JP4259096B2 - インクジェットプリンタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンタは、記録ヘッドの一面(ノズル面)に備えられたノズルの吐出口から記録媒体に向けてインクを吐出し着弾させ、この記録媒体に画像を記録するものである。
また、インクジェットプリンタには、樹脂フィルム等のインク吸収性の乏しい記録媒体に画像を記録する方式として、UVインクジェット記録方式のものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
一般的に、上記UVインクジェット記録方式のインクジェットプリンタにおいては、紫外線に対して所定の感度を有する光開始剤が含有された紫外線硬化性のインク(以下、「UVインク」という。)を用い、記録媒体に着弾したUVインクに紫外線を照射することで、UVインクを硬化させ記録媒体に定着させる。この場合、UVインクの記録媒体への着弾から紫外線の照射までに時間がかかると、記録媒体に着弾したUVインクのドット径の拡大、ドット間の滲み、記録媒体へのUVインクの浸透などの問題が顕著となるため、UVインク吐出から紫外線照射までの時間は極力短くすることが好ましい。
【0004】
そこで、上記特許文献1等に示す一般的なインクジェットプリンタにおいては、記録媒体に着弾したUVインクに対して紫外線を直ぐに照射可能となるように、紫外線を照射する光源がノズルに近接して配設されている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭60−132767号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1の場合のように、ノズルと光源とが近接していると、光源から発せられた紫外線(光)、若しくは光源から発せられ記録媒体の表面にて反射した紫外線がノズル面に入射して、ノズル面及びその吐出口内のUVインクが紫外線と反応してしまっていた。この場合には、UVインクが増粘したり硬化したりして、ノズルの吐出不良が生じ易くなるといった問題がある。
特に、表面に凹凸がある記録媒体を用いる場合や、画像記録時に記録媒体を保持するプラテン等の支持部材の平面性が十分に保たれていない場合や、記録媒体とノズル面との距離が長い場合等には、記録媒体の表面にて反射した紫外線が記録ヘッド側に入射し易くなって、ノズル面及びその吐出口内のUVインクが紫外線の影響を受けてしまうといった問題がある。
【0007】
また、UVインクとしては、ラジカル重合系(硬化性)インクや、カチオン重合系(硬化性)インクが知られているが、このうち、カチオン重合系インクは、ラジカル重合系インクのように酸素による重合阻害を受けることがないため、紫外線に対する感度が高く、また活性種である酸が光エネルギーを蓄積する性質を有している。そのため、カチオン重合系インクは、ラジカル重合系インクに比べて前記ノズル面にて紫外線の影響を受け易いといった問題がある。
【0008】
本発明の課題は、ノズル面への紫外線入射量を低減でき、結果としてインクの安定吐出を長期にわたって行えるインクジェットプリンタを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、
紫外線が照射されることで硬化するインクをノズルから記録媒体に向けて吐出する記録ヘッドと、前記記録媒体上に吐出されたインクに紫外線を照射する紫外線照射部とを備え、前記ノズルから記録媒体に向けてインクを吐出し、当該記録媒体に着弾したインクに前記紫外線照射部から紫外線を照射して画像記録を行うインクジェットプリンタであって、
前記記録ヘッドと前記紫外線照射部との間に、前記紫外線照射部から照射された紫外線を捕捉する光トラップが備えられ、
前記光トラップは、画像記録状態の前記記録媒体側に向かって開口した容器状に形成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、記録ヘッドのノズルから記録媒体に向けてインクを吐出し、当該記録媒体に着弾したインクに紫外線照射部から紫外線を照射して画像記録を行うインクジェットプリンタであって、記録ヘッドと紫外線照射部との間に、紫外線照射部から照射された紫外線を捕捉する光トラップが備えられている。そして、光トラップは、画像記録状態の記録媒体側に向かって開口した容器状に形成されている。これにより、紫外線照射部から照射された紫外線のうち、記録ヘッドから記録媒体上に吐出されたインクの硬化に関与しない紫外線、例えば記録媒体の表面にて反射した紫外線等が、記録ヘッド側に入射してきても、光トラップの画像記録状態の記録媒体側に向かって開口した部分から光トラップの内部へと入射する。このとき、光トラップの内部に入射した紫外線は、この光トラップの内部にて反射を繰り返すことで減衰していく。すなわち、例えば表面に凹凸がある記録媒体を用いる場合や、画像記録時に記録媒体を保持するプラテン等の支持部材の平面性が十分に保たれていない場合や、記録媒体と記録ヘッドのノズルの吐出口が設けられた面(以下、「ノズル面」という。)との距離が長い場合等には、記録媒体の表面にて反射した紫外線が記録ヘッド側に入射し易くなるが、記録ヘッド側に入射してくる紫外線を光トラップによって捕捉することで、ノズル面への紫外線の入射量を低減することができる。
よって、ノズル面へ入射した紫外線と、ノズル面及びその吐出口のインクとの反応に基づく、ノズル面及びその吐出口内のインクの増粘や硬化を防止して、ノズルの吐出不良を生じ難くすることができる。結果として、インクの安定吐出を長期にわたって行うことができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記光トラップの内面には、紫外線を吸収する材料を含んで構成された紫外線吸収部が設けられていることを特徴としている。
【0012】
ここで、紫外線吸収部を構成する材料としては、カーボンブラック、超粒子化した酸化チタン・酸化亜鉛・酸化鉄(α−Fe2O3、Fe3O4)等の粉体などの無機物や、ベンゾトリアゾール系化合物、芳香族化合物などの有機物等の紫外線吸収率の高い材料が挙げられる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、光トラップの内面には、紫外線を吸収する材料を含んで構成された紫外線吸収部が設けられているので、この紫外線吸収部にて、光トラップの内面へと入射してきた紫外線を吸収することにより、紫外線を光トラップにて確実に捕捉することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記紫外線照射部は、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、熱陰極管、冷陰極管並びに発光ダイオードのうちいずれか1つを備えることを特徴としている。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明と同等の効果が得られることは無論のこと、特に、紫外線照射部には、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、熱陰極管、冷陰極管並びに発光ダイオードのうちいずれか1つが備えられている。すなわち、この場合であっても、光トラップ若しくは紫外線吸収部が記録ヘッドと紫外線照射部との間に配設されることで、紫外線照射部から照射された紫外線のノズル面への入射量を確実に低減できる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
インクは、カチオン硬化性を有することを特徴としている。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜3の何れか一項に記載の発明と同等の効果が得られることは無論のこと、特に、インクはカチオン硬化性を有している。すなわち、カチオン硬化性のインクは、ラジカル硬化性のインクに比べて、紫外線に対する感度が高く、また活性種である酸が有する光エネルギー蓄積性のため、記録ヘッドのノズル面にて紫外線の影響を受け易くなっているが、このようなカチオン硬化性のインクであっても、光トラップ若しくは紫外線吸収部が記録ヘッドと紫外線照射部との間に配設されることで、紫外線照射部から照射された紫外線のノズル面への入射量を確実に低減できる。従って、カチオン硬化性のインクがノズル面及びその吐出口内にて増粘したり硬化したりすることを防止できる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
記録方式は、シリアル方式若しくはライン方式であることを特徴としている。
【0021】
ここで、シリアル方式とは、記録ヘッドの走査方向と直交する方向への搬送が停止された記録媒体に対して、記録ヘッドを走査方向に往復移動させつつ前記記録ヘッドからインクを吐出することに基づき画像記録を行う方式のことである。また、ライン方式とは、記録媒体の幅方向(記録媒体の搬送方向と直交する方向)にわたる記録ヘッドを備え、記録媒体の搬送に基づき画像記録を行う方式のことである。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、記録方式が、シリアル方式若しくはライン方式であっても、光トラップ若しくは紫外線吸収部が記録ヘッドと紫外線照射部との間に配設されることで、紫外線照射部から照射された紫外線のノズル面への入射量を確実に低減できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について、図面を用いて具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0024】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明が適用された第1の実施の形態のインクジェットプリンタの要部構成を示した斜視図である。
図1に示すように、インクジェットプリンタ100は、プリンタ本体100Aと、このプリンタ本体100Aを支持する支持台100Bとを備えており、プリンタ本体100Aは、記録ヘッド1(図2参照)及び紫外線照射機構(紫外線照射部;図2参照)2を備える第1及び第2画像記録部10A,10Bと、キャリッジ3と、インク供給部4と、メンテナンスユニット5と、プラテン6と、搬送機構(図示略)とを備えて構成されている。
【0025】
ここで、インクジェットプリンタ100は、記録ヘッド1の主走査方向Aと直交する方向B(以下、「副走査方向B」という。)への搬送が停止された記録媒体Pに対して、記録ヘッド1を主走査方向Aに往復移動させつつ記録ヘッド1からインクを吐出することにより画像を形成するシリアル方式にて画像記録を行うものである。
【0026】
搬送機構は、例えば、図示しない搬送モータ及び搬送ローラ等を備えており、搬送モータの駆動により搬送ローラを回転させることで記録媒体Pを副走査方向Bに搬送するようになっている。また、搬送機構は、画像記録時において、キャリッジ3の動作に合わせて、記録媒体Pの搬送と停止とを繰り返し記録媒体Pを間欠的に搬送する。
【0027】
ここで、本実施の形態に用いられる「記録媒体P」について説明する。
本実施の形態に用いられる記録媒体Pとしては、通常のインクジェットプリンタに適用される普通紙,再生紙,光沢紙等の各種紙,各種布地,各種不織布,樹脂,金属,ガラス等の材質からなる記録媒体Pが適用可能である。また、記録媒体Pの形態としては、ロール状、カットシート状、板状等が適用可能である。
【0028】
特に、本実施の形態で用いられる記録媒体Pとして、所謂軟包装に用いられる透明又は不透明な非吸収性の樹脂製フィルムが適用できる。樹脂製フィルムの具体的な樹脂の種類として、ポリエチレンテレフタレート,ポリエステル,ポリオレフィン,ポリアミド,ポリエステルアミド,ポリエーテル,ポリイミド,ポリアミドイミド,ポリスチレン,ポリカーボネート,ポリ-ρ-フェニレンスルフィド,ポリエーテルエステル,ポリ塩化ビニル,ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等が適用可能であり、さらには、これら樹脂の共重合体、これら樹脂の混合物、これら樹脂を架橋したもの等も適用可能である。中でも、樹脂製フィルムの樹脂の種類として、延伸したポリエチレンテレフタレート,ポリスチレン,ポリプロピレン,ナイロンのいずれかを選択するのが、樹脂製フィルムの透明性・寸法安定性・剛性・環境負荷・コスト等の面で好ましく、2μm(マイクロメートル)以上100μm以下(好ましくは6μm以上50μm以下)の厚みを有する樹脂製フィルムを用いるのが好ましい。また、樹脂製フィルムの支持体の表面にコロナ放電処理、易接着処理等の表面処理を施してもよい。
【0029】
さらに、本実施の形態に用いられる記録媒体Pとして、樹脂により表面を被覆した各種紙,顔料を含むフィルム,発泡フィルム等の不透明な公知の記録媒体Pも適用可能である。
【0030】
プラテン6は、例えば略水平に配置されており、プラテン6の上面で所定範囲の記録媒体Pの下面(記録面の側と反対側となる面)を図示しない吸引手段の駆動により吸引して支持する。
また、プラテン6の上方には、キャリッジ3が設けられている。
【0031】
次に、キャリッジ3について図2及び図3を参照して詳細に説明する。
ここで、図2(a)は、キャリッジ3を図1と略同じ方向に見て示した斜視図であり、図2(b)は、キャリッジ3を図1において右から斜め上向きに見て示した斜視図であり、図3は、キャリッジ3の副走査方向Bに沿った断面部を模式的に示した図である。
なお、図2(a)及び図2(b)においては、キャリッジ3を破線で示し、そのキャリッジ3を透視した状態を図示している。
【0032】
図2及び図3に示すように、キャリッジ3は、第1画像記録部10Aと、第2画像記録部10Bとを搭載し、主走査方向Aに沿って延在するキャリッジレール(図1参照)31に案内されながら主走査方向Aに移動可能となっている。
なお、キャリッジ3の移動方向は、駆動源(図示略)の回転方向に従って変更され、これによりキャリッジ3は主走査方向Aに往復移動する。また、画像記録時には、キャリッジ3は、記録媒体Pが停止している際に主走査方向Aに往動、復動又は往復移動する。このとき、第1及び第2画像記録部10A,10Bによって、記録媒体Pに画像を記録する。
【0033】
第1画像記録部10Aは、キャリッジ3の図3における左側に配設されており、キャリッジ3が主走査方向Aに沿って右に移動する際に画像記録を行うものである。
第2画像記録部10Bは、キャリッジ3の図3における右側に配設されており、キャリッジ3が主走査方向Aに沿って左に移動する際に画像記録を行うものである。
また、第1及び第2画像記録部10A,10Bの各々は、記録ヘッド1(1a,1b)と、紫外線照射機構2(2a,2b)と、光トラップ7(7a,7b)と、中間タンク42(42a,42b)とを搭載している。
【0034】
記録ヘッド1a、1bは、第1及び第2画像記録部10A,10Bの双方に、インクジェットプリンタ100で使用される4色(イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K))のインクに対応して4つずつ設けられている。
各記録ヘッド1は、画像記録時において、プラテン6上を搬送される記録媒体Pの記録面(上面)と、記録ヘッド1の下面12(以下、「ノズル面12」という。;図2(b)参照)とが対向するように設置されている。また、各記録ヘッド1は、そのノズル面12に複数のノズル(図4参照)11の吐出口(図示略)が形成されており、これら複数の吐出口は副走査方向Bに一列(ノズル列)となって配列されている。さらに、各記録ヘッド1は、その内部にピエゾ素子(圧電素子)といった吐出手段(図示略)が設けられており、吐出手段の作動により各吐出口からインク滴を別個に吐出する。
【0035】
また、各記録ヘッド1は、インクが貯蔵されている中間タンク42と、インク供給管41(41a,41b)を介して連通されている。なお、中間タンク42並びにインク供給管41は、各記録ヘッド1に対応させて、第1及び第2画像記録部10A、10Bの双方に4つずつ設けられている。
これにより、各中間タンク42に収納されているインクが各記録ヘッド1に供給されるようになっている。
【0036】
ここで、本実施の形態に用いられる「インク」について説明する。
本実施の形態に用いられるインクとしては、特に、「光硬化技術−樹脂・開始剤の選定と配合条件及び硬化度の測定・評価−(技術協会情報)」に記載の「光硬化システム(第4章)」の「光酸・塩基発生剤を利用する硬化システム(第1節)」、「光誘導型交互共重合(第2節)」等に適合するインクが適用可能であり、通常のラジカル重合により硬化するものであってもよい。
【0037】
具体的に、本実施の形態に用いられるインクは、光としての紫外線の被照射により硬化する性質を具備する紫外線硬化性インクであり、主成分として、少なくとも重合性化合物(公知の重合性化合物を含む。)と、光開始剤と、色材とを含むものである。ただし、本実施の形態に用いるインクとして、上記「光誘導型交互共重合(第2節)」に適合するインクを用いる場合には、光開始剤は除外されてもよい。
【0038】
上記紫外線硬化性インクは、重合性化合物として、ラジカル重合性化合物を含むラジカル重合系インクとカチオン重合性化合物を含むカチオン重合系インクとに大別されるが、その両系のインクが本実施の形態に用いられるインクとしてそれぞれ適用可能であり、ラジカル重合系インクとカチオン重合系インクとを複合させたハイブリッド型インクを本実施の形態に用いられるインクとして適用してもよい。
【0039】
しかしながら、酸素による重合反応の阻害が少ない又は無いカチオン重合系インクのほうが機能性・汎用性に優れるため、本実施の形態では、特に、カチオン重合系インクを用いている。
【0040】
なお、本実施の形態に用いられるカチオン重合系インクは、具体的に、少なくともオキセタン化合物,エポキシ化合物,ビニルエーテル化合物等のカチオン重合性化合物と、光カチオン開始剤と、色材とを含む混合物であり、上記の通り、紫外線の被照射により硬化する性質を具備するものである。
【0041】
紫外線照射機構2は、第1及び第2画像記録部10A、10Bの各々において、対応する記録ヘッド1よりも主走査方向Aの下流側に位置するように1つずつ配設されている。すなわち、第1画像記録部10Aの紫外線照射機構2aは、第1画像記録部10Aの図3における左端に配設され、第2画像記録部10Bの紫外線照射機構2bは、第2画像記録部10Bの図3における右端にそれぞれ配設されている。
各紫外線照射機構2は、複数の紫外線光源21と、カバー部材(図4参照)22と、反射部材(図4参照)23とを備えている。
【0042】
カバー部材22は、複数の紫外線光源21を記録媒体Pと反対となる側から覆うためのものであり、記録媒体P側に向かって開口するような断面略コ字状に形成された部材である。また、カバー部材22の内面には、反射部材23が配設されている。
反射部材23は、紫外線光源21から照射された紫外線、特に記録媒体Pの方に向かわない紫外線を記録媒体Pの方に反射するためのものである。また、反射部材23のうち、カバー部材22の上側の内面に沿って配設された部分の記録媒体P側には、紫外線光源21が設けられている。
【0043】
各紫外線光源21は、副走査方向Bに沿った線状の光源とされており、その長さは少なくとも記録ヘッド1のノズル列の長さよりも長くなっている。そして、紫外線光源21は、制御部(図示略)の制御下にて、画像記録時に記録ヘッド1から吐出され記録媒体Pに着弾したインクに紫外線を照射することで、インクを硬化させ記録媒体Pに定着させる。
また、紫外線光源21としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、熱陰極管、冷陰極管並びにLEDのうち、少なくともいずれか一つが適用される。
【0044】
また、紫外線照射機構2と、各紫外線照射機構2に隣合う例えばブラック(K)に対応する記録ヘッド1との間には、光トラップ7が配設されている。
【0045】
以下、光トラップ7について図4及び図5を参照して詳細に説明する。
ここで、図4は、光トラップ7、紫外線照射機構2、記録ヘッド1を示す拡大断面図であり、図5は、光トラップ7の形状を具体的に示した斜視図である。
【0046】
図4及び図5に示すように、光トラップ7は、紫外線光源から照射され記録ヘッド1側に入射してくる紫外線を捕捉するためのものである。この光トラップ7は、副走査方向Bに沿って延在する長尺な部材とされており、その長さは少なくとも紫外線照射機構2の副走査方向Bに沿った長さと等しくなっている。また、光トラップ7は、記録媒体P側に向かって開口するような容器状に形成され、例えば開口した端縁が記録媒体Pと略平行となるように配設されている。
【0047】
光トラップ7の形状は、光トラップ7の内部に紫外線が入射可能で、且つ入射してきた紫外線が光トラップ7の内面にて反射を繰り返すような形状であれば良い。具体的には、例えば図5(a)に示すような、副走査方向B(光トラップ7の長手方向)に沿った断面の形状が扇状であっても良いし、図5(b)に示すような、同方向に沿った断面の形状が台形状であっても良い。
なお、図4においては、図5(a)に示す光トラップ7が図示されている。
【0048】
また、光トラップ7の内面には、紫外線吸収率の高い材料から構成された紫外線吸収部71が設けられている。
ここで、紫外線吸収部71を光トラップ7の内面に設ける方法としては、例えば、紫外線吸収率の高い材料を光トラップ7内面にアルマイト処理などの各種金属酸化物処理する方法や、メッキ処理・蒸着・スパッタリング処理する方法等が挙げられる。また、各種の紫外線吸収率の高い素材をコーティングすることによって、紫外線吸収部71を光トラップ7の内面に設けても良い。
なお、紫外線吸収率の高い素材としては、例えば、カーボンブラック、超粒子化した酸化チタン・酸化亜鉛・酸化鉄(α−Fe2O3、Fe3O4)等の粉体などの無機物や、ベンゾトリアゾール系化合物、芳香族化合物などの有機物等が挙げられ、これらの材料により紫外線吸収部71が構成されている。
【0049】
また、光トラップ7は、紫外線照射機構2の配設位置によって規定される所定位置に配設されている。すなわち、紫外線照射機構2は、少なくとも記録媒体Pの上面(記録面)にて反射した紫外線(以下、「一次反射紫外線」という。)が記録ヘッド1のノズル面12に直接入射しないように、記録ヘッド1に対して所定距離をもって配設されている。ここで、記録ヘッド1と紫外線照射機構2との間に、例えば紫外線照射機構2や記録ヘッド1等をキャリッジ3に固定するためのフレーム等の部材が配設されていると、フレームの下面と記録媒体Pの上面とで一次反射紫外線等の紫外線は反射を繰り返していき、これにより記録ヘッド1側に入射する。また、記録ヘッド1側に入射する一次反射紫外線の入射角及び入射位置は、紫外線照射機構2の記録媒体Pに対する位置に基づき規定されている。
従って、紫外線照射機構2の記録媒体Pに対する位置に基づき、少なくとも記録ヘッド1側に入射する一次反射紫外線を確実に捕捉できるように、光トラップ7の配設位置が求められる。
【0050】
インク供給部4は、上述したインク供給管41並びに中間タンク42に加え、インクを収納するインクタンク43と、このインクタンク43と中間タンク42とを連通させるインク供給路44とを備えている。
なお、インクタンク43は、主走査方向Aに沿ってプラテン6と隣合うように配設され、インクジェットプリンタ100で使用される4色のインクに対応して4つ設けられている。
【0051】
メンテナンスユニット5は、主走査方向Aに沿ってインクタンク43とともにプラテン6を挟むように、キャリッジ3の移動範囲の一端に配設されており、記録ヘッド1のメンテナンス作業を行う。
【0052】
次に、インクジェットプリンタ100による画像記録時における動作について説明する。
【0053】
インクジェットプリンタ100による画像記録は、制御部の制御下において行われ、この場合において、キャリッジ3を主走査方向Aに沿って図3における右に移動させる際には、第1画像記録部10Aによって画像記録が行われる。
具体的には、搬送機構による副走査方向Bに沿った記録媒体Pの搬送が停止された状態で、この記録媒体Pに対して第1画像記録部10Aに備わる所定の記録ヘッド1aからインクが吐出された後、記録媒体Pに着弾したインクに対し、キャリッジ3の移動に伴い記録ヘッド1aを追従する紫外線照射機構2aの紫外線光源21から紫外線が照射される。このとき、紫外線光源21から照射された紫外線のうち、記録ヘッド1側に入射してくる、上述した一次反射紫外線等の紫外線は、第1画像記録部10Aの光トラップ7aの開口した部分から光トラップ7a内部へと入射していき、光トラップ7aの内面の紫外線吸収部71にて捕捉されることとなる。
ここで、紫外線吸収部71が前記紫外線を吸収しきれない場合には、紫外線は前記紫外線吸収部71にて所定の角度で反射する(以下「二次反射」という。)。このとき、紫外線は光トラップ7aの内面に向けて二次反射するため、二次反射した紫外線の入射先となる紫外線吸収部71の部分にて吸収されることとなる。また、光トラップ7aの内面に入射した紫外線は、反射を繰り返すことにより次第に減衰していく。
このようにして、光トラップ7はその内部に入射してくる紫外線を捕捉する。
【0054】
また、制御部の制御下にて、キャリッジ3を主走査方向Aに沿って図3における左に移動させる場合には、第2画像記録部10Bによって画像記録が行われ、第2画像記録部10Bの光トラップ7bにより、上記第1画像記録部10Aの場合と同様にして紫外線の捕捉が行われる。
【0055】
以上のように、第1の実施の形態のインクジェットプリンタ100によれば、シリアル方式にて画像の記録を行うインクジェットプリンタ100であって、記録ヘッド1と紫外線照射機構2との間に設けられた光トラップ7により、紫外線照射機構2の紫外線光源21から照射され、記録媒体P上に吐出されたインクの硬化に関与しない紫外線のうち、記録ヘッド1側に入射してくる一次反射紫外線等の紫外線を捕捉するので、光トラップ7よりも記録ヘッド1側に入射する紫外線量を低減させて、記録ヘッド1のノズル面12に入射する紫外線量を低減できる。この場合において、光トラップ7の内面には、紫外線吸収部71が設けられているので、光トラップ7の内部へと入射してきた紫外線を吸収することにより、紫外線を光トラップ7にて確実に捕捉することができる。
よって、記録ヘッド1のノズル面12へ入射した紫外線と、ノズル面12及びその吐出口のインクとの反応に基づく、前記インクの増粘や硬化を防止して、ノズル11の吐出不良を生じ難くできる。
【0056】
また、インクが、紫外線に対する感度が高く、また活性種である酸が有する光エネルギー蓄積性のあるカチオン硬化性のインクであっても、光トラップ7にて紫外線を確実に捕捉して、記録ヘッド1のノズル面12に入射する紫外線量を低減することで、ノズル面12及びその吐出口のカチオン硬化性のインクが増粘したり硬化したりすることを防止できる。
さらに、紫外線照射機構2に、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、熱陰極管、冷陰極管並びに発光ダイオードのうちいずれか1つが備えられている場合であっても、紫外線照射機構2から照射された紫外線のノズル面12への入射量を確実に低減できる。
このように、ノズル面12及びその吐出口のインクの増粘や硬化を防止して、ノズル11の吐出不良を生じ難くできるので、インクの安定吐出を長期にわたって行うことができる。
【0057】
なお、上記実施の形態では、光トラップ7の内面に紫外線吸収部71を備える構成を例示したが、これに限られるものではなく、前記紫外線吸収部71を光トラップ7の内面に備えるか否かは任意である。すなわち、光トラップ7の内面に紫外線吸収部71を備えない場合であっても、紫外線は光トラップ7の内部に入射した後、その内面にて反射を繰り返すことで次第に減衰していくためである。また、光トラップ7の内部へと入射してくる紫外線量や光トラップ7の形状によっても、光トラップ7の内面に紫外線吸収部71を備えるか否かが決定されても良い。
【0058】
[第2の実施の形態]
以下、本発明が適用された第2の実施の形態のインクジェットプリンタについて、図6を参照して説明する。
なお、第2の実施の形態においては、この第2の実施の形態に特有の部分以外は上記第1の実施の形態と同様であるので、上記実施の形態と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
ここで、図6は、本発明が適用された第2の実施の形態のインクジェットプリンタに備わる紫外線照射機構2、紫外線吸収部8、記録ヘッド1を示す拡大断面図である。
【0059】
第2の実施の形態のインクジェットプリンタにおいては、図6に示すように、記録ヘッド1と紫外線照射機構2との間に紫外線吸収部8を備える構成となっている。
すなわち、紫外線照射機構2とブラック(K)の記録ヘッド1との間に設けられ、記録ヘッド1をキャリッジ3に固定するフレーム32の記録媒体P側の端面に、紫外線吸収率の高い材料から構成された紫外線吸収部8が設けられている。
なお、図示は省略するが、紫外線吸収部8の副走査方向Bに沿った長さは、少なくとも紫外線照射機構2の同方向に沿った長さと等しくなっている。
また、紫外線吸収部8をフレーム32に設ける方法及び紫外線吸収部8の材料は、例えば、上記第1の実施の形態における光トラップ7に紫外線吸収部71を設ける方法及び材料と同じであっても良い。
【0060】
このように構成された紫外線吸収部8によって、紫外線照射機構2の紫外線光源21から照射された紫外線のうち、記録ヘッド1側に入射してくる一次反射紫外線等の紫外線が吸収されるので、記録ヘッド1のノズル面12への紫外線入射量を低減することができ、結果として、インクの安定吐出を長期にわたって行うことができる。
【0061】
なお、上記第1及び第2の実施の形態では、紫外線照射機構2と隣合うブラック(K)に対応する記録ヘッド1と紫外線照射機構2との間に光トラップ7若しくは紫外線吸収部8を設けるようにしたが、これに限られるものではない。例えば、図4並びに図6に示す場合において、光トラップ7若しくは紫外線吸収部8を、紫外線照射機構2とブラック(K)の記録ヘッド1との間に配設するのに加えて、紫外線照射機構2と、ブラック(K)の記録ヘッド1に隣合うシアン(C)の記録ヘッド1との間、すなわちシアン(C)の記録ヘッド1とブラック(K)の記録ヘッド1との間に配設しても良い。
【0062】
また、上記第1及び第2の実施の形態では、第1画像記録部10A及び第2画像記録部10Bの双方に紫外線照射機構2を設けるようにしたが、これに限られるものではなく、例えば図3において隣合う、第1画像記録部10Aの記録ヘッド1aと第2画像記録部10Bの記録ヘッド1bとの間に紫外線照射機構2を設けるようにしても良い。例えば、図4並びに図6に示す場合において、紫外線照射機構2と隣合った状態となる、第1画像記録部10Aのイエロー(Y)の記録ヘッド1a並びに第2画像記録部10Bのブラック(K)の記録ヘッド1bの各々と前記紫外線照射機構2との間のそれぞれに、光トラップ7若しくは紫外線吸収部8が設けられることとなる。
【0063】
さらに、上記第1及び第2の実施の形態では、第1及び第2画像記録部10A,10Bにおいて、各々4つの記録ヘッド1,…に対して1つの紫外線照射機構2を設ける構成としたが、これに限られるものではなく、少なくとも記録ヘッド1よりも主走査方向Aの下流側に配置されていれば紫外線照射機構2の個数並びに配設位置は任意である。例えば、1つの記録ヘッド1に対して1つの紫外線照射機構1を設ける構成としても良いし、隣合って配設された2つの記録ヘッド1,1に対して1つの紫外線照射機構2を設ける構成としても良いし、連続して配設された3つの記録ヘッド1,…に対して1つの紫外線照射機構2を設ける構成としても良い。なお、上記各々の場合にあっても、第1及び第2の実施の形態において例示したように、記録ヘッド1と紫外線照射機構2との全ての間に、光トラップ7若しくは紫外線吸収部8が設けられることとなる。
【0064】
<変形例1>
以下、変形例1のインクジェットプリンタについて、図面を参照して説明する。
なお、変形例1においては、この変形例1に特有の部分以外は上記第1及び第2の実施の形態と同様であるので、上記実施の形態と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
ここで、図7は、ヘッド部210を記録媒体Pの側と反対となる側から見て模式的に示した斜視図であり、図8は、ヘッド部210に備わるラインヘッド(記録ヘッド)201の長手方向に沿った断面部を模式的に示した図である。
【0065】
変形例1のインクジェットプリンタは、記録媒体Pの幅方向(記録媒体Pの搬送方向Cと直交する方向)にわたるラインヘッド201を備え、記録媒体Pの搬送に基づき画像を形成するライン方式にて画像記録を行うものである。
すなわち、図7に示すように、インクジェットプリンタは、上記したラインヘッド201と、紫外線照射機構202と、光トラップ207(図8参照)とを備えて構成されたヘッド部210を備えている。
【0066】
ラインヘッド201は、インクジェットプリンタで使用される4色のインクに対応して4つ設けられている。また、ラインヘッド201の各々は、互いの長手方向が平行となるように記録媒体Pの搬送方向Cに沿ってヘッド部210に配設されている。
【0067】
紫外線照射機構202は、各ラインヘッド201に対応して4つ設けられている。すなわち、紫外線照射機構202の各々は、対応するラインヘッド201よりも記録媒体Pの搬送方向Cの下流側に位置するようにヘッド部210に配設されている。
なお、紫外線照射機構202は、そのラインヘッド201の長手方向と同方向に沿った長さが少なくともラインヘッド201のノズル列の長さよりも長くなっている。
【0068】
また、図8に示すように、光トラップ207は、紫外線照射機構202とラインヘッド201との全ての間、すなわち、ブラック(K)のラインヘッド201と紫外線照射機構202との間、紫外線照射機構202とシアン(C)のラインヘッド201との間、シアン(C)のラインヘッド201と紫外線照射機構202との間、紫外線照射機構202とマゼンダ(M)のラインヘッド201との間、マゼンダ(M)のラインヘッド201と紫外線照射機構202との間、紫外線照射機構202とイエロー(Y)のラインヘッド201との間、イエロー(Y)のラインヘッド201と紫外線照射機構202との間に配設されている。
【0069】
次に、変形例1のインクジェットプリンタによる画像記録時における動作について説明する。
【0070】
制御部(図示略)の制御下における、インクジェットプリンタによる画像記録においては、記録媒体Pの搬送に基づき、記録媒体Pの搬送方向Cの上流側に位置する例えばブラック(K)のラインヘッド201から前記搬送方向Cの下流側に位置する例えばイエロー(Y)のラインヘッド201まで順次インク吐出が行われる。そして、例えばブラック(K)のラインヘッド201からのインク吐出が完了すると、ブラック(K)のラインヘッド201に対応する紫外線照射機構202から紫外線の照射が行われることとなる。この場合において、前記紫外線照射機構202から照射されて記録媒体Pの記録面にて反射した一次反射紫外線等のラインヘッド201側に入射してくる紫外線は、紫外線照射機構202を記録媒体Pの搬送方向Cに沿って挟むように配設されている2つの光トラップ207、すなわちブラック(K)のラインヘッド201と紫外線照射機構202との間の光トラップ207、並びに紫外線照射機構202とシアン(C)のラインヘッド201との間の光トラップ207にて捕捉されることとなる。従って、ブラック(K)のラインヘッド201並びにシアン(C)のラインヘッド201の各々のノズル面212への紫外線入射量を低減できる。
同様に、シアン(C)のラインヘッド201、マゼンダ(M)のラインヘッド201、イエロー(Y)のラインヘッド201においても、各ラインヘッド201に対応する紫外線照射機構202を記録媒体Pの搬送方向Cに沿って挟むように配設されている2つの光トラップ207によって、一次反射紫外線等の紫外線が捕捉され、各ラインヘッド201のノズル面212への紫外線入射量を低減できる。
【0071】
以上のように、変形例1のインクジェットプリンタにおいても、上記第1の実施の形態のインクジェットプリンタ100、すなわちシリアル方式にて画像記録を行うインクジェットプリンタ100に光トラップ7を配設した場合と同様に、ラインヘッド201のノズル面212への紫外線入射量を低減させて、インクの安定吐出を長期にわたって行うことができる。
【0072】
<変形例2>
以下、変形例2のインクジェットプリンタについて、図面を参照して説明する。
なお、変形例2においては、この変形例2に特有の部分以外は上記変形例1と同様であるので、上記変形例1と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
ここで、図9は、ヘッド部210を記録媒体Pの側から見て模式的に示した斜視図である。
【0073】
変形例2のインクジェットプリンタにおいては、図9に示すように、光トラップ207の替わりに紫外線吸収部208を備える構成となっている。
すなわち、紫外線吸収部208によって、インクジェットプリンタによる画像記録時において紫外線照射機構202の紫外線光源221から照射された紫外線のうち、前記一次反射紫外線等のラインヘッド201側に入射してくる紫外線が吸収されることになる。
【0074】
このように、変形例2のインクジェットプリンタにおいても、上記第2の実施の形態のインクジェットプリンタ、すなわちシリアル方式にて画像記録を行うインクジェットプリンタに紫外線吸収部8を配設した場合と同様に、ラインヘッド201のノズル面212への紫外線入射量を低減することができ、結果として、インクの安定吐出を長期にわたって行うことができる。
【0075】
なお、上記変形例1及び変形例2では、ラインヘッド201の各々に対して紫外線照射機構202を備える構成としたが、これに限られるものではなく、少なくともラインヘッド201よりも記録媒体Pの搬送方向Cの下流側に配置されていれば紫外線照射機構202の個数並びに配設位置は任意である。例えば、連続して配設された4つのラインヘッド201、…に対して1つの紫外線照射機構202を設けるようにしても良いし、連続して配設された3つのラインヘッド201、…に対して1つの紫外線照射機構202を設けるようにしても良いし、連続して配設された2つのラインヘッド201、201に対して1つの紫外線照射機構202を設けるようにしても良い。なお、上記各々の場合にあっても、変形例1及び変形例2において例示したように、ラインヘッド201と紫外線照射機構202との全ての間に、光トラップ207若しくは紫外線吸収部208が設けられることとなる。
【0076】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、上記実施の形態では、記録ヘッド1(ラインヘッド201)のノズル面12(212)への紫外線入射量を低減させるために、光トラップ7(207)若しくは紫外線吸収部8(208)によって、記録ヘッド1側に入射してくる一次反射紫外線を捕捉若しくは吸収するようようにしたが、これに限られるものではない。例えば、紫外線照射機構2(202)の紫外線光源21(221)から照射され、記録媒体P上に吐出されたインクの硬化に関与しない紫外線のうち、記録媒体Pの記録面やキャリッジ3の下面にて反射を繰り返すことで、記録ヘッド1側に入射していき、ノズル面12及びその吐出口のインクを増粘させたり硬化させたりする紫外線であれば如何なるものも、光トラップ7によって捕捉若しくは紫外線吸収部8によって吸収可能である。
【0077】
また、上記実施の形態では、紫外線吸収部71(8)は、紫外線吸収率の高い材料から構成するようにしたが、これに限られるものではなく、紫外線を吸収する材料を含んで構成されていれば良い。例えば、紫外線吸収率の高い材料を所定の割合で含んだ混成物から紫外線吸収部71(8)を構成するようにしても良い。
【0078】
さらに、上記実施の形態では、4色のインクに対応するように4つの記録ヘッド1若しくはラインヘッド201を設ける構成としたが、これに限られるものではなく、記録ヘッド1並びにラインヘッド201の個数は任意である。
【0079】
なお、紫外線光源21を線状の光源とする場合において、紫外線照射機構2(202)並びに記録ヘッド1(ラインヘッド201)は、ノズル列の両端部が紫外線光源21(221)の長手方向に沿った両端部よりも内側に位置するように配設されるのが好ましい。すなわち、紫外線光源21は、その長手方向に沿った紫外線の照射強度の分布状態が異なっており、照射強度は、紫外線光源21の長手方向に沿った略中央部における位置を中心としたピークをもち、前記略中央部から離れるにしたがって小さくなる。このため、画像記録において、紫外線光源21の長手方向に沿った両端部の略真下を通過する記録媒体P上のインクに対しては、硬化に十分な照射強度の紫外線が照射されない虞があるためである。
また、記録媒体Pの搬送方向(副走査方向)の下流側に対応する紫外線光源21の端部は、ノズル列の前記搬送方向の下流側に対応する端部に対して記録媒体Pの搬送方向に沿って十分に下流側に位置するのが好ましい。すなわち、例えばインクがカチオン硬化性を有するインクであり、キャリッジ3の一度の走査において、記録媒体P上の所定領域A(「所定領域A」とする。;図示略)内のインクに対して十分な照射強度の紫外線が照射されない場合であっても、上記のような構成とすることで、前記所定領域Aに搬送方向に沿って隣接し所定領域Aよりも搬送方向の上流側に位置する記録媒体P上の所定領域B(「所定領域B」とする。;図示略)に対する紫外線の照射が行われる際に、所定領域Aの略真上を紫外線光源21の搬送方向の下流側の部分が通過し、紫外線光源21から照射された紫外線が所定領域Aのインクに入射する。これにより、所定領域Aのインクに対してインクの硬化に十分な照射エネルギーを付与可能となる。
【0080】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、紫外線照射部から照射された紫外線のうち、記録ヘッドから記録媒体上に吐出されたインクの硬化に関与しない紫外線、例えば記録媒体の表面にて反射した紫外線等が、記録ヘッド側に入射してきても、光トラップの画像記録状態の記録媒体側に向かって開口した部分から光トラップの内部へと入射する。このとき、光トラップの内部に入射した紫外線は、この光トラップの内部にて反射を繰り返すことで減衰していく。このようにして、記録ヘッド側に入射してくる紫外線を光トラップによって捕捉することで、ノズル面への紫外線の入射量を低減できる。
これにより、ノズル面へ入射した紫外線と、ノズル面及びその吐出口のインクとの反応に基づく、ノズル面及びその吐出口内のインクの増粘や硬化を防止して、ノズルの吐出不良を生じ難くすることができる。結果として、インクの安定吐出を長期にわたって行える。
【0081】
請求項2に記載の発明によれば、紫外線吸収部にて、光トラップの内部へと入射してきた紫外線を吸収することにより、紫外線を光トラップにて確実に捕捉できる。
【0083】
請求項3に記載の発明によれば、紫外線照射部に、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、熱陰極管、冷陰極管並びに発光ダイオードのうちいずれか1つが備えられている場合であっても、紫外線照射部から照射された紫外線のノズル面への入射量を確実に低減できる。
【0084】
請求項4に記載の発明によれば、カチオン硬化性のインクであっても、紫外線照射部から照射された紫外線のノズル面への入射量を確実に低減できるので、カチオン硬化性のインクがノズル面及びその吐出口内にて増粘したり硬化したりすることを防止できる。
【0085】
請求項5に記載の発明によれば、記録方式が、シリアル方式若しくはライン方式であっても、紫外線照射部から照射された紫外線のノズル面への入射量を確実に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された第1の実施の形態のインクジェットプリンタの要部構成を示した斜視図である。
【図2】図1のインクジェットプリンタに備わるキャリッジを示した斜視図である。
【図3】図2のキャリッジの副走査方向に沿った断面部を模式的に示した図である。
【図4】図2のキャリッジに備わる紫外線照射機構、光トラップ、記録ヘッドを示す拡大断面図である。
【図5】図2のキャリッジに備わる光トラップの形状を具体的に示した斜視図である。
【図6】本発明が適用された第2の実施の形態のインクジェットプリンタに備わる紫外線照射機構、紫外線吸収部、記録ヘッドを示す拡大断面図である。
【図7】変形例1のインクジェットプリンタに備わるヘッド部を模式的に示した斜視図である。
【図8】図7のヘッド部に備わるラインヘッドの長手方向に沿った断面部を模式的に示した図である。
【図9】変形例2のインクジェットプリンタに備わるヘッド部を模式的に示した斜視図である。
【符号の説明】
100 インクジェットプリンタ
1、1a、1b 記録ヘッド
201 ラインヘッド(記録ヘッド)
11、211 ノズル
2、2a、2b、202 紫外線照射機構(紫外線照射部)
21、221 紫外線光源
7、207 光トラップ
71 紫外線吸収部
8、208 紫外線吸収部
P 記録媒体
Claims (5)
- 紫外線が照射されることで硬化するインクをノズルから記録媒体に向けて吐出する記録ヘッドと、前記記録媒体上に吐出されたインクに紫外線を照射する紫外線照射部とを備え、前記ノズルから記録媒体に向けてインクを吐出し、当該記録媒体に着弾したインクに前記紫外線照射部から紫外線を照射して画像記録を行うインクジェットプリンタであって、
前記記録ヘッドと前記紫外線照射部との間に、前記紫外線照射部から照射された紫外線を捕捉する光トラップが備えられ、
前記光トラップは、画像記録状態の前記記録媒体側に向かって開口した容器状に形成されていることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記光トラップの内面には、紫外線を吸収する材料を含んで構成された紫外線吸収部が設けられていることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1又は2に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記紫外線照射部は、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、熱陰極管、冷陰極管並びに発光ダイオードのうちいずれか1つを備えることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
インクは、カチオン硬化性を有することを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
記録方式は、シリアル方式若しくはライン方式であることを特徴とするインクジェットプリンタ。
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