JPH1058673A - インクジェット記録ヘッド - Google Patents

インクジェット記録ヘッド

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Publication number
JPH1058673A
JPH1058673A JP21749996A JP21749996A JPH1058673A JP H1058673 A JPH1058673 A JP H1058673A JP 21749996 A JP21749996 A JP 21749996A JP 21749996 A JP21749996 A JP 21749996A JP H1058673 A JPH1058673 A JP H1058673A
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JP
Japan
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ink
nozzle
liquid
longitudinal wave
recording head
Prior art date
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Pending
Application number
JP21749996A
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English (en)
Inventor
Koichi Haga
浩一 羽賀
Ichiro Asai
市郎 浅井
Shinobu Koseki
忍 小関
Yoshiyuki Shiratsuki
好之 白附
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Publication date
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 微小なノズルを必要とせず、小径のインク滴
を飛翔可能なエネルギー効率の良いインクジェット記録
ヘッドを提供する。 【解決手段】 円筒状のノズル1に圧電材料等の振動部
材2が設けられており、ノズル1の内部にはインク3が
供給されている。このとき、インク3の底面から液面ま
での距離が、振動部材2によりインク3中に発生される
縦波の波長以下となるように構成されている。振動部材
2にある周波数で電界を与え、ノズル1の壁面と垂直方
向に振動させると、インク3の液面近傍では、円筒の中
心に向かって縦波が発生する。この縦波は、インク3の
底面および液面に規制されて伝播し、ノズル1の中心の
小さなエリアに効率よく集中する。そのため、小径のイ
ンク滴を効率よく吐出させることができる。この液滴を
被記録媒体に付着させ、記録を行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、振動を利用してイ
ンクを飛翔させるインクジェット記録ヘッドに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来よりノズルからインク滴を必要に応
じて吐出させて印字を行なう、いわゆるオンデマンド型
のインクジェット式記録方式があり、代表的な方式とし
てピエゾ振動子型とサーマル型がある。ピエゾ振動子型
はインク室に付設された圧電素子にパルス電圧を印加
し、圧電素子を変形させることによりインク室内のイン
ク液圧を変化させ、ノズルからインク滴を吐出させて記
録用紙にドットを記録するものである。サーマル型は、
インク室内に設けた加熱手段によりインクを加熱し、こ
れにより発生したバブルによりノズルからインク滴を吐
出させて記録用紙にドットを記録するものである。
【0003】これらインクジェット技術においては、従
来、解像度が300dpi程度であったが、昨今その解
像度が600から720dpiと高解像度化されてき
た。それに伴い、高解像度化による効果を有効に発揮す
るためには解像度に応じて印字するドット径を小さくす
る必要がある。従来の方式においてドット径を小さくす
る方法として、ノズル径を小さくする方法がある。しか
しながらノズル径を小さくすると、ゴミやノズル内のイ
ンク液面の乾燥によるノズルの詰まりや、ノズル円周部
への残滓の付着によるインク吐出方向の変化が発生しや
すくなる。そのため、記録紙上の画質に欠陥が発生し、
本来の解像度に対応したドット径を印字するために必要
なノズル径を採用出来ないという問題があった。
【0004】これに対し、近年、表面弾性波を用いたイ
ンクジェット記録方式が提案されている。例えば、特開
昭54−10731号公報には、液室内に設けた交差指
電極により表面弾性波を形成し、その漏洩レイリー波に
よりインクを振動させ、スリットまたはノズルからイン
ク滴を吐出させる構成が記載されている。また、特開昭
62−66943号公報においては、液室底部に交差指
電極を同心円状に形成し、インク中に漏洩レイリー波を
コーン状に形成し、その焦点近傍にインク液面を設ける
ことにより、インク中を伝播した振動エネルギーをイン
ク液面に集中させ、インク滴を吐出させるものが提案さ
れている。
【0005】これら方式においては、形成されるインク
滴の大きさはノズル径に直接影響されることがないた
め、インクの吐出口を小さくする必要はなく、またスリ
ット形状でも本質的に問題はない。しかし、表面弾性波
を発生させる交差指電極がインク中に配置されているた
め、高周波振動により電極材料とインク中の成分が反応
して電極が溶出したり、インク成分の電極への付着等の
問題が発生する。また漏洩レイリー波がインク中を伝搬
する際に減衰し、エネルギー効率が低いといった問題が
ある。
【0006】これら問題に対し、表面弾性波を用いた新
しいインクジェット記録方式が提案されている。特開平
2−269058号公報に記載されている装置はその一
例である。図15は、従来の表面弾性波を用いたインク
ジェット記録方式の原理説明図である。図中、31は圧
電基板表面、32は交差指電極、33は圧電基板、34
はインク、35は液滴、36は高周波電源である。圧電
基板33の表面31には交差指電極32が形成されてい
る。この交差指電極32に高周波電源36から高周波電
圧を印加し、発生した表面弾性波の伝搬路上にインク3
4を置く。すると、表面弾性波はインク34と接触する
ことにより振動エネルギーがインク34に漏洩し(漏洩
レイリー波の発生)、これによりインク34の一部が液
滴35となって飛翔する。この方式においては、交差指
電極32は直接インク34と接することはなく、また小
さなノズルを形成する必要もないため、上述の方式のよ
うな信頼性に関する問題が発生することがない。
【0007】しかしながらこの構成においては、電極と
して平行な交差指電極を用いているため、表面弾性波が
伝搬方向以外にも伝搬し、エネルギー効率が悪く、また
クロストークの原因となっており、インクから飛翔する
液滴の方向やサイズは前述の従来例に比べて極めて不安
定である。表面弾性波の伝搬の指向性を高くするために
は、交差指電極の幅dを少なくとも波長λの10倍以上
とする必要がある。また、液滴の径は交差指電極の幅d
に依存しているため、小径の液滴を形成するには波長λ
を短くする必要がある。しかしながら波長λを短くする
ことは発振周波数を高くすることになり、高価な電源を
必要とするため、むやみに発振周波数を高くすることが
できないといった問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した事
情に鑑みてなされたもので、微小なノズルを必要とせ
ず、小径のインク滴を飛翔可能なエネルギー効率の良い
インクジェット記録ヘッドを提供することを目的とする
ものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、インクジェット記録ヘッドにおいて、液体インク
と、振動により前記液体インク中の液面近傍に縦波を発
生させ該縦波を前記液体インクの液面と略平行な方向に
伝播集中させて前記液体インクの液滴を飛翔させる振動
発生手段を有し、前記液体インクの底面か液面までの距
離が前記縦波の1波長以下であることを特徴とするもの
である。
【0010】請求項2に記載の発明は、インクジェット
記録ヘッドにおいて、内側に液体インクを保持させたノ
ズルと、該ノズルに形成され振動により前記液体インク
中の液面近傍に縦波を発生させ該縦波を前記液体インク
の液面と略平行な方向に前記ノズルの中心軸方向に伝播
集中させて前記液体インクの液滴を飛翔させる振動発生
手段を有し、少なくとも前記ノズルの中心軸及びその近
傍において前記液体インクの底面から液面までの距離が
前記縦波の1波長以下であることを特徴とするものであ
る。
【0011】請求項3に記載の発明は、請求項1また2
に記載のインクジェット記録ヘッドにおいて、前記振動
発生手段は、圧電性円筒状部材または複数の圧電性部材
によって構成されていることを特徴とするものである。
【0012】請求項4に記載の発明は、請求項2に記載
のインクジェット記録ヘッドにおいて、前記ノズルの側
面底部に1以上のインク供給孔を有することを特徴とす
るものである。
【0013】請求項5に記載の発明は、請求項2に記載
のインクジェット記録ヘッドにおいて、前記ノズルの底
面に1以上のインク供給孔を有することを特徴とするも
のである。
【0014】請求項6に記載の発明は、請求項2に記載
のインクジェット記録ヘッドにおいて、前記ノズルの底
面に凸部を設け、少なくとも前記ノズルの中心軸及びそ
の近傍において前記液体インクの底面から液面までの距
離が前記縦波の1波長以下となるように構成したことを
特徴とするものである。
【0015】請求項7に記載の発明は、請求項2ないし
6のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッドに
おいて、前記ノズルと前記振動発生手段の組をライン状
に配置したことを特徴とするものである。
【0016】請求項8に記載の発明は、請求項2ないし
6のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッドに
おいて、前記ノズルと前記振動発生手段の組をマトリク
ス状に配置し、各行または各列に並ぶ前記ノズルと前記
振動発生手段の組を列または行方向に異なった位置に配
置したことを特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】図1は、本発明のインクジェット
記録ヘッドの第1の実施の形態を示す断面図、図2は、
同じく平面図である。図中、1はノズル、2は振動部
材、3はインクである。図2は図1をA方向から見た図
である。ノズル1は円筒状をしており、その内部にはイ
ンク3が供給されている。このとき、ノズル1に供給さ
れたインク3は、インク3の底面から液面までの距離が
振動部材2によりインク3中に発生した縦波の波長以下
となるようにする。
【0018】振動部材2は、電界により機械歪みを生じ
る材料で構成され、例えば、チタン酸バリウム、ニオブ
酸リチウム、チタン酸ジルコン酸鉛、酸化亜鉛などの圧
電材料が用いられる。ここでは、振動部材2は一体の円
筒状の圧電材料を用いており、ノズル1の円周上に配置
している。これに限らず、いくつかの部材に分割して複
数の円弧状の振動部材をノズル1の全周に配置したり、
ノズル1の円周上に間欠的に配置することもできる。ま
た、ノズル1の断面形状は円に限らず、正n角形など、
種々の形状とすることができ、振動部材によって発生し
た縦波が1点に集中するように、振動部材を配置すれば
よい。
【0019】図1に示した例では、振動部材2がノズル
の外側に配置されているが、振動部材2がノズルの内側
に配置されていても、さらにノズルそのものが振動部材
2であっても同様である。
【0020】なお、ここではノズル1の底部は、他のノ
ズルを介して、あるいは直接、インク3を供給する図示
しないインク供給機構あるいは供給されたインクを一時
的に貯蔵する図示しないインク室に接続される。
【0021】図3は、本発明のインクジェット記録ヘッ
ドの第1の実施の形態における動作原理を説明する平面
図、図4は、同じく断面図である。振動部材2に電界を
与え、図3に示すようにノズル1の壁面と垂直方向にあ
る周波数で振動させると、インク3の液面下では、円筒
の中心に向かって縦波が発生する。この縦波はノズル1
の壁面全体から同心円状に中心に集まってくるため、ノ
ズル1の壁面から与えられた振動エネルギーは円筒の中
心に集中する。このため、ある周波数で十分な振動強度
を与えると、図4に示すように円筒状のノズル1の中心
近傍のインクの液面から液滴が吐出する。この液滴を被
記録媒体に付着させることによって記録を行なうことが
できる。
【0022】このような動作を行なわせる際に、インク
3の底面から液面までの距離が、振動部材2によりイン
ク中に発生した縦波の波長以下となるようにすると、振
動エネルギーは、インク3の液面付近にきわめて効率よ
く与えられ、かつ安定な液滴形成を実現できる。図5〜
図9を用いて説明する。
【0023】図5は、インクの底面から液面までの距離
と飛翔インク滴径との関係を示すグラフである。インク
3の底面から液面までの距離を変化させ、インク3の液
面から飛翔した液滴径の関係を調べる実験を行なったと
ころ、図5に示すような結果が得られた。図5からわか
るように、インク3の液面から飛翔した液滴の径は、振
動部材2から与えられた縦波の波長(λ)より大きい
と、非常に不安定であることが分かる。これは、ノズル
1の中心に集中してきた縦波によって形成されるインク
が飛翔しようとするエリアの形状によるものと考えられ
る。
【0024】図6は、インクの底面から液面までの距離
が振動発生部材により液体インクに発生した縦波の波長
以下である場合において、インクが飛翔しようとするエ
リアを示す模式図である。また、図7は、インクの底面
から液面までの距離が振動発生手段により液体インクに
発生した縦波の波長以上である場合において、インクが
飛翔しようとするエリアを示す模式図である。図中、イ
ンク3の中央付近にハッチングを変えて示す部分が、集
中してきた縦波によってインク3が飛翔しようとするエ
リアである。
【0025】図6、図7に示すように、集中してきた縦
波によってインク3が飛翔しようとするエリアは、イン
ク3の液面と水平な方向に関しては、1波長前後であ
る。従って、図6に示すように、インク3の底面から液
面までの距離が振動部材2によりインク3中に発生した
縦波の波長以下の場合は、集中してきた縦波によってイ
ンク3が飛翔しようとするエリアはへん平な円柱状にな
る。これに対して、図7に示すように、インク3の底面
から液面までの距離が振動部材2によりインク3中に発
生した縦波の波長以上の場合は、集中してきた縦波によ
ってインク3が飛翔しようとするエリアは縦長の円柱状
になる。図6に示すへん平な円柱状のエリアは、その全
体が安定に飛翔するが、図7に示す縦長の円柱状のエリ
アは、その全体が安定に飛翔するには至らず、部分的に
飛翔するにとどまる場合があるものと考えられる。ま
た、エネルギー効率に関しても、インク3全体からへん
平な円柱状のエリアを切り離して液滴を形成するより
も、インク3全体から縦長の円柱状のエリアを切り離し
て液滴を形成する方が、はるかにエネルギーを要する。
【0026】また、エネルギー効率に関して以下のよう
なこともいえる。図8は、インクの底面から液面までの
距離が振動発生部材によりインクに発生した縦波の波長
以下である場合において、インクに発生した縦波の伝播
状態を説明するための模式図である。また、図9は、イ
ンクの底面から液面までの距離が振動発生部材によりイ
ンクに発生した縦波の波長以上である場合において、イ
ンクに発生した縦波の伝播状態を説明するための模式図
である。図中の矢印は、ノズル1の壁面からインク3に
与えられた縦波の進行方向を示す。
【0027】図8に示すように、インク3の底面から液
面までの距離が振動部材2によりインク3中に発生した
縦波の波長以下の場合は、インク3が振動部材2から与
えられた縦波は、インク3の液面および液底方向には進
行できず、液面及び液底によって規制されて円筒状のノ
ズル1の中心軸付近に向かって進行していく。そのた
め、振動エネルギーが円筒状のノズル1の中心軸付近に
十分に集中する。
【0028】これに対し、図9に示されるように、イン
ク3の底面から液面までの距離が振動部材2によりイン
ク3中に発生した縦波の波長以上の場合は、インク3が
振動部材2から与えられた縦波の一部は液底方向にも進
行していくため、振動エネルギーが円筒状のノズル1の
中心軸付近に十分に集中しにくい。そのため、インク3
の飛翔に用いられるエネルギーの一部は失われ、エネル
ギー効率は低下する。
【0029】図10は、インクの底面から液面までの距
離が短い場合において、インクに発生した振動エネルギ
の進行方向を説明するための模式図である。また、図1
1は、インクの底面から液面までの距離が振動発生手段
によりインクに発生した縦波の波長以上である場合にお
いて、インクに発生した振動エネルギの進行方向を説明
するための模式図である。図中の矢印は、ノズル1の壁
面からインク3に与えられた振動エネルギーの進行方向
を示す。
【0030】インク3の底面から液面までの距離が短い
場合は、図10に示すように、円筒状のノズル1の中心
軸付近に集中した振動エネルギーは、液底方向には進行
することができず、中心軸付近に集中した振動エネルギ
ーほとんどすべてが、インク3の吐出方向に向かう。こ
れに対し、インク3の底面から液面までの距離がある程
度以上長くなると、図11に示すように、円筒状のノズ
ル1の中心軸付近に集中した振動エネルギーは、インク
3の吐出方向のみならず、インクの液底方向にも向か
う。
【0031】このように、インク3の底面から液面まで
の距離が短いほうが、円筒状のノズル1の中心軸付近に
集中した振動エネルギーは、インク3の液面付近に効率
よく与えられることになる。
【0032】以上の理由により、インク3の底面から液
面までの距離が振動部材2によりインク3中に発生した
縦波の波長以下となるようにすると、インク3に与えら
れた振動エネルギーは、インク3の液面付近にきわめて
効率よく与えられ、かつ安定な液滴形成を実現すること
ができる。
【0033】具体例として、縦波の進行速度が約150
0m/sの液体のインク3を使用し、15MHzの周波
数で振動部材2によりインク3中に振動を与えた。この
ときの縦波の波長は約100μmとなるので、インク3
の底面から液面までの距離を90μmに調整した。この
とき、直径約50μmの液滴が生じた。また、振動部材
2を複数の円弧状の振動部材にした場合も、振動させる
位相を合わせることにより、同様に円筒形ノズル1の中
心よりインク3の吐出が可能であった。
【0034】図12は、本発明のインクジェット記録ヘ
ッドの第2の実施の形態を示す断面図である。図中、図
1と同様の部分には同じ符号を付して説明を省略する。
11はインク流路、12はインク通路穴、13は中心底
面である。上述の第1の実施の形態では、インク3の供
給はノズル1の下部の側方からなされるものであった
が、これに限るものではない。例えば、インク供給はノ
ズル底側からなされてもよい。図12にその一例を示
す。
【0035】図12ではインク流路11の上壁にノズル
1を設け、ノズル1の底面、すなわちインク流路11の
上壁にインク通路穴12を設けてある。このとき、イン
ク通路穴12は、ノズル1の中心およびその付近を避け
て設ける。
【0036】上述のように、インク3の底面から液面ま
での距離がインク3中に発生した縦波の1波長以下であ
れば、効率よくインクを吐出することができるが、これ
は特に図6、図7で示したインクが飛翔しようとするエ
リア及びその近傍においてこのような条件を満たしてい
ればよいと考えられる。このようなことから、図12に
示した例においては、ノズル1の中心部における底面で
ある中心底面13からインク3の液面までの距離がイン
ク3中に発生した縦波の1波長以下であれば、上述の第
1の実施の形態で述べたような本発明の効果が得られ
る。
【0037】ただし、図9にも示したように、縦波は振
動部材2で発生してから拡散するので、ノズル1の中心
点だけ、インク3の底面から液面までの距離が短くても
拡散した縦波のエネルギーは使用されないことになる。
そのため、ノズル1の中心を含むなるべく広い範囲でイ
ンク3の底面から液面までの距離が短い方が、振動エネ
ルギーを効率よく使用できるから、インク流路11の上
壁のインク通路穴12は、なるべくノズル1の周辺部に
配置した方が、より本発明の効果が得られる。
【0038】なお、縦波の1波長が非常に短い場合は、
インク3の底面から液面までの距離をそれ以下にする
と、非常に乾きやすく安定した液面が得られにくいとい
う問題がある。その場合、この第2の実施の形態に示し
た構成のようにノズル1の下方のインク流路11から、
インク通路穴12を経てインク3を供給した方が安定し
た液面を確保しやすい。また、インク通路穴12を複数
設けると、インク3の供給時の流路抵抗が減少し、リフ
ィル速度を向上させることができる。
【0039】図13は、本発明のインクジェット記録ヘ
ッドの第3の実施の形態を示す断面図である。図中、図
12と同様の部分には同じ符号を付して説明を省略す
る。14は凸部である。この実施の形態では、縦波の集
中点の近傍だけ、インクの底面を高くした例を示してい
る。すなわち、ノズル1の底面に凸部14を設け、イン
ク3の中心底面13から液面までの距離をインク3中に
発生した縦波の1波長以下としている。このような構成
によっても、本発明の効果が得られる。
【0040】なお、図12に示した第2の実施の形態と
同様、凸部14のインク3の底面となる部分は広い方が
より効果的である。また、インク3は凸部14の周囲か
ら行なうことができる。この凸部14は、一部がノズル
1の側壁と連続していてもよい。
【0041】図14は、本発明のインクジェット記録ヘ
ッドの第4の実施の形態を示す構成図である。図中、2
1は基板、22はインク室、23はインク供給管であ
る。上述の各例は、一つのノズルについてのみ示してい
るが、これらを複数配置することもできる。図14に示
す第4の実施の形態では、図1、図2に示した第1の実
施の形態におけるノズル1をマトリクス状に配置した例
を示している。
【0042】基板21には、ノズル1となる開口をマト
リクス状に穿設してある。この開口の形成は、例えばレ
ーザーにより行なうことができる。このとき、コストを
重視する場合にはスループットのよいCO2 レーザー、
熱のダメージやクラックの発生に配慮する場合にはエキ
シマレーザーによる加工がよい。さらにコストを低減し
たい場合にはドリル加工やパンチングを用いることも可
能である。
【0043】ノズル1は、図14(A)に示した例で
は、横方向に直線状に配列し、その配列方向と直交する
方向には他のノズルが配置されないように、他のノズル
を少しずつ横方向にずらして配置している。このような
配置の記録ヘッドと被記録媒体とを上下方向に相対的に
移動させながら記録を行なうことによって、ノズル1の
横方向の配列間隔よりも記録密度の高い記録を行なうこ
とができる。
【0044】各ノズル1には、それぞれ振動部材2が設
けられている。この振動部材2に電気的エネルギーを供
給するため、図14(A)に示すように、縦方向のリー
ドA1〜A5と、横方向のリードB1〜B6が配設され
ている。ここで一方のリードA1〜5のいずれかと、他
方のリードB1〜6のいずれかを選択して電気的エネル
ギーを供給することにより、一つのノズル1に対応する
振動部材2が選択的に動作し、励振することが可能とな
る。この選択動作と動作タイミングおよび被記録媒体と
の相対的移動を画像データに応じて制御することによっ
て、被記録媒体への画像の記録を行なうことができる。
なお、図14(A)は模式的に示したものであり、実際
は図14(A)のリードA1〜A5とリードB1〜B6
の交点にあたる点では振動部材2の両電極にそれぞれが
接続されている。
【0045】また、各ノズル1においては、インクを飛
翔させた後、飛翔させた分のインクを供給し、次のイン
クの飛翔に備える必要がある。そのため、この例では図
14(B)に示すように、基板21の下部にインク室2
2を設け、インクを貯留しておくとともに、インク供給
管23を介して図示しないインクタンクから一定の圧力
でインク室22へインクを供給するように構成すること
ができる。これにより、ノズル1におけるインク面の位
置を常に一定に保ち、被記録媒体との距離を一定に保っ
て記録されるドットをそろえることができるので、高品
質の記録を行なうことができる。
【0046】図14にはマトリクスの配置構成を示した
が、これに限らず、1ラインのみの構成も可能である。
また、図14では個々のノズルを円筒形として示した
が、例えば、複数のノズルに共通のスリットとして形成
し、ノズルに対応する位置の片側あるいは両側に例えば
円弧状の振動部材を配置し、その円弧の中心部からイン
ク滴を飛翔させる構成も可能である。
【0047】図14では、第1の実施の形態で示した構
成を用いてマルチノズル化したが、これに限らず、例え
ば、第2、第3の実施の形態に示した構成を用いてマル
チノズル化することも可能である。例えば、第2の実施
の形態で示した構成では、インク流路11をインク室と
して用い、インク室の上壁に複数のノズルおよびインク
通路穴12を設ければよい。また、第3の実施の形態で
示した構成においても、インク流路11をインク室と
し、インク室の上壁に上述の第4の実施の形態と同様に
してノズルを設けるとともに、インク室の底面に複数の
ノズルに対応した凸部14を設ければよい。このような
第2、第3の実施の形態への応用は、例えば、上述のス
リットを用いる構成に対しても適用可能である。
【0048】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、インクの底面から液面までの距離が振動部材
によりインクに発生した縦波の波長以下であるように構
成し、インクの液面近傍に振動エネルギーを加え、イン
クの液面と略平行な方向に振動エネルギーを伝播集中さ
せる構成であるため、エネルギー効率が高く、更には振
動エネルギーを微小領域に集中させることができるの
で、小さな液滴をインクの液面に垂直な方向に精度よく
吐出させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のインクジェット記録ヘッドの第1の
実施の形態を示す断面図である。
【図2】 本発明のインクジェット記録ヘッドの第1の
実施の形態を示す平面図である。
【図3】 本発明のインクジェット記録ヘッドの第1の
実施の形態における動作原理を説明する平面図である。
【図4】 本発明のインクジェット記録ヘッドの第1の
実施の形態における動作原理を説明する断面図である。
【図5】 インクの底面から液面までの距離と飛翔イン
ク滴径との関係を示すグラフである。
【図6】 インクの底面から液面までの距離が振動発生
部材により液体インクに発生した縦波の波長以下である
場合において、インクが飛翔しようとするエリアを示す
模式図である。
【図7】 インクの底面から液面までの距離が振動発生
手段により液体インクに発生した縦波の波長以上である
場合において、インクが飛翔しようとするエリアを示す
模式図である。
【図8】 インクの底面から液面までの距離が振動発生
部材によりインクに発生した縦波の波長以下である場合
において、インクに発生した縦波の伝播状態を説明する
ための模式図である。
【図9】 インクの底面から液面までの距離が振動発生
部材によりインクに発生した縦波の波長以上である場合
において、インクに発生した縦波の伝播状態を説明する
ための模式図である。
【図10】 インクの底面から液面までの距離が短い場
合において、インクに発生した振動エネルギの進行方向
を説明するための模式図である。
【図11】 インクの底面から液面までの距離が長い場
合において、インクに発生した振動エネルギの進行方向
を説明するための模式図である。
【図12】 本発明のインクジェット記録ヘッドの第2
の実施の形態を示す断面図である。
【図13】 本発明のインクジェット記録ヘッドの第3
の実施の形態を示す断面図である。
【図14】 本発明のインクジェット記録ヘッドの第4
の実施の形態を示す構成図である。
【図15】 従来の表面弾性波を用いたインクジェット
記録方式の原理説明図である。
【符号の説明】
1…ノズル、2…振動部材、3…インク、11…インク
流路、12…インク通路穴、13…中心底面、14…凸
部、21…基板、22…インク室、23…インク供給
管。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 白附 好之 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーン テクなかい富士ゼロックス株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体インクと、振動により前記液体イン
    ク中の液面近傍に縦波を発生させ該縦波を前記液体イン
    クの液面と略平行な方向に伝播集中させて前記液体イン
    クの液滴を飛翔させる振動発生手段を有し、前記液体イ
    ンクの底面か液面までの距離が前記縦波の1波長以下で
    あることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 内側に液体インクを保持させたノズル
    と、該ノズルに形成され振動により前記液体インク中の
    液面近傍に縦波を発生させ該縦波を前記液体インクの液
    面と略平行な方向に前記ノズルの中心軸方向に伝播集中
    させて前記液体インクの液滴を飛翔させる振動発生手段
    を有し、少なくとも前記ノズルの中心軸及びその近傍に
    おいて前記液体インクの底面から液面までの距離が前記
    縦波の1波長以下であることを特徴とするインクジェッ
    ト記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記振動発生手段は、圧電性円筒状部材
    または複数の圧電性部材によって構成されていることを
    特徴とする請求項1また2に記載のインクジェット記録
    ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記ノズルの側面底部に1以上のインク
    供給孔を有することを特徴とする請求項2に記載のイン
    クジェット記録ヘッド。
  5. 【請求項5】 前記ノズルの底面に1以上のインク供給
    孔を有することを特徴とする請求項2に記載のインクジ
    ェット記録ヘッド。
  6. 【請求項6】 前記ノズルの底面に凸部を設け、少なく
    とも前記ノズルの中心軸及びその近傍において前記液体
    インクの底面から液面までの距離が前記縦波の1波長以
    下となるように構成したことを特徴とする請求項2に記
    載のインクジェット記録ヘッド。
  7. 【請求項7】 前記ノズルと前記振動発生手段の組をラ
    イン状に配置したことを特徴とする請求項2ないし6の
    いずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
  8. 【請求項8】 前記ノズルと前記振動発生手段の組をマ
    トリクス状に配置し、各行または各列に並ぶ前記ノズル
    と前記振動発生手段の組を列または行方向に異なった位
    置に配置したことを特徴とする請求項2ないし6のいず
    れか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
JP21749996A 1996-08-19 1996-08-19 インクジェット記録ヘッド Pending JPH1058673A (ja)

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JP21749996A JPH1058673A (ja) 1996-08-19 1996-08-19 インクジェット記録ヘッド

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999054140A1 (en) 1998-04-17 1999-10-28 The Technology Partnership Plc Liquid projection apparatus

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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