JP4259686B2 - 刷本巻取用コアベルトのテープエンド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷工程から部分的に重なった状態(さしみ状とも言う)で排出されてくる刷本を、その状態でコアの外周に巻き付けて行くために使用する刷本巻取用コアベルトの先端に設けるテープエンドに関する。
【0002】
【従来の技術】
印刷工程からさしみ状で排出されてくる多数の刷本を次工程に搬送するための方法として、図4に示すように、刷本1をさしみ状のままでコア2の外周にコアベルト3で次々と巻き付けてゆくことで大径の刷本ディスク4を作製し、その刷本ディスク4を製本工程に搬送し、製本工程において、その刷本ディスクからコアベルト3を巻き出しながら刷本をさしみ状で取り出すという方法が知られている(例えば、特開平6−87556号公報)。
【0003】
従来、この刷本ディスク4に使用するコアベルト3の先端部には、図5、図6に示す構成のテープエンド6が使用されていた。このテープエンド6は、先端を、搬送ベルト用のベルト材からなる帯状の基材7で構成し、それに続く部分をゴム製のベルト材からなる帯状の基材8で構成している。通常、これらの基材7、8の幅は約50mmに選定されている。そして、基材7の先端部分を、図6(a)に破線9で示す形状に打ち抜いた後、ずれ防止を目的として特殊な形状(両側の側縁に凹部を形成した形状)とした金属片10を複数枚はめ込み、樹脂(接着剤)を流し込んで固定し、表裏両面に布11を貼り付けて保護している。更に、その基材7の片面(コア2に巻き付けた際の内側となる面)の中央部分にゴム板を貼り付けて平面ファスナーのつぶれ防止用の土手12を形成し、その両側に平面ファスナー13を接着剤で貼り付けている。一方、基材8は、平面ファスナー13とは反対側の面の中央に土手8aを形成し、その両側に平面ファスナー13と係合可能な平面ファスナー14を接着剤で貼り付けている。
【0004】
刷本を巻き取って刷本ディスク4を作製するための装置は、図7に示すように、コア2を保持して回転させるコア保持部16と、その下方に配置されたマグネットローラ17、スレディングキット18、近接センサ19、磁石20aを有する搬送ガイド20、テープスプール21、搬送ベルト22等を備えている。この装置における動作を簡単に説明する。刷本を巻き付ける前の空のコア2にはコアベルト3が巻き付けられ、先端部のテープエンド6の両面の平面ファスナー13、14を係合させることで、テープエンド6が固定されている。まず、コア2を回転させて、テープエンド6に設けている金属片10をスレディングキット18に設けられた近接センサ19により検出する。次にテープエンド6の先端部がマグネットローラ17上で停止するようなタイミングでコア2を停止させ、テープエンド6の先端部の金属片10をマグネットローラ17に吸着させる。その後、コア2とテープスプール21を回転させ、マグネットローラ17でテープエンド6を反転させ、磁石20aを有する搬送ガイド20、搬送ベルト22により搬送してテープスプール21に巻き付ける。そして、そのテープスプール21にコアベルト3を巻き取ってゆき、コア2からコアベルト3を巻き出し終わると、今度は、コア2の回転方向を反対とし、さしみ状で送られてくる刷本(図示せず)をコア2とマグネットローラ17の間に送り込みながら、コアベルト3を刷本の上からコア2に巻き付けて行く。そして、コアベルト3の先端のテープエンド6がマグネットローラ17を通り過ぎると、そのテープエンド6の内側の両面ファスナー13が、その下に位置するテープエンド6の外側の両面ファスナー14に係合し、固定される。以上により、刷本ディスク4が作製される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来のテープエンドには次のような問題があった。
(1)金属片10の取付部分は、樹脂で埋め込まれて固定されているため、固く、マグネットローラ17に滑らかに巻きつかず、コアベルト3をうまく巻き出せないことがある。また、樹脂で埋め込まれた金属片が変形、破損、脱落しやすいが、補修が困難且つ高価である。金属片の形が複雑であるため、高価である。
(2)基材7、8が高価である。
(3)平面ファスナー13、14は、それぞれ細い幅のものを2本使用しているため、テープエンドをコア上に巻き付けた際、少し蛇行してずれると、固定できない場合がある。
(4)つぶれ防止用の土手を設けているが、この土手の効果が見られず、潰れて係合力が低下する。更に係合させた場合に土手によって平面ファスナー13と14が密着しないため、係合しにくく、一層係合力を低下させている。
(5)平面ファスナーが劣化した場合係合力が低下し、コアに巻いた刷本を固定できず、ほぐれてしまう不具合が発生するため、平面ファスナーの交換が必要であるが、基材に接着されているため、修理、交換が困難である。
【0006】
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、コアの外周に巻き付けられたコアベルトの先端に設けたテープエンドを吸着して引き出すマグネットローラを備え、前記コアの外周に、部分的に重なった状態の刷本を前記コアベルトで巻き取って刷本ディスクを作製するための装置において用いるための、前記コアの外周に、部分的に重なった状態の刷本を巻き付けるためのコアベルトの先端に設ける前記テープエンドであって、前記した問題点を解決したテープエンドを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記問題点を解決するため、テープエンドを構成する帯状の基材に対して、複数の金属片を縫製で固定すると共に、その両面に配置される平面ファスナーも縫製で固定したことを特徴とする。このように縫製を利用したことで、柔軟性を確保でき、金属片を取り付けている部分もマグネットローラに沿って容易に曲がるため、スムーズな繰り出し、巻取りが可能となる。また、金属片や平面ファスナーの修理、交換が容易である。更に、製造工程が縫製のみで可能となるため、コストダウンを図ることができる。また、金属片を縫製で固定するため、金属片の形状には特に制限がなく、このため、低コストで製造可能なほぼ長方形のものを用いることができる。特に、基材として、一層の、織物、編物、編組等の布状物を用いると、柔軟性を上げることができると共に縫製を一層容易とすることができ、しかも基材自体のコストを下げることができ、テープエンドのコストを従来のものの1/10程度とすることも可能となる。
【0008】
また、本発明は、テープエンドが蛇行した時に生じる平面ファスナー同志の係合不良を防止するため、基材の両面に配置する第一平面ファスナー及び第二平面ファスナーの幅を、前記基材の幅にほぼ等しくすることを特徴とする。この構成とすることで、多少の蛇行があっても第一平面ファスナーと第二平面ファスナーとの接触を確保でき、確実に係合できる。また、つぶれ防止の土手をなくして、第一平面ファスナー及び第二平面ファスナーの幅を広くした結果、これらの平面ファスナーどうしの接触面積が大きくなると共に、密着度が上がり、係合力を向上させることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1(a)は本発明の一実施の形態によるテープエンドの概略平面図、図1(b)はその概略側面図、図1(c)は図1(a)のA−A矢視概略断面図、図1(d)は図1(a)のB−B矢視概略断面図、図2(a)は図1に示すテープエンドの先端部の概略平面図、図2(b)はその概略断面図である。図1、図2において、3はコアベルト、31はその先端に取り付けられるテープエンドである。このテープエンド31は、全体が帯状の基材32で形成されている。基材32には、一層の、織物、編物、編組等の強度の大きい布状物が使用される。例えば、通常コンテナ等をつり下げる帯(slingの素材を使用)や自動車の安全ベルトに使用される帯等が使用される。これらは強度が大きいのみならず、柔軟性を有し且つ縫製しやすいという特性を持っている。基材32の幅は従来と同様に約50mm程度とする。
【0010】
基材32の先端部分には、複数の鉄片等の磁石に吸着可能な金属片34が布35を用いて縫製にて固定されている。図中、符号36は縫製の縫い目を示している。金属片34には、単に長方形のものが使用されており、これによりコストダウンを図っている。布35としては、繰り返し使用しても耐えることができるよう丈夫なものを用いる。なお、基材32に金属片34を縫製にて固定するに当たって、あらかじめ複数の金属片34を細長い布製の袋内に適当な間隔を開けて入れ且つ各金属片間34、34の間を縫い付けて金属片34があまり移動しないようにしておき、その袋を基材32と布35の間にはさみ、全体を縫い付けてもよい。この方法を採用すると、縫製が容易となる。
【0011】
基材32の先端部分で、且つ、この基材32をコアに巻き付けた際に内側となる面には、縫製にて第一平面ファスナー37が固定されている。また、基材32の反対側の面には、先端からコアのほぼ円周長さ分(およそ170cm)を除いた位置からほぼ全長に、第一平面ファスナー37に係合可能な第二平面ファスナー38が縫製にて固定されている。符号39はその縫い目を示している。このように基材32の両面に第一平面ファスナー37と第二平面ファスナー38を取り付けたことにより、テープエンド31をコアに巻き付けた際に、第二平面ファスナー38が外側を向き、その上に内側を向いた第一平面ファスナー37が押し付けられ、両者の係合によりテープエンド31の先端を固定できる。ここで、前記した第一平面ファスナー37、第二平面ファスナー38は共に基材32の幅にほぼ等しい幅に作られており、このため、テープエンド31をコアに巻き付けて第一平面ファスナー37と第二平面ファスナー38を互いに係合させた時の係合幅が広くなり、テープエンド31を巻き付ける際に多少蛇行があっても支障なく固定できる。
【0012】
テープエンド31の先端部分に設ける第一平面ファスナー37は、第二平面ファスナー38に係合させた時に、不用意に外れないような係合力を確保できる長さ(通常、40cm程度)を有するものであればよいが、好ましくは、図1(b)に示すように、その一端(先端)37aをテープエンド31の先端近傍に位置させ、他端(後端)37bを金属片34の取付領域の中央から、55cm以上離れた位置に位置させるように、長さを定めておくことが好ましい。第一平面ファスナー37の先端をテープエンド31の先端近傍に位置させておくと、テープエンド31の先端まで固定することができ、テープエンド31先端のほぐれを防止できる。また、第一平面ファスナー37の後端位置を上記したように設定しておくと、第一平面ファスナー37をその下の第二平面ファスナー38に強く押し付けて固定でき、係合力を大きくできる。すなわち、図7に示す装置を用いてコア2に多数の刷本を巻き付け、その最外層にテープエンド31を巻き付けて固定する場合において、図3に示すように、テープエンド31がマグネットローラ17を離れる点Pとコア2に巻かれているテープエンド31の上に巻き取られ始める点Qとの距離は通常、15cm程度であるので、マグネットローラ17にテープエンド31の金属片34の取付領域が吸着されている時点で、第一平面ファスナー37の後端37bは点Qを40cm程度以上通り過ぎており、従って、第一平面ファスナー37の後端37bと点Qとの間の部分は、マグネットローラ17でテープエンド31に張力を加えた状態でその下に位置する第二平面ファスナー38に押し付けられることとなる。これにより、強固な係合力が与えられる。このようにテープエンド31に張力を加えた状態で巻き付けられる第一平面ファスナー37の領域(端部37bと点Qとの間)の長さは、所望の係合力を得る上から40cm程度以上あることが好ましく、この実施の形態では、そのように設定している。なお、この距離は長い程、係合力は大きくなるが、ある程度以上に大きくしても意味がなく、単に第一平面ファスナー37の長さが長くなってコスト高となる。この点からは、第一平面ファスナー37の後端37bを、金属片34の取付領域の中央から170cm以下の位置に位置させるように、長さを定めておくことが好ましい。
【0013】
第二平面ファスナー38の長さ及び取付位置は、テープエンド31をコア2に空の状態で巻き付けた時及び刷本を最大限に巻き付けた状態でその外周に巻き付けた時のいずれにおいても、前記した第一平面ファスナー37の全長が接触して係合可能なように設定している。
【0014】
上記構成のテープエンド31は、図4に示す刷本ディスク4に用いたコアベルト3先端のテープエンド6に代えて取り付けられ、図7、図8に示す装置で使用される。その際、金属片34を取り付けている部分は単に縫製で形成されているため、柔軟であり、マグネットローラ17に沿って容易に曲り、スムーズな繰り出し、巻取りが可能である。また、第一平面ファスナー37、第二平面ファスナー38の幅を広くしているので、テープエンド31を巻き取る際に多少蛇行があっても、確実に固定できる。しかも、第一平面ファスナー37の後端近傍の領域を第二平面ファスナー38に強く押し付けて係合させることができるので、大きい係合力を確保でき、不用意にほぐれるということがない。更に、このテープエンド31は低コストで製造可能であり(図5、図6に示す従来のものに比べて約1/10程度)、且つ、金属片や平面ファスナーの修理、交換を容易に行うことができる。
【0015】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば次のような効果が得られる。
【0016】
(1)テープエンドを構成する帯状の基材に対して、複数の金属片を縫製で固定すると共に、基材の両面に配置される第一平面ファスナー、第二平面ファスナーも縫製で固定したことにより、柔軟性を確保でき、金属片を取り付けている部分もマグネットローラに沿って容易に曲がるため、スムーズな繰り出し、巻取りが可能となり、更に、製造コストを削減できると共に、金属片や平面ファスナーの修理、交換も容易に実施できる。
【0017】
(2)基材として、織物、編物、編組等の一層の布状物を用いることで、柔軟性を一層上げることができると共に縫製を一層容易とすることができ、しかも基材自体のコストを下げることができ、テープエンドのコストを更に削減できる。
【0018】
(3)金属片として長方形のものを用いることで、更なるコストダウンを図ることができる。
【0019】
(4)基材の両面に配置する第一平面ファスナー及び第二平面ファスナーの幅を、前記基材の幅にほぼ等しくすることで、テープエンドを巻き取る際に多少の蛇行があっても第一平面ファスナーと第二平面ファスナーとを確実に接触させることができ、確実に係合できる。また、つぶれ防止の土手をなくして、第一平面ファスナー及び第二平面ファスナーの幅を広くしたので、これらの平面ファスナーの接触面積が大きくなると共に密着度が上がり、係合力を向上させることができる。
【0020】
(5)第一平面ファスナーの一端(先端)をテープエンドの先端近傍に位置させ、他端(後端)を先端近傍から、55cm以上離れた位置に位置させるように、長さを定めておくことで、テープエンドをコアに巻き付けた際、第一平面ファスナーの後端部分をその下に位置する第二平面ファスナーに強く押し付けて係合力を大きくすることができ、ほぐれにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の一実施の形態によるテープエンドの概略平面図
(b)はその概略側面図
(c)は(a)のA−A矢視概略断面図
(d)は(a)のB−B矢視概略断面図
【図2】(a)は図1に示すテープエンドの先端部の概略平面図
(b)はその概略断面図
【図3】図1に示すテープエンドをコア上に巻き戻す状態を示す概略側面図
【図4】刷本ディスクを示す概略斜視図
【図5】(a)は従来のテープエンドの概略平面図
(b)はその概略側面図
(c)は(a)のD−D矢視概略断面図
(d)は(a)のE−E矢視概略断面図
【図6】(a)は図5に示すテープエンドの先端部の概略平面図
(b)はその概略断面図
【図7】刷本巻取装置の概略側面図
【符号の説明】
1 刷本
2 コア
3 コアベルト
6 テープエンド
31 テープエンド
32 基材
34 金属片
35 布
36 縫い目
37 第一平面ファスナー
38 第二平面ファスナー
39 縫い目
Claims (4)
- コアの外周に巻き付けられたコアベルトの先端に設けたテープエンドを吸着して引き出すマグネットローラを備え、前記コアの外周に、部分的に重なった状態の刷本を前記コアベルトで巻き取って刷本ディスクを作製するための装置において用いるための、前記コアの外周に、部分的に重なった状態の刷本を巻き付けるためのコアベルトの先端に設ける前記テープエンドであって、帯状の基材と、その基材の先端部分に縫製にて固定された複数の金属片と、前記基材の、該基材を前記コアに巻き付けた際に内側となる面に縫製にて固定された第一平面ファスナーと、前記基材の、前記第一平面ファスナーを取り付けた側とは反対側の面に縫製にて固定され、前記第一平面ファスナーに係合可能な第二平面ファスナーとを有し、前記第一平面ファスナー及び第二平面ファスナーの幅を、前記基材の幅にほぼ等しく構成していることを特徴とする、刷本巻取用コアベルトのテープエンド。
- 前記テープエンドの基材を、織物、編物、編組等の、一層の布状物で構成したことを特徴とする請求項1記載の刷本巻取用コアベルトのテープエンド。
- 前記金属片を、ほぼ長方形としたことを特徴とする請求項1又は2記載の刷本巻取用コアベルトのテープエンド。
- 前記第一平面ファスナーの取付位置及び長さを、その一端がテープエンドの先端近傍に位置し、他端が先端近傍から、55cm以上離れた位置に位置するように定め、前記第二平面ファスナーの取付位置及び長さを、前記テープエンドをコアに巻き付けた時に、前記第一平面ファスナーの全長が接触するように定めていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の刷本巻取用コアベルトのテープエンド。
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