JP4258893B2 - キャッピングヘッド - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明はキャッピングヘッドに係り、より詳しくは、キャップを保持して回転し容器の口部に巻き締めを行うスクリューキャッパのキャッピングヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、スクリューキャッパは、回転体の外周寄りに円周方向等間隔で設けられ、キャップを保持して回転する複数のキャッピングヘッドと、各キャッピングヘッドの下方に配置され、キャップが装着される容器を保持してキャッピング時に容器が回転することを規制する容器保持手段とを備えている。そして、前記キャッピングヘッドは、駆動源からの回転力を伝達されて回転するスピンドルと、キャップを外周側から押圧して保持するキャップ保持体を備えたチャックと、チャックが保持しているキャップを容器に締め付ける際の締付トルクが所定の大きさになると、スピンドルからチャックへの回転力の伝達を遮断するマグネットクラッチ等のトルクリミッタとを備えている。
【0003】
キャップを保持するチャックとして、従来から各種の構成のものが用いられており、例えば、特開平4−154586号公報、特開平8−244886号公報等に記載されたエアチャックは、環状のキャップ保持体または環状体を複数に分割した形状のキャップ保持体をケース内に収容し、圧力室に導入されるエア圧により進退動するピストンの作動によって、前記キャップ保持体を半径方向内方側に押し出し、キャップの外周面に圧接させてこのキャップを保持するようになっている。また、特公平7−2513に記載されたチャックは、カップ型枠内に、三方の放射状にほぼL型の係止片を軸支させ、これら係止片の内周に係止爪を設けて有り、これら係止片の外周に内方へ付勢する環状ばねを弾圧的に係合させている。このチャックは、係止爪がキャップ外周の縦溝に係合したときにキャップを保持するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
スクリューキャッパのチャックとして前記構成のエアチャックを用いた場合には、圧力室にエアを導入してピストンを作動させ、キャップ保持体を内周側に移動させてキャップを保持するようになっているので、応答が遅く、スクリューキャッパの高速化に対応できないという問題があった。
【0005】
また、係止爪をキャップの外周の溝に係合させて保持するタイプのチャックの場合には、マグネットクラッチ等のトルク規制装置を用いたスクリューキャッパに使用するとキャップを傷つけてしまうおそれがあった。つまり、マグネットクラッチを介してスピンドルの回転をチャックに伝達する構成の場合には、スピンドルおよびチャックが一体的に回転してキャップを容器に巻き締め、所定の締め付けトルクに達すると、マグネットクラッチによりスピンドルからチャックへの回転力の伝達が遮断されてキャッピングが終了するが、その後、チャックがキャップを離すと、再びマグネットクラッチがつながってチャックが回転を始めるため、キャップを傷つけてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は前記課題を解決するためになされたもので、スクリューキャッパの高速化に対応することができ、しかも、キャッピング終了後にキャップを離す際にこのキャップを傷つけるおそれのないチャックを有するキャッピングヘッドを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るキャッピングヘッドは、キャップの外周面に圧接されてこのキャップを保持するキャップ保持体と、このキャップ保持体に向かって進退動し、前進時にキャップ保持体をキャップ方向へ押し出すピストンと、導入された流体圧によりピストンをキャップ保持体方向に付勢する圧力室とを備え、昇降手段により下降されて前記キャップ保持体によりキャップを保持して容器への巻き締めを行うものであって、さらに、前記ピストンを、圧力室に導入される流体圧よりも小さい力でキャップ保持体方向に付勢する付勢手段を設け、キャッピングヘッドの下降に伴って付勢手段の付勢力に抗してキャップをキャップ保持体に保持させ、その後、圧力室に流体圧を導入してキャップを巻き締めるようにしたものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す実施の形態により本発明を説明する。図1は本発明の一実施の形態に係るキャッピングヘッドを備えたスクリューキャッパの全体の構成を簡略化して示す平面図、図2はキャッピングヘッドの縦断面図である。この実施の形態では、搬送コンベヤ2によって連続的に搬送されてきた容器4は、タイミングスクリュー6によって所定の間隔に切り離され、入口スターホイール8を介してスクリューキャッパ10内に搬入される。
【0009】
スクリューキャッパ10は、回転体(図示せず)の外周寄りの上部に、円周方向等間隔で複数のキャッピングヘッド(全体として符号12で示す)が設けられており、これら各キャッピングヘッド12の下方には、キャッピング時に容器4を保持してその回転を規制する容器グリッパ(図示せず)がそれぞれ設けられている。前記入口スターホイール8からこのスクリューキャッパ10内に搬入された容器4は、容器グリッパによって一本ずつ保持される。入口スターホイール8からスクリューキャッパ10内への容器搬入部Aよりも上流側に、キャップ供給装置14が配設されており、後に説明するキャッピングヘッド12のチャックがこのキャップ供給装置14のテーブル14a上からからキャップ16を取り出して保持する。
【0010】
キャップ16を保持しているキャッピングヘッド12は、回転しつつ下降して下方の容器グリッパに保持されている容器4の口部にキャップ16を装着し、キャッピング終了後、チャック26がキャップ16を離して上昇する。キャップ16が装着された容器4は、出口スターホイール18を介して排出コンベヤ20上に排出され、次の工程に送られる。
【0011】
次に、キャッピングヘッド12の構成について説明する。前記スクリューキャッパ10の回転体に支持されて回転駆動される第1スピンドル22の下端に、ほぼ筒状のハウジング24が固定され、この筒状ハウジング24内に、前記チャック26が下端部に取り付けられた第2スピンドル28が相対的に昇降可能に支持されている。上方の第1スピンドル22は、サーボモータ等の回転手段(図示せず)によって回転されるとともに、カム等の昇降手段(図示せず)によって昇降される。なお、これら回転手段および昇降手段は、前記構成に限定されるものでないことは言うまでもない。
【0012】
下方の第2スピンドル28は、筒状ハウジング24の中心部に配置された内筒30内に昇降可能に嵌合している。第2スピンドル28の外面にはキー32が固定され、前記内筒30の内面に形成された軸方向の長溝30a内に摺動自在に嵌合しており、第2スピンドル28は内筒30と回転方向に連結されるとともに相対的に昇降できるようになっている。また、内筒30はボールベアリング34,36,38を介して筒状ハウジング24内に支持されており、筒状ハウジング24に対して相対回転可能になっている。
【0013】
内筒30の上端部外周に、有底筒体40が底面40aを上方に向けて固定されて、第1スピンドル22の下端部内に挿入されている。この有底筒体40の底面40aと、有底筒体40内に上端部が嵌合された第2スピンドル28の上端面との間にスプリング42が弾装され、第2スピンドル28を常時下方へ付勢している。
【0014】
筒状ハウジング24の内部には、マグネットクラッチ44が設けられており、所定以下の回転トルクでは、軸芯部の第2スピンドル28およびこれと一体回転する内筒30と、上方の第1スピンドル22およびこの第1スピンドル22に固定されている外周側の筒状ハウジング24とを連結して一体的に回転させ、キャップ16の締め付け終了時のように、チャック26に加えられるトルクが設定値以上になると、上方の第1スピンドル22および筒状ハウジング24と、その内部の第2スピンドル28およびチャック26との連結を切り離すことにより、第1スピンドル22から第2スピンドル28への回転の伝達を遮断してチャック26の回転を停止させる。
【0015】
第2スピンドル28に取り付けられているチャック26は、第2スピンドル28の下端に連結された軸状の通路部材46と、この通路部材46の外周に、開口部を下向きにして固定されたカップ状のケース48と、このケース48の開口部に内方向きに形成された水平ガイド部48aと、この水平ガイド部48a上に載置され、半径方向に進退動可能なキャップ保持体50と、ケース48のキャップ保持体50よりも内部側(図2および図3の上方)に挿入されたピストン52とを備えている。
【0016】
前記ピストン52は、内周面が通路部材46の外周面に摺動自在に嵌合するとともに、外周面がケース48の内周面に摺動自在に嵌合しており、通路部材46の外周に嵌着されたシール部材54とピストン52外周に嵌着されたシール部材56とにより気密が保持されて、その上端面とケース48の底面側との間に圧力エアが導入される圧力室58が形成されている。軸状の通路部材46の内部には、前記圧力室58に連通するエア通路46aが形成されている。エア通路46aは図示しないバルブを介して圧力エア供給源に接続されており、このエア通路46aから圧力室58にエアが導入されると、ピストン52はケース48内のキャップ保持体50側に付勢されて前進する。ピストン52は、ガイドピン60によって回転を規制されるとともに進退動を案内される。
【0017】
キャップ保持体50は、図4に示すように、ステンレス製の環状体を3分割した形状の3個の円弧状部材50Aからなっている。各円弧状部材50Aの外周側の中央部には、上方に向かって内周側に傾斜するテーパ面50aが形成されており、前記ピストン52の下端部内面に形成された同一の傾斜を有する3個所のテーパ面52aにそれぞれ当接している。従って、ピストン52が圧力室58内に導入されたエアあるいは後に説明するスプリング62によって、ケース48の開口部に設けられた水平ガイド部48a方向へ移動すると、キャップ保持体50を構成する各円弧状部材50Aは、半径方向内方へ押し出される。さらに、各円弧状部材50Aの内面50bは、下側が次第に拡開するように湾曲しており、これら3個の円弧状部材50Aからなるキャップ保持体50の内部にキャップ16を受け入れやすいようになっている。また、各円弧状部材50Aの内面はローレットが形成されており、しかも、先端が尖った山状ではなく、大きいRを有するローレットになっている。
【0018】
さらに、前記圧力室58内にはスプリング62が収容されて、ピストン52を常時ケース48の開口部方向、すなわちキャップ保持体50方向に向けて付勢している。このスプリング62は、前記圧力室58に導入したエアによってピストン52を移動させる力よりも弱い力でピストン52を付勢している。正確には、このスプリング62によって付勢されたピストン52がキャップ保持体50を内周方向へ押し出してキャップ16の外周に圧接させる力が、キャップ16単体を保持可能であるが、キャップ締め付け時のトルクは確保できないような大きさにスプリング力が設定されている。
【0019】
スプリング62の力によって、ピストン52を介して内周側に押し出されているキャップ保持体50の3個の円弧状部材50Aは、キャップ16を保持していない状態では、各々の端面が互いに接触しており、この状態での内径が、保持されるキャップ16の外径よりもやや小さくなっている。
【0020】
以上の構成のキャッピングヘッド12を備えたスクリューキャッパ10の作動について説明する。搬送コンベヤ2によって連続的に搬送されてきた容器4は、タイミングスクリュー6によって所定の間隔に切り離され、入口スターホイール8を介してスクリューキャッパ10内に搬入され、図示しない容器グリッパにより保持される。
【0021】
この容器4を保持した容器グリッパの上方に位置しているキャッピングヘッド12は、容器搬入位置Aよりも上流側に設けられたキャップ供給装置14で、図示しない昇降手段によって下降され、テーブル14a上に供給されたキャップ16を保持する。キャッピングヘッド12の下端に取り付けられているチャック26は、キャップ保持体50がスプリング62のスプリング力によって内周側に押し出された状態になっており、このチャック26が下降すると、キャップ16がキャップ保持体50の下部の湾曲した内面50bに当接し、キャッピングヘッド12の下降に伴って、各円弧状部材50Aをスプリング62に抗して放射方向に押し広げ、これら円弧状部材50Aの内部に嵌入する。キャップ保持体50の内部にはまり込んだキャップ16は、スプリング62の弱い力で保持される。このようにスプリング62によって常時キャップ保持体50を閉じた状態にしておき、その内部にキャップ16をはめ込むようにしたので、チャック26の応答速度が問題になることがなく、スクリューキャッパ10の高速化に対応することができる。
【0022】
キャッピングヘッド12のチャック26がキャップ16を保持した後、図示しないエア供給源から前記圧力室58にエアを供給する。このエア圧力によりピストン52を強い力で押圧し、キャップ保持体50にキャッピング時の締め付けトルクに耐えられる強さの押圧力を付与してキャップ16を保持させる。キャップ16を保持しているキャッピングヘッド12が、回転移動して前述の容器搬入位置Aに到達し、その下方に配置された容器グリッパに容器4が供給されると、キャッピングヘッド12は回転しつつ下降する。なお、前記圧力室58に導入するエア圧を調整することにより、キャップ16が必要とする保持トルクを変更することができる。
【0023】
キャッピングヘッド12が下降して、チャック26が保持しているキャップ16が容器4の口部にかぶせられると、キャップ16の締め付けが開始する。キャップの締め付けが行われ、その締め付けトルクが所定の大きさに達すると、マグネットクラッチ44の作用により、上方の第1スピンドル22から下方の第2スピンドル28への回転駆動力の伝達が遮断されてキャップ16の巻き締めが終了する。
【0024】
その後、キャッピングヘッド12を上昇させる際に、前記圧力室58内のエアを開放する。圧力室58内のエアが開放されると、キャップ16を保持する力がスプリング62だけになるので、マグネットクラッチ44が再びつながって第2スピンドル28およびチャック26が回転を始める。しかしながら、キャップ保持体50の保持力はきわめて小さく、しかも、キャッピングヘッド12の上昇によりキャップ保持体50が瞬時にキャップ16から外れるので、キャップ16が傷つくことはない。特に、圧力室58の流体圧によってキャッピング時の締め付けトルクに耐えられる強さの押圧力を付与することが出来るので、キャップ保持体50の内面のローレットを、大きいR状にすることが可能になるため、キャップ16を傷つけるおそれが少ない。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、キャップの外周面に圧接されてこのキャップを保持するキャップ保持体と、このキャップ保持体に向かって進退動し、前進時にキャップ保持体をキャップ方向へ押し出すピストンと、導入された流体圧によりピストンをキャップ保持体方向に付勢する圧力室とを備え、昇降手段により下降されて前記キャップ保持体によりキャップを保持して容器への巻き締めを行うキャッピングヘッドにおいて、前記ピストンを、圧力室に導入される流体圧よりも小さい力でキャップ保持体方向に付勢する付勢手段を設け、キャッピングヘッドの下降に伴って付勢手段の付勢力に抗してキャップをキャップ保持体に保持させ、その後、圧力室に流体圧を導入してキャップを巻き締めることにより、キャップ保持体が常時キャップを保持する状態にしておき、このキャップ保持体にキャップをはめ込むようにしたので、従来のエアチャックのようにキャップ保持体の作動に時間がかかることがなく、スクリューキャッパの高速化に対応することができる。また、キャッピング終了後に、キャップ保持体との摩擦によってキャップが傷つくことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るキャッピングヘッドを備えたスクリューキャッパの全体の構成を簡略化して示す平面図である。
【図2】前記キャッピングヘッドの縦断面図である。
【図3】前記キャッピングヘッドのチャック部を拡大して示す縦断面図である。
【図4】チャック内のキャップ保持体の平面図である。
【符号の説明】
4 容器
16 キャップ
50 キャップ保持体
52 ピストン
58 圧力室
62 付勢手段(スプリング)
Claims (2)
- キャップの外周面に圧接されてこのキャップを保持するキャップ保持体と、このキャップ保持体に向かって進退動し、前進時にキャップ保持体をキャップ方向へ押し出すピストンと、導入された流体圧によりピストンをキャップ保持体方向に付勢する圧力室とを備え、昇降手段により下降されて前記キャップ保持体によりキャップを保持して容器への巻き締めを行うキャッピングヘッドにおいて、
前記ピストンを、圧力室に導入される流体圧よりも小さい力でキャップ保持体方向に付勢する付勢手段を設け、キャッピングヘッドの下降に伴って付勢手段の付勢力に抗してキャップをキャップ保持体に保持させ、その後、圧力室に流体圧を導入してキャップを巻き締めることを特徴とするキャッピングヘッド。 - 前記付勢手段が、圧力室内に収容されたスプリングであることを特徴とする請求項1に記載のキャッピングヘッド。
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