通常、容器の金属製キャップは、天板部とその外周から垂下するスカート部(あるいは円筒部)とにより構成されている。そして、容器の口部にキャップ粗形材を被せ、その後にキャップ粗形材のスカート部をその外側からネジ成形ロールにより押圧して、容器口部のネジ山(雄ネジ部)と適合したネジ溝を有するキャップが形成される。容器の口部に被せたキャップ粗形材の天板部の成形およびネジ成形ならびに裾締め成形を行う加工をロールオンキャッピングと称しており、そのキャッピング装置の一例が、特許文献1や特許文献2に記載されている。これらの特許文献に記載されたキャッピング装置は、容器の口部に被せたネジ部の無いキャップ粗形材の外面にネジ部を成形しつつ、そのスカート部を内側に絞り込んでキャッピングを行うように構成されている。すなわち、キャップ粗形材の外側からネジ成形ロールを押圧させて、雌ネジ部(ネジ溝)の成形を行う一方、裾締めロールを容器の口部の環状凸部の下側に押圧させて、裾締めを行う。
このようなネジ成形ロールおよび裾締めロールの移動は、円錐カム(コーンカムとも言う)を昇降させ、制御された半径方向の力を作用させるネジ成形ロール開閉機構および裾締めロール開閉機構により行われる。そして、ネジ成形ロールが容器の口部に予め設けられている雄ネジ部に沿うようにキャップ粗形材の外面を転動することにより、所定の雌ネジ部がキャップ粗形材に成形される。一方、裾締めロールは、容器口部に予め形成されている環状凸部の下面に沿うように回り、その結果、キャップ粗形材に所定の裾締め部が絞り成形される。
従来から知られている前述した構造の成形ヘッドは、キャップ粗形材のネジ成形を行う2個もしくは2個以上のネジ成形ロールと、キャップ粗形材のスカート裾部を内側に絞り込んで裾締め成形を行う2個もしくは2個以上の裾締めロールとを備えている。そして、これらのロールの半径方向への移動を、前述の通り、円錐カムの昇降により行うように構成されている。
この種の装置で対象とするキャップ粗形材は、アルミ合金製やスチール製の薄板を素材とする加工性の良好なものが用いられる。そのため、ネジ成形ロールおよび裾締めロールをキャップ粗形材に押圧する押圧力は、捩りスプリングなどの弾性部材によって発生させている。それに伴って、ネジ成形ロール開閉機構および裾締めロール開閉機構は、ネジ成形ロールおよび裾締めロールをキャップ粗形材の外周面まで案内し、また後退させるように構成されている。言い換えれば、ネジ成形ロール開閉機構および裾締めロール開閉機構は、コーンカムの軸方向の移動によって、ネジ成形ロールおよび裾締めロールを中心側へ移動させ、ネジ成形ロールおよび裾締めロールがキャップ粗形材に当接した後には、それぞれの捩りスプリングの弾性力により各ロールがキャップ粗形材の外面を押圧してネジ成形と裾締め成形とが同時又は相前後して行われる構成となっている。
また、キャップの巻締めにおける、天板部のコーナー部(周縁部)の内側への絞り込み深さの寸法が、製品の内容物あるいはキャップの径、キャップの材質等によって異なっている。例えば一般のガス飲料の場合には絞り込み深さは1.5mm以上であり、またホットパック飲料をLN充填する場合には絞り込み深さは2.6mmである。各種の仕様条件に要求される絞り込み深さ寸法に応じて押圧パッドの部品が交換される。またその交換方法の簡易的な調整方法としては、押圧パッドの上面側に調整用のシムを入れる方法が知られており、そのシムの交換による寸法調整の際には、成形ヘッドを構成している加圧ユニットをプレッシャーロッドから取り外して行われている。
具体的に説明すると、図10は従来の加圧ユニット100の一例を示しており、プレッシャーブロック101は下端側が開口した円筒状の部材であって、上下動するプレッシャーロッド(図示せず)の下端部に螺合されている。その下端開口部の開口径は、対象とするキャップ(図示せず)の外径とほぼ等しく、その開口端より僅か上側に、キャップのコーナー部を所定形状に形成するためのコーナー成形段部102が形成され、そのコーナー成形段部102を境とした上側の小径の中空部に、押圧パッド103が上下動可能に収容されている。
この押圧パッド103は、プレッシャーブロック101によってキャップ粗形材のコーナー部を成形する際に、その天板部にしわが発生しないように天板部を弾性力で押圧するためのものであり、したがって図示しないスプリングなどの弾性部材によって、下方に向かって弾発支持されている。それに伴い、押圧パッド103がプレッシャーブロック101から抜け落ちないように保持するための機構が設けられている。すなわち、プレッシャーブロック101の周壁部の複数箇所(例えば二箇所)に、長孔104が形成されている。この長孔104に先端部を緩く嵌合させたスプリングピン105が、押圧パッド103の半径方向で外側に突出した状態で押圧パッド103に取り付けられている。したがってそのスプリングピン105が長孔104の内部で上下動する範囲で、押圧パッド103がプレッシャーブロック101に対して相対的に上下動するようになっている。また、押圧パッド103の上方向での位置の規制は、プレッシャーブロック101の内部に内周方向に突出させて形成した段差部106によって行うようになっている。
なお、押圧パッド103の中心部には、キャップ粗形材の成形加工をおこなうにあたって、キャップ粗形材を容器の口部(図示せず)に対して押さえ付けるプッシュピン110を貫通させる貫通孔が形成されている。その貫通孔の開口端は、キーレンチ109などの工具を挿入して係合させる非円形(例えば六角孔)の操作孔108として形成されている。
したがって上記の加圧ユニット100による絞り込み深さHの寸法は、プレッシャーブロック101の先端から押圧パッド103の上限位置を規制する段差部106までの寸法Aと、押圧パッド103の軸線方向の寸法(長さ)Bと、プレッシャーブロック101の先端位置から前記コーナー成形段部102までの寸法Cと、押圧パッド103の上端部とその上限位置を規制する前記段差部106との間に挟み込むシム107の厚さtとによって決まる。すなわち、
H=A−C−B−t
となる。そのために、絞り込み深さHを替えるためには、シム107を入れ替える必要があり、その場合には、キーレンチ109などの工具を、押圧パッド103における操作孔108に嵌合させてその工具109によって押圧パッド103を回す。そうすると、スプリングピン105が長孔104の内面に押し付けられて押圧パッド103とプレッシャーブロック101とが回転方向で一体になるので、プレッシャーブロック101に回転力が伝わってプレッシャーブロック101がプレッシャーロッドに対して回転し、プレッシャーブロックから取り外される。
上記のスプリングピン105は、基本的には、押圧パッド103がプレッシャーブロック101から抜け落ちることを防止するためのものであるから、従来一般的には二本使用されている。そのため、これらのスプリングピン105の軸を中心として押圧パッド103がブランコのように揺動し、プレッシャーブロック101の周縁部に対して傾いた状態となり易く、その傾いた状態で天板部を押圧すると、キャップ粗形材の内部に設けてあるキャップシール部が、容器の口部の全周で均一に接触しなくなり、その結果、ネジ部の巻締め不良や裾締め不良を発生させ、密封性を損なうおそれがある。
そこで、このような押圧パッドの横揺れを防止して、加圧ユニットの加圧姿勢を安定化させるために、プレッシャーブロックに対して押圧パッドを複数(6本)のスプリングピンで係止する構造のものが、例えば特許文献3に開示されている。
特開平1−99967号公報
特開昭47−41979号公報
特開2003−192091号公報
つぎに本発明の具体例を参照して説明する。本発明は、ボトル型缶等の容器の口部に被せたキャップ粗形材に、天板部の成形とネジ成形とを同時に施すいわゆるロールオンキャッピング装置に適用することができる。そのために、図1に一例を示すように、天板部の成形を行う加圧ユニット1と、ネジ成形ロール2および裾締めロール3とを有する成形ヘッド4が設けられている。
この成形ヘッド4は、成形テーブル(図示せず)に一定間隔で搭載されて搬送されているボトル型缶等の対象とする容器の上方に配置され、その容器と同速度で旋回しつつ容器に対して昇降するように構成されている。すなわち、回転かつ昇降される中空軸を主体とするスピンドルユニット5が設けられ、そのスピンドルユニット5の下端部にスピンボディー6が取り付けられている。このスピンボディー6は、例えば図1に示すように、円筒部の上下両端部のそれぞれにフランジ部を形成した構造の部材であり、そのフランジ部によってネジ成形ロール2および裾締めロール3が、開閉可能に保持されている。
上記のスピンドルユニット5の内部およびスピンボディー6の内部を中心軸線に沿って貫通したプレッシャーロッド7が設けられている。このプレッシャーロッド7は、中空軸であって、回転せずに上下動するように保持されている。そして、加圧ユニット1がそのプレッシャーロッド7の下端部に螺合して取り付けられている。
この加圧ユニット1は、キャップ粗形材の天板部におけるコーナー部を成形するプレッシャーブロック8と、その成形の際の天板部の変形を防止するための押圧パッド9とを備えている。プレッシャーブロック8は、その上端部内周面に形成した雌ネジ部10に、プレッシャーロッド7の下端部に形成した雄ネジ部11を螺合させることにより、プレッシャーロッド7に取り付けられている。また、このプレッシャーブロック8の上端部は、前記スピンボディー6の内部に挿入されており、これらプレッシャーブロック8とスピンボディー6との間は、スピンボディー6に保持されたオイルシール12によってシールされている。
さらに、プレッシャーブロック8の下端側の部分は、筒状に形成されており、その内部に押圧パッド9が所定範囲内を上下動できるように収容されている。より具体的に説明すると、図2に示すように、プレッシャーブロック8の下端開口部は全体として円形の開口部であって、その内周部は、キャップ粗形材のコーナー部に環状溝を成形するように、断面凸状になっている。その断面凸状部に続く上側の部分は、ストレートな円筒部13とされている。このストレートな円筒部13に続く上側の部分が、異形断面(例えば六角形断面)の係合孔部14とされている。そして、円筒部13と係合孔部14との境界部分が、これらの部分の径が異なることにより、内周側に凸となっている段差部15を形成している。
一方、押圧パッド9は、前記ストレートな円筒部13に摺動可能に嵌合している円盤状のパッド部16と、前記係合孔部14に軸線方向にのみ摺動自在に嵌合している断面六角形の係合軸部17とを備えている。これら係合孔部14の内面と係合軸部17の外面とがこの発明の係合部となっており、したがってプレッシャーブロック8と押圧パッド9とは、軸線方向に相対的に摺動可能に組み付けられているが、回転方向に対しては一体化されている。
押圧パッド9は、弾性力によってキャップの天板部を押圧するように構成されており、そのためのスプリング18が押圧パッド9のパッド部16の上面側に配置されている。また押圧パッド9がプレッシャーブロック8から抜け出ることを阻止するための機構が設けられている。すなわち、前記ストレートな円筒部13の複数箇所(例えば直径方向で対向する二箇所または放射方向に三箇所以上)に上下方向に長く、かつ半径方向に貫通した長孔19が形成されている。そして、この長孔19に少なくとも上下方向に移動できるように緩く嵌合したスプリングピン20が、押圧パッド9におけるパッド部16に、半径方向に突出した状態で取り付けられている。したがってこのスプリングピン20と長孔19とで押圧パッド9の下限位置が規定されている。これに対して押圧パッド9の上限位置は、パッド部16の上面が前記段差部15に当接することにより規定するようになっている。
実質的な成形加工に先立ってキャップ粗形材を押さえるプッシュピン21が、前記プレッシャーロッド7の内部に保持されており、このプッシュピン21の先端部は、プレッシャーブロック8および押圧パッド9をその中心軸線に沿って貫通している。なお、このプッシュピン21は、その後端部に配置されたスプリング22によって押圧されており、したがって加圧ユニット1に対して相対的に後退できるようになっている。押圧パッド9には、このプッシュピン21を貫通させるための貫通孔が形成されており、その貫通孔の下端側の部分は、キーレンチなどの回転工具(図示せず)を挿入して係合させるための六角孔(すなわち操作部)23となっている。
前記ネジ成形ロール2および裾締めロール3を駆動あるいは開閉するための機構は、従来のキャッピング装置における機構とほぼ同様である。これを、簡単に説明すると、図3に示すように、各ロール2,3のピボット軸25,26とが、それぞれ直径方向で互いに対向する位置で、スピンボディー6に保持されている。各ピボット軸25,26の上端部に揺動アーム(図示せず)が取り付けられるとともに、その揺動アームの先端部にカムフォロアー(図示せず)が取り付けられ、そのカムフォロアーが、軸線方向に上下動するコーンカム(図示せず)に接触している。一方、各ピボット軸25,26の下端部には開閉アーム27,28が取り付けられ、その開閉アーム27,28の先端部に、中心軸線を上下方向に向けてネジ成形ロール2及び裾締めロール3が保持されている。なお、各ロール2,3は、キャップの材質がアルミ合金製の場合には、DLCコーティングされ、スチール製の場合には、TiNコーティングされている。またスプリング24によって軸線方向に対して保持されており、成形加工の際に所定範囲で弾性的に上下動できるようになっている。そして、各ピボット軸25,26に捩りコイルスプリング(図示せず)が外嵌され、その弾性力によって各ロール2,3が成形ヘッド4の半径方向で内側に移動するように荷重を受け、その結果、前記カムフォロアーがコーンカムに当接するようになっている。したがってコーンカムが上下動することによって各ピボット軸が回転し、それに伴って各ロール2,3が成形ヘッド4の半径方向に前後動するようになっている。すなわち各ロール2,3が開閉するようになっている。
つぎに上記の成形ヘッド4を有する本発明のキャッピング装置の作用について説明する。図4の(a),(b),(c)は、ボルト型缶29の口部30に被せたキャップ粗形材31に成形加工を施している状態を示している。そのボトル型缶29は、アルミニウムあるいはアルミ合金などの金属板に絞りしごき成形を施して缶胴およびそれに続く肩部ならびに口部30を形成したものであって、この口部30の開口端には外巻カールが成形されている。さらに、その外巻カールの下側に続く部分には、雄ネジ(ネジ山)32が形成され、その下側の部分に環状凸部33が形成されている。
これに対してキャップ粗形材31は、アルミ合金製やスチール製などの金属薄板を成形加工したものであって、天板部34と円筒状のスカート部35とを備えており、天板部34の内面には、シール材36が設けられている。また、スカート部35の下端部は、ピルファープルーフバンド部37とされている。
キャップ粗形材31が口部30に被せられたボトル型缶29が、前述した成形ヘッド4の下側に供給されると、これら全体が所定の軸心を中心に回転しつつ、先ず成形ヘッド4が下降し、その下端側に突出するプッシュピン21がキャップ粗形材31の天板部34に当接する。その結果、キャップ粗形材31がボトル型缶29に対して押さえ付けられる。成形ヘッド4が更に下降すると、プッシュピン21が前述したスプリング22を圧縮しつつ、成形ヘッド4に対して相対的に上昇する。すなわち、プッシュピン21が下降することなく、成形ヘッド4が下降する。その状態を図4の(a)に示してある。
成形ヘッド4と共に加圧ユニット1が更に下降すると、押圧パッド9がキャップ粗形材31の天板部34に当接し、押圧パッド9の上側に配置してあるスプリング18の弾性力によって押圧パッド9がキャップ粗形材31に押し付けられる。すなわち、キャップ粗形材31の周辺部分が、押圧パッド9によって押さえ付けられて固定される。その状態を図4の(b)に示してある。
そして、成形ヘッド4が更に下降すると、押圧パッド9がキャップ粗形材31の天板部34に当接して下降が規制されているので、プレッシャーブロック8が押圧パッド9に対して下降し、その下端開口部がキャップ粗形材31のコーナー部に当接してそのコーナー部を環状溝となるように押圧して成形する。その状態を図4の(c)に示してあり、コーナー部の成形加工に伴ってシール材36が口部30における外巻カールに対して押し付けられるので、確実にシールされる。また、このようなコーナー部の成形の際には天板部34の周辺部が押圧パッド9によって押さえ付けられているので、しわなどの変形が生じることが防止される。なお、プレッシャーブロック8が下限位置まで下降した状態では、押圧パッド9におけるパッド部16の上面が、プレッシャーブロック8の内部に形成されている段差部15に当接し、プレッシャーブロック8が押圧パッド9を押し付ける。
図5に示すように、プレッシャーブロック8による成形加工の後に、もしくはほぼ同時に、各ロール2,3が閉じられ、ネジ成形ロール2がキャップ粗形材31のスカート部35の外周面に押し付けられ、また裾締めロール3がスカート部35の下端部の外周面に押し付けられ、その状態でキャップ粗形材31の外周を旋回する。その結果、ネジ成形ロール2がスカート部35を、口部30に形成されている雄ネジ32に沿って変形させてネジ成形する。また、裾締めロール3がスカート部35の下端部を、口部30における環状凸部33の下側に係合するように絞り変形させる。
こうして一連の成形加工が終了すると、先ず、各ロール2,3が開いて半径方向で外側に後退し、その後、成形ヘッド4と共に加圧ユニット1が上昇して、成形されたキャップから離れる。
本発明に係る上記のキャッピング装置においても、プレッシャーブロック8によるキャップ粗形材31のコーナー部の絞り成形深さは、上記のパッド部16の上面と段差部15との間に挟み込むシム(図示せず)の厚さによっても調整することができる。そのために、加圧ユニット1をプレッシャーロッド7に対して着脱する場合、回転工具を押圧パッド9の下面中心部に形成されている六角孔23に挿入して係合させ、その回転工具によって押圧パッド9を回転させる。その押圧パッド9とプレッシャーブロック8とは、前述したように、係合軸部17の外面と係合孔部14の内面とによって回転方向で一体化されているので、押圧パッド9がプレッシャーブロック8に対して相対回転することがない。結局、回転工具によって押圧パッド9を回転させれば、加圧ユニット1の全体が一体となって回転するので、プレッシャーロッド7から取り外すことができ、またプレッシャーロッド7に対して螺着させることができる。そして、その着脱操作において、スプリングピン20が長孔19の内面に押し付けられたり、それに伴ってスプリングピン20に剪断力が作用したりすることはない。
本発明は、押圧パッド9とプレッシャーブロック8とをその軸線方向への相対的な摺動部において、回転方向に対して一体化させるように構成した点に特徴があり、したがってこの発明における係合部は、上述した係合孔部14とここに嵌合した係合軸部17とによる構造に限定されない。すなわち、図6に示すように、滑りキー38を用いた構成としてもよい。すなわち、図6に示す構成は、プレッシャーブロック8における係合孔部14Aが円筒状に形成され、また押圧パッド9のパッド部16と一体に形成されている係合軸部17Aが円筒軸状に形成され、これら係合孔部14Aと係合軸部17Aとが互いに摺動可能に嵌合している。
そして、係合孔部14Aの内面と係合軸部17Aの外面との互いに対向する箇所に軸線方向に向けたキー溝がそれぞれ形成され、そのキー溝に滑りキー38が挿入されている。したがって滑りキー38を介して押圧パッド9とプレッシャーブロック8とが回転方向で一体化されている。他の構成は、上述した図1ないし図3に示す構成と同様である。
したがって図6に示すように構成した場合であっても、回転工具を押圧パッド9の六角孔23に係合させて押圧パッド9を回転させる場合、その押圧パッド9とプレッシャーブロック8とが滑りキー38によって、回転方向で一体化されているので、押圧パッド9がプレッシャーブロック8に対して相対回転することがない。そのため、スプリングピン20は長孔19に緩く嵌合した状態に維持され、スプリングピン20に剪断力が作用することはない。
上述した各具体例は、押圧パッド9のいわゆる抜け止めをスプリングピン20と長孔19とによって行うように構成した例であるが、本発明は、上記のスプリングピン20を使用しない構成とすることができる。その例を図7に示してある。ここに示す例は、プレッシャーブロック8をアッパー8Uとロアー8Lとの上下に分割した構造とし、そのロアー8Lの上端部によって、プレッシャーブロック8の内部に段差部39を形成し、押圧パッド9と一体の部材をその段差部39に係合させて押圧パッド9の抜け止めを行うように構成したものである。
具体的に説明すると、アッパー8Uはプレッシャーロッド7に螺合する雌ネジ部10を形成した円筒部分と、それより下側に延びた径の大きい円筒部分とを有しており、その大径の円筒部分の下端部内周面に雌ネジが形成されている。これに対してロアー8Lは、前記押圧パッド9を収容し、かつ下端開口部がキャップ粗形材31の上部コーナー部の形成を行う成形部とされた円筒状の部材であって、その上端部が前記アッパー8Uの内側に挿入されてアッパー8Uにおける雌ネジ部に螺合している。したがってロアー8Lの上端部は、アッパー8Uの雌ネジ部に螺合する雄ネジ部を形成してあることにより、ある程度の肉厚の円筒状をなしているので、その上端部がアッパー8Uの内面とによって段差部39を形成している。
さらに、押圧パッド9における係合軸部17の内周側には、上端部が外側に突出したスリーブ40が同軸上に螺合して取り付けられている。そしてその外側に突出した上端部が、前記段差部39に上側から係合する係止部41となっている。すなわちその係止部41が段差部39に引っ掛かることにより、押圧パッド9がプレッシャーブロック8から抜け出ないようになっている。なお、図7において符号42はエアー抜きを示している。また、符号43はセットスクリューを示し、アッパー8Uとロアー8Lとの螺合部に先端部が突出してこれらアッパー8Uとロアー8Lとの相対回転を阻止している。他の構成は、図1ないし図3に示す構成と同様である。
したがって図7に示す構成では、スプリング18の弾性力によって押圧パッド9が押し下げられると、これと一体のスリーブ40における上端の係止部41が、プレッシャーブロック8の内周側に突出している段差部39に係合し、それ以上に押し下げられることが阻止される。すなわち、押圧パッド9がプレッシャーブロック8に対していわゆる抜け止めされる。また、プレッシャーブロック8および押圧パッド9をプレッシャーロッド7に対して着脱するべく回転させる場合、プッシュピン21を押し上げて回転工具を押圧パッド9の六角孔23に係合させ、その回転工具によって押圧パッド9を回転させる。その押圧パッド9とプレッシャーブロック8のロアー8Lとは、それぞれ六角断面の係合軸部17と係合孔部14とが嵌合して回転方向に対して一体化されており、しかもそのロアー8Lとアッパー8Uとが互いに螺合するとともにその螺合部がセットスクリュー43によって相対回転しないようになっているので、押圧パッド9を回転工具によって回転させることにより、プレッシャーブロック8が一体となって回転する。
このように、図7に示す構成では、前述したスプリングピンやこれに相当するピン状の部材を必要としないので、スプリングピンを使用していたことに伴う前述した従来の各種の問題を未然に防止することができる。
上述した図1および図2あるいは図6、図7に示すように、回転工具を係合させる操作部である六角孔23に続く上側の貫通部分は、六角孔23より径が小さく、したがって両者の間に段差部が生じる。図8に示す例は、このような段差部を利用して押圧パッド9の下限位置を規制するように構成した例である。すなわち、プレッシャーブロック8の内部には、プッシュピン21を貫通させた中央スリーブ44が同軸上に配置されている。その中央スリーブ44の上端部の外周面に雄ネジ部が形成され、その雄ネジ部をプレッシャーブロック8に形成された雌ネジ部に螺合させることにより、中央スリーブ44がプレッシャーブロック8に取り付けられている。
また、この中央スリーブ44の下端部は、外側に突出した段差部45を形成している。なお、この段差部45の外周面は円筒面として形成されている。これに対して、プッシュピン21が貫通している貫通孔の下端部は、六角断面の六角孔46となっている。
他方、押圧パッド9に形成されている操作部としての六角孔23は、中央スリーブ44の下端部の円筒面に外接する六角形もしくはそれより幾分大きい六角形の孔として形成されている。その六角孔23に続く上側の貫通部は、中央スリーブ44の円筒状軸部の外径とほぼ等しい円形断面の貫通孔であり、したがって六角孔23とその貫通孔との境界部分は、内周方向に突出し、前記段差部45より小径の係止部47となっている。すなわちこの係止部47が段差部45に上側から係合し、その結果、押圧パッド9がプレッシャーブロック8に対して抜け止めされてその下限位置が規制されるようになっている。したがって中央スリーブ44が本発明の移動規制部材に相当する。なお、他の構成は、図1ないし図3に示す構成と同様である。
したがって図8に示す構成では、スプリング18の弾性力によって押圧パッド9が押し下げられると、その六角孔23の上端部に半径方向で内側に突出して形成されている係止部47が、中央スリーブ44の下端部に半径方向で外側に突出して形成されている段差部45に係合し、それ以上に押し下げられることが阻止される。すなわち、押圧パッド9がプレッシャーブロック8に対していわゆる抜け止めされる。また、プレッシャーブロック8および押圧パッド9をプレッシャーロッド7に対して着脱するべく回転させる場合、プッシュピン21を押し上げて回転工具を押圧パッド9の六角孔23に係合させ、その回転工具によって押圧パッド9を回転させる。その押圧パッド9とプレッシャーブロック8とは、それぞれ六角断面の係合軸部17と係合孔部14とが嵌合して回転方向に対して一体化されているので、押圧パッド9を回転工具によって回転させることにより、プレッシャーブロック8が一体となって回転する。
このように、図8に示す構成では、前述したスプリングピンやこれに相当するピン状の部材を必要としないので、スプリングピンを使用していたことに伴う前述した従来の各種の問題を未然に防止することができる。しかもプレッシャーブロックを分割しないでも、押圧パッドの抜け止めが可能になるため、図7に示す構成より部品点数が少なくて済み、また着脱及び分解組立作業が容易となる。
なお、上記の各具体例では、押圧パッドとプレッシャーブロックとを円周方向(あるいは回転方向)で一体化させる係合部として滑りキーや六角断面の孔部および軸部を示したが、本発明における係合部は、要は、押圧パッドとプレッシャーブロックとが相対回転しないような構成であればよく、したがって例えば円弧面の一部に平坦面を形成した構成としてもよく、あるいは楕円形断面、矩形を含めた多角形断面、スプライン形状として構成してもよい。また、本発明において回転工具を係合させる操作部は六角孔に限定されないのであって、要は、回転工具を回転方向に対して一体化するように係合させ得る構造であればよく、星形断面の孔部やスリット状もしくは十字状の孔部、さらには回転中心に対して対称位置に設けたいわゆる複数の係合孔などであってもよい。
次に、図9に示す例は、押圧パッドに回転工具を係合させる六角孔(操作部)を必要としない加圧ユニット1の構成を示した例である。すなわち、プレッシャーロッド7がスピンドルユニット(図示せず)から下方へ加圧ユニット1を取り付けたまま取り外せるキャッピング装置の場合、プレッシャーブロック8の外周部に直接、回転工具によって回転させる任意の形状の操作部を設けることができるため、押圧パッドに回転工具用の操作部を設ける必要はない。そのため、押圧パッド9における係合軸部とプレッシャーブロック8の係合孔部とが嵌合して回転方向に対して一体化させる係合部は不要となる。
それ以外は実質的に図8の構成と同じであり、スプリング18の弾性力によって押圧パッド9が押し下げられると、半径方向で内側に突出して形成されている係止部47が、中央スリーブ44の下端部に半径方向で外側に突出して形成されている段差部45に係合し、それ以上押し下げられることが阻止される移動規制手段をもつ構成は同じであり、同じ部分には同じ符号を付している。
具体的に説明すると、プレッシャーブロック8および押圧パッド9をプレッシャーロッド7と一体的にキャッピング装置本体側から着脱する場合には、本体側の連結機構(図示せず)を操作してプレッシャーロッド7を加圧ユニット1を取り付けたまま下方に引き抜くことになるが、プレッシャーブロック8によるキャップ粗形材31のコーナー部の絞り成形深さを調整する場合には、本体側の連結機構を操作することなく中央スリーブ44のプッシュピン21が貫通している貫通孔の下端部に形成された六角断面の六角孔46に回転工具を係合させて中央スリーブ44を着脱することにより行うことができる。
つまり、押圧パッド9をプレッシャーブロック8から取り外すことにより、押圧パッド9の上限位置を規制するための段差部50又は51との間にシム部材(図示せず)を挟み込み、スプリング18、押圧パッド9をプレッシャーブロック8内に挿入して中央スリーブ44をプレッシャーブロック8に装着する手順でキャップ粗形材31のコーナー部の絞り成形深さを調整することが可能となり、調整作業は容易となる。
さらに、図9に示す構成では、図8に示す構成の加圧ユニットの効果に加えてキャップ外径(φ38以上)の大きいキャップをキャッピングする場合でも、押圧パッド9の軽量化を図ることができ、またピン部材の摩擦抵抗などもないことにより、押圧パッドの動作不良を未然に防止でき、高速化に対応できるだけでなく、キャップのいわゆる斜めかぶりといった巻締め不良に伴う密封性不良を未然に防ぐことができる。
1…加圧ユニット、 2…ネジ成形ロール、 3…裾締めロール、 4…成形ヘッド、 5…スピンドルユニット、 7…プレッシャーロッド、 8…プレッシャーブロック、 18…スプリング、 9…押圧パッド、 14,14A…係合孔部、 15…段差部、 17,17A…係合軸部、 23…六角孔(操作部)、 29…ボトル型缶、 31…キャップ粗形材、 34…天板部、 35…スカート部、 38…滑りキー、 39,45…段差部、 40…スリーブ、 44…中央スリーブ、 47…係止部。