JP4254065B2 - 多段式圧造成形機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイとこれに対向して進退移動するパンチとで素材を粗から精へと順次圧造成形するようにした多段式圧造成形機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ボルトやナット、或いはその他の各種パーツを形成する多段式圧造成形機にあっては、機台に並設され、それぞれがダイとパンチとからなる複数の圧造ステーションを備えた構造となっており、機台一側部より供給された素材を相対向するダイとパンチにより構成される複数の圧造ステーションで粗から精ら段階的に圧造成形するようになされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記した多段式圧造成形機にあっては、その圧造成形時に金属フィンが発生し、該金属フィンがダイに付着して、その後の圧造成形に悪影響を与えたり、或いは上記フィンが成形されたブランクに付着して、そのまま次工程のダイに移送されて該ダイに混入するといったおそれがあり、これらが原因で不良成形品が製造される問題を有していた。
【0004】
そこで、本発明の課題は、ダイやパンチ或いは成形されたブランクに付着する金属フィンの除去と、ダイ及びパンチに発生する成形熱の冷却とが効果的に行える多段式圧造成形機を提供することにある。
また、他の課題は、ダイの前面側下方に落下する金属フィンや成形潤滑剤を外部へ強制的に吸引排出できる多段式圧造成形機を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、機台に並設された複数のダイと、機台に対し前進、後退するラムに上記各ダイに対向して配置される複数のパンチとで素材を粗から精へと順次圧造成形するようにした多段式圧造成形機において、上記ダイとパンチとの間にこれらダイ及びパンチに向かってエアー又は潤滑剤を噴射する複数の噴射孔を有し、これら噴射孔からのエアー又は潤滑剤の噴射により成形時に発生してダイ、パンチ及び成形ブランクに付着する金属フィンの除去とダイとパンチに発生する成形熱の冷却とを行う噴射プレートと、成形時に発生して落下する金属フィンや噴射プレートから噴射された潤滑剤などを受け止める受溝と該受溝に連通して金属フィンや潤滑剤を吸引して外部へ排出する吸引排出孔とを有する排出プレートとを備える一方、排出プレートが複数のダイ横一列に並設したダイブロックのラムとの対向前面で各ダイの下方位置にその一端部から他端部にわたって固定され、かつ、噴射プレートが排出プレートのラムとの対向前面にその一端部から他端部にわたって延びるように設けられていることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る多段式圧造成形機を示し、該圧造成形機1は、機台2と、該機台2の前面に対して前進、後退するラム3とを有し、機台1の前面には一側部に設けられて外部から供給される線材(図示せず)を所定寸法に切断するカッター機構4と、ダイブロック5を介して4つのダイ6a〜6dが並設されており、また、ラム3には上記各ダイ6a〜6dに対向する4つのパンチ7a〜7dが備えられている。そして、これらのダイ6a〜6dとパンチ7a〜7dとで、第1〜4の圧造ステーション8A〜8Dが構成され、上記ラム3の前進により、カッター機構4から供給された切断ブランクを各圧造ステーションで粗から精に順次圧造成形して所定形状の成形品が得られるようになされている。また、機台2には、図2に示すように上記切断ブランクを各圧造ステーション8A〜8Dにわたって移送する移送用チャック9を備えた素材移送装置(図示せず)が設けられている。
【0009】
そして、図2に示すように上記ダイブロック5の前面でダイ6a〜6dの下方位置には、成形時に発生して落下する金属フィンや後記する噴射プレートから噴射されるボンデ、モリブデンなどの成形潤滑剤を受け止めると共に、積極的に吸引して外部へ排出する吸引排出プレート10が設けられている。このプレート10は、ダイブロック5の下方一端部から他端部にわたって延び、ダイブロック5の前面に複数の固定ボルト11…11で固定されると共に、その内部に長さ方向一端部から他端部にわたって延びる吸引排出孔10aが形成されている。また、該プレート10の上部には、長さ方向一端部から他端部わたって延びるV溝10bが形成され、かつ、これらV溝10bと吸引排出孔10aにおける各ダイ6a〜6dとの対向位置にこれらV溝10bと吸引排出孔10aとを連通する複数の吸引口10c…10cが形成されている。吸引排出孔10aの他端側には吸引装置(図示せず)が備えられていると共に、吸引した金属フィンや潤滑剤を回収する収容部(図示せず)が備えられている。
【0010】
また、排出プレート10の前面には、ダイ6a〜6d、パンチ7a〜7d及び成形されたブランクに向かってエアー又はボンデ、モリブデンなどの成形潤滑剤を噴射し、ダイ6a〜6dとパンチ7a〜7dに発生する成形熱の冷却と、成形時に発生してダイ6a〜6d、パンチ7a〜7d及び成形されたブランクに付着する金属フィンの除去とを行う噴射プレート12が設けられている。
【0011】
この噴射プレート12は、図2及び図3に示すように排出プレート10と同様にダイブロック5の前面一端部から他端部にわたって延びると共に、ダイ6a〜6dとパンチ7a〜7dと間において、これらダイ6a〜6d及びパンチ7a〜7dよりも上方に立ち上がるように設けられる。その場合、該プレート12が上記移送用チャック9と干渉しないように該チャック9とパンチ7a〜7dとの間に配置される。そして、噴射プレート12の各パンチ7a〜7dとの対向位置には、パンチ7a〜7dの挿通を許す貫通孔12a…12aが形成される。また、該プレート12には、その下部に長さ方向一端部から他端部にわたって延びるエアー又は潤滑剤の供給孔12bが形成される一方、上記貫通孔12a…12aの外側に該貫通孔12a…12aと同心円状の環状溝12c…12cが形成される。これら環状溝12c…12cと上記供給孔12bとが連通路12d…12dを介して連通されると共に、環状溝12c…12cに、これらの各溝からプレート前面の中心寄りに開口する複数の噴射孔12e…12eと、各溝から貫通孔12aに開口する複数の噴射孔12f…12fと、各溝からプレート後面の中心寄りに開口する複数の噴射孔12g…12gとが形成されている。
【0012】
また、図に示す実施の形態では図2に示すように噴射プレート12が上記環状溝12c〜12cを内蔵する構成上、噴射プレート12を第1分割プレート12Aと第2分割プレート12Bとの二部材で形成し、これらをボルト13などの結合手段で結合して一体化されている。そして、第1分割プレート12Aの下端部が上記排出プレート10の前面下端部に固定されている。その場合、排出プレート10をダイブロック5に固定する固定ボルト11により、排出プレート10のダイブロック5への固定と同時に第1分割プレート12Aを排出プレート10に固定するようになされている。
なお、図2中、符号14は、成形されたブランクをダイ6a内から外方へ押し出すノックアウトピンである。
【0013】
次に、以上のように構成した多段式圧造成形機による成形動作を説明する。なお、各圧造ステーションにおけるパンチとダイの成形動作は、基本的に同様の成形動作となるので、第1圧造ステーションにおける成形動作のみを説明する。
【0014】
まず、第1圧造ステーションにおいて、カッター機構4により所定長さに切断されたブランクを、パンチ7aが前進してダイ6a内に打ち込むことにより、所定形状にブランクが形成される。そのとき、パンチ7aは、噴射プレート12の貫通孔12a内を貫通してブランクをダイ6a内に打ち込むことになる。そして、成形終了後にはパンチ7aが後退して、噴射プレート12の貫通孔12aから引き抜かれる一方、成形されたブランクは、ダイ6a内のノックアウトピン14により押し出されて移送用挟持体9に保持され、次工程のダイ6bへと移送される。
【0015】
その場合、上記噴射プレート12の各噴射孔12e,12f,12gからダイ及びパンチに向かってエアー又はボンデやモリブデンなどの潤滑剤が噴射されているので、そのエアー又は潤滑剤により成形時に発生してダイ6a及びパンチ7aに付着する金属フィンや成形されたブランクに付着する金属フィンなどが除去される。その結果、金属フィンがダイ6aやパンチ7aに付着して、その後の圧造成形に悪影響を与えたり、或いは金属フィンが成形ブランクに付着したまま次工程のダイ6bに移送されて該ダイ6b内に混入するといったことを防止して、不良成形品の発生を抑えることができる。また、上記エアー又は潤滑剤をダイ6a及びパンチ7aに噴射することにより、上記効果と同時にダイ6aとパンチ7aに発生する成形熱を冷却することができるし、その上、潤滑剤の場合には潤滑効果も得られる。
【0016】
そして、ダイブロック5の前面の下部には、排出プレート10が設けられているので、上記エアー又は潤滑剤により除去された金属フィン及び潤滑剤は、ダイ6aの前面下方に落下して排出プレート10のV溝10bに受け止められると共に、吸引装置による吸引作用により、V溝10bに受け止めらた金属フィン及び潤滑剤は、吸引口10cから吸引排出孔10aを介して強制的に収容部(図示せず)に回収されることになる。
【0017】
既述した実施の形態では、排出プレート10が、複数のダイ6a〜6dが横一列に並設されるダイブロック5の前面に固定され、該排出プレート10の前面に、上記各ダイダイ6a〜6d及びこれらダイに対向するパンチ7a〜7dにエアー又は潤滑油を噴射する噴射孔12e,12f,12gを有する噴射プレート12が設けられているから、上記各ダイ6a〜6dにおいて発生した金属フィンや潤滑剤を共通の吸引排出孔10aを介して外部に吸引排出させることができると共に、ダイブロック5に排出プレート10と噴射プレート12とを固定ボルト11で同時に取り付けることが可能となる。その結果、その構造を簡単にできる。
【0018】
また、図2、3に示す実施の形態のように、ブランクの軸方向長さL1が短く、噴射プレート12とダイ6aとの間で移送用挟持体9によるブランクの挟持が十分に可能な場合については、噴射プレート12がダイ及びパンチよりも上方に立ち上がるように設けると共に、該噴射プレート12のパンチ7aとの対向位置に、パンチ7aの挿通を許す貫通孔12aを形成し、これら各貫通孔12aの周りに、パンチ7a及びダイ6aに向かってエアー又は潤滑油を噴射する多数の噴射孔12e,12f,12gを設けるようにすれば、貫通孔12aを挿通するパンチ7aにはその全周にエアー又は潤滑油を確実に噴射することができるし、また、ダイ6aや成形されたブランクにもその正面からエアー又は潤滑油を正確に噴射することができ、金属フィンの除去と成形熱の冷却並びに潤滑効果が効果的に行えることになる。
【0019】
図4、5は噴射プレートの別の実施の形態を示すもので、図4に示すようにブランクの軸方向長さL2が長い場合には、移送用チャック9′によるブランクの挟持を阻害しないように噴射プレート12′の上端部の高さを、ダイ6a及びパンチ7aよりも下方位置とするのであり、その場合、該プレート12′の上部位置にパンチ7a及びダイ6aに向かってエアー又は潤滑油を上向き方向に噴射する多数の噴射孔12e′,12f′,12g′が設けられることになる。
【0020】
【発明の効果】
以上のように本発明の圧造成形機によれば、多段式圧造成形機において、ダイとパンチとの間に、これらダイ及びパンチに向かってエアー又は潤滑剤を噴射する噴射孔を有し、該噴射孔からのエアー又は潤滑剤の噴射により、成形時に発生してダイ、パンチ及び成形ブランクに付着する金属フィンの除去と、ダイとパンチに発生する成形熱の冷却とを行う噴射プレートが設けられているから、成形時に発生する金属フィンがダイやパンチに付着して、その後の圧造成形に悪影響を与えたり、或いは金属フィンが成形ブランクに付着したまま次工程のダイに移送されて該ダイ内に混入するといったことを防止でき、かつ、ダイ及びパンチに発生する成形熱の冷却を行うことができる。
【0021】
また、ダイのラムとの対向前面側下方に、成形時に発生して落下する金属フィンや噴射プレートから噴射された潤滑剤などを受け止める受溝と該受溝に連通して金属フィンや潤滑剤を吸引して外部へ排出する吸引排出孔とを有する排出プレートを設けているので、上記エアー又は潤滑剤により除去された金属フィンや潤滑剤を排出プレートの受溝で受け止めると共に、この金属フィンや潤滑剤を強制的に吸引して吸引排出孔から外部の適宜収納部に排出することができる。
【0022】
さらに、排出プレートを、複数のダイ横一列に並設したダイブロックのラムとの対向前面で各ダイの下方位置にその一端部から他端部にわたって固定し、かつ、該排出プレートのラムとの対向前面にその一端部から他端部にわたって延び、上記各ダイ及びこれらダイに対向するパンチにエアー又は潤滑剤を噴射する複数の噴射孔を有する噴射プレートを設けているので、上記ダイにおいて発生した金属フィンや潤滑剤を共通の吸引排出孔を介して外部に吸引排出することができると共に、ダイブロックに排出プレートと噴射プレートとを同時に取り付けることができ、その構造も簡単にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る多段式圧造成形機の概略説明図である。
【図2】 同圧造成形機の要部の縦断側面図である。
【図3】 同要部の正面図である。
【図4】 噴射プレートの別の実施の形態を示す縦断側面図である。
【図5】 同要部の正面図である。
【符号の説明】
1 圧造成形機
3 ラム
6a〜6d ダイ
7a〜7d パンチ
10 排出プレート
10a 吸引排出孔
10b V溝(受溝)
12,12′ 噴射プレート
12a, 貫通孔
12e,12e′ 噴射孔
12f,12f′ 噴射孔
12g,12g′ 噴射孔

Claims (1)

  1. 機台に並設された複数のダイと、機台に対し前進、後退するラムに上記各ダイに対向して配置される複数のパンチとで素材を粗から精へと順次圧造成形するようにした多段式圧造成形機において、上記ダイとパンチとの間にこれらダイ及びパンチに向かってエアー又は潤滑剤を噴射する複数の噴射孔を有し、これら噴射孔からのエアー又は潤滑剤の噴射により成形時に発生してダイ、パンチ及び成形ブランクに付着する金属フィンの除去とダイとパンチに発生する成形熱の冷却とを行う噴射プレートと、成形時に発生して落下する金属フィンや噴射プレートから噴射された潤滑剤などを受け止める受溝と該受溝に連通して金属フィンや潤滑剤を吸引して外部へ排出する吸引排出孔とを有する排出プレートとを備える一方、排出プレートが複数のダイ横一列に並設したダイブロックのラムとの対向前面で各ダイの下方位置にその一端部から他端部にわたって固定され、かつ、噴射プレートが排出プレートのラムとの対向前面にその一端部から他端部にわたって延びるように設けられていることを特徴とする多段式圧造成形機。
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