JP4253672B2 - 回動つまみのトルク調整装置 - Google Patents
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Description
そして、そのように微妙な角度調整が要求される回動つまみにおいては実際の操作感が極めて重要であり、適度な回動トルクが存在することにより、安定した手動感覚が得られ、微細な角度設定が容易になるとされている。
ここに、特許文献1では、図7に示すように、「パネル101の外側へ突出させた被駆動軸102の先端部に着脱自在に固着された第1のつまみ103と、前記第1のつまみ103に対して着脱自在に固着され、且つパネル101の表面に向かって開口した態様でほぼくの字状に形成された弾性板104と、前記パネル101の表面に対向するように前記弾性板104の先端部に固着された摩擦板105と、回動角度に対応して半径が変化する孔106が設けられており、前記弾性板104と前記第1のつまみ103との間に挿入され、且つ第1のつまみ103の一部が嵌入された第2のつまみ107とを備え、第1のつまみ103と第2のつまみ107との相対位置を変えてトルクを可変とするトルク可変つまみ装置」を提案している。
この装置によれば、第2のつまみ107の孔106が楕円状になっており、第1のつまみ103を固定した状態で第2のつまみ107を回動させると、弾性板104の位置において孔106の半径が変化する。例えば、図7(A)の状態での孔106の半径は、第2のつまみ107を回動させた後の同図(B)の状態では小さくなる。
それにより、弾性板104が下側へ押圧されて角度が変化して摩擦板105がパネル101の表面に強く押圧せしめられ、パネル101の表面と摩擦板105との間の摩擦が大きくなって、第1のつまみ103の回動トルクが大きくなる。
この機構によれば、図8(A)の状態からレバー117を回転させると、突起115がパネル111の表面の傾斜部114に沿って乗り上げてゆくことにより、弾性部材118を圧縮しながら突片116がつまみ113側へ移動する。
そして、図8(B)に示すように、突起115は凹部119に係合した状態となるが、摩擦板120を介してつまみ113を押圧することにより、つまみ113に対する摩擦力が大きくなってその回動トルクが大きくなる。
同図において、121はパネル、122は部品実装用基板、123は被操作部品であるロータリーエンコーダ、124は回動つまみ、125はトルク調整つまみ、126はキャップ、127は平ワッシャ間に波ワッシャを介在させて構成した弾性部である。
回動つまみ124は前面が閉じた中空円筒状の本体部124aとその内部に内嵌・接着されたウエイト124bとで構成されている。ウエイト124bは円板部124cとスリーブ部124dとからなり、ロータリーエンコーダ123の回動軸123aをスリーブ部124dを通じて内挿させる貫通孔が形成されている。
また、スリーブ部124dの外周面には雄ねじが形成されていると共に、円板部124cの側周面から肉厚内を通じて前記貫通孔へ達する横孔(貫通孔寄りの区間はねじ孔)124eが形成されている。尚、本体部124aにおける前記円板部124cの孔124eに対応する位置にも孔124fが形成されている。
トルク調整つまみ125は、片面側に回動つまみ124の開口端が浅く内嵌する環状凹部125aを形成した円板状の形態をなし、その環状凹部125aの外側壁が操作環部125bとして構成されている。また、トルク調整つまみ125の中心にはスリーブ部125cが形成されており、同スリーブ部125cの内周面には前記ウエイト124b側のスリーブ部124dの雄ねじに螺合する雌ねじが形成されている。
そして、その回動トルクの大きさは回動つまみ124とトルク調整つまみ125の各スリーブ124d,125c間の螺合状態によって調整される。
即ち、回動つまみ124を回転しないように把持した状態でトルク調整つまみ125を回動させると、回動つまみ124がロータリーエンコーダ123の回動軸123aに固定されているのに対して、トルク調整つまみ125は回動しながら軸方向へ移動するため、トルク調整つまみ125とキャップ126との間隔を変化させて弾性部127の圧縮状態を変化させることができ、その結果、回動つまみ124を操作する際の回動トルクの大きさを増減できる。
前記特許文献2の回動トルクの調整機構においても、つまみ113の背面側が回動トルクを発生させるための摩擦面になっており、前記特許文献1の場合と同様の問題があり、また、パネル111の面に対して傾斜部114や凹部119等を形成しておく必要がある。
しかし、回動つまみ124側とトルク調整つまみ125側の各スリーブ部124d,125cの螺合関係は、トルク調整つまみ125の締め付け方向(弾性部127を圧縮する方向)への回転についてみると、弾性部127を極限まで圧縮しても更に回転させることが可能な構成になっており、過剰に回転させるとロータリーエンコーダ123の回動軸123aに引き抜き方向への大きな力が作用して破損させてしまう可能性がある。
また、回動つまみ124とトルク調整つまみ125とは中央部分における各スリーブ部124d,125cの螺合関係だけで連結されているため、回動軸123aに対して垂直であるべきトルク調整つまみ125の角度が不安定化する傾向があり、回動させる際に傾斜して操作性が悪くなるという不具合がある。
回動つまみとトルク調整つまみは、被操作部品の回動軸を中心にスリーブ部と中空円筒部との嵌合関係を有すると共に、環状端面の各突起と周方向面に形成されている各傾斜面とが同一条件で当接するようになっており、その各当接圧はホルダブラケットで回動つまみとトルク調整つまみを連結させた状態での第2の環状弾性部の圧縮量に対応した反発力により供給されている。
従って、回動つまみとトルク調整つまみの相対的回転角度が変化した場合には、環状端面の各突起の各傾斜面への乗り上げ高さが変化し、回動つまみに対するトルク調整つまみの離隔距離が増減する。
その場合、回動つまみは回動軸に固定されているため、第1の環状弾性部がトルク調整つまみの中空円筒部と被操作部品における回動軸の軸支部の間で圧縮され、第1の環状弾性部には前記相対的回転角度の変化に対応した反発力が生じる。
回動つまみを回動操作した場合、回動つまみからトルク調整つまみに作用する回動トルクの方が第1の環状弾性部からトルク調整つまみに作用する反作用トルクより大きいために回動つまみとトルク調整つまみとが一体で回転するが、第1の環状弾性部に発生した反発力により、被操作部品の軸支部に対するトルク調整つまみの回動トルクが大きくなり、結果的に、回動つまみの回動操作時に一定の負荷トルクが供給される。
また、本発明では、回動つまみ側に固定されたホルダブラケットの取り付け用脚部はトルク調整つまみに形成されている各開口領域内でしか旋回できない構造になっている。
従って、回動つまみとトルク調整つまみの相対的回転角度は所定範囲内に限定され、その範囲で回動つまみの回動トルクが最大値と最小値に設定される。例えば、前記相対的回転角度の範囲を、回動つまみ側の突起がトルク調整つまみ側の周方向傾斜面の最低位置から最高位置まで移動できるような範囲に設定すれば、傾斜面全体を利用したトルク調整機構が実現できることになる。
また、本発明における第1の環状弾性部には単体の波ワッシャ、又は平ワッシャと波ワッシャと平ワッシャの積層構成を適用でき、第2の環状弾性部には単体の波ワッシャが適用できる。
更に、トルク調整つまみの最外周部分を回動つまみの後部側外周面を覆う操作環部として構成しておけば、回動つまみの突起を外部から見えないようにすることができると共に、調整操作も容易になる。
また、回動つまみとトルク調整つまみの相対的回転角度を一定範囲に機構的に制限しており、その範囲で回動つまみの回転トルクの下限から上限までを傾斜面の角度で設定するため、従来技術(図9)のように被操作部品の回動軸に過度な引き抜き力を作用させて破損させるようなこともない。
更に、回転トルクの下限と上限はトルク調整つまみに形成する傾斜面の構成によって変更できるため、設計上の自由度が大きいという利点もある。
先ず、図1の(A)は無線通信機におけるメインダイアル取り付け部分の正面図、同図の(B)は前記(A)におけるX-X矢視断面図、図2は前記(A)におけるY-Y矢視断面図、図3はメインダイアルを構成する各機素の分解斜視図である。
各図において、10はパネル、20は部品実装基板、30は被操作部品であるロータリーエンコーダ、40は回動つまみ、50はトルク調整つまみ、60はキャップ、70は弾性部、80はホルダブラケット、90は波ワッシャである。
回動つまみ40は、図4(A)の断面図及び同図(B)の背面図に示されるように、一端が閉じた中空円筒状の本体部41とその内部に内嵌されるウエイト42とからなり、その点は従来技術(図9)の回動つまみ124と同様である。但し、本体部41の内部にはウエイト42を固定するために用いられるスタッド43-1,2が立設形成されており、ウエイト42にはスタッド43-1,2に対応する位置に孔44-1,2が形成されている。尚、本体部41に対するウエイト42の固定は、後述するように、ホルダブラケット80を用いて回動つまみ40にトルク調整つまみ50を取り付ける際に行われる。
また、ウエイト42が円板部42-1とスリーブ部42-2とからなる点は従来技術(図9)の場合と同様であるが、後述するように、スリーブ部42-2はロータリーエンコーダ30の回動軸31を内嵌させると共に、トルク調整つまみ50の中空円筒部51を外嵌させるものであり、その外周面には従来技術(図9)の場合のように雄ねじは形成されていない。
中心部分には回動つまみ40側のスリーブ部42-2が内嵌する中空円筒部51が形成されており、外周側にはその中空円筒部51と同心円上に回動つまみ40の開口側端面45が嵌る環状溝52が形成されていると共に、その外周側壁が操作環部53になっている。
そして、中空円筒部51と環状溝52の内周側壁との間は平板部54として形成されているが、中空円筒部51から一定距離だけ離隔した位置に円弧状スリット部分と方形孔部分とからなる1対の開口領域55-1,2が点対称な位置関係で形成されている。
先ず、回動つまみ40の本体部41に対してウエイト42を内嵌させ、ウエイト42のスリーブ部42-2にトルク調整用つまみ50の中空円筒部51を外嵌させる。
そして、トルク調整用つまみ50の中空円筒部51に波ワッシャ90を外嵌させて、ホルダブラケット80で回動つまみ40とトルク調整用つまみ50とを連結する。
より具体的には、ホルダブラケット80の各取り付け用脚部82-1,2をトルク調整用つまみ50の各開口領域55-1,2の方形孔部分を通じて回動つまみ40のウエイト42側へ差し込み、各取り付け用脚部82-1,2に形成した各孔と回動つまみ40側のウエイト42の各孔44-1,2と本体部41の各スタッド43-1,2に形成されている各ねじ孔とがそれぞれ一軸上に合致した状態で、ねじ83-1,2を挿入して締着することにより回動つまみ40とトルク調整用つまみ50が連結される。
上記のように、ロータリーエンコーダ30の軸支部32にはキャップ60が被嵌されており、回動軸31はパネル10に形成した孔11を通じて前方へ突出しているが、回動軸31に弾性部70を外嵌させておき、前記アッセンブリ状態での回動つまみ40のスリーブ部42-2に回動軸31を挿入してウエイト42内に押し込む。
このようにして前記アッセンブリの取り付けが完了すると、その段階におけるアッセンブリの連結部分と弾性部70の介装部分の詳細は図6に示すような構成となり、トルク調整用つまみ50の中空円筒部51の端面とロータリーエンコーダ30の軸支部32に被嵌させたキャップ60との間に弾性部70が介装され、回動つまみ40のスリーブ部42-2の端面は弾性部70から僅かに離隔した状態になっている。
尚、ねじピン49による固定に際しては、回動軸31の一部が平坦に切り欠かれており、ねじピン49の先端がその平坦部分に強圧せしめられる。
従って、回動つまみ40とトルク調整用つまみ50は、各小突起46-1,2,3の傾斜区間57-1,2,3への乗り上げ高さ分だけ軸方向へ離隔することになるが、回動つまみ40は上記のようにロータリーエンコーダ30の回動軸31に固定されており、回動つまみ40自体は軸方向へ移動できないためにトルク調整用つまみ50がロータリーエンコーダ30の軸支部32側へ移動する。
その場合、従来技術(図9)の場合と同様に、弾性部70は平ワッシャ71と波ワッシャ72と平ワッシャ73の積層構造であることから、トルク調整用つまみ50とロータリーエンコーダ30の軸支部32の間で滑り摩擦による回動トルク可変機構を構成しており、その滑り摩擦は弾性部70が圧縮されることによる波ワッシャ72の反発力に比例する。
従って、ロータリーエンコーダ30の軸支部32側に対するトルク調整用つまみ50の回転トルクは回動つまみ40に対するトルク調整用つまみ50の回動角度に依存する。
従って、0°の状態(回転つまみ40の各小突起46-1,2,3がトルク調整用つまみ50の水平区間56-1,2,3にある状態)では、弾性部70は無負荷又は軽い圧縮状態であるために、回転つまみ40を小さな回動トルクで回動させることができるが、120°の状態(回転つまみ40の各小突起46-1,2,3がトルク調整用つまみ50の傾斜区間57-1,2,3の最高位置にある状態)では、弾性部70は無負荷又は軽い圧縮状態からΔhだけ圧縮されるために、回転つまみ40を回動させるには大きな回動トルクが必要となり、当然にその中間角度とすることにより、所望の回動トルクに設定することができる。
即ち、図1(B)に示したように、ホルダブラケット80は回動つまみ40にトルク調整つまみ50を取り付けているが、図5(A)に示すように、ホルダブラケット80の各取り付け用脚部82-1,2はトルク調整つまみ50の各開口領域55-1,2を通過して回動つまみ40側にねじ止めされており、トルク調整つまみ50の回動つまみ40に対する相対的回動角度を0°〜120°の範囲外にしようとすると、各取り付け用脚部82-1,2の回動が各開口領域55-1,2の孔壁によって制止されるようになっている。
従って、従来技術(図9)のようにトルク調整つまみ125を過剰に回転させてロータリーエンコーダ123を破損させてしまうようなことはなく、回動つまみ40の回動トルクを最大/最小とするトルク調整つまみ50の回動位置を簡単に確認でき、最適な回動トルクの作用状態を迅速に設定できる。
従って、従来技術(図9)のように回動つまみ124側とトルク調整つまみ125側の各スリーブ部124d,125cが螺合関係になっている場合と比較して、トルク調整用つまみ50の盤面はロータリーエンコーダ30の回動軸31に対して常に垂直な関係に維持され、回動トルクを調整するためにトルク調整用つまみ50を操作する際に操作環部53が不安定に傾斜するような不具合はなく、良好な操作性が得られる。
また、弾性部70に関しては、トルク調整用つまみ50側の中空円筒部51の端面及びロータリーエンコーダ30側のキャップ31の端面との当接面積が十分に確保できるようであれば、平ワッシャ71,72を用いないで、波ワッシャ72単体としてもよい。
更に、この実施形態では、ロータリーエンコーダ30の軸支部32にキャップ31を被嵌させているが、軸支部32の外径が波ワッシャ72の外径より大きいような場合には、必ずしもキャップ31を用いる必要はない。
Claims (4)
- 被操作部品における回動軸の軸支部の前端面と前記回動軸の先端側に固定される回動つまみとの間に、第1の環状弾性部とトルク調整つまみが前記回動軸に外嵌させて挟装されていると共に、前記回動つまみと前記トルク調整つまみの相対的回転角度に応じて前記回動つまみに対する前記トルク調整つまみの軸方向位置を変化させる調整作動機構を備え、前記相対的回転角度を変化させて前記第1の環状弾性部の回動摩擦を増減させることにより、前記回動つまみの回動操作に要するトルクを調整する回動つまみのトルク調整装置において、
前記回動つまみは、前記トルク調整つまみとの対向側の軸心位置に前記被操作部品の回動軸を内挿させるスリーブ部が突出形成されていると共に、外周壁部の環状端面における同一中心角で区分される複数位置にそれぞれ突起が形成された構成を有し、
一方、前記トルク調整つまみは、中央に前記回動つまみ側のスリーブ部に外嵌する中空円筒部が形成されており、また、前記回動つまみ側の各突起が摺接する周方向面に、前記中心角による区分区間毎に同一の傾斜面が形成されていると共に、前記中空筒部と前記周方向面との間の中間板面領域に、後記ホルダブラケットの各取り付け用脚部が所定中心角分だけ旋回できる周方向距離を確保した各開口領域が形成された構成を有し、
環状板部と複数の取り付け用脚部とからなるホルダブラケットを用いて、環状板部により第2の環状弾性部を介して前記トルク調整つまみの前記中空筒部と前記各開口領域の間を係合し、前記各取り付け用脚部が前記各開口領域を貫通させて前記回動つまみ側へ固定されることにより、前記回動つまみと前記トルク調整つまみを連結して前記調整作動機構を構成したことを特徴とする回動つまみのトルク調整装置。 - 前記被操作部品における回動軸の軸支部に、その前端面と外周面を覆うキャップを被嵌させた請求項1に記載の回動つまみのトルク調整装置。
- 前記第1の環状弾性部が波ワッシャ単体、又は平ワッシャと波ワッシャと平ワッシャを積層した構成からなり、前記第2の環状弾性部が波ワッシャ単体からなる請求項1又は請求項2に記載の回動つまみのトルク調整装置。
- 前記トルク調整つまみの最外周部分が前記回動つまみの後部側外周面を覆う操作環部として構成された請求項1、請求項2、又は請求項3に記載の回動つまみのトルク調整装置。
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