JP4258856B2 - 抗癌性複合体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は高分子プロドラッグ化による抗癌性複合体に関し、さらに詳しくはコンドロイチン硫酸に抗癌性物質が結合してなる抗癌性複合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
白金錯体であるシスプラチンは1970年代後半より臨床試験が進み、幅広い固形癌に抗腫瘍スペクトルを示し、現在でもなお各種固形癌の化学療法剤として広く使用されている。しかし、一方ではシスプラチンは重篤な腎毒性、骨髄抑制作用を有しており、シスプラチンの投与日数や投与量の制限を余儀なくされている。そのためこれまで毒性軽減を目的とした高分子結合体の検討、誘導体の開発が行われてきた。
【0003】
例えば、癌細胞へ特異的に抗癌性物質を到達させるために、癌細胞に対して親和性を有する高分子物質に抗癌性物質を結合させた高分子プロドラッグが提案されている。高分子プロドラッグに使用される高分子物質(以下担体という)としては、デキストラン等の多糖類、アルブミン等の蛋白、ペプチド類、及びポリエチレングリコール等の合成高分子が知られている。
【0004】
ところが、ペプチド類及び合成高分子を担体とした場合、担体自身の毒性が問題となっている。また、デキストランを担体とした場合は、デキストランが抗癌性物質を結合させる官能基を持たない中性多糖類であることから、抗癌性物質の結合にスペーサーが必要となり、製造工程が複雑になるとともにスペーサー自身の毒性が問題となる。このデキストランを担体とした場合の問題点を解決する方法として、デキストランのアルドヘキソピラノース環を酸化剤で開裂し、得られた酸化デキストランに抗癌性物質を結合させる方法が特開昭 63-264427号公報に開示されている。しかし、前記の酸化デキストランに抗癌性物質を結合させた抗癌性複合体を静脈用注射剤として用いるためには、デキストランの開裂に用いた酸化剤(例えば過ヨウ素酸ナトリウム)を透析して取り除く必要があり、大量生産が困難な問題があった。
【0005】
また、カルボキシル基及び/又は硫酸基を持つ多糖類と白金錯体を結合させる方法が特開平2-135201号公報に開示されているが、この方法も白金錯体を水溶液中で硝酸銀と反応させて生じた沈澱物を取り除いて、水分子が白金に配位している白金錯体、すなわちアコ体を生成しなければならず、反応時間も長いことから大量生産には適していないし、得られた白金錯体も十分な毒性軽減効果を発揮することができなかった。ターゲッティング療法に利用されている抗癌剤として、高分子プロドラッグの他に抗体−抗癌性複合体が提案されている。これは、癌に対する標的指向物質として抗体を利用したもので、例えば、特開昭 62-221637号公報には抗癌性物質と抗体を結合させるためのスペーサーとしてアルギン酸を利用する方法が開示されている。これは、アルギン酸を酸化剤で酸化して生じたアルデヒド基に、抗癌性物質を結合させるもので、酸化デキストランを用いた高分子プロドラッグと同様に酸化剤を透析等で取り除かねばならず大量生産が困難であるとともに、得られた複合体も抗癌効果を低下させないで毒性軽減効果を発揮することができなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は従来の高分子プロドラッグや抗体−抗癌性複合体にみられる課題を解決するために鋭意研究した結果、抗癌性物質と複合体を形成するコンドロイチン硫酸の特定の分子量を使用することによって、抗癌性活性を低下させないで毒性軽減効果を発揮することを見出し本発明に到達した。
本発明の目的は抗癌性物質、特にシスプラチンの抗腫瘍効果を低下させることなく毒性、特に腎毒性に対して明確な毒性軽減効果を有する抗癌性複合体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、分子量 5,000〜100,000 のコンドロイチン硫酸または/およびその塩と抗癌性物質とが結合してなる抗癌性複合体である。また、コンドロイチン硫酸はコンドロイチン硫酸AまたはCが好ましく、抗癌性物質はシスプラチンである抗癌性複合体が好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に係わるコンドロイチン硫酸は、グルクロン酸、イズロン酸、N-アセチルガラクトサミン硫酸等を主要構成成分とした多糖であり、硫酸基の位置や構成糖の種類などにより、コンドロイチン硫酸A、C、D、E、H、K等があり、水に対する高い溶解度、低毒性、体内蓄積性がない、免疫原性がない等の機能性を満たし、薬剤を結合する官能基を有している、さらに至適な分子サイズが選択できる等、担体として要求される諸性質を備えている。コンドロイチン硫酸は塩の形態でも使用することができ、ナトリウム塩、カリウム塩等として使用される。用いられるコンドロイチン硫酸または/およびその塩はコンドロイチン硫酸A〜Kのいずれの種類でも良いが、特にAまたはCが好ましい。本発明の課題である抗癌性物質の抗腫瘍効果を低下させることなく毒性に対して毒性軽減効果を有するためには、コンドロイチ硫酸の平均分子量は 5,000〜 100,000、好ましくは 6,000〜80,000、更に好ましくは10,000〜60,000である。コンドロイチ硫酸の平均分子量が 5,000未満であると抗腫瘍効果が低下する傾向があり、 100,000を超えると毒性軽減効果がなくなる傾向がある。コンドロイチン硫酸と抗癌性物質の結合割合は、コンドロイチン硫酸の繰り返し糖残基の5〜100 %が抗癌性物質と結合していることが好ましい。
【0009】
抗癌性物質としては、カルボプラチン、ジクロロ−エチレンジアミン−プラチナ(II)−マロネ−ト、ジクロロ−エチレンジアミン−プラチナ(II)−サルフエ−ト、ジイソプロピルアミノ−トランス−シス−ジクロロ−プラチナ(IV)、(−)−(R)−2−アミノメチルピロリジン(1,1−シクロブタンジカルボキシレ−ト)プラチナ(II)−モノハイドレ−ト、シス−ジアミングリコレ−トプラチナ等が挙げられる。抗癌性物質はコンドロイチン硫酸の繰り返し糖残基と結合するが、直接結合できない抗癌性物質は、適当な化合物を反応させて反応性官能基を導入すればよい。特に、コンドロイチン硫酸は2価以上の金属と容易に錯体を形成するため、抗癌性物質としては金属錯体化合物が好ましい。金属錯体化合物の中でもシスプラチンは、優れた抗腫瘍性を有しているが、腎臓に対する毒性および嘔吐等の副作用が頻発しており、ターゲッティング療法が望まれている抗癌性物質である。シスプラチンとコンドロイチン硫酸の結合形態は明確でないが、シスプラチンの白金原子とコンドロイチン硫酸のカルボキシル基とが反応して複合体を形成していると推測される。
【0010】
コンドロイチン硫酸または/およびその塩と抗癌性物質との反応は、コンドロイチン硫酸または/およびその塩200mg に対して抗癌性物質 0.1ミリモル〜1ミリモル、例えば、シスプラチンとして30mg〜300 mgを反応させることが好ましい。前記反応は、例えば、水またはアルカリ水溶液を溶媒として用い、コンドロイチン硫酸または/およびその塩を約 0.1〜2W/V%、シスプラチンを 0.015〜3W/V%となるように加えて、室温で12〜72時間撹拌することによって行われる。前記反応によって得られた抗癌性複合体水溶液は、ゲルろ過、イオン交換クロマトグラフィー等の方法で精製することができる。精製した抗癌性複合体水溶液は、注射用蒸留水で希釈し、解毒剤、pH調整剤、等張化剤等の添加剤を加えた後滅菌して経静脈用の注射剤として使用される。また、前記静脈注射用抗癌性複合体水溶液を凍結乾燥製剤として使用することもできる。
【0011】
シスプラチンの腎毒性を軽減するものとしてグリシン、アラニン、グルタチオン、チオ硫酸ナトリウム、ホスホマイシン、ジエチルジチオカルバメート等が既に使用されているが、本発明の抗癌性複合体は、解毒剤、pH調整剤あるいは薬理学的に許容され得る添加剤もしくは賦形剤と混合してなる医薬組成物として、注射剤以外にも経口剤、座剤、皮膚塗布剤等に使用することができる。例えば、有効成分をあらかじめ水溶液としたもの、有効成分を凍結乾燥して固形状の混合物としたもの、有効成分の水溶液を凍結乾燥して固形状としたもの、有効成分を別々に製剤とした後、組み合わせセットの形態にしたもの等が挙げられる。これらの有効成分を、公知の製剤学的製造法に準じ、必要により製剤学的に許容され得る希釈剤、賦形剤などを用い、製剤化し、一剤として投与することができる。さらにそれぞれを別々に製剤化したものを組み合わせておき、別個に同一経路または異なった経路で投与する剤形とすることもできる。
【0012】
【実施例】
以下、実施例及び試験例によって本発明の一例を具体的に説明する。
〔実施例1〕
平均分子量20,000〜30,000のコンドロイチン硫酸ナトリウム(コンドロイチン硫酸C)336mg (繰り返し糖単位として6.98×10-4モル)を蒸留水160ml に溶解し、シスプラチン(シグマ社製)160mg (5.33×10-4モル)を加えて、室温遮光下で48時間振とうした。この反応液を分画分子量 2,000の透析用チューブ(フナコシ社製)に入れ、48時間透析して遊離シスプラチンを除き、この溶液にグルコ−スを加え等張とした後、ろ過滅菌してシスプラチン−コンドロイチン硫酸複合体を得た。なお、得られたシスプラチン−コンドロイチン硫酸複合体中の白金含量は 23.22%であり、コンドロイチン硫酸繰り返し単位(2糖残基)当たり、 0.752個の白金結合量であった。シスプラチンの測定は、原子吸光光度計(Perkin-Elmer製、SIMAA-6000)にてプラチナとして定量した。なお、プラチナ定量時は、 0.9%NaClに溶解したシスプラチン(0.01〜0.5ppm)を検量線として用い、プラチナ用のデフォルトプログラムを用いた。
【0013】
〔実施例2〕
平均分子量20,000のコンドロイチン硫酸ナトリウム(コンドロイチン硫酸A)168mg (繰り返し糖単位として3.49×10-4モル)を蒸留水100ml に溶解し、この溶液にシスプラチン(シグマ社製)100mg (3.33×10-4モル)を加え室温で48時間振とうした。この反応液を分画分子量 2,000の透析用チューブ(フナコシ社製)に入れ、48時間透析して遊離シスプラチンを除き、以後実施例1と同様にして、白金結合量 24.56%(コンドロイチン硫酸繰り返し単位(2糖残基)当たり 0.813個)のシスプラチン−コンドロイチン硫酸複合体の経静脈用注射剤を得た後、凍結乾燥を行い、シスプラチン−コンドロイチン硫酸複合体を凍結乾燥粉末として得た。
【0014】
〔実施例3〕
平均分子量 6,000〜 8,000、20,000〜30,000、40,000〜80,000の3種類のコンドロイチン硫酸ナトリウム(コンドロイチン硫酸C)各336mg (繰り返し糖単位として6.98×10-4モル)をそれぞれ蒸留水160ml に溶解した後、各溶液にシスプラチン(シグマ社製)160mg (5.33×10-4モル)を加えて室温で48時間振とうした。以後実施例1と同様に処理して、コンドロイチン硫酸の分子量の異なったシスプラチン−コンドロイチン硫酸複合体の経静脈用注射剤を得た。なお、複合体の白金含量はそれぞれ、 22.38%、 25.27%、 22.95%であった。
以下、本実施例における平均分子量 6,000〜 8,000のコンドロイチン硫酸複合体をコンプレックスC1、平均分子量20,000〜30,000の複合体をコンプレックスC2、及び平均分子量40,000〜80,000の複合体をコンプレックスC3という。
【0015】
〔試験例1〕
実施例1で調製した反応溶液、シスプラチン(シグマ社製)水溶液(1mg/ml)及びコンドロイチン硫酸水溶液( 2.1mg/ml)のそれぞれ 0.2mlをゲルろ過用カラム(セファデックスG-25カラム;内径1cm×27cm、流速 0.5ml/ 分)に注入し、水を溶出液として分画分取した。シスプラチンはプラチナとして原子吸光光度計にて定量した。また、分画分取したコンドロイチン硫酸水溶液は波長210nm における吸光度を測定した。図1にそれぞれのゲルクロマトグラムを示す。図中○印はシスプラチン、△印は実施例1で得られた複合体のフラクションに対する白金の吸光度を示し、□印はコンドロイチン硫酸の波長210nm におけるフラクションに対する吸光度を示す。反応溶液のクロマトグラムとコンドロイチン硫酸水溶液のクロマトグラムがほとんど一致したことから、反応液中でシスプラチン−コンドロイチン硫酸複合体が形成されていることが明らかとなった。
【0016】
〔試験例2〕
実施例3で調製した3種類のシスプラチン−コンドロイチン硫酸複合体の経静脈用注射剤及びシスプラチン(シグマ社製)水溶液(1mg/ml)を、それぞれWistar系雄性ラット(7週齢、1群4匹)に静脈内投与し(投与量;白金として2mg/kg相当)、ヘパリン処理したヘマトクリット管を用いて経時的に尾静脈より採血した。各血液試料を遠心分離後、血漿中の白金量を原子吸光光度計(Perkin-Elmer製、SIMAA-6000)を用いて測定した。前記3種類の被験物質の白金血中濃度−時間推移を図2に示す。図中、■印はシスプラチン、●印はコンプレックスC1、▲印はコンプレックスC2、▽印はコンプレックスC3を示す。また、投与後の血漿中白金濃度−時間曲線下面積(AUC)を表1にそれぞれ示した。AUC値は平均値±SEを示し、n=4である。図2および表1から明らかなように、シスプラチン−コンドロイチン硫酸複合体投与群は、シスプラチン単独投与群に比べ投与後の各時間における白金の血漿中濃度が高く、その値はコンドロイチン硫酸の分子量が大きくなるにつれて高くなっていった。また、シスプラチン−コンドロイチン硫酸複合体のAUCは、シスプラチン投与群の約 1.5倍〜17.4倍であり、この値もコンドロイチン硫酸の分子量が大きくなるにつれて高い値を示した。これらの結果より、分子量5,000 以上のコンドロイチン硫酸を使用して得られたシスプラチン−コンドロイチン硫酸複合体が、体内滞留性に優れた生物学的有用性をもつことが明らかとなった。
【0017】
【表1】
【0018】
〔試験例3〕
実施例3で調製した3種類のシスプラチン−コンドロイチン硫酸複合体の経静脈用注射剤及びシスプラチン(シグマ社製)水溶液(1mg/ml)を、それぞれSD系雄性ラット(7週齢、1群4匹)に静脈内投与し(投与量;白金として2mg/kg 相当)、3時間後に腎臓を摘出して、腎臓中の白金量を原子吸光光度計(Perkin-Elmer製、SIMAA-6000)を用いて測定した。表2にシスプラチン−コンドロイチン硫酸複合体投与3時間後の腎臓中のシスプラチン濃度を同時間(3時間後)のシスプラチン血中濃度で除したKp値を示す。Kp値は平均値±SEを示し、n=4である。表2から明らかなように、シスプラチン−コンドロイチン硫酸複合体投与群におけるKp値は、シスプラチン投与群の1/2 から1/18と小さく、その値はコンドロイチン硫酸の分子量が大きくなるにつれて小さくなった。表2から分子量5,000 以上のコンドロイチン硫酸を使用して得られたシスプラチン−コンドロイチン硫酸複合体は腎臓への蓄積性が少ないことが明らかとなった。
【0019】
【表2】
【0020】
〔試験例4〕
実施例2で調製したシスプラチン−コンドロイチン硫酸複合体の経静脈用注射剤及びシスプラチン(シグマ社製)水溶液(1mg/ml)を、それぞれSD系雄性ラット(7週齢、1群5匹)に静脈内投与(白金として 2.6mg/kg)した。また、対照群として、生理食塩水及びコンドロイチン硫酸水溶液(6.65mg/ml)をそれぞれ投与(4ml/kg)した。投与後6日目まで尾静脈より採血して、血清中の尿素窒素(以下BUNという)を自動分析装置(7150型、日立製作所製)で測定した。図3に各被検物質投与群ののBUN推移を示す。図中、▲印はシスプラチン、●印は生理食塩水、○印は実施例2で調製したシスプラチン−コンドロイチン硫酸複合体を示す。BUN値は平均値±SEを示し、n=4である。図3から明らかなように、シスプラチン投与群のBUNは4日目には対照群の2.82倍と高値を示した。一方、本発明の実施例2のシスプラチン−コンドロイチン硫酸複合体投与群のBUNは対照群と変わらず、腎障害が少ないことが明らかになった。
【0021】
〔試験例5〕
実施例1および実施例2で調製した2種類のシスプラチン−コンドロイチン硫酸複合体の経静脈用注射剤及びシスプラチン(シグマ社製)水溶液(1mg/ml)のマウス白血病由来P388細胞、同シスプラチン耐性細胞P388/CDDP および組織球性リンパ腫由来U937細胞に対する増殖阻害効果を調べた。P388とP388/CDDP 細胞は10%仔牛血清含有RPM11640培地(GIBCO社製)にメルカプトエタノール50μM添加したものを用い、5%二酸化炭素ガス雰囲気中37℃で培養した。U937細胞は、10%仔牛血清含有RPM11640培地(GIBCO社製)にメルカプトエタノール20μM添加したものを用い、5%二酸化炭素ガス雰囲気中37℃で培養した。P388、P388/CDDP およびU937細胞を、それぞれ1×105 細胞/mlに調製し、96プレートに100 μlずつ添加した。シスプラチンあるいはシスプラチン−コンドロイチン硫酸複合体(シスプラチンとして 0.9mg/ml)10μlを添加し、5%二酸化炭素ガス雰囲気中37℃で三日間培養し、MTT法により生細胞数を定量し、シスプラチン−コンドロイチン硫酸複合体およびシスプラチンの50%腫瘍細胞阻止濃度(以下IC50という)を算出した。MTTは、5mg/ml にPBSで調製し、10μlずつ各プレートに添加後、5%二酸化炭素ガス雰囲気中37℃で4時間培養した。遠心分離して上清を除き、0.04N塩酸含有イソプロパノールを添加した後色素を溶解し、580nm の吸光度を Auto-reader(日本インターメッド製、 IMMUNO-MINI NJ-2300)で測定した。シスプラチン−コンドロイチン硫酸複合体及びシスプラチンのIC50を、腫瘍細胞抑制率曲線より求め表3に示した。表3はシスプラチン−コンドロイチン硫酸複合体及びシスプラチンの腫瘍細胞増殖阻害効果を示すものであり、IC50値は平均値±SEを示し、n=5である。表3から明らかなように、実施例1および2のシスプラチン−コンドロイチン硫酸複合体のIC50は、いずれもシスプラチンとほぼ等しい値を示し、本発明の静脈注射用抗癌性複合体がシスプラチン固有の抗腫瘍活性を保持していることが明らかとなった。
【0022】
【表3】
【0023】
【発明の効果】
本発明の抗癌性複合体は抗癌性物質単独に比べ、生物学的有用性に優れ、かつ正常組織への移行が少ない。従って、抗癌性物質固有の抗癌活性を失うことなく毒性等の副作用に対して明確な毒性軽減効果を発揮することができ、癌の化学療法に有用な抗癌剤を提供することができる。さらに、本発明の抗癌性複合体は、室温で特殊な反応を使うことなく効率よく製造できるので、工業的にも生産が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 シスプラチン−コンドロイチン硫酸複合体及びシスプラチンのゲルクロマトグラム
【図2】 シスプラチン−コンドロイチン硫酸複合体及びシスプラチンの白金血中濃度−時間推移
【図3】 シスプラチン−コンドロイチン硫酸複合体及びシスプラチン投与後のBUNの推移
Claims (3)
- 平均分子量 40,000〜80,000 のコンドロイチン硫酸とシスプラチンとが結合してなる抗癌性複合体。
- コンドロイチン硫酸がその塩からなる請求項1記載の抗癌性複合体。
- コンドロイチン硫酸がコンドロイチン硫酸AまたはCである請求項1又は2記載の抗癌性複合体。
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