JP4254151B2 - 光ピックアップ装置及び光ディスク装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光磁気ディスク、相変化型の光ディスク等の光学的に情報の記録再生が行われる光ディスクに対して情報を記録及び/又は再生する光ピックアップ装置及び光ピックアップ装置を備える光ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、光磁気ディスク、相変化型の光ディスク等の光学的に情報の記録再生が行われる光ディスクに対して情報を記録及び/又は再生する光ピックアップ装置が知られている。
【0003】
図32に示すように、この種の光ピックアップ装置が備える光学系201は、光路順に、光ディスク204に照射されるレーザ光を出射する光源211と、この光源211から出射された出射光を3分割する3ビーム用回折格子212a及び出射光と光ディスク204からの戻り光とを分離するビームスプリッタ用回折格子212bを有する複合光学素子212と、出射光を所定の開口数NAに絞るための開口絞り214と、光ディスク204に出射光を集光する対物レンズ215と、光ディスク204からの戻り光を受光する受光部216とを有している。
【0004】
光源211は、半導体レーザが用いられており、レーザ光を出射する。複合光学素子212は、3ビーム用回折格子212aと、ビームスプリッタ用回折格子212bとが一体に形成された光学素子である。3ビーム用回折格子212aは、いわゆる3ビーム法によってトラッキングエラー信号を得るために、光源211から出射された出射光を0次光及び±1次光からなる3ビームに分割する。ビームスプリッタ用回折格子212bは、光ディスク204からの戻り光を回折させ0次光及び±1次光に分割し、例えば+1次光を受光部216へ導く戻り光として出射光と分離する。
【0005】
受光部216は、図示しないが、戻り光のうち3ビーム用回折格子212aで分割された0次光を受光するメインビーム用フォトディテクタと、戻り光のうち3ビーム用回折格子212aで分割された±1次光をそれぞれ受光する一組のサイドビーム用フォトディテクタとを有している。
【0006】
光学系201には、フォーカシングエラー信号を検出する検出方法として、いわゆる非点収差法が用いられている。このため、図33(a)、図33(b)、図33(c)に示すように、メインビーム用フォトディテクタ221は、戻り光を受光する受光面が略方形状に形成されており、受光面の中央を通り互いに直交する一組の分割線により4等分割された各受光領域a5,b5,c5,d5を有する分割パターンとされている。また、図示しないが、サイドビーム用フォトディテクタは、メインビーム用フォトディテクタ221を間に挟んで対向する位置にそれぞれ配設されている。
【0007】
そして、光学系201は、図32に示すように、光源211から光ディスク204までの往路において、光源211の発光点を物点として、その共役点である像点が、光ディスク204の記録面205上に位置するように各光学部品がそれぞれ配設されている。
【0008】
また、光学系201は、光ディスク204から受光部216までの復路において、光ディスク204の記録面205上の点を物点として、その共役点である像点が受光部216のメインビーム用フォトディテクタ221の受光面上に位置するように各光学部品がそれぞれ配設されている。
【0009】
したがって、光学系201は、光源211の発光点と受光部216のメインビーム用フォトディテクタ221の受光面上における点も、また互いに共役な関係とされている。
【0010】
上述したメインビーム用フォトディテクタ221の各受光領域a5,b5,c5,d5により、フォーカシングエラー信号を得る方法を以下説明する。
【0011】
まず、光ディスク204の記録面205に対して対物レンズ215が最適な位置とされて、光ディスク204の記録面205に対して合焦された、いわゆるジャストフォーカスの状態であれば、メインビーム用フォトディテクタ221の受光面上におけるビームスポットの形状は、図33(b)に示すように、円形となる。
【0012】
しかし、対物レンズ215が光ディスク204の記録面205に近づき過ぎた場合、ジャストフォーカスの状態から外れて、ビームスプリッタ用回折格子212bで分離された戻り光が複合光学素子212を通過することによって発生した非点収差によって、メインビーム用フォトディテクタ221の受光面上におけるビームスポットの形状は、図33(a)に示すように長軸が受光領域a5及び受光領域c5に跨った楕円形状になる。
【0013】
さらに、対物レンズ215が光ディスク204の記録面205から遠ざかり過ぎた場合、ジャストフォーカスの状態から外れて、ビームスプリッタ用回折格子212bで分離された戻り光が複合光学素子212を通過することによって発生した非点収差によって、メインビーム用フォトディテクタ221の受光面上におけるビームスポットの形状は、図33(c)に示すように長軸が受光領域b5及び受光領域d5に跨った楕円形状になり、上述した図33(a)に示すビームスポットの形状に比して長軸方向が90度だけ傾いた楕円形状になる。
【0014】
メインビーム用フォトディテクタ221は、各受光領域a5,b5,c5,d5による戻り光の出力を各々Sa5,Sb5,Sc5,Sd5とすると、フォーカシングエラー信号FEは、以下に示す式23で計算される。
【0015】
FE=(Sa5+Sc5)−(Sb5+Sd5)・・・・(式23)
すなわち、図33(b)に示すように、メインビーム用フォトディテクタ221は、対物レンズ215が合焦位置に位置された、いわゆるジャストフォーカスの状態の場合、上述した式23により演算されるフォーカシングエラー信号FEが0となる。
【0016】
また、メインビーム用フォトディテクタ221は、対物レンズ215が光学ディスク204の記録面205に近づき過ぎた場合、フォーカシングエラー信号FEが正となり、また対物レンズ215が光学ディスク204の記録面205から遠ざかり過ぎた場合、フォーカシングエラー信号FEが負となる。
【0017】
トラッキングエラー信号TEは、3ビーム用回折格子212aで分割された±1次光をサイドビーム用フォトディテクタがそれぞれ受光して、各サイドビーム用フォトディテクタの各出力の差分を演算することにより得られる。
【0018】
以上のように構成された光学系201を備える光ピックアップ装置は、受光部216のメインビーム用フォトディテクタ221によって得られたフォーカシングエラー信号FE、及びサイドビーム用フォトディテクタによって得られたトラッキングエラー信号TEに基づいて、対物レンズ215を駆動変位させることによって、光学ディスク204の記録面205に対して対物レンズ215が合焦位置に移動されて、出射光が光学ディスク204の記録面205上に合焦されて、光学ディスク204から情報が再生される。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一般的に半導体レーザの如き光源211は、レーザ光の発振波長が周囲の温度に依存するという性質を有している。周囲の温度がTである場合、半導体レーザによるレーザ光の発振波長は、温度Tでの発振波長をλT、常温での発振波長をλ0、常温からの変化温度をΔT、温度係数をcとして、以下に示す式24で近似的に表すことができる。
【0020】
λT=λ0+c・ΔT・・・・(式24)
また、レーザ光が上述したビームスプリッタ用回折格子212bのような回折格子に入射して回折する場合、入射角をθ、回折角をθ’として、入射角θと回折角をθ’との関係は、以下に示す式25で表すことができる。
【0021】
n’・sinθ’−n・sinθ=m・λ/d・・・・(式25)
なお、λはレーザ光の波長、dは回折格子の格子定数、mは回折次数、nは入射側媒質の屈折率、n’は出射側媒質の屈折率である。
【0022】
上述した光学系201において、複合光学素子212のビームスプリッタ用回折格子212bで回折する戻り光の場合は、メインビームに関してn=1、θ=0であるので、回折次数を+1次とすれば、式25を以下に示す式26とすることができる。
【0023】
n’・sinθ’=λ/d・・・・(式26)
上述した式24乃至式26より、この光学系201が置かれた周囲の温度が変化した場合には、温度Tにおける回折角をθ’Tとして式26に式24を代入すると以下に示す式27を得ることができる。
【0024】
n’・sinθ’T=(λ0+c・ΔT)/d・・・・(式27)
さらに、常温での回折角をθ’0として回折角θ’0を用いて式27から以下に示す式28を得ることができる。
【0025】
n’・sinθ’T=n’・sinθ’0+c・ΔT/d・・・・(式28)
式28より、温度Tでの回折角θ’Tは、以下に示す式29で表すことができる。
【0026】
θ’T=θ’0+sin−1((c・ΔT)/(d・n’))・・・・(式29)
式29より、戻り光の温度Tにおける回折角θ’Tは、ΔTに依存する、すなわち光学系201の周囲の温度変化に依存することがわかる。
【0027】
次に、光ピックアップ装置においては、製造工程が常温で行われているので、受光部216の位置が戻り光の回折角をθ’0であるとして調整されている。しかし、受光部216の位置を調整した後に、周囲の温度が変化すると、式22に示すように戻り光の回折角が変化して、図34に示すように、受光部216のメインビーム用フォトディテクタ221の受光面上に照射されるビームスポットの中心は、所定の位置からずれることとなる。
【0028】
上述した光ピックアップ装置が備える光学系201は、上述した受光部216によってフォーカシングエラー信号FEを得る場合、メインビーム用フォトディテクタ221の受光面上に照射されるビームスポットの中心が、メインビーム用フォトディテクタ221の中央からいずれかの方向に少しでも外れることにより、ジャストフォーカス状態の場合の出力が0でなくなるため、結果的にフォーカシングエラー信号FEにオフセットがかかることになる。
【0029】
上述したように光ピックアップ装置では、フォーカシングエラー信号FEが0になるようにフォーカシング制御が行われるため、対物レンズ215を正確な合焦位置に駆動制御することができなくなるという問題がある。
【0030】
また、上述のように光を透過させる光学ブロックを有する光ピックアップ装置では、光学ブロックで発生する非点収差により、戻り光を所望の位置に適切に集光することができず、受光部216のメインビーム用フォトディテクタ221の受光面上に照射されるビームスポットの形状が、適切な略円形からずれることとなる。
【0031】
この場合にも、光ピックアップ装置では、フォーカシングエラー信号FEが適切に生成されなくなってしまうという問題がある。
【0032】
そこで、本発明は、光学ディスクからの戻り光を適切な位置に導き、フォーカシングエラー信号の信頼性を向上することができる光ピックアップ装置及び光学ディスク装置、並びにこれら装置に用いられる光学装置及び複合光学素子を提供することを目的とする。
【0033】
また、本発明は、光学ディスクからの戻り光が光学系で受ける非点収差よるビームスポットの形状の変形を抑制し、フォーカシングエラー信号の信頼性を向上することができる光ピックアップ装置及び光学ディスク装置、並びにこれら装置に用いられる光学装置及び複合光学素子、を提供することを目的とする。
【0034】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するため、本発明に係る光ピックアップ装置は、所定の波長の光を出射する光源と、上記光源から出射された光ビームと光ディスクで反射された戻り光との光路を分離するとともに、上記戻り光の光路中において非点収差量を補正するビームスプリッタと、上記光ディスクに上記光源から出射された出射光を集光するとともに上記光ディスクからの戻り光を集光する対物レンズと、上記ビームスプリッタで分離された戻り光が略合焦位置で入射される位置に配置され、上記戻り光を上記略合焦位置で複数に分割する光分割手段と、上記光分割手段により分割され導かれた複数の戻り光を複数の受光領域で受光する受光手段とを備え、上記光分割手段は、複数の平面又は曲面により構成されたプリズムであり、それぞれに対応する上記受光領域の領域内にビームスポットを形成するように上記戻り光を複数に分割して上記受光手段に導く。
【0037】
以上のように構成された本発明に係る光ピックアップ装置は、光源から出射された出射光を光学ディスクに導き、光学ディスクからの戻り光をビームスプリッタにより出射光と異なる光路に分離し、戻り光の非点収差量を適切に補正することで、光分割手段に入射する戻り光のビーム形状を調整する。
【0040】
本発明に係る光ディスク装置は、光ディスクに対して情報を記録及び/又は再生する光ピックアップと、上記光ディスクを回転駆動するディスク回転駆動手段とを備え、上記光ピックアップは、所定の波長の光を出射する光源と、上記光源から出射された光ビームと上記光ディスクで反射された戻り光との光路を分離するとともに、上記戻り光の光路中において非点収差量を補正するビームスプリッタと、上記光ディスクに上記光源から出射された出射光を集光するとともに上記光ディスクからの戻り光を集光する対物レンズと、上記ビームスプリッタで分離された戻り光が略合焦位置で入射される位置に配置され、上記戻り光を上記略合焦位置で複数に分割する光分割手段と、上記光分割手段により分割され導かれた複数の戻り光を複数の受光領域で受光する受光手段とを備え、上記光分割手段は、複数の平面又は曲面により構成されたプリズムであり、それぞれに対応する上記受光領域の領域内にビームスポットを形成するように上記戻り光を複数に分割して上記受光手段に導く。
【0041】
以上のように構成された本発明に係る光学ディスク装置は、光源から出射された出射光を光学ディスクに導き、光学ディスクからの戻り光をビームスプリッタにより出射光と異なる光路に分離し、戻り光の非点収差量を適切に補正することで、光分割手段に入射する戻り光のビーム形状を調整する。
【0048】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が適用された光学ディスク装置について、図面を参照して説明する。
【0049】
光学ディスク装置1は、図1に示すように、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、情報の追記が可能とされるCD−R(Recordable)、情報の書き換えが可能とされるCD−RW(ReWritable)等の光学ディスクや、光磁気ディスク等の光学ディスク2に対して情報の記録及び/又は再生(以下では記録再生と記述する。)を行うことができるようにされている。
【0050】
光学ディスク装置1は、光学ディスク2から情報の記録再生を行う光ピックアップ3と、光学ディスク2を回転駆動するディスク回転駆動機構4と、光ピックアップ3を光学ディスク2の径方向に移動させる送り機構5と、これら光ピックアップ3、ディスク回転駆動機構4、送り機構5を制御する制御部6とを備えている。
【0051】
ディスク回転駆動機構4は、光学ディスク2が載置されるディスクテーブル7と、このディスクテーブル7を回転駆動するスピンドルモータ8とを有している。送り機構5は、図示しないが、光ピックアップ3を支持する支持ベースと、この支持ベースを移動可能に支持する主軸及び副軸と、支持ベースを移動させるスレッドモータとを有している。
【0052】
制御部6は、図1に示すように、送り機構5を駆動制御して光学ディスク2の径方向に対する光ピックアップ3の位置を制御するアクセス制御回路9と、光ピックアップ3の二軸アクチュエータを駆動制御するサーボ回路10と、これらアクセス制御回路9、サーボ回路10を制御するドライブコントローラ11とを有している。また、この制御部6は、光ピックアップ3からの信号を復調処理する信号復調回路12と、復調処理された信号を誤り訂正する誤り訂正回路13と、誤り訂正された信号を外部コンピュータ等の電子機器に出力するためのインターフェース14とを有している。
【0053】
以上のように構成された光学ディスク装置1は、ディスク回転駆動機構4のスピンドルモータ8によって、光学ディスク2が載置されたディスクテーブル7を回転駆動し、制御部6のアクセス制御回路9からの制御信号に応じて送り機構5を駆動制御し、光ピックアップ3を光学ディスク2の所望の記録トラックに対応する位置に移動することで、光学ディスク2に対して情報の記録再生を行う。
【0054】
ここで、上述した光ピックアップ3について詳しく説明する。
【0055】
光ピックアップ3は、例えば、図2に示すように、光学ディスク2から情報を再生する光学系30と、この光学系30が有する後述する対物レンズを駆動変位させる図示しないレンズ駆動機構とを有している。
【0056】
光ピックアップ3が有する光学系30は、光路順に、レーザ光を出射する光源と光学ディスク2からの戻り光を受光する受光素子とが一体に形成された受発光一体型素子31と、この受発光一体型素子31から出射された出射光を分割し、光学ディスク2からの戻り光を出射光と分離する複合光学素子32と、受発光一体型素子31から出射され複合光学素子32を透過した出射光を所定の開口数NAに絞る開口絞り33と、この開口絞り33により絞られた出射光を光学ディスク2の記録面2aに集光させる対物レンズ34とを有している。
【0057】
受発光一体型素子31は、波長が例えば780nm程度のレーザ光を出射する半導体レーザと、詳細を後述する受光領域が分割された受光素子とを有している。
【0058】
複合光学素子32は、図2乃至図4に示すように、例えば樹脂材料を射出成型することでブロック状に形成されており、受発光一体型素子31に臨まされるとともにこの受発光一体型素子31から出射される出射光の光軸に直交する第1の面41と、この第1の面41と平行に対向する第2の面42とを有している。
【0059】
第1の面41には、受発光一体型素子31から出射された出射光を、0次光及び±1次光からなる3ビームに分割する第1の回折格子45が設けられている。光学系30は、トラッキングエラー信号TEを得るために、いわゆる3スポット法(3ビーム法)が適用されており、第1の回折格子45により分割された±1次光を受発光一体型素子31で受光し±1次光の各出力の差分を検出することによってトラッキングサーボを行うように構成されている。
【0060】
第2の面42には、光学ディスク2からの各戻り光のうち第1の回折格子45で分割された0次光及び±1次光を回折させて、それぞれをさらに0次光及び±1次光に分割して、例えば、この+1次光を戻り光として出射光の光路と分離する第2の回折格子46が設けられている。
【0061】
また、第1の面41には、第2の回折格子46によって分離された戻り光の光路上に位置して、この戻り光を回折させて、さらに0次光及び±1次光に分割して、例えばこの−1次光を受発光一体型素子31に導く第3の回折格子47が設けられている。この第3の回折格子47は、第1の回折格子45に対して同一面内で一方側に隣接して配設されている。
【0062】
また、複合光学素子32は、第2の回折格子46で分離された戻り光が通過することによって、第3の回折格子47に入射される戻り光に非点収差を所定量だけ付与する。複合光学素子32は、受発光一体型素子31から出射された出射光の光軸方向の位置を調動することによって、光学ディスク2に対するデフォーカスを容易に調整することが可能とされる。
【0063】
複合光学素子32は、上述したように樹脂材料を射出成型することにより形成される。また、その他の形成方法としては、エッチング加工により上述の第1の回折格子45、第2の回折格子46及び第3の回折格子47を形成しても良いし、機械加工により形成してもかまわない。なお、複合光学素子32を形成する材料としては、樹脂材料に限定されるものではなく、硝材等の透光性を有する光学材料を用いることができ、さらにこれらの光学材料の組み合わせにより、部分的に材料構成を変えるようにしてもよい。
【0064】
また、複合光学素子32は、内部に反射面を有する用に設計してもよく、反射面を利用して光路を曲げることにより光学設計の自由度を向上させることができる。
【0065】
ここで、複合光学素子32内において、光源31から出射される出射光の波長変動により、光学ディスク2からの戻り光に発生する光路変動について説明する。
【0066】
複合光学素子32は、図4に示すように、光学ディスク2からの戻り光をLとして、戻り光Lを第2の回折格子46で+1次光として回折させて出射光の光路と分離し、第2の回折格子46で光路が分離された戻り光Lを第3の回折格子47で−1次光として回折させて受発光一体型素子31に導くように構成されている。
【0067】
ここで、複合光学素子32内では、図5に示すように、戻り光の波長をλ、第2の回折格子46での回折角をθ1、第3の回折格子47での回折角をθ2、第2の回折格子46の格子定数をd1、第3の回折格子47の格子定数をd2、第2の回折格子46での回折次数を+1、第3の回折格子47での回折次数を−1、第2の回折格子46と第3の回折格子47との間の媒質の屈折率をn、すなわち複合光学素子32を形成する樹脂材料の屈折率をnとすると、式18より以下の式1及び式2が導き出される。
【0068】
n・sinθ1=λ/d1・・・・(式1)
sinθ2−n・sinθ1=−λ/d2・・・・(式2)
次に、式1及び式2より、sinθ1及びsinθ2は、以下の式3及び式4に示すように表すことができる。
【0069】
sinθ1=λ/(d1・n)・・・・(式3)
sinθ2=λ・(1/d1−1/d2)・・・・(式4)
次に、式3及び式4より、cosθ1及びcosθ2は、以下の式5及び式6に示すように表すことができる。
【0070】
cosθ1=(1−λ2/(d1・n)2)1/2・・・・(式5)
cosθ2=(1−λ2・(1/d1−1/d2)2)1/2・・・・(式6)
次に、第2の面42をx=0として第2の面42から垂直に第1の面41側へx軸をとり、このx軸からのずれをy軸にとり、第2の回折格子46で+1次光として回折された光学ディスク2からの戻り光のうち第1の回折格子45で0次光とされたメインビームを光線l1とすると、この光線l1の光路は、以下の式7に示すように表すことができる。
【0071】
y=tanθ1・x・・・・(式7)
次に、第1の面41と第2の面42との間隔をaとして、光線l1と第1の面41とが交差する、すなわち第3の回折格子47に入射する位置は、以下の式8に示すように表すことができる。
【0072】
x=a,y=a・tanθ1・・・・(式8)
従って、第3の回折格子47で−1次光として回折された戻り光を光線l2とすると、この光線l2の光路は、以下の式9で表すことができる。
【0073】
y=tanθ2・x+a(tanθ1−tanθ2)・・・・(式9)
次に、光線l2とx軸とが交差する点をBとして、B点の位置は、以下の式10に示すように表すことができる。
【0074】
x=a(1−tanθ1/tanθ2),y=0・・・・(式10)
式10より、x軸上の位置xが第2の回折格子46の回折角θ1に依存していることがわかる。回折角θ1が式1より波長λの関数であるので、上述した例の場合は、λが変化すれば回折角θ1が変化してB点の座標が変わることとなり、出射光の波長変動により受発光一体型素子31の受光領域でのビームスポットの位置が変わることとなる。
【0075】
従って、受発光一体型素子31の受光領域でのビームスポットの位置が波長変動にかかわらず一定であるために、式10のxを表す式の右辺第2項を、式3乃至式6を用いてλで表すと、以下の式11に示すように表すことができる。
【0076】
d2<d1 とすると、
tanθ1/tanθ2
=(sinθ1/cosθ1)/(sinθ2/cosθ2)
=−((d12d22/(d2−d1)2−λ2)/(n2d12−λ2))1/2・・(式11)
ここで、式11は、例えば、以下の式12に示すような条件を代入して整理すると以下の式13に示すように表すことができる。
【0077】
(n+1)d2=nd1・・・・(式12)
tanθ1/tanθ2=−1・・・・(式13)
式12及び式13より、第3の回折格子47のB点のx座標はλによらず一定となることがわかる。
【0078】
すなわち、例えば、第2の回折格子46の格子定数d1と第3の回折格子47の格子定数d2とが式12を満たすように複合光学素子32を設計することで、波長変動により受発光一体型素子31の受光領域でのビームスポットの位置を一定にすることができる。
【0079】
このように複合光学素子32は、例えば、第2の回折格子46の格子定数d1と第3の回折格子47の格子定数d2とを定めることで、受発光一体型素子31から出射される出射光の波長変動により、光学ディスク2からの戻り光が第2の回折格子46で+1次光として回折されて出射光と分離される際に、この分離された戻り光の光路が変動しても、この戻り光を第3の回折格子47で−1次光として回折させることにより、光学ディスク2からの戻り光を常に受発光一体型素子31の受光領域の所定の位置に適切に導くことができるようにされている。
【0080】
開口絞り33は、複合光学素子32の第2の回折格子46を通過した出射光の光軸上に位置して配設されている。
【0081】
対物レンズ34は、少なくとも1つの凸レンズにより構成され、受発光一体型素子31から出射され開口絞り33で絞られた出射光を光学ディスク2に集光するように配設されている。
【0082】
受発光一体型素子31は、図6に示すように、第1の回折格子45で分割された0次光であるメインビームを受光する略方形状のメインビーム用フォトディテクタ51と、第1の回折格子45で分割された±1次光である2つのサイドビームをそれぞれ受光する一組の略帯状のサイドビーム用フォトディテクタ52,53とを有している。受発光一体型素子31は、複合光学素子32の第3の回折格子47によって光路変動が補正された戻り光が入射される位置に対応するように配設されている。受発光一体型素子31には、中央に位置して略方形状のメインビーム用フォトディテクタ51が配設されるとともに、このメインビーム用フォトディテクタ51を間に挟み込んで両側に位置して一組の略帯状のサイドビーム用フォトディテクタ52,53がそれぞれ配設されている。
【0083】
また、受発光一体型素子31のメインビーム用フォトディテクタ51は、図6に示すように、互いに直交する一組の分割線によって4等分割された各受光領域a1,b1,c1,d1を有している。これら各受光領域a1,b1,c1,d1には、第3の回折格子47によって光路変動が補正された戻り光が入射される。
【0084】
光ピックアップ3が有するレンズ駆動機構は、図示しないが、対物レンズ34を保持するレンズホルダと、このレンズホルダを対物レンズ34の光軸に平行なフォーカシング方向及び対物レンズ34の光軸に直交するトラッキング方向との二軸方向に変位可能に支持するホルダ支持部材と、レンズホルダを二軸方向に電磁力により駆動変位させる電磁駆動部とを有している。
【0085】
レンズ駆動機構は、受発光一体型素子31のメインビーム用フォトディテクタ51が検出するフォーカシングエラー信号及びサイドビーム用フォトディテクタ52,53が検出するトラッキングエラー信号に基づいて、対物レンズ34をフォーカシング方向及びトラッキング方向にそれぞれ駆動変位させて、光学ディスク2の記録面2aの記録トラックに出射光を合焦させる。
【0086】
なお、複合光学素子32は、第1の回折格子45、第2の回折格子46及び第3の回折格子47がそれぞれホログラム素子として所定のホログラムパターンをエッチング処理等によって形成するとしてもよい。また、ホログラム素子を用いる場合には、表面レリーフ型ホログラムが好ましく、また、ブレーズ化ホログラムとすることで回折効率を向上させるようにしてもよい。
【0087】
以上のように構成された光学ディスク装置1は、光学ディスク2からの戻り光によって光ピックアップ3が検出したフォーカシングエラー信号及びトラッキングエラー信号に基づいて、サーボ回路10から光ピックアップ3の二軸アクチュエータに制御信号が出力されて、対物レンズ34がフォーカシング方向及びトラッキング方向にそれぞれ駆動変位されることにより、出射光が対物レンズ34を介して光学ディスク2の所望の記録トラックに合焦される。そして、光学ディスク装置1は、光ピックアップ3によって読み取られた信号が信号復調回路12及び誤り訂正回路13により、復調処理及び誤り訂正処理された後、インターフェース14から再生信号として出力される。
【0088】
ここで、光学ディスク装置1について、光ピックアップ3内の出射光及び戻り光の光路を図面を参照して説明する。
【0089】
光学ディスク装置1は、図2に示すように、光学ディスク2の記録面2aから情報を再生する場合、受発光一体型素子31から出射された出射光が、複合光学素子32の第1の回折格子45によって0次光及び±1次光からなる3ビームにそれぞれ分割される。3ビームに分割された出射光は、複合光学素子32の第2の回折格子46を透過し、対物レンズ34により光学ディスク2の記録面2aにそれぞれ集光される。
【0090】
光学ディスク2の記録面2aからの戻り光は、複合光学素子32の第2の回折格子46により回折され、0次光及び±1次光に分割され、この+1次光が戻り光として出射光と分離されて第3の回折格子47に入射される。第3の回折格子47に入射された戻り光は、第3の回折格子47により回折され、さらに0次光及び±1次光に分割され、この−1次光が戻り光として受発光一体型素子31のメインビーム用フォトディテクタ51の各受光領域a1,b1,c1,d1にそれぞれ入射する。
【0091】
ここで、複合光学素子32内では、第2の回折格子46で発生する戻り光の光路変動は第3の回折格子47により補正されることとなり、戻り光が受発光一体型素子31のメインビーム用フォトディテクタ51の各受光領域a1,b1,c1,d1に適切に入射する。
【0092】
ここで、光学ディスク2の記録面2aに対して対物レンズ34が最適な位置とされて、光学ディスク2の記録面2aに対して合焦された、いわゆるジャストフォーカスの状態であれば、メインビーム用フォトディテクタ51の各受光領域a1,b1,c1,d1に入射した戻り光によるビームスポットの形状は、図7(b)に示すように円形となる。
【0093】
また、図7(b)に示すような円形のビームスポットである場合、メインビーム用フォトディテクタ51は、それぞれ対向する各受光領域a1,c1と各受光領域b1,d1の各受光量が等しくなる。
【0094】
しかし、対物レンズ32が光学ディスク2の記録面2aに近づき過ぎた場合、ジャストフォーカスの状態から外れて、第2の回折格子46で分離された戻り光が複合光学素子32を通過することによって発生した非点収差によって、メインビーム用フォトディテクタ51の各受光領域a1,b1,c1,d1に入射した戻り光によるビームスポットの形状は、図7(a)に示すように長軸が受光領域a1及び受光領域c1に跨った楕円形状になる。
【0095】
さらに、対物レンズ34が光学ディスク2の記録面2aから遠ざかり過ぎた場合、ジャストフォーカスの状態から外れて、第2の回折格子46で分離された戻り光が複合光学素子32を通過することによって発生した非点収差によって、メインビーム用フォトディテクタ51の各受光領域a1,b1,c1,d1に入射した戻り光によるビームスポットの形状は、図7(c)に示すように長軸が受光領域b1及び受光領域d1に跨った楕円形状になり、上述した図7(a)に示すビームスポットの形状に比して長軸方向が90度だけ傾いた楕円形状になる。
【0096】
このため、図7(a)及び図7(c)に示すような楕円形状のビームスポットである場合、メインビーム用フォトディテクタ51の互いに対向する二組の各受光領域a1,c1と各受光領域b1,d1とでは、一方の組の各受光領域が受光する受光量が多くなるとともに、他方の組の各受光領域が受光する受光量が少なくなる。
【0097】
したがって、メインビーム用フォトディテクタ51において各受光領域a1,b1,c1,d1がそれぞれ検出する各出力をSa1,Sb1,Sc1,Sd1とすると、フォーカシングエラー信号FEは、以下に示す式14で計算することができる。
FE=(Sa1+Sc1)−(Sb1+Sd1)・・・・(式14)
すなわち、メインビーム用フォトディテクタ51では、光学ディスク2の記録面2aに対して対物レンズ34が合焦位置に位置された場合、式14によって演算されるフォーカシングエラー信号FEが0となる。また、メインビーム用フォトディテクタ51では、光学ディスク2の記録面2aに対して対物レンズ34が近づき過ぎた場合、フォーカシングエラー信号FEが正となり、また光学ディスク2の記録面2aに対して対物レンズ34が遠ざかり過ぎた場合、フォーカシングエラー信号FEが負となる。
【0098】
上述のように受発光一体型素子31のメインビーム用フォトディテクタ51は、各受光領域a1,b1,c1,d1にそれぞれ入射された各ビームスポットの出力により、フォーカシングエラー信号FEを得るとともに再生信号を得る。
【0099】
また、一組の各サイドビーム用フォトディテクタ52,53は、第1の回折格子45で±1次光に分割されたサイドビームが、光学ディスク2で反射されて戻り光とされ、第2の回折格子46で+1次光として出射光と分離され、第3の回折格子47で光路変動を補正されて入射され各受光領域の各受光量を検出し、これら±1次光の各出力の差分を演算することによってトラッキングエラー信号TEを得る。
【0100】
なお、光ピックアップ3は、例えば、図8に示すように、光学ディスク2から情報を再生する光学系60と、この光学系60が有する後述する対物レンズを駆動変位させる図示しないレンズ駆動機構とを有するとしてもよい。以下で、光学系60を有する光ピックアップ3について説明するが、光学系30を有する光ピックアップ3と略同等の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
光ピックアップ3が有する光学系60は、光路順に、レーザ光を光学ディスク2に出射する光源61と、この光源61から出射された出射光を分割し、光学ディスク2からの戻り光を出射光と分離するとともに、出射光と分離された戻り光をさらに分割する複合光学素子62と、光源61から出射され複合光学素子62を透過した出射光を所定の開口数NAに絞る開口絞り33と、この開口絞り33により絞られた出射光を光学ディスク2の記録面2aに集光させる対物レンズ34と、光学ディスク2からの戻り光を受光する受光部63とを有している。また、光学系60は、光源61と複合光学素子62との間に出射光の有効光束以外の不要な光束を遮光する第1の遮光板64と、複合光学素子62と受光部63との間に戻り光の有効光束以外の不要な光束を遮光する第2の遮光板65とを有している。
【0101】
光源61は、波長が例えば780nm程度のレーザ光を発光点61aから出射する半導体レーザを有している。
【0102】
複合光学素子62は、図8及び図9に示すように、例えば樹脂材料を射出成型することでブロック状に形成されており、光源61に臨まされるとともにこの光源61の発光点61aから出射される出射光の光軸に直交する第1の面81と、この第1の面81と平行に対向する第2の面82と、第2の面82に対して所定の角度だけ傾斜して対向する第3の面83と、第1の面81及び第2の面82に対して垂直且つ第3の面83に対して所定の角度だけ傾斜して対向する第4の面84とを有している。
【0103】
第1の面81には、光源61の発光点61aから出射された出射光を、0次光及び±1次光からなる3ビームに分割する第1の回折格子75が設けられている。光学系60は、トラッキングエラー信号TEを得るために、いわゆる3スポット法(3ビーム法)が適用されており、第1の回折格子75により分割された±1次光を受光部63で受光し±1次光の各出力の差分を検出することによってトラッキングサーボを行うように構成されている。
【0104】
第2の面82には、光学ディスク2からの各戻り光のうち第1の回折格子75で分割された0次光及び±1次光を回折させて、それぞれをさらに0次光及び±1次光に分割して、例えば、この+1次光を戻り光として出射光の光路と分離する第2の回折格子76が設けられている。
【0105】
第3の面83には、第2の回折格子76によって分離された戻り光の光路上に位置して、この戻り光を反射及び回折させて、さらに0次光及び±1次光に分割して、例えばこの−1次光を戻り光として第2の回折格子76で発生する光路変動を補正する第3の回折格子77が設けられている。
【0106】
この第3の回折格子77は、入射された戻り光が全反射するように第3の面83に所定の反射膜が設けられており、いわゆる反射型の回折格子として機能する。
【0107】
第4の面84には、第3の回折格子77によって光路変動が補正された戻り光の光路上に位置して、この戻り光を4分割する分割プリズム78が設けられている。
【0108】
この分割プリズム78は、図10及び図11に示すように、略正四角錐をなす形状に形成されており、第3の回折格子77によって反射及び回折された−1次光が、この回折光の焦点又は焦点近傍で、回折光の中心が正四角錐の頂角の中心に入射されるように配設されている。
【0109】
また、分割プリズム78は、複合光学素子62の内方に位置して、この内方側に頂角を向けて設けられている。すなわち、分割プリズム78は、第1の回折格子75で分割された3ビームにおける0次光が、第2の回折格子76で回折され、第3の回折格子77で反射及び回折されて、頂角に入射されるように配設されている。なお、分割プリズム78は、正四角錐の底面が、第3の回折格子77で反射及び回折された−1次光の光軸に対して直交するように配設されている。
【0110】
また、複合光学素子62は、第2の回折格子76で分離された戻り光が通過することによって、分割プリズム78に入射される戻り光に非点収差を所定量だけ付与する。複合光学素子62は、光源61から出射された出射光の光軸方向の位置を調動することによって、光学ディスク2に対するデフォーカスを容易に調整することが可能とされる。
【0111】
複合光学素子62は、上述したように樹脂材料を射出成型することにより形成される。また、その他の形成方法としては、エッチング加工により上述の第1の回折格子75、第2の回折格子76、第3の回折格子77及び分割プリズム78を形成しても良いし、機械加工により形成してもかまわない。なお、複合光学素子62を形成する材料としては、樹脂材料に限定されるものではなく、硝材等の透光性を有する光学材料を用いることができ、さらにこれらの光学材料の組み合わせにより、部分的に材料構成を変えるようにしてもよい。
【0112】
ここで、複合光学素子32で説明した場合と同様に、例えば、第2の回折格子76及び第3の回折格子77の格子定数や第3の面83と第2の面82とがなす角度などを計算して複合光学素子62を設計することで、波長変動による戻り光の光路変動を補正し分割プリズム78の頂角にこの戻り光を正確に導くことができる。
【0113】
このように設計された複合光学素子62は、光源61から出射される出射光の波長変動により、光学ディスク2からの戻り光が第2の回折格子76で+1次光として回折されて出射光と分離される際に、この分離された戻り光の光路が変動しても、この戻り光を第3の回折格子77で−1次光として反射及び回折させることにより、光学ディスク2からの戻り光を常に分割プリズム78の頂角に導き、分割プリズム78で分割された各戻り光を受光部63の受光領域の所定の位置に正確に導くことができるようにされている。
【0114】
開口絞り33は、複合光学素子62の第2の回折格子76を通過した出射光の光軸上に位置して配設されている。
【0115】
対物レンズ34は、少なくとも1つの凸レンズにより構成され、光源61から出射され開口絞り33で絞られた出射光を光学ディスク2に集光するように配設されている。
【0116】
受光部63は、図12に示すように、第1の回折格子75で分割された0次光であるメインビームを受光する略方形状のメインビーム用フォトディテクタ91と、第1の回折格子75で分割された±1次光である2つのサイドビームをそれぞれ受光する一組の略帯状のサイドビーム用フォトディテクタ92,93とを有している。受光部63は、複合光学素子62の分割プリズム78によって分割された各戻り光に対応する位置に配設されている。受光部63には、中央に位置して略方形状のメインビーム用フォトディテクタ91が配設されるとともに、このメインビーム用フォトディテクタ91を間に挟み込んで両側に位置して一組の略帯状のサイドビーム用フォトディテクタ92,93がそれぞれ配設されている。
【0117】
また、受光部63のメインビーム用フォトディテクタ91は、互いに直交する一組の分割線によって4等分割された各受光領域a2,b2,c2,d2を有している。これら各受光領域a2,b2,c2,d2には、分割プリズム78によって4分割された各戻り光がそれぞれ照射される。
【0118】
第1の遮光板64は、光源61と複合光学素子62との間に出射光の有効光束に対応する略円形状の開口部が設けられており、有効光束以外の不要な光束を開口制限することで遮光するようにされており、複合光学素子62内に迷光が入り込まないようにすることができる。
【0119】
第2の遮光板65は、複合光学素子62と受光部63との間に戻り光の有効光束に対応する略円形状の開口部が設けられており、有効光束以外の不要な光束を開口制限することで遮光するようにされており、複合光学素子62内の分割プリズム78を透過しない迷光が受光部63に入り込まないようにすることができる。
【0120】
なお、第1の遮光板64及び第2の遮光板65は、開口部の形状が略円形に限定されるものではなく、略楕円形状や略多角形状等の他の形状とされていてもよい。
【0121】
また、第1の遮光板64及び第2の遮光板65は、図8及び図9中において、第1の回折格子75により分割された0次光、すなわちメインビームに対応する開口部のみが設けられた形状を示しているが、±1次光、すなわちサイドビームに対応する開口部を設けるか、開口部の形状を変形させる必要がある。
【0122】
光ピックアップ3が有するレンズ駆動機構は、図示しないが、対物レンズ34を保持するレンズホルダと、このレンズホルダを対物レンズ34の光軸に平行なフォーカシング方向及び対物レンズ34の光軸に直交するトラッキング方向との二軸方向に変位可能に支持するホルダ支持部材と、レンズホルダを二軸方向に電磁力により駆動変位させる電磁駆動部とを有している。
【0123】
レンズ駆動機構は、受光部63のメインビーム用フォトディテクタ91が検出するフォーカシングエラー信号及びサイドビーム用フォトディテクタ92,93が検出するトラッキングエラー信号に基づいて、対物レンズ34をフォーカシング方向及びトラッキング方向にそれぞれ駆動変位させて、光学ディスク2の記録面2aの記録トラックに出射光を合焦させる。
【0124】
なお、上述した複合光学素子62は、分割プリズム78が例えば八角錐に形成されるとしてもよい。この場合には、受光部63のメインビーム用フォトディテクタ91が、受光面の中央から放射状の分割線によって8分割されるように構成されてもよい。また、複合光学素子62は、分割プリズム78が、第4の面84に対して内方側に設けられたが、第4の面84に対して外方側に突設されてもよい。さらに、複合光学素子62は、分割プリズム78が、平面を有する角錐に限定されずに、複数の曲面を有する形状とされていてもよい。この場合には、受光部63のメインビーム用フォトディテクタ91の分割領域を対応するように設けることとなる。さらに、複合光学素子62は、第1の回折格子75、第2の回折格子76、及び第3の回折格子77がそれぞれホログラム素子として所定のホログラムパターンをエッチング処理等によって形成する構成とされてもよい。また、ホログラム素子を用いる場合には、表面レリーフ型ホログラムが好ましく、また、ブレーズ化ホログラムとすることで回折効率を向上させるようにしてもよい。
【0125】
また、複合光学素子62は、分割プリズム78の代わりに、図13に示すように、4つの領域に分割されたグレーティング79を用いても同等の効果を得ることができる。この場合に、グレーティング79は、分割プリズム78と同等の効果が得られるように、分割領域y1,y2,y3,y4が設けられ、各分割領域y1,y2,y3,y4において溝を形成する方向がそれぞれ異なっている。具体的には、分割領域y1とy3との溝を形成する方向と、分割領域y2とy4との溝を形成する方向とが互いに直交するようにされている。グレーティング79は、入射した光学ディスク2からの戻り光を、各分割領域y1,y2,y3,y4におけるそれぞれの溝の向き及び格子定数に応じて回折させて4分割し、受光部63のメインビーム用フォトディテクタ91に導く。グレーティング79は、ホログラム素子として所定のホログラムパターンをエッチング処理等によって形成される。また、ホログラム素子を用いる場合には、表面レリーフ型ホログラムが好ましく、また、ブレーズ化ホログラムとすることで回折効率を向上させるようにしてもよい。
【0126】
さらに、複合光学素子62は、内部に反射面を有する設計にしてもよく、反射面を利用して光路を曲げることにより光学設計の自由度を向上させることができる。
【0127】
さらにまた、複合光学素子62は、分割プリズム78に入射する光学ディスク2からの戻り光の入射角が分割プリズム78の各面に対して45°以下となるようにする、すなわち分割プリズム78の各面の傾角を45°以下とすることで、入射する戻り光が全反射条件に入らないように、屈折角を大きくすることができるので、分割された各戻り光のビームスポット間隔を離すことができ、メインビーム用フォトディテクタ91内の各分割領域の間隔や、メインビーム用フォトディテクタ91とサイドビーム用フォトディテクタ92,93との間隔を広く取ることができ、光ピックアップ3の組立精度を緩くすることができる。
【0128】
以上のような光学系60を有する光ピックアップ3を備える光学ディスク装置1は、光学ディスク2からの戻り光によって光ピックアップ3が検出したフォーカシングエラー信号及びトラッキングエラー信号に基づいて、サーボ回路10から光ピックアップ3の二軸アクチュエータに制御信号が出力されて、対物レンズ34がフォーカシング方向及びトラッキング方向にそれぞれ駆動変位されることにより、出射光が対物レンズ34を介して光学ディスク2の所望の記録トラックに合焦される。そして、光学ディスク装置1は、光ピックアップ3によって読み取られた信号が信号復調回路12及び誤り訂正回路13により、復調処理及び誤り訂正処理された後、インターフェース14から再生信号として出力される。
【0129】
ここで、上述した光学系60を有する光ピックアップ3を備える光学ディスク装置1について、光ピックアップ3内の出射光及び戻り光の光路を、図面を参照して説明する。
【0130】
光学ディスク装置1が、図8に示すように、光学ディスク2の記録面2aから情報を再生する場合、光源61から出射された出射光は、第1の遮光板64に不要光を遮光されて有効光束のみ複合光学素子62に入射し、複合光学素子62の第1の回折格子75によって0次光及び±1次光からなる3ビームにそれぞれ分割される。3ビームに分割された出射光は、複合光学素子62の第2の回折格子76を透過されて、対物レンズ34により光学ディスク2の記録面2aに集光される。
【0131】
光学ディスク2の記録面2aからの戻り光は、複合光学素子62の第2の回折格子76により回折し、第3の面83に向かう光路に導かれて、+1次光が第3の回折格子77に入射される。第3の回折格子77に入射された第2の回折格子76からの+1次光は、第3の回折格子77により反射及び回折し、−次光が分割プリズム78の頂角に入射される。分割プリズム78の正四角錐の頂角に入射された−1次光は、正四角錐の各周面にそれぞれ入射されることにより、互いに異なる方向にそれぞれ屈折し、4本の戻り光に4分割されて、第2の遮光板65により不要光が遮光されて有効光束のみ受光部63のメインビーム用フォトディテクタ91の各受光領域a2,b2,c2,d2にそれぞれ照射される。
【0132】
第3の回折格子77で回折された回折光が分割プリズム78の頂角に入射されるとき、図14(b)に示すように、光学ディスク2の記録面2aに対して対物レンズ34が合焦位置に位置されている場合、分割プリズム78の頂角には、ほぼ円形とされた回折光が入射される。
【0133】
一方、回折光が分割プリズム78の頂角に入射されるとき、図14(a)に示すように、光学ディスク2の記録面2aに対して対物レンズ34が近づき過ぎた場合、対物レンズ34が合焦位置から外れるため、回折光が複合光学素子62を通過することにより発生する非点収差によって、分割プリズム78の頂角には、長軸が図中右上がりの楕円形とされた回折光が入射される。
【0134】
また、回折光が分割プリズム78の頂角に入射されるとき、図14(c)に示すように、光学ディスク2の記録面2aに対して対物レンズ34が遠ざかり過ぎた場合、対物レンズ34が合焦位置から外れるため、回折光が複合光学素子62を通過することにより発生する非点収差によって、分割プリズム78の頂角には、長軸が図中左上がりの楕円形とされた回折光が入射される。
【0135】
したがって、対物レンズ34が合焦位置から外れた状態で、分割プリズム78の頂角に回折光が入射するとき、分割プリズム78の互いに対向する二組の周面x1,x3と周面x2,x4には、一方の組の各周面に回折光の大部分が入射するとともに、他方の組の各周面に回折光のごく僅かが入射するように分かれる。
【0136】
すなわち、図14(a)に示すように楕円形とされた回折光が入射する分割プリズム78には、回折光の大部分が一組の対向する各周面x1,x3に入射するとともに、回折光のごく僅かが一組の対向する各周面x2,x4に入射する。また、図14(c)に示すように楕円形とされた回折光が入射する分割プリズム78には、回折光の大部分が一組の各周面x2,x4に入射するとともに、回折光のごく僅かが一組の対向する各周面x1,x3に入射する。
【0137】
そして、第1の回折格子75で分割された0次光のうち光学ディスク2からの戻り光は、第2の回折格子76で回折され−1次光とされて、この−1次光が分割プリズム78の各周面x1,x2,x3,x4にそれぞれ入射されることにより、互いに異なる方向に屈折されるため、4本の戻り光に分割されて、受光部63のメインビーム用フォトディテクタ91の各受光領域a2,b2,c2,d2にそれぞれ入射する。
【0138】
このため、図15(a)及び図15(c)に示すように、メインビーム用フォトディテクタ91の互いに対向する二組の各受光領域a2,c2と各受光領域b2,d2とでは、一方の組の各受光領域が受光する受光量が多くなるとともに、他方の組の各受光領域が受光する受光量が少なくなる。
【0139】
すなわち、図14(a)に示すような楕円形の回折光が分割プリズム78に入射した場合、メインビーム用フォトディテクタ91は、図15(a)に示すように、対向する各受光領域a2,c2が受光する受光量が多くなるとともに、対向する各受光領域b2,d2が受光する受光量が少なくなる。また、図14(c)に示すような楕円形の回折光が分割プリズム78に入射した場合、メインビーム用フォトディテクタ91は、図15(c)に示すように、対向する各受光領域b2,d2が受光する受光量が多くなるとともに、対向する各受光領域a2,c2が受光する受光量が少なくなる。
【0140】
また、図14(b)に示すような円形の回折光が分割プリズム78の頂角に入射した場合、メインビーム用フォトディテクタ91は、図15(b)に示すように、対向する各受光領域a2,c2と各受光領域b2,d2の各受光量が等しくなる。
【0141】
したがって、メインビーム用フォトディテクタ91は、各受光領域a2,b2,c2,d2がそれぞれ検出する各出力をSa2,Sb2,Sc2,Sd2とすると、フォーカシングエラー信号FEは、以下の式15に示すように計算することができる。
【0142】
FE=(Sa2+Sc2)−(Sb2+Sd2)・・・・(式15)
すなわち、メインビーム用フォトディテクタ91では、光学ディスク2の記録面2aに対して対物レンズ34が合焦位置に位置された場合、式15によって演算されるフォーカシングエラー信号FEが0となる。また、メインビーム用フォトディテクタ91では、光学ディスク2の記録面2aに対して対物レンズ34が近づき過ぎた場合、フォーカシングエラー信号FEが正となり、また光学ディスク2の記録面2aに対して対物レンズ34が遠ざかり過ぎた場合、フォーカシングエラー信号FEが負となる。
【0143】
上述のように受光部63のメインビーム用フォトディテクタ91は、各受光領域a2,b2,c2,d2にそれぞれ入射された各ビームスポットの出力により、フォーカシングエラー信号FEを得るとともに再生信号を得る。
【0144】
また、一組の各サイドビーム用フォトディテクタ92,93は、第1の回折格子75で分割された±1次光のうち光学ディスク2からの戻り光の各受光量を検出し、これら±1次光の各出力の差分を演算することによってトラッキングエラー信号TEを得る。
【0145】
以上のように光学ディスク装置1は、光学系30又は光学系60を有する光ピックアップ3により得られたフォーカシングエラー信号FE及びトラッキングエラー信号TEに基づいて、サーボ回路10がレンズ駆動機構を制御して対物レンズ34をフォーカシング方向及びトラッキング方向にそれぞれ駆動変位させることにより、光学ディスク2の記録面2aに出射光を合焦させて、光学ディスク2から情報を再生する。
【0146】
上述したように、光学ディスク装置1は、光学系30を有する光ピックアップ3が、光学ディスク2からの戻り光を回折する第2の回折格子46と、この第2の回折格子46により回折された+1次光を戻り光として、この戻り光をさらに回折する第3の回折格子47とが設けられた複合光学素子32を有することにより、周囲の温度変化により受発光一体型素子31から出射される出射光の発振波長が変動しても適切な位置に導くことができる。
【0147】
このため、光学ディスク装置1は、従来の光学系と比して部品点数の増加もなく簡単な構造の光ピックアップを用いることで、得られるフォーカシングエラー信号FEの信頼性を向上することができる。
【0148】
また、光学ディスク装置1は、光学系60を有する光ピックアップ3が、光学ディスク2からの戻り光を回折する第2の回折格子76と、この第2の回折格子76により回折された+1次光を戻り光として、この戻り光をさらに回折する第3の回折格子77と、この第3の回折格子77により回折された−1次光を戻り光としてこの戻り光を4分割する分割プリズム78とが設けられた複合光学素子62を有することにより、周囲の温度変化により光学素子61から出射される出射光の発振波長が変動しても適切な位置に導くことができる。
【0149】
このため、光学ディスク装置1は、従来の光学系と比して部品点数の増加もなく簡単な構造の光ピックアップを用いることで、得られるフォーカシングエラー信号FEの信頼性を向上することができる。
【0150】
また、光学ディスク装置1は、光学系30を有する光ピックアップ3において、複合光学素子32のみで、出射光と戻り光とを分離し、受発光一体型素子31から出射される出射光の波長変動により発生する光路変動を補正する機能を備えているため、光学部品の点数を必要最小限に留めて、光学系30の構成を簡素化、小型化を図るとともに製造コストを低減することが可能とされる。
【0151】
したがって、光学ディスク装置1は、光ピックアップ3内の光学系30が複合光学素子32有することで、生産性が向上し、製造コストの低減を図り、信頼性を向上させることができる。
【0152】
また、光学ディスク装置1は、光学系60を有する光ピックアップ3において、複合光学素子62のみで、出射光と戻り光とを分離し、光源61から出射される出射光の波長変動により発生する光路変動を補正する機能を備えているため、光学部品の点数を必要最小限に留めて、光学系60の構成を簡素化、小型化を図るとともに製造コストを低減することが可能とされる。
【0153】
したがって、光学ディスク装置1は、光ピックアップ3内の光学系60が複合光学素子62有することで、生産性が向上し、製造コストの低減を図り、信頼性を向上させることができる。
【0154】
さらに、光学ディスク装置1は、光学系30を有する光ピックアップ3を用いる場合、光源と受光素子とが一体化された受発光一体型素子31を用いた光学ユニットとされているので、さらに部品点数を削減し、製造コストの低減を実現することが可能とされる。
【0155】
さらに、光学ディスク装置1は、光学系60を有する光ピックアップ3が、光学ディスク2からの戻り光を分割する分割プリズム78を有する複合光学素子62を有することにより、メインビーム用フォトディテクタの分割線によってビームスポットを分割する形式に比して光路上で戻り光が分割されるため、分割プリズム78で分割された4本の各戻り光を受光するようにメインビーム用フォトディテクタ91の各受光領域a2,b2,c2,d2を所定の大きさに確保することで、メインビーム用フォトディテクタの分割位置等に要求される精度が緩和される。
【0156】
このため、光学ディスク装置1は、光ピックアップ3におけるメインビーム用フォトディテクタ91の製造コストを低減するとともに、光ピックアップ3の製造工程でメインビーム用フォトディテクタ91の位置調整を容易に行うことが可能とされて、得られるフォーカシングエラー信号FEの信頼性を向上することができる。
【0157】
さらに、光学ディスク装置1は、光学系60を有する光ピックアップ3が、光源61から出射された出射光の有効光束のみを複合光学素子62に導く第1の遮光板64を有することにより、複合光学素子62内に入射する不要光を遮光し、複合光学素子62内における迷光の乱反射を低減させることができる。また、光学ディスク装置1は、光学系60を有する光ピックアップ3が、複合光学素子62を透過する戻り光の有効光束のみを受光部63に導く第2の遮光板65を有することにより、受光部63に入射する不要光を遮光し、受光部63における光検出レベルの信頼性を向上させることができる。
【0158】
なお、光学ディスク装置1は、光学系60を有する光ピックアップが、図8及び図9に示すように、第1の遮光板64及び第2の遮光板65を有する例に限定されず、例えば、複合光学素子62の表面に光を吸収する塗料を塗布したり、複合光学素子62の表面に光を透過しない膜を蒸着したり、若しくは、複合光学素子62の表面を粗面化することで、不要光を遮光するようにしてもよい。
【0159】
また、光学ディスク装置1は、上述した光ピックアップ3においてフォーカシングエラー信号FEを得るために、いわゆる非点収差法が採用されたが、フーコー法等の他の検出方法が用いられてもよい。
【0160】
さらに、光学ディスク装置1は、上述した複合光学素子32及び複合光学素子62のように1つの素子を構成することが難しい場合、各光学素子を個別に上述と同じような配置とする光学系とすることで同様の機能を得ることができることは言うまでもない。
【0161】
そこで、以下では、複合光学素子32及び複合光学素子62のように1つの素子により構成せずに各光学素子を上述と同じような配置とする光学系を備える光ピックアップ3の構成例について説明する。なお、上述の複合光学素子32又は複合光学素子62を有する光ピックアップ3では、光路変動を補正する光学系を有していたが、以下での例に示す光ピックアップ3では、非点収差を補正する光学系を有する例を説明する。
【0162】
まず第1の例として、光ピックアップ3は、例えば、図16に示すように、光学ディスク2から情報を再生する光学系100と、この光学系100が有する後述する対物レンズを駆動変位させる図示しないレンズ駆動機構とを有する。以下で、光学系100を有する光ピックアップ3について説明するが、光学系30又は60を有する光ピックアップ3と略同等の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
光ピックアップ3が有する光学系100は、光路順に、レーザ光を光学ディスク2に出射する光源101と、この光源101から出射された出射光を3分割する回折格子102と、回折格子102により3分割された出射光を反射させるとともに光学ディスク2からの戻り光を透過させるビームスプリッタ103と、ビームスプリッタ103で反射された出射光を所定の開口数NAに絞る開口絞り104と、この開口絞り104により絞られた出射光を光学ディスク2の記録面2aに集光させる対物レンズ105と、ビームスプリッタ103を透過した光学ディスク2からの戻り光を4分割する分割プリズム106と、分割プリズム106で分離された戻り光を受光する受光部107とを有している。
【0163】
光源101は、波長が例えば780nm程度のレーザ光を発光点101aから出射する半導体レーザを有している。
【0164】
回折格子102は、光源101から出射された出射光を0次光及び±1次光となるように3分割する回折素子であり、出射光の分散方向は、光学ディスク2の記録トラック方向に対応するようにされている。光学系100は、トラッキングエラー信号TEを得るために、いわゆるDPP(Differential Push-Pull)法が適用されており、回折格子102により分割された±1次光を受光部107で受光してトラッキングサーボを行うように構成されている。
【0165】
ビームスプリッタ103は、第1の面103aと第2の面103bとからなる透光性を有する平行平板部材であり、光源101から出射された出射光に対して第1の面103aと第2の面103bとが所定の角度を有するように配置され、光源101から出射された出射光を第1の面103aで反射して光学ディスク2側に導くとともに、光学ディスク2で反射された戻り光を第1の面103a及び第2の面103bを透過させて分割プリズム106に導くようになっている。
【0166】
また、ビームスプリッタ103は、光学ディスク2からの戻り光が通過することによって、分割プリズム106に入射される戻り光に非点収差を所定量だけ付与する。ビームスプリッタ103は、光源101から出射された出射光の光軸方向の位置を調動することによって、光学ディスク2に対するデフォーカスを容易に調整することが可能とされる。
【0167】
ここで、ビームスプリッタ103の第1の面103aには、2波長光源101から出射された出射光を反射し、光学ディスク2からの戻り光を透過させるハーフミラー面が設けられている。また、ビームスプリッタ103の第2の面103bには、光学ディスク2からの戻り光の非点収差量を補正する回折素子が設けられており、ビームスプリッタ103を透過する戻り光の非点収差量がフォーカス調整に適切となるように補正する。このような回折素子は、ホログラム素子として所定のホログラムパターンをエッチング処理等によって形成するとしてもよい。また、ホログラム素子を用いる場合には、表面レリーフ型ホログラムが好ましく、また、ブレーズ化ホログラムとすることで回折効率を向上させるようにしてもよい。
【0168】
開口絞り104は、所定の開口数となるように出射光を絞るために、ビームスプリッタ103の第1の面103aで反射した出射光の光軸上に位置して配設されている。
【0169】
対物レンズ105は、少なくとも1つの凸レンズにより構成され、光源101から出射され開口絞り104で絞られた出射光を光学ディスク2に集光するように配設されている。
【0170】
分割プリズム106は、図17及び図18に示すように、略正四角錐をなす形状に形成されており、ビームスプリッタ103を透過した戻り光の焦点又は焦点近傍で、戻り光の中心が正四角錐の頂角の中心に入射されるように配設されている。分割プリズム106は、ビームスプリッタ103を透過した戻り光の光路上に位置して、この戻り光を4分割する。
【0171】
また、分割プリズム106は、回折格子102で分割された3ビームにおける0次光が、頂角に入射されるように配設されている。なお、分割プリズム106は、正四角錐の底面が、回折格子102で分割された3ビームにおける0次光の光軸に対して直交するように配設されている。
【0172】
分割プリズム106は、樹脂材料を射出成型することにより形成される。なお、分割プリズム106を形成する材料としては、樹脂材料に限定されるものではなく、硝材等の透光性を有する光学材料を用いることができ、さらにこれらの光学材料の組み合わせにより、部分的に材料構成を変えるようにしてもよい。
【0173】
受光部107は、図19に示すように、回折格子102で分割された0次光であるメインビームを受光する略方形状のメインビーム用フォトディテクタ111と、回折格子102で分割された±1次光である2つのサイドビームをそれぞれ受光する一組の略帯状のサイドビーム用フォトディテクタ112,113とを有している。受光部107は、分割プリズム106によって分割された各戻り光に対応する位置に配設されている。受光部107には、中央に位置して略方形状のメインビーム用フォトディテクタ111が配設されるとともに、このメインビーム用フォトディテクタ111を間に挟み込んで両側に位置して一組の略方形状のサイドビーム用フォトディテクタ112,113がそれぞれ配設されている。
【0174】
受光部107のメインビーム用フォトディテクタ111は、互いに直交する一組の分割線によって4等分割された各受光領域a3,b3,c3,d3を有している。これら各受光領域a3,b3,c3,d3には、分割プリズム106によって4分割された各戻り光がそれぞれ照射される。
【0175】
受光部107のサイドビーム用フォトディテクタ112,113は、それぞれ分割線によって2等分割された受光領域e3,f3,受光領域g3,h3を有している。これら各受光領域e3,f3には、回折格子102で分割された±1次光に対応する光学ディスク2からの戻り光の一方が照射され、これら各受光領域g3,h3には、回折格子102で分割された±1次光に対応する光学ディスク2からの戻り光の他方が照射される。
【0176】
光ピックアップ3が有するレンズ駆動機構は、図示しないが、対物レンズ105を保持するレンズホルダと、このレンズホルダを対物レンズ105の光軸に平行なフォーカシング方向及び対物レンズ105の光軸に直交するトラッキング方向との二軸方向に変位可能に支持するホルダ支持部材と、レンズホルダを二軸方向に電磁力により駆動変位させる電磁駆動部とを有している。
【0177】
レンズ駆動機構は、受光部107のメインビーム用フォトディテクタ111が検出するフォーカシングエラー信号及びサイドビーム用フォトディテクタ112,113が検出するトラッキングエラー信号に基づいて、対物レンズ105をフォーカシング方向及びトラッキング方向にそれぞれ駆動変位させて、光学ディスク2の記録面2aの記録トラックに出射光を合焦させる。
【0178】
以上のような光学系100を有する光ピックアップ3を備える光学ディスク装置1は、光学ディスク2からの戻り光によって光ピックアップ3が検出したフォーカシングエラー信号及びトラッキングエラー信号に基づいて、サーボ回路10から光ピックアップ3の二軸アクチュエータに制御信号が出力されて、対物レンズ105がフォーカシング方向及びトラッキング方向にそれぞれ駆動変位されることにより、出射光が対物レンズ105を介して光学ディスク2の所望の記録トラックに合焦される。そして、光学ディスク装置1は、光ピックアップ3によって読み取られた信号が信号復調回路12及び誤り訂正回路13により、復調処理及び誤り訂正処理された後、インターフェース14から再生信号として出力される。
【0179】
ここで、上述した光学系100を有する光ピックアップ3内の出射光及び戻り光の光路を、図面を参照して説明する。
【0180】
光学ディスク装置1が、光学ディスク2の記録面2aから情報を再生する場合、図16に示すように、光源101から出射された出射光は、回折格子102によって0次光及び±1次光からなる3ビームにそれぞれ分割される。3ビームに分割された出射光は、ビームスプリッタ103の第1の面103aで反射されて、開口絞り104により所定の開口数に絞られ、対物レンズ105により光学ディスク2の記録面2aに集光される。
【0181】
光学ディスク2の記録面2aからの戻り光は、ビームスプリッタ103の第1の面103aで屈折してビームスプリッタ103内を透過して、第2の面103bで屈折し、さらに非点収差量を補正されて、回折格子102で分割された0次光に対応する戻り光が分割プリズム106の頂角に入射される。分割プリズム106の正四角錐の頂角に入射された戻り光は、正四角錐の各周面にそれぞれ入射されることにより、互いに異なる方向にそれぞれ屈折し、4本の戻り光に4分割されて、受光部107のメインビーム用フォトディテクタ111の各受光領域a3,b3,c3,d3にそれぞれ照射される。また、回折格子102で分割された±1次光に対応するビームスプリッタ103を透過した戻り光の一方は、受光部107のサイドビーム用フォトディテクタ112の各受光領域e3,f3にそれぞれ照射され、他方は、受光部107のサイドビーム用フォトディテクタ113の各受光領域g3,h3にそれぞれ照射される。
【0182】
ここで、ビームスプリッタ103を透過した戻り光が分割プリズム106の頂角に入射されるとき、図20(b)に示すように、光学ディスク2の記録面2aに対して対物レンズ105が合焦位置に位置されている場合、分割プリズム106の頂角には、ほぼ円形とされた戻り光が入射される。
【0183】
一方、戻り光が分割プリズム106の頂角に入射されるとき、図20(a)に示すように、光学ディスク2の記録面2aに対して対物レンズ105が近づき過ぎた場合、対物レンズ105が合焦位置から外れるため、戻り光がビームスプリッタ103を通過することにより発生する非点収差によって、分割プリズム106の頂角には、長軸が図中右上がりの楕円形とされた戻り光が入射される。
【0184】
また、戻り光が分割プリズム106の頂角に入射されるとき、図20(c)に示すように、光学ディスク2の記録面2aに対して対物レンズ105が遠ざかり過ぎた場合、対物レンズ105が合焦位置から外れるため、戻り光がビームスプリッタ103を通過することにより発生する非点収差によって、分割プリズム106の頂角には、長軸が図中左上がりの楕円形とされた戻り光が入射される。
【0185】
したがって、対物レンズ105が合焦位置から外れた状態で、分割プリズム106の頂角に戻り光が入射するとき、分割プリズム106の互いに対向する二組の周面x5,x7と周面x6,x8には、一方の組の各周面に戻り光の大部分が入射するとともに、他方の組の各周面に戻り光のごく僅かが入射するように分かれる。
【0186】
すなわち、図20(a)に示すように楕円形とされた戻り光が入射する分割プリズム106には、戻り光の大部分が一組の対向する各周面x5,x7に入射するとともに、戻り光のごく僅かが一組の対向する各周面x6,x8に入射する。また、図20(c)に示すように楕円形とされた戻り光が入射する分割プリズム106には、戻り光の大部分が一組の各周面x6,x8に入射するとともに、戻り光のごく僅かが一組の対向する各周面x5,x7に入射する。
【0187】
そして、光学ディスク2からの戻り光のうち回折格子102で分割された0次光は、分割プリズム106の各周面x5,x6,x7,x8にそれぞれ入射されることにより、互いに異なる方向に屈折されるため、4本の戻り光に分割されて、受光部107のメインビーム用フォトディテクタ111の各受光領域a3,b3,c3,d3にそれぞれ入射する。
【0188】
このため、図21(a)及び図21(c)に示すように、メインビーム用フォトディテクタ111の互いに対向する二組の各受光領域a3,c3と各受光領域b3,d3とでは、一方の組の各受光領域が受光する受光量が多くなるとともに、他方の組の各受光領域が受光する受光量が少なくなる。
【0189】
すなわち、図20(a)に示すような楕円形の戻り光が分割プリズム106に入射した場合、メインビーム用フォトディテクタ111は、図21(a)に示すように、対向する各受光領域a3,c3が受光する受光量が多くなるとともに、対向する各受光領域b3,d3が受光する受光量が少なくなる。また、図20(c)に示すような楕円形の戻り光が分割プリズム106に入射した場合、メインビーム用フォトディテクタ111は、図21(c)に示すように、対向する各受光領域b3,d3が受光する受光量が多くなるとともに、対向する各受光領域a3,c3が受光する受光量が少なくなる。
【0190】
また、図20(b)に示すような円形の戻り光が分割プリズム106の頂角に入射した場合、メインビーム用フォトディテクタ111は、図21(b)に示すように、対向する各受光領域a3,c3と各受光領域b3,d3の各受光量が等しくなる。
【0191】
したがって、メインビーム用フォトディテクタ111は、各受光領域a3,b3,c3,d3がそれぞれ検出する各出力をSa3,Sb3,Sc3,Sd3とすると、フォーカシングエラー信号FEは、以下の式16に示すように計算することができる。
【0192】
FE=(Sa3+Sc3)−(Sb3+Sd3)・・・・(式16)
すなわち、メインビーム用フォトディテクタ111は、光学ディスク2の記録面2aに対して対物レンズ105が合焦位置に位置された場合、式16によって演算されるフォーカシングエラー信号FEが0となる。また、メインビーム用フォトディテクタ111は、光学ディスク2の記録面2aに対して対物レンズ105が近づき過ぎた場合、フォーカシングエラー信号FEが正となり、また光学ディスク2の記録面2aに対して対物レンズ105が遠ざかり過ぎた場合、フォーカシングエラー信号FEが負となる。
【0193】
上述のように受光部107のメインビーム用フォトディテクタ111では、各受光領域a3,b3,c3,d3にそれぞれ入射された各ビームスポットの出力により、フォーカシングエラー信号FEを得るとともに再生信号を得る。
【0194】
また、一組の各サイドビーム用フォトディテクタ112,113では、光学ディスク2からの戻り光うち回折格子102で分割された±1次光の各受光量を各受光領域e3,f3,g3,h3で受光する。
【0195】
したがって、サイドビーム用フォトディテクタ112,113は、各受光領域e3,f3,g3,h3がそれぞれ検出する各出力をSe3,Sf3,Sg3,Sh3とすると、トラッキングエラー信号TEは、以下の式17に示すように計算することができる。
【0196】
TE=(Sa3+Sc3)−(Sb3+Sd3)
−α((Se3−Sf3)+(Sg3−Sh3))・・・(式17)
以上のように構成された光学系100を有する光ピックアップ3では、ビームスプリッタ103の第2の面103bにより非点収差量を適切に補正することができ、分割プリズム106により戻り光を4分割することができるので、受光部107の各受光領域に戻り光を適切に導くことができる。
【0197】
次に、第2の例として、光ピックアップ3は、例えば、図22に示すように、光学ディスク2から情報を再生する光学系120と、この光学系120が有する後述する対物レンズを駆動変位させる図示しないレンズ駆動機構とを有する。以下で、光学系120を有する光ピックアップ3について説明するが、光学系100を有する光ピックアップ3と略同等の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
光ピックアップ3が有する光学系120は、光路順に、レーザ光を光学ディスク2に出射する光源101と、この光源101から出射された出射光を3分割する回折格子102と、回折格子102により3分割された出射光と光学ディスク2からの戻り光との光路を分離するビームスプリッタ123と、ビームスプリッタ123で分離された出射光を所定の開口数NAに絞る開口絞り104と、この開口絞り104により絞られた出射光を光学ディスク2の記録面2aに集光させる対物レンズ105と、ビームスプリッタ123を通過した光学ディスク2からの戻り光を4分割する分割プリズム106と、分割プリズム106で分離された戻り光を受光する受光部107とを有している。
【0198】
ビームスプリッタ123は、第1の面123aと第2の面123bとからなる透光性を有する平行平板部材であり、光源101から出射された出射光に対して第1の面123aと第2の面123bとが所定の角度を有するように配置され、光源101から出射されたレーザ光を第1の面123aで反射して光学ディスク2側に導くとともに、光学ディスク2で反射された戻り光を第1の面123aを透過させ第2の面123bで反射させ、さらに第1の面123aを透過させて分割プリズム106に導くようになっている。ビームスプリッタ123は、第2の面123bが全反射面とされており、この第2の面123bが、例えば反射膜を蒸着するなどの手法で形成され、戻り光を全反射するようになっている。
【0199】
また、ビームスプリッタ123は、光学ディスク2からの戻り光が通過することによって、分割プリズム106に入射される戻り光に非点収差を所定量だけ付与する。ビームスプリッタ123は、光源101から出射された出射光の光軸方向の位置を調動することによって、光学ディスク2に対するデフォーカスを容易に調整することが可能とされる。
【0200】
ここで、ビームスプリッタ123の第1の面123aには、2波長光源101から出射された出射光を反射し、光学ディスク2からの戻り光を透過させるハーフミラー面が設けられている。また、ビームスプリッタ123の第1の面123aにおける光学ディスク2からの戻り光の出射領域には、光学ディスク2からの戻り光の非点収差量を補正する回折素子が設けられており、ビームスプリッタ123を透過する戻り光の非点収差量がフォーカス調整に適切となるように補正する。このような回折素子は、ホログラム素子として所定のホログラムパターンをエッチング処理等によって形成するとしてもよい。また、ホログラム素子を用いる場合には、表面レリーフ型ホログラムが好ましく、また、ブレーズ化ホログラムとすることで回折効率を向上させるようにしてもよい。
【0201】
分割プリズム106は、図17及び図18に示すように、略正四角錐をなす形状に形成されており、ビームスプリッタ123を透過した戻り光の焦点又は焦点近傍で、戻り光の中心が正四角錐の頂角の中心に入射されるように配設されている。分割プリズム106は、ビームスプリッタ123を通過した戻り光の光路上に位置して、この戻り光を4分割する。
【0202】
以上のような光学系120を有する光ピックアップ3を備える光学ディスク装置1は、光学ディスク2からの戻り光によって光ピックアップ3が検出したフォーカシングエラー信号及びトラッキングエラー信号に基づいて、サーボ回路10から光ピックアップ3の二軸アクチュエータに制御信号が出力されて、対物レンズ105がフォーカシング方向及びトラッキング方向にそれぞれ駆動変位されることにより、出射光が対物レンズ105を介して光学ディスク2の所望の記録トラックに合焦される。そして、光学ディスク装置1は、光ピックアップ3によって読み取られた信号が信号復調回路12及び誤り訂正回路13により、復調処理及び誤り訂正処理された後、インターフェース14から再生信号として出力される。
【0203】
ここで、上述した光学系120を有する光ピックアップ3内の出射光及び戻り光の光路を、図面を参照して説明する。
【0204】
光学ディスク装置1が、光学ディスク2の記録面2aから情報を再生する場合、図22に示すように、光源101から出射された出射光は、回折格子102によって0次光及び±1次光からなる3ビームにそれぞれ分割される。3ビームに分割された出射光は、ビームスプリッタ123の第1の面123aで反射されて、開口絞り104により所定の開口数に絞られ、対物レンズ105により光学ディスク2の記録面2aに集光される。
【0205】
光学ディスク2の記録面2aからの戻り光は、ビームスプリッタ123の第1の面123aで屈折してビームスプリッタ123内を透過して、第2の面123bで反射され、第1の面123aの入射領域とは異なる出射領域において非点収差量を補正されるとともに透過し、回折格子102で分割された0次光に対応する戻り光が分割プリズム106の頂角に入射される。分割プリズム106の正四角錐の頂角に入射された戻り光は、正四角錐の各周面にそれぞれ入射されることにより、互いに異なる方向にそれぞれ屈折し、4本の戻り光に4分割されて、受光部107のメインビーム用フォトディテクタ111の各受光領域a3,b3,c3,d3にそれぞれ照射される。また、回折格子102で分割された±1次光に対応するビームスプリッタ123を透過した戻り光の一方は、受光部107のサイドビーム用フォトディテクタ112の各受光領域e3,f3にそれぞれ照射され、他方は、受光部107のサイドビーム用フォトディテクタ113の各受光領域g3,h3にそれぞれ照射される。
【0206】
以上のように構成された光学系120を有する光ピックアップ3では、ビームスプリッタ123の第1の面123aにおける出射領域に設けられた回折素子により非点収差量を適切に補正することができ、分割プリズム106により戻り光を4分割することができるので、受光部107の各受光領域に戻り光を適切に導くことができる。
【0207】
次に、第3の例として、光ピックアップ3は、例えば、図23に示すように、光学ディスク2から情報を再生する光学系130と、この光学系130が有する後述する対物レンズを駆動変位させる図示しないレンズ駆動機構とを有する。以下で、光学系130を有する光ピックアップ3について説明するが、光学系100を有する光ピックアップ3と略同等の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0208】
光ピックアップ3が有する光学系130は、光路順に、レーザ光を光学ディスク2に出射する光源101と、この光源101から出射された出射光を3分割する回折格子102と、回折格子102により3分割された出射光と光学ディスク2からの戻り光との光路を分離するビームスプリッタ133と、ビームスプリッタ133で分離された出射光を所定の開口数NAに絞る開口絞り104と、この開口絞り104により絞られた出射光を光学ディスク2の記録面2aに集光させる対物レンズ105と、ビームスプリッタ133を透過した光学ディスク2からの戻り光を4分割する分割プリズム106と、分割プリズム106で分離された戻り光を受光する受光部107とを有している。
【0209】
ビームスプリッタ133は、第1の面133aと、この第1の面133aに対して平行な第2の面133bと、第1の面133a及び第2の面133bとの間に出射光の光軸に対して所定の角度だけ傾いた第3の面133cと、第1の面133a及び第2の面133bと直交する第4の面133dと、第3の面133cと略平行とされた第5の面133eとからなる透光性を有する部材である。ビームスプリッタ133は、光源101から出射された出射光に対して第1の面133aと第2の面133bとが略直交するように配置され、光源101から出射された出射光を第1の面133aを透過させ、第3の面133cで反射して第4の面133dを透過させて光学ディスク2側に導くとともに、光学ディスク2で反射された戻り光を第4の面133d及び第3の面133cを透過させ第5の面133eで反射させ、第1の面133aの出射領域を透過させて分割プリズム106に導くようになっている。
【0210】
ビームスプリッタ133は、第5の面133eが全反射面とされており、この第5の面133eが、例えば反射膜を蒸着するなどの手法で形成され、戻り光を全反射するようになっている。
【0211】
また、ビームスプリッタ133は、光学ディスク2からの戻り光が通過することによって、分割プリズム106に入射される戻り光に非点収差を所定量だけ付与する。ビームスプリッタ133は、光源101から出射された出射光の光軸方向の位置を調動することによって、光学ディスク2に対するデフォーカスを容易に調整することが可能とされる。
【0212】
ここで、ビームスプリッタ133の第3の面133cには、2波長光源101から出射された出射光を反射し、光学ディスク2からの戻り光を透過させるハーフミラー面が設けられている。また、ビームスプリッタ133の第1の面133aにおける光学ディスク2からの戻り光の出射領域には、光学ディスク2からの戻り光の非点収差量を補正する回折素子が設けられており、ビームスプリッタ133を通過する戻り光の非点収差量がフォーカス調整に適切となるように補正する。このような回折素子は、ホログラム素子として所定のホログラムパターンをエッチング処理等によって形成するとしてもよい。また、ホログラム素子を用いる場合には、表面レリーフ型ホログラムが好ましく、また、ブレーズ化ホログラムとすることで回折効率を向上させるようにしてもよい。
【0213】
分割プリズム106は、図17及び図18に示すように、略正四角錐をなす形状に形成されており、ビームスプリッタ133を透過した戻り光の焦点又は焦点近傍で、戻り光の中心が正四角錐の頂角の中心に入射されるように配設されている。分割プリズム106は、ビームスプリッタ133を通過した戻り光の光路上に位置して、この戻り光を4分割する。
【0214】
以上のような光学系130を有する光ピックアップ3を備える光学ディスク装置1は、光学ディスク2からの戻り光によって光ピックアップ3が検出したフォーカシングエラー信号及びトラッキングエラー信号に基づいて、サーボ回路10から光ピックアップ3の二軸アクチュエータに制御信号が出力されて、対物レンズ105がフォーカシング方向及びトラッキング方向にそれぞれ駆動変位されることにより、出射光が対物レンズ105を介して光学ディスク2の所望の記録トラックに合焦される。そして、光学ディスク装置1は、光ピックアップ3によって読み取られた信号が信号復調回路12及び誤り訂正回路13により、復調処理及び誤り訂正処理された後、インターフェース14から再生信号として出力される。
【0215】
ここで、上述した光学系130を有する光ピックアップ3内の出射光及び戻り光の光路を、図面を参照して説明する。
【0216】
光学ディスク装置1が、光学ディスク2の記録面2aから情報を再生する場合、図23に示すように、光源101から出射された出射光は、回折格子102によって0次光及び±1次光からなる3ビームにそれぞれ分割される。3ビームに分割された出射光は、ビームスプリッタ133の第1の面133aを透過して第3の面133cで反射され第4の面133dを透過して、開口絞り104により所定の開口数に絞られ、対物レンズ105により光学ディスク2の記録面2aに集光される。
【0217】
光学ディスク2の記録面2aからの戻り光は、ビームスプリッタ133の第4の面133d及び第3の面133cを透過し第5の面133eで反射され、第1の面133aの入射領域とは異なる出射領域において非点収差量を補正されるとともに透過し、回折格子102で分割された0次光に対応する戻り光が分割プリズム106の頂角に入射される。分割プリズム106の正四角錐の頂角に入射された戻り光は、正四角錐の各周面にそれぞれ入射されることにより、互いに異なる方向にそれぞれ屈折し、4本の戻り光に4分割されて、受光部107のメインビーム用フォトディテクタ111の各受光領域a3,b3,c3,d3にそれぞれ照射される。また、回折格子102で分割された±1次光に対応するビームスプリッタ133を透過した戻り光の一方は、受光部107のサイドビーム用フォトディテクタ112の各受光領域e3,f3にそれぞれ照射され、他方は、受光部107のサイドビーム用フォトディテクタ113の各受光領域g3,h3にそれぞれ照射される。
【0218】
以上のように構成された光学系130を有する光ピックアップ3では、ビームスプリッタ133の第1の面133aにおける出射領域に設けられた回折素子により非点収差量を適切に補正することができ、分割プリズム106により戻り光を4分割することができるので、受光部107の各受光領域に戻り光を適切に導くことができる。
【0219】
次に、第4の例として、光ピックアップ3は、例えば、図24に示すように、光学ディスク2から情報を再生する光学系140と、この光学系140が有する後述する対物レンズを駆動変位させる図示しないレンズ駆動機構とを有する。以下で、光学系140を有する光ピックアップ3について説明するが、光学系100を有する光ピックアップ3と略同等の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0220】
光ピックアップ3が有する光学系140は、光路順に、レーザ光を光学ディスク2に出射する光源101と、この光源101から出射された出射光を3分割する回折格子102と、回折格子102により3分割された出射光と光学ディスク2からの戻り光との光路を分離するビームスプリッタ143と、ビームスプリッタ143で分離された出射光を所定の開口数NAに絞る開口絞り104と、この開口絞り104により絞られた出射光を光学ディスク2の記録面2aに集光させる対物レンズ105と、ビームスプリッタ143を透過した光学ディスク2からの戻り光を4分割する分割プリズム106と、分割プリズム106で分離された戻り光を受光する受光部107とを有している。
【0221】
ビームスプリッタ143は、第1の面143aと、この第1の面143aに垂直な第2の面143bと、第1の面143a及び第2の面143bと接する第3の面が略二等辺三角形をなす略三角柱形状された透光性を有する部材である。ビームスプリッタ143は、光源101から出射された出射光を第1の面143aで反射して光学ディスク2側に導くとともに、光学ディスク2で反射された戻り光を第1の面143aを透過させ第3の面143cで反射させ、第2の面143bを透過させて分割プリズム106に導くようになっている。ビームスプリッタ143は、第3の面143cが全反射面とされており、この第3の面143cが、例えば反射膜を蒸着するなどの手法で形成され、戻り光を全反射するようになっている。
【0222】
また、ビームスプリッタ143は、光学ディスク2からの戻り光が通過することによって、分割プリズム106に入射される戻り光に非点収差を所定量だけ付与する。ビームスプリッタ143は、光源101から出射された出射光の光軸方向の位置を調動することによって、光学ディスク2に対するデフォーカスを容易に調整することが可能とされる。
【0223】
ここで、ビームスプリッタ143の第1の面143aには、2波長光源101から出射された出射光を反射し、光学ディスク2からの戻り光を透過させるハーフミラー面が設けられている。また、ビームスプリッタ143の第2の面143bには、光学ディスク2からの戻り光の非点収差量を補正する回折素子が設けられており、ビームスプリッタ143を透過する戻り光の非点収差量がフォーカス調整に適切となるように補正する。このような回折素子は、ホログラム素子として所定のホログラムパターンをエッチング処理等によって形成するとしてもよい。また、ホログラム素子を用いる場合には、表面レリーフ型ホログラムが好ましく、また、ブレーズ化ホログラムとすることで回折効率を向上させるようにしてもよい。
【0224】
分割プリズム106は、図17及び図18に示すように、略正四角錐をなす形状に形成されており、ビームスプリッタ143を通過した戻り光の焦点又は焦点近傍で、戻り光の中心が正四角錐の頂角の中心に入射されるように配設されている。分割プリズム106は、ビームスプリッタ143を通過した戻り光の光路上に位置して、この戻り光を4分割する。
【0225】
以上のような光学系140を有する光ピックアップ3を備える光学ディスク装置1は、光学ディスク2からの戻り光によって光ピックアップ3が検出したフォーカシングエラー信号及びトラッキングエラー信号に基づいて、サーボ回路10から光ピックアップ3の二軸アクチュエータに制御信号が出力されて、対物レンズ105がフォーカシング方向及びトラッキング方向にそれぞれ駆動変位されることにより、出射光が対物レンズ105を介して光学ディスク2の所望の記録トラックに合焦される。そして、光学ディスク装置1は、光ピックアップ3によって読み取られた信号が信号復調回路12及び誤り訂正回路13により、復調処理及び誤り訂正処理された後、インターフェース14から再生信号として出力される。
【0226】
ここで、上述した光学系140を有する光ピックアップ3内の出射光及び戻り光の光路を、図面を参照して説明する。
【0227】
光学ディスク装置1が、光学ディスク2の記録面2aから情報を再生する場合、図23に示すように、光源101から出射された出射光は、回折格子102によって0次光及び±1次光からなる3ビームにそれぞれ分割される。3ビームに分割された出射光は、ビームスプリッタ143の第1の面143aで反射され、開口絞り104により所定の開口数に絞られ、対物レンズ105により光学ディスク2の記録面2aに集光される。
【0228】
光学ディスク2の記録面2aからの戻り光は、ビームスプリッタ143の第1の面143aを透過し第3の面143cで反射され、第2の面143bにおいて非点収差量を補正されるとともに透過し、回折格子102で分割された0次光に対応する戻り光が分割プリズム106の頂角に入射される。分割プリズム106の正四角錐の頂角に入射された戻り光は、正四角錐の各周面にそれぞれ入射されることにより、互いに異なる方向にそれぞれ屈折し、4本の戻り光に4分割されて、受光部107のメインビーム用フォトディテクタ111の各受光領域a3,b3,c3,d3にそれぞれ照射される。また、回折格子102で分割された±1次光に対応するビームスプリッタ143を透過した戻り光の一方は、受光部107のサイドビーム用フォトディテクタ112の各受光領域e3,f3にそれぞれ照射され、他方は、受光部107のサイドビーム用フォトディテクタ113の各受光領域g3,h3にそれぞれ照射される。
【0229】
以上のように構成された光学系140を有する光ピックアップ3では、ビームスプリッタ143の第1の面143aにおける出射領域に設けられた回折素子により非点収差量を適切に補正することができ、分割プリズム106により戻り光を4分割することができるので、受光部107の各受光領域に戻り光を適切に導くことができる。
【0230】
以上のように第1乃至第4の例に示す光ピックアップ3を備える光学ディスク装置1は、光学系100,120,130,又は140を有する光ピックアップ3により得られたフォーカシングエラー信号FE及びトラッキングエラー信号TEに基づいて、サーボ回路10がレンズ駆動機構を制御して対物レンズ105をフォーカシング方向及びトラッキング方向にそれぞれ駆動変位させることにより、光学ディスク2の記録面2aに出射光を合焦させて、光学ディスク2から情報を再生する。
【0231】
上述したように、光学ディスク装置1は、光ピックアップ3が、光学ディスク2からの戻り光をビームスプリッタ103,123,133,134により非点収差量が適切なものとなるように補正することができるので、ビームスポットの形状の変形を抑制して戻り光を分割プリズム106に入射させることで、フォーカシングエラー信号の信頼性を向上することができる。
【0232】
また、光学ディスク装置1は、光ピックアップ3が、従来の光ピックアップと同様の構成を用いることができ、製造コストの低減を図ることができるとともに、光学素子の配置の自由度が広がり、光学系の設計を容易とすることができる。
【0233】
さらに、光学ディスク装置1は、図16、図22乃至図24に示す光ピックアップ3が、光学ディスク2からの戻り光を分割する分割プリズム106を有することにより、メインビーム用フォトディテクタの分割線によってビームスポットを分割する形式に比して光路上で戻り光が分割されるため、分割プリズム106で分割された4本の各戻り光を受光するようにメインビーム用フォトディテクタ107の各受光領域a3,b3,c3,d3を所定の大きさに確保することで、メインビーム用フォトディテクタの分割位置等に要求される精度が緩和される。
【0234】
このため、光学ディスク装置1は、光ピックアップ3におけるメインビーム用フォトディテクタ107の製造コストを低減するとともに、光ピックアップ3の製造工程でメインビーム用フォトディテクタ107の位置調整を容易に行うことが可能とされて、得られるフォーカシングエラー信号FEの信頼性を向上することができる。
【0235】
なお、光学ディスク装置1は、上述した分割プリズム106を、例えば八角錐に形成されるとしてもよい。この場合には、受光部107のメインビーム用フォトディテクタ111が、受光面の中央から放射状の分割線によって8分割されるように構成されてもよい。また、分割プリズム106は、平面を有する角錐に限定されずに、複数の曲面を有する形状とされていてもよい。この場合には、受光部107のメインビーム用フォトディテクタ111の分割領域を対応するように設けることとなる。
【0236】
また、光学ディスク装置1は、分割プリズム106を、略平板形状の光透過部材上にホログラム素子として所定のホログラムパターンをエッチング処理等によって形成する構成とされてもよい。また、ホログラム素子を用いる場合には、表面レリーフ型ホログラムが好ましく、また、ブレーズ化ホログラムとすることで回折効率を向上させるようにしてもよい。
【0237】
さらに、光学ディスク装置1は、分割プリズム106の代わりに、図13に示すように、4つの領域に分割されたグレーティング79を用いても同等の効果を得ることができる。この場合に、グレーティング79は、分割プリズム106と同等の効果が得られるように、分割領域y1,y2,y3,y4が設けられ、各分割領域y1,y2,y3,y4において溝を形成する方向がそれぞれ異なっている。具体的には、分割領域y1とy3との溝を形成する方向と、分割領域y2とy4との溝を形成する方向とが互いに直交するようにされている。グレーティング79は、入射した光学ディスク2からの戻り光を、各分割領域y1,y2,y3,y4におけるそれぞれの溝の向き及び格子定数に応じて回折させて4分割し、受光部107のメインビーム用フォトディテクタ111に導く。グレーティング79は、ホログラム素子として所定のホログラムパターンをエッチング処理等によって形成される。また、ホログラム素子を用いる場合には、表面レリーフ型ホログラムが好ましく、また、ブレーズ化ホログラムとすることで回折効率を向上させるようにしてもよい。
【0238】
さらに、光学ディスク装置1は、光路中に反射面を有する設計にしてもよく、反射面を利用して光路を曲げることにより光学設計の自由度を向上させることができる。
【0239】
さらに、光学ディスク装置1は、分割プリズム106に入射する光学ディスク2からの戻り光の入射角が分割プリズム106の各面に対して45°以下となるようにする、すなわち分割プリズム106の各面の傾角を45°以下とすることで、入射する戻り光が全反射条件に入らないように、屈折角を大きくすることができるので、分割された各戻り光のビームスポット間隔を離すことができ、メインビーム用フォトディテクタ111内の各分割領域の間隔や、メインビーム用フォトディテクタ111とサイドビーム用フォトディテクタ112,113との間隔を広く取ることができ、光ピックアップ3の組立精度を緩くすることができる。
【0240】
なお、光学ディスク装置1は、上述した光ピックアップ3においてフォーカシングエラー信号FEを得るために、いわゆる非点収差法が採用されたが、フーコー法等の他の検出方法が用いられてもよい。また、光学ディスク装置1は、上述した光ピックアップ3においてトラッキングエラー信号TEを得るために、いわゆるDPP法が採用されたが、DPD(Differential Phase Detection)法等の他の検出方法が用いられてもよい。
【0241】
また、光学ディスク装置1は、上述した光ピックアップ3において、非点収差量を補正する素子を、ビームスプリッタ103,123,133,134の戻り光の出射面に設ける構成としたが、他の場所に設けるようにしてもよい。非点収差量を補正する素子を設ける場所としては、分割プリズム106の戻り光の入射面若しくは出射面が好ましい。
【0242】
さらに、光学ディスク装置1は、上述した光ピックアップ3において、非点収差量を補正する素子を、回折素子としたが、これに限定されるものではなく、シリンドリカル面等を設けるとしてもよい。
【0243】
上述では、光路変動を補正する光学系30及び60を有する場合と、非点収差量を補正する光学系100,120,130及び140を有する場合とで、光ピックアップ3の構成及び動作について説明したが、光路変動を補正し且つ非点収差量を補正する光学系を有するとしてもよい。
【0244】
そこで、以下では、光路変動を補正し且つ非点収差量を補正する光学系を備える光ピックアップ3の構成例について説明する。なお、光学系30及び光学系60を有する光ピックアップ3と略同等の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0245】
光ピックアップ3が有する光学系150は、図25に示すように、光路順に、レーザ光を光学ディスク2に出射する光源61と、この光源61から出射された出射光を分割し、光学ディスク2からの戻り光を出射光と分離するとともに、出射光と分離された戻り光をさらに分割する複合光学素子151と、光源61から出射され複合光学素子151を透過した出射光を所定の開口数NAに絞る開口絞り33と、この開口絞り33により絞られた出射光を光学ディスク2の記録面2aに集光させる対物レンズ34と、光学ディスク2からの戻り光を受光する受光部152とを有している。
【0246】
光源61は、波長が例えば780nm程度のレーザ光を発光点61aから出射する半導体レーザを有している。
【0247】
複合光学素子151は、図25及び図26に示すように、例えば樹脂材料を射出成型することでブロック状に形成されており、光源61に臨まされるとともにこの光源61の発光点61aから出射される出射光の光軸に直交する第1の面153と、この第1の面153と平行に対向する第2の面154と、第2の面154に対して所定の角度だけ傾斜して対向する第3の面155と、第1の面153及び第2の面154に対して垂直且つ第3の面155に対して所定の角度だけ傾斜して対向する第4の面156とを有している。
【0248】
第1の面153には、光源61の発光点61aから出射された出射光を、0次光及び±1次光からなる3ビームに分割する第1の回折格子161が設けられている。光学系150は、トラッキングエラー信号TEを得るために、いわゆるDPP法が適用されており、第1の回折格子161により分割された±1次光を受光部152で受光することによってトラッキングサーボを行うように構成されている。
【0249】
第2の面154には、光学ディスク2からの各戻り光のうち第1の回折格子161で分割された0次光及び±1次光を回折させて、それぞれをさらに0次光及び±1次光に分割して、例えば、この+1次光を戻り光として出射光の光路と分離する第2の回折格子162が設けられている。
【0250】
第3の面155には、第2の回折格子162によって分離された戻り光の光路上に位置して、この戻り光を反射及び回折させて、さらに0次光及び±1次光に分割して、例えばこの−1次光を戻り光として第2の回折格子162で発生する光路変動を補正し、さらに非点収差量を補正するホログラム素子163が設けられている。
【0251】
このホログラム素子163は、入射された戻り光が全反射するように第3の面155に所定の反射膜が設けられており、いわゆる反射型のホログラム素子として機能する。ホログラム素子163は、所定のホログラムパターンをエッチング処理することにより形成される。ホログラム素子163を用いる場合には、表面レリーフ型ホログラムが好ましく、また、ブレーズ化ホログラムとすることで回折効率を向上させるようにしてもよい。
【0252】
第4の面156には、ホログラム素子163によって光路変動が補正され、且つ戻り光の光路上に位置して、この戻り光を4分割する分割プリズム164が設けられている。
【0253】
この分割プリズム164は、図27及び図28に示すように、略正四角錐をなす形状に形成されており、ホログラム素子163によって反射及び回折された−1次光が、この回折光の焦点又は焦点近傍で、回折光の中心が正四角錐の頂角の中心に入射されるように配設されている。
【0254】
また、分割プリズム164は、複合光学素子151の内方に位置して、この内方側に頂角を向けて設けられている。すなわち、分割プリズム164は、第1の回折格子161で分割された3ビームにおける0次光が、第2の回折格子162で回折され、ホログラム素子163で反射及び回折されて、頂角に入射されるように配設されている。なお、分割プリズム164は、正四角錐の底面が、ホログラム素子163で反射及び回折された−1次光の光軸に対して直交するように配設されている。
【0255】
また、複合光学素子151は、第2の回折格子162で分離された戻り光が通過することによって、分割プリズム164に入射される戻り光に非点収差を所定量だけ付与する。複合光学素子151は、光源61から出射された出射光の光軸方向の位置を調動することによって、光学ディスク2に対するデフォーカスを容易に調整することが可能とされる。
【0256】
複合光学素子151は、樹脂材料を射出成型することにより形成される。また、その他の形成方法としては、エッチング加工により上述の第1の回折格子161、第2の回折格子162、ホログラム素子163及び分割プリズム164を形成しても良いし、機械加工により形成してもかまわない。なお、複合光学素子151を形成する材料としては、樹脂材料に限定されるものではなく、硝材等の透光性を有する光学材料を用いることができ、さらにこれらの光学材料の組み合わせにより、部分的に材料構成を変えるようにしてもよい。
【0257】
ここで、複合光学素子151は、複合光学素子32及び複合光学素子62で説明した場合と同様に、例えば、第2の回折格子162及びホログラム素子163の格子定数や第3の面155と第2の面154とがなす角度などを計算して複合光学素子151を設計することで、波長変動による戻り光の光路変動を補正し、分割プリズム164の頂角にこの戻り光を正確に導くことができる。
【0258】
また、複合光学素子151は、上述の光学系100,120,130,140で説明した場合と同様に、第3の面155に設けられたホログラム素子167によりフォーカシングサーボに最適な非点収差量となるように補正することができる。
【0259】
このように設計された複合光学素子151は、光源61から出射される出射光の波長変動により、光学ディスク2からの戻り光が第2の回折格子162で+1次光として回折されて出射光と分離される際に、この分離された戻り光の光路が変動しても、この戻り光をホログラム素子163で−1次光として反射及び回折させることにより、光学ディスク2からの戻り光を常に分割プリズム164の頂角に導き、分割プリズム164で分割された各戻り光を受光部152の受光領域の所定の位置に正確に導くことができるようにされている。
【0260】
開口絞り33は、複合光学素子151の第2の回折格子162を通過した出射光の光軸上に位置して配設されている。
【0261】
対物レンズ34は、少なくとも1つの凸レンズにより構成され、光源61から出射され開口絞り33で絞られた出射光を光学ディスク2に集光するように配設されている。
【0262】
受光部152は、図29に示すように、第1の回折格子161で分割された0次光であるメインビームを受光する略方形状のメインビーム用フォトディテクタ171と、第1の回折格子161で分割された±1次光である2つのサイドビームをそれぞれ受光する一組の略方形状のサイドビーム用フォトディテクタ172,173とを有している。受光部152は、複合光学素子151の分割プリズム164によって分割された各戻り光に対応する位置に配設されている。受光部152には、中央に位置して略方形状のメインビーム用フォトディテクタ171が配設されるとともに、このメインビーム用フォトディテクタ171を間に挟み込んで両側に位置して一組の略方形状のサイドビーム用フォトディテクタ172,173がそれぞれ配設されている。
【0263】
また、受光部152のメインビーム用フォトディテクタ171は、互いに直交する一組の分割線によって4等分割された各受光領域a4,b4,c4,d4を有している。これら各受光領域a4,b4,c4,d4には、分割プリズム164によって4分割された各戻り光がそれぞれ照射される。
【0264】
受光部152のサイドビーム用フォトディテクタ172,173は、それぞれ分割線によって2等分割された受光領域e4,f4,受光領域g4,h4を有している。これら各受光領域e4,f4には、第1の回折格子161で分割された±1次光に対応する光学ディスク2からの戻り光の一方が照射され、これら各受光領域g4,h4には、第1の回折格子161で分割された±1次光に対応する光学ディスク2からの戻り光の他方が照射される。
【0265】
光ピックアップ3が有するレンズ駆動機構は、図示しないが、対物レンズ34を保持するレンズホルダと、このレンズホルダを対物レンズ34の光軸に平行なフォーカシング方向及び対物レンズ34の光軸に直交するトラッキング方向との二軸方向に変位可能に支持するホルダ支持部材と、レンズホルダを二軸方向に電磁力により駆動変位させる電磁駆動部とを有している。
【0266】
レンズ駆動機構は、受光部152のメインビーム用フォトディテクタ171が検出するフォーカシングエラー信号及びサイドビーム用フォトディテクタ172,173が検出するトラッキングエラー信号に基づいて、対物レンズ34をフォーカシング方向及びトラッキング方向にそれぞれ駆動変位させて、光学ディスク2の記録面2aの記録トラックに出射光を合焦させる。
【0267】
なお、上述した複合光学素子151は、分割プリズム164が例えば八角錐に形成されるとしてもよい。この場合には、受光部152のメインビーム用フォトディテクタ171が、受光面の中央から放射状の分割線によって8分割されるように構成されてもよい。また、複合光学素子151は、分割プリズム164が、第4の面156に対して内方側に設けられたが、第4の面156に対して外方側に突設されてもよい。さらに、複合光学素子151は、分割プリズム164が、平面を有する角錐に限定されずに、複数の曲面を有する形状とされていてもよい。この場合には、受光部152のメインビーム用フォトディテクタ171の分割領域を対応するように設けることとなる。さらに、複合光学素子151は、第1の回折格子161及び第2の回折格子162がそれぞれホログラム素子として所定のホログラムパターンをエッチング処理等によって形成する構成とされてもよい。ホログラム素子を用いる場合には、表面レリーフ型ホログラムが好ましく、また、ブレーズ化ホログラムとすることで回折効率を向上させるようにしてもよい。
【0268】
複合光学素子151は、分割プリズム164の代わりに、図13に示すように、4つの領域に分割されたグレーティング79を用いても同等の効果を得ることができる。この場合に、グレーティング79は、分割プリズム164と同等の効果が得られるように、分割領域y1,y2,y3,y4が設けられ、各分割領域y1,y2,y3,y4において溝を形成する方向がそれぞれ異なっている。具体的には、分割領域y1とy3との溝を形成する方向と、分割領域y2とy4との溝を形成する方向とが互いに直交するようにされている。グレーティング79は、入射した光学ディスク2からの戻り光を、各分割領域y1,y2,y3,y4におけるそれぞれの溝の向き及び格子定数に応じて回折させて4分割し、受光部152のメインビーム用フォトディテクタ171に導く。グレーティング79は、ホログラム素子として所定のホログラムパターンをエッチング処理等によって形成される。また、ホログラム素子を用いる場合には、表面レリーフ型ホログラムが好ましく、また、ブレーズ化ホログラムとすることで回折効率を向上させるようにしてもよい。
【0269】
さらに、複合光学素子151は、内部に反射面を有する設計にしてもよく、反射面を利用して光路を曲げることにより光学設計の自由度を向上させることができる。
【0270】
さらにまた、複合光学素子151は、分割プリズム164に入射する光学ディスク2からの戻り光の入射角が分割プリズム164の各面に対して45°以下となるようにする、すなわち分割プリズム164の各面の傾角を45°以下とすることで、入射する戻り光が全反射条件に入らないように、屈折角を大きくすることができるので、分割された各戻り光のビームスポット間隔を離すことができ、メインビーム用フォトディテクタ171内の各分割領域の間隔や、メインビーム用フォトディテクタ171とサイドビーム用フォトディテクタ172,173との間隔を広く取ることができ、光ピックアップ3の組立精度を緩くすることができる。
【0271】
以上のような光学系150を有する光ピックアップ3を備える光学ディスク装置1は、光学ディスク2からの戻り光によって光ピックアップ3が検出したフォーカシングエラー信号及びトラッキングエラー信号に基づいて、サーボ回路10から光ピックアップ3の二軸アクチュエータに制御信号が出力されて、対物レンズ34がフォーカシング方向及びトラッキング方向にそれぞれ駆動変位されることにより、出射光が対物レンズ34を介して光学ディスク2の所望の記録トラックに合焦される。そして、光学ディスク装置1は、光ピックアップ3によって読み取られた信号が信号復調回路12及び誤り訂正回路13により、復調処理及び誤り訂正処理された後、インターフェース14から再生信号として出力される。
【0272】
ここで、上述した光学系150を有する光ピックアップ3を備える光学ディスク装置1について、光ピックアップ3内の出射光及び戻り光の光路を、図面を参照して説明する。
【0273】
光学ディスク装置1は、図25に示すように、光学ディスク2の記録面2aから情報を再生する場合、光源61から出射された出射光が、複合光学素子151の第1の回折格子161によって0次光及び±1次光からなる3ビームにそれぞれ分割される。3ビームに分割された出射光は、複合光学素子151の第2の回折格子162を透過されて、対物レンズ34により光学ディスク2の記録面2aに集光される。
【0274】
光学ディスク2の記録面2aからの戻り光は、複合光学素子151の第2の回折格子162により回折し、第3の面155に向かう光路に導かれて、+1次光がホログラム素子163に入射される。ホログラム素子163に入射された第2の回折格子162からの+1次光は、ホログラム素子163により反射及び回折し、−1次光が分割プリズム164の頂角に入射される。ここで、ホログラム素子163において、第2の回折格子162からの+1次光は、第2の回折格子162により発生する光路変動が補正されるとともに、非点収差量が補正される。分割プリズム164の正四角錐の頂角に入射された−1次光は、正四角錐の各周面にそれぞれ入射されることにより、互いに異なる方向にそれぞれ屈折し、4本の戻り光に4分割されて、受光部152のメインビーム用フォトディテクタ171の各受光領域a4,b4,c4,d4にそれぞれ照射される。
【0275】
ホログラム素子163で回折された回折光が分割プリズム164の頂角に入射されるとき、図30(b)に示すように、光学ディスク2の記録面2aに対して対物レンズ34が合焦位置に位置されている場合、分割プリズム164の頂角には、ほぼ円形とされた回折光が入射される。
【0276】
一方、回折光が分割プリズム164の頂角に入射されるとき、図30(a)に示すように、光学ディスク2の記録面2aに対して対物レンズ34が近づき過ぎた場合、対物レンズ34が合焦位置から外れるため、回折光が複合光学素子151を通過することにより発生する非点収差によって、分割プリズム164の頂角には、長軸が図中右上がりの楕円形とされた回折光が入射される。
【0277】
また、回折光が分割プリズム164の頂角に入射されるとき、図30(c)に示すように、光学ディスク2の記録面2aに対して対物レンズ34が遠ざかり過ぎた場合、対物レンズ34が合焦位置から外れるため、回折光が複合光学素子151を通過することにより発生する非点収差によって、分割プリズム164の頂角には、長軸が図中左上がりの楕円形とされた回折光が入射される。
【0278】
したがって、対物レンズ34が合焦位置から外れた状態で、分割プリズム164の頂角に回折光が入射するとき、分割プリズム164の互いに対向する二組の周面x9,x11と周面x10,x12には、一方の組の各周面に回折光の大部分が入射するとともに、他方の組の各周面に回折光のごく僅かが入射するように分かれる。
【0279】
すなわち、図30(a)に示すように楕円形とされた回折光が入射する分割プリズム164には、回折光の大部分が一組の対向する各周面x9,x11に入射するとともに、回折光のごく僅かが一組の対向する各周面x10,x12に入射する。また、図30(c)に示すように楕円形とされた回折光が入射する分割プリズム164には、回折光の大部分が一組の各周面x10,x12に入射するとともに、回折光のごく僅かが一組の対向する各周面x9,x11に入射する。
【0280】
そして、第1の回折格子161で分割された0次光のうち光学ディスク2からの戻り光は、第2の回折格子162で回折され−1次光とされて、この−1次光が分割プリズム164の各周面x9,x10,x11,x12にそれぞれ入射されることにより、互いに異なる方向に屈折されるため、4本の戻り光に分割されて、受光部152のメインビーム用フォトディテクタ171の各受光領域a4,b4,c4,d4にそれぞれ入射する。
【0281】
このため、図31(a)及び図31(c)に示すように、メインビーム用フォトディテクタ171の互いに対向する二組の各受光領域a4,c4と各受光領域b4,d4とでは、一方の組の各受光領域が受光する受光量が多くなるとともに、他方の組の各受光領域が受光する受光量が少なくなる。
【0282】
すなわち、図31(a)に示すような楕円形の回折光が分割プリズム164に入射した場合、メインビーム用フォトディテクタ171は、図31(a)に示すように、対向する各受光領域a4,c4が受光する受光量が多くなるとともに、対向する各受光領域b4,d4が受光する受光量が少なくなる。また、図31(c)に示すような楕円形の回折光が分割プリズム164に入射した場合、メインビーム用フォトディテクタ171は、図31(c)に示すように、対向する各受光領域b4,d4が受光する受光量が多くなるとともに、対向する各受光領域a4,c4が受光する受光量が少なくなる。
【0283】
また、図30(b)に示すような円形の回折光が分割プリズム164の頂角に入射した場合、メインビーム用フォトディテクタ171は、図31(b)に示すように、対向する各受光領域a4,c4と各受光領域b4,d4の各受光量が等しくなる。
【0284】
したがって、メインビーム用フォトディテクタ171は、各受光領域a4,b4,c4,d4がそれぞれ検出する各出力をSa4,Sb4,Sc4,Sd4とすると、フォーカシングエラー信号FEは、以下に示す式18で計算することができる。
【0285】
FE=(Sa4+Sc4)−(Sb4+Sd4)・・・・(式18)
すなわち、メインビーム用フォトディテクタ171は、光学ディスク2の記録面2aに対して対物レンズ34が合焦位置に位置された場合、式16によって演算されるフォーカシングエラー信号FEが0となる。また、メインビーム用フォトディテクタ171は、光学ディスク2の記録面2aに対して対物レンズ34が近づき過ぎた場合、フォーカシングエラー信号FEが正となり、また光学ディスク2の記録面2aに対して対物レンズ34が遠ざかり過ぎた場合、フォーカシングエラー信号FEが負となる。
【0286】
上述のように受光部152のメインビーム用フォトディテクタ171は、各受光領域a4,b4,c4,d4にそれぞれ入射された各ビームスポットの出力により、フォーカシングエラー信号FEを得るとともに再生信号を得る。
【0287】
また、一組の各サイドビーム用フォトディテクタ172,173は、光学ディスク2からの戻り光うち第1の回折格子161で分割された±1次光の各受光量を各受光領域e4,f4,g4,h4で受光する。
【0288】
したがって、サイドビーム用フォトディテクタ172,173は、各受光領域e4,f4,g4,h4がそれぞれ検出する各出力をSe4,Sf4,Sg4,Sh4とすると、トラッキングエラー信号TEは、以下の式20に示すように計算することができる。
【0289】
TE=(Sa4+Sc4)−(Sb4+Sd4)
−α((Se4−Sf4)+(Sg4−Sh4))・・・(式20)
以上のように光学ディスク装置1は、光学系150を有する光ピックアップ3により得られたフォーカシングエラー信号FE及びトラッキングエラー信号TEに基づいて、サーボ回路10がレンズ駆動機構を制御して対物レンズ34をフォーカシング方向及びトラッキング方向にそれぞれ駆動変位させることにより、光学ディスク2の記録面2aに出射光を合焦させて、光学ディスク2から情報を再生する。
【0290】
上述したように、光学ディスク装置1は、光学系150を有する光ピックアップ3が、光学ディスク2からの戻り光を回折する第2の回折格子162と、この第2の回折格子162により回折された+1次光を戻り光として、この戻り光をさらに回折するホログラム素子163とが設けられた複合光学素子151を有することにより、周囲の温度変化により光源61から出射される出射光の発振波長が変動しても適切な位置に導くことができるとともに、ホログラム素子163により非点収差量が適切に補正することができる。
【0291】
このため、光学ディスク装置1は、複合光学素子151のように部品点数の増加もなく簡単な構造の光ピックアップを用いることで、得られるフォーカシングエラー信号FEの信頼性を向上することができる。
【0292】
また、光学ディスク装置1は、光学系150を有する光ピックアップ3において、複合光学素子151のみで、出射光と戻り光とを分離し、光源61から出射される出射光の波長変動により発生する光路変動を補正するとともに非点収差量を補正する機能を備えているため、光学部品の点数を必要最小限に留めて、光学系150の構成を簡素化、小型化を図るとともに製造コストを低減することが可能とされる。
【0293】
したがって、光学ディスク装置1は、光ピックアップ3内の光学系150が複合光学素子151を有することで、生産性が向上し、製造コストの低減を図り、信頼性を向上させることができる。
【0294】
さらに、光学ディスク装置1は、図25に示す光ピックアップ3が、光学ディスク2からの戻り光を分割する分割プリズム164を有する複合光学素子151を有することにより、メインビーム用フォトディテクタの分割線によってビームスポットを分割する形式に比して光路上で戻り光が分割されるため、分割プリズム164で分割された4本の各戻り光を受光するようにメインビーム用フォトディテクタ171の各受光領域a4,b4,c4,d4を所定の大きさに確保することで、メインビーム用フォトディテクタの分割位置等に要求される精度が緩和される。
【0295】
このため、光学ディスク装置1は、光ピックアップ3におけるメインビーム用フォトディテクタ171の製造コストを低減するとともに、光ピックアップ3の製造工程でメインビーム用フォトディテクタ171の位置調整を容易に行うことが可能とされて、得られるフォーカシングエラー信号FEの信頼性を向上することができる。
【0296】
なお、光学ディスク装置1は、上述した光ピックアップ3においてフォーカシングエラー信号FEを得るために、いわゆる非点収差法が採用されたが、フーコー法等の他の検出方法が用いられてもよい。
【0297】
また、光学ディスク装置1は、上述した複合光学素子151のように1つの素子を構成することが難しい場合、各光学素子を個別に上述と同じような配置とする光学系とすることで同様の機能を得ることができることは言うまでもない。
【0298】
【発明の効果】
上述したように、本発明に係る光ピックアップ装置によれば、光学ディスク装置においてこの複合光学素子を光ピックアップに用いることで、生産性を向上し、製造コストの低減を図り、フォーカシングエラー信号の信頼性を向上することができる。
【0299】
さらに、本発明に係る光学ディスク装置によれば、この複合光学素子を光ピックアップに用いることで、生産性を向上し、製造コストの低減を図り、フォーカシングエラー信号の信頼性を向上することができる。
【0303】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光学ディスク装置の構成を示す概略図である。
【図2】同光学ディスク装置が備える光ピックアップの光学系の概略を示す図である。
【図3】上記光ピックアップの光学系に設けられた複合光学素子の斜視図である。
【図4】上記光ピックアップの光学系に設けられた複合光学素子内の戻り光の光路を示す斜視図である。
【図5】上記光ピックアップの光学系に設けられた複合光学素子内における戻り光の光路変動を説明する図である。
【図6】上記光ピックアップの光学系に設けられた受光部のメインビーム用フォトディテクタ及びサイドビーム用フォトディテクタを説明する図である。
【図7】上記光ピックアップが有するメインビーム用フォトディテクタの各受光領域のビームスポットを示し、(a)は対物レンズが光学ディスクに近い状態を示し、(b)は対物レンズが合焦位置に位置する状態を示し、(c)は対物レンズが光学ディスクから遠い状態を示す図である。
【図8】上記光学ディスク装置が備える光ピックアップにおける他の光学系の概略を示す図である。
【図9】図8に示す光ピックアップの他の光学系に設けられた複合光学素子の斜視図である。
【図10】図8に示す光ピックアップの他の光学系に設けられた複合光学素子内の分割プリズムを説明する斜視図である。
【図11】図8に示す光ピックアップの他の光学系に設けられた複合光学素子内の分割プリズムを戻り光の入射面側から見た図である。
【図12】図8に示す光ピックアップの他の光学系に設けられた受光部のメインビーム用フォトディテクタ及びサイドビーム用フォトディテクタを説明する図である。
【図13】図8に示す光ピックアップの他の光学系における複合光学素子が有する分割プリズムと同等の機能を有するグレーティングを示す平面図である。
【図14】図8に示す光ピックアップにおける複合光学素子が有する分割プリズムに入射される回折光を示し、(a)は対物レンズが光学ディスクに近い状態を示し、(b)は対物レンズが合焦位置に位置する状態を示し、(c)は対物レンズが光学ディスクから遠い状態を示す図である。
【図15】図8に示す光ピックアップが有するメインビーム用フォトディテクタの各受光領域のビームスポットを示し、(a)は対物レンズが光学ディスクに近い状態を示し、(b)は対物レンズが合焦位置に位置する状態を示し、(c)は対物レンズが光学ディスクから遠い状態を示す図である。
【図16】上記光学ディスク装置が備える光ピックアップにおける他の光学系の概略を示す図である。
【図17】図16に示す光ピックアップの他の光学系に設けられた分割プリズムを説明する斜視図である。
【図18】図16に示す光ピックアップの他の光学系に設けられた分割プリズムを説明する側面図である。
【図19】図16に示す光ピックアップの他の光学系に設けられた受光部のメインビーム用フォトディテクタ及びサイドビーム用フォトディテクタを説明する図である。
【図20】図16に示す光ピックアップにおける複合光学素子が有する分割プリズムに入射される回折光を示し、(a)は対物レンズが光学ディスクに近い状態を示し、(b)は対物レンズが合焦位置に位置する状態を示し、(c)は対物レンズが光学ディスクから遠い状態を示す図である。
【図21】図16に示す光ピックアップが有するメインビーム用フォトディテクタの各受光領域のビームスポットを示し、(a)は対物レンズが光学ディスクに近い状態を示し、(b)は対物レンズが合焦位置に位置する状態を示し、(c)は対物レンズが光学ディスクから遠い状態を示す図である。
【図22】上記光学ディスク装置が備える光ピックアップにおける他の光学系の概略を示す図である。
【図23】上記光学ディスク装置が備える光ピックアップにおける他の光学系の概略を示す図である。
【図24】上記光学ディスク装置が備える光ピックアップにおける他の光学系の概略を示す図である。
【図25】上記光学ディスク装置が備える光ピックアップにおける他の光学系の概略を示す図である。
【図26】図25に示す光ピックアップの他の光学系に設けられた複合光学素子の斜視図である。
【図27】図25に示す光ピックアップの他の光学系に設けられた複合光学素子内の分割プリズムを説明する斜視図である。
【図28】図25に示す光ピックアップの他の光学系に設けられた複合光学素子内の分割プリズムを戻り光の入射面側から見た図である。
【図29】図25に示す光ピックアップの他の光学系に設けられた受光部のメインビーム用フォトディテクタ及びサイドビーム用フォトディテクタを説明する図である。
【図30】図25に示す光ピックアップにおける複合光学素子が有する分割プリズムに入射される回折光を示し、(a)は対物レンズが光学ディスクに近い状態を示し、(b)は対物レンズが合焦位置に位置する状態を示し、(c)は対物レンズが光学ディスクから遠い状態を示す図である。
【図31】図25に示す光ピックアップが有するメインビーム用フォトディテクタの各受光領域のビームスポットを示し、(a)は対物レンズが光学ディスクに近い状態を示し、(b)は対物レンズが合焦位置に位置する状態を示し、(c)は対物レンズが光学ディスクから遠い状態を示す図である。
【図32】従来の光ピックアップ装置が備える光学系を示す模式図である。
【図33】従来の光学系が有するメインビーム用フォトディテクタの各受光領域のビームスポットを示し、(a)は対物レンズが光学ディスクに近い状態を示し、(b)は対物レンズが合焦位置に位置する状態を示し、(c)は対物レンズが光学ディスクから遠い状態を示す図である。
【図34】従来の光学系のメインビーム用フォトディテクタにおける受光面の中央に対してビームスポットの中心が外れた状態を示す図である。
【符号の説明】
1 光学ディスク装置、 2 光学ディスク、 3 光ピックアップ、 30光学系、 31 受発光一体型素子、 32 複合光学素子、 33 開口絞り、 34 対物レンズ、 41 第1の面、 42 第2の面、 45 第1の回折格子、 46 第2の回折格子、 47 第3の回折格子、 60 光学系、 61 光源、 62 複合光学素子、 63 受光部、 64 遮光板、65 遮光板、 75 第1の回折格子、 76 第2の回折格子、 77 第3の回折格子、 78 分割プリズム、 81 第1の面、 82 第2の面、 83 第3の面、 84 第4の面
Claims (9)
- 所定の波長の光を出射する光源と、
上記光源から出射された光ビームと光ディスクで反射された戻り光との光路を分離するとともに、上記戻り光の光路中において非点収差量を補正するビームスプリッタと、
上記光ディスクに上記光源から出射された出射光を集光するとともに上記光ディスクからの戻り光を集光する対物レンズと、
上記ビームスプリッタで分離された戻り光が略合焦位置で入射される位置に配置され、上記戻り光を上記略合焦位置で複数に分割する光分割手段と、
上記光分割手段により分割され導かれた複数の戻り光を複数の受光領域で受光する受光手段とを備え、
上記光分割手段は、複数の平面又は曲面により構成されたプリズムであり、それぞれに対応する上記受光領域の領域内にビームスポットを形成するように上記戻り光を複数に分割して上記受光手段に導く光ピックアップ装置。 - 上記プリズムは、上記ビームスプリッタで分離された戻り光の各面への入射角が45°以下となるようにされている請求項1記載の光ピックアップ装置。
- 更に、上記光源と上記ビームスプリッタとの間の光路上に配置され、上記光源から出射された出射光を0次光及び±1次光に3分割する更に他の回折素子を備える請求項1記載の光ピックアップ装置。
- 上記ビームスプリッタは、第1の面及び第2の面からなる略平板状に形成され、上記光源から出射された出射光を上記第1の面で反射するとともに、戻り光を上記第1の面及び第2の面ともに透過させる請求項1記載の光ピックアップ装置。
- 上記ビームスプリッタは、第1の面及び第2の面からなる略平板状に形成され、上記光源から出射された出射光を上記第1の面で反射するとともに、戻り光を上記第1の面から入射させ上記第2の面で反射して再び上記第1の面を透過させる請求項1記載の光ピックアップ装置。
- 上記ビームスプリッタは、少なくとも第1の面、第2の面及び第3の面からなり、これらの面を略二等辺三角形状に配設して形成され、上記光源から出射された出射光を上記第1の面で反射するとともに、戻り光を上記第1の面から入射させ上記第2の面で反射して上記第3の面を透過させる請求項1記載の光ピックアップ装置。
- 更に、上記光源と上記ビームスプリッタとの間に上記光源から出射された出射光の光路中で有効光束以外の光束を遮光する遮光手段を備える請求項1記載の光ピックアップ装置。
- 更に、上記ビームスプリッタにより分離された戻り光の光路中で有効光束以外の光束を遮光する遮光手段を備える請求項1記載の光ピックアップ装置。
- 光ディスクに対して情報を記録及び/又は再生する光ピックアップと、上記光ディスクを回転駆動するディスク回転駆動手段とを備え、
上記光ピックアップは、所定の波長の光を出射する光源と、
上記光源から出射された光ビームと上記光ディスクで反射された戻り光との光路を分離するとともに、上記戻り光の光路中において非点収差量を補正するビームスプリッタと、
上記光ディスクに上記光源から出射された出射光を集光するとともに上記光ディスクからの戻り光を集光する対物レンズと、
上記ビームスプリッタで分離された戻り光が略合焦位置で入射される位置に配置され、上記戻り光を上記略合焦位置で複数に分割する光分割手段と、
上記光分割手段により分割され導かれた複数の戻り光を複数の受光領域で受光する受光手段とを備え、
上記光分割手段は、複数の平面又は曲面により構成されたプリズムであり、それぞれに対応する上記受光領域の領域内にビームスポットを形成するように上記戻り光を複数に分割して上記受光手段に導く光ディスク装置。
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