JP4259570B2 - バルブの異常判定装置、異常判定方法、その方法を実現させるプログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体 - Google Patents

バルブの異常判定装置、異常判定方法、その方法を実現させるプログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、バルブの異常判定装置、異常判定方法、その方法を実現させるプログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体に関し、特に、内燃機関の吸気通路に設けられたバルブの異常を判定する技術に関する。
従来より、気筒内のタンブル流を強化するタンブルコントロールバルブ(以下、TCV:Tumble Control Valveとも記載する)が知られている。TCVによりタンブル流が強化されると、たとえば点火プラグ付近に燃料を集めることが可能になる。そのため、空燃比が大幅にリーンの状態で内燃機関を運転したりして、エミッション性能を向上することができる。このTCVは、エミッション性能に大きな影響を与えることから、OBD(On board Diagnostic system)により異常であるか否かを判定する必要がある。
特開平10−121991号公報(特許文献1)は、エンジン運転状態に基づいてエンジンの吸気系に備えた吸気制御弁を開閉して吸気流を制御すると共に、加速時或いは減速時に燃料噴射量を増量補正或いは減量補正するエンジンの吸気制御システムの故障診断装置を開示する。特許文献1に記載のエンジンの吸気制御システムの故障診断装置は、増量補正期間或いは減量補正期間の空燃比が吸気制御弁の正常作動時には取り得ない値を示したとき、吸気制御システムの故障と診断する診断手段を含む。
この公報に記載の故障診断装置によれば、加速増量補正期間或いは減速減量補正期間で、空燃比が吸気制御弁の正常作動時には取り得ない値を示しているときに吸気制御システムの故障と診断する。吸気制御システムが故障し、低負荷運転から高負荷運転に移行する加速時に吸気制御弁が閉弁しているときには、正常時に対し、吸気制御弁の閉弁による吸気抵抗によって充填効率が低下して燃焼室内に吸入する新気の量が減少する。このとき、空燃比のリッチになり、空燃比が吸気制御弁の正常作動時には取り得ない値を示す。また、吸気制御システムの故障によって、高負荷運転から低負荷運転に移行する減速時において吸気制御弁が開弁しているときには、正常時に対し、吸気制御弁の開弁により充填効率が上昇して燃焼室内に吸入する新気の量が増加する。このとき、空燃比のリーンになり、空燃比が吸気制御弁の正常作動時には取り得ない値を示す。したがって、加速増量補正期間或いは減速減量補正期間の空燃比を判断することで、吸気制御システムの故障を診断することができる。
特開平10−121991号公報
ところで、一般的な自動車の内燃機関には、複数の気筒が設けられる。このような内燃機関には、各気筒に対して少なくとも一つずつTCVが設けられる。一方、空燃比を検出する空燃比センサは、気筒毎の空燃比を検出するのではなく、内燃機関全体の空燃比を検出する。したがって、複数あるTCVのうちの一つが異常であっても、空燃比センサにより検出される空燃比に与える影響は小さい。そのため、特開平10−121991号公報に記載の故障診断装置のように、空燃比からTCVの故障を判定するようにした場合、複数あるTCVのうちの一つが異常であっても、TCVの異常を検出できない場合がある。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、内燃機関の吸気通路に設けられるバルブの異常を精度よく判定することができるバルブの異常判定装置、異常判定方法、その方法を実現させるプログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体を提供することである。
第1の発明に係るバルブの異常判定装置は、内燃機関の吸気通路に設けられるバルブの異常判定装置である。この異常判定装置は、バルブを作動するアクチュエータの駆動力を検出するための手段と、アクチュエータの駆動力が予め定められた判定値より小さい場合、バルブが異常であると判定するための手段とを含む。第5の発明に係るバルブの異常判定方法は、第1の発明に係るバルブの異常判定装置と同様の要件を備える。
第1または5の発明によると、内燃機関の吸気通路に設けられるバルブを作動するアクチュエータの駆動力が検出される。バルブは吸気通路に設けられることから、バルブを作動するアクチュエータの負荷は、吸入空気量に応じて大きくなる。また、バルブが破損するなどの異常が発生した場合には、それだけアクチュエータの負荷が小さくなる。たとえば複数のバルブが一つのアクチュエータにより作動される場合において、複数のバルブのうちのいずれか一つのバルブが破損するなどの異常が発生した場合においても、それだけアクチュエータの負荷が小さくなる。したがって、アクチュエータを作動させる際の駆動力が小さくなる。そこで、アクチュエータの駆動力が予め定められた判定値より小さい場合、バルブが異常であると判定される。これにより、複数のバルブが一つのアクチュエータにより作動される場合において、複数のバルブのうちのいずれか一つが破損するなどの異常が発生した場合に、バルブが異常であると判定することができる。そのため、内燃機関の吸気通路に設けられるバルブの異常を精度よく判定することができるバルブの異常判定装置または異常判定方法を提供することができる。
第2の発明に係るバルブの異常判定装置は、内燃機関の吸気通路に設けられるバルブの異常判定装置である。この異常判定装置は、バルブが予め定められた作動量だけ作動するまでの時間を計測するための手段と、バルブが予め定められた作動量だけ作動するまでの時間が予め定められた判定値より短い場合、バルブが異常であると判定するための手段とを含む。第6の発明に係るバルブの異常判定方法は、第2の発明に係るバルブの異常判定装置と同様の要件を備える。
第2または6の発明によると、内燃機関の吸気通路に設けられるバルブが予め定められた作動量だけ作動するまでの時間が計測される。バルブは吸気通路に設けられることから、バルブを作動するアクチュエータの負荷は、吸入空気量に応じて大きくなる。また、バルブが破損するなどの異常が発生した場合には、それだけアクチュエータの負荷が小さくなる。たとえば複数のバルブが一つのアクチュエータにより作動される場合において、複数のバルブのうちのいずれか一つのバルブが破損するなどの異常が発生した場合においても、それだけアクチュエータの負荷が小さくなる。したがって、バルブの作動に要する時間が短くなる。そこで、バルブが予め定められた作動量だけ作動するまでの時間が予め定められた判定値より短い場合、バルブが異常であると判定される。これにより、複数のバルブが一つのアクチュエータにより作動される場合において、複数のバルブのうちのいずれか一つが破損するなどの異常が発生した場合に、バルブが異常であると判定することができる。そのため、内燃機関の吸気通路に設けられるバルブの異常を精度よく判定することができるバルブの異常判定装置または異常判定方法を提供することができる。
第3の発明に係るバルブの異常判定装置は、第1または2の発明の構成に加え、内燃機関が停止状態である場合においてバルブが予め定められた作動量だけ作動するまでの時間が長いほど、判定値がより大きくなるように補正するための手段を含む。第7の発明に係るバルブの異常判定方法は、第3の発明に係るバルブの異常判定装置と同様の要件を備える。
第3または7の発明によると、内燃機関が停止状態である場合においてバルブが予め定められた作動量だけ作動するまでの時間が長いほど、判定値がより大きくなるように補正される。これにより、内燃機関に吸入される空気による力がバルブに作用しない状態においてバルブが予め定められた作動量だけ作動するまでの時間に基づいて、判定値を補正することができる。そのため、バルブを作動させるための機構自体による負荷などの経時変化の影響を判定値に反映することができる。その結果、バルブの異常を精度よく判定することができる。
第4の発明に係るバルブの異常判定装置においては、第1〜3のいずれかの発明の構成に加え、バルブは、タンブルコントロールバルブである。第8の発明に係るバルブの異常判定方法は、第4の発明に係るバルブの異常判定装置と同様の要件を備える。
第4または8の発明によると、吸気通路にタンブルコントロールバルブが設けられる内燃機関において、タンブルコントロールバルブの異常を精度よく判定することができる。
第9の発明に係るプログラムは、第5〜8のいずれかの発明に係るバルブの異常判定方法をコンピュータに実現させるプログラムであって、第10の発明に係る記録媒体は、第5〜8のいずれかにの発明に係るバルブの異常判定方法をコンピュータに実現させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
第9または第10の発明によると、コンピュータ(汎用でも専用でもよい)を用いて、第5〜8のいずれかの発明に係るバルブの異常判定方法を実現することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
<第1の実施の形態>
図1に、本発明の第1の実施の形態に係る異常判定装置であるエンジンECU(Electronic Control Unit)で制御されるエンジンシステムの概略構成図を示す。なお、図1には、エンジンとして直列4気筒ガソリンエンジンを示すが、本発明はこのようなエンジンに限定されるものではなく、V型6気筒エンジン、V型8気筒エンジンなど、種々の形式のエンジンに適用可能である。本実施の形態に係る異常判定装置は、たとえば、エンジンECUのROM(Read Only Memory)に記憶されたプログラムにより実現される。
図1に示すように、エンジン10は、4つの気筒112を備え、各気筒112はそれぞれ対応するインテークマニホールド20を介して共通のサージタンク30に接続されている。サージタンク30は、吸気ダクト40を介してエアクリーナ50に接続され、吸気ダクト40内にはエアフローメータ42が配置されるとともに、電動モータ60によって駆動されるスロットルバルブ70が配置されている。このスロットルバルブ70は、アクセルペダル100とは独立してエンジンECU300の出力信号に基づいてその開度が制御され、スロットル開度センサ72によりスロットルバルブ70の開度(スロットル開度)が検出される。一方、各気筒112は共通のエキゾーストマニホールド80に連結され、このエキゾーストマニホールド80は三元触媒コンバータ90に連結されている。
各気筒112に対しては、筒内に向けて燃料を噴射するための筒内噴射用インジェクタ110がそれぞれ設けられている。筒内噴射用インジェクタ110はエンジンECU300の出力信号に基づいてそれぞれ制御される。また、各気筒内噴射用インジェクタ110は共通の燃料分配管130に接続されており、この燃料分配管130は燃料分配管130に向けて流通可能な逆止弁140を介して、機関駆動式の高圧燃料ポンプ150に接続されている。
図1に示すように、高圧燃料ポンプ150の吐出側は電磁スピル弁152を介して高圧燃料ポンプ150の吸入側に連結されており、この電磁スピル弁152の開度が小さいときほど、高圧燃料ポンプ150から燃料分配管130内に供給される燃料量が増大され、電磁スピル弁152が全開にされると、高圧燃料ポンプ150から燃料分配管130への燃料供給が停止されるように構成されている。なお、電磁スピル弁152はエンジンECU300の出力信号に基づいて制御される。
高圧燃料ポンプ150は燃料圧レギュレータ170を介して、電動モータ駆動式の低圧燃料ポンプ180に接続されている。さらに、低圧燃料ポンプ180は燃料フィルタ190を介して燃料タンク200に接続されている。燃料圧レギュレータ170は低圧燃料ポンプ180から吐出された燃料の燃料圧が予め定められた設定燃料圧よりも高くなると、低圧燃料ポンプ180から吐出された燃料の一部を燃料タンク200に戻すように構成されており、高圧燃料ポンプ150に供給されている燃料圧が上記設定燃料圧よりも高くなるのを阻止している。
このエンジンシステムにおける燃料供給システムは、筒内噴射用インジェクタ110、燃料分配管130、逆止弁140、高圧燃料ポンプ150、電磁スピル弁152、燃料圧レギュレータ170、低圧燃料ポンプ180、燃料フィルタ190、燃料タンク200から構成される。
エンジンECU300は、デジタルコンピュータから構成され、双方向性バス310を介して相互に接続されたROM320、RAM(Random Access Memory)330、CPU(Central Processing Unit)340、入力ポート350および出力ポート360を備えている。
エアフローメータ42は吸入空気量に比例した出力電圧を発生し、このエアフローメータ42の出力電圧は入力ポート350に入力される。エンジン10には機関冷却水温に比例した出力電圧を発生する水温センサ400が取付けられ、この水温センサ400の出力電圧は入力ポート350に入力される。
燃料分配管130には燃料分配管130内の燃料圧に比例した出力電圧を発生する燃料圧センサ410が取付けられ、この燃料圧センサ410の出力電圧は入力ポート350に入力される。
三元触媒コンバータ90上流のエキゾーストマニホールド80には、排気ガス中の酸素濃度に比例した出力電圧を発生する空燃比センサ420が取付けられ、この空燃比センサ420の出力電圧は入力ポート350に入力される。
本実施の形態に係るエンジンシステムにおける空燃比センサ420は、エンジン10で燃焼された混合気の空燃比に比例した出力電圧を発生する全域空燃比センサ(リニア空燃比センサ)である。なお、空燃比センサ420としては、エンジン10で燃焼された混合気の空燃比が理論空燃比に対してリッチであるかリーンであるかをオン−オフ的に検出するO2センサを用いてもよい。
アクセルペダル100は、アクセルペダル100の踏込み量に比例した出力電圧を発生するアクセル開度センサ430に接続され、アクセル開度センサ430の出力電圧は、入力ポート350に入力される。また、入力ポート350には、機関回転数を表わす出力パルスを発生する回転数センサ440が接続されている。
エンジンECU300のROM320には、上述のアクセル開度センサ430および回転数センサ440により得られる機関負荷率および機関回転数に基づき、運転状態(吸入空気量等)に対応させて設定されている燃料噴射量の値や機関冷却水温に基づく補正値などが予めマップ化されて記憶されている。
図1に示すように、インテークマニホールド20内には、各気筒112に対して一つずつ、すなわち合計四つのTCV510が設けられる。四つのTCV510は、一本のシャフト520にボルトなどを用いて固定される。シャフト520は、一つのドライバモータ530により回転せしめられる。すなわち、四つのTCV510は一つのドライバモータ530により開閉せしめられる。
TCV510の開度、すなわちドライバモータ530の作動量は、開度センサ540により検出される。開度センサ540は、TCV510の開度に比例した出力電圧を発生し、この開度センサ540の出力電圧は入力ポート350に入力される。
ドライバモータ530の駆動力は、電流値に比例する。ドライバモータ530の電流値は、TCV510の開度が目標開度になるように、開度と目標開度との差を用いてエンジンECU300により少なくとも積分制御される。したがって、ドライバモータ530の電流値は、TCV510の開度と目標開度とが乖離している時間が長いほど大きくなる。
たとえば、吸入空気量が大きいほど、TCV510に作用する力、すなわちドライバモータ530の負荷が大きくなるため、TCV510の開度と目標開度とが乖離している時間、すなわちTCV510の開度が目標開度になるまでに要する時間が長くなる。そのため、図2に示すように、吸入空気量が大きいほど、ドライバモータ530の駆動力が大きくなる。なお、ドライバモータ530の電流値の制御方法はこれに限らない。
図3において実線で示すように、TCV510が閉じた状態であると、図3において破線で示す全開の状態に比べて、気筒112内におけるタンブル流が強化される。タンブル流を強化すると、噴射された燃料を点火プラグ付近に集め易くなる。そのため、空燃比が大幅にリーンの状態で内燃機関を運転したりして、エミッション性能を向上することができる。
ところで、TCV510が破損するなどの異常が発生すると、TCV510を正常に開閉することができない。TCV510は、エミッション性能に大きな影響を与えることから、OBDにより異常であるか否かを判定する必要がある。
ここで、前述したように、ドライバモータ530の駆動力は、吸入空気量、すなわちTCV510に作用する力に応じて変化する。したがって、図4に示すようにドライバモータ530の駆動力は、TCV510が破損するなどの異常が発生したTCV510の数が多いほど、小さくなる。そこで、本実施の形態においては、ドライバモータ530の駆動力、すなわち電流値に基づいて、TCV510が異常であるか否かを判定する。
図5を参照して、本実施の形態に係る異常判定装置であるエンジンECU300の機能について説明する。なお、以下に説明するエンジンECU300の機能は、ハードウェアにより実現するようにしてもよく、ソフトウェアにより実現するようにしてもよい。
エンジンECU300は、電流値検出部600と、異常判定部610と、補正部620と、計測部630とを含む。電流値検出部600は、ドライバモータ530の電流値を検出する。なお、ドライバモータ530の電流値は、エンジンECU300自体が決定しているため、ドライバモータ530の電流値の検出は、エンジンECU300の内部で行なわれる。
異常判定部610は、ドライバモータ530の電流値が判定値S(I)より小さい場合、TCV510が異常であると判定する。判定値S(I)は、全てのTCV510が正常である場合のドライバモータ530の電流値に対応するように、吸入空気量をパラメータとしたマップに従って定められる。
補正部620は、エンジン10の停止中においてTCV510が全閉の状態から全開の状態になるまでに要する時間に基づいて、判定値S(I)を補正する。たとえば、エンジン10の停止中においてTCV510が全閉の状態から全開の状態になるまでに要する時間が長いほど、より大きくなるように判定値S(I)が補正される。
計測部630は、エンジン10の停止中においてTCV510が全閉の状態から全開の状態になるまでに要する時間を計測する。
図6を参照して、本実施の形態に係る異常判定装置であるエンジンECU300が実行するプログラムの制御構造について説明する。なお、以下に説明するプログラムは予め定められた周期で繰り返し実行される。また、エンジン10が停止中である場合、すなわちエンジンECU300が起動していない場合は、エンジンECU300がタイマにより起動されて、以下に説明するプログラムを実行する。
ステップ(以下、ステップをSと略す)100にて、エンジンECU300は、エンジン10の運転中であるか否かを判別する。エンジン10の運転中であると(S100にてYES)、処理はS102に移される。もしそうでないと(S100にてNO)、処理はS120に移される。
S102にて、エンジンECU300は、予め定められた異常判定条件が成立したか否かを判断する。ここで、異常判定条件とは、たとえば、フューエルカットが実行中であって、吸入吸気量が予め定められた範囲内であって、エンジン回転数が予め定められた範囲内であって、エンジン回転数の変化率がしきい値以下であるという条件である。なお、異常判定条件はこれに限らない。異常判定条件が成立すると(S102にてYES)、処理はS104に移される。もしそうでないと(S102にてNO)、この処理は終了する。
S104にて、エンジンECU300は、スロットル開度が予め定められた開度になるように、スロットルバルブ70を制御する。
S106にて、エンジンECU300は、TCV510が全開の状態から予め定められた開度まで閉動作を行なうように、ドライバモータ530を制御する。すなわち、TCV510が予め定められた作動量だけ作動するようにドライバモータ530が制御される。
S108にて、エンジンECU300は、ドライバモータ530の電流値を検出する。なお、ドライバモータ530の電流値はエンジンECU300自体が決定しているため、電流値の検出はエンジンECU300の内部で行なわれる。
S110にて、エンジンECU300は、ドライバモータ530の電流値が判定値S(I)よりも小さいか否かを判断する。ドライバモータ530の電流値が判定値S(I)よりも小さいと(S110にてYES)、処理はS112に移される。もしそうでないと(S110にてNO)、処理はS114に移される。
S112にて、エンジンECU300は、TCV510が異常であると判定する。S114にて、エンジンECU300は、TCV510が正常であると判定する。
S120にて、エンジンECU300は、予め定められた学習条件が成立したか否かを判断する。学習条件は、たとえば補機バッテリ(図示せず)の電圧がしきい値以上であり、気圧が予め定められた範囲内であり、外気温が予め定められた範囲内であるという条件である。なお、学習条件はこれに限らない。学習条件が成立すると(S120にてYES)、処理はS122に移される。もしそうでないと(S120にてNO)、この処理は終了する。
S122にて、エンジンEUC300は、TCV510が全閉の状態から全開の状態になるようにドライバモータ530を制御する。すなわち、TCV510が予め定められた作動量だけ作動するようにドライバモータ530が制御される。S124にて、エンジンECU300は、エンジン10の停止中においてTCV510が全閉の状態から全開の状態になるまでに要する時間を計測する。
S126にて、エンジンECU300は、判定値S(I)を補正(学習)する。エンジン10の停止中においてTCV510が全閉の状態から全開の状態になるまでに要する時間が長いほど、より大きくなるように判定値S(I)が補正される。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る異常判定装置であるエンジンECU300の動作について説明する。
エンジン10の運転中であると(S100にてYES)、異常判定条件が成立したか否かが判断される(S102)。フューエルカットが実行中であって、吸入吸気量が予め定められた範囲内であって、エンジン回転数が予め定められた範囲内であると、TCV510を介してドライバモータ530に負荷がかかり、かつ負荷が安定した状態であるといえる。また、エンジン回転数の変化率がしきい値以下であると、急減速時ではなく、ドライバモータ530の電流値をモニタするのに十分な時間があるといえる。
したがって、フューエルカットが実行中であって、吸入吸気量が予め定められた範囲内であって、エンジン回転数が予め定められた範囲内であって、エンジン回転数の変化率がしきい値以下であるという異常判定条件が成立すると(S102にてYES)、TCV510の異常判定を行なうために、スロットル開度が予め定められた開度になるようにスロットルバルブ70が制御される(S104)。これにより、吸入空気量を安定化することができる。
その後、TCV510が全開の状態から予め定められた開度まで閉動作を行なうように、ドライバモータ530が制御され(S106)、ドライバモータ530の電流値が検出される(S108)。
ドライバモータ530の電流値が判定値S(I)よりも小さいと(S110にてYES)、ドライバモータ530の負荷が正常時に比べて小さい状態、すなわち、少なくともいずれか一つのTCV510が破損するなどの異常が発生した状態であるといえる。
この場合、TCV510が異常であると判定される(S112)。一方、ドライバモータ530の電流値が判定値S(I)以上であると(S110にてNO)、TCV510が正常であると判定される(S114)。
ところで、ドライバモータ530の負荷は、吸入空気量の他、シャフト520などの摩擦係数やシャフト520などに付着するオイルなどによる影響を受ける。すなわち、TCV510を作動させる機構自体によるドライバモータ530の負荷は経時変化する。
負荷の経時変化をTCV510の異常判定において考慮するため、エンジン10の停止時(S100にてNO)、すなわち吸入空気量が「0」である場合に学習条件が成立すると(S120にてYES)、TCV510が全閉の状態から全開の状態になるようにドライバモータ530が制御され(S122)、エンジン10の停止中においてTCV510が全閉の状態から全開の状態になるまでに要する時間が計測される(S124)。
エンジン10の停止時においてエンジン10の停止中においてTCV510が全閉の状態から全開の状態になるまでに要する時間に基づいて、TCV510の異常判定に用いられる判定値S(I)が補正される(S126)。これにより、TCV510の異常判定を精度よく行なうことができる。
以上のように、本実施の形態に係る異常判定装置であるエンジンECUによれば、ドラバモータの駆動力、すなわち電流値が判定値S(I)より小さいと、TCVが異常であると判定される。これにより、四つのTCVのうちのいずれか一つが破損した場合においても、TCVが異常であることを判定することができる。そのため、TCVの異常を精度よく判定することができる。
なお、本実施の形態においては、ドライバモータ530の電流値を用いてTCV510の異常判定を行なっていたが、電流値の代わりに、その他、電圧値や、デューティ制御におけるデューティ比など、ドライバモータ530の駆動力に関連する値であれば、どのような値を用いてもよい。さらに、電流計を用いてドライバモータ530の電流値を検出したり、電圧計を用いてドライバモータ530の電圧値を検出したりするようにしてもよい。
また、全閉から全開までの作動量とは異なる作動量だけTCV510を作動させるために要する時間を用いてしきい値S(I)を補正するようにしてもよい。
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、ドライバモータの電流値の代わりに、TCVが全開の状態から予め定められた開度になるまでに要する時間を用いて、TCVの異常判定を行なう点で、前述の第1の実施の形態と相違する。その他の構造については、前述の第1の実施の形態と同じである。それらについての機能も同じである。したがって、ここではそれらの詳細な説明は繰返さない。
図7を参照して、本実施の形態に係る異常判定装置であるエンジンECU300の機能について説明する。なお、以下に説明するエンジンECU300の機能は、ハードウェアにより実現するようにしてもよく、ソフトウェアにより実現するようにしてもよい。
エンジンECU300は、第1計測部640と、異常判定部650と、補正部660と、第2計測部670とを含む。
第1計測部640は、TCV510が全開の状態から予め定められた開度になるまでに要する時間ΔTを計測する。
異常判定部650は、TCV510が全開の状態から予め定められた開度になるまでに要する時間ΔT判定値S(T)より小さい場合、TCV510が異常であると判定する。判定値S(T)は、全てのTCV510が正常である場合においてTCV510が全開の状態から予め定められた開度になるまでに要する時間に対応するように、吸入空気量をパラメータとしたマップに従って定められる。
補正部660は、エンジン10の停止中においてTCV510が全閉の状態から全開の状態になるまでに要する時間に基づいて、判定値S(T)を補正する。たとえば、エンジン10の停止中においてTCV510が全閉の状態から全開の状態になるまでに要する時間が長いほど、より大きくなるように判定値S(I)が補正される。
第2計測部670は、エンジン10の停止中においてTCV510が全閉の状態から全開の状態になるまでに要する時間を計測する。
図8を参照して、本実施の形態に係る異常判定装置であるエンジンECU300が実行するプログラムの制御構造について説明する。なお、以下に説明するプログラムは予め定められた周期で繰り返し実行される。また、前述の第1の実施の形態と同じ処理については、同じステップ番号を付してある。したがって、ここではそれらの詳細な説明は繰返さない。
S208にて、TCV510が全開の状態から予め定められた開度になるまでに要する時間ΔTを計測する。
S210にて、エンジンECU300は、TCV510が全開の状態から予め定められた開度になるまでに要する時間ΔTが判定値S(T)よりも小さいか否かを判断する。TCV510が全開の状態から予め定められた開度になるまでに要する時間ΔTが判定値S(T)よりも小さいと(S210にてYES)、処理はS112に移される。もしそうでないと(S210にてNO)、処理はS114に移される。
S226にて、エンジンECU300は、判定値S(T)を補正(学習)する。エンジン10の停止中においてTCV510が全閉の状態から全開の状態になるまでに要する時間が長いほど、より大きくなるように判定値S(T)が補正される。このようにしても、前述の第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、全閉から全開までの作動量とは異なる作動量だけTCV510を作動させるために要する時間を用いてしきい値S(T)を補正するようにしてもよい。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の第1の実施の形態に係る異常判定装置であるエンジンECUにより制御されるエンジンシステムの概略構成図である。 ドライバモータの駆動力を示す図(その1)である。 TCVを示す図である。 ドライバモータの駆動力を示す図(その2)である。 本発明の第1の実施の形態に係る異常判定装置であるエンジンECUの機能ブロック図である。 本発明の第1の実施の形態に係る異常判定装置であるエンジンECUが実行するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態に係る異常判定装置であるエンジンECUの機能ブロック図である。 本発明の第2の実施の形態に係る異常判定装置であるエンジンECUが実行するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
符号の説明
10 エンジン、20 インテークマニホールド、30 サージタンク、40 吸気ダクト、42 エアフローメータ、50 エアクリーナ、60 電動モータ、70 スロットルバルブ、72 スロットル開度センサ、80 エキゾーストマニホールド、90 三元触媒コンバータ、100 アクセルペダル、110 筒内噴射用インジェクタ、112 気筒、320 ROM、330 RAM、340 CPU、350 入力ポート、360 出力ポート、400 水温センサ、410 燃料圧センサ、420 空燃比センサ、430 アクセル開度センサ、440 回転数センサ、510 TCV、520 シャフト、530 ドライバモータ、540 開度センサ、600 電流値検出部、610 異常判定部、620 補正部、630 計測部、640 第1計測部、650 異常判定部、660 補正部、670 第2計測部。

Claims (8)

  1. 内燃機関の吸気通路に設けられるバルブの異常判定装置であって、
    前記バルブを作動するアクチュエータの駆動力を検出するための手段と、
    前記アクチュエータの駆動力が予め定められた判定値より小さい場合、前記バルブが異常であると判定するための手段と
    前記内燃機関が停止状態である場合において前記バルブが予め定められた作動量だけ作動するまでの時間が長いほど、前記判定値がより大きくなるように補正するための手段とを含む、バルブの異常判定装置。
  2. 内燃機関の吸気通路に設けられるバルブの異常判定装置であって、
    前記バルブが予め定められた作動量だけ作動するまでの時間を計測するための手段と、
    前記バルブが前記予め定められた作動量だけ作動するまでの時間が予め定められた判定値より短い場合、前記バルブが異常であると判定するための手段と
    前記内燃機関が停止状態である場合において前記バルブが予め定められた作動量だけ作動するまでの時間が長いほど、前記判定値がより大きくなるように補正するための手段とを含む、バルブの異常判定装置。
  3. 前記バルブは、タンブルコントロールバルブである、請求項1または2に記載のバルブの異常判定装置。
  4. 内燃機関の吸気通路に設けられるバルブの異常判定方法であって、
    前記バルブを作動するアクチュエータの駆動力を検出するステップと、
    前記アクチュエータの駆動力が予め定められた判定値より小さい場合、前記バルブが異常であると判定するステップと
    前記内燃機関が停止状態である場合において前記バルブが予め定められた作動量だけ作動するまでの時間が長いほど、前記判定値がより大きくなるように補正するステップとを含む、バルブの異常判定方法。
  5. 内燃機関の吸気通路に設けられるバルブの異常判定方法であって、
    前記バルブが予め定められた作動量だけ作動するまでの時間を計測するステップと、
    前記バルブが前記予め定められた作動量だけ作動するまでの時間が予め定められた判定値より短い場合、前記バルブが異常であると判定するステップと
    前記内燃機関が停止状態である場合において前記バルブが予め定められた作動量だけ作動するまでの時間が長いほど、前記判定値がより大きくなるように補正するステップとを含む、バルブの異常判定方法。
  6. 前記バルブは、タンブルコントロールバルブである、請求項4または5に記載のバルブの異常判定方法。
  7. 請求項4〜6のいずれかに記載の異常判定方法をコンピュータに実現させるプログラム。
  8. 請求項4〜6のいずれかに記載の異常判定方法をコンピュータに実現させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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