ポインターはデータベースの次の配列へ移動して新しい配列を比較することができる。このような方法によって、新しい配列をデータベースの全ての配列とアラインメントして比較する。
【0236】
判定ステート212にて配列が相同的でなかったという決定が行われた場合、次に、プロセス200は、すぐ判定ステート218に移動し、比較のためのデータベース内にある他の配列が利用可能であるかを確認する。
【0237】
従って、本発明の一つの態様は、プロセッサ、配列番号1および3に記載された核酸配列ならびに実質的にそれらと同一である配列、または配列番号2および4に記載されたポリペプチド配列ならびに実質的にそれらと同一である配列を保存しているデータ記憶デバイス、本発明の核酸配列またはポリペプチド配列と比較されるべき参照ヌクレオチド配列またはポリペプチド配列を検索し得るように保存しているデータ記憶デバイス、ならびに比較を実施するための配列コンペアラ(sequence comparer)を含んでなるコンピュータシステムである。該配列コンペアラは、比較される配列間の相同性レベルを示すかまたは配列番号1および3の上記核酸コードならびに実質的にそれらと同一である配列、または配列番号2および4に記載されたポリペプチド配列ならびに実質的にそれらと同一である配列における構造モチーフを同定することができるか、または該配列コンペアラは、これらの核酸コードおよびポリペプチドコードと比較される配列の構造モチーフを同定することができる。幾つかの実施形態においては、データ記憶デバイスは、配列番号1および3に記載された核酸配列ならびに実質的にそれらと同一である配列、または配列番号2および4に記載されたポリペプチド配列ならびに実質的にそれらと同一である配列の少なくとも2、5、10、15、20、25、30または40またはそれより多くの配列を保存することができる。
【0238】
本発明の他の態様は、配列番号1および3に記載された核酸コードならびに実質的にそれらと同一である配列、または配列番号2および4に記載されたポリペプチド配列ならびに実質的にそれらと同一である配列と、参照ヌクレオチド配列との間の相同性のレベルを決定する方法である。該方法は、該核酸コードもしくは該ポリペプチドコードおよび参照ヌクレオチド配列もしくはポリペプチド配列を相同性レベルを決定するコンピュータプログラムを使って読取り、そして該核酸コードもしくは該ポリペプチドコードと参照ヌクレオチド配列もしくはポリペプチド配列との間の相同性をコンピュータプログラムを用いて決定することに関与する。コンピュータプログラムは、相同性レベルを決定する複数のコンピュータプログラムのいずれかであってよく、本明細書に特に列挙したものを含む(例えば、デフォールトパラメータを用いるかまたは任意の改変したパラメータを用いるBLAST2N)。該方法は、上記のコンピュータシステムを使って実施することができる。該方法はまた、配列番号1および3に記載された上記の核酸配列、または配列番号2および4に記載されたポリペプチド配列の少なくとも2、5、10、15、20、25、30または40またはそれより多くの配列を、コンピュータプログラムを使って読取り、そして核酸コードもしくはポリペプチドコードと参照ヌクレオチド配列もしくはポリペプチド配列との間の相同性を決定することによって実施することもできる。
【0239】
プロセス250は、出発ステート252で始まり、次に、ステート254に移動し、比較されるべき第1配列をメモリーに保存する。次に、比較されるべき第2配列をステート256にてメモリーに保存する。次に、プロセス250はステート260に移動し、第1配列の第1文字を読みとり、次に、ステート262に移動し、第2配列の第1文字を読取る。配列がヌクレオチド配列である場合、文字は通常A、T、C、GまたはUであると理解されるべきである。配列がタンパク質配列である場合、第1および第2配列を容易に比較できるように、1文字アミノ酸コードであることが好ましい。
【0240】
次に、判定ステート264にて、2つの文字が同じであるかどうかが決定される。それらが同じである場合、次いでプロセス250はステート268に移動し、第1および第2配列の次の文字を読取る。次いで、次の文字が同じであるかどうかを決定する。それらが同じである場合、次いでプロセス250はこのループを2つの文字が同じでなくなるまで続ける。次の2つの文字が同じでないと決定される場合、プロセス250は判定ステート274に移動し、いずれかの配列に読取るべき文字がまだあるかどうかを確認する。
【0241】
読取る文字がもう無い場合、次に、プロセス250はステート276に移動し、第1および第2配列の間の相同性のレベルを使用者に表示する。相同性のレベルは、第1配列の全配列数の中から配列間で同じであった文字の比率を計算することによって決定される。従って、もし第1の100ヌクレオチド配列のすべての文字が第2配列のすべての文字とアラインメントすれば、相同性レベルは100%である。
【0242】
あるいは、該コンピュータプログラムは、配列番号1および3の核酸コードならびに実質的にそれらと同一である配列が、1以上の位置で参照核酸配列と異なるかどうかを決定する目的で、本発明に記載された核酸配列のヌクレオチド配列と1以上の参照ヌクレオチド配列とを比較するコンピュータプログラムであってもよい。場合によっては、このようなプログラムは、参照ポリヌクレオチドまたは配列番号1および3に記載された核酸配列ならびに実質的にそれらと同一である配列のいずれかに関して、挿入、欠失または置換されたヌクレオチドの長さおよび同一性を記録する。一つの実施形態においては、コンピュータプログラムは、配列番号1および3に記載された核酸配列ならびに実質的にそれらと同一である配列が、参照ヌクレオチド配列に関して一塩基変異多型(single nucleotide polymorphism;SNP)を含有するかどうかを決定するプログラムであってもよい。
【0243】
次に、判定ステート264にて、2つの文字が同じであるかどうかが決定される。もしそれらが同じであれば、次いでプロセス250はステート268に移動し、第1配列および第2配列の次の文字を読取る。次に、次の文字が同じであるかどうかを決定する。もしそれらが同じであれば、次いでプロセス250はこのループを2つの文字が同じでなくなるまで続ける。もし次の文字が同じでないと決定されれば、プロセス250は判定ステート274に移動し、いずれかの配列に読取るべき文字がまだあるかどうかを確認する。
【0244】
もし読取る文字がもう無ければ、次に、プロセス250はステート276に移動し、第1配列と第2配列との間の相同性のレベルを使用者に表示する。相同性のレベルは、第1配列の全配列数の中から配列間で同じであった文字の比率を計算することによって決定される。従って、もし第1の100ヌクレオチド配列のすべての文字が第2配列のすべての文字とアラインメントすれば、相同性レベルは100%である。
【0245】
あるいは、該コンピュータプログラムは、配列番号1および3の核酸コードならびに実質的にそれらと同一である配列が、1以上の位置で参照核酸配列と異なるかどうかを決定する目的で、本発明に説明された核酸配列のヌクレオチド配列と1以上の参照ヌクレオチド配列とを比較するコンピュータプログラムであってもよい。場合によっては、このようなプログラムは、参照ポリヌクレオチドまたは配列番号1および3に説明された核酸配列ならびに実質的にそれらと同一である配列のいずれかに関して、挿入、欠失または置換されたヌクレオチドの長さおよび同一性を記録する。ある実施形態においては、コンピュータプログラムは、配列番号1および3に説明された核酸配列、ならびに実質的にそれらと同一である配列が、参照ヌクレオチド配列に関して一塩基多型(single nucleotide polymorphism;SNP)を含有するかどうかを決定するプログラムであってもよい。
【0246】
従って、本発明の他の態様は、配列番号1および3に説明された核酸配列、ならびに実質的にそれらと同一である配列が参照ヌクレオチド配列と1以上のヌクレオチドで異なるかどうかを決定する方法であって、核酸コードおよび参照ヌクレオチド配列を、核酸配列間の相異を同定するコンピュータプログラムを使って読取り、かつ核酸コードと参照ヌクレオチド配列との間の相異を、コンピュータプログラムを用いて同定するステップから構成される上記方法である。ある実施形態においては、コンピュータプログラムは一塩基多型を同定するプログラムである。該方法は、上記のコンピュータシステムおよび図3に説明した方法により実施することができる。該方法はまた、配列番号1および3に説明された核酸配列ならびに実質的にそれらと同一である配列の少なくとも2、5、10、15、20、25、30または40またはそれより多く、ならびに参照ヌクレオチド配列をコンピュータプログラムを使って読取り、核酸コードと参照ヌクレオチド配列との間の相異をコンピュータプログラムを用いて同定することによって行うこともできる。
【0247】
他の実施形態においては、コンピュータに基づくシステムはさらに、配列番号1および3に説明された核酸配列、または配列番号2および4に説明されたポリペプチド配列ならびに実質的にそれらと同一である配列内の特性を同定するためのアイデンティファイア(identifier)を含むことができる。
【0248】
「アイデンティファイア」は、本発明の核酸配列またはポリペプチド配列内のある特定の特性を同定する1以上のプログラムを意味する。ある実施形態においては、アイデンティファイアは、配列番号1および3に説明された核酸配列、ならびに実質的にそれらと同一である配列のオープンリーディングフレームを同定するプログラムを含む。
【0249】
プロセス300は出発ステート302に始まり、次にステート304へ移動して特性を確認されるべき第1配列をコンピュータシステム100のメモリー115に保存する。次に、プロセス300はステート306に移動して配列特性のデータベースが開かれる。このようなデータベースは特性名と共に各特性の属性の表を含むであろう。例えば、ある特性名は「開始コドン」であり、属性は「ATG」であるだろう。他の例は特性名「TAATAAボックス」であり、属性は「TAATAA」であるだろう。このようなデータベースの1例は、ウィスコンシン大学遺伝子コンピュータグループ(the University of Wisconsin Genetics Computer Group)(www.gcg.com)により作製されている。あるいは、特性は、αヘリックス、βシートなどの構造ポリペプチドモチーフ、または酵素活性部位、ヘリックス-ターン-ヘリックスモチーフなどの機能性ポリペプチドモチーフ、または当業者に知られた他のモチーフであってもよい。
【0250】
特性のデータベースがステート306で開かれると、プロセス300はステート308に移動して第1特性をデータベースから読取る。次に、ステート310にて第1特性の属性と第1配列との比較を行う。次に、判定ステート316にて、該特性の属性が第1配列中に見出されるかどうかを決定する。もし属性が見出されれば、プロセス300はステート318に移動し、見出した特性の名称を使用者に表示する。
【0251】
次にプロセス300は、さらに特性がデータベース中に存在するかどうかを決定する判定ステート320に移動する。もしさらに特性が存在しなければ、その場合はプロセス300はステート324で終結する。しかし、もしさらに特性が存在すれば、その場合はプロセス300はステート326にて次の特性を読取り、ステート310にループして戻り、次の特性の属性を第1配列に対して比較する。
【0252】
もし判定ステート316にて第1配列中に特性属性が見出されなければ、プロセス300は、データベースにもう特性が存在しないかを確認する目的で、直接、判定ステート320に移動することに注意しなければならない。
【0253】
従って、本発明の他の態様は、配列番号1および3に説明された核酸配列、ならびに実質的にそれらと同一である配列、または配列番号2および4に説明されたポリペプチド配列ならびに実質的にそれらと同一である配列内の特性を同定する方法であって、核酸配列もしくはポリペプチド配列を、特性を同定するコンピュータプログラムを使って読取り、そして核酸配列もしくはポリペプチド配列内の特性を、コンピュータプログラムを用いて同定する上記方法である。ある実施形態においては、コンピュータプログラムはオープンリーディングフレームを同定するコンピュータプログラムを含む。該方法は、配列番号1および3に説明された核酸配列、ならびに実質的にそれらと同一である配列、もしくは配列番号2および4に説明されたポリペプチド配列、ならびに実質的にそれらと同一である配列の単一配列または少なくとも2、5、10、15、20、25、30または40をコンピュータプログラムを使って読取り、そして該核酸コードまたはポリペプチドコード内の特性をコンピュータプログラムを用いて同定することにより行うことができる。
【0254】
さらに、本発明の核酸配列またはポリペプチド配列は、様々なデータプロセッサプログラム中で様々なフォーマットで保存しかつ操作することができる。例えば、配列番号1および3に説明された核酸配列、ならびに実質的にそれらと同一である配列、または配列番号2および4に説明されたポリペプチド配列ならびに実質的にそれらと同一である配列を、テキストファイルとしてMicrosoftWORDまたはWORDPERFECTなどのワープロ用ファイルに、またはASCIIファイルとしてDB2、SYBASE、またはORACLEなどの当業者が熟知している様々なデータベースプログラムに保存することができる。さらに、多数のコンピュータプログラムおよびデータベースを、配列比較アルゴリズム、アイデンティファイア、または配列番号1および3に説明された核酸配列、ならびに実質的にそれらと同一である配列、または配列番号2および4に説明されたポリペプチド配列ならびに実質的にそれらと同一である配列と比較されるべき参照ヌクレオチド配列または参照ポリペプチド配列のソース(source)として、使うことができる。次に挙げるリストは本発明を限定するのでなく、本発明の核酸配列またはポリペプチド配列について有用であるプログラムおよびデータベースの手引きを与えることを意図するものである。
【0255】
使用し得るプログラムおよびデータベースは、限定するものでないが、以下を含む:MacPattern(EMBL)、DiscoveryBase(Molecular Applications Group)、GeneMine(Molecular Applications Group)、Look(Molecular Applications Group)、MacLook(Molecular Applications Group)、BLASTおよびBLAST2(NCBI)、BLASTNおよびBLASTX(Altschulら、J. Mol. Biol. 215:403, 1990)、FASTA(PearsonおよびLipman、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、85:2444, 1988)、FASTDB(Brutlagら、Comp. App. Biosci. 6:237-245, 1990)、Catalyst(Molecular Simulations Inc.)、Catalyst/SHAPE(Molecular Simulations Inc.)、Cerius2.DBAccess(Molecular Simulations Inc.)、HypoGen(Molecular Simulations Inc.)、Insight II、(Molecular Simulations Inc.)、Discover(Molecular Simulations Inc.)、CHARMm(Molecular Simulations Inc.)、Felix(Molecular Simulations Inc.)、DelPhi、(Molecular Simulations Inc.)、QuanteMM、(Molecular Simulations Inc.)、Homology(Molecular Simulations Inc.)、Modeler(Molecular Simulations Inc.)、ISIS(Molecular Simulations Inc.)、Quanta/Protein Design(Molecular Simulations Inc.)、WebLab(Molecular Simulations Inc.)、WebLab Diversity Explorer(Molecular Simulations Inc.)、Gene Explorer(Molecular Simulations Inc.)、SeqFold(Molecular Simulations Inc.)、MDL利用可能化学品ディレクトリー(the MDL Available Chemicals Directory)データベース、MDL薬物データレポート(the MDL Drug Data Report)データベース、包括的医薬化学(the Comprehensive Medicinal Chemistry)データベース、Derwentsの世界薬物索引(Derwents's World Drug Index)データベース、BioByteMasterFileデータベース、Genbankデータベース、およびGenseqnデータベース。本発明の開示を受ければ、当業者には、多数の他のプログラムおよびデータベースが明らかであろう。
【0256】
上記のプログラムを使い検出し得るモチーフには、ロイシンジッパー、ヘリックス-ターン-ヘリックスモチーフ、グリコシル化部位、ユビキチン化部位、αヘリックスおよびβシートをコードする配列、コードされたタンパク質の分泌を指令するシグナルペプチドをコードするシグナル配列、ホメオボックスなどの転写調節に含まれる配列、酸性ストレッチ(acidic stretch)、酵素活性部位、基質結合部位、ならびに酵素切断部位が含まれる。
【0257】
上記の参照物の全ては、参照によりその全文が本明細書に組み入れられる。これらの技術はそれぞれ、記述した参照物に詳細に記載されている。DNAは、これらの技術の1以上を利用して突然変異させるかまたは「進化」させ、そして再スクリーニングしてより望ましいクローンを同定することができる。本発明は、次に、以下の実施例により説明するが、これは本発明を限定するものでない。
【0258】
本発明を、以下の限定するものではないの実施例を参照して、さらに詳細に説明する。
【0259】
実施例
実施例1
フェニルグリシノニトリルを、次のStrecker反応条件を使って調製した:
- 丸底フラスコ中の98% KCN 1gを含むH2O 4ml
- NH4Cl 1.18g
- 室温にてNH4Clが溶解するまで混合し、
- ベンズアルデヒド2.12 gを含むメタノール4mlを加え、
- 磁気攪拌器を使い、2時間攪拌する。
【0260】
反応生成物であるフェニルグリシノニトリルの存在を、HPLC(水中7%アイソクラチックMeOH;カラム:Superlcosil LC-18;5cm×4.6 mm;5μm)により検出した。2時間後、反応生成物への転化率70%を得た。
【0261】
反応混合物を0.1 Mリン酸ナトリウムバッファー(pH7)中に希釈し、無希釈から50倍希釈までの範囲の様々な希釈液を作った。バッファーを凍結乾燥細胞溶解調製物に加えて、酵素溶液を調製した。これらの細胞溶解液は、Pseudomonas宿主に過剰発現させたニトリラーゼを含有した。10.72 mg/mlおよび15.56 mg/ml溶液の最終タンパク質濃度の2種の酵素調製液、BD1911およびBD1921を用いた。酵素溶液(20μl)を、別々に、フェニルグリシンを含有する希釈液(最終容積300μl)のそれぞれに加えた。サンプルを室温でインキュベートした。18時間後、反応液をサンプリングし、TLC(1-ブタノール:酢酸:水=4:1:5)にかけた。両方の酵素とも、フェニルグリシンは10、25および50倍希釈液で検出され、5倍希釈では微かなピークが現れた。5日後、反応液を再びサンプリングし、HPLCにより分析した。ニトリラーゼBD1921は基質の5倍希釈で産物への転化率ほぼ10%を示し、ニトリラーゼBD1911は基質の<5%を転化した。Strecker反応混合物の低い希釈液ほど、高い転化率を得た(50倍希釈で35%転化率まで)。
【0262】
上述の発明を、明確さと理解の目的で図解および実施例を使って相当詳細に説明したが、当業者には、本発明の精神および請求の範囲から逸脱することなく、本発明の教示に照らして、これらに対してある特定の変化と改変がなされ得ることが明らかであろう。
【配列表】
Claims (42)
- α - 置換カルボン酸の製造方法であって、
(a) ニトリラーゼ活性を有するポリペプチドを準備し、ただし該ポリペプチドは、
(i) 配列番号1または配列番号 3 に記載の配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によってコードされるポリペプチド、但し、該ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、 150mM NaCl 、 20mM トリス塩酸( pH 7.8 )、 1mM Na 2 EDTA および 0.5 % SDS を含む緩衝液中、室温で 30 分間の洗浄を含む洗浄ステップを含むものとする;
(ii) 配列番号 2 または配列番号 4 に記載の配列と少なくとも 90 %の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;あるいは
(iii) 配列番号 1 または配列番号 3 の核酸配列と少なくとも 90 %の配列同一性を有する核酸によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
から成る群から選択されるものであり、
(b) アルデヒドまたはケトンを含む組成物を準備し;
(c) 該組成物を、シアン化物含有化合物およびアンモニア含有化合物、アンモニウム塩またはアミンと接触させて、アミノニトリルまたはシアノヒドリン中間体を製造し;
(d) 得られたアミノニトリルまたはシアノヒドリン中間体を前記ニトリラーゼ活性を有するポリペプチドで加水分解することにより、反応成分を加水分解してα−置換カルボン酸を製造することを含む、前記方法。 - 前記ニトリラーゼ活性を有するポリペプチドが反応成分を加水分解してα−置換カルボン酸を立体選択的に製造する、請求項1または2に記載の方法。
- 前記ニトリラーゼ活性を有するポリペプチドが、
(i) 配列番号 2 または配列番号 4 のアミノ酸配列と少なくとも 95 %の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか;あるいは
(ii) 配列番号 1 または配列番号 3 の核酸配列と少なくとも 95 %の配列同一性を有する核酸によってコードされる、
請求項 1 〜3のいずれか1項に記載の方法。 - 前記ニトリラーゼ活性を有するポリペプチドが、
(i) 配列番号 2 または配列番号 4 のアミノ酸配列と少なくとも 97 %の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか;あるいは
(ii) 配列番号 1 または配列番号 3 の核酸配列と少なくとも 97 %の配列同一性を有する核酸によってコードされる、
請求項 4 に記載の方法。 - 前記ニトリラーゼ活性を有するポリペプチドが、
(i) 配列番号 2 または配列番号 4 のアミノ酸配列と少なくとも 99 %の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか;あるいは
(ii) 配列番号 1 または配列番号 3 の核酸配列と少なくとも 99 %の配列同一性を有する核酸によってコードされる、
請求項 5 に記載の方法。 - 前記ニトリラーゼ活性を有するポリペプチドが、
(i) 配列番号 2 または配列番号 4 のアミノ酸配列を含むか;あるいは
(ii) 配列番号 1 または配列番号 3 の核酸によってコードされる、
請求項 6 に記載の方法。 - 前記α-置換カルボン酸がα-アミノ酸である、請求項2に記載の方法。
- R1およびR2の少なくとも一方が置換または非置換アリールである、請求項8に記載の方法。
- 前記α - アミノ酸がD-フェニルアラニン、D-フェニルグリシンまたはL-メチルフェニルグリシンである、請求項9に記載の方法。
- 前記α - アミノ酸が置換または非置換アルキル側鎖を有する、請求項8に記載の方法。
- 前記α - アミノ酸がL-tert-ロイシン、D-アラニンまたはD-ヒドロキシノルロイシンである、請求項11に記載の方法。
- 前記α-置換カルボン酸がα-ヒドロキシ酸である、請求項2に記載の方法。
- R1およびR2の少なくとも一方が置換または非置換アリールである、請求項13に記載の方法。
- 前記α - ヒドロキシ酸が(S)-シクロヘキシルマンデル酸、マンデル酸または2-クロロマンデル酸である、請求項13に記載の方法。
- 前記シアン化物が金属シアン化物または気体シアン化物である、請求項1に記載の方法。
- 前記シアン化物がアルカリシアン化物である、請求項16に記載の方法。
- 前記金属シアン化物がシアン化ナトリウムである、請求項16に記載の方法。
- 前記アンモニウム塩が式NH2(R)2 +X[式中、各Rは独立して−Hまたは低級アルキルであり、Xは対イオンである。]を有する、請求項1に記載の方法。
- Xがハロゲンイオンである、請求項19に記載の方法。
- 前記ハロゲンイオンがCl-である、請求項20に記載の方法。
- 前記アンモニウム塩がNH4 +Cl-である、請求項21に記載の方法。
- 配列番号2に表されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有しかつニトリラーゼ活性を持つアミノ酸配列を含む、実質的に精製されたポリペプチド。
- 配列番号2に表されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有する、請求項23に記載のポリペプチド。
- 配列番号2に表されるアミノ酸配列に対して少なくとも97%の同一性を有する、請求項24に記載のポリペプチド。
- 配列番号2に表されるアミノ酸配列に対して少なくとも99%の同一性を有する、請求項25に記載のポリペプチド。
- 配列番号2に表されるアミノ酸配列を含む、実質的に精製されたポリペプチド。
- 配列番号4に表されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有しかつニトリラーゼ活性を持つアミノ酸配列を含む、実質的に精製されたポリペプチド。
- 配列番号4に表されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有する、請求項28に記載のポリペプチド。
- 配列番号4に表されるアミノ酸配列に対して少なくとも97%の同一性を有する、請求項29に記載のポリペプチド。
- 配列番号4に表されるアミノ酸配列に対して少なくとも99%の同一性を有する、請求項30に記載のポリペプチド。
- 配列番号4に表されるアミノ酸配列を含む、実質的に精製されたポリペプチド。
- 配列番号2に表されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有しかつニトリラーゼ活性を有するアミノ酸配列をコードする、単離された核酸。
- 前記アミノ酸配列が配列番号2に表されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有する、請求項33に記載の核酸。
- 前記アミノ酸配列が配列番号2に表されるアミノ酸配列に対して少なくとも97%の同一性を有する、請求項34に記載の核酸。
- 前記アミノ酸配列が配列番号2に表されるアミノ酸配列に対して少なくとも99%の同一性を有する、請求項35に記載の核酸。
- 配列番号1に表される単離された核酸。
- 配列番号4に表されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有しかつニトリラーゼ活性を有するアミノ酸配列をコードする、単離された核酸。
- 前記アミノ酸配列が配列番号4に表されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有する、請求項38に記載の核酸。
- 前記アミノ酸配列が配列番号4に表されるアミノ酸配列に対して少なくとも97%の同一性を有する、請求項39に記載の核酸。
- 前記アミノ酸配列が配列番号4に表されるアミノ酸配列に対して少なくとも99%の同一性を有する、請求項40に記載の核酸。
- 配列番号3に表される単離された核酸。
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