(第1実施例)
本発明の貯湯装置に係る一実施例を、図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、貯湯装置10は、給水部17、貯湯部14、ヒートポンプ12、バーナー部15、出湯部18、コントローラ16等を備えている。
給水部17は、貯湯部14に水道水を補給し、出湯部18に温水と混合する水道水を給水する。給水部第1パイプ50の一端51には、水道水が供給されている。給水部第1パイプ50の他端53は、給水部第2パイプ52と循環路第1パイプ54(後述)を介して貯湯槽60の下部に連通している。後述する出湯パイプ80に設けられている給湯栓が開かれると、水道水の圧力によって貯湯槽60の下部に水道水が送り込まれ、貯湯槽60の上部から温水が送りだされる。給水部第1パイプ50に流量センサ45が配置されており、給水部第1パイプ50を流れる水の量を計測する。
給水部第1パイプ50に、給水部第2パイプ52が接続されており、給水部第2パイプ52には、逃がし弁46が取り付けられている。逃がし弁46は、圧力が所定値以上になったときに開く。逃がし弁46が設けられていることによって、循環路第1パイプ54を介して連通している貯湯槽60の内圧が過大になるのが防止されている。
給水部第2パイプ52と循環路第1パイプ54が接続されている第1配管接続部114から、給水部第3パイプ73が分岐している。給水部第3パイプ73は、後述する温水との混合部82につながっている。給水部第3パイプ73には第2流量調整弁76が介装されており、第2流量調整弁76は、給水部第3パイプ73を流れる水の量を調整する。
貯湯部14は、貯湯槽60を備えている。貯湯槽60は縦長状であり、円形状の長手直角方向断面を持っている。貯湯槽60の容量は、50リットルである。
貯湯槽60の内部には、仕切り板62が設けられている。仕切り板62は、貯湯槽60の内部で略水平に伸びる板状部材であり、貯湯槽60の内部を上側領域67と下側領域68に間仕切っている。仕切り板62の取り付け位置は、下側領域68の容量が17リットルとなるように調整されている。(なお、17リットルは平均的な一回の給湯量である。)仕切り板62の中央には通過孔64が設けられており、通過孔64を介して貯湯槽60内の水は仕切り板62を通過して移動することができる。仕切り板62によって上側領域67と下側領域68に間仕切りされているため、上側領域67と下側領域68の間での対流による熱交換が抑制される。
貯湯槽60の上部に貯湯槽第1センサ126が配置されており、貯湯槽60の上側領域67の上部の水の温度を計測する。貯湯槽60の仕切り板62の取り付け位置より上部に貯湯槽第2センサ128が配置されており、貯湯槽60の上側領域67の下部の水の温度を計測する。貯湯槽60の下部に貯湯槽第3センサ130が配置されており、貯湯槽60下側領域68の下部の水の温度を計測する。
貯湯部14は、貯湯槽60内の水をヒートポンプ12に循環させるためのパイプ群等を備える。このパイプ群等については後述する。
ヒートポンプ12は、外気熱交換器20、圧縮機23、給湯熱交換器21、減圧弁24、循環往路管30、循環復路管31等を有している。
外気熱交換器20は熱交換ファン22を備えており、熱交換ファン22は電動モータ25と電動モータ25の駆動軸に取り付けられたファン26を持っている。ファン26は、電動モータ25に駆動されて回転する。ファン26が回転すると、外気が外気熱交換器20に吹き付けられる。外気熱交換器20は、内部に設けられている熱媒体流路27を通過する熱媒体と外気との間で熱交換を行う。本実施例のヒートポンプ12は、熱媒体に代替フロンの一種であるHFC(ハイドロフルオロカーボン)を用いている。HFC以外の熱媒体(例えば、HFC以外の代替フロンや、二酸化炭素等)を用いることもできる。
循環往路管30は、外気熱交換器20の熱媒体流路27の出口部32と、給湯熱交換器21の熱媒体流路36の入口部33とを接続している。圧縮機23が、循環往路管30に介装されており、外気熱交換器20を出た熱媒体を圧縮し、給湯熱交換器21に送り込む。ヒートポンプ第1センサ37が循環往路管30に装着されており、外気熱交換器20から流出した熱媒体の温度を計測する。
循環復路管31は、給湯熱交換器21の熱媒体流路36の出口部40と外気熱交換器20の熱媒体流路27の入口部34を接続している。減圧弁24は循環復路管31に介装されており、開度を調整することによって上流側と下流側の圧力差を変化させる。減圧弁24は、圧縮機23で加圧された熱媒体の圧力を解放する。ヒートポンプ第2センサ41とヒートポンプ第3センサ42が、循環復路管31に装着されている。ヒートポンプ第2センサ41は、給湯熱交換器21から流出した熱媒体の温度を計測する。ヒートポンプ第3センサ42は、外気熱交換器20に流入する熱媒体の温度を計測する。
貯湯部14において、貯湯槽60とヒートポンプ12の間には、第1循環路304と第2循環路300が設けられている。図1では第1循環路304が黒色太線で表現されており、図2では第2循環路300が黒色太線で表現されている。以下では第1循環路304と第2循環路300について、具体的に説明する。貯湯槽60とヒートポンプ12の間には、循環路第1パイプ54、循環路第2パイプ100、循環路第3パイプ104、循環路第4パイプ106、循環路第5パイプ108、第1流量調整弁48、ポンプ47、循環路第1センサ61、循環路第2センサ66、循環路第3センサ65、流路切替え弁124が設けられている。
循環路第1パイプ54は一端が貯湯槽60の下部に設けられた下部出水口112に接続されている。下部出水口112は、水道水が貯湯槽60に送り込まれる場合には、入水口となるが、貯湯槽60に貯湯されている水をヒートポンプ12で加熱する場合には、出水口となる。循環路第1パイプ54の他端は、第1配管接続部114で、給水部第2パイプ52と、給水部第3パイプ73と、循環路第2パイプ100に接続されている。水道水が貯湯槽60に送り込まれる場合には、水道水が循環路第1パイプ54を貯湯槽60に向けて流れるが、貯湯槽60に貯湯されている水をヒートポンプ12で加熱する場合には、貯湯槽60に貯湯されている水が循環路第1パイプ54を貯湯槽60から流れる。
循環路第2パイプ100の一端は、第1配管接続部114で循環路第1パイプ54や他のパイプに接続されている。循環路第2パイプ100の他端は、ヒートポンプ12に備えられた給湯熱交換器21の水流路38の入口部68と接続されている。循環路第2パイプ100には、第1流量調整弁48とポンプ47が介装されている。ポンプ47が駆動することによって、貯湯槽60内の水がヒートポンプ12へ流入し再び貯湯槽60へ戻される。また循環路第2パイプ100には循環路第1センサ61が配設されている。循環路第1センサ61はヒートポンプ12内の給湯熱交換器21へ流入する水の温度を計測する。
循環路第3パイプ104の一端は、ヒートポンプ12に備えられた給湯熱交換器21の水流路38の出口部70と接続されている。循環路第3パイプ104の他端は、流路切替え弁124に接続されている。循環路第3パイプ104には、循環路第2センサ66が配設されている。循環路第2センサ66は、循環路第3パイプ104内の水の温度、即ちヒートポンプ12によって加熱された水の温度を計測する。
循環路第4パイプ106の一端は、流路切替え弁124に接続されている。循環路第4パイプ106の他端は、貯湯槽60の上部に設けられた上部入水口120に接続されている。後述するように、貯湯槽60からバーナー部15に向けて温水が送り出される場合には、上部入水口120は出水口となるが、貯湯槽60に貯湯されている水をヒートポンプ12で加熱して貯湯槽60へ戻す場合には、入水口となる。循環路第4パイプ106の途中には、バーナー部第1パイプ71が接続されている。循環路第4パイプ106とバーナー部第1パイプ71の接続部に循環路第3センサ65が配設されている。循環路第3センサ65は、水が循環路第4パイプ106を流れて貯湯槽60の上部へ戻る場合には、その水の温度を計測する。また温水が貯湯槽60から送り出されてバーナー部第1パイプ71を通ってバーナー部15へ送られる場合にはその温水の温度を計測する。
循環路第5パイプ108の一端は、流路切替え弁124に接続されている。循環路第5パイプ108の他端は、貯湯槽60の中間開口118に接続されている。中間開口118は貯湯槽60の仕切り板62の取り付け位置より下側であって、下側領域68の上部に水を供給する位置に設けられている。
流路切替え弁124は、循環路第3パイプ104と循環路第4パイプ106を連通するか、循環路第3パイプ104と循環路第5パイプ108を連通するかを切替える。流路切替え弁124はコントローラ16からの指令によりその流路を切替える。
図1では、流路切替え弁124が循環路第3パイプ104と循環路第5パイプ108を連通させている。この状態では、ポンプ47が、貯湯槽60内の水を貯湯槽60の下部出水口112から、すなわち下側領域68の下部からヒートポンプ12へ導き、ヒートポンプ12で加熱した水を貯湯槽60の中間開口118へ、すなわち下側領域68の上部へ戻す第1循環路304を循環させる。
図2では、流路切替え弁124が循環路第3パイプ104と循環路第4パイプ106を連通させている。この状態では、ポンプ47が、貯湯槽60内の水を貯湯槽60の下部出水口112から、すなわち下側領域68の下部からヒートポンプ12へ導き、ヒートポンプ12で加熱した水を貯湯槽60の上部入水口120へ、すなわち上側領域67の上部へ戻す第2循環路300を循環させる。
なお、貯湯槽60に設けられた上部入水口120の位置は、上側領域67の上部へ水を供給し、上側領域67の上部から水を汲み出すことが可能であれば、どのような位置に設けられていてもよく、必ずしも貯湯槽60の最上部でなくともよい。同様に貯湯槽60に設けられた下部出水口112の位置は、下側領域68の下部へ水を供給し、下側領域68の下部から水を汲み出すことが可能であれば、どのような位置に設けられていてもよく、必ずしも貯湯槽60の最下部でなくともよい。また貯湯槽60に設けられた中間開口118の位置は、貯湯槽60の仕切り板62の取り付け位置より下側であって、下側領域68の上部に水を供給することが可能であれば、どのような位置に設けられていてもよい。
貯湯槽第1センサ126の配設位置は、貯湯槽60内の上側領域67の上部の水の温度を計測可能であれば、どのような位置であってもよく、必ずしも貯湯槽60の最上部でなくともよい。貯湯槽第2センサ128の配設位置は、貯湯槽60の仕切り板62の取り付け位置より上側であって、貯湯槽60内の上側領域67の下部の水の温度を計測可能であれば、どのような位置であってもよい。貯湯槽第3センサ130の配設位置は、貯湯槽60内の下側領域68の下部の水の温度を計測可能であれば、どのような位置であってもよく、必ずしも貯湯槽60の最下部でなくともよい。
バーナー部15は、バーナーファン79と、バーナー78と、バーナー熱交換器69と、バーナー部第1パイプ71を備えている。
バーナー部第1パイプ71の一端は、循環路第4パイプ106に接続しており、バーナー部第1パイプ71の他端は、バーナー熱交換器69の入口163に接続している。バーナー熱交換器69の出口164には、バーナー部第2パイプ72の一端が接続されており、バーナー部第2パイプ72の他端は、混合部82に接続されている。バーナー部第2パイプ72は、混合部82において給水部第3パイプ73と合流し、出湯パイプ80に接続されている。
バーナー78は、ガスを燃焼することによって、バーナー熱交換器69を流れる水を加熱する。バーナーファン79は、バーナー78に燃焼用の空気を送風する。
出湯部18は、出湯パイプ80と、バーナー部センサ75と、出湯部センサ81を備える。出湯パイプ80の一端は、バーナー部第2パイプ72と給水部第3パイプ73との合流箇所(混合部82)に接続されている。出湯パイプ80の他端は、給湯栓や風呂に連通している。図示しない給湯栓が開かれると、出湯パイプ80から温水が出湯される。
バーナー部センサ75はバーナー交換器69から送り出される温水の温度を計測する。出湯部センサ81は出湯パイプ80を流れる温水の温度、即ち最終的に出湯される温水の温度を計測する。出湯パイプ80にはバーナー交換器69から送られる高温の温水と給水部第3パイプ73から送られる低温の水道水が混合して送られる。高温の温水と低温の水道水の混合比は、給水部第3パイプ73に介装されている第2流量調整弁76により制御される。高温の温水と低温の水道水との混合比を適切に調整することによって利用者が所望する温度の水を出湯することができる。
コントローラ16には、リモコン19が操作されたことによる操作信号と、流量センサ45、センサ37、41、42、61、65、66、75、81、126、128、130の計測値が入力される。コントローラ16の内部には時計132が内蔵されていて時刻を取得することができる。
コントローラ16は、センサの入力および時刻を、格納している制御プログラムで処理することによって、ポンプ47、熱交換ファン22、圧縮機23、減圧弁24、流量調整弁48、76、バーナー78、バーナーファン79、流路切替え弁124を制御する。
流路切替え弁124の切替え状態によって、貯湯槽60内の水がヒートポンプ12を通って再び貯湯槽60へ戻るときの水温の変化を図1と図2を用いて説明する。なお以下では、貯湯槽60から出湯されておらず、貯湯槽60へ給水されていない状態を説明する。図2に示す貯湯装置10の構成は、図1の貯湯装置10の構成と同一である。
図1は、流路切替え弁124が循環路第3パイプ104と循環路第5パイプ108を連通させるように切替えられている状態を示している。この状態でポンプ47が作動すると貯湯槽60内の下側領域68の水は、下部出水口112から吸い出されて循環路第1パイプ54へ流れ込む。そして循環路第2パイプ100を通ってヒートポンプ12へと導かれる。ヒートポンプ12を通って加熱された水は、循環路第3パイプ104と循環路第5パイプ108を通って貯湯槽60の中間開口118から貯湯槽60内の下側領域68へ戻る。
中間開口118から貯湯槽60の下側領域68へ戻された水は、下部出水口112から吸い出された水より温度が高い。下側領域68へ戻された温度の高い水とそれより下側の温度の低い水との間に境界層が形成される。即ち、温水と冷水が温度成層を形成した状態とすることができる。下側領域68へ戻される温度の高い水の量が増加するにつれて、境界層が下側領域68の下方へ移動する。境界層が下部出水口112まで下降すると、下側領域68は温度の高い水が充満した状態となり、下部出水口112から温度の高い水が吸い出される。下部出水口112から温度の高い水が吸い出されると、中間開口118にはさらに温度が上昇した水が戻される。このように第1循環路304を利用すると、下側領域68の水だけをヒートポンプ12へ循環させて加熱することができる。貯湯槽60の下側領域68の水だけをヒートポンプ12へ循環させて加熱するので、貯湯槽60に蓄えられた水の全部を加熱するより短時間で水の温度を上昇させることができる。
貯湯槽60の上側領域67と下側領域68は仕切り板62で間仕切りされている。従って、下側領域68の水の温度が上側領域67の水の温度より高くなった場合でも、上側領域67の水と下側領域68の水の対流による熱交換が抑制されている。したがって、ヒートポンプ12を利用した循環加熱によって、下側領域68の水のみを短時間で加熱することができる。
なお、実際には仕切り板62を介した熱伝導や、通過孔64を介した対流によって、上側領域67と下側領域68の間でわずかに熱の移動が存在するが、その影響は小さいものであるから、本実施例ではそれらの影響を省略して説明する。
図2は、流路切替え弁124が循環路第3パイプ104と循環路第4パイプ106を連通させるように切替えられている状態を示している。この状態でポンプ47が作動すると貯湯槽60内の下側領域68の水は、下部出水口112から吸い出されて循環路第1パイプ54へ流れ込む。そして循環路第2パイプ100を通ってヒートポンプ12へと導かれて、加熱される。ヒートポンプ12から出た水は循環路第3パイプ104と循環路第4パイプ106を通って貯湯槽60の上部入水口120から貯湯槽60内の上側領域67へ流入する。貯湯槽60の上側領域67の水は、上部入水口120からの水の流入に伴い、仕切り板62の通過孔64を通って下側領域68へ押し下げられる。
詳細については後述するが、図2の状態ではヒートポンプ12によって設定温度まで加熱された水が上部入水口120へ流入する。上側領域67へ流入した設定温度の水とそれより下側の温度の低い水との間に境界層が形成され、上側領域67に温度成層が形成される。上側領域67へ戻される設定温度の水の量が増加するにつれて、境界層が上側領域67の下方へ移動する。境界層が仕切り板62まで下降すると、上側領域67は設定温度の水が充満した状態となる。上側領域67の全体に設定温度の水が貯湯される。
図1に示す第1循環路304を利用した貯湯槽60の水の昇温においても、図2に示す第2循環路300を利用した貯湯槽60の水の昇温においても、ヒートポンプ12による加熱が利用される。ヒートポンプ12は、ヒートポンプ12を通過する水が単位時間当りに受け取る熱エネルギー量が一定レベルに維持されるように制御され、COPが高い状態で加熱運転を持続する。ヒートポンプ12のCOPは、ヒートポンプ12が単位時間当りに水に加える熱エネルギー量によって変動する。それを適値に維持することによって、COPが高い状態で加熱運転を持続する。さらにヒートポンプ12を通過する単位時間当りの水の流量は第1流量調整弁48によって一定に維持される。ポンプ効率、熱交換効率が高い状態でヒートポンプの運転を持続する。
換言すればヒートポンプ12は、ヒートポンプ12を通過する水が単位時間当りに受け取る熱エネルギー量が一定レベルに維持されるように制御される。また、ポンプ47は、第1流量調整弁48によって流量が一定の状態で運転される。この結果、給湯熱交換器21に流入する水温と給湯熱交換器21から流出する水温の差は一定となる。昇温幅が一定に維持される。
なお、以下では「水がヒートポンプ12の給湯熱交換器21を通過する」との表現を単に「水がヒートポンプ12を通過する」と表現することにする。本実施例では、水がヒートポンプ12を通過することによる昇温幅が一定に維持される。例えば、ヒートポンプ12を通過前後の水の温度差が10℃となるように制御される。貯湯槽60内の水はヒートポンプ12を1回通過するたびにその温度が10℃ずつ上昇する。ヒートポンプ12を通過する前の水の温度は図1に示す循環路第1センサ61によって計測される。ヒートポンプ12を通過した後の水の温度は図1に示す循環路第2センサ66によって計測される。ヒートポンプ12が水に加える加熱量は、圧縮機23の圧縮比を調整するか、あるいは減圧弁24の開度を調整することによって行われる。
ヒートポンプ12を通過する水が単位時間当りに受け取る熱エネルギー量が一定レベルに維持されるようにヒートポンプ12が制御されることで、貯湯槽60内の水がヒートポンプ12を循環する毎に一定の温度ずつ上昇させることができる。貯湯槽60内の水がヒートポンプ12を循環する毎に少しずつ温度を上昇させることによって、ヒートポンプ12のCOPが高い状態で運転し続けることができる。貯湯装置10の加熱効率を向上できる。貯湯槽60内の水の温度を徐々に上昇させる技術については本願発明者らが既に出願した特願2005−126067号に詳しく記載されている。なお、圧縮機23の圧縮比を調整するタイミングは、水が一巡する周期にあわせてもよいが、小刻みな周期で調整してもよい。
図3を参照しながら、ヒートポンプ12の加熱による貯湯槽60内の水の温度変化について説明する。図3(A)から(F)に向かって貯湯槽60内の水温の変化を経時的に示している。図3(A)から(F)では、貯湯槽60、ヒートポンプ12と、関係する配管群を簡略化して示しており、図中の実線の矢印は水の流れる方向を示す。なおここでは貯湯槽60に供給される水道水の温度が15℃であって、貯湯槽60内に貯湯しておく水の設定温度が45℃に設定されている場合を例示している。
図3(A)の初期状態では貯湯槽60内は15℃の水で満たされている。貯湯槽60内の15℃の水は第1循環路304によってヒートポンプ12へ送られる。ヒートポンプ12では水は10℃だけ昇温される。ヒートポンプ12を通過して25℃となった水は第1循環路304によって下側領域68の上部へと戻される。下側領域68の上部に戻された25℃の水は、下側領域68に残っている15℃の水と温度成層を形成し、下側領域68の上部に蓄えられる。下側領域68の下部からさらに15℃の水が吸い出され、ヒートポンプ12で加熱されて、下側領域68の上部に25℃の水が戻される。やがて貯湯槽60内の下側領域68の水が全てヒートポンプ12を通過すると下側領域68の水全体が25℃となる。下側領域68の下部の水まで25℃となると、下部出水口112からは25℃の水がヒートポンプ12へと送られる。ヒートポンプ12はヒートポンプ12通過前後の水の温度差が常に10℃となるように制御されている。従ってヒートポンプ12から流出する水の温度は25℃より10℃高い35℃となる。ヒートポンプ12から流出した水は下側領域68の上部に戻される。水を循環させて下側領域68の全部の水がヒートポンプ12を2巡すると下側領域68の水は全て35℃となる(図3(B))。
下側領域68の水が全て35℃となると、この水をヒートポンプ12で加熱すると10℃高い45℃の水となり、設定温度の水が得られる。この状態では、第2循環路300を用いてヒートポンプ12から流出する水を上部入水口120を介して貯湯槽60の上側領域67の上部に流入させる。上側領域67の上部に流入した45℃の水は、上側領域67に残っている15℃の水と温度成層を形成して、上側領域67の上部に蓄えられる。上部入水口120からの水の流入に伴い、仕切り板62の通過孔64を介して上側領域67から下側領域68へ15℃の水が押し下げられる。水を循環させて下側領域68の35℃の水が全てヒートポンプ12へ送られると、上側領域67の上部には下側領域68の容量と同量(本実施例では17リットル)の45℃の水が貯湯される。上側領域67の下部と、下側領域68には15℃の水が蓄えられる(図3(C))。
図3(C)に示すように、貯湯槽60の下側領域68の35℃の水が全て加熱されて上側領域67へ送られると、再び第1循環路304を用いて下側領域68の循環加熱を行う。下側領域68の水がヒートポンプ12を2巡すると、下側領域68の水は全て35℃となる(図3(D))。
図3(D)に示すように、下側領域68の水が全て35℃に昇温すると、再び第2循環路300を用いて、下側領域68の下部から水を吸出し、ヒートポンプ12によって45℃まで加熱して、上側領域67の上部へ流入させる。上部入水口120からの水の流入に伴い、仕切り板62の通過孔64を介して上側領域67から下側領域68へ15℃の水が押し下げられる。水を循環させて下側領域68の35℃の水が全てヒートポンプ12へ送られると、上側領域67の上部には、それまで貯湯されていた45℃の水に加えて、さらに下側領域68の容量と同量(本実施例では17リットル)の45℃の水が貯湯される。本実施例の貯湯槽60の容量は50リットルであるから、これによって上側領域67の全体に45℃の水が蓄えられる。下側領域68には、15℃の水が蓄えられる(図3(E))。
下側領域68の35℃の水が全て加熱されて上側領域67へ送られると、再び第1循環路304を用いて下側領域68の水の循環加熱を行う。下側領域68の水がヒートポンプ12を3巡すると、図3の(F)に示すように、下側領域68の水は全て45℃となり、貯湯槽60の全体に設定温度の水が蓄えられる。
本実施例の貯湯装置10では、貯湯槽60内の水をヒートポンプ12で循環加熱する際に、設定温度まで加熱された水のみを上部入水口120から貯湯槽60の上側領域67へ流入させ、設定温度まで到達していない水は中間開口118から貯湯槽60の下側領域68へ流入する。これによって、貯湯槽60の上側領域67に形成された温度成層が崩れることがなく、貯湯槽60の上部の水温を低下させることがない。循環加熱を行っている間に給湯要求があった場合でも、設定温度の水を即座に給湯することができる。
図4は循環加熱を行っている間に給湯があった場合の貯湯槽60内の水の温度変化を示している。図4(A)では、一例として、図3の(C)に示す循環加熱を行っている間に給湯があった状態を示している。給湯の要求があると、ポンプ47の運転を停止する。貯湯槽60の上部入水口120から45℃の水が汲み出される。上部入水口120からの水の汲み出しに伴い、仕切り板62の通過孔64を介して下側領域68から上側領域67へ15℃の水が押し上げられる。上側領域67への水の押し上げに伴い、下部出水口112から15℃の水道水が供給される。
給湯が終了して図4(B)の状態となると、下側領域68の循環加熱を行う。下側領域68の15℃の水が全てヒートポンプ12を2巡すると、下側領域68には35℃の水が蓄えられる(図4(C))。
下側領域68に35℃の水が蓄えられると、第2循環路300を利用して、下側領域68の水を下部出水口112からヒートポンプ12へ送り、加熱されて45℃になった水を上部入水口120から上部領域67へ戻す。第2循環路300を利用した水の循環に伴い、上側領域67の水は仕切り板62の通過孔64を介して下側領域68に押し下げられる(図4(D))。
その後、図4(D)から(G)に示すように、第1循環路304を利用した循環加熱と、第2循環路300を利用した循環加熱を繰り返すことによって、貯湯槽60内の全部に水が設定温度にまで昇温される。
本実施例の貯湯装置10では、貯湯槽60の上部から給湯を行って設定温度で蓄えられていた水の一部が汲み出された後に、貯湯槽60の水を循環加熱する場合であっても、貯湯槽60の上部の水温を低下させることなく、貯湯槽60の水を昇温することができる。図4の(B)から(G)に示す循環加熱を行っている間に、さらなる給湯要求があった場合でも、設定温度の水を即座に給湯することができる。
(第2実施例)
図5を参照しながら、本実施例の貯湯装置1010について説明する。第1実施例の貯湯装置10と同様の構成については、同一の参照符号を付し、説明を省略する。
本実施例の貯湯装置1010では、貯湯槽60への水道水の供給を、下部出水口112から行わずに、仕切り板62の取付け位置より上側に設けられた中間給水口1118から行う。給水部第2パイプ52は循環路第1パイプ54と接続することなく、給水配管接続部1114において給水部第3パイプ73と給水部第4パイプ1052に接続している。給水部第4パイプ1052は中間給水口1118を介して貯湯槽60の上側領域67の下部へ接続している。
循環路第1パイプ54と循環路第2パイプ100は、給水部第2パイプ52と接続することなく、互いに接続している。このような構成とすることによって、貯湯槽60へ水道水を供給する経路と独立して、貯湯槽60の水をヒートポンプ12へ循環する経路を形成することができる。
貯湯装置1010は、第1実施例の貯湯装置10と同様にして、貯湯槽60内の水をヒートポンプ12へ循環して加熱し、設定温度の水を貯湯槽60の上部に蓄えることができる。すなわち、流路切替え弁124を循環路第3パイプ104と循環路第5パイプ108を連通する状態に切替えて、貯湯槽60の下部出水口112から循環路第1パイプ54、循環路第2パイプ100、給湯熱交換器21、循環路第3パイプ104、循環路第5パイプ108を経由して貯湯槽60の中間開口118へ至る第1循環路304を形成する。この状態でポンプ47を駆動し、ヒートポンプ12の運転を行うことで、貯湯槽60の下側領域68の水を循環加熱することができる。
下側領域68の水が十分に加熱されて、あと一回ヒートポンプ12によって加熱されると設定温度に到達する温度となると、流路切替え弁124を循環路第3パイプ104と循環路第4パイプ106を連通する状態に切替えて、貯湯槽60の下部出水口112から循環路第1パイプ54、循環路第2パイプ100、給湯熱交換器21、循環路第3パイプ104、循環路第4パイプ106を経由して貯湯槽60の上部入水口120へ至る第2循環路300を形成する。この状態でポンプ47を駆動し、貯湯槽60の下側領域68の水を全てヒートポンプ12へ送り出し、ヒートポンプ12で加熱した後に貯湯槽60の上側領域67の上部へ戻すことで、下側領域68の容量と同量の設定温度の水を上側領域67の上部へ蓄えることができる。このとき、下側領域68には仕切り板62の通過孔64を介して上側領域67の下部の水が押し下げられる。上記を繰り返すことによって、貯湯装置1010は貯湯槽60の全体に設定温度の水を蓄えることができる。
図6の(A)は貯湯装置1010が貯湯槽60の下側領域68の水を循環加熱している最中に貯湯槽60の上部からの給湯があった場合を示している。図中では、給湯の要求があった時点で、上側領域67の上部には45℃の水が蓄えられており、上側領域67の下部には15℃の水が蓄えられており、下側領域68には循環加熱によって25℃の水が蓄えられている場合を示している。貯湯槽60の上部入水口120から上側領域67の上部に蓄えられた45℃の水がバーナー部第1パイプ71へ汲み出されると、上部入水口120からの水の汲み出しに伴い、中間給水口1118を介して給水部第4パイプ1052から上側領域67へ水道水が流入する。中間給水口1118から流入した水道水は、上側領域67の下部に蓄えられる。上側領域67の上部から45℃の水が汲み出され、上側領域67の下部へ15℃の水が供給されることによって、図6の(B)に示すように、上側領域67の上部に蓄えられていた45℃の水の量が減少し、上側領域67の下部に蓄えられていた15℃の水の量が増加する。
図6に示す例では、貯湯槽60の上側領域67の下部に流入する水道水の温度(15℃)にくらべて、下側領域68の水の温度(25℃)の方が高いが、仕切り板62によって上側領域67の水と下側領域68の水との間の対流による熱交換が抑制されている。これによって、下側領域68の水と上側領域67に流入した水道水はほとんど混合しない。
図1の第1実施例の貯湯装置10では、貯湯槽60の下側領域68に水道水の温度より高い温度の水が蓄えられた状態(例えば図4の(C)や(E)の状態)で給湯が開始されると、上部入水口120からの水の汲み出しに伴って、仕切り板62の通過孔64を介して下側領域68から上側領域67へ水が押し上げられ、給水部第2パイプ52から循環路第1パイプ54や循環路第2パイプ100へ水道水が供給される。水道水が供給されることで、せっかく加熱して水道水よりも高温となった下側領域68の水の温度を低下させてしまう。給湯が終了した後に設定温度の水を貯湯槽60の上部へ供給するまでの時間が長くなってしまう。
図5に示す本実施例の貯湯装置1010では、貯湯槽60の下側領域68に水道水の温度より高い温度の水が蓄えられた状態(例えば図6の(A)の状態)で給湯が開始された場合でも、上部入水口120からの水の汲み出しに伴って、中間給水口1118から水道水が上側領域67の下部へ供給され、下側領域68には水道水が供給されない。水道水が供給されないため、給湯があった場合でも下側領域68の水の温度が低下しない。給湯が終了した後に設定温度の水を貯湯槽60の上部へ短時間で供給することができる。
また貯湯装置1010によれば、図5および図6の(A)によく示すように、貯湯槽60の上側領域67の上部から設定温度の水を汲み出し、貯湯槽60の上側領域67の下部へ水道水を補給する経路と、貯湯槽60の下側領域68の下部から水を吸出し、ヒートポンプ12を循環させて、貯湯槽60の下側領域68の上部へ戻す経路を、互いに独立して形成することができる。これによって、貯湯槽60から給湯を行っている間も、下側領域68の水を循環加熱することができる。このように給湯と同時に下側領域68の水の循環加熱を行うことによって、給湯が終了した後に設定温度の水を貯湯槽60の上部へさらに短時間で供給することができる。
(第3実施例)
図8を参照しながら、本実施例の貯湯装置2010について説明する。第1実施例の貯湯装置10と同様の構成については、同一の参照符号を付し、説明を省略する。
本実施例の貯湯装置2010は、貯湯部14、給水部17、ヒートポンプ12、バーナー部15、出湯部18、コントローラ16等を備えている。
貯湯部14は、第1貯湯槽2060、第2貯湯槽2068を備えている。第1貯湯槽2060は縦長状であり、円形状の長手直角方向断面を持っている。第2貯湯槽2068は球状である。第2貯湯槽2068の容量は17リットルである。第1貯湯槽2060と第2貯湯槽2068を併せた容量は、50リットルである。
第1貯湯槽2060の下部と第2貯湯槽2068の上部は、連結パイプ2100によって連結されている。連結パイプ2100は一端を第1貯湯槽2060の下部に設けられた第1下部出水口2162に接続され、他端を第2貯湯槽2068の上部に設けられた第2上部入水口2164に接続されている。
第1貯湯槽2060の上部に貯湯槽第1センサ126が配置されており、第1貯湯槽2060の上部の水の温度を計測する。第1貯湯槽2060の下部に貯湯槽第2センサ128が配置されており、第1貯湯槽2060の下部の水の温度を計測する。第2貯湯槽2068の下部に貯湯槽第3センサ130が配置されており、第2貯湯槽2068の下部の水の温度を計測する。
給水部17は、貯湯部14に水道水を補給し、出湯部18に温水と混合する水道水を給水する。給水部第1パイプ50の一端51は、水道水が供給されている。給水部第1パイプ50の他端53は、給水部第2パイプ52と循環路第1パイプ54(後述)を介して第2貯湯槽2068の下部に連通している。後記する出湯パイプ80に設けられている給湯栓が開かれると、水道水の圧力によって第2貯湯槽2068の下部に水道水が送り込まれ、連結パイプ2100を介して第2貯湯槽2068から第1貯湯槽2060へ水が送り出され、第1貯湯槽2060の上部から温水が送りだされる。
循環路第1パイプ54は一端が第2貯湯槽2068の下部に設けられた第2下部出水口2112に接続されている。第2下部出水口2112は、水道水が第2貯湯槽2068に送り込まれる場合には、入水口となるが、第2貯湯槽2068に貯湯されている水をヒートポンプ12で加熱する場合には、出水口となる。循環路第1パイプ54の他端は、第1配管接続部114で、給水部第2パイプ52と、給水部第3パイプ73と、循環路第2パイプ100に接続されている。水道水が第2貯湯槽2068に送り込まれる場合には、水道水が循環路第1パイプ54を第2貯湯槽2068に向けて流れるが、第2貯湯槽2068に貯湯されている水をヒートポンプ12で加熱する場合には、第2貯湯槽2068に貯湯されている水が循環路第1パイプ54を第2貯湯槽2068から流れる。
循環路第4パイプ106の一端は、流路切替え弁124に接続されている。循環路第4パイプ106の他端は、第1貯湯槽2060の上部に設けられた第1上部入水口2120に接続されている。第1貯湯槽2060からバーナー部15に向けて温水が送り出される場合には、第1上部入水口2120は出水口となるが、第2貯湯槽2068に貯湯されている水をヒートポンプ12で加熱して第1貯湯槽2060へ戻す場合には、入水口となる。
循環路第5パイプ108の一端は、流路切替え弁124に接続されている。循環路第5パイプ108の他端は、第1貯湯槽2060と第2貯湯槽2068を連通する連結パイプ2100に接続されている。
流路切替え弁124は、循環路第3パイプ104と循環路第4パイプ106を連通するか、循環路第3パイプ104と循環路第5パイプ108を連通するかを切替える。流路切替え弁124はコントローラ16からの指令によりその流路を切替える。
図7では、流路切替え弁124が循環路第3パイプ104と循環路第5パイプ108を連通させている。この状態では、ポンプ47が、第2貯湯槽2068内の水を第2下部出水口2112からヒートポンプ12へ導き、ヒートポンプ12で加熱した水を第2貯湯槽2068の第2上部入水口2164へ戻す第1循環路2304を循環させる。
図8では、流路切替え弁124が循環路第3パイプ104と循環路第4パイプ106を連通させている。この状態では、ポンプ47が、第2貯湯槽2068内の水を第2下部出水口2112からヒートポンプ12へ導き、ヒートポンプ12で加熱した水を第1貯湯槽2060の第1上部入水口2120へ戻す第2循環路2300を循環させる。
図9を参照しながら、ヒートポンプ12の加熱による第1貯湯槽2060内の水および第2貯湯槽2068の水の循環加熱の様子を説明する。ここでも第2貯湯槽2068に供給される水道水の温度が15℃であって、第1貯湯槽2060および第2貯湯槽2068に貯湯しておく水の設定温度が45℃に設定されている場合を例示している。
図9(A)の初期状態では第1貯湯槽2060および第2貯湯槽2068の内部は15℃の水で満たされている。第2貯湯槽2068内の15℃の水は第2下部出水口2112から吸い出されて循環路第1パイプ54、循環路第2パイプ100を経由してヒートポンプ12へ送られる。ヒートポンプ12では水は10℃だけ昇温される。ヒートポンプ12を通過して25℃となった水は循環路第3パイプ104、循環路第5パイプ108、連結パイプ2100を経由して第2上部入水口2164から第2貯湯槽2068の上部へ戻される。第2貯湯槽2068の上部に戻された25℃の水は、第2貯湯槽2068に残っている15℃の水と温度成層を形成し、第2貯湯槽2068の上部に蓄えられる。第2貯湯槽2068の下部からさらに15℃の水が吸い出され、ヒートポンプ12で加熱されて、第2貯湯槽2068の上部に25℃の水が戻される。やがて第2貯湯槽2068の水が全てヒートポンプ12を通過すると第2貯湯槽2068の水全体が25℃となる。第2貯湯槽2068の下部の水まで25℃となると、下部出水口112からは25℃の水がヒートポンプ12へと送られる。ヒートポンプ12はヒートポンプ12通過前後の水の温度差が常に10℃となるように制御されている。従ってヒートポンプ12から流出する水の温度は25℃より10℃高い35℃となる。ヒートポンプ12から流出した水は第2貯湯槽2068の上部に戻される。水を循環させて第2貯湯槽2068の全部の水がヒートポンプ12を2巡すると第2貯湯槽2068の水は全て35℃となる(図9(B))。
第2貯湯槽2068の水が全て35℃となると、この水をヒートポンプ12で加熱すると10℃高い45℃の水となり、設定温度の水が得られる。この状態では、第2循環路2300を用いてヒートポンプ12から流出する水を循環路第3パイプ104、循環路第4パイプ106を経由して第1上部入水口2120から第1貯湯槽2060の上部へ流入させる。
第1貯湯槽2060の上部に流入した45℃の水は、第1貯湯槽2060に残っている15℃の水と温度成層を形成して、第1貯湯槽2060の上部に蓄えられる。第1上部入水口2120からの水の流入に伴い、第1貯湯槽2060の下部から連結パイプ2100を経由して第2貯湯槽2068の上部へ15℃の水が押し下げられる。水を循環させて第2貯湯槽2068の35℃の水が全てヒートポンプ12へ送られると、第1貯湯槽2060の上部には下側領域68の容量と同量(本実施例では17リットル)の45℃の水が貯湯される。第1貯湯槽2060の下部と、第2貯湯槽2068には15℃の水が蓄えられる(図9(C))。
図9(C)に示すように、第2貯湯槽2068の35℃の水が全て加熱されて第1貯湯槽2060へ送られると、再び第1循環路2304を用いて第2貯湯槽2068の循環加熱を行う。第2貯湯槽2068の水がヒートポンプ12を2巡すると、第2貯湯槽2068の水は全て35℃となる(図9(D))。
図9(D)に示すように、第2貯湯槽2068の水が全て35℃に昇温すると、再び第2循環路2300を用いて、第2貯湯槽2068の下部から水を吸出し、ヒートポンプ12によって45℃まで加熱して、第1貯湯槽2060の上部へ流入させる。第1貯湯槽2060からの水の流入に伴い、第1貯湯槽2060の下部から連結パイプ2100を経由して第2貯湯槽2068の上部へ15℃の水が押し下げられる。水を循環させて第2貯湯槽2068の35℃の水が全てヒートポンプ12へ送られると、第1貯湯槽2060の上部には、それまで貯湯されていた45℃の水に加えて、さらに第2貯湯槽2068の容量と同量(本実施例では17リットル)の45℃の水が貯湯される。本実施例の貯湯装置2010では、第1貯湯槽2060と第2貯湯槽2068を併せた容量は50リットルであるから、これによって第1貯湯槽2060の全体に45℃の水が蓄えられる。第2貯湯槽2068には、15℃の水が蓄えられる(図9(E))。
第2貯湯槽2068の35℃の水が全て加熱されて第1貯湯槽2060へ送られると、再び第1循環路2304を用いて第2貯湯槽2068の循環加熱を行う。第2貯湯槽2068の水がヒートポンプ12を3巡すると、図9の(F)に示すように、第2貯湯槽2068の水は全て45℃となり、第1貯湯槽2060と第2貯湯槽2068の全体に設定温度の水が蓄えられる。
上述のように、本実施例の貯湯装置2010は、第1実施例の貯湯装置10における、仕切り板62を備える貯湯槽60を、第1貯湯槽2060と、第2貯湯槽2068と、連結パイプ2100に置き換えたものである。上述のように、本実施例の貯湯装置2010によっても、第1貯湯槽2060の温度成層を崩すことなく、設定温度の水を第1貯湯槽2060の上部へ蓄えることができる。循環加熱を行っている間に給湯要求があった場合であっても、設定温度の水を即座に給湯することができる。
本実施例の貯湯装置2010によれば、第1貯湯槽2060と第2貯湯槽2068を離れた位置に設置することができる。貯湯装置2010を設置する際に、大型の貯湯槽を収容する空間が確保できない場合であっても、第1貯湯槽2060と第2貯湯槽2068を別個の位置に設置して、貯湯装置2010を無理なく設置することができる。
(第4実施例)
図10を参照しながら本実施例の貯湯装置3010について説明する。第3実施例の貯湯装置2010と同様の構成については、同一の参照符号を付し、説明を省略する。
本実施例の貯湯装置3010では、給湯に伴う水道水の供給を、第2貯湯槽2068へ行わず、第1貯湯槽2060へ行う。給水部第2パイプ52は循環路第1パイプ54と接続することなく、給水配管接続部1114において給水部第3パイプ73と給水部第4パイプ1052に接続している。給水部第4パイプ1052は第1給水口3118を介して第1貯湯槽2060の下部へ接続している。
循環路第1パイプ54と循環路第2パイプ100は、給水部第2パイプ52と接続することなく、互いに接続している。このような構成とすることによって、第1貯湯槽2060へ水道水を供給する経路とは独立して、第2貯湯槽2068の水をヒートポンプ12へ循環する経路を形成することができる。
貯湯装置3010は、第3実施例の貯湯装置2010と同様にして、第2貯湯槽2068内の水をヒートポンプ12へ循環して加熱し、設定温度の水を第1貯湯槽2060の上部に蓄えることができる。
図7の第3実施例の貯湯装置2010では、第2貯湯槽2068に水道水の温度より高い温度の水が蓄えられた状態で給湯が開始されると、第1貯湯槽2060の上部からの水の汲み出しに伴って、連結パイプ2100を介して第2貯湯槽2068から第1貯湯槽2060へ水が押し上げられ、給水部第2パイプ52から循環路第1パイプ54や循環路第2パイプ100へ水道水が供給される。水道水が供給されることで、せっかく加熱して水道水よりも高温となった第2貯湯槽2068の水の温度を低下させてしまう。給湯が終了した後に設定温度の水を第1貯湯槽2060の上部へ供給するまでの時間が長くなってしまう。
図10に示す本実施例の貯湯装置3010では、第2貯湯槽2068に水道水の温度より高い温度の水が蓄えられた状態で給湯が開始された場合でも、第1貯湯槽2060の上部からの水の汲み出しに伴って、第1給水口3118から水道水が第1貯湯槽2060の下部へ供給され、第2貯湯槽2068には水道水が供給されない。水道水が供給されないため、給湯があった場合でも第2貯湯槽2068の水の温度が低下しない。給湯が終了した後に設定温度の水を第1貯湯槽2060の上部へ短時間で供給することができる。
また貯湯装置3010によれば、図10によく示すように、第1貯湯槽2060の上部から設定温度の水を汲み出し、第1貯湯槽2060の下部へ水道水を補給する経路と、第2貯湯槽2068の下部から水を吸出し、ヒートポンプ12を循環させて、第2貯湯槽2068の上部へ戻す経路を、互いに独立して形成することができる。これによって、第1貯湯槽2060から給湯を行っている間も、第2貯湯槽2068の水を循環加熱することができる。このように給湯と同時に第2貯湯槽2068の水の循環加熱を行うことによって、給湯が終了した後に設定温度の水を第1貯湯槽2060の上部へさらに短時間で供給することができる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。