JP4254166B2 - 電話システムおよびプログラム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電話システムに関し、通話中の回線の保留およびその解除を行なう機能を有する電話システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
電話システムは電話装置と複数の電話機とからなり、電話装置が収容する回線と電話機とを電話装置を介して接続することにより通話が形成される。
電話機には通常、電話装置が収容する回線分の専用回線キーが設けられ、専用回線キーのそれぞれに回線が割り付けられている。例えば電話機から発信するときには、所定の専用回線キーを押下すると、その専用回線キーに割り付けられた回線と電話機とが電話装置により接続されるので、その回線を介して発信することができる。
電話機にはまた保留キーが設けられており、この保留キーを通話中に押下すると、通話中の回線が電話装置により電話機から切り離され保留状態になる。回線が保留状態にあるとき、この回線が割り付けられた専用回線キーを押下すると、この専用回線キーが押下された電話機が電話装置により保留回線に接続されて保留状態が解除され、通話を行うことができる。
【0003】
しかし、電話装置の収容回線数が多い場合(特に、IPネットワーク網に接続される通信回線に流れるデータ量が少なく、多くのIP回線を設定可能な場合)や、スペース上の問題から電話機に多くのキーを設けられない場合には、電話機に収容回線分の専用回線キーを設けられないことがある。この場合には、頻繁に使用する回線を限定して少数の専用回線キーに割り付けざるを得ない。このような状況下でも専用回線キーに割り付けられていない回線を利用できるように、電話機に発信キーを設け、この発信キーの押下により電話装置が空き回線を自動選択して発信できるようにした電話システムもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電話機に収容回線分の専用回線キーを設けられない従来の電話システムでは、専用回線キーに割り付けられていない回線が保留状態にあるとき、これを解除できないという問題があった。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、専用回線キーに割り付けられていない回線の保留解除を行えるようにすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明の電話システムは、電話機が、保留解除キーを有し、電話装置が、回線キーに割り付けられていない回線が保留状態のときに、前記電話機での前記保留解除キーの操作を検出すると、保留状態にある回線が1つの場合に、上記保留解除キー操作が行われた電話機を保留状態にある回線に接続する第1の保留解除手段を有することを特徴とする。
この電話システムにおいて、電話装置が更に、保留状態にある回線が複数の場合に、保留解除キー操作が行われた電話機に対して保留状態にあるすべての回線の識別情報を通知する第1の回線情報通知手段と、この第1の回線情報通知手段からの通知を基に電話機により選択された回線の識別情報を受信すると、この情報識別を送信した電話機を選択された回線に接続する第2の保留解除手段とを有するものであってもよい。
【0006】
また、電話装置が、IPネットワークに接続される通信回線を収容し、更にこの通信回線を介して音声パケットを送受信することにより設定されるIP回線に識別情報を割り振る識別情報割り振り手段を有するものであってもよい。
また、電話装置が更に、電話機における保留操作が検出された後に、保留操作が行われた電話機に保留するIP回線の識別情報を通知する第2の回線情報通知手段を有するものであってもよい。
【0007】
また、本発明のプログラムは、回線キーに割り付けられていない回線が保留状態のときに、前記電話機での前記保留解除キーの操作を検出すると、保留状態にある回線が1つの場合に、上記保留解除キー操作が行われた電話機を保留状態にある回線に接続する第1の保留解除機能をコンピュータに実現させるものである。
このプログラムは更に、保留状態にある回線が複数の場合に、保留解除キー操作が行われた電話機に対して保留状態にあるすべての回線の識別情報を通知する回線情報通知機能と、この回線情報通知機能からの通知を基に電話機により選択された回線の識別情報を受信すると、この情報識別を送信した電話機を選択された回線に接続する第2の保留解除機能とをコンピュータに実現させるものであってもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態である電話システムの全体構成を示すブロック図である。
この電話システムは、電話装置1、ボタン電話機2およびIP電話機3から構成されている。
電話装置1は、電話網接続部11、IPネットワーク接続部12、ボタン電話機接続部13、IP電話機接続部14、スイッチ15、データ/音声変換部16、制御部17および記憶部18を有している。
【0009】
ここで電話網接続部11は、図示しない交換機を介して公衆電話網などの電話網5Aに接続される複数の電話回線10Aを終端制御するものであり、電話網5Aとの着信・発信処理を行なう。IPネットワーク接続部12は、図示しないゲートウェイ装置を介してインターネットなどのIPネットワーク5Bに接続される通信回線10Bを終端制御するものであり、IPネットワーク5Bとの着信・発信処理を行なう。なお、通信回線10Bは物理的には1本の回線であるが、音声パケットをインターネットプロトコル(IP)にしたがって送受信することにより、複数の回線を設定可能である。このようなIP上での音声パケットを用いた音声通話(Voice over IP)において、設定可能な回線数はその使用状況(通信回線10Bを流れるデータ量)に依存する。
ボタン電話機接続部13は、内線伝送路20を介してボタン電話機2を接続する。IP電話機接続部14は、LANなどのデータ通信路30を介してIP電話機3を接続する。
【0010】
スイッチ15は電話網接続部11、ボタン電話機接続部13、データ/音声変換部16の各パスを相互に交換接続する。データ/音声変換部16は、IPネットワーク接続部12側の音声パケットとスイッチ15側の音声データとを相互変換する。
制御部17は、CPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路とからなるコンピュータを有し、所定のプログラム19を実行することにより電話装置1の各部を制御する。記憶部18は、制御部17で実行するプログラム19やその処理に必要な各種情報を記憶する。
【0011】
ボタン電話機2が電話網5Aを介して通話を行う場合には、制御部17により、スイッチ15を介して電話網接続部11とボタン電話機接続部13とのパスが接続される。そして、電話網5A側からの音声信号は、電話網接続部11で音声データへ変換され、スイッチ15、ボタン電話機接続部13および内線伝送路20を介してボタン電話機2へ送信される。また、ボタン電話機2からの音声データは、内線伝送路20、ボタン電話機接続部13およびスイッチ15を介して電話網接続部11へ入力され、ここで音声信号へ変換されて電話網5A側へ送信される。
【0012】
一方、IP電話機3がIPネットワーク5Bを介して通話を行う場合には、制御部17により、IPネットワーク接続部12とIP電話機接続部14とのパスが接続される。そして、IPネットワーク5B側からの音声パケットは、IPネットワーク接続部12、IP電話機接続部14およびデータ通信路30を介してIP電話機3へ送信される。また、IP電話機3からの音声パケットは、データ通信路30、IP電話機接続部14およびIPネットワーク接続部12を介してIPネットワーク5B側へ送信される。
【0013】
また、ボタン電話機2がIPネットワーク5Bを介して通話を行う場合には、IPネットワーク5B側からの音声パケットは、IPネットワーク接続部12を介してデータ/音声変換部16に入力されて音声データへ変換される。そして、この音声データがスイッチ15およびボタン電話機接続部13を介してボタン電話機2へ送信される。また、ボタン電話機2からの音声データは、ボタン電話機接続部13およびスイッチ15を介してデータ/音声変換部16へ入力されて、音声パケットへ変換される。そして、この音声パケットがIPネットワーク接続部12からIPネットワーク5B側へ送信される。
【0014】
これに対し、IP電話機3が電話網5Aを介して通話を行う場合には、電話網5Aからの音声信号は、電話網接続部11から音声データとして出力され、スイッチ15を介してデータ/音声変換部16へ入力されて、音声パケットへ変換される。そして、この音声パケットがIP電話機接続部14を介してIP電話機3へ送信される。また、IP電話機3からの音声パケットは、データ/音声変換部16へ入力されて音声データへ変換される。そして、スイッチ15を介して電話網接続部11へ入力され、音声信号として電話網5A側へ送信される。
【0015】
また、制御部17は上記コンピュータで上記プログラム19を実行し、ボタン電話機2およびIP電話機3における各種操作を検出するとともに、電話装置1の各部を制御することにより、少なくとも保留手段、ランプ点灯信号送信手段、第1の保留解除手段、保留回線情報通知手段および第2の保留解除手段を実現する。
ここで保留手段は、ボタン電話機2またはIP電話機3からの保留要求(S1,S1C)を検出すると、その電話機2,3から通話中の回線を切り離し保留状態にする。
ランプ点灯信号送信手段は、電話装置1に収容されている電話機2,3のいずれかから保留要求(S1,S1C)があったときに、すべての電話機2,3へランプ点灯信号(S2,S2C)を送信し、電話機2,3が有する保留中表示ランプ(63)を点灯させ、保留回線の存在を利用者に知らせる。
【0016】
第1の保留解除手段は、保留状態にある回線(以下、保留回線という)が1つの場合に、電話機2,3からの保留解除要求(S3)を検出すると、その電話機2,3を保留回線に接続し保留を解除する手段である。
保留回線情報通知手段は、保留回線が複数の場合に、電話機2,3からの保留解除要求(S3)を検出すると、その電話機2,3へすべての保留回線の識別情報、例えばすべての保留回線の番号を含む全保留回線番号通知(S4)を送信し、その識別情報を表示させる。
第2の保留解除手段は、全保留回線番号通知を基に電話機2,3により選択された保留回線の識別情報、たとえば回線番号を含む選択回線番号通知(S5)を検出すると、選択された保留回線にその電話機2,3を接続し保留を解除する。
【0017】
図2は、IP電話機3の構成を示すブロック図である。また図3は、IP電話機3の外観の一例を示す平面図であり、(a)は全体図、(b)は部分拡大図である。
図2に示すように、IP電話機3は、データ通信部31、音声処理部32、制御部33、記憶部34、表示部35および操作部36を有している。
ここでデータ通信部31は、固有のIPアドレスをもち、データ通信路30を介して電話装置1とパケット通信を行う。音声処理部32は、データ通信部31で受信された音声パケットを音声信号に変換してハンドセット61のスピーカから出力するとともに、ハンドセット61のマイクから入力された音声信号を音声パケットに変換してデータ通信部31へ出力する。
【0018】
制御部33は、CPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路とからなり、所定のプログラムを読み込んでIP電話機3の各部を制御する。記憶部34は、ROMやRAMとその周辺回路とからなり、制御部33で実行するプログラムやその処理に必要な各種情報を記憶する。
表示部35は、図3(a)に示すLCDを用いて各種情報を表示するディスプレイ62と、電話装置1が収容する回線(複数の電話回線10Aおよび通信回線10Bに設定される1または複数のIP回線)のいずれかが保留状態にあるときに点灯する保留中表示ランプ63とを含む。
【0019】
操作部36は、図3(a)に示すダイヤルキー64、専用回線キー65、保留キー66、回線共通保留解除キー67および回線選択キー68を有する。専用回線キー65は、そのキーに割り付けられた回線をIP電話機3に接続すること要求するためのキーである。ここでは専用回線キー65の数が収容回線数より少ないものとする。この場合には、頻繁に使用する回線を限定して少数の専用回線キー65に割り付けることになる。保留キー66は、通話中の回線をIP電話機3から切り離し保留状態にすることを要求するためのキーである。回線共通保留解除キー67は、専用回線キー65に割り付けられていない回線の保留解除を要求するためのキーである。回線選択キー68は、保留回線が複数の場合に、保留解除を要求する回線を選択するためのキーである。
【0020】
また、制御部33はIP電話機3の各部を制御することにより、少なくとも保留要求手段、ランプ点灯手段、保留解除要求手段、保留回線情報表示手段および回線選択手段を実現する。
ここで保留要求手段は、保留キー66の押下により電話装置1へ保留要求(S1,S1C)を送信し、通話中の回線を保留状態にさせる。
ランプ点灯手段は、電話装置1からのランプ点灯信号(S2,S2C)を検出すると、保留中表示ランプ63を点灯させ、保留回線の存在を利用者に知らせる。
【0021】
保留解除要求手段は、回線共通保留解除キー67の押下により、専用回線キー65に割り付けられていない回線の保留解除要求(S3,S3)を電話装置1へ送信する。
保留回線情報表示手段は、電話装置1からの全保留回線番号通知(S4)を検出すると、すべての保留回線の番号をディスプレイ62に表示する。
回線選択手段は、ディスプレイ62に表示されている複数の保留回線の中から利用者が保留解除を要求する保留回線を選択し、その保留回線に対応する回線選択キー68を押下したときに、選択された保留回線の識別情報、例えば回線番号を含む選択回線番号通知(S5)を電話装置1へ送信する。
【0022】
なお、IP電話機3としては、通話専用の電話機器であっても、通話機能を備えたパソコンなどの情報通信端末であってもよい。
ボタン電話機2は、データ通信部31に代えて、電話装置1と内線伝送路20を介する音声データの送受を行なうインターフェース部を有しているほかは、図2に示したIP電話機3と同様の構成をなしているので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0023】
次に、図4〜図6を参照し、図1に示した電話システムの動作について説明する。図4は、回線の保留からその解除までの電話システムの動作の流れを示すフローチャートである。図5は、1つの回線が保留状態となった場合の電話システムの動作に基づく信号の流れを示すシーケンス図である。図6は、同時に2つの回線が保留状態となった場合の電話システムの動作に基づく信号の流れを示すシーケンス図である。なお、回線の保留からその解除までの動作は、電話機がIP電話機2であってもボタン電話機3であっても本質的には変わりないので、ここではIP電話機2およびボタン電話機3の中の3つを電話機A,B,Cとして説明する。
【0024】
図5に示すように、電話装置1を介して発信側電話機41と電話機Aとが接続され、通話中であるとする。ここで電話機Aの利用者が保留キー66を押下すると(図4:ステップ101,YES)、通話中の回線の保留要求S1が電話機Aから電話装置1へ送信される。
保留要求S1の受信によって電話機Aにおける保留操作を検出した電話装置1では、制御部17の制御により、通話中の回線から電話機Aを切り離し、回線を保留状態にする(図4:ステップ102)。このとき、保留にした回線の番号を記憶部18で記憶しておく。また、電話機A,Bを含む電話装置1に収容されるすべての電話機へ、ランプ点灯信号S2を送信する。
ランプ点灯信号S2を受信した電話機では、制御部33の制御により保留中表示ランプ63を点灯し(図4:ステップ103)、保留回線の存在を利用者に知らせる。
【0025】
発信側電話機41と電話機Aとの間で通話中の呼を電話機Aから電話機Bへ転送するときには、電話機Aの利用者はステップ101で保留キー66を押下して回線を保留した後、電話機Bを呼び出し、既に電話装置1から通知されている保留回線の番号を電話機Bの利用者へ教える。その保留回線が電話機Bの専用回線キー65に割り付けられていない場合、電話機Bの利用者は回線共通保留解除キー67を押下する(図4:ステップ104,YES)。この回線共通保留解除キー67の押下により、電話機A,B間の接続が解除されるとともに、専用回線キー65に割り付けられていない回線の保留解除要求S3が電話機Bから電話装置1へ送信される。
【0026】
保留解除要求S3を受信した電話装置1では、制御部17により記憶部18から保留回線の番号を読み出し、保留回線が1つだけかどうかを判定する。保留回線が1つだけの場合(図4:ステップ105,YES)には、保留解除要求S3を送信した電話機Bを保留回線に接続し、保留回線の保留を解除する(図4:ステップ106)。その結果、発信側電話機41と電話機Bとの間で通話が形成され(図4:ステップ107)、呼の転送が終了する。
【0027】
一方、図6に示すように、電話機Aの他に電話機Cからも電話装置1へ保留要求S1Cが送信され、保留回線が2つある場合(図4:ステップ105,NO)には、その2つの保留回線の番号を示す全保留回線番号通知S4を、保留解除要求S3を送信した電話機Bへ返信する。
全保留回線番号通知S4を受信した電話機Bでは、制御部33の制御により、すべての保留回線の番号をディスプレイ62に表示する(図4:ステップ108)。このときの表示の一例を図3(b)に示す。「回線1」,「回線5」が保留回線の番号である。
【0028】
ディスプレイ62の下端に沿って回線選択キー68を構成する4つのキーF1,F2,F3,F4が配列されており、これらのキーF1,F2,F3,F4と対向する位置に保留回線の番号が表示される。電話機Bの利用者が保留解除を要求する保留回線を選択するときは、キーF1,F2,F3,F4の中から、選択する保留回線の番号に対向するものを押下する。例えば電話機Aの利用者から教えられた保留回線の番号を「回線1」とすると、電話機Bの利用者は「回線1」に対向するキーF1を押下すればよい。
【0029】
電話機Bの利用者が回線選択キー68のキーF1を押下すると(図4:ステップ109,YES)、制御部33の制御により、選択された保留回線の番号を含む選択回線番号通知S5が電話装置1へ送信される。
選択回線番号通知S5を受信した電話装置1では、制御部17の制御により、選択回線番号通知S5が示す保留回線に電話機Bを接続し、保留回線の保留を解除する(図4:ステップ110)。その結果、発信側電話機41と電話機Bとの間で通話が形成され(図4:ステップ107)、呼の転送が終了する。
【0030】
以上のように、保留回線が1つの場合には、電話機Bにおける回線共通保留解除キー67の押下により、専用回線キー65に割り付けられていない回線の保留解除要求S3を電話機Bから電話装置1へ送信し、その保留解除要求S3に基づき電話装置1で電話機Bを保留回線に接続することにより、専用回線キー65に割り付けられていない回線の保留解除を行うことができる。
また、保留回線が複数の場合には、すべての保留回線の番号を電話機Bのディスプレイ62に表示し、その中から電話機Bの利用者が選択した保留回線に電話機Bを接続することにより、保留回線が複数の場合でも適切な回線の保留解除を行うことができる。
【0031】
上述した形態では、ディスプレイ62に表示される複数の保留回線の中から保留解除を要求する回線を選択する方法として回線選択キー68を用いる例を示したが、選択方法はこれに限られるものではない。他の選択方法の例を以下に示す。
図7は、IP電話機の外観の他の例を示す平面図である。この図では、図3に示した部材と同一部材を、図3と同一符号で示している。図7に示すIP電話機では、保留解除を要求する回線の番号をダイヤルキー64で選択する。例えば「回線03」を選択する場合には、ダイヤルキー64の「0」,「3」,「#」を続けて押下し、「回線56」を選択する場合には、ダイヤルキー64の「5」,「6」,「#」を続けて押下する。このように保留回線の選択にダイヤルキー64を利用すれば、回線選択キー68を別途設ける必要がなくなる。
【0032】
図8は、IP電話機の外観の他の例を示す平面図である。この図では、図3に示した部材と同一部材を、図3と同一符号で示している。図8に示すIP電話機では、保留解除を要求する回線の番号を左右一対のカーソルキー69で選択する。図8では「回線5」にカーソルがある状態を示している。カーソルを「回線1」に移動させるには左向きのカーソルキーを押下し、「回線9」に移動させるには右向きのカーソルキーを押下すればよい。その後、回線共通保留解除キー67など、カーソルキー69以外のキーを押下することにより、カーソルがある位置の回線が選択される。なお、保留回線数が多く、ディスプレイ62に回線番号が複数段で表示される場合を考慮し、上下左右一組のカーソルキーを設け、カーソルを上下左右に移動できるようにしてもよい。
なお、図7または図8に示したIP電話機を有する電話システムにおいて、ボタン電話機がIP電話機と同じ選択方法を採用できることは、上述した形態と同様である。
【0033】
また、上述した回線の保留およびその解除の動作においては、電話装置1で保留回線を識別できなければならない。電話網5Aを介する通話では、電話装置1に物理的に接続される複数の電話回線10Aのそれぞれに予め回線番号が付与されているので、その回線番号を保留回線の識別情報として利用する。これに対し、IPネットワーク5Bを介する通話では、1本の通信回線10Bを介して音声パケットを送受信することにより設定される1または複数のIP回線を、通話の際に電話装置1の制御部17で認識する必要がないので、保留回線の識別のために制御部17により別途識別情報として回線番号を割り振る必要が生ずる。
【0034】
IP回線への回線番号の割り振りは、発信側電話機41の発信時または保留操作を行なう電話機Aの通話時に行なうこともできるが、電話機Aによる保留操作後に行ってもよい。図9は、電話機による保留操作後にIP回線への回線番号の割り振りを行なう場合の電話システムの動作の流れを示すフローチャートである。図10は、図9に示す動作に基づく信号の流れを示すシーケンス図である。図9または図10では、図4または図5,図6に示した部分と同一部分を、図4または図5,図6と同一符号で示している。
【0035】
図9に示す動作例では、電話機Aの保留キー66の押下に基づく保留要求S1を電話装置1で受信すると、電話装置1の制御部17の制御により、IPネットワーク接続部12において通話中のIP回線を保留状態にする(図9:ステップ102)。そして、保留状態にしたIP回線を識別できるように、制御部17によりそのIP回線に識別情報として回線番号を割り振り(図9:ステップ111)、割り振った回線番号を記憶部18で記憶しておく。続いて、図10(a)に示すように、保留回線に割り振った回線番号を含む保留回線番号通知S11を電話機Aに返信する。
保留回線番号通知S11を受信した電話機Aでは、制御部33の制御により、保留回線の番号をディスプレイ62に表示し(図9:ステップ112)、電話機Aの利用者に保留回線の番号を知らせることができる。
【0036】
その後、電話装置1からすべての電話機へランプ点灯信号S2を送信し、ランプ点灯信号S2を受信した電話機で保留中表示ランプ63を点灯させる(図9:ステップ103)。以下の動作は、図4〜図6を用いて説明した動作と同じである。
なお、図10(b)に示すように、電話機Aの後に電話機Cからも保留要求S1Cが送信された場合には、電話装置1において電話機Cと通話中のIP回線を保留状態にし、このIP回線に回線番号を割り振り、この回線番号を示す保留回線番号通知S11Cを電話機Cに返信する。そして、保留回線番号通知S11Cを受信した電話機Cで、保留回線の番号をディスプレイ62に表示する。
【0037】
図9に示す動作例では、IP回線を保留するステップ102と電話機の保留中表示ランプを点灯させるステップ103との間に、保留回線に回線番号を割り振りそれを電話機Aのディスプレイ62に表示させるステップ111,112を設けたが、電話機の保留キー66が押下されたと判定するステップ101の後であれば、ステップ111,112をステップ102の前またはステップ103の後に設けてもよい。いずれの場合も、電話機による保留操作が行われてから電話装置1の制御部17によるIP回線への回線番号の割り振りを行なうようにすれば、電話機により保留操作が行われることなく通話が終了する場合に回線番号の割り振りを行なう必要がなくなり、電話装置1の制御部17の負担を軽減できる。
【0038】
なお、上述した形態では、図3において電話機の専用回線キー65の数が電話装置1の収容回線数より少なく、収容回線のすべてを専用回線キー65に割り付けられない場合を例に説明したが、本発明はこの場合に限られるものではなく、専用回線キー65に割り付けられていない収容回線を有する電話システムに有効である。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、保留解除キーを電話機に設け、回線キーに割り付けられていない回線が保留状態のときに、前記電話機での前記保留解除キーの操作を検出すると、保留状態にある回線が1つの場合に、上記保留解除キー操作が行われた電話機を保留状態にある回線に接続する第1の保留解除手段を電話装置に設けることにより、回線キーに割り付けられていない回線の保留解除が可能になる。
また、電話装置に、保留解除キー操作が行われた電話機に対して保留状態にあるすべての回線の識別情報を通知する第1の回線情報通知手段と、この第1の回線情報通知手段からの通知を基に電話機により選択された回線の識別情報を受信すると、その電話機を選択された回線に接続する第2の保留解除手段とを設けることにより、保留状態にある回線が複数の場合でも適切な回線の保留解除を行うことができる。
【0040】
また、電話装置に、電話機における保留操作が検出された後に、保留操作が行われた電話機に保留するIP回線の識別情報を通知する第2の回線情報通知手段を設けることにより、IP回線を保留する際にIP回線への識別情報の割り振りを行えばよくなり、IP回線の保留が行われない場合にIP回線への識別情報の割り振りが不要となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態である電話システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】 IP電話機の構成を示すブロック図である。
【図3】 IP電話機の外観の一例を示す平面図である。
【図4】 回線の保留からその解除までの電話システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【図5】 1つの回線が保留状態となった場合の電話システムの動作に基づく信号の流れを示すシーケンス図である。
【図6】 同時に2つの回線が保留状態となった場合の電話システムの動作に基づく信号の流れを示すシーケンス図である。
【図7】 IP電話機の外観の他の例を示す平面図である。
【図8】 IP電話機の外観の他の例を示す平面図である。
【図9】 電話機による保留操作後にIP回線への回線番号の割り振りを行なう場合の電話システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【図10】 図9に示す動作に基づく信号の流れを示すシーケンス図である。
【符号の説明】
1…電話装置、2…ボタン電話機、3…IP電話機、41,42…発側電話機、5A…電話網、5B…IPネットワーク、10A…電話回線、10B…通信回線、11…電話網接続部、12…IPネットワーク接続部、13…ボタン電話接続部、14…IP電話機接続部、15…スイッチ、16…データ/音声変換部、17…制御部、18…記憶部、20…内線伝送路、30…データ通信路、31…データ通信部、32…音声処理部、33…制御部、34…記憶部、35…表示部、36…操作部、61…ハンドセット、62…ディスプレイ、63…保留中表示ランプ、64…ダイヤルキー、65…専用回線キー、66…保留キー、67…回線共通保留解除キー、68…回線選択キー、69…カーソルキー、A〜C…電話機、S1,S1C…保留要求、S2,S2C…ランプ点灯信号、S3…保留解除要求、S4…全保留回線番号通知、S5…選択回線番号通知、S11,S11C…保留回線番号通知。

Claims (6)

  1. 複数の電話機と、これらの電話機を収容する電話装置とからなり、前記電話機が有する回線キーの押下により前記電話装置が前記回線キーに割り付けられた回線を前記電話機に接続するとともに、前記電話機における保留操作の検出により前記電話装置が通話の形成されている回線を保留状態にする電話システムにおいて、
    前記電話機は、保留解除キーを有し、
    前記電話装置は、前記回線キーに割り付けられていない回線が保留状態のときに、前記電話機での前記保留解除キーの操作を検出すると、保留状態にある回線が1つの場合に、前記保留解除キー操作が行われた電話機を前記保留状態にある回線に接続する第1の保留解除手段を有する
    ことを特徴とする電話システム。
  2. 請求項1に記載された電話システムにおいて、
    前記電話装置は、
    前記保留状態にある回線が複数の場合に、前記保留解除キー操作が行われた前記電話機に対して保留状態にあるすべての回線の識別情報を通知する第1の回線情報通知手段と、
    この第1の回線情報通知手段からの通知を基に前記電話機により選択された回線の識別情報を受信すると、この情報識別を送信した前記電話機を前記選択された回線に接続する第2の保留解除手段と
    を有することを特徴とする電話システム。
  3. 請求項1または2に記載された電話システムにおいて、
    前記電話装置は、
    IPネットワークに接続される通信回線を収容し、
    この通信回線を介して音声パケットを送受信することにより設定されるIP回線に識別情報を割り振る識別情報割り振り手段を有する
    ことを特徴とする電話システム。
  4. 請求項3に記載された電話システムにおいて、
    前記電話装置は、前記電話機における保留操作が検出された後に、前記保留操作が行われた電話機に保留するIP回線の識別情報を通知する第2の回線情報通知手段を有することを特徴とする電話システム。
  5. 複数の電話機を収容する電話装置に設けられたコンピュータに、前記電話機が有する回線キーの押下により前記回線キーに割り付けられた回線を前記電話機に接続する機能と、前記電話機における保留操作の検出により通話の形成されている回線を保留状態にする機能とを実現させるプログラムであって、
    前記回線キーに割り付けられていない回線が保留状態のときに、前記電話機での前記保留解除キーの操作を検出すると、保留状態にある回線が1つの場合に、前記保留解除キー操作が行われた電話機を前記保留状態にある回線に接続する第1の保留解除機能を前記コンピュータに実現させるプログラム。
  6. 請求項5に記載されたプログラムにおいて、
    前記保留状態にある回線が複数の場合に、前記保留解除キー操作が行われた前記電話機に対して保留状態にあるすべての回線の識別情報を通知する回線情報通知機能と、
    この回線情報通知機能からの通知を基に前記電話機により選択された回線の識別情報を受信すると、この情報識別を送信した前記電話機を前記選択された回線に接続する第2の保留解除機能と
    を前記コンピュータに実現させるプログラム。
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