JP4251480B2 - 末端に架橋性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体の製造方法 - Google Patents
末端に架橋性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は原子移動ラジカル重合を利用して、末端に架橋性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体を製造する方法、この製造方法により得られた重合体及び硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
末端に架橋性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体は、架橋後は、架橋点が重合体末端にある架橋体となるので、架橋点間分子量が大きい弾性体を与え得る。
この重合体は高耐候性の材料に用いられ得る。この重合体は、とりわけシーリング材や接着剤等、ゴム弾性が要求される材料に適している。
【0003】
末端に架橋性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体の製造例として、例えば、特公平3−14068において、(メタ)アクリル系モノマーを、架橋性シリル基含有メルカプタン、架橋性シリル基を有するジスルフィド、および架橋性シリル基を有するラジカル重合開始剤の存在下に重合させる方法が開示され、また、特公平4−55444において、アクリル系モノマーを架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物、またはテトラハロシランの存在下に重合させる方法が開示されている。また、特開平6−211922には、水酸基含有ポリスルフィドを開始剤に対して大量に用いることにより、まず末端に水酸基を有するアクリル系重合体を合成し、さらに水酸基を変換することを特徴とする、末端に架橋性シリル基を有するアクリル系重合体の製造法が記載されている。さらに特開平5−97921には、架橋性シリル基を有する安定カルバニオンを開始剤としてアクリル系モノマーをアニオン重合した後、重合体の末端を2官能性の求電子化合物と反応させることを特徴とする、末端に架橋性シリル基を有するアクリル系重合体の製造法が記載されている。
【0004】
しかし上記方法は特定の官能化剤が必要であり、経済的・設備的な問題が生じる。また、重合体主鎖骨格中にヘテロ原子が導入され、(メタ)アクリル系重合体の特徴である高耐熱性、高耐候性が損なわれるという欠点がある。
【0005】
一方、リビングラジカル重合の一つである原子移動ラジカル重合(例えば、Matyjaszewskiら、J.Am.Chem.Soc.1995,117,5614、Macromolecules、1995、28、7901、Science 1996、272、866。あるいはSawamotoら、Macromolecules1995,28,1721を参照)は官能基を有する(メタ)アクリル系重合体の製造に有用な方法の一つである。この方法を利用して、末端に架橋性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体を製造することができる。本発明者らは、原子移動ラジカル重合により末端にハロゲンを有する(メタ)アクリル系重合体を製造し、末端ハロゲン基をアルケニル基含有置換基に変換した後に、アルケニル基を架橋性シリル基含有置換基に変換する方法を開発した(特開平09−272714、特開平11−043512、特開平11−080250、特開2000−44626等)。これらの方法では、重合体の末端に官能基が確実に導入されるので、良好な硬化物を得ることができる。
【0006】
アルケニル基を架橋性シリル基含有置換基に変換する方法として例えば、架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物をアルケニル基に付加させるヒドロシリル化反応を挙げることができる。ヒドロシリル化反応の際には、工程が簡便になるという点で、反応触媒として遷移金属錯体を用いるのが好ましい。
【0007】
【課題を解決するための手段】
ところで本発明者らは、上記の原子移動ラジカル重合で使用される重合触媒が、本発明のヒドロシリル化反応の触媒毒であることを発見した。末端にアルケニル基を有する重合体中に重合触媒(触媒毒)が残存した場合、アルケニル基のヒドロシリル化反応をおこなうために多量のヒドロシリル化触媒(白金錯体等)が必要となることがある。しかしながらヒドロシリル化触媒は、ヒドロシリル化反応後には、茶色、こげ茶色又は黒色に変色することが多い。したがってヒドロシリル化触媒を多量に用いると、重合体が著しく着色して製品価値が低下する場合がある。また、代表的なヒドロシリル化触媒である白金錯体は高価であり、これを多量に使用することは経済的に好ましくない(すなわち原料コストが高くなる)。また、ヒドロシリル化触媒の使用量を抑えるためには、反応温度を高くしたり反応時間を長くすることが一般的に有効である。しかし、ヒドロシリル化反応により重合体の末端に架橋性シリル基を導入する場合は、この方法は好ましくない。ヒドロシリル化反応の温度を高くしたり反応時間を長くすると、生成物の末端の架橋性シリル基の架橋反応や分解反応などが起こり、結果的に生成物の品質が悪くなることが多い。また、原子移動ラジカル重合により製造される重合体中には、(重合触媒や重合体の末端のハロゲン原子に由来する)遊離酸がごく少量存在することがある。重合体中に遊離酸が存在すると、架橋性シリル基の反応が起こりやすくなり、その結果生成物の品質が悪くなることが多い。
【0008】
すなわち本発明の目的は下記(1)〜(3)である。
(1)ヒドロシリル化触媒の使用量を抑えることにより、重合体の着色を防ぐ。
(2)ヒドロシリル化触媒の使用量を抑えることにより、経済的に有利なプロセスを構築する。
(3)ヒドロシリル化反応条件下で、生成物の末端の架橋性シリル基の反応により、生成物の品質が低下することを防ぐ。
【0009】
本発明は、下記(A)〜(C)を混合してヒドロシリル化反応をおこなうことを特徴とする、末端に架橋性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体の製造方法に関する。
(A)原子移動ラジカル重合を利用して製造され、重合体中に含まれる遷移金属の量が重合体1kgに対して10mg以下であり、かつ、重合体中に含まれるハロゲンの量が重合体1kgに対して500mg以下である、末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体
(B)架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物
(C)白金触媒
重合体(A)に含まれる遷移金属の量は、重合体(A)1kgに対して3mg以下であることが好ましい。重合体(A)に含まれるハロゲンの量は、重合体(A)1kgに対して300mg以下であることが好ましい。白金触媒(C)については、重合体(A)1kgに対して、白金金属量として0.1mg以上30mg以下の白金触媒(C)を用いることが好ましく、0.5mg以上10mg以下用いることがより好ましい。
また、ヒドロシリル化反応の際に、加水分解性のエステル化合物(特にオルトギ酸トリアルキル)および/またはアルキルアルコールを共存させることが好ましい。また、ヒドロシリル化反応を、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下でおこなうことが好ましい。また、ヒドロシリル化反応温度は、50℃以上150℃以下が好ましく、70℃以上120℃以下がより好ましい。また場合によっては、架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物(B)を分割添加することが好ましい。また、架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物(B)としては、メチルジメトキシシランが好ましい。また、白金触媒(C)としては、白金(0)−1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン錯体が好ましい。
【0010】
また本発明は、重合体(A)が、下記(1)〜(3)の工程により製造されるものであることを特徴とする、末端に架橋性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体の上記の製造方法に関する。
(1)有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属錯体を触媒として(メタ)アクリル系モノマーを重合することによって末端にハロゲン基を有する(メタ)アクリル系重合体を製造する工程
(2)ハロゲン基と、アルケニル基を分子内に複数個有する化合物とを反応させる工程
(3)加熱処理により脱ハロゲン化反応をおこなう工程
また、ハロゲンは、塩素、臭素、ヨウ素からなる群より選択されるものであることが好ましい。
また、(メタ)アクリル系重合体としては、(メタ)アクリル酸エステル系重合体が好ましく、アクリル酸エステル系重合体がより好ましい。また本発明においては、アルケニル基を分子内に複数個有する化合物が、非共役ジエン化合物であることが好ましく、アルケニル基含有脂肪族炭化水素系化合物であることがより好ましく、1,7−オクタジエンであることが特に好ましい。
【0011】
また、末端に架橋性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体を工業的スケールで製造する場合には、重合体(A)が一度に100kg以上の重合体を処理することにより得られたものであることが好ましい。重合体を処理する際のスケールを大きくすると、一度に大量の製品を得ることができる。スケールを大きくすることは、産業上有益である。
【0012】
【発明の実施の形態】
まず始めに原子移動ラジカル重合について詳述する。
本発明における原子移動ラジカル重合とは、リビングラジカル重合の一つであり、有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属を中心金属とする金属錯体を触媒としてビニル系モノマーをラジカル重合する方法である。原子移動ラジカル重合法は分子量・分子量分布の制御が可能であり、重合末端にハロゲン基を導入することも可能であることから、ハロゲン基含有(メタ)アクリル系重合体の製造方法に最も適している。原子移動ラジカル重合について具体的に説明する。
【0013】
原子移動ラジカル重合は例えば、Matyjaszewskiら、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカルソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)1995年、117巻、5614頁、マクロモレキュールズ(Macromolecules)1995年、28巻、7901頁,サイエンス(Science)1996年、272巻、866頁、WO96/30421号公報,WO97/18247号公報、WO98/01480号公報,WO98/40415号公報、あるいはSawamotoら、マクロモレキュールズ(Macromolecules)1995年、28巻、1721頁、特開平9−208616号公報、特開平8−41117号公報などに開示されている。
また本発明の原子移動ラジカル重合には、いわゆるリバース原子移動ラジカル重合も含まれる。リバース原子移動ラジカル重合とは、通常の原子移動ラジカル重合触媒がラジカルを発生させた時の高酸化状態、例えば、Cu(I)を触媒として用いた時のCu(II)に対し、過酸化物等の一般的なラジカル開始剤を作用させ、その結果として原子移動ラジカル重合と同様の平衡状態を生み出す方法である(Macromolecules 1999,32,2872参照)。
【0014】
この原子移動ラジカル重合では、有機ハロゲン化物、特に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有するカルボニル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化合物)、あるいはハロゲン化スルホニル化合物等が開始剤として用いられる。具体的に例示するならば、
C6H5−CH2X、C6H5−C(H)(X)CH3、
C6H5−C(X)(CH3)2
(ただし、上の化学式中、C6H5はフェニル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
R3−C(H)(X)−CO2R4、
R3−C(CH3)(X)−CO2R4、
R3−C(H)(X)−C(O)R4、R3−C(CH3)(X)−C(O)R4、
(式中、R3、R4は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
R3−C6H4−SO2X
(上記の各式において、R3は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
等が挙げられる。
【0015】
有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物を開始剤として(メタ)アクリル系モノマーの原子移動ラジカル重合を行うことにより、一般式(1)を末端に有する(メタ)アクリル系重合体が得られる。
−CH2−C(R1)(CO2R2)(X) (1)
(式中、R1は水素またはメチル基、R2は(メタ)アクリル系モノマーの側鎖エステル結合の基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素を示す。)
原子移動ラジカル重合の開始剤として、重合を開始する官能基とともに重合を開始しない特定の反応性官能基を併せ持つ有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物を用いることもできる。このような場合、一方の主鎖末端に特定の反応性官能基を、他方の主鎖末端にハロゲン基含有構造(1)を有する(メタ)アクリル系重合体が得られる。このような特定の反応性官能基としては、アルケニル基、架橋性シリル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基等が挙げられる。
【0016】
アルケニル基を有する有機ハロゲン化物としては限定されず、例えば、一般式(2)に示す構造を有するものが例示される。
R6R7C(X)−R8−R9−C(R5)=CH2 (2)
(式中、R5は水素、またはメチル基、R6、R7は水素、または、炭素数1〜20の1価のアルキル基、アリール基、またはアラルキル、または他端において相互に連結したもの、R8は、−C(O)O−(エステル基)、−C(O)−(ケト基)、またはo−,m−,p−フェニレン基、R9は直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含んでいても良い、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
置換基R6、R7の具体例としては、水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。R6とR7は他端において連結して環状骨格を形成していてもよい。
【0017】
一般式(2)で示される、アルケニル基を有する有機ハロゲン化物の具体例としては、
XCH2C(O)O(CH2)nCH=CH2、
H3CC(H)(X)C(O)O(CH2)nCH=CH2、
(H3C)2C(X)C(O)O(CH2)nCH=CH2、
CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2)nCH=CH2、
【0018】
【化1】
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)
XCH2C(O)O(CH2)nO(CH2)mCH=CH2、
H3CC(H)(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)mCH=CH2、
(H3C)2C(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)mCH=CH2、
CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)mCH=CH2、
【0019】
【化2】
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C6H4−(CH2)n−CH=CH2、
o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−(CH2)n−CH=CH2、
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−(CH2)n−CH=CH2、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C6H4−(CH2)n−O−(CH2)m−CH=CH2、
o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−(CH2)n−O−(CH2)m−CH=CH2、
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−(CH2)n−O−(CH2)mCH=CH2、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C6H4−O−(CH2)n−CH=CH2、
o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)n−CH=CH2、
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)n−CH=CH2、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C6H4−O−(CH2)n−O−(CH2)m−CH=CH2、
o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)n−O−(CH2)m−CH=CH2、
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)n−O−(CH2)m−CH=CH2、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
アルケニル基を有する有機ハロゲン化物としてはさらに一般式(3)で示される化合物が挙げられる。
H2C=C(R5)−R9−C(R6)(X)−R10−R7 (3)
(式中、R5、R6、R7、R9、Xは上記に同じ、R10は、直接結合、−C(O)O−(エステル基)、−C(O)−(ケト基)、または、o−,m−,p−フェニレン基を表す)
R9は直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基(1個以上のエーテル結合を含んでいても良い)であるが、直接結合である場合は、ハロゲンの結合している炭素にビニル基が結合しており、ハロゲン化アリル化物である。この場合は、隣接ビニル基によって炭素−ハロゲン結合が活性化されているので、R10としてC(O)O基やフェニレン基等を有する必要は必ずしもなく、直接結合であってもよい。R9が直接結合でない場合は、炭素−ハロゲン結合を活性化するために、R10としてはC(O)O基、C(O)基、フェニレン基が好ましい。
【0020】
一般式(3)の化合物を具体的に例示するならば、
CH2=CHCH2X、CH2=C(CH3)CH2X、
CH2=CHC(H)(X)CH3、CH2=C(CH3)C(H)(X)CH3、
CH2=CHC(X)(CH3)2、CH2=CHC(H)(X)C2H5、
CH2=CHC(H)(X)CH(CH3)2、
CH2=CHC(H)(X)C6H5、CH2=CHC(H)(X)CH2C6H5、
CH2=CHCH2C(H)(X)−CO2R、
CH2=CH(CH2)2C(H)(X)−CO2R、
CH2=CH(CH2)3C(H)(X)−CO2R、
CH2=CH(CH2)8C(H)(X)−CO2R、
CH2=CHCH2C(H)(X)−C6H5、
CH2=CH(CH2)2C(H)(X)−C6H5、
CH2=CH(CH2)3C(H)(X)−C6H5、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基)
等を挙げることができる。
【0021】
アルケニル基を有するハロゲン化スルホニル化合物の具体例を挙げるならば、o−,m−,p−CH2=CH−(CH2)n−C6H4−SO2X、
o−,m−,p−CH2=CH−(CH2)n−O−C6H4−SO2X、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)等である。
【0022】
上記架橋性シリル基を有する有機ハロゲン化物としては特に限定されず、例えば一般式(4)に示す構造を有するものが例示される。
R6R7C(X)−R8−R9−C(H)(R5)CH2−[Si(R11)2-b(Y)bO]m−Si(R12)3-a(Y)a (4)
(式中、R5、R6、R7、R8、R9、Xは上記に同じ、R11、R12は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、または(R’)3SiO−(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R11またはR12が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,または3を、また、bは0,1,または2を示す。mは0〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であることを満足するものとする)
一般式(4)の化合物を具体的に例示するならば、
XCH2C(O)O(CH2)nSi(OCH3)3、
CH3C(H)(X)C(O)O(CH2)nSi(OCH3)3、
(CH3)2C(X)C(O)O(CH2)nSi(OCH3)3、
XCH2C(O)O(CH2)nSi(CH3)(OCH3)2、
CH3C(H)(X)C(O)O(CH2)nSi(CH3)(OCH3)2、
(CH3)2C(X)C(O)O(CH2)nSi(CH3)(OCH3)2、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、ヨウ素、nは0〜20の整数、)
XCH2C(O)O(CH2)nO(CH2)mSi(OCH3)3、
H3CC(H)(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)mSi(OCH3)3、
(H3C)2C(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)mSi(OCH3)3、
CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)mSi(OCH3)3、
XCH2C(O)O(CH2)nO(CH2)mSi(CH3)(OCH3)2、
H3CC(H)(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)m−Si(CH3)(OCH3)2、
(H3C)2C(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)m−Si(CH3)(OCH3)2、
CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)m−Si(CH3)(OCH3)2、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、ヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C6H4−(CH2)2Si(OCH3)3、
o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−(CH2)2Si(OCH3)3、
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−(CH2)2Si(OCH3)3、
o,m,p−XCH2−C6H4−(CH2)3Si(OCH3)3、
o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−(CH2)3Si(OCH3)3、
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−(CH2)3Si(OCH3)3、
o,m,p−XCH2−C6H4−(CH2)2−O−(CH2)3Si(OCH3)3、
o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−(CH2)2−O−(CH2)3Si(OCH3)3、
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−(CH2)2−O−(CH2)3Si(OCH3)3、
o,m,p−XCH2−C6H4−O−(CH2)3Si(OCH3)3、
o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)3Si(OCH3)3、
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)3−Si(OCH3)3、
o,m,p−XCH2−C6H4−O−(CH2)2−O−(CH2)3−Si(OCH3)3、
o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)2−O−(CH2)3Si(OCH3)3、
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)2−O−(CH2)3Si(OCH3)3、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
等が挙げられる。
【0023】
上記架橋性シリル基を有する有機ハロゲン化物としてはさらに、一般式(5)で示される構造を有するものが例示される。
(R12)3-a(Y)aSi−[OSi(R11)2-b(Y)b]m−CH2−C(H)(R5)−R9−C(R6)(X)−R10−R7 (5)
(式中、R5、R7、R8、R9、R10、R11、R12、a、b、m、X、Yは上記に同じ)
このような化合物を具体的に例示するならば、
(CH3O)3SiCH2CH2C(H)(X)C6H5、
(CH3O)2(CH3)SiCH2CH2C(H)(X)C6H5、
(CH3O)3Si(CH2)2C(H)(X)−CO2R、
(CH3O)2(CH3)Si(CH2)2C(H)(X)−CO2R、
(CH3O)3Si(CH2)3C(H)(X)−CO2R、
(CH3O)2(CH3)Si(CH2)3C(H)(X)−CO2R、
(CH3O)3Si(CH2)4C(H)(X)−CO2R、
(CH3O)2(CH3)Si(CH2)4C(H)(X)−CO2R、
(CH3O)3Si(CH2)9C(H)(X)−CO2R、
(CH3O)2(CH3)Si(CH2)9C(H)(X)−CO2R、
(CH3O)3Si(CH2)3C(H)(X)−C6H5、
(CH3O)2(CH3)Si(CH2)3C(H)(X)−C6H5、
(CH3O)3Si(CH2)4C(H)(X)−C6H5、
(CH3O)2(CH3)Si(CH2)4C(H)(X)−C6H5、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基)
等が挙げられる。
【0024】
上記ヒドロキシル基を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物としては特に限定されず、下記のようなものが例示される。
HO−(CH2)n−OC(O)C(H)(R)(X)
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、nは1〜20の整数)上記アミノ基を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物としては特に限定されず、下記のようなものが例示される。
H2N−(CH2)n−OC(O)C(H)(R)(X)
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、nは1〜20の整数)
上記エポキシ基を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物としては特に限定されず、下記のようなものが例示される。
【0025】
【化3】
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、nは1〜20の整数)ハロゲン基を1分子内に2つ以上有する重合体を得るためには、2つ以上の開始点を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物が開始剤として用いるのが好ましい。具体的に例示するならば、
【0026】
【化4】
【0027】
【化5】
等があげられる。
【0028】
重合触媒として用いられる遷移金属錯体としては特に限定されないが、好ましくは周期律表第7族、8族、9族、10族、または11族元素を中心金属とする金属錯体である。更に好ましいものとして、0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は2価のニッケルの錯体が挙げられる。なかでも、銅の錯体が好ましい。1価の銅化合物を具体的に例示するならば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅等である。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために2,2′−ビピリジル若しくはその誘導体、1,10−フェナントロリン若しくはその誘導体、又はテトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン若しくはヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン等のポリアミン等が配位子として添加される。また、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl2(PPh3)3)も触媒として好適である。ルテニウム化合物を触媒として用いる場合は、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類が添加される。更に、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(FeCl2(PPh3)2)、2価のニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl2(PPh3)2)、及び、2価のニッケルのビストリブチルホスフィン錯体(NiBr2(PBu3)2)も、触媒として好適である。
【0029】
原子移動ラジカル重合において用いられる(メタ)アクリル系モノマーとしては特に制約はなく、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等が挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても構わない。なかでも、生成物の物性等から、アクリル酸エステルモノマーが好ましく、更に好ましくは、アクリル酸ブチルである。本発明においては、これらの好ましいモノマーを他のモノマーと共重合、更にはブロック共重合させても構わなく、その際は、これらの好ましいモノマーが重量比で40%含まれていることが好ましい。なお上記表現形式で例えば(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸および/あるいはメタクリル酸を表す。
【0030】
原子移動ラジカル重合は、無溶媒でも可能であるが、各種の溶媒中で行うこともできる。溶媒の種類としては特に限定されず、例えば、ベンジエン、トルエン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール、ジメトキシベンジエン等のエーテル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンジエン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒等が挙げられる。これらは、単独でもよく、2種以上を併用してもよい。また、エマルジョン系もしくは超臨界流体CO2を媒体とする系においても重合を行うことができる。
【0031】
限定はされないが、重合は、0〜200℃の範囲で行うことができ、好ましくは、室温〜150℃、より好ましくは50〜120℃の範囲である。
【0032】
原子移動ラジカル重合を利用して製造される(メタ)アクリル系重合体とは、原子移動ラジカル重合により製造される(メタ)アクリル系重合体若しくはその変性体である。(メタ)アクリル系重合体としては既に例示した(メタ)アクリル系モノマーの重合体であるが、生成物の物性等から、アクリル酸エステル系(共)重合体が好ましく、より好ましくは、アクリル酸ブチル系(共)重合体である。
【0033】
(メタ)アクリル系重合体の分子量は特に限定されないが、数平均分子量として1000以上100000以下が好ましく、5000以上50000以下がより好ましい。(メタ)アクリル系重合体の分子量分布は特に限定されないが1.05以上1.50以下が好ましく、1.10以上1.40以下がより好ましい。
【0034】
末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体の製造法としては特に限定されず、様々な方法が利用される。例えば、
(1)(メタ)アクリル系モノマーの側鎖エステル部にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを原子移動ラジカル重合条件下で所定の(メタ)アクリル系モノマーと共重合させる方法、
(2)ラジカル重合性の低いアルケニル基を2つ以上持つ化合物を(メタ)アクリル系重合体の末端ハロゲン基に原子移動ラジカル重合条件下で反応させる方法、
(3)アルケニル基を有する特定の化合物により(メタ)アクリル系重合体の末端ハロゲン基を置換する方法、
等が例示される。(メタ)アクリル系重合体の分子量、分子量分布、官能基数等の制御が可能で目的に応じた(メタ)アクリル系重合体の分子設計が可能であるという点で特に(2)の方法が好ましい。
【0035】
次に末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体の製造法(2)について詳述する。
【0036】
原子移動ラジカル重合の最中又は終点において、ラジカル重合性の低いアルケニル基を2つ以上持つ化合物を添加すると、末端にほぼ1つづつ付加し、その結果としてアルケニル基が重合体の末端に導入される。重合の終点とは、単量体の好ましくは80%以上が反応した時点、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、特別に好ましくは99%以上が反応した時点である。
アルケニル基を導入するために用いられる、ラジカル重合性の低いアルケニル基を2つ持つ化合物としては一般式9に示される化合物から選ばれる。
【0037】
【化6】
(上の式中、R13は上述と同じ基であり、R14及びR15は水素原子あるいはメチル基であり同じでも異なっていてもよい)
一般式9の化合物に特に制約はないが、なかでも、R13が炭素数1〜20の2価の炭化水素基である場合、好ましいものとして、以下のものが例示される。
【0038】
【化7】
nは1〜20の整数であるが、原料入手の容易さから、nは2、4、6のものが好ましい。すなわち、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンが好ましい。
【0039】
末端にアルケニル基を導入するするために用いられるラジカル重合性の低いアルケニル基を2つ以上持つ化合物を添加する量は、重合成長末端に対して過剰量であることが好ましい。等量あるいは末端より少量の場合、2つのアルケニル基の両方ともが反応し、重合末端をカップリングしてしまう可能性がある。2つのアルケニル基の反応性が等しい化合物の場合、カップリングの起こる確率は、過剰に添加する量に応じて統計的に決まってくる。よって、好ましくは1.5倍以上、さらに好ましくは3倍以上、特に好ましくは5倍以上である。
【0040】
続いて原子移動ラジカル重合を利用して製造される末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体(A)の後処理方法について詳述する。ここで「後処理」とは、原子移動ラジカル重合の後に(メタ)アクリル系重合体又はその混合物に対して行われる処理であって、(メタ)アクリル系重合体の物理的若しくは化学的変性物又はその混合物に対して行われる処理であってもよい。処理としては例えば、重合等で使用される溶媒の除去、重合触媒等の不溶成分の除去、水による抽出・吸着剤処理等による精製、加熱処理等が例示される。また、ハロゲン基等の除去、官能基導入等の化学的変性も処理の一つである。本発明では後処理方法は特に限定されず、様々な方法が利用されるが、例えば以下の工程1及び工程2を経る後処理方法を挙げることができる。工程1及び工程2について詳述する。
工程1(加熱処理工程):原子移動ラジカル重合を利用して製造される(メタ)アクリル系重合体を140℃以上250℃以下に加熱する工程。
工程2(固液分離工程):工程1を経た(メタ)アクリル系重合体に対する処理工程であって、(メタ)アクリル系重合体中に存在する不溶成分を(メタ)アクリル系重合体中から分離除去する工程。
【0041】
工程1及び工程2を経ることにより重合体中に存在する不純物(すなわちヒドロシリル化の触媒毒)を減らすことができるので、ヒドロシリル化触媒量を減らすことが可能になる。また、工程1及び工程2を経る方法では、精製工程で使用される吸着剤を減らすことができ、さらに精製工程を簡略化できる。本発明では、工程1の後に工程2を実施するのがよい。工程1と工程2の間に別の処理がなされてもよいが、工程1に引き続いて工程2が実施されることが好ましい。
【0042】
工程1は(メタ)アクリル系重合体の加熱処理工程である。処理温度は高い方が好ましいが、処理温度が高すぎると(メタ)アクリル系重合体の熱による劣化が起こるので、好ましい処理温度は140℃以上250℃以下、より好ましくは170℃以上250℃以下、特に好ましくは190℃以上で250℃以下である。処理時間は特に限定されず、通常、数分から数十時間の範囲であるが、あまり長時間加熱すると(メタ)アクリル系重合体の熱劣化が起こるため、必要以上に長時間加熱することは避けるべきである。なお、処理温度を高くすることによって処理に要する時間を短縮することができる場合がある。また、工程1により、重合体中の固形分の粒径が大きくなる傾向がある。
【0043】
工程1の際には、溶媒は存在しても存在しなくてもよいが、できれば存在しない方が好ましい。また、加熱処理の際に重合体に加えられる圧力は特に限定されないが、減圧下で加熱処理するのが好ましい。加熱処理の際の圧力は、通常、700Torr以下であり、100Torr以下が好ましく、20Torr以下がより好ましく、10Torr以下が特に好ましい。減圧下で加熱処理を行う場合は、表面更新の程度が、不純物の除去効率に大きく影響する。減圧下で加熱処理する場合は、攪拌等により、良好な表面更新状態を確保するのが好ましい。
【0044】
(メタ)アクリル系重合体がハロゲン基を有する場合には、工程1の際に脱ハロゲン化反応をおこなうことができる。脱ハロゲン化反応についても、上記の処理条件が有効であるが、脱ハロゲン化反応により比較的沸点の低いハロゲン化物が発生するので、ハロゲン化物を減圧除去しながら加熱処理することが好ましい。特に上記の末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体の製造法(2)により製造される(メタ)アクリル系重合体は、分子中ハロゲン基を有するので、減圧下で加熱処理して脱ハロゲン化反応をおこなうことが好ましい。
【0045】
工程2は(メタ)アクリル系重合体中に存在する不溶成分の除去工程(固液分離工程)である。固液分離方法としては特に限定されず、濾過法、沈降法等の一般的な分離方法が利用される。
【0046】
濾過法としては例えばヌッチェ等による減圧濾過方法、フィルタープレス方式等の加圧濾過方法等が例示される。不溶成分の量が少なく、濾過性がよい場合にはカートリッジフィルター、バッグフィルター等による簡易濾過、砂濾過等が簡便である。沈降法としては静置分離法、デカンター、分離盤型遠心沈降機等による遠心沈降法等が例示される。濾過と沈降を組み合わせた方法としては例えば、バスケット型遠心濾過機等による遠心濾過法、水平盤式濾過機等の沈降濾過法等が例示される。
【0047】
工程2において不溶成分の粒子径や、その量に応じて濾過助剤を使用してもよい。濾過助剤は特に限定されないが、珪藻土等の一般的なものを使用することができる。(メタ)アクリル系重合体の粘度が高く、固液分離の操作性が悪くなる場合には、(メタ)アクリル系重合体を溶剤で希釈してもよい。希釈溶剤としては特に限定されず一般的な溶剤を使用することができるが、(メタ)アクリル系重合体よりも極性の高い溶剤を使用すると重合触媒等の溶解性を高めてしまうので、(メタ)アクリル系重合体よりも極性の低い溶剤を使用することが好ましい。極性が低すぎると(メタ)アクリル系重合体の溶解が困難となるので、(メタ)アクリル系重合体の極性に応じて、適切な溶剤を選択することが好ましい。溶剤の極性を調整するために2種以上の溶剤を混合して使用してもよい。(メタ)アクリル系重合体が(メタ)アクリル酸エステル系重合体である場合にはトルエン、キシレン、ヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素系化合物を用いることが好ましい。(メタ)アクリル系重合体若しくはその混合物を加温した状態で固液分離処理を行ってもよい。
【0048】
次に吸着処理法について詳述する。本発明においては、上記工程1と同時に、又は上記工程1と別な工程として、吸着処理をおこなって(メタ)アクリル系重合体中の不純物を除去することができる。本発明においては、より精製度の高い(メタ)アクリル系重合体〔すなわち、より不純物の少ない(メタ)アクリル系重合体〕を得るために、必要に応じて吸着剤による処理をおこなうことができる。
【0049】
重合時に使用される遷移金属及び(重合活性を高めるために添加される)配位子は、ともに重合体の着色の原因となる。また、これらはともにヒドロシリル化反応の触媒毒でもある。配位子は塩基性化合物であるため酸性吸着剤による除去が好ましい。また一般に、塩基性吸着剤は遷移金属の吸着能が高い。したがって酸性吸着剤及び/又は塩基性吸着剤を使用することにより、末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体がを効率的に精製することができ、その結果、重合体をヒドロシリル化する際のヒドロシリル化触媒の使用量を抑えることができる。
【0050】
本発明で使用される吸着剤は、例えば酸性吸着剤、又は塩基性吸着剤である。ここにおける「酸性吸着剤」の定義は、「塩基性化合物に対して吸着能を有する吸着剤」又は「カチオン交換能を有する吸着剤」である。また、ここにおける「塩基性吸着剤」の定義は、「酸性化合物に対して吸着能を有する吸着剤」又は「アニオン交換能を有する吸着剤」である。
【0051】
吸着剤としては活性炭、イオン交換樹脂等の合成樹脂系吸着剤、ゼオライト等の無機系吸着剤なども使用することができる。
【0052】
活性炭とは大部分が炭素質の炭であり、吸着性は高い。製法は、例えば木材、褐炭、泥炭などを活性化剤として塩化亜鉛やリン酸などで処理して乾留するか、あるいは木炭などを水蒸気で活性化する。通常は粉状あるいは粒状であり、いずれも使用することができる。活性炭の製造過程の結果として、化学賦活炭は酸性を示し、本来水蒸気賦活炭は塩基性を示す。
【0053】
合成樹脂系吸着剤としてイオン交換樹脂を用いることができる。イオン交換樹脂としては酸性、塩基性イオン交換樹脂の一般的なものが使用されてよい。また、キレート型イオン交換樹脂も使用されてよい。酸性イオン交換樹脂の官能基としては、例えばカルボン酸基、スルホン酸基等が、塩基性イオン交換樹脂の官能基としては、例えばアミノ基等が、キレート型イオン交換樹脂の官能基としては、例えばイミノジ酢酸基、ポリアミン基等が例示される。
【0054】
無機系吸着剤は、一般的に固体酸、固体塩基を有し、粒子は多孔質構造を持っているため、吸着能は非常に高い。また、低温から高温まで使用可能であることも特徴の一つである。無機系吸着剤としては特に限定されないが、代表的なものとしてアルミニウム、マグネシウム、珪素等を主成分とする単独もしくはこれらを組み合わせたもの等がある。例えば二酸化珪素;酸化マグネシウム;シリカゲル;シリカ・アルミナ、アルミニウムシリケート;マグネシウムシリケート;活性アルミナ;水酸化アルミニウム;酸性白土、活性白土等の粘土系吸着剤;珪酸アルミニウムナトリウム等の含水アルミノ珪酸塩鉱物群で総称されるゼオライト系吸着剤;ドーソナイト類化合物;ハイドロタルサイト類化合物等が例示される。
【0055】
ゼオライトには天然産と合成品があるがいずれも使用されてよい。
【0056】
二酸化珪素は、結晶性、無定形、非晶質、ガラス状、合成品、天然品などの種類が知られるが、ここでは、粉体状であれば使用することができる。二酸化珪素としては、活性白土を酸処理して得られる粘土鉱物から作られる珪酸、カープレックスBS304、カープレックスBS304F、カープレックス#67、カープレックス#80(いずれもシオノギ製薬)などの合成珪酸が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0057】
アルミニウムシリケートは、珪酸の珪素の一部がアルミニウムに置換されたもので、軽石、フライアッシュ、カオリン、ベントナイト、活性白土、ケイソウ土等が知られている。この中でも、合成のアルミニウムシリケートは比表面積も大きく吸着能力が高い。合成アルミニウムシリケートとしてはキョーワード700シリーズ(協和化学製)などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0058】
ハイドロタルサイト類化合物は、2価の金属(Mg2+,Mn2+,Fe2+,Co2+,Ni2+,Cu2+,Zn2+等)と3価の金属(Al3+,Fe3+,Cr3+,Co3+,In3+等)の含水水酸化物又は前記水酸化物の水酸基の一部をハロゲンイオン、NO3 -,CO3 2-,SO4 2-,Fe(CN)6 3-,CH3CO2 -,シュウ酸イオン、サリチル酸イオン等の陰イオンに交換したものである。これらのうち、2価の金属がMg2+、3価の金属がAl3+であって、水酸基の一部をCO3 2-に交換したハイドロタルサイトが好ましく、例えば合成品としてはキョーワード500シリーズ、キョーワード1000シリーズ(いずれも協和化学(株)製)などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。また、上記ハイドロタルサイト類を焼成して得られる吸着剤も好適に使用される。そのなかでも2価の金属がMg2+、3価の金属がAl3+であるハイドロタルサイト類を焼成して得られるMgO−AlO3系固溶体が好ましく、例えばキョーワード2000(協和化学(株)製)などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。ここでは、ハイドロタルサイト類の焼成品についてもハイドロタルサイト類として分類する。
【0059】
酸性吸着剤及び/または塩基性吸着剤を使用するかわりに、固体酸、固体塩基の両方を併せ持つ吸着剤を使用してもよい。このような吸着剤としては、例えばマグネシウムシリケートが挙げられる。マグネシウムシリケートは、固体酸、固体塩基の両方を有し、酸及び塩基の両方の吸着能を有する。マグネシウムシリケートとしては、キョーワード600s(2MgO・6SiO2・XH2O;協和化学(株)製)、ミズカライフP−1G(水澤化学(株)製)等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。キョーワード600sは、酸及び塩基の両方を吸着する性質を有するため、酸性及び塩基性吸着剤の両方に分類されるが、ミズカライフP−1Gは、塩基の吸着能が高いため酸性吸着剤として分類される。
【0060】
水酸化アルミニウムは両性であるため、条件によっては塩基の吸着能を示すが、主として酸に対する吸着剤であるため、塩基性吸着剤として分類される。
【0061】
Al(OH)3・NaHCO3は別名ドーソナイトと称し、塩基性吸着剤に分類される。
【0062】
酸性の無機系吸着剤としては、例えば、酸性白土、活性白土、アルミニウムシリケート、シリカゲル等が挙げられ、塩基性の無機系吸着剤としては、例えば、酸化マグネシウム、活性アルミナ、珪酸アルミニウムナトリウム等の含水アルミノ珪酸塩鉱物群で総称されるゼオライト系吸着剤、ハイドロタルサイト類化合物等が挙げられる。
アクリル系重合体の吸着処理に用いる吸着剤としては、上記のなかでも無機系吸着剤が好ましい。それらのなかでも、酸性吸着剤としては酸性白土、活性白土、アルミニウムシリケートがより好ましく、活性白土、アルミニウムシリケートがさらに好ましく、アルミニウムシリケートが特に好ましい。塩基性吸着剤としては活性アルミナ、珪酸アルミニウムナトリウム等の含水アルミノ珪酸塩鉱物群で総称されるゼオライト系吸着剤、ハイドロタルサイト類化合物がより好ましく、活性アルミナ、ハイドロタルサイト類化合物がさらに好ましく、ハイドロタルサイト類化合物が特に好ましい。
【0063】
吸着剤は単独で用いても2種以上を混合して用いてもかまわない。
【0064】
原子移動ラジカル重合により製造されるアクリル系重合体は、酸性吸着剤及び/または塩基性吸着剤と接触させることにより精製することができる。酸性吸着剤と塩基性吸着剤は混合して接触させることもできるが、それぞれ別々の工程で接触させてもよい。
また吸着処理工程は(メタ)アクリル系重合体の後処理工程においていずれの段階で行ってもよい。例えば、
(1)工程1よりも以前の段階で吸着処理を行う方法
(2)吸着剤存在下で工程1の加熱処理を行う方法
(3)工程1の加熱処理の後に吸着処理を行い、吸着剤の分離回収操作を兼ねて工程2の固液分離操作を行う方法
(4)工程2の固液分離工程よりも以後の段階で吸着処理を行う方法
等が例示される。
原子移動ラジカル重合により製造されるアクリル系重合体を吸着剤と接触させる際は、無溶剤でもよいし、溶剤で希釈したり、反応混合物を濃縮して溶剤を留去しても構わない。溶剤を用いると、通常は溶剤をリサイクルする必要があるので、溶剤を用いないのが最も好ましい。溶剤を用いる場合は、溶剤量を少なくすること(すなわちアクリル系重合体の濃度を高くすること)が好ましい。しかしながらアクリル系重合体の粘度が高く、取り扱いが困難な場合等は、少量の溶剤で希釈して溶液状態で吸着剤に接触させてもよいが、この場合のアクリル系重合体の濃度としては、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、更に好ましくは80重量%、特に好ましくは90重量%以上である。希釈溶剤としては一般的なものが使用されてよい。
吸着処理の温度については特に制限はないが、一般に0℃〜200℃、好ましくは室温〜180℃で行うのがよい。なお、無溶剤の場合には、高温で行う方が好ましく、一般に0℃〜250℃、好ましくは室温〜200℃、より好ましくは100℃〜180℃で吸着処理をおこなう。
また、吸着剤を多く使用することは、経済的でないし、操作も難しくなる。したがって吸着剤の使用量は、通常、アクリル系重合体100重量部に対して0.01〜10重量部であるが、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部、特に好ましくは0.5〜2重量部である。
【0065】
吸着剤と重合体又は重合体溶液の固液接触には様々な実施態様が可能であるが、撹拌混合と固液分離を回分操作で行う回分式のほか、吸着剤を容器に充填し重合体溶液を通液する固定層方式、吸着剤の移動層に液を通じる移動層式、吸着剤を液で流動化して吸着を行う流動層式等も利用できる。さらに必要に応じて撹拌による混合分散に加えて、容器の振とう、超音波の利用など、分散効率を向上させる諸操作を取り入れることができる。
【0066】
重合体又は重合体溶液を吸着剤に接触させた後、濾過、遠心分離、沈降分離等の方法で吸着剤を除去し、必要に応じて希釈、水洗を加え、目的とする清澄な重合体溶液を得ることができる。
【0067】
吸着処理はアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体に対して行えばよいが、アルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体の前駆体に対して行ってもよい。例えば、原子移動ラジカル重合により得られるアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体については(イ)該重合体、又は(ロ)該アクリル系重合体を製造するための中間生成物である反応性の高い炭素ハロゲン結合を有する(メタ)アクリル系重合体、に対しても吸着処理を行うことができる。
本発明において、末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体中に残存する遷移金属の量は、重合体1kgに対して10mg以下であり且つ、ハロゲンの量は重合体1kgに対して500mg以下である。以上の工程1(加熱処理工程)及び工程2(固液分離工程)を経る後処理方法、及び/又は吸着処理を経た重合体中に残存する遷移金属の量は、通常、重合体1kgに対して10mg以下に減少し、ハロゲンの量も、通常、重合体1kgに対して500mg以下に減少する。さらに上記重合体中に残存する重合触媒由来の遷移金属の量は、吸着条件などの変更により、重合体1kgに対して3mg以下にまで減少し、及び/又はハロゲンの量は重合体1kgに対して300mg以下にまで減少させることができる。
【0068】
本発明における架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物(B)とは、シラノール縮合反応等により架橋することが可能なケイ素含有基(架橋性シリル基)、及びSi−H基(ヒドロシリル基)をともに有する化合物をいう。
本発明における架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物(B)としては特に制限はないが、代表的なものを示すと、一般式14
H−[Si(R16)2-b(Y)bO]m−Si(R17)3-a(Y)a (14)
(式中、R16およびR17は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数7〜20のアラルキル基、または(R’)3Si−(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R16またはR17が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,または3を、また、bは0,1,または2を示す。mは1〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であることを満足するものとする。)
で表される化合物が例示される。
【0069】
上記Yで示される加水分解性基としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、具体的には、水素、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられ、加水分解性がマイルドで取り扱いやすいという点から、アルコキシ基が特に好ましい。該加水分解性基や水酸基は1個のケイ素原子に1〜3個の範囲で結合することができ、a+mb、すなわち、加水分解性基の総和は、1〜5の範囲が好ましい。加水分解性基や水酸基が反応性ケイ素基中に2個以上結合するときは、それらは同一であっても、異なっていてもよい。架橋性ケイ素化合物を構成するケイ素原子は、1個でもよく、2個以上であってもよいが、シロキサン結合により連結されたケイ素原子の場合には20個程度まであってもよい。
【0070】
一般式14におけるR16やR17の具体例としては、例えば、メチル基やエチル基などのアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基などのアリール基、ベンジル基などのアラルキル基、R’がメチル基やフェニル基等である(R’)3SiO−で示されるトリオルガノシリル基等が挙げられる。
これらヒドロシラン化合物(B)の中でも、特に一般式15
H−Si(R17)3-a(Y)a (15)
(式中、R17、Y、aは前記と同じ。)で表される架橋性基を有するヒドロシラン化合物(B)が、入手容易な点から好ましい。一般式14または15で示される架橋性基を有するヒドロシラン化合物(B)の具体例としては、
HSiCl3、HSi(CH3)Cl2、HSi(CH3)2Cl、
HSi(OCH3)3、HSi(CH3)(OCH3)2、HSi(CH3)2OCH3、HSi(OC2H5)3、HSi(CH3)(OC2H5)2、HSi(CH3)2OC2H5、HSi(OC3H7)3、HSi(C2H5)(OCH3)2、HSi(C2H5)2OCH3、HSi(C6H5)(OCH3)2、HSi(C6H5)2(OCH3)、HSi(CH3)(OC(O)CH3)2、HSi(CH3)2O−[Si(CH3)2O]2−Si(CH3)(OCH3)2、HSi(CH3)[O−N=C(CH3)2]2
(但し、上記化学式中、C6H5はフェニル基を示す)
等が挙げられる。
【0071】
本発明の白金触媒(C)とは、白金を含有する物質であって、架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物(B)を、末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体(A)に付加させる際に使用するものをいう。白金触媒(C)としては、白金単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に白金固体を分散させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体、白金(0)−1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン錯体が挙げられ、活性の高さから白金(0)−1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン錯体が好ましい。これらの触媒は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもかまわない。本発明においては、使用するヒドロシリル化白金触媒(C)の使用量は、通常は、白金金属量として、末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体(A)1kgに対して0.1から30mgの範囲である。さらに反応が速やかに進行しかつ経済的であることから0.5から10mgの範囲であることが好ましい。
【0072】
架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物(B)を、末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体(A)に付加させる際には、例えば、末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体に上記所定範囲量のヒドロシリル化白金触媒(C)を混合しておき、架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物(B)を滴下、分割添加して反応させてもよいし、上記の成分を一括で仕込み、反応させてもよい。
架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物(B)を、末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体(A)に付加させる際には、不活性ガス雰囲気下であってもなくてもよいが、架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物(B)の消費を抑制するためにも窒素雰囲気下であることが好ましい。
架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物(B)を、末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体(A)に付加させる際には、反応温度は特に制限しないが、50から150度の範囲が好ましく、70から120度の範囲がより好ましい。
架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物(B)を、末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体(A)に付加させる際には、加水分解性エステル化合物、および/またはアルキルアルコールを添加すればゲル化が抑制されることから、必要に応じて加水分解性エステル化合物、および/またはアルキルアルコールを添加してもよい。
加水分解性のエステル化合物としてはオルトギ酸トリメチル、オルトギ酸トリエチル、オルトギ酸トリプロピル、オルトギ酸トリブチル等のオルトギ酸トリアルキル、オルト酢酸トリメチル、オルト酢酸トリエチル、オルト酢酸トリプロピル、オルト酢酸トリブチル等のオルト酢酸トリアルキルが例示される。
【0073】
加水分解性のエステル化合物の他の例としては、式R4−nSiYn(式中、Yは加水分解可能な基、Rは1価の有機基で官能基を含んでいても含まなくともよい。nは1〜4の整数であり、好ましくは3または4である)で示される加水分解性有機シリコン化合物が挙げられ、その具体例としては、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、オルトケイ酸テトラメチル、オルトケイ酸テトラエチル、オルトケイ酸テトラプロピル、オルトケイ酸テトラブチル等が挙げられる。
【0074】
加水分解性エステル化合物の使用量は、末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体100重量部に対し、0.1〜50重量部、好ましくは0.1〜30重量部である。
また、本発明に用いられるアルキルアルコールとしては炭素数が1〜10のアルコールが好ましく、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、n−アミルアルコール、ヘキサノール、オクタノール、セロソルブ等が挙げられる。アルキルアルコールは、末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体100重量部に対し、0.1〜100重量部用いるのが好ましい。
【0075】
加水分解性エステル化合物、およびアルキルアルコールは、それぞれ単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。また、加水分解性エステル化合物とアルキルアルコールを混合して用いてもかまわない。
【0076】
加水分解性エステル化合物、および/またはアルキルアルコールは、ヒドロシリル化反応中だけでなく、該反応が終了してから添加しても、充分にゲル化を抑制する効果を有する。
【0077】
上記のようにして得られた末端に架橋性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体はそのまま硬化性組成物として用いることができる。
【0078】
末端に加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体は水分と接触すると架橋反応により3次元化して硬化する。加水分解性エステル化合物またはアルキルアルコールは、上で述べたように、ヒドロシリル化の反応中、および反応後に、架橋性シリル基の加水分解を抑制する。しかし高温条件下や、後述する縮合触媒の存在下に加水分解を完全に抑制するほどの強い阻害効果は示さない。
【0079】
加水分解速度は温度、湿度、加水分解性基の種類により変化するので、使用条件に応じて適切な加水分解性基を選択しなければならない。また、加水分解性シリル基を末端に有する(メタ)アクリル系重合体は、保存時には水分との接触を可能な限り断つ必要がある。
【0080】
硬化性組成物を硬化させるにあたっては縮合触媒を使用してもしなくてもよい。縮合触媒としてはアルキルチタン酸塩、有機ケイ素チタン酸塩、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン酸エステル;ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジメトキシド、オクチル酸錫、ナフテン酸錫等の有機錫化合物;オクチル酸鉛、ブチルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、オクチルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、1,3−ジアザビシクロ(5,4,6)ウンデセン−7等のアミン系化合物あるいはそれらのカルボン酸塩;ラウリルアミンとオクチル酸錫の反応物あるいは混合物のようなアミン系化合物と有機錫化合物との反応物および混合物;過剰のポリアミンと多塩基酸から得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物の反応生成物;アミノ基を有するシランカップリング剤、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等の公知のシラノール触媒1種または2種以上を必要に応じて用いればよい。使用量は末端に架橋性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体に対し、0〜10重量%で使用するのが好ましい。加水分解性基Yとしてアルコキシ基が使用される場合は、この重合体のみでは硬化速度が遅いので、硬化触媒を使用することが好ましい。
硬化条件としては特に制限はないが、一般に0〜100℃、好ましくは10〜50℃で1時間〜1週間程度である。硬化物の性状は用いる重合体の主鎖骨格や分子量に依存するが、ゴム状のものから樹脂状のものまで幅広く作成することができる。
<硬化性組成物>
上記硬化性組成物には、物性を調整するために各種の添加剤、例えば、難燃剤、老化防止材、充填材、可塑剤、物性調整剤、反応希釈剤、接着性付与剤、貯蔵安定性改良剤、溶剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、発泡剤、光硬化性樹脂などを必要に応じて適宜配合してもよい。これらの各種添加剤は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0081】
また、(メタ)アクリル系重合体は本来、耐久性に優れた重合体であるので、老化防止剤は必ずしも必要ではないが、従来公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を適宜用いることができる。
<充填材>
配合できる充填材としては、特に限定されないが、強度などの物性を付与するために例えば、微粉末シリカ、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン、珪藻土、硫酸バリウム、カーボンブラック、表面処理微細炭酸カルシウム、焼成クレー、クレーおよび活性亜鉛華等の補強性充填材などが挙げられる。補強性充填材は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でもシリカ微粉末が好ましく、湿式製造法等から得られる含水シリカ、および乾式製造法等から得られる乾式シリカなどが用いることができる。これらのうちで組成物に水分が多く含まれると硬化反応時に副反応等が起こる可能性があるため、無水シリカが特に好ましい。更に無水シリカの表面を疎水処理したものが成形に適した流動性を発現しやすいため特に好ましい。また他に、増量あるいは物性調整のために補強性のあまり強くない充填材も用いることができる。
<可塑剤>
配合できる可塑剤としては特に限定されないが、物性の調整、性状の調節等の目的により、例えば、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル類;ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート、ジブチルセバケート、コハク酸イソデシル等の非芳香族二塩基酸エステル類;オレイン酸ブチル、アセチルリシリノール酸メチル等の脂肪族エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル等のポリアルキレングリコールのエステル類;トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類;トリメリット酸エステル類;ポリスチレンやポリ−α−メチルスチレン等のポリスチレン類;ポリブタジエン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ブタジエン−アクリロニトリル、ポリクロロプレン;塩素化パラフィン類;アルキルジフェニル、部分水添ターフェニル、等の炭化水素系油;プロセスオイル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオールとこれらポリエーテルポリオールの水酸基をエステル基、エーテル基などに変換した誘導体等のポリエーテル類;エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤類;セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、フタル酸等の2塩基酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の2価アルコールから得られるポリエステル系可塑剤類;アクリル系可塑剤を始めとするビニル系モノマーを種々の方法で重合して得られる(メタ)アクリル系重合体類等を単独、または2種以上混合して使用することができるが、必ずしも必要とするものではない。なおこれら可塑剤は、重合体製造時に配合することも可能である。
<貯蔵安定性改良剤>
配合できる貯蔵安定性改良剤は、本組成物の貯蔵時の増粘および貯蔵後の硬化速度の著しい変化を抑えることができるものであれば特に限定されず、例えば、ベンゾチアゾール、ジメチルマレート等が挙げられる。
<溶剤>
配合できる溶剤としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸セロソルブ等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶剤等が挙げられる。それらの溶剤は重合体の製造時に用いてもよい。
<接着性付与剤>
配合できる接着性付与剤としては硬化物に接着性を付与するものであれば特に限定されないが、架橋性シリル基含有化合物が好ましく、更にはシランカップリング剤が好ましい。これらを具体的に例示すると、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン類;ジメチルジイソプロペノキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン等のアルキルイソプロペノキシシラン;ビニルトリメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクロイルオキシプロピルメチルトリエトキシシラン等のビニル型不飽和基含有シラン類;シリコーンワニス類;ポリシロキサン類等が挙げられる。
【0082】
それらの中でも分子中にエポキシ基、(メタ)アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、カルバメート基、アミノ基、メルカプト基、カルボキシル基等の炭素原子および水素原子以外の原子を有する有機基と架橋性シリル基を併せ持つシランカップリング剤が好ましい。これらを具体的に例示すると、イソシアネート基を有するアルコキシシラン類としては、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン等のイソシアネート基含有シラン類、;イソシアヌレート基を有するアルコキシシラン類としては、トリス(トリメトキシシリル)イソシアヌレート等のイソシアヌレートシラン類;アミノ基を有するアルコキシシラン類としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基含有シラン類;メルカプト基を有するアルコキシシラン類としては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;カルボキシル基を有するアルコキシシラン類としては、β−カルボキシエチルトリエトキシシラン、β−カルボキシエチルフェニルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−β−(カルボキシメチル)アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のカルボキシシラン類;ハロゲン基を有するアルコキシシラン類としては、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のハロゲン含有シラン類等が挙げられる。
【0083】
また、これらを変性した誘導体である、アミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマー、不飽和アミノシラン錯体、フェニルアミノ長鎖アルキルシラン、アミノシリル化シリコーン、シリル化ポリエステル等もシランカップリング剤として用いることができる。
【0084】
更にこれらの中でも、硬化性及び接着性の点から、分子中にエポキシ基あるいは(メタ)アクリル基を有するアルコキシシラン類がより好ましい。これらを更に具体的に例示すると、エポキシ基を有するアルコキシシラン類としては、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン等が、(メタ)アクリル基を有するアルコキシシラン類としては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0085】
また、接着性を更に向上させるために、架橋性シリル基縮合触媒を上記接着性付与剤とともに併用することができる。架橋性シリル基縮合触媒としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫ジメトキシド、オクチル酸錫等の有機錫化合物、アルミニウムアセチルアセトナート等の有機アルミニウム化合物、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等の有機チタン化合物などが挙げられる。
【0086】
シランカップリング剤以外の具体例としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、硫黄、アルキルチタネート類、芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0087】
上記接着性付与剤は、(メタ)アクリル系重合体100重量部に対して、0.01〜20重量部配合するのが好ましい。0.01重量部未満では接着性の改善効果が小さく、20重量部を越えると硬化物物性に悪影響を与える。好ましくは0.1〜10重量部であり、更に好ましくは0.5〜5重量部である。
【0088】
上記接着性付与剤は1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用しても良い。これら接着性付与剤は添加することにより被着体に対する接着性を改善することができる。
<成形方法>
本発明の硬化性組成物を成形体として用いる場合の成形方法としては、特に限定されず、一般に使用されている各種の成形方法を用いることができる。例えば、注型成形、圧縮成形、トランフファー成形、射出成形、押し出し成形、回転成形、中空成形、熱成形などが挙げられる。特に自動化、連続化が可能で、生産性に優れるという観点から射出成形によるものが好ましい。また、ガスケットとして用いる場合等には、フランジ面等に塗布した硬化性組成物を未硬化状態で両面から挟み付けた後、硬化させるウエットタイプと、硬化させてから挟み付けるドライタイプの両者が可能である。
<用途>
本発明の硬化性組成物は、限定はされないが、建築用弾性シーリング材や複層ガラス用シーリング材等におけるシーリング材、太陽電池裏面封止材などの電気・電子部品材料、電線・ケーブル用絶縁被覆材などの電気絶縁材料、粘着剤、接着剤、弾性接着剤、塗料、粉体塗料、コーティング材、発泡体、電気電子用ポッティング材、フィルム、ガスケット、注型材料、人工大理石、各種成形材料、および、網入りガラスや合わせガラス端面(切断部)の防錆・防水用封止材等の様々な用途に利用可能である。
【0089】
更に、本発明の硬化性組成物から得られたゴム弾性を示す成形体は、ガスケット、パッキン類を中心に広く使用することができる。例えば自動車分野ではボディ部品として、気密保持のためのシール材、ガラスの振動防止材、車体部位の防振材、特にウインドシールガスケット、ドアガラス用ガスケットに使用することができる。シャーシ部品として、防振、防音用のエンジンおよびサスペンジョンゴム、特にエンジンマウントラバーに使用することができる。エンジン部品としては、冷却用、燃料供給用、排気制御用などのホース類、エンジンオイル用シール材などに使用することができる。また、排ガス清浄装置部品、ブレーキ部品にも使用できる。家電分野では、パッキン、Oリング、ベルトなどに使用できる。具体的には、照明器具用の飾り類、防水パッキン類、防振ゴム類、防虫パッキン類、クリーナ用の防振・吸音と空気シール材、電気温水器用の防滴カバー、防水パッキン、ヒータ部パッキン、電極部パッキン、安全弁ダイアフラム、酒かん器用のホース類、防水パッキン、電磁弁、スチームオーブンレンジ及びジャー炊飯器用の防水パッキン、給水タンクパッキン、吸水バルブ、水受けパッキン、接続ホース、ベルト、保温ヒータ部パッキン、蒸気吹き出し口シールなど燃焼機器用のオイルパッキン、Oリング、ドレインパッキン、加圧チューブ、送風チューブ、送・吸気パッキン、防振ゴム、給油口パッキン、油量計パッキン、送油管、ダイアフラム弁、送気管など、音響機器用のスピーカーガスケット、スピーカーエッジ、ターンテーブルシート、ベルト、プーリー等が挙げられる。建築分野では、構造用ガスケット(ジッパーガスケット)、空気膜構造屋根材、防水材、定形シーリング材、防振材、防音材、セッティングブロック、摺動材等に使用できる。スポ―ツ分野では、スポーツ床として全天候型舗装材、体育館床等、スポーツシューズとして靴底材、中底材等、球技用ボールとしてゴルフボール等に使用できる。防振ゴム分野では、自動車用防振ゴム、鉄道車両用防振ゴム、航空機用防振ゴム、防舷材等に使用できる。海洋・土木分野では、構造用材料として、ゴム伸縮継手、支承、止水板、防水シート、ラバーダム、弾性舗装、防振パット、防護体等、工事副材料としてゴム型枠、ゴムパッカー、ゴムスカート、スポンジマット、モルタルホース、モルタルストレーナ等、工事補助材料としてゴムシート類、エアホース等、安全対策商品としてゴムブイ、消波材等、環境保全商品としてオイルフェンス、シルトフェンス、防汚材、マリンホース、ドレッジングホース、オイルスキマー等に使用できる。その他、板ゴム、マット、フォーム板等にも使用できる。
【0090】
【実施例】
以下に、この発明の具体的な実施例を比較例と併せて説明するが、この発明は、下記実施例に限定されない。
【0091】
下記実施例および比較例中「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。
【0092】
下記実施例中、「数平均分子量」および「分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。ただし、GPCカラムとしてポリスチレン架橋ゲルを充填したもの(shodex GPC K−804;昭和電工(株)製)、GPC溶媒としてクロロホルムを用いた。重合体1分子当たりに導入された反応性官能基(反応性官能基:「アルケニル基の数」または「シリル基の数」)は1H−NMRによる濃度分析を行い、GPCにより求まる数平均分子量により算出した。
重合体中に残存する銅の定量は、吸着処理済の重合体に超高純度硝酸、超高純度硫酸を混合し、マイクロウェーブ分解した。ICP質量分析装置(横河アナリティカルシステムズ(株)製HP−4500)を用いて分解物中の銅量を測定、定量した。
重合体中に残存する臭素の定量は、イオンクロマトグラム(ダイオネスク製DX−500(GP40、ED40))を用いて酸素フラスコ燃焼法により行った。以下に、実施例、比較例を示す。
製造例1
(アクリル酸n−ブチルの重合)
攪拌機付き反応槽にCuBr(4.2部)、アセトニトリル(27.3部)を加え、窒素雰囲気下で65℃で15分間攪拌した。これにアクリル酸n−ブチル(100部)、2、5−ジブロモアジピン酸ジエチル(8.8部)、アセトニトリル(16.6部)を添加し、よく攪拌混合した。ペンタメチルジエチレントリアミン(0.17部)を添加し、重合を開始させた。70℃で加熱攪拌しながら、アクリル酸n−ブチル(400部)を連続的に滴下した。アクリル酸n−ブチルの滴下途中にトリアミン(0.68部)を分割添加した。
((メタ)アクリル系重合体へのアルケニル基導入反応)
モノマー反応率が96%に達した時点で残モノマー、アセトニトリルを80℃で脱揮した後、1,7−オクタジエン(53.7部)、アセトニトリル(132部)、トリアミン(1.69部)を添加し、引き続き70℃で加熱攪拌し、アルケニル基を有する重合体を含有する混合物を得た。
(重合触媒の粗取り除去)
混合物中のアセトニトリル、未反応の1,7−オクタジエンを加熱脱揮し、メチルシクロヘキサンで希釈した。不溶な重合触媒を遠心分離機で沈降させ除去した。重合体100部に対して吸着剤6部(キョーワード500SH 3部/キョーワード700SL 3部:共に協和化学(株)製)を重合体のメチルシクロヘキサン溶液に加え、酸素・窒素混合ガス雰囲気下で加熱攪拌した。不溶分を除去し、重合体溶液を濃縮することでアルケニル基を有する重合体(重合体[1])を得た。
【0093】
重合体[1]の数平均分子量は25800、分子量分布は1.26であった。重合体1分子当たりに導入されたアルケニル基の数は1.8個であった。
(工程1:加熱処理工程)
得られた重合体[1]を160℃で12時間攪拌しながら加熱脱揮(減圧度10torr以下)した。
(工程2:固液分離工程)
上記工程1で得られた重合体100部をメチルシクロヘキサン400部で希釈し、固形分を除去した後、溶液を濃縮して重合体を得た。この重合体の数平均分子量は26800、分子量分布は1.34であった。重合体1分子当たりに導入されたアルケニル基の数は1.8個であった。またこの重合体中に含まれる銅量は、重合体1kgに対し7mgであった。またこの重合体中に含まれる臭素量は元素分析の結果、重合体1kgに対し280mgであった。
実施例1
(アルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体(A)に、架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物(B)を付加させる反応)
上記工程1及び工程2で得られた重合体に、オルトギ酸メチル(アルケニル基に対して3モル当量)、白金触媒[ビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金錯体触媒のキシレン溶液:以下白金触媒という](白金金属量として重合体1kgに対して30mg)、メチルジメトキシシラン(アルケニル基に対して3モル当量)を順に加え混合し、窒素雰囲気下、80℃で2時間加熱攪拌した。アルケニル基が反応により消失したことを1H−NMRで確認し、反応混合物を濃縮して目的とするメトキシシリル基含有重合体を得た。数平均分子量は28900、分子量分布は1.47であった。重合体1分子当たりに導入されたシリル基の数は1.8個であった。
比較例1
製造例1の工程1において160℃で3時間攪拌しながら加熱脱揮(減圧度10torr以下)し、工程2は同様の操作をして得られた重合体の数平均分子量は26100、分子量分布は1.31であった。重合体1分子当たりに導入されたアルケニル基の数は1.8個であった。またこの重合体中に含まれる銅量は、重合体1kgに対し7mgであった。またこの重合体中に含まれる臭素量は元素分析の結果、重合体1kgに対し990mgであった。
(アルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体(A)に、架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物(B)を付加させる反応)
実施例1と全く同じ反応条件で上記重合体のヒドロシリル化を試みた。その結果、加熱開始1時間後にはメチルジメトキシシランが消失していることが1H−NMRで確認された。そこでメチルジメトキシシラン(アルケニル基に対して3モル当量)を追加しさらに2時間80℃で加熱攪拌したが、アルケニル基は消失しなかった。
製造例2
(アクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−メトキシエチルの重合)
攪拌機付き反応槽にCuBr(4.6部)、アセトニトリル(41.6部)を加え、窒素雰囲気下で65℃で15分間攪拌した。これにアクリル酸エステル(100部)(内訳はアクリル酸n−ブチル(27.6部)、アクリル酸エチル(39.8部)、アクリル酸2−メトキシエチル(32.6部))、2、5−ジブロモアジピン酸ジエチル(13.0部)を添加し、よく攪拌混合した。ペンタメチルジエチレントリアミン(以後トリアミンと称す)(0.09部)を添加し、重合を開始させた。70℃で加熱攪拌しながら、アクリル酸エステル(400部)(内訳はアクリル酸n−ブチル(111部)、アクリル酸エチル(159部)、アクリル酸2−メトキシエチル(130部))を連続的に滴下した。アクリル酸エステルの滴下途中にトリアミン(0.84部)を分割添加した。
((メタ)アクリル系重合体へのアルケニル基導入反応)
モノマー反応率が96%に達した時点で残モノマー、アセトニトリルを80℃で脱揮した後、1,7−オクタジエン(119部)、アセトニトリル(125部)、トリアミン(1.87部)を添加し、引き続き70℃で加熱攪拌し、アルケニル基を有する重合体を含有する混合物を得た。
(重合触媒の粗取り除去)
混合物中のアセトニトリル、未反応の1,7−オクタジエンを加熱脱揮し、メチルシクロヘキサンで希釈した。不溶な重合触媒を遠心分離機で沈降させ除去した。重合体100部に対して吸着剤4部(キョーワード500SH 2部/キョーワード700SL2部:共に協和化学(株)製)を重合体のメチルシクロヘキサン溶液に加え、酸素・窒素混合ガス雰囲気下で加熱攪拌した。不溶分を除去し、重合体溶液を濃縮することでアルケニル基を有する重合体(重合体[2])を得た。
【0094】
重合体[2]の数平均分子量は18400、分子量分布は1.15であった。重合体1分子当たりに導入されたアルケニル基の数は2.0個であった。
(工程1:加熱処理工程)
得られた重合体[2]を180℃で12時間攪拌しながら加熱脱揮(減圧度10torr以下)した。
(工程2:固液分離工程)
上記工程1で得られた重合体100部をトルエン400部で希釈し、重合体100部に対して吸着剤6部(キョーワード500SH 3部/キョーワード700SL 3部:共に協和化学(株)製)を重合体のトルエン溶液に加え、酸素・窒素混合ガス雰囲気下で加熱攪拌した。固形分を除去した後、溶液を濃縮して重合体を得た。この重合体の数平均分子量は18800、分子量分布は1.17であった。重合体1分子当たりに導入されたアルケニル基の数は2.0個であった。またこの重合体中に含まれる銅量は、重合体1kgに対し2mg以下であった。またこの重合体中に含まれる臭素量は元素分析の結果、重合体1kgに対し260mg以下であった。
実施例2
(アルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体(A)に、架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物(B)を付加させる反応)
製造例2の後処理(工程1及び工程2の処理)を行って得られた重合体に、オルトギ酸メチル(アルケニル基に対して1モル当量)、白金触媒(白金金属量として重合体1kgに対して10mg)、メチルジメトキシシラン(アルケニル基に対して3モル当量)を順に加え混合し、窒素雰囲気下、100℃で0.5時間加熱攪拌した。アルケニル基が反応により消失したことを1H−NMRで確認し、反応混合物を濃縮して目的とするメトキシシリル基含有重合体を得た。数平均分子量は19400、分子量分布は1.24であった。重合体1分子当たりに導入されたシリル基の数は1.9個であった。
比較例2
製造例2の工程2において吸着剤を使用しない他は全く同じ操作をして得られた重合体の数平均分子量は18600、分子量分布は1.16であった。重合体1分子当たりに導入されたアルケニル基の数は2.0個であった。またこの重合体中に含まれる銅量は、重合体1kgに対し16mgであった。またこの重合体中に含まれる臭素量は元素分析の結果、重合体1kgに対し260mgであった。
(アルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体(A)に、架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物(B)を付加させる反応)
実施例2と全く同じ反応条件で上記重合体のヒドロシリル化を試みた。その結果、加熱開始2時間後でもアルケニル基は全く反応していないことが1H−NMRで確認された。
製造例3
(アクリル酸n−ブチルの重合)
((メタ)アクリル系重合体へのアルケニル基導入反応)
いずれも製造例1と全く同様。
(重合触媒の粗取り除去)
混合物中のアセトニトリル、未反応の1,7−オクタジエンを加熱脱揮し、メチルシクロヘキサンで希釈した。不溶な重合触媒を遠心分離機で沈降させ除去した。重合体(113kg)100部に対して吸着剤4部(キョーワード500SH 2部/キョーワード700SL 2部:共に協和化学(株)製)を重合体のメチルシクロヘキサン溶液に加え、酸素・窒素混合ガス雰囲気下で加熱攪拌した。不溶分を除去し、重合体溶液を濃縮することでアルケニル基を有する重合体(重合体[3])を得た。
【0095】
重合体[3]の数平均分子量は26400、分子量分布は1.23であった。重合体1分子当たりに導入されたアルケニル基の数は1.9個であった。
(工程1:加熱処理工程)
得られた重合体[3]を180℃で12時間攪拌しながら加熱脱揮(減圧度10torr以下)した。
(工程2:固液分離工程)
上記工程1で得られた重合体100部をメチルシクロヘキサン100部で希釈し、重合体100部に対して吸着剤6部(キョーワード500SH 3部/キョーワード700SL 3部:共に協和化学(株)製)を重合体のメチルシクロヘキサン溶液に加え、酸素・窒素混合ガス雰囲気下で加熱攪拌した。固形分を除去した後、溶液を濃縮して重合体(63kg)を得た。この重合体の数平均分子量は25300、分子量分布は1.31であった。重合体1分子当たりに導入されたアルケニル基の数は1.8個であった。またこの重合体中に含まれる銅量は、重合体1kgに対し6mg以下であった。またこの重合体中に含まれる臭素量は元素分析の結果、重合体1kgに対し240mgであった。
実施例3
(アルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体(A)に、架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物(B)を付加させる反応:基本的なヒドロシリル化の一例)
製造例3の後処理(工程1及び工程2の処理)を行って得られた重合体に、オルトギ酸メチル(アルケニル基に対して1モル当量)、白金触媒(白金金属量として重合体1kgに対して10mg)、メチルジメトキシシラン(アルケニル基に対して2モル当量)を順に加え混合し、窒素雰囲気下、80℃で4時間加熱攪拌した。アルケニル基が反応により消失したことを1H−NMRで確認し、反応混合物を濃縮して目的とするメトキシシリル基含有重合体を得た。数平均分子量は28200、分子量分布は1.44であった。重合体1分子当たりに導入されたシリル基の数は1.8個であった。
実施例4
(アルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体(A)に、架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物(B)を付加させる反応:反応温度100度)
実施例3において反応温度100度で0.5時間加熱攪拌した他は全く同様な反応条件で製造例1で得られた重合体へのヒドロシリル化を試みた。アルケニル基が反応により消失したことを1H−NMRで確認した。得られた重合体の数平均分子量は28200、分子量分布は1.40であった。重合体1分子当たりに導入されたシリル基の数は1.8個であった。
実施例5
(アルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体(A)に、架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物(B)を付加させる反応:オルトギ酸メチルなし)
実施例3においてオルトギ酸メチルを添加せずにメチルジメトキシシラン(アルケニル基に対して3モル当量)で2時間加熱攪拌した他は全く同様な反応条件で製造例1で得られた重合体へのヒドロシリル化を試みた。アルケニル基が反応により消失したことを1H−NMRで確認した。得られた重合体の数平均分子量は27800、分子量分布は1.41であった。重合体1分子当たりに導入されたシリル基の数は1.8個であった。
実施例6
(アルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体(A)に、架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物(B)を付加させる反応:メチルジメトキシシランの分割添加)
製造例3で得られた重合体に、オルトギ酸メチル(アルケニル基に対して1モル当量)、白金触媒(白金金属量として重合体1kgに対して5mg)、メチルジメトキシシラン(アルケニル基に対して1.5モル当量)を順に加え混合し、窒素雰囲気下、80℃で5時間加熱攪拌後、メチルジメトキシシラン(アルケニル基に対して1.5モル当量)を添加し80℃でさらに1時間加熱攪拌した。アルケニル基が反応により消失したことを1H−NMRで確認し、反応混合物を濃縮して目的とするメトキシシリル基含有重合体を得た。数平均分子量は28000、分子量分布は1.37であった。重合体1分子当たりに導入されたシリル基の数は1.6個であった。
比較例3
実施例3において白金触媒を用いない他は全く同様な反応条件で製造例1で得られた重合体へのヒドロシリル化を試みた。アルケニル基数の減少は1H−NMRで見られず、メトキシシリル基含有重合体は得られなかった。
製造例4
(アクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−メトキシエチルの重合)
((メタ)アクリル系重合体へのアルケニル基導入反応)
いずれも製造例2と全く同様。
(重合触媒の粗取り除去)
混合物中のアセトニトリル、未反応の1,7−オクタジエンを加熱脱揮し、トルエンで希釈した。不溶な重合触媒を遠心分離機で沈降させ除去した。重合体(125kg)100部に対して吸着剤4部(キョーワード500SH 2部/キョーワード700SL 2部:共に協和化学(株)製)を重合体のトルエン溶液に加え、酸素・窒素混合ガス雰囲気下で加熱攪拌した。不溶分を除去し、重合体溶液を濃縮することでアルケニル基を有する重合体(重合体[4])を得た。
【0096】
重合体[4]の数平均分子量は17700、分子量分布は1.11であった。重合体1分子当たりに導入されたアルケニル基の数は2.0個であった。
(工程1:加熱処理工程)
得られた重合体[4]を180℃で12時間攪拌しながら加熱脱揮(減圧度10torr以下)した。
(工程2:固液分離工程)
上記工程1で得られた重合体100部をトルエン100部で希釈し、重合体100部に対して吸着剤6部(キョーワード500SH 3部/キョーワード700SL 3部:共に協和化学(株)製)を重合体のトルエン溶液に加え、酸素・窒素混合ガス雰囲気下で加熱攪拌した。固形分を除去した後、溶液を濃縮して重合体(113kg)を得た。この重合体の数平均分子量は17800、分子量分布は1.15であった。重合体1分子当たりに導入されたアルケニル基の数は2.1個であった。またこの重合体中に含まれる銅量は、重合体1kgに対し3mgであった。またこの重合体中に含まれる臭素量は元素分析の結果、重合体1kgに対し280mgであった。
【0097】
実施例7
(アルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体(A)に、架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物(B)を付加させる反応:白金触媒(白金金属量として重合体1kgに対して10mg)使用)
製造例4の後処理(工程1及び工程2の処理)を行って得られた重合体に、オルトギ酸メチル(アルケニル基に対して1モル当量)、白金触媒(白金金属量として重合体1kgに対して10mg)、メチルジメトキシシラン(アルケニル基に対して2モル当量)を順に加え混合し、窒素雰囲気下、100℃で0.5時間加熱攪拌した。アルケニル基が反応により消失したことを1H−NMRで確認し、反応混合物を濃縮して目的とするメトキシシリル基含有重合体を得た。数平均分子量は18600、分子量分布は1.17であった。重合体1分子当たりに導入されたシリル基の数は1.8個であった。
実施例8
(アルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体(A)に、架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物(B)を付加させる反応:白金触媒(白金金属量として重合体1kgに対して5mg)使用)
実施例7において白金触媒(白金金属量として重合体1kgに対して5mg)にした他は全く同様な反応条件で製造例4で得られた重合体へのヒドロシリル化を試みた。アルケニル基が反応により消失したことを1H−NMRで確認した。得られた重合体の数平均分子量は18600、分子量分布は1.19であった。重合体1分子当たりに導入されたシリル基の数は1.9個であった。
実施例9
(アルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体(A)に、架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物(B)を付加させる反応:白金触媒(白金金属量として重合体1kgに対して1mg)使用)
実施例7において白金触媒(白金金属量として重合体1kgに対して1mg)にした他は全く同様な反応条件で製造例4で得られた重合体へのヒドロシリル化を試みた。アルケニル基が反応により消失したことを1H−NMRで確認した。得られた重合体の数平均分子量は18800、分子量分布は1.19であった。重合体1分子当たりに導入されたシリル基の数は1.9個であった。
実施例10
実施例7において、白金触媒量(白金金属量として重合体1kgに対して40mgとした)、及びメチルジメトキシシラン量(アルケニル基に対して6モル当量とした)、及び反応時間(8時間とした)を変更した他は全く同様な反応条件で製造例4で得られた重合体へのヒドロシリル化を試みた。アルケニル基が反応により消失したことを1H−NMRで確認した。得られた重合体の数平均分子量は19100、分子量分布は1.22であった。重合体1分子当たりに導入されたシリル基の数は1.8個であった。この得られたメトキシシリル基含有重合体は実施例5から7で得られたいずれの重合体より濃い褐色を呈した。
比較例4
実施例7において白金触媒を用いない他は全く同様な反応条件で製造例2で得られた重合体へのヒドロシリル化を試みた。アルケニル基数の減少は1H−NMRで見られず、メトキシシリル基含有重合体は得られなかった。
製造例5
(アクリル酸n−ブチルの重合)
((メタ)アクリル系重合体へのアルケニル基導入反応)
いずれも製造例1と全く同様。
得られた重合体は、数平均分子量は23600、分子量分布は1.21であった。重合体1分子当たりに導入されたアルケニル基の数は2.0個であった。
(重合触媒の粗取り除去)
混合物中のアセトニトリル、未反応の1,7−オクタジエンを加熱脱揮し、重合体100部(124kg)に対して100部(124kg)のメチルシクロヘキサンで希釈し、重合体100部(124kg)に対して吸着剤1部(キョーワード500SH 0.5部(0.62kg)/キョーワード700SL 0.5部(0.62kg):共に協和化学(株)製)、ろ過助剤1部(1.24kg)を加え、酸素・窒素混合ガス雰囲気下、100℃で加熱攪拌した。不溶分を除去し、溶液を100℃で濃縮し、重合体[5]を得た。
(工程1:加熱処理工程)
得られた重合体[5]を炭素ラジカル捕捉剤として重合体100部に対してスミライザーGS(住友化学(株)製)0.1部添加し、重合体100部に対して吸着剤1部(キョーワード500SH 0.5部/キョーワード700SL 0.5部:共に協和化学(株)製)存在下で170〜176℃で減圧(8Torr以下)下、12時間加熱し、脱ハロゲン化処理を行ったところ、数平均分子量24900、分子量分布1.27の重合体が得られた。
(工程2:固液分離工程)
上記工程1で得られた重合体100部(110kg)に対してヒンダードフェノール系酸化防止剤0.01部(11g)(Irganox1010;チバスペシャリティケミカルズ)、吸着剤2部(キョーワード500SH 1部(1.1kg)/キョーワード700SL 1部(1.1kg):共に協和化学(株)製)を添加し、酸素・窒素混合ガス雰囲気下、150℃で4時間加熱攪拌した。トルエン100部で希釈し固形分を除去した後、溶液を濃縮して重合体(82kg)を得た。この重合体の数平均分子量は24000、分子量分布は1.26であった。重合体1分子当たりに導入されたアルケニル基の数は1.9個であった。またこの重合体中に含まれる銅量は、重合体1kgに対し2mg以下であった。またこの重合体中に含まれる臭素量は元素分析の結果、重合体1kgに対し170mgであった。
実施例11
(アルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体(A)に、架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物(B)を付加させる反応:白金触媒(白金金属量として重合体1kgに対して10mg)使用)
製造例5の後処理(工程1及び工程2の処理)を行って得られた重合体に、オルトギ酸メチル(アルケニル基に対して1モル当量)、白金触媒(白金金属量として重合体1kgに対して10mg)、メチルジメトキシシラン(アルケニル基に対して2モル当量)を順に加え混合し、窒素雰囲気下、100℃で1時間加熱攪拌した。アルケニル基が反応により消失したことを1H−NMRで確認し、反応混合物を濃縮して目的とするメトキシシリル基含有重合体を得た。数平均分子量は24800、分子量分布は1.29であった。重合体1分子当たりに導入されたシリル基の数は1.9個であった。
製造例6
(アクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−メトキシエチルの重合)
((メタ)アクリル系重合体へのアルケニル基導入反応)
いずれも製造例2と全く同様。得られた重合体は、数平均分子量は17000、分子量分布は1.11であった。重合体1分子当たりに導入されたアルケニル基の数は1.9個であった。
(重合触媒の粗取り除去)
混合物中のアセトニトリル、未反応の1,7−オクタジエンを加熱脱揮し、重合体100部(125kg)に対して100部(125kg)のトルエンで希釈し、重合体100部(125kg)に対して吸着剤1部(キョーワード500SH 0.5部(0.66kg)/キョーワード700SL 0.5部(0.66kg):共に協和化学(株)製)、ろ過助剤1部(1.32kg)を加え、酸素・窒素混合ガス雰囲気下、100℃で加熱攪拌した。不溶分を除去し、溶液を100℃で濃縮し、重合体[6]を得た。
(工程1:加熱処理工程)
得られた重合体[6]を炭素ラジカル捕捉剤として重合体100部に対してスミライザーGS(住友化学(株)製)0.1部添加し、重合体100部に対して吸着剤2部(キョーワード500SH 1部/キョーワード700SL 1部:共に協和化学(株)製)存在下で175〜177℃で減圧(9Torr以下)下、12時間加熱し、脱ハロゲン化処理を行った。
(工程2:固液分離工程)
上記工程1で得られた重合体100部(103kg)に対してヒンダードフェノール系酸化防止剤0.05部(53g)(Irganox1010;チバスペシャリティケミカルズ)、吸着剤2部(キョーワード500SH 1部(1.0kg)/キョーワード700SL 1部(1.0kg):共に協和化学(株)製)を添加し、酸素・窒素混合ガス雰囲気下、150℃で4時間加熱攪拌した。トルエン100部で希釈し固形分を除去した後、溶液を濃縮して重合体(98kg)を得た。この重合体の数平均分子量は16800、分子量分布は1.13であった。重合体1分子当たりに導入されたアルケニル基の数は1.9個であった。またこの重合体中に含まれる銅量は、重合体1kgに対し2mg以下であった。またこの重合体中に含まれる臭素量は元素分析の結果、重合体1kgに対し290mgであった。
実施例12
(アルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体(A)に、架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物(B)を付加させる反応:白金触媒(白金金属量として重合体1kgに対して5mg)使用)
製造例6の後処理(工程1及び工程2の処理)を行って得られた重合体に、オルトギ酸メチル(アルケニル基に対して1モル当量)、白金触媒(白金金属量として重合体1kgに対して5mg)、メチルジメトキシシラン(アルケニル基に対して3モル当量)を順に加え混合し、窒素雰囲気下、100℃で1時間加熱攪拌した。アルケニル基が反応により消失したことを1H−NMRで確認し、反応混合物を濃縮して目的とするメトキシシリル基含有重合体を得た。数平均分子量は17800、分子量分布は1.17であった。重合体1分子当たりに導入されたシリル基の数は1.9個であった。
【0098】
上記の製造例、実施例、及び比較例について、表1にまとめておく。
【0099】
【表1】
【0100】
【発明の効果】
本発明によれば、高価なヒドロシリル化白金触媒の使用量を制限することで、原子移動ラジカル重合を利用して製造される末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体(A)から経済的に末端に架橋性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体を製造することができる。本発明により、着色成分の少ない、末端に架橋性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体が得られる。
Claims (23)
- 以下の工程を含む、末端に架橋性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体の製造方法:
1)原子移動ラジカル重合を利用してアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体を製造する工程;
2)前記(メタ)アクリル系重合体を、170℃以上250℃以下の温度で加熱する工程;
3)該加熱したアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体を固液分離する工程;
4)(A)上記1)から3)の工程で得られ、重合体中に含まれる遷移金属の量が重合体1kgに対して10mg以下であり、かつ、重合体中に含まれるハロゲンの量が重合体1kgに対して500mg以下である、末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体、(B)架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物、および(C)白金触媒を混合してヒドロシリル化反応を行う工程。 - 前記工程4)の(A)が、前記1)から3)の工程で得られ、重合体中に含まれる遷移金属の量が重合体1kgに対して3mg以下であり、および/または、重合体中に含まれるハロゲンの量が重合体1kgに対して300mg以下である、末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体である、請求項1に記載の製造方法。
- 重合体(A)1kgに対して、白金金属量として0.1mg以上30mg以下の白金触媒(C)を用いる請求項1または2に記載の製造方法。
- 重合体(A)1kgに対して、白金金属量として0.5mg以上10mg以下の白金触媒(C)を用いる請求項1から3までのいずれかに記載の製造方法。
- ヒドロシリル化反応の際に、加水分解性のエステル化合物および/またはアルキルアルコールを共存させることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の製造方法。
- 加水分解性のエステル化合物がオルトギ酸トリアルキルである請求項5に記載の製造方法。
- ヒドロシリル化反応を、不活性ガス雰囲気下でおこなうことを特徴とする請求項1から6までのいずれかに記載の製造方法。
- 不活性ガスが窒素ガスである請求項7に記載の製造方法。
- ヒドロシリル化反応を、50℃以上150℃以下でおこなうことを特徴とする請求項1から8までのいずれかに記載の製造方法。
- ヒドロシリル化反応を、70℃以上120℃以下でおこなうことを特徴とする請求項1から9までのいずれかに記載の製造方法。
- 架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物(B)を分割添加することを特徴とする請求項1から10までのいずれかに記載の製造方法。
- 架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物(B)がメチルジメトキシシランであることを特徴とする請求項1から11までのいずれかに記載の製造方法。
- 白金触媒(C)が、白金(0)−1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン錯体であることを特徴とする請求項1から12までのいずれかに記載の製造方法。
- 重合体(A)が、さらに下記(1)〜(2)の工程を含む製造方法により調製されるものであることを特徴とする請求項1から13までのいずれかに記載の製造方法。
(1)有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属錯体を触媒として(メタ)アクリル系モノマーを重合することによって末端にハロゲン基を有する(メタ)アクリル系重合体を製造する工程、および
(2)ハロゲン基と、アルケニル基を分子内に複数個有する化合物とを反応させる工程。 - ハロゲンが塩素、臭素、ヨウ素からなる群より選択されるものである請求項1から14までのいずれかに記載の製造方法。
- (メタ)アクリル系重合体が、(メタ)アクリル酸エステル系重合体である請求項1から15までのいずれかに記載の製造方法。
- (メタ)アクリル系重合体が、アクリル酸エステル系重合体である請求項1から15までのいずれかに記載の製造方法。
- アルケニル基を分子内に複数個有する化合物が、非共役ジエン化合物である請求項14に記載の製造方法。
- アルケニル基を分子内に複数個有する化合物がアルケニル基含有脂肪族炭化水素系化合物である請求項14に記載の製造方法。
- アルケニル基を分子内に複数個有する化合物が1,7−オクタジエンである請求項14に記載の製造方法。
- 重合体(A)が、一度に100kg以上の重合体を処理することにより得られたものである請求項1から20までのいずれかに記載の製造方法。
- 請求項1から21までのいずれかに記載の製造方法により製造される末端に架橋性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体。
- 請求項22に記載の(メタ)アクリル系重合体を含む硬化性組成物。
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