JP4256998B2 - シラン化合物の不均化反応生成物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種シラン化合物の不均化反応生成物の製造方法に関する。さらに詳しくは、ハロゲン化水素の共存下で、ジクロロシラン等の水素化ハロゲン化シランを不均化反応させることにより、モノシラン等のシラン化合物の不均化反応生成物を安定的に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
モノシラン、ジクロロシラン等のシラン化合物は、シリコン単結晶の原料、シリコンのエピタキシャル成長等の半導体工業において重要な物質であり、近年急激に需要が増大している。
【0003】
これらの化合物の製造方法としては、様々な方法が知られているが、水素化ハロゲン化シランを不均化して目的とするシラン化合物を含む多くの不均化反応生成物を得て、その中から目的の化合物を蒸留等の手段により分別して得る方法が、最も経済的であるとされる。
【0004】
水素化ハロゲン化シランの不均化反応とは、該水素化ハロゲン化シランの分子間で、水素とハロゲンを交換することにより、原料の水素化ハロゲン化シランとは各々異なるシラン化合物を生成させる反応である。新しく生成した化合物が、更に同様の交換反応を繰り返すので、反応系は数種類のシラン化合物からなる混合組成となる。
【0005】
例としてトリクロロシランの不均化を説明する。ある適当な触媒の存在下では、下式のように、まずトリクロロシラン同士が水素と塩素を交換し合い、ジクロロシランと四塩化ケイ素を生成する。ジクロロシランは同様にモノクロロシランとトリクロロシランを生成する。モノクロロシランも同様に、モノシランとジクロロシランを生成する。これらの反応が繰り返され、系はモノシラン、モノクロロシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、四塩化ケイ素の5成分からなる混合組成となる。
【0006】
【化1】
例えば、目的物がモノシランの場合、この混合物の中から蒸留などの方法によって分別すれば良い。なお、この不均化反応は平衡反応であり、十分な反応時間(接触時間)をとると、反応系は平衡組成に達する。但し、目的物を分別して得る際に、必ずしも系が平衡に達している必要はない。
【0007】
水素化ハロゲン化シランの不均化反応に使用する触媒については、多くの技術が特許等に開示されている。例えば、特開昭47−12569号公報には陰イオン交換樹脂を固体不均一系触媒として使用する方法が示されおり、特開平1−122914号公報には、金属ロジウムを触媒として使用する方法が述べられている。また、特開昭60−96518号公報には、第四級ホスホニウム化合物を、そのまま反応系に添加して液相均一系触媒として使用する方法が示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、水素化ハロゲン化シランの不均化反応で生成するモノシランやモノクロロシランは比較的不安定な化合物であり、熱分解により金属ケイ素を容易に析出する。たとえば、モノシランは無触媒の条件下で、約300℃から熱分解を始めることが知られている。また、モノクロロシランはモノシランより、さらに不安定である。
【0009】
そのため、不均化反応、特に気相における反応において、析出した金属ケイ素で触媒表面が被覆され、活性低下をきたすという問題点があった。
【0010】
したがって、上記水素化ハロゲン化シランの不均化反応において、析出した金属ケイ素による表面被覆を防ぎ、触媒活性を長時間持続させて、該反応を効率良く行うことが課題であった。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題について鋭意研究を重ねた結果、水素化ハロゲン化シランにハロゲン化水素を共存させて不均化反応を行うことによって、析出金属ケイ素の表面被覆を防ぐことができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、触媒を使用した、水素化ハロゲン化シランの気相での不均化反応において、該水素化ハロゲン化シランの不均化反応を行う反応ガスよりなる気相中にハロゲン化水素を供給して、該反応ガス中におけるハロゲン化水素の濃度が0.01〜20容量%となるように共存させることを特徴とする不均化反応生成物の製造方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明における最大の特徴は、ハロゲン化水素の共存下で水素化ハロゲン化シランの不均化反応を行うことである。
【0014】
本発明において、水素化ハロゲン化シランと共存させるハロゲン化水素は、前記ハロゲンが塩素の場合、式(1)に示すように、析出した金属ケイ素と反応し、トリクロロシランと水素を生成する。この反応により、析出ケイ素の表面被覆を防止できる。
【0015】
Si+3HCl→SiHCl3+H2 (1)
この上記した析出ケイ素の消費反応により、析出により損失したケイ素分をトリクロロシランとすることができる。また、副生水素と塩化水素は、水素化ハロゲン化シランの不均化反応には関わらず、生成物との分離が容易であり、非常に有効な反応である。
【0016】
水素化ハロゲン化シランと共存させるハロゲン化水素の量は、析出した金属ケイ素を除くのに充分な量であれば、特に制限されないが、あまり多すぎると、反応ガス中の水素化ハロゲン化シランの濃度が減少し、単位時間当たりの目的物の収量が低下するので、好適には、0.01〜20vol%、より好適には、0.1〜5vol%の範囲であることが望ましい。
【0017】
本発明において使用されるハロゲン化水素は、特に限定されず、たとえば、フッ化水素、塩化水素、臭化水素等を用いることができるが、析出したケイ素との反応により得られる水素化ハロゲン化シランを原料として再使用することを勘案すると、不均化反応に用いられる水素化ハロゲン化シランの同種のハロゲンからなるハロゲン化水素であることが好ましい。
【0018】
本発明において使用される水素化ハロゲン化シランは、ケイ素に結合した水素原子およびハロゲン原子をそれぞれ少なくとも一つ有するシラン化合物である。かかる水素化ハロゲン化シランとしては、一般には、下記の一般式(2)で表わされる化合物が使用される。
【0019】
Y(4-m-n)SiHnXm (2)
ここで、Yはアルキル基またはアリール基を表わし、Xはハロゲン原子、好ましくは塩素原子を表わす。また、mおよびnは1以上3以下の整数で、かつm+nは4以下である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、およびブチル基等の炭素数1〜4のものが好ましく、アリール基としては、フェニル基等が好ましい。
【0020】
具体例としては、トリクロロシラン、ジクロロシラン、モノクロロシラン、メチルジクロロシラン、メチルモノクロロシラン、ジメチルモノクロロシラン、エチルジクロロシラン、エチルモノクロロシラン、ジエチルモノクロロシラン、フェニルジクロロシラン、フェニルモノクロロシラン、ジフェニルモノクロロシランおよびこれらの混合物等が挙げられる。
【0021】
これらのうち、X=塩素原子、かつ、m+n=4の化合物、すなわち下記の一般式(3)
SiHnClm (3)
で表わされるトリクロロシラン、ジクロロシラン、モノクロロシランから選ばれるクロロシラン化合物、またはこれらの混合物がより好適である。
【0022】
したがって、本発明において、水素化ハロゲン化シランとして、上記したように一般式(3)で表されるトリクロロシラン、ジクロロシラン、モノクロロシランから選ばれるクロロシラン化合物、またはこれらの混合物を用い、ハロゲン化水素として、塩化水素を用いる態様が特に好ましい。
【0023】
なお、モノシランやメチルシランのようなケイ素原子に結合したハロゲン原子を有さない水素化シランおよび、四塩化ケイ素やメチルトリクロロシランのようなケイ素原子に結合した水素原子を有さないハロゲン化シランは、それ単独では不均化反応を起こさない。しかし、上記の水素化ハロゲン化シランと共存する場合は、不均化反応に関与し、対応した混合物を与える。
【0024】
したがって、本発明では、原料として水素化ハロゲン化シランを用いる他に、これらと上記ハロゲン化シランや水素化シランとを混合して用いても良い。
【0025】
本発明において使用される触媒は、本発明の効果を阻害しない公知のものが何ら制限なく使用される。本発明の効果を阻害する触媒系としては、反応ガス中のハロゲン化水素と触媒成分が反応することにより、触媒が組成変化を起こし性能が低下するような触媒系や、ハロゲン化水素が触媒の活性点に吸着し、被毒を起こすような触媒系が挙げられる。例示すると、ハロゲン化水素と反応して揮発しやすい化合物に変化するクロムやバナジウム等の触媒が前者の例であり、酸性物質であるハロゲン化水素によって被毒されるマグネシア等の塩基触媒が後者の例である。
【0026】
上記した本発明の効果を阻害する触媒でなければ、均一系触媒でも、不均一系触媒でも良い。また、アンモニウム塩やイオン交換樹脂等の有機系触媒でも、金属や金属酸化物等の無機系触媒でも良い。
【0027】
本発明において、不均化反応は、原料の水素化ハロゲン化シランとハロゲン化水素の混合物を、触媒と接触させることにより実施される。接触の方法は特に制限されない。回分式でも、流通式でも良い。また、気相でも液相でも良い。
【0028】
その中でも、本発明を最も有効に実施するためには、触媒を固定床とする流通式反応が望ましい。この反応は、減圧から加圧まで幅広い反応条件で行うことができるが、反応の効率と安全性を考慮すれば、0.5〜100気圧で行うことが望ましく、より好適には、常圧〜60気圧で行うことが望ましい。また、反応温度に関しても、幅広い範囲で反応が可能であるが、反応を速やかに進行させるためには、0℃以上であることが望ましく、モノシランやモノクロロシランの熱分解を考慮すれば、400℃以下が望ましい。より好ましくは、40〜300℃の範囲で反応を行うことが望ましい。
【0029】
接触時間は、反応系が平衡組成にほぼ到達する程度に設定することが望ましい。接触時間が短すぎる場合、十分に不均化反応が進行しないため、目的物の収率が低くなる。接触時間が必要以上に長い場合、平衡組成に十分達しているため、原料に対する目的物の収率は変わらないが、平衡組成以上に目的物の割合が増加することは有り得ず、結果として単位時間当たりの目的物の収量が少なくなる。適当な接触時間は、反応温度や圧力、原料、触媒、およびその他の要素によって異なるが、一般には原料が気体の場合で0.01〜300秒、原料が液体の場合で0.05〜60分から採択される。
【0030】
なお、上記接触時間としては、析出した金属ケイ素とハロゲン化水素が十分に反応する時間も必要であるが、通常析出する金属ケイ素は微量であり、かつ、ハロゲン化水素との反応速度も比較的大きいので、十分に不均化反応が進行する接触時間を採用すれば、特に考慮する必要はない。
【0031】
本発明の製造方法によれば、原料の水素化ハロゲン化シランは、上記不均化反応により、多くの不均化反応生成物を与える。したがって、必要な成分を、その混合物中から蒸留などの一般的な方法を用いて分別し、取得すれば良い。
【0032】
その中でも、ハロゲン化水素として塩化水素を用い、水素化ハロゲン化シランとして、トリクロロシラン、ジクロロシラン、およびモノクロロシランから選ばれる少なくとも一種を、必要により四塩化ケイ素と混合して用い、不均化反応生成物として、上記水素化ハロゲン化シランよりも高次に水素化されたシラン化合物を取得するのに適用するのが好ましい。
【0033】
特に、水素化ハロゲン化シランとしてトリクロロシラン、ハロゲン化水素として塩化水素を用い、2段の不均化反応を実施してモノシランを取得するのに適用するのが、より好適であり、その工程の例を図1に示す。
【0034】
原料のトリクロロシランと少量の塩化水素を、ドラム7より不均化反応器1に供給し、触媒と接触させる。それにより、各種のクロロシラン化合物、主にジクロロシラン、トリクロロシランおよび四塩化ケイ素の混合系が生成する。この時点では目的物であるモノシランの割合は低い。不均化反応器1で生成した混合物は、次工程の分別装置である蒸留塔3へと送られる。蒸留塔3からは、ジクロロシランとトリクロロシランを中心とする低沸点成分がパイプライン9より、蒸留塔4へと送られ、蒸留塔3の低部からは四塩化ケイ素が排出される。蒸留塔4では、ジクロロシランを中心とする低沸点成分がパイプライン10より不均化反応器2に供給される。蒸留塔4の低部からはトリクロロシランがドラム7へと回収され、不均化反応に供される。不均化反応器2では、同様に触媒と接触させて、各種のクロロシラン化合物、主にモノシラン、モノクロロシラン、ジクロロシランおよびトリクロロシランの混合系が生成する。この時点では、目的物のモノシランが十分分別可能な割合で含まれていることが好ましい。この混合物は蒸留塔5へと送られ、モノシラン、生成した水素および未反応塩化水素を中心とする低沸点成分がパイプライン11より精製塔6、例えば吸着塔へと送られる。精製塔で水素と塩化水素を除き、モノシランのみをパイプライン12から取得する。蒸留塔5の低部からは主に、モノクロロシラン、ジクロロシランおよびトリクロロシランがドラム8へと回収され、さらに蒸留塔4でモノクロロシランとジクロロシランを中心とする低沸点成分とトリクロロシランを中心とする高沸点成分に分けられる。この低沸点成分と高沸点成分は、それぞれ不均化反応器2と不均化反応器1へと送られ、再び不均化反応に供される。このようにして、トリクロロシランを原料に用いて、モノシランを得ることが可能となる。
【0035】
もちろん、モノシラン以外のシラン化合物、例えばジクロロシランを目的物とする場合には、例えば分別工程として蒸留を採択する場合であれば、蒸留条件を変更することにより目的物であるジクロロシランのみを分取し、より高沸点または低沸点のクロロシラン化合物を不均化反応器へ循環する。このようにして、不均化反応生成物のいずれかの一種、または二種以上のクロロシラン化合物をも、目的物として取得することが可能となる。
【0036】
【実施例】
本発明を、具体例を用いて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0037】
実施例1
臭化テトラブチルホスホニウム0.3gを水100mlに溶解し、そこに触媒担体であるNaY型ゼオライト10gを加え、3時間攪拌した。その後、ゼオライトをろ別し、臭化物イオンが検出されなくなるまで、よく水洗した。200℃で乾燥させ、テトラブチルホスホニウムイオンでイオン交換されたゼオライトを得た。内径4mmのガラス製反応管に、調製したゼオライト触媒を0.1ml充填し、200℃に加熱した。ここに、トリクロロシラン、塩化水素、ヘリウムの49: 1:50(vol)混合ガスを、120ml/分で200時間連続的に流通させた。この時の接触時間は、0.05秒であった。反応は常圧で行った。
【0038】
触媒層を通過したガスを、ガスクロマトグラフィーで分析し、各反応時間のトリクロロシランの転化率を求め、その値を200℃でのトリクロロシランの平衡転化率29.9%で除した。この値を平衡到達率とした。結果を表1に示した。200時間後でも平衡到達率は、初期の値とほぼ同等で大きな触媒活性の低下はなかった。
【0039】
実施例2
5%水酸化テトラブチルホスホニウム水溶液50mlに、フッ素系樹脂であるナフィオン(NR50)5.0gを加え、2時間攪拌した。樹脂を水洗後、200℃で乾燥させ、テトラブチルホスホニウムイオンでイオン交換されたナフィオン触媒を得た。この触媒を用いた以外は、実施例1に準じて反応を行った。結果を表1に示した。
実施例3
内径4mmのガラス製反応管に、実施例1で調製した触媒を0.1ml充填し、200℃に加熱した。ここに、ジクロロシラン、塩化水素、ヘリウムの49:1:50(vol)混合ガスを、120ml/分で200時間連続的に流通させた。この時の接触時間は、0.05秒であった。反応は常圧で行った。
【0040】
触媒層を通過したガスを、ガスクロマトグラフィーで分析し、各反応時間のジクロロシランの転化率を求め、その値を200℃でのジクロロシランの平衡転化率62.0%で除した。この値を平衡到達率とした。結果を表1に示した。原料にジクロロシランを用いた場合でも、大きな触媒活性の低下はなかった。
【0041】
実施例4
実施例2で調製した触媒を用いた以外は、実施例3に準じて反応を行った。結果を表1に示した。
【0042】
実施例5
モリブデン酸アンモニウム3.2gを水20mlに溶解し、そこに触媒担体であるアルミナ17.4gを加え、110℃で乾燥させた。次に、空気中、520℃で5時間焼成し、さらに、水素気流中、415℃で3時間活性化処理を行い、酸化モリブデン(VI)/アルミナ触媒を得た。内径4mmのガラス製反応管に、調製した触媒を0.5ml充填し、200℃に加熱した。ここに、トリクロロシラン、塩化水素、ヘリウムの49:1:50(vol)混合ガスを、60ml/分で200時間連続的に流通させた。この時の接触時間は、0.5秒であった。反応は常圧で行った。結果を表1に示した。
【0043】
実施例6
硝酸ニッケル六水和物2.8gを水10mlに溶解し、そこに触媒担体であるアルミナ9.3gを加え、110℃で乾燥させた。次に、窒素気流中、415℃で1時間焼成し、酸化ニッケル(II)/アルミナ触媒を得た。この触媒を用いた以外は、実施例5に準じて反応を行った。結果を表1に示した。
【0044】
実施例7
内径4mmのガラス製反応管に、実施例5で調製した触媒を0.5ml充填し、200℃に加熱した。ここに、ジクロロシラン、塩化水素、ヘリウムの49:1:50(vol)混合ガスを、60ml/分で200時間連続的に流通させた。この時の接触時間は、0.5秒であった。反応は常圧で行った。結果を表1に示した。
【0045】
実施例8
実施例6で調製した触媒を用いた以外は、実施例7に準じて反応を行った。結果を表1に示した。
【0046】
【表1】
比較例1
内径4mmのガラス製反応管に、実施例1で調製した触媒を0.1ml充填し、200℃に加熱した。ここに、トリクロロシラン、ヘリウムの1:1(vol)混合ガスを、120ml/分で200時間連続的に流通させた。この時の接触時間は、0.05秒であった。反応は常圧で行った。結果を表2に示した。塩化水素を系中に共存させないと、触媒の活性低下は大きく、50時間で初期活性の半分以下にまで低下した。
【0047】
比較例2
トリクロロシランの代わりに、ジクロロシランを用いた以外は、比較例1に準じて反応を行った。結果を表2に示した。原料にジクロロシランを用いた場合でも、大きな触媒活性の低下があった。
【0048】
比較例3
内径4mmのガラス製反応管に、実施例5で調製した触媒を0.5ml充填し、200℃に加熱した。ここに、トリクロロシラン、ヘリウムの1:1(vol)混合ガスを、60ml/分で200時間連続的に流通させた。この時の接触時間は、0.5秒であった。反応は常圧で行った。結果を表2に示した。塩化水素を系中に共存させないと、触媒の活性低下は大きく、50時間で初期活性の約1/3にまで低下した。
【0049】
比較例4
トリクロロシランの代わりに、ジクロロシランを用いた以外は、比較例3に準じて反応を行った。結果を表2に示した。原料にジクロロシランを用いた場合でも、大きな触媒活性の低下があった。
【0050】
【表2】
実施例9〜11、比較例5
臭化テトラブチルホスホニウムの代わりに、臭化テトラフェニルホスホニウムを用いた以外は、実施例1に準じてテトラフェニルホスホニウムイオンでイオン交換されたゼオライトを調製した。
【0051】
内径4mmのガラス製反応管に、調製した触媒を0.1ml充填し、200℃に加熱した。ここに、原料ガスを120ml/分で200時間連続的に流通させた。この時の接触時間は、0.05秒であった。ここでは塩化水素濃度の異なる4つの原料ガスを用いた。組成はトリクロロシランとヘリウムが1:1(vol)であり、塩化水素濃度がそれぞれ10000ppm(1%)、100ppm、10ppm、0ppmに調整した。反応は常圧で行った。結果を表3に示した。
【0052】
塩化水素濃度が0ppmでは触媒の活性低下をおこすが、10ppmという極めて低濃度の塩化水素で触媒活性低下を低減することができ、100ppmという非常に低濃度の塩化水素で触媒の活性低下を大きく防ぐことができた。
【0053】
【表3】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、従来の方法に比べ、長時間安定な運転を行うことができる。即ち、水素化ハロゲン化シランの不均化反応において、ハロゲン化水素を共存させることにより、触媒の活性低下を防ぎ、長時間一定の活性で反応を行うことができる。従って、触媒活性の低下に伴って、温度、圧力等の運転条件を変化させる必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明を実施するための製造プロセスの代表的形態を示す概略図である。
【符号の説明】
1、2;不均化反応器
3、4、5;蒸留塔
6;精製塔
7、8;ドラム
9、10、11、12;パイプライン
Claims (1)
- 触媒を使用した、水素化ハロゲン化シランの気相での不均化反応において、該水素化ハロゲン化シランの不均化反応を行う反応ガスよりなる気相中にハロゲン化水素を供給して、該反応ガス中におけるハロゲン化水素の濃度が0.01〜20容量%となるように共存させることを特徴とする不均化反応生成物の製造方法。
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