JP4261457B2 - 電子楽器 - Google Patents

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Description

本発明は、電子楽器に関し、特に、演奏者に演奏のテンポやタイミングを知らせる機能を有する電子楽器に関する。
メトロノーム機能、レコーダ機能、ピアノレッスン機能等を備える電子楽器においては、演奏者に演奏のテンポやタイミングを知らせる機能が含まれることが多い。例えば、メトロノームの電子音により演奏のテンポやタイミングを知らせて演奏者の演奏と電子楽器側の処理とを合わせる場合、空白や1小節分の空打ちを行うカウントインが行われ、その後に演奏者の演奏データに関する処理が行われている。演奏者の演奏データに関する処理には、入力された演奏データに基づく発音処理や、演奏データの記録処理や、演奏(押鍵)指示処理等が含まれる。
楽音再生前にカウントインとしてテンポを刻むクリック音(テンポ音)を発生させることができる楽音発生装置が知られる(例えば、特開2003−150161号公報)。この電子楽音発生装置は、楽音発生直前のクリック音を発生させないことにより、演奏者に自動演奏データの再生開始を知らせて、弱起の曲において演奏のタイミングを取りやすくする。また、この楽音発生装置では、拍の強弱によってテンポ音の音量を変化させることもできる。
特開2003−150161号公報
従来のカウントイン機能ではカウントインを知らせるテンポ音がメトロノーム音色であり、カウントイン後に演奏者にテンポを知らせる音もメトロノーム音色である。したがって、どこまでがカウントインであるか、どこから演奏を開始するのかの判定が困難であった。
上記特許文献1の装置は、演奏直前のカウントインを発生させないことで演奏者に自動演奏データの再生開始を知らせるものであり、テンポ音が一旦消えて再び発生するので、演奏者が戸惑うおそれがある。また、楽音再生装置に設けられる複数の機能に対してもメトロノーム音色等、単一の音色でカウントインされるので、カウントインを聞いただけではどの機能が開始されたのかを識別できない。
そこで、カウントインと機能開始期間との区別を明瞭にするとともに、複数の機能がカウントインによって識別できるようにすることが望まれる。
本発明は、上記課題に鑑み、演奏者が、カウントインとカウントイン後のテンポを知らせる音とを明瞭に区別することができ、かつ複数の機能をカウントインの音によって識別できる電子楽器を提供することを目的とする。
上記の課題を解決し、目的を達成するための本発明は、楽曲の演奏速度に基づくテンポ音を楽曲の進行と共に発生することができる電子楽器において、前記テンポ音を楽曲のイントロ部分とその後の部分とで異ならせる手段を具備した点に第1の特徴がある。例えば、イントロ部分では、クロススティック音色を用い、イントロ部分以外では、メトロノーム音色を用いる。
また、本発明は、前記イントロ部分のテンポ音を電子楽器で実行中の機能に対応して決定するようにした点に第2の特徴がある。
また、本発明は、イントロ部分およびその後の部分に共通して単一音色のテンポ音を発生するとともに、イントロ部分ではさらにこの共通の音色とは異なる音色のテンポ音を発生させるようにした点に第3の特徴がある。
上記特徴を有する本発明によれば、イントロ部分のカウントインの音とイントロ部分後のテンポ音とを音色で明瞭に区別できる。したがって、演奏者はカウントインの音とは異なる音色の音を聞いたときから演奏を開始すればよい。例えば、イントロ部分では、実際の演奏でよく使用されるクロススティック音でカウントインを行い、その後、ピアノレッスン等で一般になじみがあるメトロノーム音を使用する。
また、第2の特徴によれば、電子楽器に備えられる機能、例えば、レッスン機能、レコーダ機能等の機能またはモードによってカウントインの音色を設定できるので、イントロが開始されたならば、演奏者はイントロ後の演奏に適切に備えることができる。
さらに、第3の特徴によれば、複数の音色でカウントインが行われていたものが、単一の音色の音に切り替わることで、演奏者は敏感に変化を捕らえることができる。
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図2は、本発明の電子楽器の一実施形態に係る電子楽器の外観平面図であり、図3は同システムブロック図である。電子楽器1は、演奏を記録するレコーダ機能、演奏のテンポやタイミングを演奏者に知らせるメトロノーム機能、演奏を評価するレッスン機能および自動伴奏機能等複数の機能を備える。電子楽器1は、指示を入力するのに用いられる鍵盤2および操作パネル3を備える。鍵盤2は押鍵・離鍵を検出する図示しないキーセンサを備え、演奏者の演奏を演奏情報(キーナンバおよびベロシティを含む)としてリアルタイムに出力する。
操作パネル3には、操作スイッチ3aと表示器3bとが設けられる。表示器3bはLED表示灯やLCD(液晶表示器)である。操作スイッチ3aには、少なくとも電源スイッチ、スタートスイッチ、およびモードスイッチが含まれる。鍵盤2はキースキャン回路4を介してバス5に接続される。操作パネル3の操作スイッチ3aはパネルスキャン回路6を介して、表示器3bは表示回路7を介してそれぞれバス5に接続される。
操作スイッチ3aには、鍵盤2に設定される音色、リズム等の選択を行うためのスイッチを含めることもできる。各スイッチの状態は、パネルスキャン回路6によってスキャンされる。スキャンによって認識された音色、リズム等に関するデータは、CPU8によって、リソース11に送られる。スキャン結果は、表示回路7にセットされ、表示器3bの、対応する表示素子(例えば発光ダイオード)が点灯される等して表示することができる。
CPU8は鍵盤2や操作パネル3から入力された指示に従って処理を実行する。CPU8での処理に使用されるプログラムやデータを格納するRAM9およびROM10がバス5に接続される。ROM10には、CPU8が各種処理を行うためのプログラムや固定データが設けられ、楽音波形データやエンベロープ波形データを記憶することもできる。RAM9には、各種処理データが記憶される。
CPU8で処理されたデータに基づいて楽音信号を出力する音源つまり発音リソース(以下、単に「リソース」という)11がバス5に接続される。リソース11は、複数の楽音を同時発音できるように複数設けられる。リソース11はサウンドシステム12に接続され、リソース11の出力信号がサウンドシステム12に供給される。サウンドシステム12は楽音信号のD/A変換器13、増幅器14およびスピーカ15を備える。スピーカ15は、図3に示すように操作パネル3と同一面の左右それぞれに設けられるが、個数や配置はこれに限定されない。
リソース11では、楽音情報に応じた楽音信号が生成され、サウンドシステム12へ送られて、楽音が生成発音される。
電子楽器1のテンポ音の発生タイミングを説明する。図4は、テンポ音の発生タイミングチャートである。同図において、タイミングt0でスタートスイッチが押されるとカウントインが開始される。カウントインは1小節分行われる。つまりタイミングt0から小節B0の間のテンポを刻む動作がカウントインである。カウントインは、これから演奏される楽曲のテンポに対応した時間間隔で、カウントインを示す音色の音Cを発することによって行う。例えば4分音符を1分間に120回刻む、4分の4拍子の楽曲では、0.5秒毎にカウントインの音を発する。
そして、1小節分つまり4拍のカウントインが行われた後、小節B1から、例えばレコーダ機能では、演奏の記録が開始される。したがって、演奏者はこの小節B1から演奏を開始しなければならない。そこで、タイミングt1からはレコーダ機能に対応して割り当てられている音色の音、つまり前記カウントインの音とは異なる音色の音mを楽曲のテンポに従って発音する。
例えば、カウントインの音は「ブッ、ブッ、…」というビープ音を使用し、レコーダ機能が開始されてからのテンポ音は「カチ、カチ、…」というメトロノーム音を使用する。このように拍を数える音の音色をカウントインの間とカウントイン後とで切り替えることにより、カウントインが終了した後の、演奏開始タイミングや演奏の記録開始タイミングなどを明瞭に区別することができる。
カウントインの音とカウントイン後とでテンポを刻む音の音色が切り替えられていればよいのであり、各音色に限定はない。カウントインはその後に実行される機能によって、選択されるものであってもよい、例えば、ドラムのリムを叩く「コッ、コッ、…」というクロススティック音や、「ワン、ツウ、…」等、音声であってもよい。また、メトロノーム音をカウントインの音と共に発生し、カウントイン後にカウントインの音を消して、メトロノーム音だけを残す手法であってもよい。
さらに、カウントインの音色を電子楽器1の機能に対応づけてもよい。例えば、レコーダ機能にはビープ音、自動伴奏機能にはクロススティック音、レッスン機能には音声を対応づける等である。
また、さらに、カウントインを楽曲のジャンルに対応づけることもできる。例えば、童謡には音声によるカウントインを、ジャズやポップスではクロススティック音をカウントインとして採用する等である。
次に、フローチャートを参照して、テンポを刻むための動作を電子楽器1の動作を説明する。図5は、電子楽器1のメインルーチンを示すフローチャートである。ステップS1では、各種レジスタ、カウンタ、フラグなどの初期化を行う。ステップS2では、鍵盤2の操作(鍵盤イベント)や操作パネル3の操作(パネルイベント)等、イベントの有無を判別するイベント検出処理を行う。パネルイベントの有無は、操作パネル3の操作スイッチ3aの操作に基づいて判別される。鍵盤イベントの有無判別は、鍵盤3の各鍵毎に設けられるキーセンサの出力監視動作によって行われ、各鍵毎に押鍵・離鍵の有無、ならびにベロシティが検出される。
ステップS3では、検出されたイベントに対応する処理が実行される。ステップS4では恒常処理が行われる。恒常処理はイベントの有無にかかわらず行われる処理であり、楽音信号に対するビブラートの付与やエンベロープのフェーズを進行させる処理、並びにテンポを刻む音の発生処理等が含まれる。
図6は、タイマ割り込み処理のフローチャートである。タイマ割り込み処理は所定周期でメインルーチンとは別に実行される。ステップS50でタイマ割り込み回数を示すカウンタ値Intervalをインクリメント(プラス1)する。
図7は、イベント処理のフローチャートである。ステップS10では、検出されたイベントがスタートスイッチがオン操作されたものか、それ以外かを判別する。スタートスイッチがオン操作されたと判断されれば、ステップS11に進み、拍長判別に使用するカウンタ値Timeをゼロにリセットする。ステップS12では、拍数判別に使用するカウンタ値Beatをゼロにリセットする。ステップS12Aでは、カウントインのテンポ音、例えばビープ音を発生させる。この発音は図4のタイミングt0での発音に相当する。
イベントがスタートスイッチのオン操作でなければステップS13に進む。ステップS13では、電子楽器1のレコーダ機能やレッスン機能等を選択するモードスイッチの操作が行われたか否かが判断される。モードスイッチの操作が行われたのであれば、ステップS14に進み、モードスイッチの操作に基づき、選択された機能を検出する。ステップS15では、選択されたモードをRAM9に設定されるモード記憶領域に記憶する。
イベントがスタートスイッチの操作でも、モードスイッチの操作でもない場合は、ステップS16でその他の処理を行う。その他の処理とは、押鍵イベントや離鍵イベント等、本発明の要部ではない電子楽器1の一般的なイベントに関する処理である。
図8は、恒常処理の要部を示すフローチャートである。ステップS20では、カウンタ値Timeにカウンタ値Intervalを加算してスタートからの時間を更新する。ステップS21では、カウンタ値Intervalをクリアする。ステップS22では、カウンタ値Timeで示される時間が楽音の1拍の拍長に相当する時間以上になったか否かを判断する。例えば、テンポ(4分音符=120)の場合、拍長は0.5秒(500ミリ秒)である。割り込み周期が2ミリ秒とすると、拍長は割り込みの250周期に相当する。つまりカウンタ値Timeが「250」になれば、ステップS22は肯定となる。
ステップS22が肯定であれば、ステップS23に進み、カウンタ値Timeを現在のカウンタ値Timeから拍長を差し引いた値で更新する。ステップS24では、1拍分の拍長に相当する時間が経過したので、カウンタ値Beatをインクリメントする。ステップS25では、カウンタ値Beatが小節の拍数未満か否かを判別する。
ステップS25が肯定であれば、スタートからの1小節が終わっていないので、ステップS26に進んでカウントインの音を鳴らす。カウントインの音は、モードに応じて決定される。つまりステップS15で記憶した領域からモードを検索し、そのモードに対応して、予め設定されている音色の音、例えば、ビープ音を選択する。
ステップS25が否定であれば、スタートから1小節以上進行しているので、ステップS27に進んでカウントイン後の音として、カウントイン時とは異なる音色、例えばメトロノーム音を鳴らす。
図1は、上記処理を実行するための電子楽器の要部機能を示すブロック図である。スタートスイッチ18が押されると、割り込みカウンタ19がクロックCLKを計数する。割り込みカウンタ19のカウンタ値Intervalは、恒常処理でカウンタ値Timeに加算される。
拍長カウンタ20はカウンタ値Timeにカウンタ値Intervalを加算し、カウンタ値Timeが拍数に達すると、テンポ音情報発生部21を付勢してテンポ音の音情報を出力させるとともに、拍数カウンタ22のカウンタ値Beatをインクリメントする。
音色出力部23は複数の音色データを記憶しており、これらの音色データのうちカウントインとして先に出力するように設定されている音色データ(エンベロープ)を音色付与部24に入力する。音色付与部24は、テンポ音発生部21から入力されたテンポ音の音情報にエンベロープを付与し、エンベロープが付与されたテンポ音の音信号はサウンドシステム12に入力される。
拍数カウンタ22のカウンタ値Beatはイントロ判別部25に入力される。イントロ判別部25は、カウンタ値Beatが楽曲のイントロ部分、例えば1小節分の拍数に相当する値になったと判定したならば、音色出力部23に音色切り替え信号を入力する。音色切り替え信号に応答して、音色出力部23はカウントインの音色として設定されている音色データに代えてカウントイン後のテンポ音の音色として設定されている音色データを音色付与部24に入力する。これによってテンポ音の音色が切り替えられる。
カウントインの音色は電子楽器1で実行される機能に応じて選択できる。モードスイッチ26は機能を選択するスイッチであり、このモードスイッチ26で選択された機能はモード記憶部27に記憶される。そして、カウントインが開始されると、音色出力部23は、設定されている音色データから機能に対応づけられているテンポ音の音色データを音色付与部24に入力する。
このように、本実施形態によれば、カウントインの音色と、演奏者が演奏を行うべきカウントイン後の期間に発生されるテンポを刻む音色とが明瞭に区別されるので、演奏者は演奏開始タイミングを容易に認識することができる。また、多機能の電子楽器のどの機能で動作が開始したかをカウントイン開始時に識別することができる。
本発明の一実施形態に係る電子楽器の要部機能ブロック図である。 本発明の一実施形態に係る電子楽器のハード構成を示すブロック図である。 電子楽器のシステムブロック図である。 テンポ音発生のタイミングチャートである。 電子楽器のメインフローチャートである。 タイマ割り込み処理のフローチャートである。 イベント処理のフローチャートである。 恒常処理の要部を示すフローチャートである。
符号の説明
1…電子楽器、 2…鍵盤、 11…発音リソース、 18…スタートスイッチ、 21…テンポ音発生部、 22…拍数カウンタ、 23…音色出力部、 24…音色付与部、 25…イントロ判別部、 26…モードスイッチ

Claims (4)

  1. 楽曲の演奏速度に基づくテンポ音を楽曲の進行と共に発生することができる電子楽器において、
    所定の時間間隔を計測する計測手段と、
    前記計測手段が前記所定の時間間隔以上を計測した場合に、所定の音色でテンポ音の発生を指示する指示手段と、
    曲の開始からの拍数を計数する計数手段と、
    前記計数手段の計数結果が所定値を超えた場合に前記テンポ音の音色を変更するテンポ音変更手段と、
    前記指示手段の発音指示に従ってテンポ音を発生するサウンドシステムとを具備したことを特徴とする電子楽器。
  2. 楽曲の演奏速度に基づくテンポ音を楽曲の進行と共に発生することができる電子楽器において、
    電子楽器の動作モードを選択する手段と、
    テンポ音情報を出力するテンポ音情報発生手段と、
    楽曲の進行がイントロ部分かイントロ部分以外かによって異なる音色データを出力するとともに、イントロ部分では、選択された動作モードに予め対応づけられている音色データを出力する音色データ出力手段と、
    前記テンポ音情報に前記音色データに従って音色を付与する音色付与手段と、
    前記音色付与手段で音色が付与されたテンポ音信号に従ってテンポ音を発生するサウンドシステムとを具備したことを特徴とする電子楽器。
  3. 前記音色付与手段が、前記イントロ部分およびイントロ部分以外に共通の音色を付与したテンポ音信号を出力し、さらにイントロ部分では、前記共通の音色を有するテンポ音信号とともに、該共通の音色と異なる音色を有するテンポ音信号を出力するように構成したことを特徴とする請求項2記載の電子楽器。
  4. イントロ部分のテンポ音がクロススティック音であり、イントロ部分以外のテンポ音がメトロノーム音であることを特徴とする請求項2記載の電子楽器。
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