JP4249390B2 - 液体吐出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
・技術の分野
本発明の対象は、液体を吐出するための装置である。本発明による装置は、液タンクと、吐出ノズルと、液タンクから吐出ノズルへ液体供給のために液タンクに接続する端部を有する液管とを備える。装置は基本的に、少量の液体、特別には非常に正確で制御された部分において吐出されなければならない染料、医療又は類似の液体、の正確な吐出に適している。本発明はまた発明の吐出装置を使用する印字ヘッド及び印字システムに関する。
【0003】
印字技術は、種々の液体散布技術が使用される特別な分野である。紙又は別の基部に印字されたイメージは、定常的に必要とされており、ITにより強力に支持されており、印字製品は特に経済のあらゆる分野において日常的に使用される。その要求は、維持されており更に将来的には同様に増大する傾向にある。顕著な努力が高速且つより安価な印字システムの開発に払われている。2つの異なる方向における研究が最も盛んである。第1は、従来の印字技術とデジタルプリプレス(pre−pressing)の組み合わせであり、第2のものは、完全にデジタル化された印字システムの開発である。
【0004】
例えば、従来のオフセット式印字システムは、大量に印刷する場合に、価格的利益の観点だけから好都合である。最近のデジタル式システムにより印刷される絵の費用は、一旦システムが設置されると、量に関して依存の程度が低い。しかし初期費用が大きい手段は、1つ当たりの全体の製品コストが、従来のシステムとは反対に、まだより高い。別の不利益として、現状使用されるインクジェット及びバブルジェットの印字技術の染料は、水及びUV(紫外線)耐力に関して従来技術に比べ劣っている。デスクトップ式のカラープリンタは、一般的になりつつある一方で、同時に大寸法、即ち大型寸法製品、の印字の能力を兼ね備えていて非常に少数の、単一の場合もある、項目のコスト的に有効な高速印字を可能にする印字技術に関する長い期間あった必要性が存在する。その様な製品の例として、宣伝用の大型ポスターがある。
【0005】
圧電式送信器により生成された超音波を使用する液体吐出又は散布システム技術は、技術的に既知である。簡単に説明すると、超音波液体吐出は、以下の現象に基づいている。即ちもし高い振幅を有する機械的振動が、実現可能である場合には、表面張力に打ち勝って液滴として液体を吐出することが出来る。超音波式液体吐出には2つの基本的なタイプがある。送信器から放射する高周波数(約1MHz又はより高いもの)の振動エネルギが、吐出のための必要なエネルギ濃度、即ち圧力を実現するために、液体に濃縮される。
低周波数を含む技術において必要なエネルギ濃度は、異なるタイプの固体の濃縮器を使用することにより実現される範囲であり、液体は比較的高い振幅で振動する表面に導かれる。
【0006】
現在適用可能な超音波液体吐出器には、多くの欠点がある。外形寸法がかなり大きく、それにより印字産業におけるそれらの適用は限られる。更にそれらの大きな寸法のために、振動する質量がやはり大きく、長い作用時間が必要である。全てのこれらの欠点に加えて、放出される液滴により生じるピクセル(pixel:画素)寸法の調整の問題が解決されていない。装置の清掃、部品の交換及び比較的複雑な電気システムが同様に問題を引き起こす。
【0007】
アントニー(Anthony)による米国特許第4,815,661号は、本体と圧電式振動コアを有する超音波散布装置に関する。振動コアにより生成される振動は、スプレイノズルに伝達される。散布される液体は、スプレイノズルの振動により噴霧される。液体は、液体内の内部圧力の結果として散布され、内部圧力は振動コアにより発生する。
【0008】
岡林(Okabayashi)等による米国特許第4,897,673号は、圧電要素を有するインクジェットプリンタのノズルチューブを接続するための方法を教授する。圧電要素との運転上で接続するノズルチューブが開示されており、その後者はノズルチューブの定時間間隔の伸縮を生じ、それによりノズルチューブから液体(インク)を吐出する。上記のように液体は、ノズルチューブ内に生成された圧力の下で吐出される。
英国特許第2 024 724A号は、毛細管及び圧電式送信器アセンブリ(リード(reed)ヘッドアセンブリ)を開示する。毛細管は、インク液滴の放出を実現するために、長手方向のモードで、実質的に管の軸の方向で振動する。長手方向の振動は、送信器により生成される。アセンブリは、毛細管の横の振動を発生するために、コイル及び磁石により形成される。これらの横の振動は、放出されたインク液滴の走査を提供するように作用する。
【0009】
上記のようにこれらの既知技術は、大型の高速印字には適さない。従って本発明の基本的な対象は以下のものである。広い範囲で変更可能で紙又は別の基部上に液滴の寸法又はピクセル寸法を実現することである。最も特別には、印字されたピクセルに可変な色調を作成する装置の提供を目標とする。
液体吐出ユニットをお互いに近接して配置可能であって、少なくとも1つの次元において寸法が減少された吐出装置を製作することである。この状態において、連続的な平行な印字が、印字基部の全幅において実現可能である。高印字速度を実現するために、液滴生成時間を減少することを目標とする。
【0010】
更に、広範囲に異なる種類の液体の適用の可能性が組み込まれていて、精巧な電気システムを必要としないシステムの提供が目標である。更にコンピュータに接続可能で、制御可能なシステムを製作することが望まれており、それにより清掃及び部品交換の問題を解決する。
【0011】
・本発明の概要
本発明の第1の形態に従い上記の目標は、液タンクと、吐出ノズルと、液タンクから吐出ノズルに液を供給するための液タンクに接続する端部を有する液管とを具備する装置により実現される。本発明に従い装置は更に、吐出ノズルの振動作用を誘導し、振動作用によりノズルから液を離れさせるために十分なノズルの加速を結果として生じるための振動手段を具備する。本発明はまた、液タンクを有さないが、基本的に同じ基本的な形態を有する液体吐出装置にも適用できる。この修正された発明装置は外部の液タンクに接続する。
【0012】
好適な実施の形態において液管は、吐出ノズルと一体である。液管の自由端は角度を付けて切断されており、切断された自由端は吐出ノズルとして機能することが好都合である。これとは別にノズルは、少なくとも自由端に近接する管の一部分において、自由端に向かって減少する径を有する液管の自由端として形成できる。
【0013】
最も好適な実施の形態において振動手段は、圧電式送信器を備えており、液管は中空の金属管である。このケースではノズルは、管の振動する端部にある。該端部は角度が付けられて切断しても良いし、あるいはその横断面が次第に減少しても良い。
【0014】
本発明による装置において、送信器は共振器を介して液管に取り付けられることが予見される。送信器、共振器及び管が共振ユニットを構成することが最も好ましい。
【0015】
特定の実施の形態において共振器は、自由端に近接する液管に直接又は間接に取り付けられた平らな鋼板である。三次元上のその主要な利点は、即ち空間的な共振器が、横の寸法が小さいだけではなく、液体吐出装置のパルスによる(脈動)運転を可能にしていて短時間で制御された液の輸送を可能にする作動時間がより一層より短いことである。
【0016】
本発明の板共振器は、共振器自体より軽い質量を有する液導管に固定されており、従って管はより大きい振幅で振動する。ノズルは液導管の自由端で形成されており、最大振幅で振動する。しかしこのシステムは、もし正しい量の液が作動部分、即ちノズルに導入されるならば、液体を適正に吐出する。もしこの量が、最適量より多いか又は少ない場合には、システムの容量は、有効に利用されない状態である。ノズルへの液供給は、毛細管作用及び管の圧により影響される。毛細管作用は制御することが難しいので、装置は液タンク及び液管のうちの少なくともいずれか一方内の液体の圧を変化させるための手段を具備しなければならないことが示唆される。
【0017】
本発明による装置の最も好適な実施の形態において、送信器は円形のディスク形状の圧電式送信器であり、鋼板は、円形部分と一体の三角形伸長部を有する円形部を有する実質的に液滴形状である。送信器は同心円位置において円形部分に平行に取り付けられており、三角形伸長部の頂点は液管に取り付けられる。
【0018】
装置のコンピュータ制御を促進するために、前もって決められた可変の周波数で送信器を駆動するための外部から制御される駆動手段を更に具備しても良い。
【0019】
本発明の第2の形態は、印字媒体の前もって決められた制御された位置で、制御された量の染料の吐出のための複数の液体吐出手段を具備する印字ヘッドに関する。本発明に従い液体吐出手段は、本発明の第1の形態による液体吐出装置を具備する。好適な実施の形態において印字ヘッドは、液体吐出装置を受容するための平行なスロットと、スロットの壁に液体吐出装置を固定するための接触ばねとを具備する。
【0020】
異なる基部上の可変なピクセルの寸法及び/又は可変な色調を促進するために、印字ヘッドは線に配置された複数の吐出装置を具備しており、線に平行な方向で吐出装置の少なくともノズルの移動する動きのための動く手段を更に具備する。線に垂直な方向において、吐出装置のノズルの追加的な移動する動きのための調整手段を、各ノズルに対して共通で具備するか、又は各ノズルに対して前述の調整手段を個別に具備することがまた示唆される。これは特に、ピクセル寸法(幅)をピクセル解像度(単位長さ当たりのピクセルの数)及び/又は色調(カバー範囲)に対して調整するために有効である。
【0021】
発明はまた、印字媒体供給機構と、本発明の第2の形態に従う印字ヘッドであって、印字媒体の前もって決められた制御された位置において制御された量で染料を吐出するために少なくとも1つの印字ヘッドと、を有する印字システムに関する。前もって決められた色に設定された各印字ヘッドの状態の複数の印字ヘッドを使用することが示唆される。
【0022】
本発明は少量の液体の連続的又はパルスによる(脈動)吐出に適する。本発明は、目標の媒体に向かって大きなエネルギで且つ高反復速度で液滴のような液体粒子を放出し、放出された液の量は、正確に調整可能である。液体は、溶剤(例えば、水、アセトン等)、染料溶液(例えば、インク)、乳濁液(エマルジョン)又は懸濁液(例えば顔料インク)であっても良い。
【0023】
上記の特徴により、装置は印字の目的に最適であり、印字システムにおける発明装置の用途は新規な印字プロセスを実行できる。しかし薬事的及び医療的目的はまた、比較的少量の液体が高度な精度により、汚染なしで吐出される必要がある任意の別の分野と同様に、適用分野として考えられる。
単に例示として本発明の実施の形態は、添付図を参照すると共に以下で説明される。
【0024】
・本発明の実施の最良のモード
図1を参照すると液体吐出装置1の基本的な構造が図示されている。装置1は、ノズル7を有する液管に取り付けられた平らな金属板形状の共振器2を備える。液管は、ノズル7で終了する自由端を有する液導管3として形成されており、もう一方の端部は液タンク5に接続する。ノズル7により吐出される液体6は、液タンク5により保持される。
【0025】
装置1はまた、ここでは送信器4として形成される振動手段を具備する。共振器2の振動は、その後者が共振器2に固定される送信器4により誘導される。送信器4は、例えば圧電セラミック板等の、圧電式送信器であることが好ましい。共振器2の共振モード−厚みモード、ラジアル(radial)モード又は曲げモード−は、構造の問題である。しかし好適な実施の形態において、ラジアルモードが、以下に示すように使用される。液導管3は、接続部9により共振器2に固定される。共振器2及び液導管3は、共振ユニット、即ち特定の共振周波数を有する機械的な振動システム、を構成する。
【0026】
液導管3の一方の端部は、液タンク5の液体6に浸漬される。液導管3のもう一方の端部の横断面は、ノズルを形成するために減少しているか又は、図面の好適な実施の形態の様に管3の端部が鋭角で切断される。ノズル7は液導管3の振動する端部にある。
【0027】
ノズル7は、共振器2から液に振動エネルギを伝達するように作用する。ノズル7の共振特性を液の特性(流れのパラメーター、質量、粘性、キャピラリ(毛細管作用)定数、表面張力等)に対して調整することもまた重要である。従ってノズル7は共振器の共振周波数(接続された振動システム)に対して調整された周波数を有する振動部分である。場合によっては、共振器2は接続部9によりノズル7に接続しても良い。この場合において接続部9はまた振動システムの一部分を形成する。ノズル7の振動エネルギ及び効率の程度は、接続部9の適切な振動設計に依存する。接続部2は必ずしも共振器2又はノズル7とは別に製作される必要はないが、それらの一体の部分であっても良いことが理解されなければならない。
【0028】
ノズル7への液体の供給は、異なる方法で実施されても良い。キャリブレーションの困難さを回避し、清掃をより簡単にするために、液導管3の振動する端部にノズル7を設置することが示唆される。もし液導管3の横断面、及び結果として長さに対する比重量が、適切に減少される場合には、エネルギのバランスにおいて振動振幅の増加が必要であるので、液導管3は自由端において減少する横断面を有しており、曲げモードの濃縮器として作用する。横断面のこの減少は、鋭角での管端部の切断によるか又は、ノズル端部の管の内径及び/又は壁厚みの減少により実施される。
【0029】
液体の供給は、液導管3内の毛細管作用と同様に液6内の過剰圧力により行われる。液導管3のノズル7端部において過剰供給は、液導管3のもう一方の端部における過剰圧力に対して自己調整するバランスを保持する表面張力により妨げられる。
【0030】
図2aと2bに示す様に本発明による液吐出装置は、液タンク5から独立するユニットとして実現されても良い。例えば、幾つかのその様な装置は図3に示されるように、共通の液タンク5に接続しても良い。
【0031】
本発明による吐出装置は、著しく平らである。実際にそれは、図2bに最も良く示されるようにほとんど二次元の形状体として認識できる。印字システムの適用が関係する限り、この平らな形状は非常に重要である。この場合において送信器4の圧電セラミックは、好適には接着剤により、共振器2に取り付けられる。
【0032】
共振器2は、点溶接された接続部8で液導管3にその振動エネルギを伝達する。共振器2の長手方向の振動モードは接続部8において、曲げモード、即ち管3の横方向の振動に変換される。液導管3が、適切な振動周波数に寸法を合わされる必要があり、それがシステム全体の共振周波数に調整されなければならないことは明白である。
【0033】
この構造の場合においてノズル7は、図7aと7bに最も良く示されるように、液導管3の振動端部にある。
【0034】
本発明による液体吐出装置、特に図2aと2bの実施の形態は、印字ヘッドに使用可能である。印字ヘッド10内の吐出装置1の基本的な配置は図3に示される。
【0035】
ここでは印字ヘッド10は、お互いに平行に配置される共振器2の平面と共に、線Lに沿って配置される複数の液体吐出装置1を具備する。
ノズル7は、印字媒体Mの上で特定の高さhにある。装置1は非常に平らであるので、それらの間の距離dは1mmの範囲でかなり小さい。このことは、多数のピクセルが印字媒体Mの全幅wを横断して印字出来ることを意味する。液導管3は共通の液タンク5に接続する。これとは別に周期的に各4又は3の装置1が、例えばCMYK又はRGBの色に対応して、共通の液タンクに接続しても良い。
【0036】
例えば紙のロールRから引き抜かれた紙シートの様な印字媒体Mが、それ自体が既知の供給機構により印字ヘッド10の下に搬送される。供給機構は引っ張りロールDを駆動するギアGとモータEMにより実現されても良い。
【0037】
印字ヘッド10の横方向の解像度を調整可能にするために、X座標に沿って線Lに平行な方向で吐出装置の少なくともノズルの移動する動きのための動く手段(図3に示されていない)を提供することが予見される。線Lに垂直な方向で(座標Zに沿って)吐出装置のノズル7の追加的な移動する動きのための調整手段(図3に示されていない)を、各ノズルに関して同時又は個別に提供することがまた示唆される。Z座標に沿うノズルの振動作用に関して追加的な動き、交互の動きに加えられた実質的に一定の要素、を「追加的な移動する動き」により定義することを意味する。この調整手段は、印字される媒体上のピクセル寸法を、媒体M上でノズル7の高さhを変化することにより調整するために、これとは別の手段を提示できる。
【0038】
理論的にはY座標に沿った印字ヘッド10及び/又はノズル7の動きも可能であることが理解されなければならない。しかし好適な実施の形態において、印字ヘッド10と印字媒体Mの間の相対的な動きは、印字媒体Mを動かすこと及びY座標に沿った固定位置で印字ヘッドを保持することにより実現される。
【0039】
我々は、いわゆる平行プリンタと呼ばれる印字ヘッド10の試作品を幾つか製作しており、その場合では印字ヘッド10内の吐出装置1はお互いからラスター(raster)寸法の距離(距離d)で設置されている。我々は、印字ヘッドの寿命サイクルテストと同様に信頼性もテストを実施した。本発明による液体吐出装置を有する印字ヘッドは、信頼可能で正確に機能することが確認された。
【0040】
本発明による印字ヘッド10は、印字システム(詳細には図示されていない)に含まれる。システムは、印字媒体供給機構、及び紙の様な印字媒体の前もって決められた制御された位置に制御された量で染料を吐出するための少なくとも1つの印字ヘッドを具備する。カラー印字は、複数の印字ヘッドを使用して実現され、各印字ヘッドは前もって決められた色に設定されている。図3に示されるものと同様な形態を使用して、幾つかの印字ヘッド10が、印字ヘッド10及び媒体Mの間で相対的な動きの方向(図3ではY方向)に沿って、お互いの後ろに設置できる。ヘッド間の印字の調整はコンピュータにより実施される。
【0041】
印字ヘッドの吐出装置1の間の距離dは、実際のピクセルの幅p(図8aからc及び図14参照)より大きくても良いことが理解されなければならない。この場合において既知の方法が、印字媒体Mの全面積に印字ヘッド10のノズルが達することを確保するように適用されており、この状態において、実現された解像度は、液吐出位置の間の物理的な距離、即ちノズル7間の距離d、より実際により良好にできる。その様な方法は、媒体上の印字ヘッドの幾つかの経路において、印字ヘッド又は媒体の少量の横の動きを含んでも良い。これとは別に印字ヘッドは、既知のデスクトップのインクジェットプリンタの操作と同様に、媒体の単一の経路において横方向に数回動いても良い。その様な方法自体は、技術的に既知であり、本発明の一部ではない。
【0042】
本発明による液体吐出装置の構造及び運転の詳細を以下に説明する。
【0043】
図4aと4bは、送信器4の側面及び立体図を示す。最も好適な実施の形態において送信器4は、例えばPZT送信器の様な平らな圧電ディスクである。それは、矢印で示されるようにラジアルモードで駆動される。このモードにおいてディスクの円周の点は、半径方向に振動する。図5に示すように送信器4に取り付けられた共振器2は、円形部分2a及び円形部分2aと一体の三角形伸長部2bとを有する実質的に液滴形状である。送信器4は、平行な同心円位置において、共振器2の円形部分2aに取り付けられる。
【0044】
図5及び図6a、6bで最もよく分かるように、三角形伸長部の頂点2cは、液管3に取り付けられる。共振器の周囲の点はまた、送信器4による励起により振動する。この作用は図5及びその後の図面で点線及び矢印で指示される。
【0045】
液導管3は、多くの方法で共振器2に接続できる。例えば、共振器2をノズル7の近くでそれの自由端に近接する管3に取り付けることが可能である。この場合において管3は、比較的短く更に軽く形成しても良い。この配置は図6aに示される。しかし実施例により、もし共振器2がノズル7から離れて取り付けられた場合に、最良の結果がより長い管3により実現されることが示されており、ノズル7の自由端は共振が可能である。これは、ノズル7のより大きな振動振幅、結局より良い吐出効率を結果として生じる。この配置は図6bに示される。
【0046】
本発明による新規な吐出技術の物理的な原理は、以下による(図6b参照)。
液6は、毛細管作用及び液タンク5内の圧力により管3に流入する。送信器4は適切な周波数で励起されるので、送信器4の振動は共振器2及び接続する管3に伝達する。管の自由端11は同様に振動を開始する。もし駆動周波数が共振周波数に一致するか又は近い場合には、振動振幅は比較的大きくなる。振動システムの加速度は、振幅に直線的に比例するので(両者は正弦曲線的で且つ同じ相において変化する)、自由端11の加速度は又大きくなる。結局、ノズル7で液6に作用する加速力(実際にはノズルの加速度により生じる液の慣性力)は、そうでなければ液6をノズル7に取り付け続ける毛細管作用の接着力に打ち勝つのに十分であり、液粒子は非常に小さい液滴12の形でノズル7から離れる。離れた液滴12は、それらがノズル7に付いていた時に、それらの最後の瞬間の方向及び速度を維持しており、振動平面において管3に実質的に垂直な方向に放出される。ここでノズル7で管3の角度のある切断により、液の多くの部分が、1つの方向だけで(図6から8で下方向に)放出される。圧力及び毛細管作用は連続的に液タンクから新しい液を供給するので、放出された液(染料)の量は、励起時間に実質的に比例する(図8aから8c及び14参照)。
【0047】
液の量が最適のレベルを越した場合に、システムの性能は低下する可能性がある。共振器及びノズルを備えるユニットは、適正な量の液がそれに導入された場合にだけ、液体吐出器として最良状態で稼働する。必要量より多い液をノズルに供給しないで、放出される液量が短時間で供給される場合には、液体供給は最適である。制御された液体供給の問題は、液導管における毛細管作用と同様に、液タンクで生じる少しの過剰圧力により解決される。ノズル7の端部における液の表面張力が、液タンク5内のもう一方の端部における過剰圧力と自己調整的にバランスするので、過剰供給は回避される。この構造により、過剰圧力による液量の調整が可能である。ノズル及び管の径を適切に選択することにより、この過剰圧力は、例えば100Paのオーダーの比較的小さい値で維持できる。これは数センチメータの高さの水柱の水圧に対応するので、この小さな値は液タンク内の液自体の水圧により実現される。このことは、比較的簡単な制御手段が、液タンクの液の特定のレベルを維持するのに十分であることを意味する。制御された液のレベルは、ノズルの適切な機能のために必要な過剰圧力の正確な値を自動的に形成する。
【0048】
図7a及び7bは、液導管3の適用可能な共振モードを示す。理論的には、基本周波数(図7a)及びより高調波(図7b)の両者が使用可能である。管3が基本周波数で駆動される場合には、自由端11の反対の端部はまた、比較的大きな振幅で振動するので、液は中間の柔軟な管(図7aでは図示されていない)を介して管3に供給されても良い。実施例は、約200KHzの基本周波数を有する管のより高い高調波を使用することがより良好であると示した。この場合では動かない節13が管3に形成されており、その様な節13において、液タンク5は管3に取り付けられても良い。
【0049】
本発明による液体吐出装置の重要な特徴として、ピクセルの濃度が変化しても良い。これは、たとえ発明装置により生成されるピクセル寸法が、例えばインクジェット技術等の別のものにより実現可能なピクセル寸法より幾分より大きい場合でも、ピクセルの形成するカバー範囲(濃度又は色調)は別の技術によるものよりかなり「より円滑」である。この効果は、写真イメージが印字された場合に、特に顕著であることを意味する。プロセスは図8aから8cに示されており、図8aは作動していない状態のノズル7を示しており、その場合液(染料又はインク)は放出されず、ピクセル17はカバーされていない。ノズル7は制御信号14により作動する。制御信号14は、順番に駆動信号15を装置の送信器4に発信する適切な駆動電子機器(図示されていない)の入力信号である。駆動信号15は、共振周波数を有するAC信号であり、ノズル7を振動させる。ノズル7の振幅(及び加速度)は、振幅−時間関数16により示される。実際のシステムでは約60μsである2、3回の振動の後に、その付近でノズルの振動による加速力がノズルと液の間の接着力を越える敷居値Tに、ノズルは達しており、液滴はノズルから離れる。作動してない状態から敷居値Tに達するまでの時間は、ノズル7の作動時間t1と呼ばれる。液滴は印字媒体に向かって大きなエネルギで放出されて、平均的な幅pのピクセル17を形成する。液滴18の寸法は約10μmであり、その一方で幅Pは、アセンブリ全体の共振パラメーター及び幾何学的な寸法(媒体上の高さh、図3参照、管3及びノズル7の寸法及び形状、共振周波数等)によって0.2から4mmの間にある。
【0050】
特定の試験されたアセンブリにおいて、以下のパラメーターが使用された。金属管は、Hungarian Norm KO36(主に医療用噴射針として使用)に従う鋼により製作された。管の長さは27mm、外径は0.9mm、内径は0.5mmであった。ノズルは20度の角度α(図6a参照)で切断された。使用されたインクは、イタリアの企業Colorprintにより製造された製品名IDRO ETの顔料で着色された水ベース分散性インクであった。インクは、水で5:1の比で希釈された。PZT送信器は、標準のTTLレベルの入力駆動回路により200KHZで駆動された。
【0051】
図8b、8c及び図14に示すように、ノズル7から放出される液の量は、第1のフェーズ(作動時間t1後)において実質的に直線であり、ピクセル17の(色)濃度又は色調は、放出された液に比例する。数サイクルの振動の後に、液のピクセル17への到達は次第に増加し、濃度は飽和時間t2後に飽和フェーズに徐々に到達する。飽和時間t2は統計的な値であり、ピクセルの呼び径が2mmでテストされたシステムにおいて約600μsである。ピクセル17は、飽和時間t2後は、染料により100%カバーされると考えられる。
【0052】
図9aと9bは、どのようにノズル7の振動が必要量の放出後に抑えられるかを示す。もしノズル7が駆動信号15をスウィッチオフした後に振動可能である場合には、振幅は2、3の振動の後でさえも敷居値Tに偶発的に達することが可能であり、必要量より多くの染料が放出される。これは図9aに示される。この作用を回避するために、逆フェーズの1又は2の駆動パルスが、駆動信号15をスウィッチオフする前に送信器に送信される。それによりノズル7の振動は、非常に速く、実際には1又は2サイクル以内で収まり、液の吐出は限られた時間内で終了する。この方法により、非常にうまく決定された非常に少量の液が、ノズルから吐出される。
【0053】
図10aと10b及び11は、本発明による印字ヘッドの構造を示す。図10aと10bは、図2aと2bの実施の形態と実質的に同等な液体吐出装置1を示す。多くのその様な装置1が、印字ヘッド10(やはり図3参照)において隣り合って一体化される。印字ヘッド10は、液体吐出装置1を受容するために平行なスロット20を備える。液体吐出装置1をスロット20の壁に固定するための接触ばね19が具備される。印字ヘッド10は、共通の液タンク5(図11には図示されていない)を備える。装置1に向かうタンク5の壁は、円形の開口を有する弾性のあるゴムにより製作されており、管3の入口端部22は単純に開口に挿入される。この構造は固有に簡潔であり、吐出装置1の素早く問題のない変更を可能にする。
【0054】
図12a、b及び13a、bは、代案を示しているが、同様な実施の形態である。ここでは吐出装置1は、ケース21に囲まれているので、装置1及びケース21は共に、印字ヘッド10内で交換可能なユニットを構成する。ケース21は、開口23を通り液の吐出を可能にするために、ノズルにおいて開口23を具備する。この解決方法は、より複雑であるが、繊細なノズルにはより良好な保護を提供する。更にノズルの汚染及びノズル間の相互汚染はより良好に防止される。
【0055】
本発明による液体吐出装置には、多くの利点がある。溶剤あるいは印字インクであろうと、それは任意の種類の液の吐出に適している。液の吐出量、及び液滴の反復速度と同様に液滴質量は、広い範囲で変化可能である。装置は平らで、小さいので、印字システムにおいて適用可能であり、その一方で非常に高速(1から2m/s)の印字を提供可能である。装置及び印字ヘッドは、コンピュータ制御されても良く、精巧な電気システムは必要ではない。装置は、製造費用を減少する簡単な機械的構造を有しており、交換と同様に清掃も簡単である。本発明をテストするために、十分な機能を有する試作装置が製作されている。テストの結果により、本発明が実際に適用可能なことが示された。印字ヘッドは、特定の共振周波数で液滴を吐出することが実証された。液の吐出量は、振動の振幅と同様に、スウィッチオン時間の長さに比例する。実行例では、液の吐出量、印字におけるインク量、の制御の正しい方法は、スウィッチオン時間の変化と考えられ、その一方で振動の振幅は一定に保持する。
【0056】
本発明は図面で示され、記述により説明される実施の形態に限られるだけではなく、当業者にとって明らかな別の実施の形態を含むことを意味する。例えば、本発明による吐出装置は、染料又はインク以外の別の種類の液体の吐出に同様に適する。特に少量の薬品の吐出もまた、本発明の思想の可能な用途として考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明による液体吐出装置の基本的な要素の概要的な図式図である。
【図2】 図2(2a、2b)は、本発明による装置の好適な実施の形態のそれぞれ側面及び前面図である。
【図3】 図3は、本発明による印字ヘッドを使用した形態における吐出装置の列の図式的な立体図である。
【図4】 図4(4a、4b)は、本発明による装置に使用される振動手段の提案の実施の形態を示す。
【図5】 図5は、共振器の運転の基本を示す送信器・共振器アセンブリの側面図である。
【図6】 図6(6a、6b)は、共振器・液管ユニットの2つの異なる実施の形態を示す。
【図7】 図7(7a、7b)は、本発明による吐出装置の運転の基本を示す。
【図8】 図8(8aから8c)は、本発明による装置によるピクセル色調の調整を図示する。
【図9】 図9(9a、9b)は、単一の液の吐出を実行するための駆動信号の形状を示す。
【図10】 図10(10a、10b)は、本発明による印字ヘッドに設置するためのピクセルユニットを示す。
【図11】 図11は、図10a、10bのピクセルユニットを使用する印字ヘッドの一部分を横切る横断面を示す。
【図12】 図12(12a、12b)は、本発明による印字ヘッドに設置するためのピクセルユニットのこれとは別の実施の形態を示す。
【図13】 図13(13a、13b)は、これとは別の印字ヘッドの一部分を横切る横断面図、及び図12a、12bのピクセルユニットを使用する印字ヘッドの図式的な立体図を示す。
【図14】 図14は、本発明による装置における液吐出サイクルにおいて、ピクセルカバー範囲(色調)の時間依存を図示する。

Claims (21)

  1. 液体、染料を吐出するための装置において、該装置が、
    液タンク(5)と、吐出ノズル(7)を具備する細長い管状の液管(3)とを具備しており、
    そこでは液タンク(5)から吐出ノズル(7)に液(6)を供給するための液タンク(5)に、液管(3)の端部が接続しており、液管(3)の軸線に対して垂直な方向に吐出ノズル(7)が振動するように、前記垂直な方向における前記吐出ノズルの振動作用を誘導するための振動手段を更に具備しており、
    振動手段が、前記振動手段により規定される方向において、前記軸線に対して垂直な方向における前記吐出ノズル(7)の振動作用を生成するように適合されており、該軸線に対して垂直な方向の振動作用により、管(3)の軸線に対して垂直な方向でノズル(7)から液を離れさせるために十分なノズル(7)の加速を結果として生じることを特徴とする
    液体を吐出するための装置。
  2. 液管(3)は吐出ノズル(7)と一体であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  3. 液管(3)の自由端は、前記液管(3)の軸線に対して角度を付けて切断されており、切断された自由端は吐出ノズル(7)として機能することを特徴とする請求項2に記載の装置。
  4. 振動手段は、圧電式送信器(4)を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
  5. 液管(3)は中空の金属管であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
  6. 送信器(4)は共振器(2)を介して液管(3)に取り付けられることを特徴とする請求項4に記載の装置。
  7. 送信器(4)、共振器(2)及び液管(3)が共振ユニットを構成することを特徴とする請求項4又は6に記載の装置。
  8. 共振器(2)は、その自由端(11)に近接する液管(3)に直接又は間接に取り付けられた平らな鋼板であることを特徴とする請求項6又は7に記載の装置。
  9. 液タンク(5)及び液管(3)のうちの少なくともいずれか一方内の液体(6)の圧を変化させるための手段を具備することを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載の装置。
  10. 送信器(4)は円形のディスク形状の圧電式送信器(4)であり、前記鋼板は、円形部分と一体の三角形伸長部を有する円形部を有する液滴形状であり、送信器(4)は同心円位置において円形部分に平行に取り付けられており、三角形伸長部の頂点は液管(3)に取り付けられることを特徴とする請求項に記載の装置。
  11. 前もって決められた可変の周波数で送信器(4)を駆動するための外部から制御される駆動手段を更に具備することを特徴とする請求項4,6,7及び10のいずれか一項に記載の装置。
  12. 印字媒体(M)の前もって決められた制御された位置で、制御された量の染料の吐出のための複数の液体吐出手段を具備する印字ヘッド(10)において、液体吐出手段が、
    請求項1から11のいずれか一項に記載の液体吐出装置(1)を具備する
    複数の液体吐出手段を具備する印字ヘッド(10)。
  13. 液体吐出装置(1)を受容するための平行なスロット(20)を具備することを特徴とする請求項12に記載の印字ヘッド(10)。
  14. スロット(20)の壁に液体吐出装置(1)を固定するための接触ばね(19)を更に具備することを特徴とする請求項13に記載の印字ヘッド(10)。
  15. 線(L)に配置された複数の液体吐出装置(1)を具備しており、線(L)に平行な方向で液体吐出装置(1)の少なくともノズル(7)の移動する動きのための動く手段を更に具備することを特徴とする請求項12から14のいずれか一項に記載の印字ヘッド。
  16. 線(L)に垂直な方向において、液体吐出装置(1)のノズル(7)の追加的な移動する動きのための調整手段であって、各ノズル(7)に対して共通の調整手段を具備するか、又は各ノズルに対して個別に調整手段を具備することを特徴とする請求項12から15のいずれか一項に記載の印字ヘッド。
  17. 印字媒体(M)供給機構(G、EM、D、R)と、印字媒体(M)の前もって決められた制御された位置において制御された量で染料を吐出するための少なくとも1つの印字ヘッド(10)と、を有する印字システムにおいて、該印字システムが、請求項12から16のいずれか一項に記載の印字ヘッド(10)を具備することを特徴とする印字システム。
  18. 前もって決められた色に設定された各印字ヘッドの状態の複数の印字ヘッドを具備することを特徴とする請求項17に記載の印字システム。
  19. 液体を吐出するための装置において、該装置が、
    吐出ノズル(7)と、吐出ノズル(7)に接続する細長い管状の液管(3)とを具備しており、
    液管(3)の軸線に対して垂直な方向に吐出ノズル(7)が振動するように、前記垂直な方向における前記吐出ノズルの振動作用を誘導するために、ノズル(7)に直接的又は間接的に運転可能に接続する振動手段を更に具備しており、
    振動手段が、前記振動手段により規定される方向において、前記軸線に対して垂直な方向における前記吐出ノズル(7)の振動作用を生成するように適合されており、該軸線に対して垂直な方向の振動作用により、管(3)の軸線に対して垂直な方向でノズル(7)から液を離れさせるために十分なノズル(7)の加速を結果として生じることを特徴とする
    液体を吐出するための装置。
  20. 液タンク(5)に前記液管(3)を接続するための手段を更に具備することを特徴とする請求項19に記載の装置。
  21. 液を吐出させるための、開口(23)を有する保護ケース(21)を更に具備することを特徴とする請求項19又は20に記載の装置。
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