JP4260779B2 - ブースターセクションのアーク抑制システム,方法 - Google Patents
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Description
ATき電方式は、図10に示すように、単巻変圧器103の中性点をレール100に接続し、一端をトロリー線101に接続し、他端をき電線102に接続した単相3線式の回路方式である。
ここで、単巻変圧器103の巻数比は、任意に設定することができるが、一般に1:1を使用し、き電電圧Eを、例えば30kV(または22kV)とすると、き電用変電所104の送出電圧2Eを、60kV(または44kV)としている。
また、BTき電方式は、BTのトロリ側端子間の短絡を避けるため、トロリー線101にブースターセクション107を設ける必要がある。ここで、BTき電方式において、ブースターセクションとして代表的な構成は、トロリー線の引き留め箇所の平行部分におけるトロリー線相互の離隔空間を絶縁に用いたものである。
電気車200がBTセクション107を通過する際に、電気車200のパンタグラフにより、このBTセクション107の絶縁区間がショートされ、再度絶縁状態になる瞬間にパンタグラフで遮断する電流を遮断電流、また、再度絶縁状態になった瞬間に、BTセクション間に発生する電圧を回復電圧と定義し、発生するアークの規模はこの遮断電流と回復電圧との大きさにより表現される。
したがって、図12に示すように、電気車200に流れる負荷電流はパンタグラフを介して、電流I1の経路と電流I2の経路とに、それぞれのインピーダンス比により分流することになる。
図12に示すように、電気車200がき電用変電所104から遠ざかる方向に走行している場合、パンタグラフにより電流I1を遮断することになり、この電流I1が遮断電流である。
また、吸上線箇所108から遠い箇所ほど負き電線108における対地電圧が高くなるため、BTセクション107の領域で最も高くなり、BT2次側(負き電線側)端子間にはI・(ZNF1+ZNF2)の電圧が発生する。
そして、吸上変圧器106は1次側と2次側の巻数比が1:1であるため、BT2次側に発生した電圧はBT1次側(トロリー線側)に誘起され、BTセクション107の端子間に発生する電圧、すなわち回復電圧となる。
そして、鉄道における輸送力の増強に伴って、き電系統の負荷電流も増加する傾向にあり、BTセクションを通過する際のアークの発生が問題となってきている。
負荷電流が大きくなるほど、遮断電流と回復電圧が大きくなるので発生するアークも大きくなり、トロリー線の摩耗・溶断、さらには電気車のパンタグラフの消耗と激しい損傷の原因となる。
すなわち、負き電線105において、吸上変圧器106の2次側で、電気車200の進行方向の端子と吸上線Bとの間にNFコンデンサ110(例えば、1.8〜2.5Ω)を直列に介挿する。
これにより、電気車200からみると、吸上線115B側の帰電流経路の回路インピーダスが減少するので、吸上線115B側に流れる電流が増加し、吸上線A側に流れる電流が減少、すなわち、吸上線115A側に流れる遮断電流が減少するため、アークの発生を抑制することができる。
上述した不具合を解決するため、列車が通過するタイミングを検出し、BTセクションを短絡して、アークの発生を防止するBT短絡方式がある(例えば、特許文献1参照)。
すなわち、図15に示すように、超音波センサ300により列車がBTセクションに接近したことを検知し、制御器301がサイリスタスイッチ302をオン状態として、吸上変圧器106の1次側(トロリー線101側)の端子を短絡し、電気車200が通過したことを検出すると、制御器301はサイリスタスイッチ302をオフ状態とし、BTセクション107の端子を開放する。
さらに、従来のアーク抑制システムは、超音波センサにより、通過物の検出を行っているため、電気車のみでなく、気動車通過に際してもサイリスタスイッチをオン/オフ制御することとなり、不必要なBT短絡が発生する。また、列車全体が通過する間BTが短絡となるので、BT短絡時間が長くなり、通信誘導に対し悪影響を及ぼす可能性がある。
また、本発明によれば、上述したように、スイッチ素子対地間に印加される電圧が低いため、スイッチ素子を頻繁にオン/オフ制御しても、長期間に渡り故障することなく、介挿された負き電線の電圧が低いため、スイッチ素子の交換等のメンテナンスも容易とする構成を実現することができる。
また、本発明は、電気車に流れる負荷電流により、電気車の通過を電気的に検知するため、従来のアーク抑制システムのように、気動車または電気車の動力車でない編成車両が通過しても、開閉器の開閉制御を行ってしまうことを防止できる。
すなわち、本願発明は、負き電線に2次側が介挿され、トロリー線に1次側が介挿された吸上変圧器を有するBTセクションにおいて、電気車のパンタグラフと、トロリー線との間のアークの発生を防止するアーク抑制システムであって、吸上変圧器の2次側の端子間に設けられたスイッチ素子(開閉器)と、吸上変圧器の1次側または2次側と磁気結合した電圧測定用巻線と、吸上変圧器の1次側または2次側からの電磁誘導により、電圧測定用巻線に発生する誘導起電力を測定し、測定電圧値を出力する電圧測定部と、測定電圧値に基づいて、スイッチ素子のオン/オフ制御する開閉制御装置とを有している。
以下、本発明の第1の実施形態によるアーク抑制システムを図面を参照して説明する。図1は交流き電方式におけるBTき電方式の系統構成例に対し、上記一実施形態のアーク抑制システムを用いた概念図である。
この図において、BTき電方式は、すでに従来例でも述べたように、図におけるき電用変電所(または電鉄用変電所,交流変電所とも言う)104が、内部のき電用変圧器により受電する三相電圧を適切な単相電圧(例えば、交流22kV)に変換・降圧し、トロリー線101に供給し、電気車200を介してレール100に流れ込む交流の負荷電流を、吸上線を介してレール100から負き電線105に吸上変圧器106の吸上げ効果により吸い上げ、負き電線105を電流帰路として、き電用変電所104に戻る方式である。
第1の実施形態の構成は、開閉制御装置1,電圧測定部2,開閉器3及び電圧測定用巻線4とを有している。
また、ここで、開閉器3は、サイリスタ,VCB(真空遮断器)などが用いられる。
開閉器3は、吸上変圧器106の2次側の端子Aと端子Bとの間に介挿されている。
開閉制御装置1は、上記電圧測定部2から測定電圧値を入力し、この測定電圧値が予め設定された閾値電圧以下である場合に上記開閉器3をオン状態とし、閾値電圧を超える場合に開閉器3をオフ状態とする。
したがって、本発明のアーク抑制システムによれば、BTセクションを電気車200が通過する際、パンタグラフでBTを短絡し、電車の進行に伴い再度絶縁状態となる瞬間に、従来例にて発生していたBTセクションとパンタグラフ間のアークの発生を抑制することができる。
上記閾値電圧は、実際に電圧測定部2により電圧値の測定を行い、ノイズ等を考慮して、電気車200が通過して短絡したときに測定される電圧の例えば2倍(その区間の走行に対応して適時調整する)に設定する。
また、開閉制御装置1は、測定電圧値が「0」となることを検出して開閉器3をオン状態とするようにしてもよい。
図3において、BT電圧は電圧測定部2が測定した測定電圧値を示し、BT電流は吸上変圧器106Bに流れる電流を示している。
時刻t0〜時刻t1において、電気車200がBTセクション107Aと、BTセクション107Bとの間を走行しているため、BTセクション107Bにおいて短絡は起こっておらず、吸上変圧器106Bの端子A及び端子Bとの端子間電圧(BT電圧)は、主として吸上変圧器106Bと吸上変圧器106Bに隣接する変電所側の吸上線間の負き電線105に負荷電流が流れることによる、負き電線での電圧降下に起因している。
また、き電変電所104からみて、BTセクション107Bよりも遠方に電気車200が存在する場合、BTセクション107Bに接続される負荷き電線105には負荷電流が流れるため、吸上変圧器106Bの端子A及びB間の端子間電圧には所定の電圧、すなわち閾値電圧を超える電圧値が生じている。
そして、開閉制御装置1は、入力される測定電圧値が閾値電圧以下であることを検出し、開閉器3を閉じてオン状態とする。
このとき、開閉制御装置1は、所定の時間(例えば、100m秒)経過後に、時刻t2において開閉器3がオン状態となるように制御する。
この所定の時間は、電気車200のパンタグラフが吸上変圧器106Bの端子C及びDを短絡している時間に対応して、適時設定するものとする。
このとき、開閉制御装置1は、時刻t2において開閉器3をオン状態としてから、内部のタイマで時刻の計数を開始している。
そして、開閉制御装置1は、予め設定された所定の時間が経過した後に、開閉器3を開いてオフ状態とする。
以下、本発明の第2の実施形態によるアーク抑制システムを図面を参照して説明する。図4は交流き電方式におけるBTき電方式の系統構成例に対し、上記第2の実施形態のアーク抑制システムを用いた概念図である。
第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、吸上変圧器106Bの1次側または2次側に流れるBT電流をブッシングCTにより測定して、測定結果として測定電流値を出力する電流測定部5を設けた点である。他の第1の実施形態と同様な構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
また、第2の実施形態による開閉制御装置1は、測定電圧値と測定電流値とにより、開閉器3の開閉制御を行う。
また、吸上変圧器106の2次側はBTセクション107において、負き電線105に介挿され、1次側はBTセクション107において、トロリー電線101に介挿されている。ここで、図5のA及びBは負き電線105に介挿する際の接続に用いる、吸上変圧器106の2次側の端子を示し、C及びDはトロリー線101に介挿する際の接続に用いる、吸上変圧器106の1次側の端子を示している。
電流測定部5は、BT電流を、吸上変圧器106の1次側または2次側、例えば図4においては1次側にて、ブッシングCT6により測定して、所定の時間範囲(例えば、数m秒)内の測定結果として測定電流値を出力する。
開閉器3は、第1の実施形態と同様に、吸上変圧器106の2次側の端子Aと端子Bとの間に介挿されている。
すなわち、開閉制御装置1は、測定電圧値が第1の実施形態と同様に閾値電圧以下であり、かつ測定電流値が第1の閾値電流を超えている場合のみ、開閉装置を閉じてオン状態とする。
一方、開閉制御装置1は、開閉器3がオン状態でかつ電流増加量が第2の閾値を超えた場合、開閉器3を開けてオフ状態とする。
ここで、電気車200がBTセクション107を通過する際、トロリー線101の隔離空間を、電気車200のパンタグラフが短絡した場合、上記測定電流は負荷電流の1部が流れるため、所定の電流を閾値電流として設定していれば電気車200の通過を検知することができる。
実際の測定結果からその区間における電流I2を求め、例えば、この数値の0.3倍を第1の閾値電流とする。
また、図7に示すように、BTセクション107を電気車200が通過すると、電気車200は変電所104からみると、BT106の遠方に位置するため、トロリー線101を介して、電流が電気車200に供給される。この電流はすべて吸上変圧器106の1次巻線に流れる。これに応じて吸上変圧器106の2次巻線にも全負荷電流に相当する電流が流れるので、BT電流は1次側および2次側とも増加する。
したがって、第2の電流閾値は、BT電流の増加分として、実際に測定した電気車200に流れる負荷電流の例えば5割の数値を設定することにより、電気車200がBTセクション107を通過したことを検知することができる。
時刻t0〜時刻t1において、電気車200はBTセクション107Aと、BTセクション107Bとの間を走行しているため、BTセクション107Bの短絡は起こっておらず、吸上変圧器106の端子Aと端子Bの端子間電圧であるBT電圧は、主として吸上変圧器106Bを挟む両側の吸上線位置におけるレール100のレール電位の差に起因している。また、電気車200がBTセクション107Bの吸上変圧器106Bの対象区間に存在しないため、BT電流も流れていない。
このとき、開閉制御装置1は、入力される測定電圧値が閾値電圧を超えており、測定電流値が第1の閾値電流以下であるため、開閉器3を開いてオフ状態としている。
また、電気車200のパンタグラフが吸上変圧器106の端子Cと端子Dを短絡することにより、端子Dを介して上記パンタグラフに負荷電流の一部が流れるため、BT電流が第1の閾値電流を超える所定の電流値にて流れる。
このとき、電流測定値5は、BT電流の測定値である電流測定値を開閉制御装置1へ出力する。
このとき、開閉制御装置1は、所定の時間(例えば、100m秒)経過後に、時刻t2において開閉器3がオン状態となるように制御する。
この所定の時間は、電気車200のパンタグラフが吸上変圧器106の端子Cと端子Dを短絡している時間に対応して、適時設定するものとする。
このとき、電気車200は変電所104からみてBT106Bの遠方に位置するので、トロリ線を介して電気車200に供給される電流は全てBT106Bの1次側巻線に流れる。したがって、BT106Bの2次巻線にも全負荷電流に相当する電流がBT106Bと開閉器3の間で循環電流として流れる。したがって、電気車200がBTセクション107Bを短絡しているときと比較して、BT電流および開閉器電流は大きく増加する。よって第2の閾値を適当な値とすることで、この電流増加量を検知し、電気車がBTセクションを通過したことを判断できる。
また、図8に示すように、時刻t4におけるように、BT電流増加量を第2の閾値電流と比較することなく、開閉制御装置1は、開閉器3をオン状態としてから、またはオフ状態となる状態が検出されてから、内部のタイマで時刻を計数して、予め設定された所定の時間が経過した後に、開閉器3を開いてオフ状態とするように構成してもよい。
さらに、開閉器3をオン状態からオフ状態とする制御を、基本的に、BT電流増加量の第2の閾値電流と比較することにより行い、これが動作しなかったときの保証として、所定の時刻が経過したことにより、オン状態からオフ状態とする制御を行うようにしてもよい。
各BTセクションにて、電気車の走行方向に対して、吸上変圧器106の吸上区間の端子Bに接続された負き電線105に、端子R及び端子Qにより変圧変流ユニットを介挿する。
そして、電圧測定部2は、上記計器用変圧器9の2次側の端子間に誘起される電圧を測定し、測定結果を測定電圧値として出力する。
また、電流測定部5は、計器用変流器6から入力されるBT電流を、測定電流値として出力する。
3…開閉器 4…電圧測定用巻線
5…電流測定部 6…ブッシングCT
9…計器用変圧器 10…変圧変流ユニット
100…レール 101…トロリー線
104…き電用変電所 105…負き電線
106…吸上変圧器 107…BTセクション
102…き電線 103…単巻変圧器
108…吸上線箇所 110…NFコンデンサ
115…吸上線 200…電気車
300…センサ制御器 301…制御器
302…超音波センサ
Claims (8)
- 負き電線に2次側が介挿され、トロリー線に1次側が介挿された吸上変圧器を有するBTセクションにおいて、電気車のパンタグラフと、トロリー線との間のアークの発生を防止するアーク抑制システムであり、
前記2次側の端子間に設けられたスイッチ素子と、
1次側または2次側と磁気結合した電圧測定用巻線と、
前記1次側または2次側からの電磁誘導により、前記電圧測定用巻線に発生する誘導起電力を測定し、測定電圧値を出力する電圧測定部と、
該測定電圧値に基づいて、前記スイッチ素子のオン/オフ制御する開閉制御部と
を有することを特徴とするアーク抑制システム。 - 前記開閉制御部が、前記測定電圧値と予め設定された閾値とを比較し、測定値が閾値以下であることを検出した場合、スイッチ素子をオン状態とすることを特徴とする請求項1記載のアーク抑制システム。
- 前記吸上変圧器の1次側または2次側のいずれかに設けられ、吸上変圧器に流れる負荷電流を測定し、測定電流値として出力する電流測定部を有し、
前記開閉制御部が前記測定電流値と測定電圧値とに基づいて、前記スイッチ素子のオン/オフ制御することを特徴とする請求項1に記載のアーク抑制システム。 - 前記開閉制御部が、前記測定電圧値と予め設定された閾値とを比較し、測定電圧値が閾値以下であることを検出し、かつ前記測定電流値と設定された閾値とを比較し、測定電流値が所定の閾値を超えたことを検出した場合、スイッチ素子をオン状態とすることを特徴とする請求項3記載のアーク抑制システム。
- 負き電線に2次側が介挿され、トロリー線に1次側が介挿された吸上変圧器を有するBTセクションにおいて、電気車のパンタグラフと、トロリー線との間のアークの発生を防止するアーク抑制方法であり、
前記1次側または2次側からの電磁誘導により、前記1次側または2次側と磁気結合した電圧測定用巻線に発生する誘導起電力を測定し、測定電圧値を出力する電圧測定過程と、
該測定電圧値に基づいて、前記前記2次側の端子間に設けられたスイッチ素子をオン/オフ制御する開閉制御過程と
を有することを特徴とするアーク抑制方法。 - 前記開閉制御過程において、前記測定電圧値と予め設定された閾値とを比較し、測定値が閾値以下であることを検出した場合、スイッチ素子をオン状態とすることを特徴とする請求項5記載のアーク抑制方法。
- 前記吸上変圧器の1次側または2次側のいずれかに設けられた電流測定部により、吸上変圧器に流れる負荷電流を測定して、測定電流値として出力する過程を有し、
前記開閉制御過程において、前記測定電流値と測定電圧値とに基づいて、前記スイッチ素子のオン/オフ制御することを特徴とする請求項5に記載のアーク抑制方法。 - 前記開閉制御過程において、前記測定電圧値と予め設定された閾値とを比較し、測定電圧値が閾値以下であることを検出し、かつ前記測定電流値と設定された閾値とを比較し、測定電流値が所定の閾値を超えたことを検出した場合、スイッチ素子をオン状態とすることを特徴とする請求項7記載のアーク抑制方法。
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