JP3487561B2 - 顆粒球コロニー刺激因子誘導体 - Google Patents

顆粒球コロニー刺激因子誘導体

Info

Publication number
JP3487561B2
JP3487561B2 JP02253694A JP2253694A JP3487561B2 JP 3487561 B2 JP3487561 B2 JP 3487561B2 JP 02253694 A JP02253694 A JP 02253694A JP 2253694 A JP2253694 A JP 2253694A JP 3487561 B2 JP3487561 B2 JP 3487561B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
csf
administration
leu
solution
poly
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP02253694A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07233199A (ja
Inventor
眞人 安原
淳一 国正
祐介 谷川原
賢一 乾
了平 堀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Chugai Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Chugai Pharmaceutical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Chugai Pharmaceutical Co Ltd filed Critical Chugai Pharmaceutical Co Ltd
Priority to JP02253694A priority Critical patent/JP3487561B2/ja
Publication of JPH07233199A publication Critical patent/JPH07233199A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3487561B2 publication Critical patent/JP3487561B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、顆粒球コロニー刺激因
子(以下、G−CSFという)の誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】上記G−CSFは、分子量が19000
±1000の生理活性物質であり、顆粒球系前駆細胞に
作用して末梢血白血球中の好中球数を特異的かつ用量依
存的に増加させる働きを持つことが知られている。そし
て、G−CSFは好中球減少症治療薬として、「骨髄移
植時の好中球増加促進」、「悪性リンパ腫、肺癌、卵巣
癌および神経芽細胞腫における癌化学療法による好中球
減少症」、「先天性および突発性好中球減少症」などの
各適応症について、既に臨床応用されている(癌と化学
療法,Vol.17,P65-71,1990)。
【0003】上記臨床応用における報告では、G−CS
F20〜40μgを健常人に静脈内投与したときの血清
中のG−CSF濃度半減期は約1時間、末梢血好中球数
増加持続時間は24〜48時間であり、また同様に皮下
投与したときの血清中のG−CSF濃度半減期は約4時
間、末梢血好中球数増加持続時間は48〜72時間であ
った。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記臨
床応用においては、静脈内投与に比べて皮下投与の方は
薬効の持続性が見られるとはいうものの、必ずしも充分
とはいえない。特に上記疾患の治療には数日から数週間
に亘って毎日あるいは隔日ごとにG−CSFを投与する
必要があることから、投与量の低減および投与による苦
痛を軽減するためにも、薬効の持続性を延長するような
G−CSF誘導体の開発が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明は上記G
−CSFに比べて末梢血好中球数の増加作用が強く、且
つ血清中のG−CSF濃度が持続するようなG−CSF
誘導体を発見することで、上記疾患の治療に対するG−
CSFの投与回数および投与量を減少させることを目的
とする。
【0006】本発明者らは、両腎動静脈を結さつしたラ
ットにG−CSFの10μg/Kgを静脈内投与したと
ころ、血漿中のG−CSF濃度半減期が約4.9時間、
平均滞留時間が約5.1時間であることを認めた。これ
は、従来の実験において両腎動静脈を結さつしないラッ
トに対して同様の静脈内投与した場合の血漿中のG−C
SF濃度半減期が約0.9時間、平均滞留時間が約1.
0時間に比べてG−CSFの血漿中濃度の大幅な延長で
あり、本発明者らは、この結果からG−CSFが生体内
から消失するのに腎臓におけるクリアランス(消失機
構)が大きく関与していることを発見した。
【0007】本発明者らは、上記の知見に基づきG−C
SFの腎臓におけるクリアランスを低下させることによ
り、in vivoにおけるG−CSFの末梢血好中球
数増加作用を増強させ或いは持続させることができると
考え、ポリ(スチレンマレイン酸)を用いてG−CSF
の誘導体化を試み、調製に成功したことで本発明に至っ
たものである。
【0008】従来においても、同様の目的でポリエチレ
ングリコールによるG−CSFの誘導体化が提案されて
いる(Cancer Resesrch Vol.51,P3710-3714,1991)。G
−CSFの腎臓におけるクリアランスを低下させるには
分子量を約60000以上にする必要があるが、上記の
方法ではG−CSF1分子当たり4モル以上のポリエチ
レングリコール(分子量約10000)を結合させなけ
ればならないために、G−CSFの生物活性を大きく低
下させるおそれがあった。この点、本発明に係るポリ
(スチレンマレイン酸)によるG−CSFの誘導体は、
それ自身の分子量は約21000と推定されるが、生体
内でアルブミンと可逆的に結合し得ることから血流中で
は分子量が約90000となり、腎臓でのクリアランス
を受けることなく長時間に亘って体循環血中に留まるこ
とが可能になると考えられる(参考文献,蛋白質・核酸
・酵素,Vol.33,P33-41,1988)。
【0009】本発明におけるポリ(スチレンマレイン
酸)によるG−CSFの誘導体化は、例えば次の方法で
行うことができる。先ず、ポリ(スチレンマレイン酸)
19μgと2−2’−ジチオビス(5−ニトロピリジ
ン)10mlをジメチルスルホキサイドに溶解させ、室
温で24時間反応させたのち、これに10μMのG−C
SF溶液1mlを加えて室温で3時間反応させて調製す
る。次いで、上記で調製したG−CSF−ポリ(スチレ
ンマレイン酸)誘導体(以下、SM−G−CSFとい
う)をゲルろ過で脱塩したのち、さらに未反応のG−C
SFを除くためイオン交換クロマトグラフィを行うこと
で、精製されたSM−G−CSFを得ることができる。
【0010】上記のように誘導体化されたSM−G−C
SFにおいて、ポリ(スチレンマレイン酸)は、G−C
SFの遊離チオール基にジスルフィド結合によって1:
1のモル比で結合していると推定される。これはポリ
(スチレンマレイン酸)が、2−2’−ジチオビス(5
−ニトロピリジン)を介してジスルフィド結合によりG
−CSFと結合するが、G−CSFの構造からジスルフ
ィド結合を構成できる遊離チオール基が1箇所のみであ
るからである。
【0011】また、G−CSFの分子量は19000±
1000であり、これに分子量約1900のポリ(スチ
レンマレイン酸)が1:1のモル比で結合していること
から、SM−G−CSFの分子量は約21000と推測
されるが、SM−G−CSFは、中性条件下において、
スチレン残基を介してアルブミンのワーファリン結合部
位に結合すると推定される。なお、SM−G−CSFと
アルブミンとの結合体分子量はゲルろ過より約9000
0と計算された。その結果、この結合によってG−CS
Fの腎臓におけるクリアランスが小さくなり、長時間に
亘って血中に留まり末梢血白血球数増加作用等が増大す
ることになる。
【0012】なお、上記G−CSFとポリ(スチレンマ
レイン酸)とのモル比は、上述のように必ずしも1:1
である必要はなく、利用されるG−CSFの遊離チオー
ル基の数によって種々のモル比をとり得る。また、上述
では2−2’−ジチオビス(5−ニトロピリジン)を介
してG−CSFにポリ(スチレンマレイン酸)を結合さ
せているが、その他、種々の架橋剤を使用することがで
きる。例えば、2−2’−ジチオビス(5−ニトロピリ
ジン)の代わりにマレイミドを含むα−4−{〔6−
(N−マレイミド)ヘキサノイロキシメチル〕クミル}
ハーフ−ブチルエステリファイド ポリ(スチレン−コ
ーマレイック アシッド)を用いることもできる。
【0013】本発明に供せられうるG−CSFの例とし
ては、下記のアミノ酸配列で表されるG−CSF活性を
有するポリペプチド又はこれと糖鎖部を有する糖蛋白質
を挙げることができる。
【0014】 (Met)n Thr Pro Leu Gly Pro Ala Ser Ser Leu Pro Gln Ser Phe Leu Leu Lys Cys Leu Glu Gln Val Arg Lys Ile Gln Gly Asp Gly Ala Ala Leu Gln Glu Lys Leu (Val Ser Glu)m Cys Ala Thr Tyr Lys Leu Cys His Pro Glu Glu Leu Val Leu Leu Gly His Ser Leu Gly Ile Pro Trp Ala Pro Leu Ser Ser Cys Pro Ser Gln Ala Leu Gln Leu Ala Gly Cys Leu Ser Gln Leu His Ser Gly Leu Phe Leu Tyr Gln Gly Leu Leu Gln Ala Leu Glu Gly Ile Ser Pro Glu Leu Gly Pro Thr Leu Asp Thr Leu Gln Leu Asp Val Ala Asp Phe Ala Thr Thr Ile Trp Gln Gln Met Glu Glu Leu Gly Met Ala Pro Ala Leu Gln Pro Thr Gln Gly Ala Met Pro Ala Phe Ala Ser Ala Phe Gln Arg Arg Ala Gly Gly Val Leu Val Ala Ser His Leu Gln Ser Phe Leu Glu Val Ser Tyr Arg Val Leu Arg His Leu Ala Gln Pro (但しmは0又は1を表し、nは0又
は1を表す)さらに、上記アミノ酸配列の一部に別のア
ミノ酸を付加し又は置換して改変したもの、或いはアミ
ノ酸配列の一部を欠損させたもの等のG−CSF活性を
有するポリペプチド類も本発明の範囲に含まれる。
【0015】上記のG−CSFは、例えば本出願人が先
に出願した特開昭61−227526号のほか遺伝子組
換え技術を利用した製造法、例えば特開昭62−236
497号、特開昭62−236488号の各明細書に記
載の方法によって製造することができる。また、その他
の方法としてG−CSF産生細胞と自己増殖能を有する
悪性腫瘍とを細胞融合して得られるハイブリドーマをマ
イトジェンの存在または非存在下で培養することによっ
て得ることもでき、何らその製造法に限定されるもので
はない。したがって、これらの方法で得たG−CSFは
全て本発明に含まれる。
【0016】得られたG−CSF含有液は、必要により
公知の手段でさらに精製、濃縮したのち、ミリポアフィ
ルタ等で無菌濾過して凍結保存とするか又は凍結乾燥、
真空乾燥などの手段により水分を除去して保存すること
ができる。
【0017】一方、本発明に用いられるポリ(スチレン
マレイン酸)は、ラジカル重合反応によって得られるス
チレンと無水マレイン酸との共重合体である。得られた
共重合体の組成比は、反応に使用するスチレンと無水マ
レイン酸の比を変化させてもほぼ1:1となるが、勿論
それ以外の組成比率であっても構わない。また、得られ
た共重合体がスチレンとマレイン酸との完全なホモ重合
体である必要はない。なお、共重合体の平均分子量は上
述した約1900に限定されず、適宜種々の分子量を取
り得ることができる。
【0018】本発明に係るSM−G−CSF誘導体は、
特にこれを有効成分とする白血球減少症治療剤に適用で
きるが、その他の治療剤としても利用され得る。その製
剤化には、その目的に応じて希釈剤、溶解補助剤、等張
化剤、賦形剤、pH調整剤、無痛化剤、緩衝剤、含硫還
元剤、酸化防止剤を含有してもよい。例えば、含硫還元
剤としては、N−アセチルシステイン、N−アセチルホ
モシステイン、チオクト酸、チオジグリコール、チオエ
タノールアミン、チオグリセロール、チオソルビトー
ル、チオグリコール酸およびその塩、チオ硫酸ナトリウ
ム、グルタチオン、並びに炭素原子数1〜7のチオアル
カン酸などのスルフヒドリル基を有するものなどを例示
できる。
【0019】また、酸化防止剤としてはエリソルビン
酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシア
ニソール、α−トコフェロール、L−アスコルビン酸お
よびその塩、L−アスコルビン酸パルミテート、L−ア
スコルビン酸ステアレート、亜硫酸水素ナトリウム、亜
硫酸ナトリウム、没食子酸トリアミル、没食子酸プロピ
ル、あるいはエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(E
DTA)、ピロリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウ
ムの如きキレート剤などを例示できる。
【0020】あるいはまた賦形剤としては、グリシン、
システイン、スレオニン、シスチン、トリプトファン、
メチオニン、リジン、ヒドロキシリジン、ヒスチジン、
アルギニンなどのアミノ酸を添加してもよい。
【0021】本発明に係るSM−G−CSF誘導体を有
効成分とする製剤は、経口、各種注射などの非経口等各
種の投与形式で使用でき、該投与形式に応じた様々な剤
形で実現できる。例えば、投与剤形としては錠剤、丸
剤、カプセル剤、顆粒剤、懸濁液等の経口投与剤、ある
いは静注、筋注、皮下注、皮内注等の溶液、懸濁注射
剤、凍結乾燥剤、あるいは座剤、経鼻剤、膣剤等の経粘
膜投与剤形を典型的なものとして例示できる。また、投
与量は年齢、体重、症状、治療効果、投与方法等により
異なるが、通常は成人一人当たり、1回に0.1〜10
00μgの範囲が好ましい。
【0022】以下、本発明を実施例に基づいて具体的に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0023】
【実施例】
実施例1 腎動静脈結さつラットに遺伝子組換え型G−CSF(以
下rG−CSFという)を静脈内投与し、その時の血漿
中のrG−CSF濃度を擬手術対照ラットとの比較で調
べた。
【0024】SD系雄性ラット(8週齢)(日本クレア
社製)をエーテル麻酔下において背部より切開し、左右
腎臓の動静脈を縫合糸で結さつすることにより腎動静脈
結さつラットを作成した後、大腿動静脈にポリエチレン
チューブ(PE−31)でカニュレーションを施した。
次いで、rG−CSF投与液を10μg/Kgの用量で
上記大腿静脈カニューレより投与した。投与後2,5,
10,20,30分毎に、また1,2,4,6,8,2
4時間毎に上記大腿動脈カニューレから200μlの血
液を採取し、15000rpmで5分間遠心した後に血
漿を分離した。得られた血漿中のrG−CSF濃度をサ
ンドイッチ型EIA法(J.Immunol.Method, Vol.118,P1
87-192,1989 )により測定した。なお、擬手術対照ラッ
トは、SD系雄性ラット(8週齢)(日本クレア社製)
を背部より切開したのみで、腎動静脈結さつは施さなか
った。
【0025】また、rG−CSF投与液は、Tween
20 0.1%及びラット血清アルブミン(シグマ社
製)0.1%を含む生理食塩溶液でrG−CSF溶液を
希釈し、rG−CSF濃度を4μg/mlとして調製し
た。
【0026】図1は、腎動静脈結さつラットと擬手術対
照ラットの血漿中のrG−CSF濃度を示したものであ
る。図1によれば、腎動静脈結さつラットの血漿中のr
G−CSF濃度は、擬手術対照ラットに比べてその半減
期が長く、また平均滞留時間も大幅に延長されている。
この結果から、生体内からのrG−CSFの消失には腎
臓におけるクリアランスが大きく関与していくことがわ
かった。
【0027】実施例2 次にポリ(スチレンマレイン酸)によるrG−CSF誘
導体(SM−rG−CSF)の存在を確認するための実
験を行った。
【0028】ポリ(スチレンマレイン酸)19μgと2
−2’−ジチオビス(5−ニトロピリジン)2μgを1
0mlのジメチルスルホキサイドに溶解させ、室温で2
4時間反応させたのち、これに10μMのrG−CSF
溶液1mlを加えて室温で3時間反応させて調製した。
次いで、調製したSM−rG−CSFをゲルろ過で脱塩
したのち吸光度を測定してSM−rG−CSFの存在を
確認した。
【0029】なお、上記ゲルろ過にはSephadex
G−25カラム(1×15cm)を用いた。また、溶
出液にはTween20 0.1%及び塩化ナトリウム
0.9%を含む0.1M−リン酸緩衝液(pH7.4)
を用い、溶出は1ml/minの流速で行った。
【0030】図2は、上記実施例において、溶出液を1
mlづつ分取し、280nmにおける吸光度を測定した
ときの結果を示したものである。図2によれば、容量7
ml付近にSM−rG−CSFのピークが検出された。
【0031】次に、ゲルろ過により精製したSM−rG
−CSFをさらにイオン交換クロマトグラフィを行って
精製し、SM−rG−CSFに相当するフラクションを
分取し、Bio-Rad 法でSM−rG−CSFの存在を確認
する実験を行った。イオン交換クロマトグラフィにはD
EAE Sepharose CL−6Bカラム(1.
5×50cm)を用いた。Tween20 0.1%、
20mM−トリエタノ−ルアミン及び塩化ナトリウム
0.9%を含む0.1M−リン酸緩衝液(pH7.4)
で平衡化させたカラムに試料を添加した後、試料の溶出
は0.3M−塩化ナトリウムを含む同緩衝液を用いた直
線濃度勾配法により行った。溶出は1ml/minの流
速で行った。
【0032】図3は、溶出液を1mlづつ分取し、28
0nmにおける吸光度を測定したときの結果を示したも
のである。図3によれば、4箇所にそれぞれピークが検
出されたが、SM−rG−CSFのピークは容量85m
l付近に存在した。因みに、容量50ml付近のピーク
はasialo−rG−CSF、容量60ml付近のピークは
monoasialo−rG−CSF、容量67ml付近のピーク
はdisialo −rG−CSFとそれぞれ推定される。
【0033】上記容量85ml付近のピークがSM−r
G−CSFであることは以下の方法によって確認した。
即ち、容量85mlの位置の溶出液を分取後、Twee
n20 0.05%及び塩化ナトリウム0.9%を含む
0.1M−リン酸緩衝液(pH7.4)によって、蛋白
濃度(Bio-Rad 法で測定)が1,10,100ng/m
lとなるように希釈した。各希釈液中のSM−rG−C
SF濃度をrG−CSF抗体を用いたサンドイッチ型E
IA法により測定したところ、Bio-Rad 法で得られた蛋
白濃度に対して70〜80%に相当する値を示した。従
って、容量85mlの位置にある溶出液はrG−CSF
に由来する蛋白質を含むことは明らかであり、恐らくポ
リ(スチレンマレイン酸)との結合によってEIAに対
する反応性が低下したSM−rG−CSFと考えられ
る。
【0034】実施例3 ゲルろ過によりSM−rG−CSFと牛血清アルブミン
との複合体(以下、SM−rG−CSF−BSA複合体
という)、及びSM−rG−CSFの分子量を測定し
た。
【0035】rG−CSFの放射性ヨード標識体(12 5I
-rG-CSF )は、ラクトパーオキシダーゼ・グルコースオ
キシダーゼ法によって調製し、これをSuperose12カラ
ムを用いたゲルろ過で精製した。また、SM−rG−C
SFの放射性ヨード標識体(SM-1 25I-rG-CSF)は、12 5I
-rG-CSF を用いて調製した。この実施例ではSM-1 25I-rG
-CSFを用いて行い、Tween20 0.1%を含む
0.1M−リン酸緩衝液(pH7.4)200μlにSM
-1 25I-rG-CSF溶液200μlとBSA溶液400μlを
加え、20℃で3時間反応させてSM−rG−CSF−
BSA複合体を調製した。
【0036】SM−rG−CSFの分子量の算出は、Se
phadex G-50 カラムを用いたゲルろ過により行った。分
子量マーカとして、ブルーデキストラン(分子量200
0000)、BSA(同68000)、スーパーオキサ
イドジスムターゼ(SOD)(同16000)を用い
た。SM−rG−CSFの分子量は各マーカの溶出位置
と、SM−rG−CSF(放射能)の溶出位置から絶対
検量線法により算出した。
【0037】図4は、Sephadex G-50 カラムを用いたゲ
ルろ過によるSM−rG−CSFの分子量を示したもの
である。図4によれば、試験管番号20番付近のピーク
がSM−rG−CSF−BSA複合体と推定され、分子
量は約90000と算出された。また、試験管番号46
番付近のピークがSM−rG−CSFと推定され、分子
量は約21000と算出された。なお、試験管番号10
5番付近のピークは遊離ヨードイオンと推定される。
【0038】実施例4 ラットの摘出腎灌流系を用いて、rG−CSFとSM−
rG−CSFの腎臓におけるクリアランスの比較実験を
行った。
【0039】図5はラット摘出腎灌流系の模式図を示し
たものである。この図において、符号1は腎臓、2は腎
動脈カニューレ、3は静脈カニューレ、4は尿管カニュ
ーレ、5はポンプ、6は灌流液である。また、下行大静
脈7,腸管静脈8および下行大動脈9,10は縫合糸に
よってそれぞれ結さつしてある。なお、ラット摘出腎灌
流系の作製は、(J.Pharma. Sci.,Vol.77,P6-11,1988)
を参考とした。
【0040】腎動脈カニューレ2からの投与液は、12 5I
-rG-CSF 溶液とSM-1 25I-rG-CSF溶液の二種類である。前
者は、12 5I-rG-CSF 溶液の原液に等容量の0.2%牛血
清アルブミン溶液を加えて12.85μCi/mlに調
製し、後者は、Sephadex G-25 カラムを用いたゲルろ過
により精製したもの(0.0772μg/9.87μC
i/ml)をそのまま用いた。投与液は、12 5I-rG-CSF
溶液あるいはSM-1 25I-rG-CSF溶液50μlに0.2%の
牛血清アルブミン溶液を20μl、所定液(塩化ナトリ
ウム108g、塩化カリウム5.52g、塩化カルシウ
ム4.392g、リン酸二水素カリウム2.532g、
硫酸マグネシウム−7水塩、4.584gを蒸留水に溶
かして全量を2600mlとした)を10μl、2.1
%の炭酸水素ナトリウム溶液10μlおよび3H−イヌリ
ン10μlを加えて調製した。
【0041】上記摘出腎灌流系において、腎動脈カニュ
ーレから125I-rG-CSF 投与液あるいはSM-125I-rG-CSF投
与液を100μl投与した。血液は薬液投与後0〜1,
1〜2,2〜15分の間隔で静脈カニューレから採取
し、尿は薬液投与後0〜5,5〜10,10〜15分の
間隔で尿管カニューレから採取した。また、腎臓は薬液
投与15分後に摘出した。
【0042】上記摘出した腎臓にホモジェネート液(T
ween20 0.2%を含む0.1M−リン酸緩衝
液、pH7.4)4mlを加え、ポッターホモジェナイ
ザでホモジェネートし、20%ホモジェネートを調製し
た。次いで、20%ホモジェネートを試料として、腎ホ
モジェネート中における3H−イヌリンの残存量に対する
腎ホモジェネート中における12 5I-rG-CSF あるいはSM-1
25I-rG-CSFの残存量、即ち腎分布比率を測定した。
【0043】図6は、上記rG−CSFあるいはSM−
rG−CSFの腎分布比率の測定結果を示したものであ
る。一般に、G−CSFは糸球体ろ過によって腎臓内に
移行するが、上記結果によれば、SM−rG−CSFは
ポリ(スチレンマレイン酸)による高分子化によって腎
臓内への移行が少なく、SM−rG−CSFの腎臓に対
する分布量がrG−CSFの約1/15となっている。
従って、この結果からSM−rG−CSFはrG−CS
Fに比べて腎臓におけるクリアランスが小さいことが示
唆される。
【0044】実施例5 薬効を確認するために、ラットにSM−rG−CSFあ
るいはrG−CSFを0.5,5,50μg/Kgの用
量でそれぞれ静脈内投与し、その時の末梢血白血球数の
経時的変化を調べた。
【0045】この実施例で用いる投与液は、SM−rG
−CSF溶液あるいはrG−CSF溶液を投与液溶媒
(Tween20 0.05%及び塩化ナトリウム0.
9%を含む0.1M−リン酸ナトリウム緩衝液,pH
7.4)で1μg/100μlに希釈したものである。
そして、この投与液をWistar系雄性ラット(約2
00g)の尾静脈より、0.5,5,50μg/Kgの
用量で投与した(各群6匹)。採血は投与前および投与
後6,12,24,48時間毎に行い、尾静脈および背
側中足静脈から採取した血液を採血管に50μl分取し
た。次いで、分取した血液に1mlのLysing reagent
を混合し、撹拌した後10分間室内で放置し、液が透明
になったのを確認してからミクロセルカウンタ(東亜電
子工業社製)で白血球数を測定した。なお、上記Lysing
reagent とは、塩化アンモニウム8,26g、エチレ
ンジアミン四酢酸四ナトリウム37mg及び炭酸水素カ
リウム1gを蒸留水に溶かして1lとしたものである
(pH7.3)。
【0046】上記測定結果を図7乃至図9に示した。こ
の結果によれば、SM−rG−CSFはrG−CSFに
比べて約1/10の投与量で同程度の末梢血白血球数増
加作用を示し、また0.5,5,50μg/Kgのいず
れでもrG−CSFより末梢血白血球数増加時間の持続
が認められた。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る顆粒
球コロニー刺激因子誘導体によれば、G−CSFをポリ
(スチレンマレイン酸)によって高分子化したことで、
アルブミンとの複合化が可能となり、G−CSFの腎臓
におけるクリアランスを小さくすることができた。その
結果、誘導体であるSM−G−CSFを投与した場合に
は、G−CSFに比べ末梢血白血球数が増加すると共
に、その増加時間の持続を図ることができるといった効
果があることにより、本発明のSM−G−CSFは白血
球減少症治療剤として極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】血漿中のrG−CSF濃度を示すグラフであ
る。
【図2】ゲルろ過によるSM−rG−CSFのピークを
示すグラフである。
【図3】イオン交換クロマトグラフィによるSM−rG
−CSFのピークを示すグラフである。
【図4】ゲルろ過によるSM−rG−CSFなどの分子
量を示すグラフである。
【図5】ラット摘出腎灌流系の模式図である。
【図6】上記のラット摘出腎灌流系を用いて測定したと
きの腎分布比率を示すグラフである。
【図7】0.5μg/Kg投与したときの末梢血白血球
数の経時的変化を示すグラフである。
【図8】5μg/Kg投与したときの末梢血白血球数の
経時的変化を示すグラフである。
【図9】50μg/Kg投与したときの末梢血白血球数
の経時的変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 腎臓 2 腎動脈カニューレ 3 静脈カニューレ 4 尿管カニューレ 5 ポンプ 6 灌流液 7 下行大静脈 8 腸管静脈 9 下行大動脈 10 下行大動脈
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 35/06 A61K 37/02 (72)発明者 乾 賢一 京都府京都市左京区高野東開町1−23 東大路高野第三住宅43−205 (72)発明者 堀 了平 京都府京都市右京区嵯峨大覚寺門前井頭 町12−75 (56)参考文献 特開 平2−234692(JP,A) 特開 平4−108827(JP,A) 特開 昭60−75499(JP,A) 特公 昭60−17206(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07K 14/535 A61K 38/00 BIOSIS/WPI(DIALOG)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 顆粒球コロニー刺激因子とポリ(スチレ
    ンマレイン酸)との結合体からなる顆粒球コロニー刺激
    因子誘導体。
  2. 【請求項2】 顆粒球コロニー刺激因子とポリ(スチレ
    ンマレイン酸)との結合体を有効成分とする白血球減少
    症治療剤。
JP02253694A 1994-02-21 1994-02-21 顆粒球コロニー刺激因子誘導体 Expired - Fee Related JP3487561B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP02253694A JP3487561B2 (ja) 1994-02-21 1994-02-21 顆粒球コロニー刺激因子誘導体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP02253694A JP3487561B2 (ja) 1994-02-21 1994-02-21 顆粒球コロニー刺激因子誘導体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07233199A JPH07233199A (ja) 1995-09-05
JP3487561B2 true JP3487561B2 (ja) 2004-01-19

Family

ID=12085535

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP02253694A Expired - Fee Related JP3487561B2 (ja) 1994-02-21 1994-02-21 顆粒球コロニー刺激因子誘導体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3487561B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07233199A (ja) 1995-09-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU656212B2 (en) Asialoglycoprotein-conjugated medicinal agent
JP5334347B2 (ja) 化学的に修飾した新規なエリスロポエチン刺激タンパク質組成物および方法
US7169754B2 (en) Erythropoietin composition
JP4067058B2 (ja) Peg化hgf
JP2989002B2 (ja) 化学修飾顆粒球コロニー刺激因子
JPS6232A (ja) 慢性関節リウマチ性貧血治療剤
JPS6230A (ja) 悪性腫瘍性貧血治療剤
JP2001064300A (ja) エリスロポエチン誘導体
JPH0770195A (ja) 糖修飾インターフェロン
JP2003503464A (ja) ポリエチレングリコールを有するエリスロポエチン接合体
IE53340B1 (en) Radiolabelled peptides derived from crosslinked fibrin for locating thrombi,and injectable compositions thereof
JP2784455B2 (ja) 肝硬変治療剤
US20210268117A1 (en) Methods of generating a pegylated il-11 composition
JPH0640938A (ja) Hgf含有製剤
JP3487561B2 (ja) 顆粒球コロニー刺激因子誘導体
US5534251A (en) Stabilized il-1α medicinal composition
JP2002524420A (ja) 脈管形成に有効な単位用量のfgf−2および使用方法
Spivak Erythropoietin
JP4006058B2 (ja) 多臓器不全予防及び/又は治療剤
JPS6231A (ja) 腎性貧血治療剤
RU2362581C2 (ru) Состав раствора эритропоэтина
TW202409097A (zh) 具有延長的半衰期的fviii融合蛋白綴合物及其應用
JP2002338599A (ja) 血中滞留性が向上した生理活性タンパク質およびその調製方法
JPH083065A (ja) 肝臓障害に対する治療剤
Yu Modification of recombinant human interleukin-11 to enhance pharmacologic properties and therapeutic potential

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081031

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091031

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091031

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091031

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101031

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101031

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111031

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111031

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111031

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121031

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111031

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees