JP4250967B2 - 手提げ金庫 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬貨飛出し防止手段を備えた手提げ金庫に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、硬貨や紙幣等を収納保管した状態で持ち運びに供される手提げ金庫が公知であるが、内部に貴重品を収納、保管する性質に鑑みて、防盗性を高めるために様々な工夫がなされてきた(例えば、特許文献1参照)。ただし、近年の手提げ金庫の多くは、大型金庫内に保管されるだけでなく、日常の小売業の会計業務にも使用できることを目的としており、このため、防盗性を備えるだけでなく、本体内部に硬貨を収納するトレーを設けて、会計業務での使い勝手を高めるようにしている(例えば、特許文献2参照)。さらにはトレーを複数の区画に画成し、これら区画毎に硬貨を種類別に収納し得るように構成しているものがある。しかしながら、従来の手提げ金庫の多くは、トレーを上方が全面開放された有底箱体として備えているに過ぎないため、手提げ金庫を傾けたり、落としたりした場合に、トレーに仕分けして収納された硬貨が横ずれしたり、飛出す場合があった。
【0003】
【特許文献1】
実開平6−8668号公報
【特許文献2】
特開平9−217552号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、硬貨トレー部に硬貨飛出し防止手段を備えて、手提げ金庫の移動時に硬貨トレー部に仕分けして収納された硬貨の横ずれや、飛出しを防止するように、使い勝手を一層向上させた手提げ金庫を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、上方を開放した有底箱体状の本体と、該本体の開口部を開閉する蓋を有し、前記本体の内部に硬貨トレー部を設けた手提げ金庫であって、前記硬貨トレー部に硬貨トレー蓋を蝶番部材により枢着して、開閉自在にするとともに、付勢手段を用いて前記硬貨トレー部に対して前記硬貨トレー蓋を開口するように付勢して、前記手提げ金庫の閉蓋時に前記硬貨トレー蓋を前記手提げ金庫の蓋内面に設けた蓋押圧部で押圧して、前記硬貨トレー部を閉蓋させ、また、前記手提げ金庫の開蓋時に前記硬貨トレー蓋を前記付勢手段の付勢力によって跳ね上げさせて、前記硬貨トレー部を開蓋させることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を、添付した図を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る手提げ金庫100の開蓋状態を示す斜視図であり、図2は図1の手提げ金庫100の閉蓋状態を示す図である。これら図に示すように、手提げ金庫100は上方を開放した有底箱体状の本体10と、該本体10の開口部11を開閉する蓋20を有する。また、蓋20の上方に任意の手提手段30を備えて、運搬性を高める。さらに、ロック手段(防盗手段)40を備えて、本体10に対して蓋20を閉蓋状態で係止させて、内部に硬貨や紙幣等の貴重品を保管する際に防盗性を提供する。さらに、手提げ金庫100に耐火性を備えることが求められる場合には、耐火性能を満足する部材から本体10と蓋20を構成する。さらに、図1に示すように、手提げ金庫100は複数の区画に画成されたトレー50を用いて、硬貨や紙幣等を種類ごとに分離して収容、保管することを可能として、小売業の会計業務にも使用できるようにする。そして、トレー50に硬貨を収容する際、特にこの硬貨トレー部(コイントレー)60に硬貨飛出し防止手段70を備えて、手提げ金庫100の移動時にトレー50(60)に仕分けして収納された硬貨の横ずれや、飛出しを防止する。
以下、添付した図1〜図3を参照して、本発明の実施の形態に係る手提げ金庫100の全体構成について説明し、次に、添付した図4〜図10を参照して、本発明の実施の形態に係る硬貨飛出し防止手段70について具体的に説明する。
【0007】
手提げ金庫
図1に示すように、本発明に係る好適な実施の形態では、本体10は縁部12に沿って開口部11を形成して、この内部に貴重品等を収納、保管する。ただし、本体10と開口部11の形状は図示した形状に限定されない。また、好適には本体10は蓋20の後部21において蝶番部材等により枢着されて、蓋20によって開口部11を開閉自在に構成する。ただし、閉蓋時には図2に示したように、蓋20は周囲の縁部22に沿って本体10の縁部12と隙間を生じさせないように密着する。また、図2に示すように、手提げ金庫100は蓋20の上方に任意の手提手段30を備えるが、好ましくは、蓋20は上面を一部内側に陥没させて凹部23を形成し、この中に蓋20に固設される支持部31と該支持部31に対して回転自在に取付けられる取っ手32からなる手提手段30を設ける。取っ手32は手提げ金庫の保管時には蓋20上面から突出しないように凹部23内に収納されて、手提げ金庫100を他の部材と干渉させることなく積重ね自在にする。そして、取っ手32は手提げ金庫の移動時には凹部23内から起立して、使用者によって掴持される。
【0008】
さらに、手提げ金庫100はロック手段40を備えるが、好適には、図1に示すように、蓋20は蝶番部材により枢着される後部21と反対側(手前側)の縁部22の裏面側に、係止片41を本体10に向けて延出する。また、本体10の縁部12前方に、蓋20を閉口した際に係止片41と対応する位置に係止板(係止溝)42を設ける。そして、係止溝41に係止片42を差し込んだ際(図2参照)、ロック手段40を用いてこの係止状態を保持する。ただし、係止片41と係止板42の組合せは任意であって、図示するように二組に限定されない。また、係止片41と係止板42の形態と大きさは適宜実施の形態に従って定められる。好適には、ロック手段40を構成するため、ダイヤル(ダイヤル錠)43を本体10前面に配設して、設定目盛に合わせるように適当に回転させて、係止片41と係止溝42との関係を係止位置と解除位置との間で切り替える。あるいは、鍵穴(シリンダー錠)44内に別体の鍵を差し込んで回転させて、係止片41と係止板42との関係を係止位置と解除位置との間で切り替えてもよい。そして、係止片41と係止溝42の係止状態を解除した後、本体10前面に配設した操作部(レバー)45を操作して、係止片41を係止溝42から外しながら、手前側から蓋20を後方に向って回動させて、本体10を開口させる。ただし、ダイヤル錠43とシリンダー錠44とは夫々単独で使用されてもよく、また、組み合わされて使用されてもよい。さらには、他の任意のロック機構を用いて、係止片41と係止溝42の係止状態を保持してもよい。
【0009】
さらに、好適には、本体10は符号46に示す開閉手段を備えて、本体10に対して蓋20を所定角度で起立させる。図示した実施の形態では、開閉手段46は円弧状に延びる剛体であって、一方の端部47を蓋20と固定するとともに、他方の端部48を縁部12に設けた穴部49から本体10内に移動自在に取付けられて、蓋20の開閉を行う。この際、開蓋時には、使用者は両手を自由にして蓋20を起立させて、手提げ金庫100内に貴重品を収納できるようにし、また、蓋20を介して反対側から当該作業を覗き込まれることがないようにする。
【0010】
さらに、本体10に別体のトレー50を取付けて、トレー50に硬貨や紙幣等の貴重品を保管するとともに、本体10内部のトレー50の下方にさらに貴重品を保管できるように、二重構造的に貴重品を本体内部に保管する。この際、好適には、トレー50は上方を全面開放した有底箱体として構成されるとともに、周囲の縁部51から手提げ金庫100の本体10の上方縁部12に位置決めされる。ただし、本体10の内壁に内側に向って突出する係合部を設けて、この係合部に対してトレー50を縁部51から係止させてもよい(図示せず)。さらに、図示した実施の形態では、手提げ金庫100は単一のトレー50のみを備えているが、複数のトレーを手提げ金庫内に積重ねて収納してもよい。
図3を参照すると、好適には、トレー50は複数の収納部(凹部)52a〜52cを設けて、貴重品を区分して収納する。この際、これら収納部52a〜52cのうちの少なくともいずれか一つに硬貨トレー部(硬貨収納部)60を設け、残りの収納部のうちの少なくともいずれか一つを紙幣トレー部(紙幣収納部)として利用できるようにして、硬貨と紙幣とを区別して保管してもよい。
尚、硬貨トレー部60を本体10と別体にすることで、手提げ金庫100内に収容した硬貨を硬貨トレー部60ごと移動することができ、硬貨の移動と保管を柔軟に行うことができる。
以下、本発明に係る好適な実施の形態では、トレー50に対して別体の硬貨トレー部60を着脱自在に取付けるものと仮定する。しかしながら、本発明に係る他の実施の形態では、単一部材から硬貨収納部(硬貨トレー部)と紙幣収納部とを一体にして、トレー50を構成してもよい。
【0011】
図3に示すように、硬貨トレー部60は上方を全面開放した有底箱体として構成され、この縁部61からトレー50の収納部52a〜52cのいずれかに位置決めされる。さらに、硬貨トレー部60は複数の区画に画成されて、硬貨を種類別に収納するように、複数の収納部(凹部)62a〜62fを提供する。この際、硬貨トレー部60は、例えば、1円、5円、10円、50円、100円及び500円硬貨用に夫々異なる収納部62a〜62fを設けてもよい。ただし、無駄なスペースを減らすため、例えば、1円、5円等の小銭を、区別せずにまとめて収容してもよい。ただし、硬貨トレー部60は日本国の通貨制度に限定して構成される必要はなく、任意の国の通貨制度に合わせて構成されてもよい。また、収納部62a〜62dは、夫々端部側に凹状部63を設けて、指先による収納部62a〜62d内への硬貨の着脱操作を容易にしてもよい。
また、上述したように、トレー50は、紙幣を収納するのに適切なように収納部52a〜52cを構成してもよく、この場合、符号53に示すように紙幣押さえ手段(札押さえ)を設けて、収納部52a〜52c内に収納した紙幣を上方から押圧してもよい。好適には径の細い針金を折曲形成して紙幣押さえ手段53を構成する。さらに、符号54に示すようにこの収納部52a〜52cの底部に幅の狭い溝部を形成し、最下層に収納した紙幣を取出す際に、この溝部54に指先を挿入することによって紙幣の取出しを容易にしてもよい。尚、トレー50の収納部52a〜52cは紙幣に限定して使用される必要はなく、例えば切手、小切手、印紙、印鑑または宝石類等の任意の貴重品を収納してもよい。
【0012】
硬貨飛出し防止手段
本発明の実施の形態では、硬貨トレー部60に硬貨飛出し防止手段70(図1参照)を備えて、手提げ金庫100を傾けたり、落としたりした場合であっても、硬貨トレー部60から硬貨が飛出すことを防ぐようにする。具体的には、硬貨飛出し防止手段70は硬貨トレー蓋70であって、硬貨トレー部60の収納部62a〜62d(図3参照)内に収容した硬貨を上方から覆う。さらに、手提げ金庫100の移動時に硬貨トレー部60に仕分けして収納された硬貨の横ずれや、飛出しを防止するように硬貨トレー蓋70を構成する。
即ち、本発明に係る第一の実施の形態では、硬貨トレー部60に硬貨トレー蓋70をかぶせ、手提げ金庫100の閉蓋時に硬貨トレー蓋70を手提げ金庫100の蓋20内面に設けた蓋押圧部25、26で押圧するようにする。
また、本発明に係る第二の実施の形態では、硬貨トレー部60に硬貨トレー蓋70をかぶせ、さらに硬貨トレー蓋70と硬貨トレー部60とを係止する手段を備えるようにする。
ただし、本発明に係る第一、第二の実施の形態のいずれにおいても、硬貨トレー蓋70は、図1に示す硬貨トレー部60の略全面にわたって覆ってもよく、また、図3に示した硬貨トレー部60の収納部62a〜62dを夫々個別に覆ってもよい。また、図1に示した実施の形態では略板状の部材から硬貨トレー蓋70を構成しているが、硬貨トレー蓋70の形状や素材は図1に示したものに限定されず、少なくとも硬貨の位置ずれを防止する機能を有していれば足りる。例えば、金網状に硬貨トレー部60を構成してもよい。また、例えば透過性を有する部材(樹脂等)から硬貨トレー蓋70を構成して、この下方に収容される硬貨の目視を行えるようにしてもよい。さらに、硬貨トレー蓋70による硬貨トレー部60の閉蓋方法は任意であって、例えば、双方の部材60、70を別体に、着脱自在に組付けてもよく、あるいは、双方の部材60、70を一体に、ヒンジ状に組付けてもよい。
以下、本発明の好適な実施の形態に係る硬貨トレー蓋70について、第一、第二の実施の形態の順に説明する。
【0013】
本発明に係る第一の実施の形態では、例えば、図1に示すように、硬貨トレー蓋70は上方から硬貨トレー部60に対して被せられる。この際、硬貨トレー部60に硬貨トレー蓋70を定位置に位置決めする手段を設けてもよい。例えば、図4の(A)に示すように、トレー蓋70の裏面側に突出部(係合雄部)75を下方に向って延びるように備え、図4の(B)に示すように、収納部62a〜62dの角部(係合雌部)65と対に噛合させてもよい。この場合、予め設けられた収納部62a〜62dを利用して、硬貨トレー部60に対して硬貨トレー蓋70を定位置に位置決めできる。また、図4の(B)に示すように、硬貨トレー部60の収納部62a〜62dを仕切る仕切り部64と整合する間隔で、図4の(A)に示すように、硬貨トレー蓋70の裏面に仕切り部(突出部)74を下方に向って延びるように備えて、これら仕切り部64、74を対に係合するように、硬貨トレー部60に対して硬貨トレー蓋70を被せてもよい。この場合、収納部62a〜62d内に収容する硬貨を保管する際、位置ずれをよりなくすことができる。ただし、上記角部(係合雌部)65と突出部(係合雄部)75の組合せの数とこの形状と大きさ、また、上記仕切り部64と仕切り部(突出部)74の組合せの数とこの形状と大きさは図示した形態に限定されない。
【0014】
このように、保管時には、硬貨トレー部60は硬貨トレー蓋70を被せられて、手提げ金庫100の本体10内に収容されるが、この際、本発明に係る第一の実施の形態では、硬貨トレー蓋70を手提げ金庫100の蓋20内面24に設けた蓋押圧部25、26(図1参照)で押圧する。故に、手提げ金庫100を傾けたり、落としたりした場合であっても、硬貨トレー部60から硬貨が横ずれしたり、飛出すことがなく、硬貨の仕分けを維持することが可能となる。
ただし、手提げ金庫100の蓋20内側に設けた蓋押圧部は、蓋20内側の略全体あるいは、部分的な突起部であってもよい。例えば、上述したように、本発明に係る好適な実施の形態では、手提げ金庫100の運搬性を高めるために、蓋20上面を一部内側に陥没させて凹部23を形成し、この中に手提手段30を収納する。このため、蓋20の裏面側には、上面の凹部23と対応して、内側に突出する凸部25が形成されるが、この形状を利用して、蓋20の閉蓋時に、この蓋押圧部25から硬貨トレー部60を覆う硬貨トレー蓋70を押圧してもよい。
さらに、手提げ金庫100の蓋20内側に設けた蓋押圧部は、蓋20内側に配設した弾性押圧部材であってもよい。例えば、蓋20の裏面側には、伝票やメモ等の書類を押さえる書類押さえ26を設ける場合がある。通常、書類押さえ26は径の細い針金を折曲形成して構成されて、弾性を有するため、弾性押圧部材26から硬貨トレー蓋70を押圧する際、この押圧接に弾性を付与することができる。ただし、蓋押圧部25、26は図示する実施の形態に限定されず、他、任意の形状に形成できる。さらに、弾性押圧部材26は例えば、コイルスプリング等、他の任意のばね部材から構成してもよい。
そして、これら蓋押圧部25、26の双方を利用して、蓋20の閉蓋時に、硬貨トレー部60を覆う硬貨トレー蓋70を押圧してもよい。例えば、本体10内部に硬貨トレー部60を収容して、蓋20を閉口するとき、はじめに蓋押圧部25が硬貨トレー蓋70を押圧し、そして、蓋20が閉口するに従い、次に蓋押圧部26が硬貨トレー蓋70を押圧する。このように、硬貨トレー部60を覆う硬貨トレー蓋70は手提げ金庫100の蓋20によって押圧されるため、内部に収容する硬貨の飛出しを防ぐことができる。
【0015】
ただし、本発明に係る第一の実施の形態では、硬貨トレー部60に硬貨トレー蓋70を被せる際、一方の側部から硬貨トレー蓋70を硬貨トレー部60に枢支してもよい。この場合、硬貨トレー部60に対する硬貨トレー蓋70の開閉をより容易に行うことができる。
好適には、図5に示すように、手提げ金庫100の蓋20を開口する方向と同一方向に開口できるように、硬貨トレー蓋70を硬貨トレー部60に対して取付ける。また、同図に示すように、硬貨トレー部60は蝶番部材等により硬貨トレー蓋70を枢着して、開閉自在に支持するが、この支持手段については特定されない。例えば、図6に示すように、硬貨トレー部60の後端部に上方に突出する支持部66を設けるとともに、この支持部66に孔部67を設ける。そして、硬貨トレー蓋70の後端部に支持部と対面する接続部76を設け、支持部66の孔部67に対してヒンジ状に取付けて、支持部66の孔部67を回転中心として、硬貨トレー部60に対して硬貨トレー蓋70を回転自在に枢支する。ただし、例えばロッド状部材等を用いて硬貨トレー部60に対して硬貨トレー蓋70を回転自在に枢支してもよい。
【0016】
さらに、図7に示すように、硬貨トレー部60の後部で硬貨トレー蓋70を蝶番部材等により枢着する際、付勢手段80を備えて、硬貨トレー部60に対して硬貨トレー蓋70を開口するように付勢してもよい。ただし、手提げ金庫100の蓋20と同一方向に開口するように、硬貨トレー蓋70を硬貨トレー部60に対して枢支する。この場合、手提げ金庫100の本体10から蓋20を後端部を回転中心として回動する際、付勢手段80の有する付勢力によって、硬貨トレー蓋60から硬貨トレー蓋70を自動的に跳ね上げることができる。このため、手提げ金庫100の使用者は硬貨の出し入れの作業をより速やかに行うことができる。
好適には、図7に示すように、付勢手段80は弾性部材(コイルスプリング)であって、一方の端部81を硬貨トレー部60に対して係止させ、他方の端部82を硬貨トレー蓋70に対して係止させる。そして、コイルスプリング80は所定の弾力を備えて、この両端部81、82にて、硬貨トレー部60に対して硬貨トレー蓋70を起立するように付勢する。ただし、硬貨トレー部60は硬貨トレー蓋70を枢支する後端部側に支持部83を設けて、コイルスプリング80を定位置に位置決めする。例えば、図7に示すように、硬貨トレー部60の後端部側に一対の対面する突出部83を設け、かつ、これらの間にロッド状部材を設けて、このロッド状部材を間に通すようにコイルスプリング80を支持してもよい。ただし、この付勢手段80は少なくとも硬貨トレー部60の側部のいずれか一方に取付けられ、また、この形態は図示したコイルスプリングに限定されない。
さらに、上記付勢手段80は付勢力を多段階式に設定できるようにしてもよい。例えば、予め線径や巻き数を変化させた複数のコイルスプリングからなる付勢手段80を用意し、これら付勢手段80のいずれかを着脱自在に硬貨トレー部60の側部に取付けてもよい。
【0017】
次に、本発明に係る第二の実施の形態について説明する。
図1に示すように、本発明に係る第二の実施の形態では同様にして、硬貨トレー蓋70を上方から硬貨トレー部60に被せてもよい。この際、図4に示した上記角部65と突出部75の組合せを用いて、硬貨トレー部60に対して硬貨トレー蓋70を定位置に位置決めしてもよい。また、図4に示した上記仕切り部64と仕切り部(突出部)74の組合せを用いて、収納部62a〜62d内に収容する硬貨を保管する際、位置ずれを抑えてもよい。ただし、本発明に係る第二の実施の形態では、硬貨トレー蓋70と硬貨トレー部60とを係止する手段(ロック手段)90を硬貨トレー蓋70に備えることを特徴とする。
具体的には、例えば、図8に示すように、硬貨トレー蓋70と硬貨トレー部60に夫々凸状の係止部91と凹状の係止部92を対に係止するように設ける。好適には、硬貨トレー蓋70の縁部71に一部切れ込み93を入れて下方に延ばし、この延長部94の端部側に硬貨トレー部60に向って突出する係止部91を設ける。この際、切れ込み93を入れることで延長部94は可撓性を有し、外側から押圧されると、係止部91をシーソー状に内側に引き込めて、係止部91、92の係止と解除を滑らかに行えるようにする。この際、さらに、延長部94に凸状または凹状の操作部95を備えて、人間の指先によって、係る押圧操作を容易に行えるようにしてもよい。また、図9の(A)に示すように、係止部91の端部に所定の角度からなる傾斜面96を形成して、係止部92との係止と解除の操作に関する角度を広げて、係る操作をより滑らかに行えるようにしてもよい。尚、係止部92は硬貨トレー部60を貫通するように設けられてもよく、また貫通しなくてもよい。また、図8と図9は本発明に係る実施の形態の説明を行う上で用いられる略図であって、係止部91と係止部92の形状は図示した形状に限定されない。
【0018】
さらに、好適には、図8に示すように、硬貨トレー蓋70の縁部71に対面して係止手段90を設ける。ただし、図9の(A)に示すように、硬貨トレー蓋70を硬貨トレー部60に対して被せる際、矢印Xに示すように双方の操作部94を同時に押圧することで双方の係止手段90を同時に係止させてもよい。一方、同図の(B)に示すように、一対に設けられた係止手段90、90’のうち、まず一方の係止手段90’を係止させた後、他方の係止手段90の操作部94を矢印Xに示すように押圧することで係止手段90を係止させるように、係止手段90、90’を順に係止させてもよい。
ただし、これら係止手段90は、硬貨トレー蓋70の左右に対面して設けられてもよく、あるいは、硬貨トレー蓋70の前後に対面して設けられてもよい。また、硬貨トレー蓋70の縁部71に延長部93を設ける際、図4の(A)に示した上記突出部75を利用してもよい。
以上のように構成することによって、本発明に係る第二の実施の形態では、硬貨を収容する硬貨トレー部60を硬貨トレー蓋70で覆うとともに、硬貨トレー蓋70を硬貨トレー部60に対して係止するため、手提げ金庫100の移動時に外力が及ぼされても、硬貨トレー部60からの硬貨の横ずれや、飛出しを抑え、硬貨の仕分けを維持できる。
【0019】
ただし、図4に示すように、本発明に係る第二の実施の形態では同様にして、硬貨トレー蓋70は上方から硬貨トレー部60に対してヒンジ状に被せられてもよい。この場合、例えば、硬貨トレー部60に対して手前側から開閉できるように、硬貨トレー蓋70をヒンジ状に取付ける際、閉蓋時にこの手前側から硬貨トレー蓋70を硬貨トレー部60に対して係止させるのが好ましい。例えば、図8及び図9に示した凸状の係止部91と凹状の係止部92からなる係止手段90を硬貨トレー蓋70の手前側に設けて、枢支される後端部と反対側で硬貨トレー部60に対して硬貨トレー蓋70を係止させてもよい。また、例えば、図1に示した係止片41と係止溝42の組合せからなる係止手段90を硬貨トレー蓋70の手前側に設けて、枢支される後端部と反対側で硬貨トレー部60に対して硬貨トレー蓋70を係止させてもよい。
さらに、図10の(A)に示すように、硬貨トレー蓋70の縁部71に突起97を設け、硬貨トレー部60にはこの突起97と係合するノブ98を設けて、同図の(B)に示すように、硬貨トレー蓋70を硬貨トレー部60に枢支される後端部と反対側(手前側)から硬貨トレー部60を閉じる際、突起97をノブ98と係止させるように上記ロック手段90を構成してもよい。この際、ノブ98は可撓性を備え、一方の端部99を手前側に突出するように湾曲して延ばして、図10の(B)の矢印に示すように、端部(操作部)99を下方に押圧することで、シーソー状に突起97とノブ98の係止状態を解除させてもよい。この場合、突起97とノブ98の解除を手前側から容易に行うことができる。
さらに、磁石を用いて、枢支される後端部と反対側で硬貨トレー部60に対して硬貨トレー蓋70を係止させてもよい。
そして、図7に示したように、硬貨トレー部60の後部で硬貨トレー蓋70を蝶番部材等により枢着する際、付勢手段80を備えて、硬貨トレー部60に対して硬貨トレー蓋70を開口するように付勢してもよい。この場合、ロック手段90を解除すると同時に硬貨トレー蓋70を硬貨トレー部60から自動的に跳ね上げることができる。
【0020】
尚、本発明に係る第二の実施の形態では、硬貨トレー部60を手提げ金庫100内部に収容する際、必ずしも手提げ金庫100の蓋20を閉じた際に金庫の蓋20内側から硬貨トレー蓋70を押圧接することを必要としない。しかしながら、本発明に係る第二の実施の形態でも第一の実施の形態と同様にして、硬貨トレー部60を手提げ金庫100内部に収容し、手提げ金庫100の蓋20を閉じた際に金庫の蓋20内側から硬貨トレー蓋70を押圧接してもよい。この場合、別体に設けられる硬貨トレー部60が手提げ金庫100内部で移動することを防止するため、移動時に硬貨トレー部60が手提げ金庫100と衝突して不快な音を発生させることはない。
【0021】
【発明の効果】
本発明は以上説明したように構成された手提げ金庫であるから、請求項1に記載した発明によれば、硬貨を収容する硬貨トレー部を硬貨トレー蓋で覆うとともに、この硬貨トレー部を手提げ金庫内部に収容して、手提げ金庫の蓋を閉じた際、金庫の蓋内側から硬貨トレー蓋を押圧接するため、手提げ金庫の移動時に外力が及ぼされても、硬貨トレー部からの硬貨の横ずれや、飛出しを抑え、硬貨の仕分けを維持することが可能となる。また、硬貨トレー蓋の開閉を容易に行うことができ、硬貨トレー蓋の開蓋時に硬貨トレー蓋を自動的に立ち上げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る手提げ金庫を開蓋状態で示す斜視図である。
【図2】 図1に示した手提げ金庫を閉蓋状態で示す斜視図である。
【図3】 図1に示したトレーを取出して示す斜視図である。
【図4】 本発明の第一の実施形態に係る硬貨トレー蓋を示す図(A)と、硬貨トレー部を示す図(B)である。
【図5】 ヒンジ状に硬貨トレー部に硬貨トレー蓋を備える、手提げ金庫を示す図である。
【図6】 図5に示した硬貨トレー蓋と硬貨トレー部の要部拡大図である。
【図7】 図5と同様であるが、さらに付勢手段を設けた際の硬貨トレー蓋と硬貨トレー部の要部拡大図である。
【図8】 本発明の第二の実施形態に係る硬貨トレー蓋と硬貨トレー部を示す図である。
【図9】 本発明の第二の実施形態に係る硬貨トレー蓋と硬貨トレー部の断面図を(A)と(B)に分けて示す図である。
【図10】 ヒンジ状に硬貨トレー部に取付けられるとともに、係止手段を備える硬貨トレー蓋の開蓋状態と閉蓋状態を(A)と(B)に分けて示す図である。
【符号の説明】
10 本体
20 蓋
30 手提手段
40 ロック手段(防盗手段)
50 トレー
60 硬貨トレー部(コイントレー)
70 硬貨トレー蓋(硬貨飛出し防止手段)
80 付勢手段(弾性部材、コイルスプリング)
90 係止手段(ロック手段)
100 手提げ金庫
Claims (1)
- 上方を開放した有底箱体状の本体と、該本体の開口部を開閉する蓋を有し、前記本体の内部に硬貨トレー部を設けた手提げ金庫であって、前記硬貨トレー部に硬貨トレー蓋を蝶番部材により枢着して、開閉自在にするとともに、付勢手段を用いて前記硬貨トレー部に対して前記硬貨トレー蓋を開口するように付勢して、前記手提げ金庫の閉蓋時に前記硬貨トレー蓋を前記手提げ金庫の蓋内面に設けた蓋押圧部で押圧して、前記硬貨トレー部を閉蓋させ、また、前記手提げ金庫の開蓋時に前記硬貨トレー蓋を前記付勢手段の付勢力によって跳ね上げさせて、前記硬貨トレー部を開蓋させることを特徴とする手提げ金庫。
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