JP4253829B2 - 軟水装置およびその再生方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、軟水装置およびその再生方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、ボイラには、缶体内壁面へのスケールの付着を防止するために、軟水装置が設けられている。この軟水装置は、イオン交換樹脂を用いて、原水中に含まれるカルシウムイオンやマグネシウムイオン等の硬度分を除去するようになっている。そして、前記イオン交換樹脂が硬度分と置換して飽和状態になると、塩水を供給して能力を再生するようにしている。
【0003】
前記イオン交換樹脂の能力再生時における塩水の供給方法としては、たとえばエゼクタ方式や重力落下方式などがある。このうち、エゼクタ方式は、エゼクタ部へ原水を流通させて塩水を吸引,混合しながら前記イオン交換樹脂へ供給するものであり、原水圧の変動により塩水の濃度や流速が変動するため、所定の余裕率を見込んだ塩水量に設定されているが、その分、余分な塩を使用することになり、経済的に好ましくない。
【0004】
一方、重力落下方式は、樹脂筒の上方に塩水タンクを設け、水頭差により前記塩水タンクから前記樹脂筒へ塩水を流下させるものであり1回あたりの再生に用いる塩水量を正確に制御することができるようになっている(特開平9−294981号公報参照)。しかしながら、重力落下方式は、1回あたりの再生に用いる塩水量が少ない小容量の軟水装置には適用可能であるが、大容量の軟水装置においては、適用が困難である。すなわち、大容量の軟水装置においては、前記樹脂筒の上方に前記塩水タンクを設けると、全体の高さが高くなり、前記塩水タンク内への塩の補給作業が困難になる。また、前記塩水タンクが装置の上部に設けられることになり、蓄えられる塩水量も多くなるため、装置の強度の面でも実施が困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この発明が解決しようとする課題は、大容量の軟水装置においても塩水の重力落下方式を実施できるようにすることであり、また再生に用いる塩水量を正確に制御することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、下部に原水ラインを接続するとともに上部に軟水ラインを接続した樹脂筒と、この樹脂筒の側方に設けられた塩水タンクとを備え、前記樹脂筒の上方に塩水流下タンクと希釈水タンクとを並列状態で設けた軟水装置において、前記塩水タンクと前記塩水流下タンクとを塩水供給ラインで接続し、前記塩水流下タンクと前記樹脂筒とを第三開閉弁を備えた塩水流下ラインで接続し、前記希釈水タンクと前記原水ラインに設けた第一開閉弁の上流側とを第四開閉弁を備えた希釈水供給ラインで接続するとともに、前記希釈水タンクと前記塩水流下ラインにおける前記第三開閉弁の下流側とを第五開閉弁を備えた希釈水流下ラインで接続し、前記希釈水供給ラインにおける前記第四開閉弁の上流側と前記原水ラインにおける前記第一開閉弁の下流側とを第六開閉弁を備えた洗浄水ラインで接続し、前記希釈水流下ラインにおける前記第五開閉弁の下流側に、第七開閉弁を備えた第一排出ラインを接続し、前記洗浄水ラインにおける前記第六開閉弁の下流側と前記第一排出ラインにおける前記第七開閉弁の下流側とを第八開閉弁を備えた第二排出ラインで接続して構成され、前記塩水流下タンクは、その内部を仕切板により大室と小室とに分割形成し、前記大室に前記塩水供給ラインおよび前記塩水流下ラインを接続するとともに、前記小室に前記塩水タンクから前記大室への塩水供給時、前記仕切板の上端部からオーバーフローした塩水を前記塩水タンクへ戻す第一オーバーフローラインを接続し、前記塩水供給ライン,前記仕切板および前記第一オーバーフローラインにより、前記塩水流下タンク内の水位を所定の位置に保持する水位保持手段を構成し、さらに前記希釈水タンクは、その内部を仕切板により大室と小室とに分割形成し、前記大室に前記希釈水供給ラインおよび前記希釈水流下ラインを接続するとともに、前記小室に前記大室への希釈水供給時、前記仕切板の上端部からオーバーフローした希釈水を外部へ排出する第二オーバーフローラインを接続し、前記希釈水供給ライン,前記仕切板および前記第二オーバーフローラインにより、前記希釈水タンク内の水位を所定の位置に保持する水位保持手段を構成したことを特徴としている。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の軟水装置の再生方法であって、前記塩水タンクから前記塩水流下タンクへ塩水を供給するとともに、前記原水ラインから前記希釈水タンクへ原水を供給し、前記塩水流下タンク内の水位を所定水位に保持しつつ塩水を流下させるとともに、前記希釈水タンク内の水位を所定水位に保持しつつ希釈水を流下させ、前記塩水流下タンクから前記樹脂筒へ水頭差により所定濃度の塩水を流下させることを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
つぎに、この発明の実施の形態について説明する。この発明に係る軟水装置は、樹脂筒および塩水タンクを備えている。前記樹脂筒内には、Na+型のイオン交換樹脂が収容されている。また、前記塩水タンクは、前記樹脂筒の側方に設けられ、前記塩水タンク内には、前記イオン交換樹脂を再生するための塩水が蓄えられている。そして、前記樹脂筒の上方には、塩水流下タンクおよび希釈水タンクが設けられている。前記塩水流下タンクは、前記塩水タンクより小容積としており、前記希釈水タンクは、前記塩水流下タンクとほぼ同容積としている。
【0012】
また、前記樹脂筒の下部には、原水ラインが接続されているとともに、前記樹脂筒の上部とボイラ等の軟水使用機器とが、軟水ラインで接続されている。したがって、通水工程においては、原水が、前記樹脂筒内へ上向流として流入し、前記イオン交換樹脂により硬度分が除去されて軟水となり、この軟水が、前記軟水ラインを介して前記軟水使用機器へ供給される。
【0013】
また、前記塩水タンクと前記塩水流下タンクとが塩水供給ラインで接続されているとともに、前記塩水流下タンクの下部と前記樹脂筒の上部とが塩水流下ラインで接続されている。すなわち、再生工程において、前記樹脂筒内へ塩水を供給する際には、塩水を前記塩水タンクから前記塩水流下タンクへ供給した後、前記塩水流下タンクから前記樹脂筒内へ流下させ、前記樹脂筒内を下向流として流すようにしている。そして、前記塩水流下タンクには、この塩水流下タンク内の水位を所定の位置に保持する第一オーバーフローラインが接続されている。
【0014】
さらに、前記希釈水タンクには希釈水供給ラインが接続されているとともに、前記希釈水タンクの下部と前記塩水流下ラインとが希釈水流下ラインで接続されている。すなわち、前記塩水流下タンクから流下する塩水は途中で希釈水と混合され、所定濃度の塩水となって前記樹脂筒へ供給されるようになっている。また、前記希釈水タンクには、この希釈水流下タンク内の水位を所定の位置に保持する第二オーバーフローラインが接続されている。ここで、希釈水としては原水が用いられるようになっている。
【0015】
さて、つぎに、前記軟水装置の再生方法について説明する。まず、前記塩水流下タンクにおいて、前記塩水供給ラインを介して前記塩水タンクから前記塩水流下タンクへ塩水を供給しながら、前記塩水流下ラインを介して前記塩水流下タンクから塩水を流下させる。同時に、前記希釈水タンクにおいても、前記希釈水タンクへ希釈水を供給しながら、前記希釈水流下ラインを介して前記希釈水タンクから希釈水を流下させる。
【0016】
このとき、前記塩水流下タンクにおいて、前記塩水流下タンクへの塩水供給量を前記塩水流下タンクからの塩水流下量より多くし、余分な塩水を前記第一オーバーフローラインを介してオーバーフローさせている。そうすることにより、前記塩水流下タンク内の塩水の水位を所定の位置に保ち、前記塩水流下タンクと前記樹脂筒との水頭差をほぼ一定に保持しつつ塩水を流下させるようにしている。すなわち、前記塩水供給ラインおよび前記第一オーバーフローラインが、前記塩水流下タンク内の水位を所定の位置に保持する水位保持手段として作用している。そして、前記塩水流下タンクにおいてオーバーフローした塩水は、前記塩水タンクへ戻すようにしている。
【0017】
一方、前記希釈水タンクにおいても、前記希釈水タンクへの希釈水供給量を前記希釈水タンクからの希釈水流下量より多くし、余分な希釈水を前記第二オーバーフローラインを介してオーバーフローさせている。そうすることにより、前記希釈水タンク内の希釈水の水位を所定の位置に保ち、前記希釈水タンクと前記樹脂筒との水頭差をほぼ一定に保持しつつ希釈水を流下させるようにしている。すなわち、前記希釈水供給ラインおよび前記第二オーバーフローラインが、前記希釈水流下タンク内の水位を所定の位置に保持する水位保持手段として作用している。
【0018】
このようにして流下した塩水および希釈水は、前記塩水流下ラインの途中で混合され、所定濃度(たとえば10%)の塩水となって前記樹脂筒内へ供給される。そして、塩水は、前記樹脂筒内を下向流として流れ、前記イオン交換樹脂の能力を再生した後、外部へ排出される。また、前記構成とすることにより、塩水および希釈水の単位時間当たりの流下量が常にほぼ一定となり、流下時間を制御するのみで必要量の塩水が正確に前記樹脂筒内へ供給される。
【0019】
以上のように、前記構成によれば、大容量(処理容量約2000〜6000リットル/hr)の軟水装置においても、塩水の供給方法として、塩水の重力落下方式を実施することができる。したがって、前記樹脂筒への塩水供給量を正確に制御することができる。しかも、前記塩水流下タンク内の水位を所定の水位に保持しつつ塩水を流下させる構成とすることにより、より正確に前記樹脂筒への塩水供給量を制御することができる。
【0021】
【実施例】
以下、この発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1〜図6は、この発明に係る軟水装置の概略構成を示す説明図であり、各処理工程ごとの通水状態を示している。
【0022】
前記軟水装置は、樹脂筒1および塩水タンク2を備えており、前記樹脂筒1内には、Na+型のイオン交換樹脂3が上下一対の樹脂流出阻止部材4,4に挟持された形で収容されている。また、前記塩水タンク2は、前記樹脂筒1の側方に設けられ、前記塩水タンク2内には、網状部材5の上に塩6が所定量収容されているとともに、前記イオン交換樹脂3を再生するための塩水が蓄えられている。そして、前記樹脂筒1の下部には、原水ライン7が接続されており、この原水ライン7には第一開閉弁8が設けられている。一方、前記樹脂筒1の上部には、軟水ライン9が接続されており、この軟水ライン9には第二開閉弁10が設けられている。したがって、原水は、前記樹脂筒1内へ上向流として流入し、前記イオン交換樹脂3により硬度分が除去されて軟水となり、この軟水が、前記軟水ライン9を介してボイラ等の軟水使用機器(図示省略)へ供給される。
【0023】
また、前記樹脂筒1の上方には、塩水流下タンク11および希釈水タンク12が並列状態で設けられている。前記塩水流下タンク11は、前記塩水タンク2より小容積(約1/5)としており、前記希釈水タンク12は、前記塩水流下タンク11とほぼ同容積としている。図示した実施例では、前記塩水流下タンク11と前記希釈水タンク12とが一体に構成されている。
【0024】
そして、前記塩水流下タンク11内は、仕切板13により大室14と小室15とに分割されており、前記塩水タンク2と前記大室14とが塩水供給ライン16で接続されている。この塩水供給ライン16には、上流側から順にストレーナ(図示省略)および塩水供給ポンプ17が設けられている。また、前記大室14の下部と前記樹脂筒1の上部とが塩水流下ライン18で接続され、この塩水流下ライン18には、上流側から順に第三開閉弁19および第一オリフィス20が設けられている。したがって、前記樹脂筒1内へ塩水を供給する際には、前記塩水供給ポンプ17を稼動させて、塩水を前記塩水タンク2から前記塩水流下タンク11へ供給した後、前記塩水流下タンク11から前記樹脂筒1へ流下させるようにしている。
【0025】
また、前記塩水流下タンク11における前記小室15と前記塩水タンク2とが、第一オーバーフローライン21で接続されており、前記塩水タンク2から前記大室14への塩水供給時、前記仕切板13の上端部からオーバーフローした塩水は、前記第一オーバーフローライン21を介して前記塩水タンク2へ戻るようになっている。
【0026】
一方、前記希釈水タンク12内も、前記塩水流下タンク11と同様に、仕切板22により大室23と小室24とに分割されている。前記原水ライン7における前記第一開閉弁8の上流側と前記大室23とが、希釈水供給ライン25で接続されており、この希釈水供給ライン25には、上流側から順に第二オリフィス26および第四開閉弁27が設けられている。そして、前記大室23の下部と前記塩水流下ライン18の途中部分とが、希釈水流下ライン28で接続されており、この希釈水流下ライン28に第五開閉弁29が設けられている。したがって、前記塩水流下タンク11から流下する塩水は、途中で希釈水と混合され、所定濃度の塩水となって前記樹脂筒1へ供給される。
【0027】
また、前記希釈水タンク12における前記小室24には、第二オーバーフローライン30が接続されており、前記大室23への希釈水供給時、前記仕切板22の上端部からオーバーフローした希釈水は、前記第二オーバーフローライン30を介して外部へ排出される。
【0028】
ところで、前記希釈水供給ライン25における前記第二オリフィス26の上流側と前記原水ライン7における前記第一開閉弁8の下流側とが、洗浄水ライン31で接続されている。この洗浄水ライン31には、上流側から順に第三オリフィス32および第六開閉弁33が設けられており、その下流側端部は前記原水ライン7を介して前記樹脂筒1の下部に接続されている。
【0029】
また、前記希釈水流下ライン28における前記第五開閉弁29の下流側に、第一排出ライン34が接続されており、この第一排出ライン34に第七開閉弁35が設けられている。そして、前記洗浄水ライン31における前記第六開閉弁33の下流側に、第二排出ライン36が接続されており、この第二排出ライン36に第八開閉弁37が設けられている。前記第二排出ライン36の下流側端部は、前記第一排出ライン34における第七開閉弁35の下流側に接続されている。
【0030】
さらに、前記構成において、前記第一開閉弁8,前記第二開閉弁10,前記第三開閉弁19,前記第四開閉弁27,前記第五開閉弁29,前記第六開閉弁33,前記第七開閉弁35,前記第八開閉弁37および前記塩水供給ポンプ17は、制御器(図示省略)により、予め設定したプログラムにしたがって自動的に制御される。
【0031】
以上のような構成において、前記軟水装置の処理工程について説明する。前記軟水装置の処理工程は、通水工程,再生準備工程,再生工程,押出し工程,洗浄工程および補水工程の各工程からなる。原水を軟水にする処理は、前記通水工程において行われ、予め設定された前記イオン交換樹脂3の再生時期になると、前記再生準備工程から前記補水工程までの一連の再生処理が行われるようになっている。ここで、図1〜図6では、前記各開閉弁のうち開状態にあるものは白抜きで、閉状態にあるものは黒塗りで示し、前記各ラインのうち流通状態にある部分は太線で、非流通状態にある部分は細線で示している。
【0032】
まず、図1に示す前記通水工程においては、前記第一開閉弁8および前記第二開閉弁10が開状態であり、他の開閉弁は閉状態である。したがって、原水は、前記原水ライン7を通って前記樹脂筒1内へ流入し、前記樹脂筒1内を上向きに流れ、前記イオン交換樹脂3の働きにより、原水中のマグネシウムイオンやカルシウムイオン等の硬度分が除去されて軟水となり、この軟水は、前記軟水ライン9を介して前記軟水使用機器(図示省略)へ供給される。
【0033】
つぎに、図2に示す前記再生準備工程においては、前記第四開閉弁27が開状態になり、他の開閉弁が閉状態になるとともに、前記塩水供給ポンプ17が稼動状態になる。したがって、原水が、前記希釈水供給ライン25を通って前記希釈水タンク12内へ流入し、前記希釈水タンク12内が希釈水で満たされるとともに、オーバーフローした希釈水は、前記第二オーバーフローライン30を介して外部へ排出される。一方、前記塩水タンク2においては、塩水が、前記塩水供給ライン16を通って前記塩水流下タンク11へ流入するとともに、前記第一オーバーフローライン21を介して前記塩水タンク2へ還流し、前記塩水流下タンク11と前記塩水タンク2との間で塩水が循環し、前記塩水流下タンク11内が塩水で満たされた状態になる。
【0034】
ここにおいて、前記再生準備工程においては、いわゆるエア抜き操作を行うことができる。すなわち、前記第六開閉弁33および前記第八開閉弁37を開状態にして、原水が前記第二排出ライン36を通って外部へ流出するようにし、前記第二排出ライン36内の空気を排出する。また、前記再生準備工程の前に、前記塩水流下ライン18,前記希釈水流下ライン28および前記第一排出ライン34の各ライン内の空気を排出する,いわゆるエア抜き工程を設けることも実施に応じて好適である。その場合は、前記第三開閉弁19,前記第五開閉弁29,前記第六開閉弁33および前記第七開閉弁35を開状態にするとともに、他の開閉弁を閉状態にする。そうすることにより、原水が、前記希釈水供給ライン25の一部,前記洗浄水ライン31および前記樹脂筒1を経由して前記各ライン18,28,34を流れ、内部の空気を押し出して排出する。
【0035】
つぎに、図3に示す前記再生工程においては、前記第三開閉弁19,前記第四開閉弁27,前記第五開閉弁29および前記第八開閉弁37が開状態になり、他の開閉弁は閉状態になる。また、前記塩水供給ポンプ17は、前記再生準備工程から継続して稼動状態にある。したがって、前記塩水タンク2から前記塩水流下タンク11へ供給された塩水は、前記塩水流下ライン18を通って流下する。一方、前記希釈水タンク12内へ供給された希釈水も、前記希釈水流下ライン28を通って流下し、塩水と稀釈水は、前記塩水流下ライン18の途中部分で合流して混合され、所定濃度の塩水となって前記樹脂筒1内へ流下する。前記塩水タンク2内の塩水は、ほぼ飽和濃度(約25%)の状態にあるが、希釈後は、前記イオン交換樹脂3の再生効率が高い約10%の濃度の塩水となるようにしている。そして、前記樹脂筒1内を下向きに流れる塩水は、前記イオン交換樹脂3の能力を再生した後、前記洗浄水ライン31および前記第二排出ライン36を介して外部へ排出される。
【0036】
ここで、前記塩水流下タンク11においては、前記塩水流下タンク11への塩水供給量を前記塩水流下タンク11からの塩水流下量より多くし、前記塩水流下タンク11においてオーバーフローした塩水を前記第一オーバーフローライン21を介して前記塩水タンク2へ戻すようにしている。したがって、前記塩水流下タンク11内の塩水の水位は、前記仕切板13の上端部において一定に保たれ、前記塩水流下タンク11と前記樹脂筒1との水頭差が一定に保たれるようになっている。すなわち、図示した実施例においては、前記塩水供給ライン16,前記仕切板13および前記第一オーバーフローライン21が、前記塩水流下タンク11内の水位を所定の位置に保持する水位保持手段として作用している。
【0037】
一方、前記希釈水タンク12においても、前記希釈水タンク12への希釈水供給量を前記希釈水タンク12からの希釈水流下量より多くし、余分な希釈水を前記第二オーバーフローライン30を介して外部へ排出するようにしている。したがって、前記希釈水タンク12内の希釈水の水位は、前記仕切板22の上端部において一定に保たれ、前記希釈水タンク12と前記樹脂筒1との水頭差が一定に保たれるようになっている。すなわち、図示した実施例においては、前記希釈水供給ライン25,前記仕切板22および前記第二オーバーフローライン30が、前記希釈水流下タンク12内の水位を所定の位置に保持する水位保持手段として作用している。
【0038】
このような構成にすることにより、塩水および希釈水の単位時間当たりの流下量を常にほぼ一定とすることができ、前記樹脂筒1内へ供給する塩水についてその流量と濃度を正確に制御することができる。
【0039】
ところで、前記第二オーバーフローライン30を介して外部へ排出される希釈水は、前記第二排出ライン36を介して外部へ排出される塩水とドレンタンク(図示省略)内で混合されてから排出されるようになっており、排出する塩水の濃度を薄める作用をなす。
【0040】
つぎに、図4に示す前記押出し工程においては、前記第四開閉弁27,前記第五開閉弁29および前記第八開閉弁37が開状態になり、他の開閉弁は閉状態になる。また、前記塩水供給ポンプ17は、停止状態にある。したがって、原水が、前記希釈水供給ライン25を介して前記希釈水タンク12へ供給され、前記希釈水タンク12から前記希釈水流下ライン28を通って前記樹脂筒1内へ流入する。そして、原水は、前記樹脂筒1内を下向きに流れて塩水を外部へ押し出す。一方、前記塩水供給ライン16においては、前記塩水供給ポンプ17が停止しているため、前記塩水流下タンク11内に残っていた塩水が、前記塩水供給ライン16を通って前記塩水タンク2へ戻る。
【0041】
つぎに、図5に示す前記洗浄工程においては、前記第六開閉弁33および前記第七開閉弁35が開状態になり、他の開閉弁は閉状態になる。したがって、原水が、前記希釈水供給ライン25の一部および前記洗浄水ライン31を経由して前記樹脂筒1内へ下部から流入し、前記樹脂筒1内を上向きに流れて前記イオン交換樹脂3を洗浄し、前記樹脂筒1内に残留している塩水を完全に排出するようになっている。
【0042】
さらに、図6に示す前記補水工程においては、前記第三開閉弁19および前記第六開閉弁33が開状態になり、他の開閉弁は閉状態になる。したがって、原水が、前記希釈水供給ライン25の一部,前記洗浄水ライン31,前記樹脂筒1および前記塩水流下ライン18を経由して、前記塩水流下タンク11へ流入し、前記塩水流下タンク11から前記塩水供給ライン16および前記第一オーバーフローライン21を経由して、前記塩水タンク2内へ流下する。前記塩水タンク2内の水位が所定のレベルまで達すると、前記補水工程を終了する。
【0043】
この補水工程において、前記塩水流下タンク11内へ供給される原水は、洗浄水としても作用し、前記塩水流下ライン18,前記塩水流下タンク11,前記塩水供給ライン16および前記第一オーバーフローライン21の各内部に残留している塩分を洗い流し、これを前記塩水タンク2へ戻すようにしている。よって、塩の結晶が析出して前記塩水流下ライン18等が詰まるのを防止することができるとともに、塩を無駄なく再利用することができる。また、前記塩水流下タンク11を洗浄する操作と前記塩水タンク2へ補水する操作とが、同時に行われ、水を無駄なく使用することができるとともに、両操作を効率よく行うことができるようになっている。
【0044】
ところで、前記補水工程においては、前記第五開閉弁29および前記第七開閉弁35のうちどちらか一方または両方を開状態にし、原水の一部を外部へ排出することにより、前記塩水タンク2への補水流量を調節するようにすることもできる。
【0045】
以上のようにして、前記イオン交換樹脂3の再生処理が完了する。
【0046】
【発明の効果】
この発明によれば、大容量の軟水装置においても塩水の供給方法として塩水の重力落下方式を実施することができ、樹脂筒への塩水供給量を正確に制御することができる。しかも、塩水流下タンク内の水位を所定の位置に保持しつつ塩水を流下させる構成とすることにより、より正確に樹脂筒への塩水供給量を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る軟水装置の一実施例における通水工程の状態を示す説明図である。
【図2】この発明に係る軟水装置の一実施例における再生準備工程の状態を示す説明図である。
【図3】この発明に係る軟水装置の一実施例における再生工程の状態を示す説明図である。
【図4】この発明に係る軟水装置の一実施例における押出し工程の状態を示す説明図である。
【図5】この発明に係る軟水装置の一実施例における洗浄工程の状態を示す説明図である。
【図6】この発明に係る軟水装置の一実施例における補水工程の状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 樹脂筒
2 塩水タンク
7 原水ライン
8 第一開閉弁
9 軟水ライン
11 塩水流下タンク
12 希釈水タンク
13 仕切板
14 大室
15 小室
16 塩水供給ライン
18 塩水流下ライン
19 第三開閉弁
21 第一オーバーフローライン
22 仕切板
23 大室
24 小室
25 希釈水ライン
27 第四開閉弁
28 希釈水ライン
29 第五開閉弁
30 第二オーバーフローライン
31 洗浄水ライン
33 第六開閉弁
34 第一排出ライン
35 第七開閉弁
36 第二排出ライン
37 第八開閉弁
Claims (2)
- 下部に原水ライン7を接続するとともに上部に軟水ライン9を接続した樹脂筒1と、この樹脂筒1の側方に設けられた塩水タンク2とを備え、前記樹脂筒1の上方に塩水流下タンク11と希釈水タンク12とを並列状態で設けた軟水装置において、前記塩水タンク2と前記塩水流下タンク11とを塩水供給ライン16で接続し、前記塩水流下タンク11と前記樹脂筒1とを第三開閉弁19を備えた塩水流下ライン18で接続し、前記希釈水タンク12と前記原水ライン7に設けた第一開閉弁8の上流側とを第四開閉弁27を備えた希釈水供給ライン25で接続するとともに、前記希釈水タンク12と前記塩水流下ライン18における前記第三開閉弁19の下流側とを第五開閉弁29を備えた希釈水流下ライン28で接続し、前記希釈水供給ライン25における前記第四開閉弁27の上流側と前記原水ライン7における前記第一開閉弁8の下流側とを第六開閉弁33を備えた洗浄水ライン31で接続し、前記希釈水流下ライン28における前記第五開閉弁29の下流側に、第七開閉弁35を備えた第一排出ライン34を接続し、前記洗浄水ライン31における前記第六開閉弁33の下流側と前記第一排出ライン34における前記第七開閉弁35の下流側とを第八開閉弁37を備えた第二排出ライン36で接続して構成され、前記塩水流下タンク11は、その内部を仕切板13により大室14と小室15とに分割形成し、前記大室14に前記塩水供給ライン16および前記塩水流下ライン18を接続するとともに、前記小室15に前記塩水タンク2から前記大室14への塩水供給時、前記仕切板13の上端部からオーバーフローした塩水を前記塩水タンク2へ戻す第一オーバーフローライン21を接続し、前記塩水供給ライン16,前記仕切板13および前記第一オーバーフローライン21により、前記塩水流下タンク11内の水位を所定の位置に保持する水位保持手段を構成し、さらに前記希釈水タンク12は、その内部を仕切板22により大室23と小室24とに分割形成し、前記大室23に前記希釈水供給ライン25および前記希釈水流下ライン28を接続するとともに、前記小室24に前記大室23への希釈水供給時、前記仕切板22の上端部からオーバーフローした希釈水を外部へ排出する第二オーバーフローライン30を接続し、前記希釈水供給ライン25,前記仕切板22および前記第二オーバーフローライン30により、前記希釈水タンク12内の水位を所定の位置に保持する水位保持手段を構成したことを特徴とする軟水装置。
- 請求項1に記載の軟水装置の再生方法であって、前記塩水タンク2から前記塩水流下タンク11へ塩水を供給するとともに、前記原水ライン7から前記希釈水タンク12へ原水を供給し、前記塩水流下タンク11内の水位を所定水位に保持しつつ塩水を流下させるとともに、前記希釈水タンク12内の水位を所定水位に保持しつつ希釈水を流下させ、前記塩水流下タンク11から前記樹脂筒1へ水頭差により所定濃度の塩水を流下させることを特徴とする軟水装置の再生方法。
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