JP2007010213A - 貯湯装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 貯湯槽60内の水をヒートポンプ12へ循環させる循環路を3つ形成する。第1循環路は貯湯槽の下部出水口112から貯湯槽内の水をヒートポンプへ導きヒートポンプによって加熱された水を貯湯槽の上部入水口120へ還流させる。第2循環路は貯湯槽の中間開口118から貯湯槽内の水をヒートポンプへ導きヒートポンプによって加熱された水を貯湯槽の上部入水口120へ還流させる。第3循環路は貯湯槽の下部出水口112から貯湯槽内の水をヒートポンプへ導きヒートポンプによって加熱された水を貯湯槽の中間開口118へ還流させる。流路切替え器122、124を切替えることによって3つの循環路を切替える。例えば貯湯槽60の上部に設定温度の水が残っている場合には第3循環路を介して水を循環させる。
【選択図】 図1
Description
なお本明細書では温水と冷水を区別せずに「水」と総称する。
ヒートポンプは、加熱後の水の温度が低いほどCOPが高いことが知られている。ヒートポンプで加熱した温水を貯湯しておく場合には、低温の温水を貯湯するタイプが有利である。貯湯槽に貯湯しておく温水の温度を以下では、設定温度という。貯湯槽に貯湯している水の全量が設定温度にまで加熱されると、フル貯湯状態となり、それ以上には加熱しない。少なくとも貯湯槽の上部に設定温度にまで加熱された温水が貯湯されていれば、シャワーや洗顔等のための給湯要求に対応することができる。
貯湯槽に貯湯されている設定温度の温水が貯湯槽容量に満たない場合(これは、加熱途中か、あるいは貯湯槽から出湯した場合に生じる)、設定温度に満たない温度の温水が貯湯槽に一様に貯湯されているよりも、設定温度に加熱された温水が貯湯槽の上部に貯湯され、その下部に冷水が存在している状態(いわゆる温度成層状態)で貯湯されているのが有利ある。すなわち、温水と冷水が混合されて貯湯されているよりも、温水と冷水が温度成層をなした状態で貯湯されている方が有利である。温水と冷水が混合されて設定温度に満たない水が貯湯されていれば、シャワーや洗顔に必要な温度の温水を出湯できないのに対し、温度成層をなした状態で貯湯されていれば、シャワーや洗顔に必要な温度の温水を出湯できるからである。
ヒートポンプの加熱効率(COP)には、加熱後の水の温度が影響する。例えば、50リットルの15℃の冷水を45℃の温水に加熱する場合を考える。このとき、15℃の冷水をヒートポンプで45℃に加熱する運転を継続することによって、50リットルの15℃の冷水を45℃の温水に加熱することができる(以下では前者という)。その一方において、最初に50リットルの15℃の冷水をヒートポンプで25℃に加熱し、ついで50リットルの25℃の水をヒートポンプで35℃に加熱し、その後に50リットルの35℃の水をヒートポンプで45℃に加熱することもできる(以下では後者という)。
ヒートポンプの特性によって、前者の加熱方式による場合よりも、後者の加熱方式による場合の方が高い加熱効率(COP)を得ることができる。
しかしながら後者の加熱方式では、温度成層状態を維持することができない。例えば、貯湯槽の上半分に45℃の温水が貯湯されており、その下部に15℃の冷水が存在している状態で後者の加熱運転を開始すると、貯湯槽の上部に25℃の水が戻され、温度成層状態が破られてしまう。
現状では、貯湯槽の温度成層状態を維持したという要求と、ヒートポンプによって効率的に加熱したい(高いCOPを実現したい)という要求を両立させることができない。両者を両立させる技術が必要とされている。
ヒートポンプによる加熱効率を高めるために、徐々に昇温させていく方式(先に例示したように、15℃の冷水を25℃に加熱し、25℃の水を35℃に加熱し、35℃の水を45℃に加熱する方式)と、貯湯槽内の水を貯湯槽の下部からヒートポンプへ導き、ヒートポンプで加熱した水を貯湯槽の上部へ戻す方式を組み合わせて用いると、貯湯槽の上部に設定温度(例えば45℃)の温水が貯湯されるまでに長時間を要するという問題が顕在化する。貯湯槽の水の全量を15℃から25℃に加熱し、25℃から35℃に加熱する必要があり、35℃の水を加熱して45℃になった水が貯湯槽の上部に戻り始めるまで待つ必要がある。
現状では、ヒートポンプによって効率的に加熱したい(高いCOPを実現したい)という要求と、貯湯槽の上部に設定温度に加熱された温水を迅速に貯湯したいという要求を両立させることができない。両者を両立させる技術が必要とされている。
請求項1の貯湯装置は、貯湯槽内の水を貯湯槽の下部からヒートポンプへ導き、ヒートポンプで加熱した水を貯湯槽の上部へ戻す第1循環路と、貯湯槽内の水を貯湯槽の中間高さからヒートポンプへ導き、ヒートポンプで加熱した水を貯湯槽の上部へ戻す第2循環路と、第1循環路と第2循環路の共通部分に設けられているポンプと、貯湯槽の複数の高さにおける温度を計測するセンサ群と、センサ群が計測した貯湯槽内の水の高さ方向の温度分布パターンに基づいて、ポンプによって水を循環させる循環路を、第1循環路と第2循環路のいずれかに切替える第1切替え器を備える。
なお「貯湯槽の上部」とは貯湯槽の上方のいずれかの位置であることを意味し、必ずしも貯湯部の最上部のみを意味するものではない。「貯湯槽の下部」についても同様に、貯湯槽の下方のいずれかの位置であることを意味し、必ずしも貯湯槽の最下部のみを意味するものではない。また、「貯湯槽の中間高さ」とは、第1循環路が貯湯槽に接続されている下部の出水口と上部の入水口の間の高さをいう。ここで「出水口」とは、貯湯槽の水を循環路へ出水するために貯湯槽に設けられた開口をいう。また「入水口」とは、ヒートポンプで加熱された水を循環路から貯湯槽へ戻すために貯湯槽に設けられた開口をいう。
第1循環路が選択されていると、貯湯槽の下部から吸い出された水がヒートポンプで加熱されて貯湯槽の上部に戻される。貯湯槽の水の全量を設定温度にまで加熱することができる。
第2循環路が選択されていると、貯湯槽の中間高さから吸い出された水がヒートポンプ内で加熱されて貯湯槽の上部に戻される。中間高さよりも上方に貯湯されている水のみを加熱することができる。貯湯槽全体の容量より少ない量の水を加熱することから、水は短時間で加熱され、貯湯槽の上部に設定温度にまで加熱された温水が貯湯されるまでに要する時間を短くすることができる。
例えば貯湯槽の上部の水温が低ければ、第2循環路が選択される。貯湯槽の上部に設定温度にまで加熱された温水が貯湯されるまでに要する時間を短くすることができる。上部の水温が高くて中間高さ水温が低い場合も第2循環路が選択される。中間高さよりも上方に貯湯されている水の温度を設定温度にまで加熱するのに要する時間を短くすることができる。上部の水温も中間高さ水温もともに高い場合には、第1循環路が選択される。貯湯槽の水の全量を設定温度にまで加熱することができる。
請求項2の貯湯装置は、貯湯槽内の水を貯湯槽の下部からヒートポンプへ導き、ヒートポンプで加熱した水を貯湯槽の上部へ戻す第1循環路と、貯湯槽内の水を貯湯槽の下部からヒートポンプへ導き、ヒートポンプで加熱した水を貯湯槽の中間高さに戻す第3循環路と、第1循環路と第3循環路の共通部分に設けられているポンプと、貯湯槽の複数の高さにおける温度を計測するセンサ群と、センサ群が計測した貯湯槽内の水の高さ方向の温度分布パターンに基づいて、ポンプよって水を循環させる循環路を、第1循環路と第3循環路のいずれかに切替える第2切替え器を備える。
第1循環路が選択されていると、貯湯槽の下部から吸い出された水がヒートポンプで加熱されて貯湯槽の上部に戻される。貯湯槽の水の全量を設定温度にまで加熱することができる。
第3循環路が選択されていると、貯湯槽の下部から吸い出された水がヒートポンプ内で加熱されて貯湯槽の中間高さに戻される。中間高さよりも下方に貯湯されている水のみを加熱することができる。貯湯槽に貯湯されている温水の全量が設定温度にまで加熱されている状態で給湯すると、貯湯槽の下部から冷水が送り込まれ、設定温度に加熱された温水は上方に貯湯される。上方に温水が貯湯されてその下方に冷水が存在する温度成層状態が得られる。この状態で、ヒートポンプで加熱することがある。このとき、第1循環路を利用すると(従来の技術では第1循環路しかない)、貯湯槽の下方に存在していた冷水がヒートポンプで加熱されて上部に戻される。このとき、ヒートポンプでは水を徐々に昇温するために、設定温度よりも低温の水が上部に戻され、温度成層が崩れてしまう。シャワーや洗願等に必要な設定温度に加熱されていた温水が出湯できる状態から出湯できない状態になってしまう。第3循環路が選択されていると、ヒートポンプで加熱された水(設定温度よりは低温である)が上部に戻されることがない。貯湯槽の上方に設定温度に加熱された温水が貯湯されている状態を維持しながら、ヒートポンプによって貯湯槽の下方に貯湯されている低温の水を加熱することができる。
第3循環路を選択可能とすることによって、ヒートポンプによって貯湯槽内の水を徐々に昇温させていく方式と、貯湯槽内を温度成層状態に維持する点を両立させることができる。
例えば貯湯槽の上部の水温が低ければ、第1循環路が選択される。貯湯槽の水の全量を設定温度にまで加熱することができる。上部の水温が高い場合は、第3循環路が選択される。温度成層状態を崩さないで、ヒートポンプによって貯湯槽内の水を徐々に昇温させていくことができる。
この貯湯装置は、貯湯槽内の水を貯湯槽の下部からヒートポンプへ導き、ヒートポンプで加熱した水を貯湯槽の上部へ戻す第1循環路と、貯湯槽内の水を貯湯槽の中間高さからヒートポンプへ導き、ヒートポンプで加熱した水を貯湯槽の上部へ戻す第2循環路と、貯湯槽内の水を貯湯槽の下部からヒートポンプへ導き、ヒートポンプで加熱した水を貯湯槽の中間高さに戻す第3循環路と、第1循環路と第2循環路と第3循環路の共通部分に設けられているポンプと、貯湯槽の複数の高さにおける温度を計測するセンサ群と、センサ群が計測した貯湯槽内の水の高さ方向の温度分布パターンに基づいて、ポンプによって水を循環させる循環路を、第1循環路と第2循環路と第3循環路のいずれかに切替える第3切替え器を備える。
第1循環路を選択することによって、貯湯槽に貯湯されている水の全量を設定温度にまで加熱することができ、第2循環路を選択することによって、貯湯槽の上側に設定温度に加熱された温水が貯湯されている状態が得られるまでの時間を短縮することができ、第3循環路を選択することによって、温度成層状態を維持しながらヒートポンプで加熱し続けることができる。
ヒートポンプによって貯湯槽内の水を徐々に昇温させていくことによってヒートポンプを効率的に利用する技術と、必要な温度の温水を早く得たいという要求、あるいは必要な温度の温水を蓄えている温度成層状態を崩したくないという要求を両立させることができる。
(第1形態) 第2循環路の出水口は、貯湯槽の上部と下部の略中間の高さに設けられている。貯湯槽の上側の約半分を容量の小さな仮想的な貯湯槽として利用できる。なお、「第2循環路の出水口」とは、貯湯槽内の水を第2循環路へ出水するために貯湯槽に設けられた開口をいう。
(第2形態) 第3循環路の入水口は、貯湯槽の上部と下部の略中間の高さに設けられている。貯湯槽の下側の約半分を容量の小さな仮想的な貯湯槽として利用できる。なお、「第3循環路の入水口」とは、ヒートポンプで加熱された水を第3循環路から貯湯槽へ戻すために貯湯槽に設けられた開口をいう。
(第3形態) 第1循環路と第2循環路と第3循環路は、共通部分を有する。
(第4形態) 共通部分にポンプが設けられている。第1循環路用ポンプと、第2循環路用ポンプと、第3循環路用ポンプを別々に設ける代わりに、共通ポンプを利用する。
(第5形態) ヒートポンプは、ヒートポンプを通過する水が単位時間当りに受け取る熱エネルギー量が一定レベルに維持されるように制御され、COPが高い状態で加熱運転を持続する。
ヒートポンプのCOPは、ヒートポンプが単位時間当りに水に加える熱エネルギー量によって変動する。それを適値に維持することによって、COPが高い状態で加熱運転を持続することができる。
(第6形態) ヒートポンプを通過する単位時間当りの水の流量が一定に維持される。ポンプ効率、熱交換効率が高い状態でヒートポンプの運転を持続することができる。
(第7形態) センサ群は、貯湯槽内の上部の水温を計測するための第1センサと、貯湯槽内の中間高さの水温を計測するための第2センサを少なくとも含み、第1センサが計測する水温と第2センサが計測する水温の少なくともいずれか一方の値が、設定範囲内である場合に流路を切替える。
(第8形態) 第2センサは、第2循環路の出水口付近の高さの水温を計測する。第2循環路へ切替えるか否かの判断を適正にすることができる。
(第9形態) 貯湯装置は、時計を備えており、時刻に応じて循環路を選択する。例えば深夜の12:00から翌朝の4:00までは第1循環路を選択する。出湯要求が少ない時間帯は、貯湯槽に貯湯されている水の全量を設定温度に加熱する循環路を選択する。
図1に示すように、貯湯装置10は、給水部17、貯湯部14、ヒートポンプ12、バーナー部15、出湯部18、コントローラ16等を備えている。
給水部第1パイプ50に、給水部第2パイプ52が接続されており、給水部第2パイプ52には、逃がし弁46が取り付けられている。逃がし弁46は、圧力が所定値以上になったときに開く。逃がし弁46が設けられていることによって、循環路第1パイプ54を介して連通している貯湯槽60の内圧が過大になるのが防止されている。
給水部第2パイプ52と循環路第1パイプ54が接続されている第1配管接続部114から、給水部第3パイプ73が分岐している。給水部第3パイプ73は、後記する温水との混合部82につながっている。給水第3パイプ73には第2流量調整弁76が介装されており、第2流量調整弁76は、給水第3パイプ73を流れる水の量を調整する。
貯湯部14には貯湯槽60内の水をヒートポンプ12に循環させるためのパイプ群等を備える。このパイプ群等については後述する。
外気熱交換器20は熱交換ファン22を備えており、熱交換ファン22は電動モータ25と電動モータ25の駆動軸に取り付けられたファン26を持っている。ファン26は、電動モータ25に駆動されて回転する。ファン26が回転すると、外気が外気熱交換器20に吹き付けられる。外気熱交換器20は、内部に設けられている熱媒体流路27を通過する熱媒体と外気との間で熱交換を行う。本実施例のヒートポンプ12は、熱媒体に代替フロンの一種であるHFC(ハイドロフルオロカーボン)を用いている。HFC以外の熱媒体(例えば、HFC以外の代替フロンや、二酸化炭素等)を用いることもできる。
循環往路管30は、外気熱交換器20の熱媒体流路27の出口部32と、給湯熱交換器21の熱媒体流路36の入口部33とを接続している。圧縮機23が、循環往路管30に介装されており、外気熱交換器20を出た熱媒体を圧縮し、給湯熱交換器21に送り込む。ヒートポンプ第1センサ37が循環往路管30に装着されており、外気熱交換器20から流出した熱媒体の温度を計測する。
循環復路管31は、給湯熱交換器21の熱媒体流路36の出口部40と外気熱交換器20の熱媒体流路27の入口部34を接続している。減圧弁24が、循環復路31管に介装されており、開度を調整することによって上流側と下流側の圧力差を変化させる。減圧弁24は、圧縮機23で加圧された熱媒体の圧力を解放する。ヒートポンプ第2センサ41とヒートポンプ第3センサ42が、循環復路管31に装着されている。ヒートポンプ第2センサ41は、給湯熱交換器21から流出した熱媒体の温度を計測する。ヒートポンプ第3センサ42は、外気熱交換器20に流入する熱媒体の温度を計測する。
循環路第1パイプ54は一端が貯湯槽60の下部に設けられた下部出水口112に接続されている。下部出水口112は、水道水が貯湯槽60に送り込まれる場合には、入水口となるが、貯湯槽60に貯湯されている水をヒートポンプ12で加熱する場合には、出水口となる。循環路第1パイプ54の他端は、第1配管接続部114で、給水部第2パイプ52と、給水部第3パイプ73と、循環路第2パイプ100に接続されている。水道水が貯湯槽60に送り込まれる場合には、水道水が循環路第1パイプ54を貯湯槽60に向けて流れるが、貯湯槽60に貯湯されている水をヒートポンプ12で加熱する場合には、貯湯槽60に貯湯されている水が循環路第1パイプ54を貯湯槽60から流れる。
循環路第2パイプ100の一端は、第1配管接続部114で循環路第1パイプ54や他のパイプに接続されている。循環路第2パイプ100の他端は、第1流路切替え弁122に接続されている。
循環路第3パイプ102の一端は、第1流路切替え弁122に接続されている。循環路第3パイプ102の他端は、ヒートポンプ12に備えられた給湯熱交換器21の水流路38の入口部68と接続されている。循環路第3パイプ102には、第1流量調整弁48とポンプ47が介装されている。ポンプ47が駆動することによって、貯湯槽60内の水がヒートポンプ12へ流入し再び貯湯槽60へ戻される。また循環路第3パイプ102には循環路第1センサ61が配設されている。循環路第1センサ61はヒートポンプ12内の給湯熱交換器21へ流入する水の温度を計測する。
循環路第4パイプ104の一端は、ヒートポンプ12に備えられた給湯熱交換器21の水流路38の出口部70と接続されている。循環路第4パイプ104の他端は、第2流路切替え弁124に接続されている。循環路第4パイプ104には、循環路第2センサ66が配設されている。循環路第2センサ66は、循環路第4パイプ104内の水の温度、即ちヒートポンプ12によって加熱された水の温度を計測する。
循環路第5パイプ106の一端は、第2流路切替え弁124に接続されている。循環路第5パイプ106の他端は、貯湯槽60の上部に設けられた上部入水口120に接続されている。後記するように、貯湯槽60からバーナー部15に向けて温水が送り出される場合には、上部入水口120は出水口となるが、貯湯槽60に貯湯されている水をヒートポンプ12で加熱する場合には、入水口となる。循環路第5パイプ106の途中には、バーナー部パイプ71が接続されている。循環路第5パイプ106とバーナー部パイプ71の接続部に循環路第3センサ65が配設されている。循環路第3センサ65は、水が循環路第5パイプ106を流れて貯湯槽60の上部へ戻る場合には、その水の温度を計測する。また温水が貯湯槽60から送り出されてバーナー部パイプ71を通ってバーナー部15へ送られる場合にはその温水の温度を計測する。
循環路第6パイプ108の一端は、第2流路切替え弁124に接続されている。循環路第6パイプ108の他端は、貯湯槽60の中間開口118に接続されている。中間開口118の貯湯槽60における配置高さと、貯湯槽第2センサ128の貯湯槽60における配置高さはほぼ等しい。
循環路第7パイプ110の一端は、第2配管接続部116で循環路第6パイプ108に接続されている。循環路第7パイプ110の他端は、第1流路切替え弁122に接続されている。
第2流路切替え弁124は、循環路第4パイプ104と循環路第5パイプ106を連通するか、循環路第4パイプ104と循環路第6パイプ108を連通するかを切替える。流路切替え弁122、124はコントローラ16からの指令によりその流路を切替える。
また、貯湯槽第1センサ126の配設位置は、貯湯槽の上方のいずれかの位置であればよく、必ずしも貯湯部の最上部でなくともよい。貯湯槽第3センサ130の配設位置についても貯湯槽の下方のいずれかの位置であればよく、必ずしも貯湯部の最下部でなくともよい。貯湯槽第2センサ128の配設位置についても貯湯槽第1センサ126と貯湯槽第3センサ130の間であればよい。但し、貯湯槽第2センサ128の配置高さは、中間開口118と同程度の高さに配置されることが好ましい。
バーナー熱交換器69の一端63は、バーナー部パイプ71の一端に接続されている。
バーナー熱交換器69の他端64には配管が接続されており、その配管の他端は、混合部82に接続されている。バーナー熱交換器69の出口64に接続された配管は、混合部82において給水部第3パイプ73と合流し、出湯パイプ80に接続されている。前記したように、バーナー部パイプ71の他端は循環路第5パイプ106の途中に接続されている。
バーナー78は、ガスを燃焼することによって、バーナー熱交換器69を流れる水を加熱する。バーナーファン79は、バーナー78に燃焼用の空気を送風する。
出湯部第1センサ75はバーナー交換器69から送り出される温水の温度を計測する。出湯部第2センサ81は出湯パイプ80を流れる温水の温度、即ち最終的に出湯される温水の温度を計測する。出湯パイプ80にはバーナー交換器69から送られる高温の温水と給水部第3パイプ73から送られる低温の水道水が混合して送られる。高温の温水と低温の水道水の混合比は、給水部第3パイプ73に介装されている第2流量調整弁76により制御される。高温の温水と低温の水道水との混合比を適切に調整することによって利用者が所望する温度の水を出湯することができる。
コントローラ16は、センサの入力および時刻を、格納している制御プログラムで処理することによって、ポンプ47、熱交換ファン22、圧縮機23、減圧弁24、流量調整弁48、76、バーナー78、バーナーファン79、流路切替え弁122、124を制御する。
この状態でポンプ47が作動すると貯湯槽60内の水は、貯湯槽60の下部出水口112から吸い出されて循環路第1パイプ54へ流れ込む。そして循環路第2パイプ100と循環路第3パイプ102を通ってヒートポンプ12へと導かれる。ヒートポンプ12から出た水は循環路第4パイプ104と循環路第5パイプ106を通って貯湯槽60の上部入水口120から貯湯槽60へと戻る。図1で黒く塗りつぶされたパイプがこのときの水の循環路である。矢印が水の流れる方向を示す。
図1の黒く塗りつぶされた循環路が第1循環路300である。但し、ヒートポンプ12に備えられた給湯熱交換器21内の水流路38は請求項にいう第1循環路には含まれない。この場合、循環路第1パイプ54、循環路第2パイプ100、循環路第3パイプ102、循環路第4パイプ104、循環路第5パイプ106のパイプ群(第1パイプ群)によって第1循環路300が形成される。換言すれば、第1パイプ群によって、貯湯槽内の水を貯湯槽の下部からヒートポンプ12へ導き、ヒートポンプ12によって加熱された水を貯湯槽の上部へ戻す第1循環路300が形成される。第1循環路300を水が流れる場合には貯湯槽60内の水全体がヒートポンプ12を循環する。
この状態でポンプ47が作動すると貯湯槽60内の水は、貯湯槽60の中間開口118から吸い出されて循環路第6パイプ108へ流れ込む。なおこのとき中間開口118は貯湯槽内の水を循環路へと流出させる出水口となる。第2流路切替え弁124は循環路第4パイプ104と循環路第5パイプ106を連通させるように切替えられているので、循環路第6パイプ108の第2流路切替え弁124側の端部は行き止まり状態となっている。従って水は第2配管接続部116で循環路第7パイプ110へと導かれる。その後、水は循環路第3パイプ102を通ってヒートポンプ12へと導かれる。ヒートポンプ12から出た水は循環路第4パイプ104と循環路第5パイプ106を通って貯湯槽60の上部入水口120から貯湯槽60へと戻される。図2で黒く塗りつぶされたパイプがこのときの水の循環路である。矢印が水の流れる方向を示す。
図2の黒く塗りつぶされた循環路が第2循環路302である。但し、ヒートポンプ12に備えられた給湯熱交換器21内の水流路38は請求項にいう第2循環路には含まれない。この場合、循環路第6パイプ108の一部(貯湯槽60の中間開口118から第2配管接続部116までの部分)、循環路第7パイプ110、循環路第3パイプ102、循環路第4パイプ104、循環路第5パイプ106のパイプ群(第2パイプ群)によって第2循環路302が形成される。換言すれば、第2パイプ群によって、貯湯槽内の水を貯湯槽の中間高さからヒートポンプ12へ導き、ヒートポンプ12によって加熱された水を貯湯槽の上部へ還流させる第2循環路302が形成される。
第2循環路302を利用すると、貯湯槽60の中間開口118から吸い出された水がヒートポンプ12へと導かれる。ヒートポンプ12を通って加熱された水は上部入水口120から貯湯槽60へと戻される。貯湯槽60へ戻された水は、中間開口118から吸い出された水よりも温度が高い。貯湯槽60へ戻された温度の高い水とそれより下側の温度の低い水との間に境界層が形成される。即ち、温水と冷水が温度成層を形成した状態とすることができる。貯湯槽60へ戻される水の量が増加すると境界層が貯湯槽60の下方へ移動する。境界層が中間開口118まで下降すると、中間開口118からは境界層より上方の温度の高い水が吸い出される。中間開口118から境界層より上方の温度の高い水が吸い出されると貯湯槽60の上部入水口120からはさらに温度が上昇した水が戻される。このように第2循環路302を利用すると、中間開口118から上側の水だけをヒートポンプ12へ循環させることができる。貯湯槽60の上側の水だけがヒートポンプ12を循環して加熱されるので、貯湯槽60に蓄えられた水の全部を加熱するより短時間で貯湯槽60の上部に設定温度の水を貯湯することができる。
この状態でポンプ47が作動すると貯湯槽60内の水は、貯湯槽60の下部出水口112を通って循環路第1パイプ54へ流れ込む。そして循環路第2パイプ100と循環路第3パイプ102を通ってヒートポンプ12へと導かれる。ヒートポンプ12から出た水は循環路第4パイプ104と循環路第6パイプ108を通って貯湯槽60の中間開口118から貯湯槽60へ戻される。なお、第1流路切替え弁122は循環路第2パイプ100と循環路第3パイプ102を連通させるように切替えられているので、流路第7パイプ110の第1流路切替え弁122側の端部は行き止まり状態となっている。従って循環路第6パイプ108へ流れ込んだ水は第2配管接続部116で循環路第7パイプ110へは流れ込まずに中間開口118へと導かれる。また、このとき中間開口118はヒートポンプ12を通った水を貯湯槽へと戻す入水口となる。図3で黒く塗りつぶされたパイプがこのときの水の循環路である。矢印が水の流れる方向を示す。
図3の黒く塗りつぶされた循環路が第3循環路304である。但し、ヒートポンプ12に備えられた給湯熱交換器21内の水流路38は請求項にいう第3循環路には含まれない。この場合、循環路第1パイプ54、循環路第2パイプ100、循環路第3パイプ102、循環路第4パイプ104、循環路第6パイプ108のパイプ群(第3パイプ群)によって第3循環路304が形成される。換言すれば、第3パイプ群によって、貯湯槽の下部から貯湯槽内の水をヒートポンプ12へ導き、ヒートポンプ12によって加熱された水を貯湯槽60の中間高さで貯湯槽60へ戻す第3循環路304が形成される。
第3循環路304を利用すると、貯湯槽60の下部出水口112から吸い出された水はヒートポンプ12へと導かれる。ヒートポンプ12を通って加熱された水は、中間開口118から貯湯槽60へ戻される。ヒートポンプ12へ流入した水はヒートポンプ12で所定温度、例えば10℃だけ昇温される。貯湯槽60の下側に冷水が存在し、上側に設定温度の水が存在する場合には、ヒートポンプ12を通って中間開口118から貯湯槽60へ戻される水の温度は貯湯槽60の上側の水の温度より低く、下側の水の温度よりは高い。従って中間開口118から貯湯槽60へ戻された水は、貯湯槽60の上側の設定温度の水と対流を起こすことなく貯湯槽60の中間に貯湯される。貯湯槽60の上側の設定温度の水と中間開口118から貯湯槽60へ戻された水との間に境界層が形成される。即ち、貯湯槽60上側の設定温度の水と中間開口118から貯湯槽60へ戻された設定温度より低い水が温度成層をなした状態となる。貯湯槽60へ戻された水は、下部出水口112から吸い出された水の分だけ中間開口118より下側へ溜まっていく。中間開口118から貯湯槽60へ戻された水が下部出水口112まで達すると、下部出水口112からはそれまでより温度が10℃だけ上昇した水がヒートポンプ12へと送られる。こうして貯湯槽60の下側の水だけを徐々に加熱することができる。貯湯槽60の下側の水だけを加熱している間であっても前記温度成層の状態はそのまま維持される。このように第3循環路304を利用すると、中間開口118から下側の水だけをヒートポンプ12へ循環させて加熱することができる。貯湯槽60の上側の水の温度を低下させずに貯湯槽60の下側の水のみを加熱することができる。
貯湯槽60内の水がどのように昇温されるかを説明する前に本実施例におけるヒートポンプ12の動作について説明しておく。
ヒートポンプ12は、ヒートポンプ12を通過する水が単位時間当りに受け取る熱エネルギー量が一定レベルに維持されるように制御され、COPが高い状態で加熱運転を持続する。ヒートポンプ12のCOPは、ヒートポンプが単位時間当りに水に加える熱エネルギー量によって変動する。それを適値に維持することによって、COPが高い状態で加熱運転を持続する。さらにヒートポンプ12を通過する単位時間当りの水の流量が第1流量調整弁48によって一定に維持される。ポンプ効率、熱交換効率が高い状態でヒートポンプの運転を持続する。
換言すればヒートポンプ12は、ヒートポンプ12を通過する水が単位時間当りに受け取る熱エネルギー量が一定レベルに維持されるように制御される。また、ポンプ47は、第1流量調整弁48によって流量が一定の状態で運転される。この結果、給湯熱交換器21に流入する水温と給湯熱交換器21から流出する水温の差は一定となる。昇温幅が一定に維持される。
なお、以下では「水がヒートポンプ12の給湯熱交換器21を通過する」との表現を単に「水がヒートポンプ12を通過する」と表現することにする。本実施例では、水がヒートポンプ12を通過することによる昇温幅が一定に維持される。例えば、ヒートポンプ12を通過前後の水の温度差が10℃となるように制御される。貯湯槽60内の水はヒートポンプ12を1回通過するたびにその温度が10℃ずつ上昇する。ヒートポンプ12を通過する前の水の温度は図1に示す循環路第1センサ61によって計測される。ヒートポンプ12を通過した後の水の温度は図1に示す循環路第2センサ66によって計測される。ヒートポンプ12が水に加える加熱量は、圧縮機23の圧縮比を調整するか、あるいは減圧弁24の開度を調整することによって行われる。
ヒートポンプ12を通過する水が単位時間当りに受け取る熱エネルギー量が一定レベルに維持されるように制御されることで、貯湯槽60内の水がヒートポンプ12を循環する毎に一定の温度ずつ上昇させることができる。貯湯槽60内の水がヒートポンプ12を循環する毎に少しずつ温度を上昇させることによって、ヒートポンプ12のCOPが高い状態で運転し続けることができる。貯湯装置10の加熱効率を向上できる。貯湯槽60内の水の温度を徐々に上昇させる技術については本願発明者らが既に出願した特願2005−126067号に詳しく記載されている。なお、圧縮機23の圧縮比を調整するタイミングは、水が一巡する周期にあわせもよいが、小刻みな周期で調整してもよい。
図4に、図1で示した第1循環路300を水が循環する際の貯湯槽60内の水温の変化を示す。図4(A)から図4(G)に向って貯湯槽60内の水温の変化を経時的に示してある。また図4(A)から(G)に示した矢印は水の流れる方向を示す。なおここでは貯湯槽60内に貯湯しておく水の設定温度が45℃に設定されている場合を例示している。
図4(A)には図1の貯湯装置10のうち、第1循環路300に関係する部分のみを簡略化して示してある。第1循環路300では、貯湯槽60の下部出水口112から吸い出された水はヒートポンプ12に送られる。ヒートポンプ12を通過した水は上部入水口120から貯湯槽60へ戻される。図4(A)では第1循環路300を形成する第1パイプ群を符号200と202で代表して示す。パイプ群200は、第1循環路300を形成する第1パイプ群のうち、貯湯槽60の下部出水口112からヒートポンプ12へ水を送るパイプ群である。パイプ群202は、第1循環路300を形成する第1パイプ群のうち、ヒートポンプ12で加熱された水を貯湯槽60の上部入水口120へ戻すパイプ群である。
やがて貯湯槽60内の水が全てヒートポンプ12を通過すると貯湯槽内の水全体が25℃となる(図4(C))。貯湯槽60の下部の水まで25℃となると、下部出水口112からは25℃の水がヒートポンプ12へと送られる。ヒートポンプ12はヒートポンプ12通過前後の水の温度差が常に10℃となるように制御されている。従ってヒートポンプ12から流出する水の温度は25℃より10℃高い35℃となる。すると図4(D)に示すように貯湯槽60には35℃の水が蓄えられる上側領域152と水温が25℃のままの下側領域154が形成される。上側領域152と下側領域154の間には境界層150が形成される。さらに水を循環させて貯湯槽60内の全部の水がヒートポンプ12を2巡すると貯湯槽60内の水は全て35℃となる(図4(E))。
同様に貯湯槽60内の水の全部が35℃となり貯湯槽60内の水が3巡目の循環に移行すると貯湯槽60の上側領域152には45℃の水が溜まっていき下側領域154には35℃の水が残る(図4(F))。こうして最終的には図4(G)に示すように貯湯槽60内の水全体が45℃の水で満たされる。
ところで貯湯槽の下部に溜められている低温の水をヒートポンプにより一挙に設定温度である45℃まで加熱するにはヒートポンプ12に備えられた圧縮機23による熱媒体の圧縮比を非常に高くしなければならない。ヒートポンプが消費するエネルギーが増加する。ヒートポンプ12のCOPが低くなる。
これに対して第1循環路を利用して上記した方法により貯湯槽の水を徐々に加熱すると、低温の水を小さい温度差の水に昇温させる期間をできるだけ長くすることができる。COPの高い範囲でのヒートポンプ12の運転期間を長くできる。即ち、貯湯槽内の低温の水を一挙に設定温度まで加熱するよりも加熱効率よく貯湯槽60内の水を加熱できる。
図5に、図2で示した第2循環路302を水が循環する際の貯湯槽の温度の変化を示す。図5(A)から図5(G)に向って貯湯槽60内の水の温度変化を経時的に示してある。また図5(A)から(G)に示した矢印は水の流れる方向を示す。なおここでも貯湯槽内に貯湯しておく水の設定温度が45℃に設定されている場合を例示している。
図5(A)には図2の貯湯装置10のうち、第2循環路302に関係する部分を簡略化して示してある。第2循環路302では、貯湯槽60の中間開口118から吸い出された水はヒートポンプ12に送られる。ヒートポンプ12を通過した水は貯湯槽の上部入水口120へ還流する。図5(A)では第2循環路302を形成する第2パイプ群を符号202と204で代表して示す。パイプ群204は、第2循環路302を形成する第2パイプ群のうち貯湯槽60の中間開口118からヒートポンプ12へ水を送るパイプ群である。パイプ群202は、第2循環路302を形成する第2パイプ群のうちヒートポンプ12で加熱された水を貯湯槽60の上部入水口120へ戻すパイプ群である。なお第1循環路300を形成する第1パイプ群と第2循環路302を形成する第2パイプ群のうち、図4と図5に示したパイプ群202は共通して利用される。
ヒートポンプ12を通過する水の量が増加していくと、貯湯槽60内の高温の水と低温の水との境界層160は徐々に下方へ移動する。図5(C)に示すように、境界層160が中間開口118より下側に達すると中間開口118からは25℃の水が第2循環路302の一部を形成するパイプ群204に流れる。ヒートポンプ12には25℃の水が流入するのでヒートポンプ12出口の水温は流入する水より10℃高い35℃となる。すると図5(D)に示すように、貯湯槽60の上側領域162には35℃の温度の水が貯湯されていく。その結果、貯湯槽60内には35℃の水が貯湯された上側領域162と、15℃のままの水が貯湯されている下側領域164の間に25℃の水が貯湯された中間領域168が形成される。水温の高い上側領域162とそれより水温の低い中間領域168の間にも境界層166が形成される。さらに水がヒートポンプ12を循環すると、上側領域162と中間領域168の間の境界層166は徐々に下がっていく。やがて境界層166は中間領域168と下側領域164の間の境界層160と一体化する。即ち図5(E)に示すように、中間領域168がなくなって水温35℃の上側領域162と水温15℃の下側領域164とが形成される。下側領域164の水温は常にそれより上の領域の水温より低いので境界層160の上下で対流が生じることはない。
境界層166が中間開口118の下側に形成された境界層160と一体化すると、中間開口118からは35℃の水がヒートポンプ12へと送られる。するとヒートポンプ12から流出する水の温度は45℃となる。図5(F)に示すように、貯湯槽60には45℃の水が貯湯された上側領域162と35℃の水が貯湯された中間領域168と水温が15℃のままの下側領域164が形成される。さらに水を循環させると最終的に図5(G)に示すように45℃の水が貯湯された上側領域162と水温が15℃のままの下側領域164が形成される。第2循環路302を利用することで貯湯槽の上側だけに45℃の水を貯湯することができる。
ここで、図5(F)の状態に達したところで設定温度である45℃の水が貯湯槽60から出湯可能となる。第1循環路300を利用した場合のように貯湯槽60の全体の水を45℃に昇温する場合と比較して第2循環路302を利用すると短時間で45℃の水を出湯可能とすることができる。これは、第2循環路302によって、貯湯槽60の上側の水のみをヒートポンプ12へ循環させるからである。従って第2循環路302を利用することによって、貯湯槽60内の全部の水を循環させる場合よりも短時間に45℃の水を貯湯槽60の上部に準備することができる。
本実施例では、水を徐々に設定温度まで上昇させるように運転されるヒートポンプ12を利用する場合であっても45℃の水を出湯できるようにするまでの時間を短縮することができる。さらに貯湯槽の上側の水のみをヒートポンプ12に循環させる場合であっても、ヒートポンプ12の運転状況は第1循環路300を利用する場合と同じである。即ち、時間を短縮する場合であってもヒートポンプ12の加熱効率を低下させることはない。
また、貯湯槽下部の冷水をヒートポンプによって一挙に設定温度の45℃まで加熱して貯湯槽上部へ戻せば短時間で設定温度の水を出湯可能にすることはできる。しかし冷水をヒートポンプによって一挙に設定温度の45℃まで加熱するにはヒートポンプ12に備えられた圧縮機23を高圧縮比にして運転する必要がある。圧縮機23を高圧縮比にしてヒートポンプ12運転すると加熱効率が低下してしまう。第2循環路302を利用することによって、ヒートポンプ12の加熱効率を低下させることなく、短時間で設定温度の水を出湯可能にすることができる。
なお、図5はあくまでも模式的な説明図であって、温度の異なる水の領域の境界層160、166はその上下の領域の水温の差による熱交換が全くないわけではない。しかし境界層160、166で多少の熱交換が生じても上記説明したように、貯湯槽60の下側に15℃(または15℃に近い温度)の水を残したまま貯湯槽60の上側の水だけを45℃まで加熱することができる。即ち貯湯槽60の上側に短時間で45℃の水を準備することができる。
図6に、図3で示した第3循環路304を水が循環する際の貯湯槽の温度の変化を示す。図6(A)から図6(G)に向って貯湯槽60内の水の温度変化を経時的に示してある。また図6(A)から(G)に示した矢印は水の流れる方向を示す。なおここでも貯湯槽60内に貯湯しておく水の設定温度が45℃に設定されている場合を例示している。
図6(A)には図3の貯湯装置10のうち、第3循環路304に関係する部分のみを簡略化して示してある。第3循環路304では、貯湯槽60の下部出水口112から吸い出された水はヒートポンプ12に送られる。ヒートポンプ12を通過した水は貯湯槽60の中間開口118へ戻される。図6(A)では第3循環路304を形成する第3パイプ群を符号200と206で代表して示す。パイプ群206は、第3循環路304を形成する第3パイプ群のうちヒートポンプ12で加熱された水を貯湯槽60の中間開口118へ還流させるパイプ群である。パイプ群200は、第3循環路304を形成する第3パイプ群のうち貯湯槽60の下部出水口112から吸い出された水をヒートポンプ12へ送るパイプ群である。なお第1循環路300を形成する第1パイプ群と第3循環路304を形成する第3パイプ群のうち、図4と図6に示したパイプ群200は共通して利用される。
第3循環路304を利用すると、低温の水を徐々に昇温させる場合であっても上側領域172に貯湯されている45℃の水の温度を低下させることはない。貯湯槽60の下側の水を徐々に昇温させている間でも常に45℃(設定温度)の水を出湯することができる。
また貯湯槽の下側の水のみをヒートポンプ12に循環させる場合であっても、ヒートポンプ12の運転状況は第1循環路300を利用する場合と同じである。即ち、下側の水のみを昇温させる場合であってもヒートポンプ12の加熱効率を低下させることはない。
図7と図8はひとつのフローチャートであり、図7に示すAが図8に示すAと対応している。なお図7と図8に示す処理は所定時間毎に実行されてもよいし、出湯される毎に行ってもよい。また、流路切り替えの判断処理はコントローラ16内で実行される。図7と図8のフローチャートは、貯湯槽第1センサと貯湯槽第2センサと貯湯槽第3センサによって取得される貯湯槽60内の高さ方向における温度分布パターンによって水の循環路を切替えるものである。なお、「温度分布パターン」との用語は、貯湯槽第1センサと貯湯槽第2センサと貯湯槽第3センサのいずれかひとつのセンサが計測する貯湯槽の所定高さの一点の温度のみであっても「温度分布パターン」の概念に包含されるものとして用いる。
貯湯槽60上部の水温が設定範囲内の場合(ステップS102:YES)にはステップS104で貯湯槽60の中間部(貯湯槽の上部と下部の間)の水温が設定範囲内か否かが判断される。中間部の温度は図1に示す貯湯槽第2センサ128により計測される。
貯湯槽60の中間部の水温が設定範囲内である場合(ステップS104:YES)にはステップS106で貯湯槽60の下部の水温が設定範囲内か否かが判断される。貯湯槽60の下部の水温が設定範囲内である場合(ステップS106:YES)には、貯湯槽60の上部から下部まで水温が設定範囲内である。即ち貯湯槽60内の水が全て設定範囲内である。この場合にはそれ以上貯湯槽60内の水を昇温させる必要がないので処理を終了する。なお、貯湯槽60の上部の水温が設定範囲外である場合(ステップS102:NO)の場合は図7に「A」で示した続きの処理として図8を用いて後で説明する。
また中間部の水温が設定範囲内(ステップS104:YES)であり、下部の水温が設定範囲外にある(ステップS106:NO)場合とは、図6(A)において境界層170が中間開口118より下側で形成されている状態を意味する。この場合でも、第3循環路を利用して運転することで、貯湯槽60の上側領域172の少なくとも中間開口118より上側では水温を低下させることなく下側領域174に貯湯されている低温の水のみを昇温することができる。
ステップS114により第3循環路で運転された場合には、貯湯槽の下部の水温が設定範囲内となるまで運転が継続される(ステップS116:NO)。貯湯槽の下部の水温が設定範囲内となった時点(ステップS116:YES)で貯湯槽60内の水全体が設定範囲内となるので運転を停止して(ステップS118)処理を終了する。
中間部の水温が設定範囲外である場合(ステップS104:NO)又は下部の水温が設定範囲外である場合(ステップS106:NO)の場合はいずれも第3循環路を用いて貯湯槽の下側の水のみが昇温される。第3循環路を用いることで加熱効率を低下させることなく貯湯槽全体の水を設定温度まで昇温することができる。
ステップS120では、深夜時間帯であるか、又は外出時間帯であるか否かが判断される。ここで深夜時間帯とは例えば夜の12時から翌朝の4時と設定される。具体的な時間はどのように設定してもよい。時刻は図1に示したコントローラ16が有する時計132によって取得される。また「外出時間帯」か否かは前述したように、例えば給湯装置に外出するか否かのスイッチを設け、利用者が「外出」のスイッチをONとした場合、あるいは長時間貯湯装置から出湯されない場合にコントローラ16が外出時間帯であると判断してもよい。
深夜時間帯又は外出時間帯である場合(ステップS120:YES)には、出湯が要求される可能性は低い。また深夜時間帯の場合には次の日に備えて貯湯槽60全体の水を設定温度まで昇温させておく必要がある。外出時間帯であっても貯湯槽60内の水全体が設定温度の水で満たされている方が好ましい。そこで第1循環路で運転する(ステップS122)。
ステップS122により第1循環路で運転された場合には、貯湯槽60の下部の水温が設定範囲内となるまで運転が継続される(ステップS124:NO)。貯湯槽60の下部の水温が設定範囲内となった時点(ステップS124:YES)で貯湯槽60内の水全体が設定範囲内となるので運転を停止して(ステップS126)処理を終了する。
ステップS128により第2循環路で運転された場合は、貯湯槽60の中間部の水温が設定範囲内となるまで運転が継続される(ステップS130:NO)。貯湯槽60の中間部の水温が設定範囲内となった時点(ステップS130:YES)で貯湯槽60の上側には設定範囲の水が貯湯できたので運転を停止して(ステップS132)処理を終了する。
また、循環路を切替える処理は上記説明したフローチャートよりもさらに細分化してもよい。例えば、ステップS102で貯湯槽60の上部の水温が設定範囲内(ステップS102:YES)であった場合、次に中間部の水温が第2設定範囲内であるか否かを判断する。ここで「第2設定範囲」とは前述の設定範囲よりは低く、水道から供給される水の温度よりは高い範囲に設定される。即ち、中間部の水温が設定温度よりは低いが供給される水の温度よりは高い場合である。この場合には中間部の水温が設定範囲となるまで第2循環路で運転するようにフローチャートを構成する。このフローチャートによれば、設定範囲の水温が不足しそうな場合に、貯湯槽60の上側から中間開口118までの間の水温を設定温度とすることができる。
その他にも貯湯槽の上下方向の複数の位置の温度(貯湯槽60内の温度分布パターン)によって様々にフローチャートを構成することができる。いずれの場合も貯湯槽60の上下方向の複数の位置の温度によってもっとも効率よく貯湯槽の水温を昇温できる循環路を利用する。これにより加熱効率のよい貯湯装置を実現できる。
さらに貯湯槽60の中間高さ設けられた中間開口118(即ち、第3循環路304の貯湯槽への出水口)は、貯湯槽の上部と下部の略中間に設けられていることが好ましい。貯湯槽の下側の約半分を容量の小さな仮想的な貯湯槽として利用できるからである。
しかし中間開口118の貯湯槽上下方向の配置位置は、貯湯槽60の上部入水口120と貯湯槽60の下部出水口112の間であればよい。中間開口118の貯湯槽60の上下方向の配置位置は、貯湯槽60を仮想的に分割する際の貯湯槽60全体の容量と分割された仮想的な貯湯槽の容量との比率を決定する。この比率は、貯湯装置の設計方針により適宜決定される。その比率に応じて中間開口118の貯湯槽60の上下方向の配置位置を設定すればよい。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
12:ヒートポンプ
14:貯湯部
15:バーナー部
16:コントローラ
17:給水部
18:出湯部
46:逃がし弁
47:ポンプ
48:第1流量調整弁
50:給水部第1パイプ
52:給水部第2パイプ
54:循環路第1パイプ
60:貯湯槽
61:循環路第1センサ
66:循環路第2センサ
65:循環路第3センサ
73:給水部第3パイプ
76:第2流量調整弁
78:バーナー
79:バーナーファン
100:循環路第2パイプ
102:循環路第3パイプ
104:循環路第4パイプ
106:循環路第5パイプ
108:循環路第6パイプ
110:循環路第7パイプ
112:下部出水口
118:中間開口
120:上部入水口
122:第1流路切替え弁
124:第2流路切替え弁
126:貯湯槽第1センサ
128:貯湯槽第2センサ
130:貯湯槽第3センサ
132:時計
Claims (3)
- 貯湯槽内の水をヒートポンプで加熱して貯湯しておく装置であり、
貯湯槽内の水を貯湯槽の下部からヒートポンプへ導き、ヒートポンプで加熱した水を貯湯槽の上部へ戻す第1循環路と、
貯湯槽内の水を貯湯槽の中間高さからヒートポンプへ導き、ヒートポンプで加熱した水を貯湯槽の上部へ戻す第2循環路と、
第1循環路と第2循環路の共通部分に設けられているポンプと、
貯湯槽の複数の高さにおける温度を計測するセンサ群と、
センサ群が計測した貯湯槽内の水の高さ方向の温度分布パターンに基づいて、ポンプによって水を循環させる循環路を、第1循環路と第2循環路のいずれかに切替える第1切替え器と、
を備えることを特徴とする貯湯装置。 - 貯湯槽内の水をヒートポンプで加熱して貯湯しておく装置であり、
貯湯槽内の水を貯湯槽の下部からヒートポンプへ導き、ヒートポンプで加熱した水を貯湯槽の上部へ戻す第1循環路と、
貯湯槽内の水を貯湯槽の下部からヒートポンプへ導き、ヒートポンプで加熱した水を貯湯槽の中間高さに戻す第3循環路と、
第1循環路と第3循環路の共通部分に設けられているポンプと、
貯湯槽の複数の高さにおける温度を計測するセンサ群と、
センサ群が計測した貯湯槽内の水の高さ方向の温度分布パターンに基づいて、ポンプによって水を循環させる循環路を、第1循環路と第3循環路のいずれかに切替える第2切替え器と、
を備えることを特徴とする貯湯装置。 - 貯湯槽内の水をヒートポンプで加熱して貯湯しておく装置であり、
貯湯槽内の水を貯湯槽の下部からヒートポンプへ導き、ヒートポンプで加熱した水を貯湯槽の上部へ戻す第1循環路と、
貯湯槽内の水を貯湯槽の中間高さからヒートポンプへ導き、ヒートポンプで加熱した水を貯湯槽の上部へ戻す第2循環路と、
貯湯槽内の水を貯湯槽の下部からヒートポンプへ導き、ヒートポンプで加熱した水を貯湯槽の中間高さに戻す第3循環路と、
第1循環路と第2循環路と第3循環路の共通部分に設けられているポンプと、
貯湯槽の複数の高さにおける温度を計測するセンサ群と、
センサ群が計測した貯湯槽内の水の高さ方向の温度分布パターンに基づいて、ポンプによって水を循環させる循環路を、第1循環路と第2循環路と第3循環路のいずれかに切替える第3切替え器と、
を備えることを特徴とする貯湯装置。
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- 2005-06-30 JP JP2005190931A patent/JP2007010213A/ja active Pending
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