このように、円錐カム面とこれに追従して移動する従動部材を円錐カムのカム面で規制する従来のキャッピング方法においては、形成ヘッドと容器の口部との相対的な芯ズレがあっても、ガラス瓶などのように剛性のある容器であれば、成形ヘッドの回転軸に容器口部の軸心が調心されてネジ成形上の問題は生じなかったが、最近市場に流通している金属製ボトル型容器のようにガラス瓶に比べて剛性の低い容器の場合には、成形ロールがキャップ粗形材の外面を転動する際に、部分的に強く当たる片当たりが生じて容器口部を変形させ易いという問題があった。具体的には、ネジ成形ロールがキャップの外面を転動する際に、比較的容器口部の剛性が低い容器の場合には、ネジ成形ロールの押圧荷重が強く掛けられず、また、1台のキャッピング装置で2度巻きする場合は、ネジ成形ロールの押圧荷重を1度巻きに比べて小さめに設定されるため、成形ヘッドと容器口部との芯ズレが解消出来る程には調心されない。例えば、図6(B)に示すように、P1、P2位置では、従動部材14が円錐カム25の縮径部(図6の斜線が引かれている部分)に沿って回転し正常なネジ切り作業が行えるが、P3、P4位置では、従動部材14が円錐カム25の縮径部により半径方向の移動が規制されているため、ネジ成形ロールを所望の深さまで押し込めない。なお、図6で符号2はネジ成形ロールを示し、符号3は裾締めロールを示し、符号42は容器口部を示す。
このように、円周方向でネジ深さのバラツキが生じ易く、また所望の形状のネジ溝が得られ難いという問題があった。この問題に対して、有効な提案がなされていないのが実情である。
また、従来のネジ成形方法では、ネジ成形の際に、円錐カムの昇降に伴いカム面に沿って単一面内を回転するカムフォロアー(従動部材)が回転しながら半径方向に移動する際、相対的にカムフォロアーは円錐カム面上を螺旋状に回転移動することになるため、カムフォロアーの滑らかな回転が得られ難くなる。すなわち、カムフォロアーは、カム面の周りを円周方向に回転するためのものであり、円錐カムとカムフォロアーとの相対的な上下方向の移動に対しては、両者の接触部位で相対的な滑りが不可避的に生じる。
このような滑りが原因となって、カムフォロアーと円錐カム面との間で摩擦抵抗が生じ、それに伴いネジ成形ロールや裾締めロール、あるいはカムフォロアーを保持している成形ヘッド(スピンボディー)に微小振動が生じたり、スピンボディーの内側に配置されキャップの天板部を押圧する加圧ユニットもその影響を受けて微小振動を起こし、瞬間的に上下変動が起こり易くなる。
一方、ネジ成形作業において、キャップ天板部を加圧する打栓圧により、容器肩部と口部のつなぎ部分に挫屈が生じ易い比較的剛性の低いボトル型容器の場合、強い打栓圧が掛けられない。したがって、このように比較的剛性の低いボトル型容器のキャッピングを1台のキャッピング装置で、その天板部の押圧状態を維持したまま、複数回のネジ成形あるいは裾締め成形を行おうとすると、上述のように、円錐カムと従動部材との間で摩擦抵抗が生じ、成形中にキャップを押圧する打栓圧が変化してしまうため、安定したキャッピング作業を行えなえず、キャップのレトルト密封性が低下するなどの問題がある。このような問題に対しても有効な提案がなされていない。
本発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、薄板を素材とするボトル型容器などの比較的剛性の低い容器を対象とするネジ成形作業においてもネジ成形不良や密封性不良を生じることなく安定したキャッピング作業を行うことのできるキャッピング方法及びキャッピング装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、金属製の容器口部に金属製のキャップ粗形材を被せ、そのキャップ粗形材における天板部を前記容器口部に向けて押圧した状態で、前記キャップ粗形材の外側からネジ成形ロールを押圧させて、前記キャップ粗形材のネジ成形を行うキャッピング方法において、円錐カムの昇降に伴ってその円錐カムの半径方向に移動する従動部材を介して前記ネジ成形ロールを前記キャップ粗形材の周面に対して移動させ、前記ネジ成形ロールが前記キャップ粗形材の周面に接触して捩りバネによる成形荷重を作用させているネジ成形の間、前記従動部材を前記円錐カムのカム面に向けて伸縮可能な緩衝部材を介して伸縮させ、前記ネジ成形ロールの半径方向の移動を規制することなく円錐カムのカム面と接触させることを特徴とするキャッピング方法である。
また、請求項2の発明は、前記従動部材は、前記円錐カムのカム面に向けて前記緩衝部材の弾性力によって押圧され、かつ前記緩衝部材の弾性力を前記捩りバネの弾性力より小さい10N〜80Nの範囲に設定したことを特徴とする請求項1記載のキャッピング方法である。
また、請求項3の発明は、金属製の容器口部に被せられた金属製のキャップ粗形材の天板部を上側から押さえ付ける加圧ユニットの外周側に上下方向に向けてピボット軸が配置されるとともに、そのピボット軸から半径方向に延びたレバーに、前記キャップ粗形材のスカート部を押圧してネジ成形するネジ成形ロールが取り付けられるとともに、前記ピボット軸から半径方向に延びたアームに従動部材が取り付けられ、その従動部材が摺接するカム面を有するとともに上下動することにより前記従動部材を半径方向に移動させる円錐カムが設けられ、さらに前記ネジ成形ロールを前記キャップ粗形材側に移動させかつ前記従動部材を前記円錐カム側に移動させるように前記ピボット軸に弾性的に回動力を付与する捩りバネが設けられたキャッピング装置において、前記従動部材が、前記カム面側に突出する球状回転部と、その球状回転部を前記捩りバネの弾性力より小さい弾性力で突出方向に押圧する緩衝部材と、その緩衝部材に抗した前記球状回転部の後退量を所定量に規制する後退位置規制部材とを有していることを特徴とするキャッピング装置である。
請求項1に係る本発明の方法によれば、成形ヘッドと容器の口部との相対的な芯ズレがあっても、金属製ボトル型容器のようにガラス瓶に比べて剛性の低い容器の場合、ネジ成形ロールがキャップ粗形材の外面を転動する成形の間、従動部材が半径方向に移動する規制を行わないようにする。その結果、容器口部に沿ってネジ成形ロールの成形荷重が作用するため所望するネジ深さに成形することができる。また、部分的に強く当たる片当たりが防げ安定した正常なネジ部の成形が可能となる。また、成形ヘッドと容器の口部との相対的な芯ズレがあった場合でも、必要以上に成形荷重を掛けることなくキャッピング作業が行えるので、容器口部の変形を防止でき、容器の薄肉化への対応が可能になり、材料の合理化にとって有利となる。
また、円錐カムに対して、ネジ成形ロールを半径方向内側への移動、あるいは外側へ移動の際は、常時、従動部材を円錐カムのカム面に当接させておくことができ、ネジ成形の間だけ、円錐カム面と従動部材との間に隙間を積極的に形成させるので、キャッピング作業の際に、成形ヘッドと容器の口部との相対的な芯ズレがあっても、ネジ成形ロールを容器口部に沿わせてネジ成形することが可能となり、ネジ深さのバラツキが少なく、また所望のネジ溝形状が得られ安定したキャッピング作業が行えるという効果を奏する。
さらにまた、キャップ粗形材の外面に接触して成形荷重を作用させているネジ成形の間、従動部材を円錐カムのカム面に向けて伸縮可能な緩衝部材を介して伸縮させ、ネジ成形ロールが半径方向に移動するのを規制することなく円錐カムのカム面と接触させて従動部材をカム面に隙間が生じないようにさせることができ、ネジ成形の際に、打栓圧の変動を防止し、安定したネジ成形を行えるので、キャッピング作業の際に、容器口部の挫屈や変形を防止でき、薄肉化容器への対応が可能となり、容器の材料の合理化にとって有利となる。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、キャッピング作業の際に、成形ヘッドと容器の口部との相対的な芯ズレがあっても、常時、従動部材を当接させておくことができる。
また、請求項3に係る本発明によれば、部品の耐久性を向上させることができるとともに、従動部材の球状回転部(例えばボール)により、衝突力の生じない滑らかな動きが得られる。また、従動部材が、円錐カムの昇降に伴い水平方向に変移する際に、円錐カムに対して相対的に螺旋状に円錐カム面上を転動することになるが、従動部材の球状回転部が自由な方向に回転するボール形状であるから、水平方向にのみ回転する従来のカムフォロアーに比べ、円錐カムと従動部材との間で発生する摩擦抵抗を軽減することができ、円錐カムが昇降する際の打栓圧の変動を防止するとともに、安定したネジ成形を行える。しかも従動部材が緩衝部材を介して円錐カム面に対して隙間なく弾発支持されることから、円錐カムが昇降するとき円錐カム面に従動部材が衝突的に当接することのない滑らかな動きとなるので、部品の耐久性を向上させることできる。また、キャッピング装置の各成形ヘッド毎の高度な機械精度が不要となり経済的である。
つぎに本発明の具体例を説明する。先ず、本発明に係る装置について説明すると、本発明は、ボトル型容器等の容器の口部に被せたキャップ粗形材に、天板部の成形とネジ成形とをほぼ同時に施すいわゆるロールオン成形を行うキャッピング装置に適用することができる。そのために、図1に一例を示すように、天板部の成形を行う加圧ユニット1と、ネジ成形ロール2及び裾締めロール3とを有する成形ヘッド4が設けられている。
この成形ヘッド4は、成形テーブル(図示せず)に一定間隔で搭載されて搬送されているボトル型容器等の対象とする容器の上方に配置され、その容器と同速度で旋回しつつ容器に対して昇降するように構成されている。すなわち、回転かつ昇降される中空軸を主体とするスピンドルシャフト5が設けられ、そのスピンドルシャフト5の下端部にスピンボディー6が取り付けられている。このスピンボディー6は、例えば図1に示すように、円筒部の上下両端部のそれぞれにフランジ部を形成した構造の部材であり、下側のフランジ部7に四つ(二対)の円筒状の軸受部8が、円周方向に一定の間隔をあけて、かつ中心軸線を上下方向に向けて形成されている。これらの軸受部8のうち直径方向で互いに対向する一対の軸受部8に、ネジ成形ロール2のためのピボット軸9が挿入されて回転自在に保持されている。そのピボット軸9の下端部に、本発明におけるレバーに相当する開閉アーム10が、半径方向に延びた状態に取り付けられている。そして、各開閉アーム10の先端部に、ネジ成形ロール2が、その軸線を上下方向に向けて、かつ容器口部の雄ネジのリード角に合わせ傾斜させて回転自在に保持されている。
また、他の一対の軸受部8に、裾締めロール3用のピボット軸11が挿入されて回転自在に保持されている。そのピボット軸11の下端部に、本発明におけるレバーに相当する開閉アーム12が、半径方向に延びた状態に取り付けられている。そして、各開閉アーム12の先端部に、裾締めロール3が、その軸線を上下方向に向けて回転自在に保持されている。
さらに、上述した四本のピボット軸9,11の上端部に揺動アーム13が半径方向に延びた状態で取り付けられている。そして、各揺動アーム13の先端部に、従来のカムフォロアーに代わって機能する従動部材14が、前記スピンドルシャフト5の中心軸線に向けて取り付けられている。図2にその取り付け状態を示してある。
図3は、従動部材14の具体的な構成を示しており、ケーシング15の内部に、本発明の球状回転部を構成するボール(鋼球の他特殊金属球やセラミック球等のφ10〜φ20の球体が用いられる)16が収容されている。そのケーシング15は、内径がボール16の外径とほぼ等しい円筒状の部材であって、先端部が、ボール16の外径より小さい開口部となるようにテーパー状に形成されている。さらにこのケーシング15の外周面には雄ネジ17が形成されており、各揺動アーム13の先端部に形成されたネジ孔18に螺合させられている。その状態で、ケーシング15の後端部外周にロックナット19を螺着することにより、ケーシング15が揺動アーム13に対して前後方向に移動調整可能に固定されている。
前記ボール16をテーパー状の開口部に向けて押圧するためのボール受けコマ20が、各ケーシング15の内部に前後動自在に収容されている。そのボール受けコマ20は、ケーシング15の内径とほぼ等しい外径の円板状部の正面に、球面状に窪んだ受け座20aが形成され、かつこれとは反対の背面の中心部に軸部21を突設した構造の部材であって、このボール受けコマ20をボール16側に押圧する弾性体が設けられている。具体的には、圧縮コイルスプリング22が軸部21の外周側に嵌合させられている。
さらに、この圧縮コイルスプリング22の反力を受けるための部材としてセットスクリュー23が、ケーシング15の後端側の開口部に螺着されている。このセットスクリュー23は、後述する通り、前記軸部21を当接させてボール16の後退位置を規制するようにも機能し、したがって本発明における後退位置規制部材に相当している。その後退量は、図3に示すように、ボール16が圧縮コイルスプリング22に押圧されて最前進位置にある状態で、前記軸部21とセットスクリュー23の内側の面との間隔αである。この後退量αは、機械精度を考慮して適宜設定されるが、この後退量αを必要以上にとると、円錐カム使用の場合、カム面の傾斜角が大きい場合には、ケーシングとカム面とが干渉する虞が考えられるので、後退量αを1mm以下にすることが好ましく、0.2〜0.8mm程度にするのがより好ましい。
前記スピンドルシャフト5の外周側に、該スピンドルシャフト5に対して図示しないカム部材により相対的に上下動させられるスリーブ24が設けられており、このスリーブ24の下端部に円錐カム(コーンカム)25が取り付けられている。その円錐カム25は、一例として図1に示すように、下端部の外径が大きく、それより上側の部分が次第に小径となるテーパー形状のカム面26を備えている。そして、そのカム面26に前記従動部材14におけるボール16が当接するように弾性力が付与されている。すなわち、前述した各ピボット軸9,11に捩りバネ27が嵌装されており、その捩りバネ27の一端部がピボット軸9,11に係合し、かつ他端部がスピンボディー6もしくはこれと一体の部材に係合し、その結果、捩りバネ27の弾性力が各ピボット軸9,11及びこれに取り付けた各アーム10,13に作用するようになっている。なお、前記従動部材14が円錐カム25に接触する方向の揺動は、各ロール2,3がキャップ粗形材(図示せず)に接近する方向の揺動である。そして、この捩りバネ27による弾性力(一例として約118N)に対して、前記従動部材14に内蔵されている圧縮コイルスプリング22の弾性力(好ましくは10〜80N)が小さくなるように構成されている。
上記のスピンドルシャフト5の内部及びスピンボディー6の内部を中心軸線に沿って貫通したプレッシャーロッド28が設けられている。このプレッシャーロッド28は、図示しない上方位置で吊り下げ状態で保持された中空軸であって、回転せずに上下動する。そして、加圧ユニット1がそのプレッシャーロッド28の下端部に螺合して取り付けられている。なお、プレッシャーロッド28とスピンドルシャフト5との間のクリアランスは、0.03〜0.05mm程度に設定され、実質的に滑り接触状態で組み込まれている。
この加圧ユニット1は、キャップ粗形材の天板部におけるコーナー部を成形するプレッシャーブロック29と、その成形の際の天板部の変形を防止するための押圧パッド30とを備えている。プレッシャーブロック29は、その上端部内周面に形成した雌ネジ部に、プレッシャーロッド28の下端部に形成した雄ネジ部を螺合させることにより、プレッシャーロッド28に取り付けられている。また、このプレッシャーブロック29の上端部は、前記スピンボディー6の内部に挿入されており、これらプレッシャーブロック29とスピンボディー6との間は、スピンボディー6に保持されたオイルシール31によってシールされている。
さらに、プレッシャーブロック29の下端側の部分は、筒状に形成されており、その内部に押圧パッド30が所定範囲内を上下動できるように収容されている。その押圧パッド30は、弾性力によってキャップの天板部を押圧するように構成されている。また押圧パッド30がプレッシャーブロック29から抜け出ることを阻止するためのスプリングピン33が設けられている。また、実質的な成形加工に先立ってキャップ粗形材を押さえるプッシュピン34が、前記プレッシャーロッド28の内部に保持されており、このプッシュピン34の先端部は、プレッシャーブロック29及び押圧パッド30をその中心軸線に沿って貫通している。
つぎに、上述したキャッピング装置の作用、すなわち本発明の方法について説明する。図4はボトル型容器40のロールオンキャッピングの状態を模式的に示しており、図4の右半分はネジ成形加工前の状態、左半分はネジ成形の加工状態をそれぞれ示している。天板部と円筒状のスカート部とを有するキャップ粗形材41は、ボトル型容器40の口部42に被せた状態で、ボトル型容器40と共に成形ヘッド4の下方に供給される。その状態で成形ヘッド4の全体が下降することにより、先ず、前述したプッシュピン34がキャップ粗形材41をボトル型容器40の口部42に対して押さえ付け、その状態で加圧ユニット1がキャップ粗形材41にまで下降してキャップ粗形材41のコーナー部の絞り成形が行われる。
この状態では、円錐カム25が相対的に上昇した位置にあり、その下端側の大径の部分に従動部材14におけるボール16が接触している。すなわち、従動部材14が半径方向で外側に押されているので、各ロール2,3はそれぞれのピボット軸9,11と共にキャップ粗形材41から離れる方向に揺動した位置に保持されている。したがって前記捩りバネ27の弾性力が、全て、従動部材14に作用する。その捩りバネ27による弾性力に対して、従動部材14に内蔵されている圧縮コイルスプリング22の弾性力が小さいから、圧縮コイルスプリング22が圧縮されて、ボール16がボール受けコマ20と共に後退している。そのため、ボール受けコマ20に形成されている軸部21がセットスクリュー23に当接して後退位置が規制されている。
前記加圧ユニット1によるキャップ粗形材41のコーナー部の成形がほぼ完了し、かつ加圧ユニット1がキャップ粗形材41を押圧している状態すなわちキャップ粗形材41に打栓圧を加えている状態で、前記円錐カム25が従動部材14に対して相対的に下降する。従動部材14は、前述した捩りバネ27によって円錐カム25に向けて押圧されているので、円錐カム25の下降に伴ってカム面26での接触位置が半径方向で内側に後退すると、従動部材14はそのカム面26の形状に追従して半径方向で内側に移動する。その場合でも、従動部材14に内蔵されている圧縮コイルスプリング22が圧縮されて、前記軸部材21の端部がセットスクリュー23に当接した状態に維持される。
従動部材14の上述した移動と共に各ピボット軸9,11が揺動するので、ピボット軸9,11に開閉アーム10,12を介して取り付けてあるネジ成形ロール2および裾締めロール3が、キャップ粗形材41の周面に接触する方向に移動する。すなわち、各ロール2,3の開閉機構が閉じる方向に動作する。図4の左半分に示してあるように、ネジ成形ロール2がキャップ粗形材41の周面(すなわちスカート部)に接触すると、円錐カム25は更に下降を続けてカム面26が半径方向で内側に移動する。そのため、捩りバネ27の弾性力による押圧荷重がキャップ粗形材41に作用する。これと併せて成形ヘッド4がスピンドルシャフト5と共に回転するので、各ロール2,3がキャップ粗形材41の外面を公転する。その結果、ネジ成形ロール2は、ボトル型容器40の口部42の外周に形成されている雄ねじ部に倣うようにキャップ粗形材41の周面にネジ成形を施す。また、図4には示していないが、裾締めロール3がスカート裾部を絞り成形する。
このようにしてキャップ粗形材41の成形加工を行っている状態では、捩りバネ27の弾性力がキャップ粗形材41に作用し、一方では、円錐カム25のカム面26とこれに追従して移動する従動部材14との間の隙間は生じない。すなわち、圧縮コイルスプリング22が自らの弾性力で伸長してボール16がケーシング15の先端側(開口部側)に押し出されるため、ボール16がカム面26に接触している状態が維持され、両者の間に隙間が生じることはない。言い換えれば、このような隙間のない状態を維持するように、各アーム10,12,13の各ピボット軸9,11に対する取付角度(位相)が調整されている。
ネジ成形及びスカート裾部の絞り成形が終了すると、円錐カム25がスピンドルシャフト24と共に上昇するので、従動部材14は、カム面26の形状に合わせて半径方向で外側に押される。したがってこれと同様に、各ロール2,3がキャップから離れるように半径方向で外側に移動させられる。その場合、ボール16がカム面26に接触し続けているので、ボール16や従動部材14に衝突的な荷重が作用することはない。また、ボール16とカム面26との接触は、いわゆる点接触の状態になるとともにボール16が回転し、しかもボール16の回転方向は全方向に回転できるので、従動部材14の移動方向と円錐カム25の移動方向とが直交する方向であっても、円錐カム25の上昇に伴って両者の間に生じる摩擦抵抗や加圧ヘッド1に対する引き上げ力が小さくなる。その結果、キャップに作用させてあるいわゆる打栓圧が低下したり、微小振動が生じたりすることが防止もしくは抑制される。そのため、上述したネジ成形や裾締め加工を、加圧ヘッド1によってキャップを押圧したまま、再度行う場合であっても、ネジ巻きされたキャップの密封性を損なうことなく、再成形加工を行うことができる。すなわち、1台のキャッピング装置で2度巻きするキャッピング方法に最適である。
また、円錐カム25が昇降する毎に従動部材14がカム面に接したり離れたりすることなく、ネジ成形ロール2がキャップ周面に接触して成形荷重を作用させている成形の間においても従動部材14がカム面26に接している。この状態から円錐カム25が上昇する際に、従来のように従動部材14が円錐カム面26に衝突的に接触することが防止できる。また従動部材14を備えるスピンボディー6あるいは加圧ユニット1が瞬間的に変動するのを回避することが可能となる。したがって、ボトル型容器等の剛性の低い容器では、微小振動あるいは瞬間的な変動に伴う打栓圧の変動による容器胴部や口部の挫屈や変形を回避でき、キャップによるレトルト密封性が低下する等の問題を解消することが可能となる。
また、本発明の装置では、成形ヘッド4の従動部材14が、ネジ成形の都度、円錐カム面26に衝突することがなく、従動部材14や円錐カム25、あるいはこれらに関連する各種の部品に作用する負荷が低減し、そのため関連部品あるいは装置自体の耐久性を向上させることができる。
なお、キャップについてのネジ成形が全て終了すると、加圧ユニット1が引き上げられて、キャップの押圧が解除され、その後、ボトル型容器40が図示しない成形テーブルから所定箇所に排出される。
図5は、キャップ粗形材41が無い状態を示しており、右半分は円錐カム25が従動部材14に対して相対的に上昇している状態、左半分は下降した状態をそれぞれ模式的に示している。前述したように、各ロール2,3がキャップ粗形材41に接触していない状態では、捩りバネ27の弾性力が全て従動部材14に作用し、その結果、従動部材14に内蔵されている圧縮コイルスプリング22が圧縮される。したがってキャップ粗形材41が無い状態で円錐カム25が従動部材14に対して相対的に下降すると、従動部材14のケーシング15が圧縮コイルスプリング22を圧縮したままカム面26に接近する。これに対してカム面26は、前述したように、テーパー形状であるから、ケーシング15の下側の部分(図5に符号Pで示す部分)がカム面26に接近する。その接近の状態は、ボール16がケーシング15に対して後退する寸法に依存している。そこで、ケーシング15とカム面26との干渉(接触)を回避するために、後退量(すなわち前記軸部21とセットスクリュー23の内面との間隔)αが、前述した寸法に設定されている。
なお、本発明の方法及び装置で対象とする容器は、上述したボトル型容器に限定されず、容器胴部と底部が一体となった容器や、容器胴部の下端開口部に底蓋を巻締め一体化した容器など適宜の形状の容器に適用できる。また、ネジ成形を行うロールは、一対である必要はなく、容器口部の変形を防ぐ観点からロール数を増やすことが好ましく、必要に応じてネジ成形ロールと裾締めロールの合計数を5個以上としたものを用いることができる。さらに、本実施形態の装置では、ネジ成形ロールをキャップ外面に接触させて成形荷重を作用させている間、球状回転部をカム面に緩衝部材を設けて当接させているキャッピング装置を例示したが、従動部材として、従来の単一面内を回転するカムフォロアーを用いることも勿論可能であり、その場合には、耐挫屈性のある容器口部にキャッピングする場合を考慮して、ネジ成形ロールをキャップ外面に接触させて成形荷重を作用させている間、ネジ成形ロールの半径方向の移動を規制しないようにする必要があり、ネジ成形ロールの半径方向の移動を規制しないようにする手段として、半径方向に伸縮機能を有していない従動部材を半径方向に制御移動するカムの縮径部(斜線部分)の外面から図6(A)に示すように積極的に隙間を設けるようにすることが必要である。
さらに、本発明の従動部材における球状回転部を押圧する弾性部材は、圧縮コイルスプリングに限らず皿バネなど他の適宜の弾性手段を用いてもよく、また捩りバネはコイルスプリングに限らない。またさらに、本発明における後退位置規制部材は、前述したセットスクリュー以外に、ケーシングに取り付けられた位置調整の可能な適宜の部材であってよい。
1…加圧ユニット、 2…ネジ成形ロール、 3…裾締めロール、 4…成形ヘッド、 5…スピンドルシャフト、 6…スピンボディー、 9,11…ピボット軸、 10,12…開閉アーム、 13…揺動アーム、 14…従動部材、 16…ボール、 22…圧縮コイルスプリング、 23…セットスクリュー、 25…円錐カム(コーンカム)、 26…カム面、 27…捩りバネ、 40…ボトル型容器、 41…キャップ粗形材。