JP4251009B2 - レベンソン型位相シフトマスク及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、LSI製造に用いるレベンソン型位相シフトマスクに関するものであり、特に、透過光の位相差を0度とする開口部(開口部A)にディボット(欠陥)を有しない掘込み型のレベンソン型位相シフトマスクに関する。
【0002】
【従来の技術】
フォトマスクの隣接する開口部を透過する投影光の位相に互いに180度の位相差をもたせることにより転写パターンの解像力を向上させるという、所謂、位相シフト技術がIBMのLevensonらによって提唱された。
この位相シフト技術は、隣接する開口部の一方に位相シフト部を設けることによって、位相シフト部を通過した透過光は他の透過光と逆位相(180度のずれ)となり、転写パターン境界部の光強度を弱め合い、転写パターンは分離し解像度が向上するといったものである。
【0003】
このような、隣接する開口部の一方に位相シフト部を設けて透過光を位相反転させるフォトマスクは、一般にレベンソン型位相シフトマスクと呼ばれる。
開口部の一方に位相シフト部を設ける方法には、シフタと呼ばれる透過性の薄膜パターンを形成するシフタ型と、透明基板にシフタと等価な掘込み部(凹部)を形成する掘込み型の2通りがある。
【0004】
図1は、掘込み型の一例を説明する断面図である。図1に示すように、この掘込み型のレベンソン型位相シフトマスクは、透明基板(10)上に隣接する開口部の、透過光の位相差を0度とする開口部(開口部A)(11A)には掘込み部(凹部)が設けられていない。一方の、すなわち、透過光の位相差を180度とする開口部(開口部B)(11B)にはシフタと等価な深さ(d1)の掘込み部(凹部)(13)が設けられている。尚、図1において、(12)は遮光部を示している。
【0005】
図2(a)、(b)、(c)は、このような掘込み部(凹部)(13)が形成された掘込み型のレベンソン型位相シフトマスクの製造方法の一例を示した工程図である。
図2(a)は、透明基板(10)上にパターン状の遮光部(12)が形成され、続いて掘込み部(凹部)(13)をエッチングによって形成するための、パターン状のレジスト(14)が形成された状態のものである。
【0006】
図2(a)に示すように、この状態の透明基板(10)は、透過光の位相差を180度とする開口部(開口部B)(11B)となる部分の透明基板が露出した状態になっている。また、透過光の位相差を0度とする開口部(開口部A)(11A)となる部分の透明基板は、本来は、パターン状のレジスト(14)によって覆われ、一様に保護されているのであるが、図2(a)においては、開口部(開口部A)(11A)となる部分のレジスト(14)にピンホール(15)が存在している場合が示されている。
【0007】
この状態の透明基板にエッチングを行うことにより、図2(b)に示すように、レジスト(14)によって保護されていない、開口部(開口部B)(11B)となる部分の透明基板はエッチングされ掘込み部(凹部)(13)が形成される。また、開口部(開口部A)(11A)となる部分の透明基板は、本来は、レジスト(14)によって覆われ、一様に保護されているので、エッチングされないが、図2(a)に示すように、ピンホール(15)が開口部(開口部A)(11A)となる部分のレジスト(14)に存在しているので、上記掘込み部(凹部)(13)の形成と同時に、この部分は掘込まれ、ピンホール(15)下方の透明基板にディボット(欠陥)(16)が形成されてしまう。
【0008】
エッチング後に、パターン状のレジスト(14)を剥離し除去することによって、図2(c)に示す掘込み型のレベンソン型位相シフトマスクが得られる。
得られた位相シフトマスクには、本来、平坦である開口部(開口部A)(11A)にディボット(欠陥)(16)が形成されている。
このような欠陥を有する位相シフトマスクは、透過光の位相差に影響を及ぼし、位相シフトマスクとしての正常な機能が損なわれたものとなる。すなわち、この位相シフトマスクがウエハへ転写された場合には、転写パターンへ悪影響を及ぼす。
また、このような位相シフトマスクのディボット(欠陥)(16)を修正することは、事実上、ほぼ不可能であり、この位相シフトマスクは不良品となる。
【0009】
【特許文献1】
特開平8−137090号公報
【特許文献2】
特開平9−304290号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、掘込み型のレベンソン型位相シフトマスクにおいて、エッチングによって掘込み部を形成する際に、透過光の位相差を0度とする開口部(開口部A)となる部分を保護する保護膜にピンホールが存在していても、開口部(開口部A)にディボット(欠陥)が形成されることのない、すなわち、開口部(開口部A)には、ディボット(欠陥)を有しない掘込み型のレベンソン型位相シフトマスクを提供することを課題とするものである。
また、上記掘込み型のレベンソン型位相シフトマスクの製造方法を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、透明基板上に遮光部と開口部が繰り返し存在し、一つ置きの開口部を通過する透過光の位相を反転させるレベンソン型位相シフトマスクにおいて、遮光部が、掘込み部をエッチングによって形成する際の保護膜と、該保護膜上に積層された遮光膜の2層構成であることを特徴とするレベンソン型位相シフトマスクである。
【0012】
また、本発明は、上記発明によるレベンソン型位相シフトマスクにおいて、前記保護膜の材料が、MoSi、又はZrSiOであることを特徴とするレベンソン型位相シフトマスクである。
【0013】
また、本発明は、透明基板上に遮光部と開口部が繰り返し存在し、一つ置きの開口部を通過する透過光の位相を反転させるレベンソン型位相シフトマスクの製造方法において、
1)透明基板上の全面に、掘込み部をエッチングによって形成する際の保護膜を形成し、該保護膜上にパターン状の遮光膜を形成する工程、
2)該保護膜及び遮光膜が形成された透明基板上に、レジストパターンを形成し、エッチングによって保護膜をパターニングし、該レジストパターンを剥離し、透過光の位相差を180度とする開口部(開口部B)となる部分の透明基板を露出させる工程、
3)該開口部(開口部B)となる部分の透明基板を露出させた透明基板上、透過光の位相差を0度とする開口部(開口部A)となる部分の保護膜に、ピンホールの有無を確認するピンホール検査を行い、ピンホールを修正する工程、
4)該ピンホールを修正した透明基板上に、パターニングされた保護膜及び遮光膜をマスクとしてエッチングを行い、開口部(開口部B)となる部分の透明基板に掘込み部を形成する工程、
5)該掘込み部を形成した透明基板上に、遮光膜をマスクとしてエッチングを行い、開口部(開口部A)となる部分の保護膜を除去し、開口部(開口部A)となる部分の透明基板を露出させる工程、
を少なくとも具備することを特徴とするレベンソン型位相シフトマスクの製造方法である。
【0014】
また、本発明は、上記発明によるレベンソン型位相シフトマスクの製造方法において、前記5)該掘込み部を形成した透明基板上に、遮光膜をマスクとしてエッチングを行い、開口部(開口部A)となる部分の保護膜を除去し、開口部(開口部A)となる部分の透明基板を露出させる工程、の後に、ピンホール修正時の堆積物を除去する工程を具備することを特徴とするレベンソン型位相シフトマスクの製造方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明を一実施の形態に基づいて以下に説明する。
図5は、本発明によるレベンソン型位相シフトマスクの一実施例を示す断面図である。図5に示すように、この一実施のレベンソン型位相シフトマスクは、透明基板(10)上に遮光部(22)と開口部が繰り返し存在している。開口部は、透過光の位相差を0度とする開口部(開口部A)(21A)と、透過光の位相差を180度とする開口部(開口部B)(21B)とで構成されている。開口部には一つ置きに掘込み部(凹部)(23)が形成されている。
【0016】
すなわち、透過光の位相差を0度とする開口部(開口部A)(21A)には掘込み部(凹部)が設けられていない。一方の、透過光の位相差を180度とする開口部(開口部B)(21B)にはシフタと等価な深さの掘込み部(凹部)(23)が設けられている。
遮光部(22)は、掘込み部をエッチングによって形成する際の保護膜(22A)と、保護膜上に積層された遮光膜(22B)の2層構成である。
【0017】
保護膜(22A)は、掘込み部(凹部)(23)をエッチングによって形成する際に、掘込み部(凹部)(23)以外の部分を保護するものであるが、後述するように、保護膜(22A)は掘込み部(凹部)(23)へのエッチングが行われる前に、予め、保護膜(22A)にピンホールが存在するか否かのピンホール検査が行われ、ピンホールの存在が確認された場合には、そのピンホールに修正が施される。
【0018】
従って、保護膜(22A)及び遮光膜(22B)をマスクとしてエッチングを行い、掘込み部(凹部)(23)を形成しても、開口部(開口部A)(21A)となる部分の透明基板(10)上にはディボット(欠陥)が形成されることはない。すなわち、本発明によるレベンソン型位相シフトマスクは、その開口部(開口部A)にディボット(欠陥)を有しないレベンソン型位相シフトマスクとなる。
【0019】
図3(a)〜(f)は、本発明によるレベンソン型位相シフトマスクの製造方法を説明する工程図である。図3(a)は、透明基板(10)上の全面に、掘込み部をエッチングによって形成する際の保護膜(22A)を形成し、続いて保護膜上にパターン状の遮光膜(22B)が形成された状態を示している。
このパターン状の遮光膜(22B)は、保護膜(22A)上の全面に形成された遮光膜上へのレジスト塗布、描画、現像によるレジストパターニング、遮光膜のエッチングによるパターニング、及びレジスト剥膜といった工程を経て形成されたものである。
【0020】
次に、図3(b)に示すように、保護膜(22A)及びパターン状の遮光膜(22B)が形成された透明基板(10)上に、保護膜(22A)をパターニングするためのレジストパターン(24)が形成される。
開口部(開口部A)(21A)となる部分上の保護膜(22A)は、本来は、レジストパターン(24)によって覆われ、一様に保護されているのであるが、図3(b)においては、開口部(開口部A)(21A)となる部分の上方のレジストパターン(24)にピンホール(25A)が存在している場合が示されている。
【0021】
次に、図3(c)に示すように、エッチングによって保護膜(22A)がパターニングされ、レジストパターン(24)が剥離され、透過光の位相差を180度とする開口部(開口部B)(21B)となる部分の透明基板(10)が露出される。このエッチングによって保護膜(22A)がパターニングされると同時に、開口部(開口部A)(21A)となる部分の上方のレジストパターン(24)にピンホール(25A)が存在しているために、開口部(開口部A)(21A)となる部分上の保護膜(22A)がエッチングされピンホール(25B)が形成されてしまう。
【0022】
次に、開口部(開口部A)(21A)となる部分上の保護膜(22A)にピンホール(25B)が存在するか否かの検査が行われ、図3(d)に示すように、ピンホール(25B)が体積物(27)によって修正される。
【0023】
次に、透明基板(10)に掘込み部(凹部)(23)を形成するにあっての異物検査が行われる。エッチングを行う透明基板面に異物等が付着していると、所望の掘込み加工ができず、品質の低下や不良品となる。
透明基板(10)に掘込み部(凹部)(23)を形成するエッチング工程で発生した欠陥は、修正が殆ど不可能であり、エッチングを施す透明基板(10)上での異物の有無を確認する異物検査は重要な工程である。
【0024】
次に、図3(e)に示すように、ピンホール修正、及び異物検査が行われた透明基板(10)に、保護膜(22A)及び遮光膜(22B)をマスクとしてエッチングが行われ、開口部(開口部B)(21B)となる部分の透明基板(10)に掘込み部(凹部)(23)が形成される。
次に、図3(f)に示すように、遮光膜(22B)をマスクとして保護膜(22A)がエッチングされ、開口部(開口部A)(21A)となる部分の透明基板(10)が露出される。
【0025】
本発明によるレベンソン型位相シフトマスクは、上記のような工程によって製造されるが、上記図3(f)に示す保護膜(22A)のエッチングにおいて、図4に示すように、保護膜(22A)のピンホールを修正した際の体積物(27)が除去されずに残留してしまう場合がある。
このような際には、残留した堆積物(27)を除去する修正を行うことによって、開口部(開口部A)(21A)の表面は平坦な状態になる。
【0026】
保護膜(22A)の材料としては、掘込み部(凹部)(23)を形成する際のエッチングに耐え得る材料、例えば、MoSi、ZrSiOなどは技術的に確立されているので適用しやすい材料である。
また、遮光膜(22B)の材料としては、掘込み部(凹部)(23)を形成する際のエッチングに耐え得て、且つ保護膜(22A)をパターニングする際のエッチングに耐え得る材料、例えば、クロム、または酸化クロムなどが好適である。
【0027】
上記のように、本発明によるレベンソン型位相シフトマスクの製造方法は、エッチングによって開口部(開口部B)(21B)となる部分の透明基板(10)に掘込み部(凹部)(23)を形成する前に、予め、開口部(開口部A)(21A)となる部分の保護膜(22A)にピンホール(25B)が存在するか否かを検査し、ピンホール(25B)が確認された場合には、そのピンホール(25B)を修正しておくので、透過光の位相差を0度とする開口部(開口部A)となる部分の透明基板(10)にはディボット(欠陥)が形成されることはない。
【0028】
【発明の効果】
本発明は、掘込み型のレベンソン型位相シフトマスクにおいて、遮光部が、掘込み部をエッチングによって形成する際の保護膜と、保護膜上に積層された遮光膜の2層構成であるので、シフトマスクを製造する際に、透過光の位相差を0度とする開口部(開口部A)となる部分を保護する保護膜にピンホールが存在していても、開口部(開口部A)にディボット(欠陥)のないレベンソン型位相シフトマスクとなる。
【0029】
また、本発明は、1)透明基板上に、掘込み部を形成する際の保護膜、パターン状の遮光膜を形成する工程、2)レジストパターンを形成し、エッチングにて保護膜をパターニングし、レジストパターンを剥離し、透過光の位相差を180度とする開口部(開口部B)の透明基板を露出させる工程、3)開口部(開口部A)の保護膜に、ピンホール検査を行い修正する工程、4)保護膜及び遮光膜をマスクとしてエッチングを行い、開口部(開口部B)の透明基板に掘込み部を形成する工程、5)エッチングを行い、開口部(開口部A)の保護膜を除去し、開口部(開口部A)の透明基板を露出させる工程、を具備する掘込み型のレベンソン型位相シフトマスクの製造方法であるので、シフトマスクを製造する際に、開口部(開口部A)となる部分を保護する保護膜にピンホールが存在していても、開口部(開口部A)にディボット(欠陥)のないレベンソン型位相シフトマスクの製造方法となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】掘込み型の一例を説明する断面図である。
【図2】(a)、(b)、(c)は、掘込み部(凹部)が形成された掘込み型のレベンソン型位相シフトマスクの製造方法の一例を示した工程図である。
【図3】(a)〜(f)は、本発明によるレベンソン型位相シフトマスクの製造方法を説明する工程図である。
【図4】残留した堆積物の説明図である。
【図5】本発明によるレベンソン型位相シフトマスクの一実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
10・・・透明基板
11A、21A・・・透過光の位相差を0度とする開口部(開口部A)
11B、21B・・・透過光の位相差を180度とする開口部(開口部B)
12、22・・・遮光部
13、23・・・掘り込み部
14・・・パターン状のレジスト
15・・・レジストのピンホール
16・・・ディボット(欠陥)
22A・・・保護膜
22B・・・遮光膜
24・・・レジストパターン
25A・・・レジストパターンのピンホール
25B・・・保護膜のピンホール
27・・・堆積物
Claims (4)
- 透明基板上に遮光部と開口部が繰り返し存在し、一つ置きの開口部を通過する透過光の位相を反転させるレベンソン型位相シフトマスクにおいて、遮光部が、掘込み部をエッチングによって形成する際の保護膜と、該保護膜上に積層された遮光膜の2層構成であることを特徴とするレベンソン型位相シフトマスク。
- 前記保護膜の材料が、MoSi、又はZrSiOであることを特徴とする請求項1記載のレベンソン型位相シフトマスク。
- 透明基板上に遮光部と開口部が繰り返し存在し、一つ置きの開口部を通過する透過光の位相を反転させるレベンソン型位相シフトマスクの製造方法において、
1)透明基板上の全面に、掘込み部をエッチングによって形成する際の保護膜を形成し、該保護膜上にパターン状の遮光膜を形成する工程、
2)該保護膜及び遮光膜が形成された透明基板上に、レジストパターンを形成し、エッチングによって保護膜をパターニングし、該レジストパターンを剥離し、透過光の位相差を180度とする開口部(開口部B)となる部分の透明基板を露出させる工程、
3)該開口部(開口部B)となる部分の透明基板を露出させた透明基板上の、透過光の位相差を0度とする開口部(開口部A)となる部分の保護膜に、ピンホールの有無を確認するピンホール検査を行い、ピンホールを修正する工程、
4)該ピンホールを修正した透明基板上に、パターニングされた保護膜及び遮光膜をマスクとしてエッチングを行い、開口部(開口部B)となる部分の透明基板に掘込み部を形成する工程、
5)該掘込み部を形成した透明基板上に、遮光膜をマスクとしてエッチングを行い、開口部(開口部A)となる部分の保護膜を除去し、開口部(開口部A)となる部分の透明基板を露出させる工程、
を少なくとも具備することを特徴とするレベンソン型位相シフトマスクの製造方法。 - 前記5)該掘込み部を形成した透明基板上に、遮光膜をマスクとしてエッチングを行い、開口部(開口部A)となる部分の保護膜を除去し、開口部(開口部A)となる部分の透明基板を露出させる工程、の後に、ピンホール修正時の堆積物を除去する工程を具備することを特徴とする請求項3記載のレベンソン型位相シフトマスクの製造方法。
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