JP4250863B2 - 色補正処理方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラー画像処理方法および装置に関する。特に、グレーバランスを向上させるために行う色補正処理方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、PCやインターネット等の普及により、一般的なホームユースにおいてもカラー画像を扱う機会が増えてきている。例えば、デジタル・スチル・カメラで撮影した画像を手持ちのプリンタで出力するといったことが誰でも簡単にできるような時代になってきた。それに伴い、異種デバイス間でも画像を同じ色で再現しようという、いわゆるデバイス・インディペンデント・カラー(Device Independent Color : DIC)の概念が発生し、その実現が求められてきた。これを実現するためのシステムのことを、一般に、カラー・マネージメント・システム(Color Management System:CMS)と呼んでおり、その代表的なものとしてMacOSのColorsyncやWindows98のICM等がある。
【0003】
CMSでは、入出力デバイスの色信号における物理的な測色値を一致させることによってDICを実現している(図1参照)。すなわち、CMSでは、入力装置で取り込まれた画像の色信号は、入力機器のデバイス・プロファイル(単に、プロファイルと呼ぶこともある)を用いてデバイスに依存しない色信号に変換され、さらに、デバイスに依存しない色信号は、出力機器のデバイス・プロファイルを用いて出力装置の画像の色信号に変換される(図2参照)。このように、入力系の色信号から出力系の色信号に変換するとき、デバイス・プロファイルと呼ばれる変換式または変換テーブルを用いてデバイスに依存しない色空間における色信号に、一度、変換することによってDICを実現している。ここで、デバイス・プロファイルとは、デバイス信号値(RGB、CMYK等)と色彩計等により測定したその信号値での色彩値(XYZ、L*a*b*等)との関係から算出したパラメータ群のファイルと考えて良い。
【0004】
プリンタ等におけるように、デバイス信号値とそれによって実現される画像の色彩値との関係が非線形の関係にある場合は、デバイス・プロファイルとしてルックアップテーブル(LUT)を使用するのが一般的である。LUTは、以下に示す2ステップにより作成される。
(1)入力色空間に均等格子を作成する。
(2)均等格子における出力値を算出する。
【0005】
以下、CMY出力のプリンタで用いるLUTの一般的な作成方法(従来手法)を説明する。まず、CMY空間で均等に配置されたN3(N×N×N)個のカラーパッチ等を分光測色器等により色彩値(CIE/XYZ、CIE/L*a*b*等)の測定を行う。カラーパッチはどのような配置にしても構わないが、デバイスの色空間を充分に満たすような配置とする必要がある。LUTは、この測定データの逆写像を算出することにより作成することができる(図3参照)。なお、以下の説明では、LUTのグリッド点をL*a*b*空間のグリッド点とし、それをL*a*b*グリッド点という。色彩値の測定データをL*a*b*色空間でのデータとしたとき(以下、この測定データをL*a*b*測定データという)、LUTは、L*a*b*空間(例えば、0≦L*≦100、-128≦a*≦128、-128≦b*≦128)を分割してM3(M×M×M)個のグリッドを形成し、各グリッドに対応するCMY出力値を算出し、それを表にして生成される。
【0006】
図4は、測定データをもとに、各L*a*b*グリッド点に対応するCMY出力値を算出するまでの処理の流れを示す図である。N3個の測定データは、CMY空間上では均等に配置されているが、このデータ点を色彩空間L*a*b*上でプロットすると不規則な配置となってしまう(図5参照)。LUT形成には、L*a*b*空間をM3(M×M×M)に分割し、そのグリッド点毎のCMY出力値を求めるわけであるが、図5からも分かるように全てのグリッド点が色域内に入っているわけではない。L*a*b*グリッド点が色域内かどうかの判定は、以下のようにして行う。
【0007】
N3個の測定データは、(N-1)3 個の6面体で構成されている。CMY空間では全く歪みのない6面体、すなわち、立方体(図6(a)参照)は、L*a*b*空間では歪んだ6面体(図6(b)参照)となっている。1つの6面体は5個の4面体に分割することが可能である(図7(a)、(b)参照)。まず、L*a*b*グリッド点が、L*a*b*測定データの測定点がなす6面体を分割して形成される4面体(以下、測定データ4面体という)のうちのどの4面体に入っているかを探す。L*a*b*グリッド点が測定データ4面体に入っているかどうかは、次のように判別している。
【0008】
図8に示すように、入力されたグリッド点を点P:(L*p, a*p, b*p)とし、ある測定データ4面体の頂点の座標(L*i, a*i, b*i)(i = 0, 1, 2, 3)をとする(図8(a)参照)。このとき、点Pは、以下の式(1)から算出されるα、β、χが以下の式(2)の条件を満たせば、その測定データ4面体に含まれていることになる。
【数1】
【0009】
いずれかの測定データ4面体において上式が成り立てば、その入力グリッド点に対応する点は色域内に含まれていることになる。入力されたグリッド点を含む測定データ4面体に対応するデバイス信号空間(ここでは、CMY)における4面体の各頂点のCMY値を(c*i, m*i, y*i)(i = 0, 1, 2, 3)とすると、入力されたグリッド点に対応するデバイス信号空間上のCMY値(c*p, m*p, y*p)は、以下の式(3)のように線形補間によって算出することが可能である(図8(b)参照)。
【数2】
【0010】
分割されたどの4面体にも含まれなければ、その入力グリッド点に対応する点はデバイス色域外にあり、色域圧縮が施される。色域圧縮については、様々な手法が提案されており、例えば、次のような手法がある。
(1)色相を保存して明度-彩度の2次元平面上でする圧縮
(図9(a)、特開平09−098298参照)
(2)人間の視覚に合った色差を定義し、その色差が最小となるような圧縮
(図9(b)、特開平10−084487参照)
このように測定データの逆写像を行い、色域内のグリッド点については4面体補間、色域外のグリッド点については色域圧縮を行うことによって、LUTを作成することができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなLUT作成方法では、a*、b*などの色度方向についても均等分割してグリッド位置を算出しているためにデバイス色域内に入るLUTのグリッド点が少なく、その結果、色域内でデバイス信号と色彩信号を対応付ける情報が少ないため、色再現性、特に、グレーバランスが良好でないという問題がある。
【0012】
また、デバイス相互で黒レベルが異なっているため、場合によっては、黒潰れや黒浮きなどが発生するという問題がある。
【0013】
また、黒レベルの違いを補正する処理を行ったとしても、処理によっては彩度の変化も生じさせてしまい、同時に彩度方向の補正も必要になってしまうことがあるという問題がある。
【0014】
また、ある光源下での測定データを逆写像することでLUTを作成しているため、その光源下ではカラーマッチングするが、他の光源下では色が合わなくなってしまうという問題がある。
【0015】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、グレーバランスに優れ、または、複数の光源でも色再現が良好なカラー画像処理方法および装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、ルックアップテーブルに基づいて、色彩信号とデバイス信号との間で色空間における座標点を変換する画像処理装置において、色彩信号の色空間におけるグリッド点の座標のデータであるグリッドデータと所定の色のカラーパッチを測色して得られる測定データを含むデータとを外部から取り込む入力手段と、前記グリッド点の座標位置をS字間数を用いて非線形なグリッド位置に変換するグリッド変換手段と、前記グリッド点の座標に対応する前記非線形変換された座標を生成し、新たなルックアップテーブルを形成するルックアップテーブル生成手段と、前記ルックアップテーブル生成手段によって生成されたルックアップテーブルを含む所定のデータを出力する出力手段と、所定の色順応モデルを用いて、所定の光源下における擬似的な前記測定データを生成する色順応モデル処理手段とを有し、前記ルックアップテーブル生成手段は、前記色順応モデル処理手段で生成された擬似的な前記測定データ、及び、前記入力手段で取り込んだ前記測定データにそれぞれ所定の重み係数を掛け、該重み付けされた各測定データを和算して新たな測定データを算出し、その新たな測定データを用いて前記ルックアップテーブルを形成するように構成される。以下、第1の発明という。
【0017】
また、他の発明は、前記第1の発明において、前記画像処理装置が前記グリッドデータの明度に関する信号のダイナミックレンジの補正と、コントラストの補正のためのγ補正を行うレンジγ補正手段をさらに有するように構成される。以下、第2の発明という。
【0018】
また、他の発明は、前記第2の発明において、前記画像処理装置は、前記レンジγ補正手段での処理により生ずる彩度の変化を補正する彩度補正手段をさらに有するように構成される。以下、第3の発明という。
【0020】
また、他の発明は、前記第1ないし3のいずれかの発明において、前記ルックアップテーブル生成手段は、前記非線形変換されたグリッド点の座標が、前記測定データから得られる色域内に含まれるか否かを判定する色域内グリッド判定手段と、前記色域内に含まれると判定されたグリッド点については、前記色域内のグリッド点の座標と前記測定データを用いて所定の補間処理を行い、前記色域内に含まれるグリッド点の座標に対応するデバイス信号の座標を生成する4面体補間手段と、前記色域内に含まれないと判定されたグリッド点については、所定の色域圧縮処理を行い、前記色域内に含まれないグリッド点の座標に対応するデバイス信号の座標を生成する色域圧縮手段とをさらに有するように構成される。
【0021】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図10は、本発明に係る一実施の形態の色補正処理装置100の全体構成を示す図である。図10において、色補正処理装置100は、操作部110、制御部120、入出力部130、色空間変換部140、グリッド変換部150、色域内グリッド判定部160、4面体補間部170、色域圧縮部180、および記憶部190から構成される。制御部120は、他の全ての構成部と接続される。
【0022】
以下に、上記各構成部の動作について説明する。以下の説明では、所定の色空間でのグリッドデータ(上記の均等格子のデータ等)と、所定のカラーパッチを測色して得られた測定データとが、外部から色補正処理装置100に入力されることを前提とする。本実施の形態1においては、グリッドデータの色空間をCIE/L*a*b*とし、測定データの色空間をCIE/XYZとするが、これらに限られることは言うまでもない。なお、以下では、入力されたグリッドデータを入力グリッドデータと呼び、CIE/XYZ色空間の測定データをXYZ測定データと呼ぶ。
【0023】
操作部110には、色補正処理を行うのに必要な設定等を行うためのメニュー画面が表示され、キー等を用いてその設定がされる。また、操作部110には、処理の開始・停止等の指示、データの入力、その他の入力がなされる。さらに、各構成部での処理の状態や処理結果等が表示される。操作部110の出力は、制御部120に、または、制御部120を介して各構成部に伝達される。
【0024】
制御部120は、操作部110から出力される設定、指示、データ等に応じて各処理部に所定の指示やデータ等を出力し、各構成部から制御部120に出力される信号に応じて他の構成部に指示やデータ等を出力する等の処理を行う。例えば、後述するグリッド変換部150からの要求により、後述する記憶部190から所定のデータを読み出してグリッド変換部150に出力したり、グリッド変換部150が出力した所定のデータを4面体補間部160に出力したりする等の処理を行う。
【0025】
入出力部130は、制御部120からの指示に従って、LUTのグリッドデータ(入力グリッドデータ)およびカラーパッチの測定データを含む所定のデータを取り込むと共に、本装置によって生成されたLUT及びその他の中間データを含む所定のデータを出力する。なお、この入出力部130に関する制御部120の制御は、操作部110に入力された指示に基づいてされる。また、データの入出力方法は、フレキシブル・ディスクやCD等の所定の記録媒体を用いて行う方法でも、他の情報処理装置との通信によって行うものでも良い。
【0026】
色空間変換部140は、制御部120の制御に従って、入出力部130から入力されたカラーパッチのXYZ測定データを公知の変換技術によりL*a*b*データに変換する。この変換には、一般に線形行列を用いるが、その他の方法で変換することを排除するものではない。以下では、この変換によって得られたL*a*b*データをL*a*b*測定データと呼ぶ。なお、L*a*b*測定データに対して公知のLagrange補間を施すのでも良く、この補間によって得られたデータを擬似L*a*b*測定データと呼ぶことにする。
【0027】
グリッド変換部150の説明の前に、この構成部での処理の原理に関して、簡単な説明を行う。
一般に、LUTは、a*、b*等の色度方向においても均等分割してグリッド位置を算出しているため、グリッドに対応する点が色域内に入る割合が少なく、グレーバランスも良くない。LUTを作成する際に、グレー軸近傍の精度は、非常に重要である。これを実現するためには、LUTのグリッドの密度をグレー軸は細かくし、グレー軸から遠ざかる程荒くしていくことで精度の向上を図ることができる。例えば、LUTのグリッド位置を算出する際に、均等なグリッド位置に対してS字関数を用いた変換を施し、非線形なグリッド位置とすることなどは非常に効果的である。ここで、CIE 1994 Color Difference:ΔE94の彩度補正係数による関数とS字関数の代表的なシグモイド関数とを例にとって説明する。
【0028】
上記のΔE94は、次式で表される。
【数3】
このときの彩度方向の変化分をΔC*94とすると、彩度差は以下のように表すことができる。
【数4】
ここで、C*76 >>ΔC*76 として両辺を積分すると、以下の式(6)が得られる。
【数5】
以下では、この式を彩度補正関数と呼ぶこととする。
【0029】
彩度補正関数を使用することによって、これまでのLUTよりも視覚的にリニアなグリッド位置を持つことも可能となった。なお、上記の式(6)の逆関数を算出すれば逆S字関数として利用することができる。さらに、上記の式(6)において、定数0.0045をパラメータkに置き換えて、以下の式(7)のように一般化することにより、様々なS字、逆S字関数を作成することができる。このパラメータkの値を大きくすることで、この関数で表される曲線の曲率が大きくなり、値を小さくすることで曲率が小さくなる(図11参照)。
【数6】
【0030】
一方、シグモイド関数は、以下の式(8)のように表される。
【数7】
シグモイド関数も式中のパラメータαを変更することによって、様々なS字関数を作成することができる(図12参照)。このパラメータαを変更してΔE94における彩度補正関数にグレー軸で接するような値を求めたところ、α≒5であった。図13は、α=5としたときのシグモイド関数と彩度補正関数とをプロットした図である。彩度補正関数は、全体的に滑らかに変化しているのに対し、シグモイド関数は、グラフの端の部分で急激に変化している。図13において、入力信号が8刻みで増加するとき、前者は16.9増加し、後者は44.9も増加していることことによるものである。
【0031】
色補正処理装置100の構成部の説明に戻って、グリッド変換部150は、制御部120の制御に従って、入出力部130からの入力グリッドデータをS字変換する。その変換は、例えば、上記の式(7)、(8)、すなわち、彩度補正関数やシグモイド関数に基づいて変換するのでも良い。その際用いるパラメータkやαは、操作部110から入力されるのでも、後述の記憶部190にあらかじめ記憶されているものを用いるのでも良い。以下では、この変換で得られたデータをL*a*b*グリッドデータと呼ぶ。
【0032】
色域内グリッド判定部160は、制御部120の制御に従って、色空間変換部140から出力されたL*a*b*測定データ(または擬似L*a*b*測定データ)とグリッド変換部150から出力されたL*a*b*グリッドデータを用いて次の判断をする。すなわち、L*a*b*グリッドデータで示される各座標点がL*a*b*測定データで指定される色域内に入っているか否かを座標点毎に判断する。その判断は、例えば、上記の式(1)、(2)に基づいて行うのでも良いし、他の方法でも良い。色域内グリッド判定部160は、L*a*b*測定データ、L*a*b*グリッドデータおよび判断結果等を制御部120に出力する。制御部120は、この判断結果に応じて、それらのデータを4面体補間部170または色域圧縮部180等に出力する。以下では、L*a*b*グリッドデータで示される各座標点のうち、上記の色域内に入る座標点を色域内座標点と呼び、その座標点のデータを色域内L*a*b*グリッドデータと呼ぶ。同様に、L*a*b*グリッドデータで示される各座標点のうち、上記の色域の外の座標点を色域外座標点と呼び、その座標点のデータを色域外L*a*b*グリッドデータと呼ぶ。
【0033】
4面体補間部170は、制御部120の制御に従って、色域内グリッド判定部160からの色域内L*a*b*グリッドデータに対して所定の補間を行い、色域内座標点に対応する点を出力装置の座標点(CMY、RGB等)を決定する。この補間には、上記の式(3)を用いるのでも良い。色域内L*a*b*グリッドデータと、この補間によって得られた出力装置の座標点データとの対応関係は、LUTの一部を構成する。これらのデータは、制御部120に出力される。
【0034】
色域圧縮部180は、制御部120の制御に従って、色域内グリッド判定部160からの色域外L*a*b*グリッドデータに対して、上記、公知の色域圧縮処理を行う。既に述べたように色域圧縮処理には種々の公知の処理方法があり、どの処理方法を選ぶかは本発明の本質はなく、いずれの方法を適用するのでも良い。色域外L*a*b*グリッドデータと、この色域圧縮処理によって得られた出力装置の座標点データとの対応関係は、LUTの他の一部を構成する。これらのデータは、制御部120に出力される。
【0035】
記憶部190は、制御部120からの制御に従って所定の情報を格納する。記憶される情報としては、制御部120に入力される入力情報のうち、例えば、操作部110におけるメニュー画面での設定内容、入出力部130から入力される上記のデータ、色空間変換部140からのL*a*b*測定データ、グリッド変換部150からのL*a*b*グリッドデータ、色域内グリッド判定部160から出力される所定のデータ、4面体補間部170及び色域圧縮部180から出力されるLUTを構成するデータ等が含まれる。なお、これら以外のデータを、記憶されるデータから排除するものでないことは言うまでもない。
【0036】
以下に、実施の形態1に係る色補正処理方法における処理の流れを説明する。図14は、本発明の実施の形態1に係る色補正処理方法における処理の流れを示すフローチャートである。ステップS1410で、制御部120は、操作部110を介して入力された設定に従って、入力すべきデータの種類やLUT生成に用いられるパラメータkまたはαを設定する等の初期設定を行う。ステップS1420で、制御部120はステップS1410で設定された種類のデータを取り込む。
【0037】
ステップS1420で、入出力部130は、ステップS1410で設定された、上記の入力グリッドデータおよび所定のカラーパッチの測定データ等を取り込む。本実施の形態1においては、入力グリッドデータをL*a*b*空間のデータ、カラーパッチの測定データをXYZ空間のデータとするが、それぞれのデータは、異なる空間のデータであることを排除するものではない。ステップS1430で、色空間変換部140は、カラーパッチのXYZ測定データからL*a*b*測定データに変換する。なお、このステップにおいて、L*a*b*測定データに対して、公知のLagrange補間等の所定の補間を行うのでも良い。
【0038】
ステップS1440で、グリッド変換部150は、入力されたグリッドデータに所定の非線形の変換を施してL*a*b*グリッドデータを生成する。この変換は、例えば、上記に示すS字変換であっても良い。この場合は、例えば、上記の式(6)を用いた変換とすることでも良い。ステップS1450で、色域内グリッド判定部160は、上記のL*a*b*測定データ(または擬似L*a*b*測定データ)とL*a*b*グリッドデータを用いて、L*a*b*グリッドデータで示される各座標点がL*a*b*測定データで指定される色域内に入っているか否かを座標点毎に判断する。L*a*b*グリッドデータで示される各座標点が色域内と判断された場合は、処理はステップS1460に進み、色域外と判断された場合は、処理はステップS1470に移る。
【0039】
ステップS1460で、4面体補間部170は、上記の色域内L*a*b*グリッドデータに対して所定の補間を行い、色域内座標点に対応する点を出力装置の座標点(CMY、RGB等)を決定する。この補間には、上記の式(3)を用いるのでも良い。色域内L*a*b*グリッドデータと、この補間によって得られた出力装置の座標点データとの対応関係は、LUTの一部を構成する。ステップS1470で、色域圧縮部180は、上記の色域外L*a*b*グリッドデータに対して、公知の色域圧縮処理を行う。どの色域圧縮処理方法を選ぶかは、本発明の本質はなく、いずれの方法を適用するのでも良い。色域外L*a*b*グリッドデータと、この色域圧縮処理によって得られた出力装置の座標点データとの対応関係は、LUTの他の一部を構成する。ステップS1480で、制御部120は、ステップS1460とステップS1470からの処理結果を統合してLUTを形成する。そして、処理は終了する。
【0040】
以上説明したように、本実施の形態1によれば、入力グリッドデータを、上記の彩度補正関数やシグモイド関数等のS字関数を用いて非線形変換することにしたので、従来のLUTよりもグレー近傍におけるグリッドの密度を増やすことができ、グレーバランスの向上が可能な色補正処理方法および装置が実現できる。
また、色域内のグリッドの割合を増やすことができるためにLUT自体の精度の向上も可能である。
【0041】
実施の形態2.
上記、実施の形態1における色補正処理方法および装置は、上記の彩度補正関数やシグモイド関数等のS字関数を使用して色域内のLUTデータを増加させるという方法によって、従来のLUTよりもグレー近傍におけるグリッドの密度を増やし、グレーバランスを向上させるものであった。しかし、このようにしても以下に示す黒潰れの問題は解決されずに残る。一般に、プリンタの最大濃度である黒(通常は、インクを全て打ったときの色)の明度L*、色度a*、b*を測定しても、(L*, a*, b*)=(0, 0, 0)となることはない。通常のプリンタでは、明度L*は10前後であり、黒の再現性の良いプリンタであってもせいぜい2〜3位である。また、a*、b*のずれはプリンタによって様々であり、これがグレーバランスの再現性の善し悪しに依存していることも少なくない。このことから、モニタなどの他のデバイスと繋いで測色的に忠実とされている比色分析的(Colorimetric)なCMSを実行しても、最大濃度の黒以下の入力信号は、全て潰れてしまうことになる。これがいわゆる黒潰れを発生させてしまう原因の1つなのである。この黒潰れを改善するためには、明るさ方向におけるダイナミックレンジを最大限に再現できるような補正が有効である。本実施の形態2では、明るさ方向のダイナミックレンジを再現するための補正であるレンジ補正、およびγ補正を行って黒色補正する色補正処理方法および装置について記載する。
【0042】
図15は、実施の形態2に係る色補正処理装置100の全体構成を示す図であり、その構成は、実施の形態1において示したものに、レンジγ補正部200を追加したものである。以下の説明では、実施の形態1で用いた図10に示す構成部と同様の構成部については同一の参照番号を付し、それらの説明を省略する。
【0043】
実施の形態2において、操作部110は、実施の形態1に示された設定に加え、所定の表示をし、色信号のダイナミックレンジを補正するか否かの入力を待つ。補正するとされた場合には、ダイナミックレンジ補正に要する情報(以下、レンジγ補正情報と呼ぶ)の入力も待つ。または、レンジγ補正情報は、記憶部190に格納しておいたものを用いることも可能であり、他の方法を排除するものではない。入力があった場合にその情報を制御部120に出力し、制御部120では、この情報に基づいて各部の制御を行うと共に、レンジγ補正情報をレンジγ補正部200に出力する。なお、レンジγ補正情報を記憶部190に格納するのでも良い。ダイナミックレンジを補正するとされた場合、レンジγ補正部200は、以下に述べる処理を含むレンジγ補正を行う。
【0044】
ここでは、以下に示す3種類の補正の手法を説明する(図16参照)。
(1)プリンタの黒点BのY(1/3)チャンネルがL*=0となる補正式をX、Zチャンネルにも適用する方法
(2)プリンタの黒点BのX(1/3)、Y(1/3)、Z(1/3)チャンネルがすべて、L* = 0となるように補正する方法
(3) プリンタの黒点BのL*が0となるように補正する方法
(1)、(2)、(3)のそれぞれの手法を適用することによって、黒点Bは、図中の矢印の方向B1、B2、B3にマップされることになる。手法(1)では、プリンタの白と黒を結んだ軸を延長させたときのL*=0 の点にマップしている。この手法が一般的に優れていると思われるが、プリンタの黒点の明度が高く色度が無彩軸から大きく離れている場合には、注意が必要である。手法(2)では、プリンタの黒点をL*=a*=b*=0 となるようにマップしている。一般的に、黒領域における色域の差を一番小さくすることが可能であるが、無彩軸を大きくずらしてしまうことが起きる可能性が高いことに注意が必要である。手法(3)については、明度L*だけの補正を行っているため色度点についての保持は可能である。
【0045】
これらの黒色補正は、ダイナミックレンジの補正であるわけだが、レンジをリニアに補正してしまうとコントラストの点からオリジナルとずれてしまうことがある。このコントラストを補正するためには、式(9)および後述の式(10)で表されるようなべき関数によるγ補正を行うのが効果的である。ここで、Drangeinは、入力側における明度のダイナミックレンジであり、Drangeoutは、出力側のレンジである。
【数8】
ここで、Drangeは、それぞれの手法における色信号のダイナミックレンジを表しており、手法(1)では、Y(1/3)チャンネルにおけるダイナミックレンジを、手法(3)では、L*でのレンジを表している。また、手法(2)では、それぞれ、X(1/3)、Y(1/3)、Z(1/3)チャンネルにおけるダイナミックレンジを表しており、それぞれのチャンネルにおけるγ値も当然異なるようになる。なお、下付の文字「in」は入力デバイスを示し、下付の文字「out」は出力デバイスを示す。
【0046】
図17は、本実施の形態2に係る色補正処理方法における処理の流れを示すフローチャートであり、その処理の流れは、実施の形態1において示したもの(図14参照)に、上記のレンジγ補正処理を追加したものである。以下の説明では、実施の形態1で用いた図14に示す処理と同様の処理については同一の参照番号を付し、それらの説明を省略する。
【0047】
図17において、ステップS1410で、制御部120が初期設定するものに、上記の入力側のダイナミックレンジと出力側のダイナミックレンジとに関するデータ等のレンジγ補正処理に必要なデータの設定が含まれる。ステップS1420で、入出力部130が、ステップS1410で設定された、上記の入力グリッドデータおよび所定のカラーパッチの測定データ等を取り込んだ後、ステップS1725で、レンジγ補正部200は、上記のレンジγ処理を行う。ステップS1430以降のステップで、実施の形態1同様の処理を行い、LUTを形成する。
【0048】
図18は、本実施の形態2に係るレンジγ補正処理(ステップS1725)の詳細な流れを示すフローチャートである。図18において、ステップS1810で、制御部120は、明度のダイナミックレンジ補正を行うか否かを判断し、補正を行うと判断した場合は、処理はステップ1820に進み、行わないと判断した場合は、処理は終了する。ステップS1820で、制御部120は、操作部110からの指示等に基づき、どのような補正手法とするかを決定する。それらの補正手法には、上記の(1)から(3)の手法が含まれるのでも良く、ここでは、それらを含む場合について説明する。ここの判断結果に応じて、処理はステップS1830−1からステップS1830−nのいずれかのステップに進む。
【0049】
制御部120は、ステップS1830−1で、上記(1)の補正手法を設定し、ステップS1830−2で、上記(2)の補正手法を設定し、ステップS1830−3で、上記(3)の補正手法を設定し、ステップS1830−4以降のステップで他の補正手法を設定する。補正手法が設定されたら、ステップS1840で、レンジ補正部210は、上記のステップS1830−1からステップS1830−nのステップで設定された補正手法でダイナミックレンジ補正を行う。ステップS1850で、レンジ補正部210は、上記の補正手法毎にコントラストを補正するためのγ補正を行う。以上の処理を持ってレンジγ補正処理のサブルーチンは終了する。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態2によれば、ダイナミックレンジを再現するようなレンジ補正処理を行うこととしたので、いわゆる黒潰れを防止できる。
また、レンジγ補正処理においてコントラストを補正するためのγ補正を行うこととしたので、ダイナミックレンジの補正によって生じるおそれがあるコントラストのずれを防止できる。
【0051】
実施の形態3.
上記、実施の形態2における色補正処理方法および装置は、ダイナミックレンジを再現するような補正とコントラストを補正するためのγ補正を行って黒潰れを防止するものであった。しかし、上記の手法(1)、手法(2)では、上記の補正処理に伴って図19に示すように彩度が変化してしまう。本実施の形態3では、彩度変化を抑制するために後述するべき関数を用いて彩度補正する色補正処理方法および装置について記載する。
【0052】
図20は、実施の形態3に係る色補正処理装置100の全体構成を示す図であり、その構成は、実施の形態2において示したものに、彩度補正部210を追加したものである。以下の説明では、実施の形態2で用いた図15に示す構成部と同様の構成部については同一の参照番号を付し、それらの説明を省略する。
【0053】
本実施の形態3において、操作部110は、実施の形態2に示された設定に加え、所定の表示をし、彩度補正を行うか否かの入力を待つ。補正するとされた場合には、彩度補正に要する情報(以下、彩度補正情報と呼ぶ)の入力も待つ。または、彩度補正情報は、記憶部190に格納しておいたものを用いることも可能であり、他の方法を排除するものではない。入力があった場合にその情報を制御部120に出力し、制御部120では、この情報に基づいて各部の制御を行うと共に、彩度補正情報を彩度補正部210に出力する。なお、彩度補正情報を記憶部190に格納するのでも良い。彩度補正するとされた場合、彩度補正部210は、以下に述べる処理を含む彩度補正を行う。
【0054】
上記の方法(1)および方法(2)によるレンジγ補正では、その補正に伴って図19に示すように彩度が増加してしまう。そのため、これを抑制するような補正処理が必要となる。そこで、べき関数を使用した場合に、どれくらい変化するかを調べてみた。Macbeth ColorChecker24色の無彩色を除く18色に対して、式(10)におけるγを0.2、0.4、0.6、0.8、1.0、1.2、1.4と変化させ、そのときの彩度方向の変化を式(11)で近似し、この式のパラメータkを計算した。
【数9】
【0055】
結果は、表1に示すようになり、これを近似したところ式(14)のように表せた(図21参照)。
【表1】
【数10】
【0056】
以上のことから、彩度補正処理は、レンジγ補正で使用したべき関数のべき係数(γ)を使って式(13)のように簡単に決定づけることも可能である。
【数11】
この彩度補正の効果は、図22のようになり、充分に補正できていることが確認できる。
【0057】
図23は、本実施の形態3に係る色補正処理方法における処理の流れを示すフローチャートであり、その処理の流れは、実施の形態2において示したもの(図17参照)に、上記の彩度補正処理(ステップS2329)を追加したものである。以下の説明では、実施の形態2で用いた図17に示す処理と同様の処理については同一の参照番号を付し、それらの説明を省略する。
【0058】
図23において、ステップS1410で、制御部120が初期設定するものに、上記のべき関数のべき等の彩度正処理に必要なデータの設定が含まれる。ステップS1420で、入出力部130が、ステップS1410で設定された上記の入力グリッドデータおよび所定のカラーパッチの測定データ等を取り込み、ステップS1725で、レンジγ補正部200が上記のレンジγ補正処理を行った後、ステップS2329で、彩度補正部210は、上記の彩度補正処理を行う。ステップS1430以降のステップで、実施の形態2同様の処理を行い、LUTを形成する。
【0059】
以上説明したように、本実施の形態3によれば、デバイスのレンジ補正と明度方向のレンジγ補正とに加え、そこで用いたγ値と関連付けた彩度補正を行うこととしたため、黒レベルの異なるデバイスを想定しても黒潰れや黒浮きの無い、より再現性の良い画像出力を得ることができるようになった。
【0060】
実施の形態4.
上記、実施の形態3における色補正処理方法および装置は、単一測定光源下で測色したカラーパッチの測定データを用いた。しかし、そのLUTを用いたのでは、他の光源下ではカラーマッチしないことがあるという問題がある。本実施の形態4では、複数の光源下で適切にカラーマッチするLUTを形成するための色補正処理方法および装置について記載する。
【0061】
図24は、本実施の形態4に係る色補正処理装置100の全体構成を示す図であり、その構成は、実施の形態3において示したものに、色順応モデル処理部220を追加したものである。以下の説明では、実施の形態3で用いた図20に示す構成部と同様の構成部については同一の参照番号を付し、それらの説明を省略する。
【0062】
本実施の形態4において、操作部110は、実施の形態3に示された設定に加え、所定の表示をし、後述の色順応モデルを用いてLUTを生成する処理(以下、色順応モデル処理という)を行うか否かの入力を待つ。色順応モデル処理を行うとされた場合には、モデルの種類等の色順応モデル処理に要する所定の情報(以下、色順応モデル情報と呼ぶ)の入力も待つ。または、色順応モデル情報は、記憶部190に格納しておいたものを用いることも可能であり、他の方法を排除するものではない。入力があった場合にその情報を制御部120に出力し、制御部120では、この情報に基づいて各部の制御を行うと共に、色順応モデル情報を色順応モデル処理部220に出力する。なお、色順応モデル情報を記憶部190に格納するのでも良い。色順応モデル処理を行うとされた場合、色順応モデル処理部220は、以下に述べる処理を含む色順応モデル処理を行う。
【0063】
上記のように、LUTの1つの問題として、LUTを作成したときの測定光源下ではカラーマッチングはできるが、他の光源下では全く色が合わないといった演色性の問題がある。この問題を回避するためには、複数の光源下での測定データから、ある中間的なデータを作りだし、その中間的なデータからLUTを作成すればよい。もしくは、複数の光源下におけるLUTを作成し、それらのLUTから中間的な色再現を提供できるLUTを作成しても良い。例えば、太陽光(D65)と蛍光灯(F10)、双方の下での観察を考慮する場合には、D65光源での測定値XYZD65とF10光源での測定値XYZF10の組み合わせとして、新しく3刺激値を次のように定義する。
【数12】
このように算出した新しい3刺激値XYZからLUTを作成すれば、D65光源下においてもF10光源下においても全く色は合わないといった問題はなくなる。
【0064】
この例は、2種類の光源を想定したが、複数の光源を想定しても構わない。そのような場合も、測定値の係数の和が1になるように、それぞれの光源下における係数を決定すればよい。係数を決定する際には、想定する観察光源の中で最も多い可能性のある光源の係数を大きく設定すれば効果を大きくできる。また、他の光源の測定データが無い場合には、次に示すような色順応モデルを使用して、その光源下における3刺激値を算出しても良い。
【0065】
測定データ(XYZデータ)を他の光源についてのデータに変換するのに様々な色順応モデルが提案されている。代表的なものに、Bradford変換、Hunt-Pointer-Estevas変換などがある。色順応モデルのフローは、図25に示すように表すことができる。まず、特定の光源下の測定データ (XYZ)in は、3×3マトリックスによって錐体レベルへの刺激値 (LMS)adp に変換される。さらに、出力側の視環境から錐体レベルの刺激値 (LMS)out に変換され、そして、3×3マトリックスにより、 (XYZ)outに変換されることになる。ここで、XYZ3刺激値とLMS3刺激値を変換するための3×3マトリックスの係数が、Bradford変換とHunt-Pointer-Estevas変換で異なっており、それぞれ以下のようなマトリックス係数のなっている。
【数13】
【数14】
【0066】
上記の3×3変換マトリックスをMTとして表すと、色順応モデルによる変換後の (XYZ)outは、以下のように定義できる。
【数15】
ここで、Lmax_i、Mmax_i、Smax_iは、測定した光源のXYZをLMSに変換した値であり、Lmax_o、Mmax_o、Smax_oは、求めたい光源の光源のXYZをLMSに変換した値である。
【0067】
図26は、本実施の形態4に係る色補正処理方法における処理の流れを示すフローチャートであり、その処理の流れは、実施の形態3において示したもの(図23参照)に、上記の色順応モデル処理を追加したものである。以下の説明では、実施の形態3で用いた図23に示す処理と同様の処理については同一の参照番号を付し、それらの説明を省略する。
【0068】
図26において、ステップS1410で、制御部120が初期設定するものに、上記のα、β等の重み係数、色順応モデルの種類等の色順応モデル処理に必要なデータの設定が含まれる。ステップS1420で、入出力部130が、ステップS1410で設定された上記の入力グリッドデータおよび所定のカラーパッチの測定データ等を取り込んだ後、ステップS2623で、色順応モデル処理部220は、指定された色順応モデルを用いて上記の色順応モデル処理を行う。ステップS1725以降のステップで、実施の形態3同様の処理を行い、LUTを形成する。
【0069】
以上説明したように、本実施の形態4によれば、色順応モデルを使用することによって、どのような光源についてもXYZ値を算出することが可能となり、観察光源が異なる場合では全く色が合わないという演色性の問題を回避することが可能となった。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、入力グリッドデータを、上記の彩度補正関数やシグモイド関数等のS字関数を用いて非線形変換することにしたので、従来のLUTよりもグレー近傍におけるグリッドの密度を増やすことができ、グレーバランスの向上が可能な色補正処理方法および装置が実現できる。
また、色域内のグリッドの割合を増やすことができるためにLUT自体の精度の向上も可能である。
【0071】
また、本発明によれば、本ダイナミックレンジを再現するようなレンジ補正処理を行うこととしたので、いわゆる黒潰れを防止できる。
また、レンジγ補正処理においてコントラストを補正するためのγ補正を行うこととしたので、ダイナミックレンジの補正によって生じるおそれがあるコントラストのずれを防止できる。
【0072】
また、本発明によれば、デバイスのレンジ補正と明度方向のレンジγ補正とに加え、そこで用いたγ値と関連付けた彩度補正を行うこととしたため、黒レベルの異なるデバイスを想定しても黒潰れや黒浮きの無い、より再現性の良い画像出力を得ることができるようになった。
【0073】
また、本発明によれば、色順応モデルを使用することによって、どのような光源についてもXYZ値を算出することが可能となり、観察光源が異なる場合では全く色が合わないという演色性の問題を回避することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 DICの概念を説明するための図である。
【図2】 DICを実現するための処理の流れを模式的に示す図である。
【図3】 LUT生成のためにする、測定データの逆写像を模式的に示す図である。
【図4】 測定データをもとに、L*a*b*空間における各グリッドに対応するCMY出力値を算出するまでの従来の処理の流れを示す図である。
【図5】 CMY空間上では均等に配置されているグリッドデータがL*a*b*空間上では不規則になることを模式的に示す図である。
【図6】 CMY空間では全く歪みのない6面体がL*a*b*空間では歪んだ6面体となることを模式的に示す図である。
【図7】 1つの6面体が5個の4面体に分割できることを説明するための図である。
【図8】 L*a*b*空間での点P:(L*p,a*p,b*p)が、ある4面体内にあるか否かを判断する処理を説明するための図である。
【図9】 色相を保存して明度-彩度の2次元平面上でする圧縮を説明するための図である。
【図10】 本発明の実施の形態1に係る色補正処理装置の全体構成を示す図である。
【図11】 本発明の実施の形態1に係るグリッド変換処理において用いるS字関数の一例を示す図である。
【図12】 本発明の実施の形態1に係るグリッド変換処理において用いるS字関数の他の一例を示す図である。
【図13】 α=5としたときのシグモイド関数と彩度補正関数とを示す図である。
【図14】 本発明の実施の形態1に係る色補正処理方法における処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】 実施の形態2に係る色補正処理装置100の全体構成を示す図である。
【図16】 実施の形態2に係るレンジγ補正処理の方法を模式的に示す図である。
【図17】 実施の形態2に係る色補正処理方法における処理の流れを示すフローチャートである。
【図18】 実施の形態2に係るレンジγ補正処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
【図19】 彩度補正を行う前のデータと測色データと彩度変化の一例を示す図である。
【図20】 実施の形態3に係る色補正処理装置100の全体構成を示す図である。
【図21】 γとパラメータkとのフィッティング曲線を示す図である。
【図22】 彩度補正後のデータと測色データとの一致性の一例を示す図である。
【図23】 実施の形態3に係る色補正処理方法における処理の流れを示すフローチャートである。
【図24】 実施の形態4に係る色補正処理装置100の全体構成を示す図である。
【図25】 実施の形態4に係る、色順応モデルを用いた色順応モデル処理の概念的な流れを示す図である。
【図26】 実施の形態4に係る色補正処理方法における処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
100…色補正処理装置、110…操作部、120…制御部、130…入出力部、140…色空間変換部、150…グリッド変換部、160…色域内グリッド判定部、170…4面体補間部、180…色域圧縮部、190…記憶部、200…レンジγ補正部、210…彩度補正部、220…色順応モデル処理部
Claims (8)
- ルックアップテーブルに基づいて、色彩信号とデバイス信号との間で色空間における座標点を変換する画像処理装置において、
色彩信号の色空間におけるグリッド点の座標のデータであるグリッドデータと所定の色のカラーパッチを測色して得られる測定データを含むデータとを外部から取り込む入力手段と、
前記グリッド点の座標位置をS字間数を用いて非線形なグリッド位置に変換するグリッド変換手段と、
前記グリッド点の座標に対応する前記非線形変換された座標を生成し、新たなルックアップテーブルを形成するルックアップテーブル生成手段と、
前記ルックアップテーブル生成手段によって生成されたルックアップテーブルを含む所定のデータを出力する出力手段と、
所定の色順応モデルを用いて、所定の光源下における擬似的な前記測定データを生成する色順応モデル処理手段とを有し、
前記ルックアップテーブル生成手段は、
前記色順応モデル処理手段で生成された擬似的な前記測定データ、及び、前記入力手段で取り込んだ前記測定データにそれぞれ所定の重み係数を掛け、該重み付けされた各測定データを和算して新たな測定データを算出し、その新たな測定データを用いて前記ルックアップテーブルを形成する色補正処理装置。 - 前記画像処理装置において、前記グリッドデータの明度に関する信号のダイナミックレンジの補正と、コントラストの補正のためのγ補正を行うレンジγ補正手段をさらに有する請求項1記載の色補正処理装置。
- 前記画像処理装置は、前記レンジγ補正手段での処理により生ずる彩度の変化を補正する彩度補正手段をさらに有する請求項2記載の色補正処理装置。
- 前記ルックアップテーブル生成手段は、
前記非線形変換されたグリッド点の座標が、前記測定データから得られる色域内に含まれるか否かを判定する色域内グリッド判定手段と、
前記色域内に含まれると判定されたグリッド点については、前記色域内のグリッド点の座標と前記測定データを用いて所定の補間処理を行い、前記色域内に含まれるグリッド点の座標に対応するデバイス信号の座標を生成する4面体補間手段と、
前記色域内に含まれないと判定されたグリッド点については、所定の色域圧縮処理を行い、前記色域内に含まれないグリッド点の座標に対応するデバイス信号の座標を生成する色域圧縮手段とをさらに有する請求項1ないし3のいずれかに記載の色補正処理装置。 - ルックアップテーブルに基づいて、色彩信号とデバイス信号との間で色空間における座標点を変換する画像処理方法において、
色彩信号の色空間におけるグリッド点の座標のデータであるグリッドデータと所定の色のカラーパッチを測色して得られる測定データを含むデータとを外部から取り込む入力ステップと、
前記グリッド点の座標位置をS字間数を用いて非線形なグリッド位置に変換するグリッド変換ステップと、
前記グリッド点の座標に対応する前記非線形変換された座標を生成し、新たなルックアップテーブルを形成するルックアップテーブル生成ステップと、
前記ルックアップテーブル生成ステップで生成されたルックアップテーブルを含む所定のデータを出力する出力ステップと、
所定の色順応モデルを用いて、所定の光源下における擬似的な前記測定データを生成する色順応モデル処理ステップとを有し、
前記ルックアップテーブル生成ステップは、
前記色順応モデル処理ステップで生成された擬似的な前記測定データ及び前記入力ステップで取り込んだ前記測定データにそれぞれ所定の重み係数を掛け、該重み付けされた各測定データを和算して新たな測定データを算出し、その新たな測定データを用いて前記ル ックアップテーブルを形成する色補正処理方法。 - 前記画像処理方法において、前記グリッドデータの明度に関する信号のダイナミックレンジの補正と、コントラストの補正のためのγ補正を行うレンジγ補正ステップをさらに有する請求項5記載の色補正処理方法。
- 前記画像処理方法は、前記レンジγ補正ステップでの処理により生ずる彩度の変化を補正する彩度補正ステップをさらに有する請求項6記載の色補正処理方法。
- 前記ルックアップテーブル生成ステップは、
前記非線形変換されたグリッド点の座標が、前記測定データから得られる色域内に含まれるか否かを判定する色域内グリッド判定ステップと、
前記色域内に含まれると判定されたグリッド点については、前記色域内のグリッド点の座標と前記測定データを用いて所定の補間処理を行い、前記色域内に含まれるグリッド点の座標に対応するデバイス信号の座標を生成する4面体補間ステップと、
前記色域内に含まれないと判定されたグリッド点については、所定の色域圧縮処理を行い、前記色域内に含まれないグリッド点の座標に対応するデバイス信号の座標を生成する色域圧縮ステップとをさらに有する請求項5ないし7のいずれかに記載の色補正処理方法。
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