JP4255258B2 - 自溶合金被覆金属条材の製造方法および溶融処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、自溶合金被覆金属条材の製造方法および自溶合金被覆金属条材の溶融処理装置に関し、詳しくは、金属条材に自溶合金を被覆し、この被覆に加熱溶融を経過させて、下地に溶着した緻密な被覆を有する製品を得る技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
自溶合金溶射についてJISH8303が規定され、ボイラ・熱交換器用合金鋼鋼管についてJISG3462が規定され、それらに関連する技術として、自溶合金にて被覆された金属管材を加熱して緻密に溶着させる手法が、幾つか知られている(例えば、特許文献1,2を参照。)。概括すると、そのような手法での自溶合金被覆金属管材の製造には、溶射等にて金属管材の表面に自溶合金の定着層を形成する工程と、この定着層に溶融と凝固とを経過させることで緻密な溶着層に変成させる溶融処理工程とが含まれている。
【0003】
従来、定着層の溶融処理のための加熱には、ガス炎による加熱や,炉による加熱が多用されていた(例えば、特許文献1参照。)。近年は、品質や生産性を向上させるべく、高周波での誘導加熱も、利用されている(例えば、特許文献1,2参照。)。
また、定着層の溶融に続く凝固の後の冷却については、母材特性の変化や被覆の割れを伴うベイナイト変態を回避すべく、放冷後に徐冷を行って加熱後の冷却速度を調整する手法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
さらに、誘導加熱用電源装置であってパルス密度を調節可能なものも知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−46315号公報 (第2−3頁)
【特許文献2】
特開2000−329304号公報 (第1頁)
【特許文献3】
特開2002−170657号公報 (第1頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の自溶合金被覆金属管材の製造手法では、溶融のための加熱を誘導加熱等にて行っていることから、そのための設備費用が無視できない。特に、多品種少量生産の場合、例えば管材が多様に曲がっていたりすると、それに適合したコイル等の部材を各種揃えたり、大型の炉を割り当てたりしなければならないため、設備費も運転費もコストダウンが難しい。
また、溶融に続く凝固の後の冷却については、加熱後の冷却速度を調整することで被覆層が割れないようになったが、放冷後に徐冷を行う調整手法は、徐冷のための炉設備や設営工数あるいは長い管理時間などの負荷を伴うものであり、作業能率,コストの両面において、十分に好ましいものとはなっていない。ついては、上記負荷を軽減することができるような冷却速度調整手法を案出することが期待される。しかも、それにはコストアップ回避も要請される。
【0006】
ところで、母管が一本の金属管からなるような自溶合金被覆金属条材の場合、両端部は、連結や取付などのために被覆されていないことが多く、通電可能な接続状態を何時でも容易に確立しやすいところとなっている。
そこで、そのような特質を利用して溶融のための加熱を簡便かつ安価に行えるようにすることが課題となる。また、後続の冷却速度調整を簡便かつ安価に而もより適切に行えるようにすることも更なる課題となる。
この発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、簡便かつ安価な自溶合金被覆金属条材の製造方法を実現することを目的とする。また、その方法の実施に好適な自溶合金被覆金属条材の溶融処理装置を実現することも目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために発明された第1乃至第7の解決手段について、その構成および作用効果を以下に説明する。
【0008】
[第1の解決手段]
第1の解決手段の自溶合金被覆金属条材の製造方法は、出願当初の請求項1に記載の如く、鉄鋼系の金属条材の表面に自溶合金の定着層を形成する工程と、この定着層に溶融とこれに続く凝固とその後の冷却とを経過させることで緻密な溶着層に変成させる溶融処理工程との2工程を含む自溶合金被覆金属条材の製造方法において、前記定着層の溶融のための加熱を、直接通電方式により前記金属条材をジュール発熱させて行う、というものである。
【0009】
このような第1の解決手段の自溶合金被覆金属条材の製造方法にあっては、定着層の溶融のための加熱が金属条材のジュール発熱にて行われ、その発熱が金属条材に直接通電することで行われる。
通電可能な接続状態を何時でも容易に確立しやすい自溶合金被覆金属条材は直接通電方式の適用が容易なばかりか、この方式によれば、条材の曲げ形状等による影響が緩和されて、熱履歴の均一化や,治具等の共通化・共用化,作業の容易化・単純化,設備の簡素化・小形化が達成される。
したがって、この発明によれば、簡便かつ安価に高品質製品が得られる自溶合金被覆金属条材の製造方法を実現することができる。
【0010】
[第2の解決手段]
第2の解決手段の自溶合金被覆金属条材の製造方法は、出願当初の請求項2に記載の如く、上記の第1の解決手段の自溶合金被覆金属条材の製造方法であって、前記凝固後の冷却を、少なくとも前記金属条材のA1 変態点(約730℃)近傍にて実験選定した中間温度以降の冷却について、前記直接通電方式によるジュール発熱で冷却スケジュールを調整しながら行う、というものである。
【0011】
ここで、上記A1 変態点の「近傍」の目安は±50℃程度である。どの辺りの温度が適切であるかは実験的に確認することができる。
また、上記冷却スケジュールの調整を、上記中間温度以降の冷却に関して必須としたのは、この温度以降の冷却条件が被覆の割れに大きく関わるからである。凝固から上記中間温度に至る間の冷却についても、直接通電を利用した冷却速度等の調整(緩冷化)は行われてよいが、実際にはその必要は生じていない。
【0012】
このような第2の解決手段の自溶合金被覆金属条材の製造方法にあっては、凝固後の冷却を、冷却スケジュールを調整して行えるので、被膜の割れが生じないように行う冷却を、冷却に係るコストを削減できるような冷却スケジュールで行うことが可能となる。冷却速度に大きく依存する母材の変態や結晶粒度の制御・管理等も適切に行えて、金属条材を所望の硬さに仕上げることも容易になる。しかも、加熱に用いた直接通電が冷却スケジュールの遂行にも用いられることから、冷却速度の調整機能を拡張したにも拘わらず、特別な設備は増設しないで済むので、コストアップが抑えられるとともに、作業の煩雑化等も回避される。さらに、1000℃前後の凝固終了温度で金属条材を炉内に入れる作業と比べて、危険性や作業負荷が遙かに少ない。
したがって、この発明によれば、簡便かつ安価で割れの少ない自溶合金被覆金属条材の製造方法を実現することができる。
【0013】
[第3の解決手段]
第3の解決手段の自溶合金被覆金属条材の製造方法は、出願当初の請求項3に記載の如く、上記の第1,第2の解決手段の自溶合金被覆金属条材の製造方法であって、前記凝固後の冷却を、少なくとも前記金属条材のA1 変態点(約730℃)近傍にて実験選定した中間温度以降の冷却について、保温箱内で行う、というものである。
【0014】
このような第3の解決手段の自溶合金被覆金属条材の製造方法にあっては、上記中間温度以降の冷却が保温箱内で行われる。
これにより、通電しなくても保温レベルの徐冷が行われることから、通電は所期の冷却スケジュールの実現に満たない分だけ行えば足りるので、節電になる。例えば、炉冷相当緩冷却であっても、大がかりな炉を長時間占有したりせずに、安価に用意できる保温箱を用い、しかも、加熱溶融のための直接通電システムを引き続き利用するスリムな形態で、行えることとなる。
【0015】
なお、上記保温箱内への金属条材の収容は、金属条材を移動させて行っても良く、あるいは金属条材の周囲に保温壁を立ち上げる形で行っても良い。いずれにせよ、上記処置は、前記中間温度で行えばよいから、1000℃前後の凝固終了温度で金属条材を炉内に入れる作業と比べて、危険性や作業負荷が遙かに少ない。
したがって、この発明によれば、簡便かつ安価で割れも電力消費も少ない自溶合金被覆金属条材の製造方法を実現することができる。
【0016】
[第4の解決手段]
第4の解決手段の自溶合金被覆金属条材の製造方法は、出願当初の請求項4〜6に記載の如く、上記の第2,第3の解決手段の自溶合金被覆金属条材の製造方法であって、前記中間温度以降の冷却の冷却スケジュールを、冷却速度1.2〜6.0℃/分で温度降下させて行く過程を含むスケジュールとする、というものである。又は、その中間温度で一旦温度保持してから前記冷却速度で温度降下させて行くスケジュールとするというものである。あるいは、その中間温度で一旦温度を上げ下げしながら温度保持してから前記冷却速度で温度降下させて行くスケジュールとするというものである。
【0017】
このような第4の解決手段の自溶合金被覆金属条材の製造方法にあっては、所定の冷却速度で温度が降下するので、しかも、その冷却速度がベイナイト変態等による金属条材の急激な体積膨張を回避する値として実験選定したものであるので、被覆層の割れが確実に減る。特に、冷却途中での降温停滞と組み合わせた場合には、被覆層に割れの発生する確率が更に小さくなる。
したがって、この発明によれば、簡便かつ安価で割れが極めて少ない自溶合金被覆金属条材の製造方法を実現することができる。
【0018】
[第5の解決手段]
第5の解決手段の自溶合金被覆金属条材の溶融処理装置は、出願当初の請求項7に記載の如く、表面に自溶合金の定着層が形成された金属条材に取り付けて通電端子とするための電極金具の対と、この電極金具の対に給電するための給電条件調整自在な交流給電機構と、この交流給電機構に給電条件を指示するための、前記金属条材の温度を検知する温度センサーを配した給電条件指示機構とを備えたものである。
ここで、「給電条件」は、ジュール発熱の量の可変制御に係る条件であり、「給電条件調整自在な」とは、金属条材の昇温に加えて降温や定温維持にも資するよう調整可能な、という意味である。
【0019】
このような第5の解決手段の自溶合金被覆金属条材の溶融処理装置にあっては、電極金具の対を金属条材の両端部等に取り付けることで簡単に直接通電方式での熱処理が可能になる。また、処理中には金属条材の温度が温度センサーによって検知され、それに基づいて給電条件指示機構から交流給電機構へ給電条件が指示され、それに応じて電極金具への給電が調整される。
これにより、金属条材の温度が冷却スケジュール等に則った形で推移するようジュール発熱量が可変制御されるので、この装置を用いれば、上述した各解決手段の製造方法が容易に且つ確実に実行しうることとなる。
したがって、この発明によれば、簡便かつ安価な自溶合金被覆金属条材の製造方法の実施に好適な溶融処理装置を実現することができる。
【0020】
[第6の解決手段]
第6の解決手段の自溶合金被覆金属条材の溶融処理装置は、出願当初の請求項8に記載の如く、上記の第5の解決手段の自溶合金被覆金属条材の溶融処理装置であって、前記電極金具の対は複数対が配備されており、前記交流給電機構からの給電が、給電対象を随時に切り換えて代わる代わる行えるように構成されている、というものである。
【0021】
このような第6の解決手段の自溶合金被覆金属条材の溶融処理装置にあっては、電極金具が複数対なので、同時に複数個の金属条材に対して通電のための接続を行うことが可能である。また、給電対象を随時に切り換えて給電を代わる代わる行うことも可能である。
これにより、一台の装置で次々に複数の溶融処理をこなすことができるので、装置の使用効率・稼働率が向上するとともに、電極取付作業等の準備作業も纏めて手早く行えることとなる。
したがって、この発明によれば、簡便かつ安価な自溶合金被覆金属条材の製造方法の実施に好適な溶融処理装置であって効率の良いものを実現することができる。
【0022】
[第7の解決手段]
第7の解決手段の自溶合金被覆金属条材の溶融処理装置は、出願当初の請求項9に記載の如く、上記の第6の解決手段の自溶合金被覆金属条材の溶融処理装置であって、前記交流給電機構は複数系統の出力部を備えており、前記給電対象とする電極金具対を複数対とした給電が、同時進行的に行えるように構成されている、というものである。
ここで、「複数系統の出力部」は、それぞれ給電条件を調整しうる出力部が複数あれば良く、電源の個数まで複数であることが必須なのでは無い。例えば、それぞれが出力部を具えた複数電源からなるものでも良いし、1電源内で時分割稼働する複数系統のスイッチングブリッジでも良い。
【0023】
このような第7の解決手段の自溶合金被覆金属条材の溶融処理装置にあっては、一台の装置で複数の溶融処理を並列処理・並行処理にて進めることができるので、高いスループット(生産効率)が達成される。また、そのようにしても、凝固時の加熱のための通電量が溶融時の加熱のための通電量より可成り少ないので、それらを合わせた出力のピークは、出力部の系統数が増えてもその割には高くならない。
これにより、電源の大形化を抑制しつつ処理効率の向上が達成される。
したがって、この発明によれば、簡便かつ安価な自溶合金被覆金属条材の製造方法の実施に好適な溶融処理装置であって一層効率の良いものを実現することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
このような解決手段や実施形態で達成された本発明の自溶合金被覆金属条材の製造方法および溶融処理装置について、これを実施するための具体的な形態を、以下の第1〜第3実施形態および第1,第2実施例により説明する。
図1に示した第1実施形態は、上述した第1〜第5の解決手段を具現化したものであり、図2,図3に示した第2実施形態は、上述した第6の解決手段を具現化したものであり、図4,図5に示した第3実施形態は、上述した第7の解決手段を具現化したものであり、図6に示した第1実施例、及び図7に示した第2実施例は、実施結果の一例である。
【0025】
【第1実施形態】
本発明の自溶合金被覆金属条材の溶融処理装置の第1実施形態について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図1(a)は、溶融処理装置の斜視図、同図(b)は、溶融処理工程中の温度変化のグラフである。
【0026】
この溶融処理装置は(図1(a)参照)、ボイラーチューブ10(自溶合金被覆金属条材)に対し溶融処理を施して被覆層12を緻密に変成させるのに用いられるものであり、そのために、ボイラーチューブ10を保持してそれへの直接通電を可能とする加熱部20と、これに高周波電流を供給する交流給電機構30と、これに給電条件を指示するための給電条件指示機構40とを具えている。装置の一部を成すものでは無いが、保温箱50も、加熱部20に並置されて併用可能となっている。
【0027】
ボイラーチューブ10は、鋼管等からなる母管11(金属条材)の表面に対して、ニッケル自溶合金等の被覆層12(定着層)を溶射や焼結あるいはスリップコーティング等にて数mm厚さに形成したものである(JISG3462,JISH8303,特許文献1参照)。両端部は、連結等のため、被覆層12が無く、母管11が露出している。中間でも支持部材取付等のため母管11が露出していたり、既に支持部材が取り付けられていることもあるが、そうでないこともある。直管も有れば、曲管も有る。
【0028】
加熱部20は、適宜な長さのベース21の両端部上面に電極22,23を載せて対向配置したものである。電極22は、ボイラーチューブ10に対する低抵抗の電気的接触を動的に確立するために、ボイラーチューブ10の一端における母管11露出部を挟持するようになっている。また、クランプレバー22aの操作にて簡単にボイラーチューブ10の挟持・開放を行えるようにもなっている。電極23も、同様の構造であり、クランプレバー23aを操作してボイラーチューブ10の他端における母管11露出部を挟持・開放しうるようになっている。一対の電極22,23は、それぞれ水冷ケーブル31,32に接続されており、装置構成上、必須のものであるが、ベース21や曲がり防止治具21aは、ボイラーチューブ10の形状等に応じて採択される適宜な台座や付加的用具である。
【0029】
交流給電機構30は、上記の水冷ケーブル31,32と、これらに二次側が接続された高周波トランス33(第1出力部)と、その一次側に高周波用ケーブルを介して高周波電流出力端子が接続された電源部34とを具えている。それら個々の構成は公知のもの例えば特許文献3記載の誘電加熱用電源装置と同様で良いが、負荷がコイルでなく、電極22,23の対を介してボイラーチューブ10に直接通電するようになっている。また、電源部34が、信号入力等にて指示Tcを受けるとともに、それに応じて給電条件を調整するものとなっている。具体的には、パルス密度調整回路を内蔵していて、高周波トランス33への出力パルスの密度を指示Tcに応じて加減するようになっている。
【0030】
給電条件指示機構40は、ボイラーチューブ10の温度を検出するための熱電対42(温度センサー)と、それで検出した温度Tfに基づいてフィードバック制御を行う温度制御回路41とを具えている。温度制御回路41は、マイクロプロセッサシステム等の電子回路からなり、検出温度Tfが熱処理スケジュール(加熱スケジュール+冷却スケジュール)に則って変化するよう、時々刻々、例えばPID制御方式での演算を行って、電源部34への指示Tcを算出する。熱処理スケジュールは(図1(b)参照)、一連の昇温期間Aと高温保持期間Bと降温期間Cと停滞期間Dと降温期間Eとからなり、それぞれの温度または温度勾配と時間とが、図示しない設定器や入力装置の操作やダウンロード等にて、ほぼ任意に設定しうるようになっている。
【0031】
それらの設定項目(A〜E)には省略可能なものも有るが、停滞期間Dについては、少なくとも温度と時間を設定するようになっており、その温度については、一定値を設定することも、所定周期で所定範囲を上下するよう設定することも、選択的に行えるようになっている。
保温箱50は(図1(a)参照)、断熱ボード等で作られた保温箱であり、加熱部20とボイラーチューブ10とを一緒に収納しうる大きさになっている。
【0032】
このような溶融処理装置を用いて行う本発明の第1実施形態の自溶合金被覆金属条材の製造方法を、図1を参照しながら、説明する。
ボイラーチューブ10の製造工程には、母管11の表面に被覆層12を形成する定着層形成工程と、その被覆層12に溶融と凝固と冷却とを経過させる溶融処理工程とが含まれるが、定着層形成工程は溶射法など公知の手法で良いので、以下、溶融処理工程を詳述する。
【0033】
溶融処理工程では、先ず準備作業として、ボイラーチューブ10をベース21に載せて、その一端に電極22を取り付け、他端に電極23を取り付ける。それから、熱電対42も、ボイラーチューブ10の温度計測可能なところに、溶接等で取り付ける。
また、温度制御回路41に対して溶融処理スケジュールを設定する。その一例を挙げると、昇温期間Aには温度も時間も指定せず、高温保持期間Bには温度が1050℃で時間が3分と指定し、降温期間Cには温度も冷却速度も指定せず、停滞期間Dには温度が700℃で時間が20分(あるいは0分=停滞なし)と指定し、降温期間Eは冷却速度だけ1.8℃/分(あるいは停滞なしで1.2℃/分)と指定する。なお、停滞期間Dの長さは、上例に限らず、10〜40分程度の目安で適宜選定されてよい。
【0034】
高温保持期間Bの温度1050℃と時間3分は、Cr含有Ni基の自溶合金からなる被覆層12の溶融や再溶融に好適な値であり、停滞期間Dの温度700℃はベイナイト変態等を生じさせることなく経過させうる温度(A1 変態点近傍温度)であり、炭素鋼の共析温度にも近い。停滞期間Dの時間20分と、降温期間Eの冷却速度1.8℃/分(あるいは1.2℃/分)は、炭素鋼からなる母管11がベイナイト変態するのを上記700℃での温度停滞条件と相まってのトータル的な緩冷却により実質的に回避すべく定められた値であり、単なる放冷や徐冷よりは緩冷却であるが、炉冷よりは十分に急冷却であって時間を要しない冷却速度である。
【0035】
こうして準備が調ったところで、溶融処理装置に通電を開始させると、設定済み熱処理スケジュールを制御目標とし、ボイラーチューブ10の温度Tfをフィードバックして、追従制御が行われる。そして、随時、温度制御回路41から電源部34に指示Tcが送出され、それに対応した給電が高周波トランス33と水冷ケーブル31,32と電極22,23とを介してボイラーチューブ10に対し直に行われて、その母管11がジュール発熱する。そのとき、高周波の表皮効果により被覆層12の加熱が効率良く行われる。
【0036】
詳述すると、昇温期間Aでは、速やかに昇温するよう概ね最大出力で加熱が行われ、1050℃に達すると高温保持期間Bに移行してその温度が維持され、その時間が過ぎると降温期間Cになる。降温期間Cでは、出力が止まって放冷すなわち自然空冷がなされる。そして、700℃まで温度が降下すると、停滞期間Dに移行して、その温度を維持するよう、適切に制御された出力で加熱が行われる。その時間が過ぎると降温期間Eになるので、そのタイミングでボイラーチューブ10及び加熱部20を保温箱50に納める。
【0037】
この降温期間Eでは、単なる徐冷より緩やかに温度が低下するよう、適切に制御された出力で弱い加熱が行われる。その際、カオウール等の断熱材も併用することで、消費電力を更に節約することができる。
こうして、定着層の溶融ばかりかそれに続く凝固においても、冷却スケジュールの調整まで含めて、必要な加熱が直接通電方式によりボイラーチューブ10をジュール発熱させることで行われる。
【0038】
なお、降温期間Eの冷却速度は、上記一例の他、金属条材の材質や寸法・形状に応じて1.2〜6.0℃/分でも良い。ついては、上記通電加熱を省略した形の保温箱内冷却で事足りるケースもある。一般に、炉冷での冷却速度は0.5〜1℃/分程度であり、通電加熱無しの保温箱内での冷却速度は2〜5℃/分程度であり、降温期間Eの冷却速度は、その中間になっている。
また、停滞期間Dの温度保持を、例えば周期60秒で温度範囲±50℃を上下するよう設定することで、降温期間Eの冷却速度の好適範囲が3.0〜6.0℃/分という高位側に移って、冷却所用時間が短縮されるという更なる効果も得られる。その周期は30〜180秒でも良く、上下する温度の幅は、±30〜±70℃でも良い。
さらに、降温期間Cについても例えば20℃/分のように冷却速度を設定しても良い。
【0039】
【第2実施形態】
図2に給電部60の回路図を示した本発明の溶融処理装置が、上述した第1実施形態のものと相違するのは、電極22,23(1番目の電極金具の対)に加えてもう一組の電極24,25(2番目の電極金具の対)が配備された点と、それに対応して交流給電機構30における出力部が2系統に拡張された点である。温度制御回路41は、2系統のフィードバック制御を行うように拡張されて温度制御回路61bとなり、パルス密度調整回路61aと共に制御ユニット61に組み込まれている。その点も相違する。
【0040】
詳述すると、給電部60には、高周波トランス33を介して電極22,23に給電を行うために、上述の電源部34と同じく、商用交流の受電部あるいは交流発電機等の起電部等からなる一次電源34aと、ダイオードスタック等からなる整流回路34bと、コンデンサ等からなる平滑回路34cと、トランジスタT1〜T4のフルブリッジ回路等からなるスイッチング回路34d(第1出力部)とを具えている。そして、トランジスタT1〜T4のゲート等の制御端子G1〜G4をパルス密度調整回路61aにてオンオフ制御することで、インバータ動作して、0.5kHz〜10kHz程度の高周波を発生するようになっている。
【0041】
給電部60には、もう一つのスイッチング回路62(第2出力部)が設けられており、これが平滑回路34cに対してスイッチング回路34dと並列に接続されている。これも、トランジスタT5〜T8のフルブリッジ回路等からなり、トランジスタT5〜T8のゲート等の制御端子G5〜G8をパルス密度調整回路61aにてオンオフ制御することで、インバータ動作して、0.5kHz〜10kHz程度の高周波を発生する。これは、追加の高周波トランス63を介して電極24,25に給電するようになっている。
【0042】
パルス密度調整回路61aは、高周波トランス33への出力電流を検出してその検出信号Xに基づくフィードバック制御を行うとともに、高周波トランス63への出力電流も検出してその検出信号Yに基づくフィードバック制御も行うために、位相ロック回路(PLL)や発振回路(OSC)を2組具えていて、何れの系統でも、温度制御回路61bから与えられた各々の指示Tc,Tcに従ってパルス密度の調整が行えるようになっている。
【0043】
温度制御回路61bも、交信可能な2つのマイクロプロセッサにて、又は単一のマイクロプロセッサにインストールされた複数の協動するプログラム等にて、2つの熱処理スケジュールを管理するようになっている。一方のスケジュールは電極22,23側の検出温度Tfに基づくフィードバックに用いられ、他方のスケジュールは電極24,25側の検出温度Tfに基づくフィードバックに用いられる。さらに、それらの熱処理スケジュールを図示しない入力装置の操作等にて択一的に適用することで、給電対象を随時に切り換えられるようにもなっている。
【0044】
このような溶融処理装置を用いて行う本発明の第2実施形態の自溶合金被覆金属条材の製造方法を、図面を引用して説明する。図3は、処理進行状態を示すタイミングチャートであり、溶融処理工程における各期間A〜Eの推移と給電量とを模式的に示している。
【0045】
ここでも定着層形成工程は割愛して溶融処理工程を説明するが、電極22,23を取り付けた1番目のボイラーチューブ10に高周波トランス33を介して通電しながら溶融処理を行うとともに、それと並行して電極24,25を2番目のボイラーチューブ10に取り付けたり熱処理スケジュールを設定するといった準備作業が行われる。そして、高周波トランス33経由の通電を終えたら、電極24,25を取り付けた2番目のボイラーチューブ10に高周波トランス63を介して通電しながら溶融処理を行うとともに、それと並行して電極22,23を3番目のボイラーチューブ10に取り付けたり熱処理スケジュールを設定するといった準備作業が行われる。
こうして、この場合は、給電対象が交互に切り換えられて、溶融処理工程が代わる代わる行われる。もちろん、片方だけで第1実施形態のときと同様に処理を進めても良い。
【0046】
【第3実施形態】
図4に給電部70の回路図を示した本発明の溶融処理装置が、上述した第2実施形態のものと相違するのは、更にもう一組の電極26,27(3番目の電極金具の対)が追加された点と、それに対応して交流給電機構30における出力部が3系統に拡張された点である。具体的には、高周波トランス73を介して電極26,27に給電するスイッチング回路72(第3出力部)が追加されてスイッチング回路62同様に並列接続されている。また、それに対応して制御ユニット61も拡張されて制御ユニット71となり、これが3系統のスイッチング回路34d,62,72を独立にフィードバック制御するようになっている。熱処理スケジュールの設定も個別に行えるようになっている。
【0047】
このような溶融処理装置を用いて行う本発明の第3実施形態の自溶合金被覆金属条材の製造方法を、図面を引用して説明する。図5は、処理進行状態を示すタイミングチャートであり、溶融処理工程における各期間A〜Eの推移と給電量とを簡略表示している。ここでも溶融処理工程を説明する。
【0048】
電極22,23を取り付けた1番目のボイラーチューブ10に高周波トランス33を介して通電しながら溶融処理を行うとともに、それと並行して電極24,25を2番目のボイラーチューブ10に取り付けたり熱処理スケジュールを設定するといった準備作業が行われる。そして、その処理が降温期間Eに進んだら高周波トランス33経由の通電終了を待つことなく、電極24,25を取り付けた2番目のボイラーチューブ10に高周波トランス63を介して通電しながら溶融処理を行う。また、それと並行して電極26,27を3番目のボイラーチューブ10に取り付けたり熱処理スケジュールを設定するといった準備作業が行われる。それから、その処理が降温期間Eに進んだら高周波トランス63経由の通電終了を待つことなく、電極26,27を取り付けた3番目のボイラーチューブ10に高周波トランス73を介して通電しながら溶融処理を行う。
【0049】
そして、高周波トランス33経由の通電終了を待って4番目のボイラーチューブ10に電極22,23を取り付け、他の高周波トランス63,73経由の処理が昇温期間A〜停滞期間Dの何れにも入っていないことを確認してから、電極22,23を取り付けた4番目のボイラーチューブ10に高周波トランス33を介して通電しながら溶融処理を行う。同様に、高周波トランス63経由の通電終了を待って5番目のボイラーチューブ10に電極24,25を取り付け、他の高周波トランス73,33経由の処理が昇温期間A〜停滞期間Dの何れにも入っていないことを確認してから、電極24,25を取り付けた5番目のボイラーチューブ10に高周波トランス63を介して通電しながら溶融処理を行う。
【0050】
以下、同様にして順次、電極の対を付け替えて6番目,7番目,更に以降のボイラーチューブ10に直接通電しながら溶融処理を行い、その合間を縫って準備作業が行われる。
こうして、この場合は、給電対象とする電極金具対を複数対とした給電が、複数系統の出力部を利用して、同時進行的に行われる。しかも、その際、昇温期間A〜停滞期間Dだけは並行しないので、ピーク電力は、上述した第1,第2実施形態の場合と、ほとんど変わらない。
【0051】
【第1実施例】
上述した溶融処理装置を用いて行った本発明の自溶合金被覆金属条材の製造方法の第1実施例について、その内容および結果を、図面を引用して説明する。図6は、定着層形成工程と溶融処理工程とを経たボイラーチューブ10を切断して被覆層の断面についてビッカース硬度(Hv)を測定した結果のグラフである。
【0052】
試験材は、鋼管(材質:JIS/STBA24、寸法:φ45×11t×4,500L)からなる母管11に対し、高Cr含有Ni基自溶合金(組成:JIS/SFNi4)を溶射して被覆層12(寸法:2.5t×計4,000L)を形成したものである。
それを上述の溶融処理装置にセットして直接通電方式による溶融処理工程を施した。具体的には、昇温期間Aでは60℃/分で昇温し、高温保持期間Bでは1050℃に3分間保持し、降温期間Cでは放冷し、停滞期間Dでは700±50℃(60秒周期で上げ下げ)に18分間保持し、降温期間Eでは3℃/分で降温した。溶融処理工程に費やした時間は上記A〜E期間の合計で約5時間である。
【0053】
こうして、ひび割れの無いボイラーチューブ10が得られた。その被覆層12は充分に緻密になっており、その硬度は700Hv近傍で硬い。これに対し、母管11は、硬度が130Hv程度に抑えられていて、ベイナイトの組織を含んでいない。これは、炉冷方式で冷却を行い、たとえば24時間という十分な時間を費やして溶融処理を行ったときの結果に匹敵する。
【0054】
【第2実施例】
上述した溶融処理装置を用いて行った本発明の自溶合金被覆金属条材の製造方法の第2実施例について、その内容および結果を、図面を引用して説明する。図7は、定着層形成工程と溶融処理工程とを経たボイラーチューブ10を切断してその母管11(鋼材)の断面についてビッカース硬度を測定した結果のグラフである。対比のため、停滞期間Dにおける処理条件を変えて得られた10個のボイラーチューブ10について測定結果のグラフを並記している。
【0055】
試験材は、いずれも、鋼管(材質:JIS/STBA24、寸法:φ45×11t×3000L)からなる母管11に対し、高Cr含有Ni基自溶合金(組成:JIS/SFNi4)を溶射して被覆層12(寸法:2.0t×計2700L)を形成したものである。
それを上述の溶融処理装置にセットして直接通電方式による溶融処理工程を施したが、その際、昇温期間Aでは75℃/分で昇温し、高温保持期間Bでは1060〜1080℃に2分間保持し、降温期間Cでは放冷し、降温期間Eでは1.8℃/分で降温した。これらの期間A,B,C,Eにおける給電条件は、総ての試験片に共通である。
【0056】
ただし、停滞期間Dの条件はそれぞれ異なり、それに応じて母管11の硬さも異なる。具体的には、設定時間“0”で等温の無いものの硬さは340Hv程度で硬い。これに対し、停滞期間Dに650℃で10分間保持したものは240Hv程度、650℃で20分間保持したものは210Hv程度、650℃で30分間保持したものは190Hv程度、700℃で10分間保持したものは130Hv程度、700℃で20分間保持したものは130Hv程度、700℃で30分間保持したものは140Hv程度、750℃で10分間保持したものは180Hv程度、750℃で20分間保持したものは170Hv程度、750℃で30分間保持したものは170Hv程度であり、何れも250Hvを下回っている。
【0057】
母管11の硬さが250Hv以上になると被覆層12に割れの発生する確率が高くなる傾向があり、等温なしのものの被覆層12には割れが発生したが、それ以外は割れが生じなかった。被覆層12の硬さは、グラフ表示を割愛したが、何れも充分に緻密で硬くなっている。
また、この実験結果より、停滞期間Dの温度と時間とについては、少なくとも650℃で30分〜750℃で10分の範囲であれば、母管11の硬さが200Hv以下に抑えられるので、充分に適正な条件と言える。
なお、停滞期間Dの設定時間“0”であっても、降温期間Eを700℃から1.2℃/分の冷却速度で降温させるようにしたケースでは、母管硬さが240Hvであり、被覆層の割れも生じなかった。
【0058】
【その他】
なお、自溶合金被覆金属条材は、ボイラーチューブ10等の耐食性伝熱管に限らず、その他の目的たとえば化学プラント等に用いられるものであっても良い。被覆層12の形成も、溶射に限らず、例えば焼結やスリップコーティング等でも良い。
また、温度センサーは、金属条材の温度を検知できるものであれば、上述した熱電対に限らず、例えば放射温度計やサーミスタ等、その他のものであっても良い。
さらに、ボイラーチューブ10及び加熱部20を保温箱50に納めるタイミングは、降温期間Eに限られる訳でなく、その他の期間A〜Dでも良く、通電開始より早くても良い。
また、電極22〜27は、上述した挟持方式に限らず、通電可能であれば他の方式のものでも良い。例えば締結方式でも良い。水冷しても良い。
また、複数の条材で処理条件が共通であれば、それらの複数条材を直列状態に接続し、これに給電機構の一出力部から給電して、複数条材を一度に処理しても良い。
【0059】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の第1の解決手段の自溶合金被覆金属条材の製造方法にあっては、金属条材の特質に着目して直接通電にて加熱を行うようにしたことにより、簡便かつ安価に高品質製品が得られる自溶合金被覆金属条材の製造方法を実現することができたという有利な効果が有る。
【0060】
また、本発明の第2の解決手段の自溶合金被覆金属条材の製造方法にあっては、溶融に用いた直接通電を冷却スケジュールの調整にも利用したことにより、簡便かつ安価で割れの少ない自溶合金被覆金属条材の製造方法を実現することができたという有利な効果が有る。
【0061】
さらに、本発明の第3の解決手段の自溶合金被覆金属条材の製造方法および溶融処理装置にあっては、直接通電に保温箱も併用して冷却スケジュール調整を行うようにしたことにより、簡便かつ安価で割れも電力消費も少ない自溶合金被覆金属条材の製造方法を実現することができたという有利な効果を奏する。
【0062】
また、本発明の第4の解決手段の自溶合金被覆金属条材の製造方法にあっては、適切な冷却速度で温度降下させるようにしたことにより、簡便かつ安価で割れが極めて少ない自溶合金被覆金属条材の製造方法を実現することができたという有利な効果が有る。
【0063】
また、本発明の第5の解決手段の自溶合金被覆金属条材の溶融処理装置にあっては、電極金具を金属条材に取り付けて通電するとともに金属条材の温度を検出して給電条件を自在に調節するようにしたことにより、簡便かつ安価な自溶合金被覆金属条材の製造方法の実施に好適な溶融処理装置を実現することができたという有利な効果を奏する。
【0064】
また、本発明の第6の解決手段の自溶合金被覆金属条材の溶融処理装置にあっては、一台の装置で次々に複数の熱処理をこなせるようにもしたことにより、簡便かつ安価な自溶合金被覆金属条材の製造方法の実施に好適な溶融処理装置であって効率の良いものを実現することができたという有利な効果が有る。
【0065】
また、本発明の第7の解決手段の自溶合金被覆金属条材の溶融処理装置にあっては、ピーク電力の増加を抑制しつつスループットを高めるようにしたことにより、簡便かつ安価な自溶合金被覆金属条材の製造方法の実施に好適な溶融処理装置であって一層効率の良いものを実現することができたという有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の自溶合金被覆金属条材の製造方法および溶融処理装置の第1実施形態について、(a)が溶融処理装置の斜視図、(b)が溶融処理工程中の温度変化のグラフである。
【図2】 本発明の自溶合金被覆金属条材の製造方法および溶融処理装置の第2実施形態について、溶融処理装置の給電部の回路図である。
【図3】 処理進行状態を示すタイミングチャートである。
【図4】 本発明の自溶合金被覆金属条材の製造方法および溶融処理装置の第3実施形態について、溶融処理装置の給電部のブロック図である。
【図5】 処理進行状態を示すタイミングチャートである。
【図6】 本発明の自溶合金被覆金属条材の製造方法の第1実施例について、硬度測定結果のグラフである。
【図7】 本発明の自溶合金被覆金属条材の製造方法の第2実施例について、硬度測定結果のグラフである。
【符号の説明】
10 ボイラーチューブ(自溶合金被覆金属条材)
11 母管(金属条材)
12 被覆層(皮膜、自溶合金の定着層)
20 加熱部(自溶合金被覆金属条材の溶融処理装置)
21 ベース(台座)
21a 曲がり防止治具
22 電極(通電端子、1番目の電極金具の対の一方)
22a クランプレバー
23 電極(通電端子、1番目の電極金具の対の他方)
23a クランプレバー
24,25 電極(通電端子、2番目の電極金具の対)
26,27 電極(通電端子、3番目の電極金具の対)
30 交流給電機構(自溶合金被覆金属条材の溶融処理装置)
31,32 水冷ケーブル
33 高周波トランス(第1出力部)
34 電源部(給電条件調整手段)
34a 一次電源(商用交流、起電部)
34b 整流回路(インバータ共通部)
34c 平滑回路(インバータ共通部)
34d スイッチング回路(第1インバータ、第1出力部)
40 給電条件指示機構(自溶合金被覆金属条材の溶融処理装置)
41 温度制御回路(MPU,マイクロプロセッサシステム)
42 熱電対(温度センサー)
50 保温箱
60 給電部(交流給電機構+給電条件指示機構)
61 制御ユニット(給電対象切換手段)
61a パルス密度調整回路(PDM、パルス密度変調手段)
61b 温度制御回路(MPU,マイクロプロセッサシステム)
62 スイッチング回路(第2インバータ、第2出力部)
63 高周波トランス(第2出力部)
70 給電部(交流給電機構+給電条件指示機構)
71 制御ユニット(パイプライン処理手段)
72 スイッチング回路(第3インバータ、第3出力部)
73 高周波トランス(第3出力部)
Claims (3)
- 鉄鋼系の金属条材の表面に自溶合金の定着層を形成する工程と、この定着層に溶融とこれに続く凝固とその後の冷却とを経過させることで緻密な溶着層に変成させる溶融処理工程との2工程を含む自溶合金被覆金属条材の製造方法において、
前記金属条材に取り付けて通電端子とするための電極金具の対と、この電極金具の対に給電するための給電条件調整自在な交流給電機構と、この交流給電機構に給電条件を指示するための、前記金属条材の温度を直に検知する温度センサーを配した給電条件指示機構とを備えて成る溶融処理装置を使用して前記金属条材を直接通電方式によりジュール発熱させうる状態にして、
前記定着層の溶融のための加熱を、前記溶融処理装置を使用した直接通電方式により前記金属条材をジュール発熱させて行い、
更に、前記凝固後の冷却を、少なくとも前記金属条材のA1変態点近傍にて実験選定した中間温度以降の冷却について、前記溶融処理装置を使用した直接検出温度に基づくフィードバック制御での直接通電方式によるジュール発熱で冷却スケジュールを調整しながら保温箱内で行い、
しかも、前記冷却スケジュールを、前記中間温度で一旦温度を上げ下げしながら温度保持してから温度降下させて行くスケジュールとし、その温度保持中の温度上げ下げに係るスケジュールを、上下する温度の幅が30℃以上かつ70℃以下になる過程を含むものとし、温度保持後の温度降下に係るスケジュールを、ベイナイト変態等による金属条材の急激な体積膨張を回避する値として実験選定した冷却速度で行うものとする、
ことを特徴とする自溶合金被覆金属条材の製造方法。 - 前記冷却スケジュールにおける温度保持後の温度降下に係るスケジュールを、冷却速度1.2〜6.0℃/分で温度降下させて行く過程を含むスケジュールとする、ことを特徴とする請求項1記載の自溶合金被覆金属条材の製造方法。
- 前記冷却スケジュールにおける温度保持中の温度上げ下げに係るスケジュールを、温度を上下する周期が180秒以下になる過程を含むスケジュールとする、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の自溶合金被覆金属条材の製造方法。
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