JP4261664B2 - 眼底検査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検眼眼底の検査を行う眼底検査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、被検眼眼底の血管の血流速度を測定する眼底血流計が知られており、この眼底血流計では、測定用レーザー光を被検眼眼底上の血管に照射し、血管中の血流によるドップラ信号光と血管壁からの参照光とを受光し、これらを解析して血流速度を算出している。このとき、測定部位を所望の位置へ動かすために、被検眼に固視標を呈示して視線を誘導している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上述の従来例の眼底血流計においては、一般的に被検者の左右眼眼底上の複数個所において複数回の測定を行うために、眼底写真や眼屈折計の場合のように検査部位と測定結果を対応付けることは容易でない。更に、眼底血流計では測定対象が乳頭周辺部の血管であることが多く、また血流測定をする際には血管が分岐する前後の部位で測定したり、近接する動脈と静脈を測定することも多い。このために、測定結果を検査部位毎に正しく管理できないと、どの測定結果がどの部位に対応するか分からなくなる虞れがある。
【0004】
また、測定開始時に呈示する固視標の位置を事前に設定できないので、検者は測定毎に所望の位置まで固視標を移動して被検眼の視線を誘導しなくてはならない。従って、アライメントの再調整が必要となり、特に被検眼の左右が代った場合には調整に時間が掛かり被検者に負担を強いるという問題点がある。
【0006】
本発明の目的は、固視標の提示位置を制御できるようにして被検者への負担を軽減した眼底検査装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る眼底検査装置は、被検眼眼底の任意の部位を検査する眼底検査装置において、検査部位データを登録する検査部位登録手段と、該検査部位登録手段で登録した検査部位の1つを選択して次の検査部位を決定する決定手段と、被検眼に固視標を提示する手段と、前記決定手段により決定した次の検査部位について同眼の既検査部位がある場合とない場合で前記固視標の提示位置を変更する制御手段とを有することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は実施例の眼底血流計の構成図を示し、眼底血流計Aは眼底照明光学系を介して固視標を被検眼Eに呈示する構成になっている。眼底血流計A内において、白色光を発するタングステンランプ等から成る観察用光源1から被検眼Eと対向する対物レンズ2へ至る照明光学系には、リレーレンズ3、光路に沿って移動自在な固視標表示用素子である透過型液晶板4、リレーレンズ5、孔あきミラー6、バンドパスミラー7が順次に配列されている。孔あきミラー6の背後には眼底観察光学系が構成されており、結像レンズ8、接眼レンズを有するファインダ9が配列されている。また、バンドパスミラー7の反射方向の光路上には、血流速度を測定するために眼底Eaへ測定光を照射する照射光学系と、眼底Eaの測定部位からの測定光を受光する受光光学系とから成る測定検査手段10が配置されている。
【0010】
眼底血流計AはパーソナルコンピュータBに接続されており、パーソナルコンピュータBには、眼底血流計Aからの出力信号を解析したり、検査部位への固視標の呈示位置の判断等を行う制御部11が設けられており、制御部11の出力は、登録済の検査部位が過去において検査されたか否かを記憶しておく第1の記憶手段12、検査時の固視標の位置を検査部位に関連付けて記憶する第2の記憶手段13、次検査部位と同眼に既検査部位があるか否かを検出する検出手段14、テレビモニタ15に接続されており、次検査部位を決定する決定手段16、スイッチやキーボードなどの入力手段17の出力が制御部11に接続されている。
【0011】
このような構成により、観察用光源1からの光束は、リレーレンズ3、透過型液晶板4、リレーレンズ5、孔あきミラー6、バンドパスミラー7、対物レンズ2を経て、被検眼Eの眼底Eaを照明する。眼底Eaからの反射光は、対物レンズ2、バンドパスミラー7、孔あきミラー6の孔、結像レンズ8を通り、ファインダ9に至り、検者はファインダ9の接眼レンズを覗いてアライメントを行う。また、バンドパスミラー7を反射した光束は測定検査手段10に至り、図2に示すような眼底像Ea’が受光され、検者はこの眼底写真の眼底像Ea’により、例えば血管が分岐する部位Xの測定を行う。
【0012】
図3〜図6はパーソナルコンピュータBのテレビモニタ15に表示するウィンドウ画面を示し、図3、図5は被検者のID、左右眼、部位名を選択する検査部位選択ウィンドウ画面、図4、図6は同様に部位名登録ウィンドウ画面である。図3において、先ず測定する被検者のIDとして、例えば「abc201」を入力する。最初の測定であるので、第1の記憶手段12には何も検査結果がなく、図3の下の左右眼の欄は空欄になっている。
【0013】
初めての部位を検査するために、検査部位データを登録する検査部位登録手段として、テレビモニタ15の画面上に図4に示すような部位各登録ウィンドウを表示して、検者は検査部位データとして部位名、被検眼Eの左右、動静脈別を「01、右眼R、動脈A」と入力し、登録釦を選択すると、図5に示すように検査部位選択ウィンドウの右眼の欄に「R01A」と登録される。これによって、決定手段16は「R01A」を次検査部位として決定し、部位名登録ウィンドウに図6に示すように表示される。
【0014】
制御部11は検出手段14の出力から既測定部位がないこと、及び第1の記憶手段12から次検査部位が未検査部位であることを判断して、被検眼Eの乳頭が観察視野の略中心となる位置に最初の固視標を呈示する。図7はこのときのファインダ9により視認する眼底像Ea’を示している。乳頭がファインダ9の中心にきているので、血管の走行を追い易く所望する部位を容易に探し出すことができる。
【0015】
次に、図8に示すように検者は所望する部位Xが測定可能範囲Yに入るように、固視標の位置を移動して測定を行う。このとき、測定時の固視標の位置は検査部位に関連付けて第2の記憶手段13に記憶される。同時に、第1の記憶手段12には「01、右眼R、動脈A」の検査部位の測定が行われたことが記憶され、検出手段14により「abc201」の右眼Rに既検査部位があることが検出される。
【0016】
続いて、次検査部位として分岐後の血管の血流速度を測定するために、測定部位データを登録する検査部位登録手段を使用して、「02、右眼R、動脈A」と入力して登録釦を選択すると、図5に示すように検査部位選択ウィンドウの右眼の欄に「R02A」と登録され、決定手段16は次検査部位を「R02A」と決定する。
【0017】
制御部11は第1の記憶手段12から入力された「R02A」が未検査部位であることを判断し、更に検出手段14の出力から1個所目の検査部位ではなく2個所目であることを判断し、最初の呈示位置として、直前の右眼検査部位「R01A」の測定時の固視標位置を第2の記憶手段13から読み出し、固視標を呈示する制御を行う。
【0018】
このようにして、検者は固視標の移動が微調整で済むので、アライメント時間が短くできて被検者に負担を掛けることがない。この測定の場合も、「R02A」の固視標の位置は、検査部位データに関連付けて第2の記憶手段13に記憶される。
【0019】
次に、左眼Lを測定するために、眼底血流計Aのステージを右方向に移動する。その後の操作は右眼Rの場合と同様であり、登録する部位名登録ウィンドウに、「01、左眼L、静脈V」と入力して登録釦を選択すると、検査部位選択ウィンドウの左眼Lの欄にL01Vと登録され、決定手段16は次検査部位を「L01V」と決定する。
【0020】
この被検者に対する測定としては通算で3回目となるが、制御部11は検出手段14から、右眼Rには既測定部位があっても左眼Lにはないとの検出結果を受け、第1の記憶手段12から「01、左眼L、静脈V」が既検査部位ではないことを検出し、左眼Lの乳頭が観察視野の視略中心にくる位置に、固視標を呈示する信号を出力する。なお、次検査以降の固視標の呈示位置については右眼Rの場合と同様である。
【0021】
再び右眼Rを測定するために、検査部位登録手段に同様の手読きを行って「R03A」を登録すると、決定手段16は次検査部位を「R03A」と決定する。制御部11は、第1の記憶手段12から「R03A」が既検査部位ではないこと、検出手段14から同眼に既測定部位があることの出力を受け、最初の固視標呈示として、前回の「R02A」の時の固視標位置を第2の記憶手段13から読み出して、固視標を呈示する。
【0022】
また、「R01A」を再び測定するために、以前に測定された部位名が選択されると、決定手段16は次検査部位として「R01A」を決定し、第1の記憶手段12は既検査部位であることを出力し、検出手段14は同眼に既検査部位があることを出力する。制御部11はこの出力結果を受けて、検査部位と関連付けて固視標位置を記憶している第2の記憶手段13から、「R01A」の前回の固視標の位置を通信し、その固視標位置に固視標を呈示する。
【0023】
このように本実施例においては、次検査部位を検査する際に、次検査部位が既検査部位である場合には、最初に呈示する固視標を前回の検査時の固視標位置とすることにより、固視標を動かす必要がなくなる。また、次検査部位が未検査部位でありかつ同眼に既検査部位がない場合には、乳頭を観察視野の略中心位置に呈示することにより、乳頭から所望する部位まで血管の走行を追うことができるので、アライメントが容易になる。更に、次検査部位が未検査部位でありかつ同眼に既検査部位がある場合には、直前に検査した検査部位で記憶した固視標位置に固視標を呈示することにより、分岐や近接した動静脈を検査するときに所望の部位を捜し易くなる。
【0024】
また、次測定部位が例えば乳頭の鼻側下部位と耳側上部位のように離れている場合には、一旦乳頭を観察画面中央にくるようにして、そこから血管の走行を追いながら所望の位置に移動した方が時間の短縮になる場合がある。従って、固視標位置復帰手段を設け、この固視標復帰手段を入力することによって、最初に呈示する固視標位置を乳頭が観察視野の略中心にくる位置となるように構成すれば、検査時間の短縮と被検者への負担を軽減することができる。
【0025】
なお、本願発明においては、部位名は01、02・・・と番号を使用しているが、番号に限らず検者が分かり易い名前等を付けてもよい。また、例えば眼底Ea上の複数の分岐を測定する場合には、1個所が終って次の分岐に移る際に、一旦乳頭中心に戻した方が便利なので、2個所目以降の未検査部位の場合に直前の同眼の測定時の固視標を呈示するのではなく、固視標位置復帰手段として入力手段17を用いて検者が入力操作を行うことにより、被検眼の乳頭が観察視野の略中心にくる位置に、固視標を呈示する制御を行えばより効果的である。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る眼底検査装置は、固視標位置復帰手段の入力により、提示固視標の位置を被検眼乳頭が観察視野の略中心となるように移動する制御を行うことにより、検査時間を短縮して被検者への負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の眼底検査装置の構成図である。
【図2】 観察眼底画像の説明図である。
【図3】 検査部位選択ウィンドウの説明図である。
【図4】 部位名登録ウィンドウの説明図である。
【図5】 観察眼底画面の説明図である。
【図6】 観察眼底画面の説明図である。
【図7】 検査部位選択ウィンドウの説明図である。
【図8】 部位名登録ウィンドウの説明図である。
【符号の説明】
1 観察用光源
4 透過型液晶板
6 孔あきミラー
7 バンドパスミラー
9 ファインダ
10 測定検査手段
11 制御部
12、13 記憶手段
14 検出手段
16 決定手段
17 入力手段
A 眼底血流計
B パーソナルコンピュータ
Claims (5)
- 被検眼眼底の任意の部位を検査する眼底検査装置において、検査部位データを登録する検査部位登録手段と、該検査部位登録手段で登録した検査部位の1つを選択して次の検査部位を決定する決定手段と、被検眼に固視標を提示する手段と、前記決定手段により決定した次の検査部位について同眼の既検査部位がある場合とない場合で前記固視標の提示位置を変更する制御手段とを有することを特徴とする眼底検査装置。
- 前記決定手段により決定した次の検査部位が既検査部位である場合には、前回の検査の際の前記固視標の提示位置に前記固視標を提示し、次の検査部位が既検査部位でなく同眼に既検査部位がある場合には、直前の検査の際の前記固視標の提示位置に前記固視標を提示し、次の検査部位が既検査部位でなく同眼に既検査部位がない場合には観察視野の中心に被検眼の乳頭が位置するように前記固視標を提示することを特徴とする請求項1に記載の眼底検査装置。
- 前記検査部位登録手段により登録する前記検査部位データは被検眼の左右、動静脈とした請求項1に記載の眼底検査装置。
- 検査時の前記固視標の位置を検査部位に関連付けて記憶する第2の記憶手段を設け、前記次の検査部位が既検査部位である場合には、前記制御手段は前記第2の記憶手段から前回測定時の固視標位置を読み出し、該固視標位置に前記固視標を呈示する請求項1 〜3の何れか1つの請求項に記載の眼底検査装置。
- 固視標位置復帰手段を設け、該固視標位置復帰手段の出力に基づいて、前記制御手段は前記固視標の提示位置を観察視野の中心に被検眼の乳頭が位置するように移動する制御を行うことを特徴とする請求項1〜4の何れか1つの請求項に記載の眼底検査装置。
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