JP4249365B2 - 低減を用いたプリント方向誘導性色相シフトの補償 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタに関し、特に、カラーインクジェットプリンタにおける方向誘導性色相シフトを低減させるプリント技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンタは、よく知られており非常に普及している。特定のインクジェットプリンタの詳細については、本出願人に譲渡されたSteven Steinfeld等の「高解像度インクジェットプリンタにおける幅広スワス(swath)型ノズルアレイのための安定基板構造(Stable Substrate Structure for a Wide Swath Nozzle Array in a High Resolution Inkjet Printer)」と題する米国特許第5,648,806号に記載されている。
【0003】
インクジェットプリンタは、1つ又は2つ以上のプリントヘッドにおける精密に形成されたノズルからプリント媒体(典型的には紙面)上に微小なインク滴を吐出する。高品質カラーインクジェットプリンタは、減法混色の三原色、即ち、シアン、マゼンタ、及びイエローのカラーインク用のプリントヘッドと、これとは別のブラックインク用のプリントヘッドとを備えている。或るタイプのカラーインクジェットプリンタでは、四色のインクの各々毎の別個の交換可能なプリントカートリッジが走査キャリッジに搭載されている。別のタイプのカラーインクジェットプリンタでは、二色、三色、または四色の異なるカラープリントヘッドが同一プリントカートリッジに組み込まれている。キャリッジにおけるプリントヘッドの順序は、典型的には、ブラックのプリントヘッドが三原色のカートリッジの左側または右側に位置し、三原色の角カートリッジの順序は任意である。
【0004】
カラーイメージをプリントする場合には、三原色の小滴またはドットを様々な組み合わせでプリントすることにより、オリジナルのカラーイメージを再現するための所望のカラートーン(色調)即ち色相を達成する。1つのカラースポットに同一色のドットを多数用いて、その色の該カラースポットでの強度を高めることが可能である。プリントされるカラーイメージは、典型的には、プリンタに接続されたコンピュータのメモリにおいて、コンピュータモニタでの表示に適した、カラーイメージの連続的なカラースケールという形で得ることができる。連続的なイメージを離散的なドット表現へと変換する方法は、一般にハーフトーン化と呼ばれる。ハーフトーン化方法については、Robert Ulichneyによる書籍「ディジタルハーフトーン化(Digital Halftoning)」(the MIT Press,1987)に記載がある。
【0005】
インクジェットプリンタにおいて、プリントは、プリントヘッドがプリント媒体を横切って走査する際に行われる。プリントされるイメージと比べてプリントヘッドが一般にはるかに小さいため、イメージは、プリント媒体を横切る走査キャリッジの一回のパス(即ち一行程)でプリントされることになる適当なサイズの複数領域へと分割される。特定のインクジェットノズルを噴射してカラーイメージの特定領域をプリントする命令を作成するプロセスは、多くの場合シングルマスキング(shingle masking)またはシングリング(shingling)と呼ばれる(shingle:こけら板・小看板等)。シングリングはまた、インクドットを複数パスで塗り広げることによりプリント品質を向上させるためにも用いられる。
【0006】
高スループットを達成するために、即ち、1分あたりのプリント頁数を最大限にするために、プリントは双方向で行われる。双方向プリントでは、各パスは、その前のパスと反対の方向にプリントされる。ここでシングルパスプリントの場合について考察する。キャリッジがプリント媒体を横切って第1の方向に走査される際に第1の領域がプリントされる。次いで該プリント媒体が進行され、該媒体を横切ってキャリッジが反対方向に走査されて隣接領域がプリントされる。カラープリントヘッドがキャリッジにおいて一定の順序にあるため、キャリッジが反対方向に走査される際、各インクは反対の順序で紙面上にプリントされる。
【0007】
例えば、キャリッジにおけるペンの順序が、左から右に、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローとなっている場合に、キャリッジが左から右に走査されると、まずイエローがプリントされ、次いでイエローの上にマゼンタがプリントされ、マゼンタの上にシアンがプリントされ、そして最後にシアンの上にブラックがプリントされる。また、キャリッジが右から左に走査されると、ブラックが最初にプリントされ、その上にシアン、マゼンタ、そしてイエローがそれぞれプリントされる。このように隣接するパス間でプリント順序を反対にすると、各パス間で知覚可能な色相の変化、即ち色相シフトが発生し得る。例えば、濃赤色を作り出すためには、マゼンタとイエローのドットをプリントする。キャリッジが左から右に走査される場合には、マゼンタがイエローの上にプリントされる。また、キャリッジが右から左に走査される場合には、イエローがマゼンタの上にプリントされ、これは、イエローの上にマゼンタを重ねてプリントした色と比べてイエローを帯びた色を生成するものとなり得る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このため、カラーインクジェットプリンタにおける双方向プリントから生じる知覚可能な色相シフトを低減させる方法が必要とされている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
シングルマスキング工程でプリント方向に基づき低減シングルマスク(depleted shingle mask)を通常のシングルマスクに代えて用いることにより、カラーインクジェットプリンタでのプリント方向誘導性の色相シフトを補償する。方向依存性の低減シングルマスクを使用する場合、単位面積あたりにプリントされる所与のカラーのインク滴の数は、プリント媒体を横切ってプリントヘッドが走査される方向によって決まる。本発明の一実施形態によれば、オリジナルの連続的なカラースケールから形成された複合色調値によって索引付けされたルックアップテーブルを使用して低減率が提供される。低減率は、プリント方向依存性の低減シングルマスクを選択する確率として定義され、適切な全体的な低減レベルとなるものである。本実施形態では、低減率が、連続的なイメージを離散的なドットへとハーフトーン化する際に用いられる誤差拡散しきい値と比較されて、低減したインク量に関連するシングルマスク対をいつ呼び出すべきであるかを決定する。該方法は、誤差拡散しきい値その他のランダムなしきい値の生成手段を含むあらゆるハーフトーン化プロセスと共に使用することが可能である。
【0010】
【発明の実施の形態】
カラーインクジェットプリンタにおけるプリント方向誘導性色相シフトを補償する方法は、プリント方向に基づき通常のシングルマスクに代えて低減シングルマスクを使用するものである。
【0011】
該方法は、例えば、図1に示すカラーインクジェットプリンタ10において適用可能である。該カラーインクジェットプリンタ10は、カバー11と、未使用の用紙14を保持する用紙トレイ12と、プリント済み頁を受容する出力トレイ15と、カラーインクプリントカートリッジ16と、用紙にドットをプリントする際にスライドバー20に沿ってスライドする走査キャリッジ18とを備えている。一実施形態では、カラープリントカートリッジ16は、シアン(C)24、マゼンタ(M)26、イエロー(Y)28、及びブラック(K)22の各インクカートリッジを備えている。これらのカートリッジは、図2に示すように、走査キャリッジ18において、左から右にK、C、M、Yの順に配置される。CMY等の他のインクの組み合わせを使用することも可能である。
【0012】
図3は、プリントシステムの概要を示す説明図であり、該プリントシステムは、ホストコンピュータ22と、モニタ23(例えばCRT)と、プリンタ(例えばプリンタ10)とを備えている。プリンタ10は、プリントカートリッジ16によるドットのプリントを制御するプリンタコントローラ28も備えている。プリントカートリッジは、1インチあたり300ドット(300DPI)、600DPI、1200DPIまたはその他の任意の解像度でプリントを行うことが可能である。同一カラーの多数のインク滴を同一のピクセル位置に堆積させて多インク滴からなるインクスポットを媒体上にプリントする場合、プリントカートリッジ16を収容するキャリッジは、媒体を横切って何回も走査を行うことでこのように重なったドットをプリントすることが可能である。
【0013】
図4は、図5の実施態様により実行される一般的方法を示すフローチャートである。同図のフローチャートでは、プリンタによりプリントされるイメージは、最初にコンピュータ内で生成されるものと想定する。但し、オリジナルイメージは他の任意の手段により生成することが可能である。
【0014】
図4のステップ30で、コンピュータによりカラーイメージが生成され、従来の手段を用いてモニタ上に表示される。典型的なコンピュータは、加法混色の三原色である赤、緑及び青(RGB)を表示させるためのモニタ用の信号を生成する。それらの色を組み合わせることにより、数百万もの色、更にブラックも生成することができる。典型的には、三原色の各色毎に256レベルの強度が存在するため、三原色の各色を8ビットバイトを使用して識別することができる。典型的なコンピュータモニタは、75ドット/インチでイメージを表示する。24ビットのRGBによるカラーイメージは、モニタ23上に表示できるようにコンピュータ22のメモリに保持される。
【0015】
図4のステップ32で、RGBイメージは、プリンタ10の解像度のCMYKイメージ(ブラックインクを使用する場合)へと変換される。
【0016】
ステップ34で、CMYKイメージをハーフトーン化して、イメージを8ビット/カラーの4平面(CMYK)からプリンタのDPI解像度を有する出力カラーレベル(Lで示す)へと変換する。プリンタ10は、2レベル即ち二値プリンタとすることが可能であり、この場合には、出力カラーレベルには、オンドット又はオフドットに対応する0または1が指定される。代替的には、プリンタ10は4レベルプリンタとすることが可能である。この場合には、1つのインクの出力カラーレベルには、各ピクセル位置における1つのカラーインクの例えば、0、1、2、及び3個のインク滴にそれぞれ対応して0、1、2、または3が指定される。これとは別の出力カラーレベル0〜3と1レベルあたりのインク滴数との対応を用いることも可能である。一般に、出力カラーレベル0は、0個のインク滴に対応し、nレベルプリンタの場合、最大出力カラーレベルはn−1である。
【0017】
インクジェットプリントで一般に使用されているハーフトーン化方法は、誤差拡散技術に基づくものである。周知の誤差拡散技術については、R. FloydとL. Steinbergによる論文「空間グレイスケールのための適応アルゴリズム(Adaptive Algorithm for Spatial Gray Scale)」(SID Int'l. Sym. Digest of Tech. Papers, pp 36-37 (1975))に記載されている。
【0018】
誤差拡散では、特定の色のドットをプリントするか否か(又はどれほどの数のカラードットを重ねてプリントするか)に関する決定は、当該ピクセルの強度だけでなく、以前に処理された隣接ピクセルに以前に生じたことにも基づいて行われる。ドットをプリントすることが可能な各時点において、8ビット/カラーのCMYKイメージに格納された0〜255のオリジナルイメージのピクセル強度は、隣接ピクセルについての累積誤差により変更され、誤差拡散しきい値Thと比較される。該しきい値は、0〜255の範囲で増減し、ハーフトーン化プロセス全体を通して一定のテーブルから選択することが可能であり、または擬似ランダム的に選択することが可能である。ハーフトーン化プロセスについては、例えば、Gondekによる「誤差拡散ハーフトーン化に関するシアン及びマゼンタ平面の相関(Correlating Cyan and Magenta Planes for Error Diffusion Halftoning)」と題する米国特許出願第08/880,475号、及びHudsonとPritchardによる「テーブルベースの高速誤差拡散ハーフトーン化技術(Table Based Fast Error Diffusion Halftoning Technique)」と題する米国特許出願第08/961,047号に記載されている(これらは何れも本出願人に譲渡されたものである)。ステップ34では、誤差拡散しきい値Thを使用するあらゆるハーフトーン化プロセスを使用することが可能である。
【0019】
ステップ36で、CMYKイメージのC値、M値、及びY値の各々の上位ビット、即ちステップ34に入力される32ビットのうちの特定数を連結させることにより、TCで示す複合CMY色調を構成する。例えば、各色毎に3つの上位ビットを連結させて9ビットの数値を得ることにより色相補償にとって十分な解像度が提供される、と判断することが可能である。
【0020】
図4及び図5に示す実施形態では、マゼンタ及びイエローのインクにのみ色相補償を行っている。符号38〜47で示すステップは各カラー平面毎に別個に行われる。ステップ38で、現在のカラーがマゼンタであるか否かを決定する。現在のカラーがマゼンタである場合には、ステップ39で、ルックアップテーブル52への索引として複合色調TCを使用してマゼンタ低減率PMを得る。
【0021】
表1にルックアップテーブル52の一例を概略的に示す。本例では、低減率は、0〜256の範囲で変動する。表1において、複合CMY色調TCは、二進数(最も左の3ビットがC値の上位3ビット、中間の3ビットがM値の上位3ビット、最も右の3ビットがY値の上位3ビット)及びアラビア数字の両方で示される。実施の便宜上、低減率の範囲は、ステップ34においてハーフトーン化プロセスで以前に使用された誤差拡散しきい値(Th)の範囲と一致している。以下で詳述するが、この低減率がこのしきい値を越えたときに低減プリントが実施される。
【0022】
【表1】
【0023】
表1において、1〜4(アラビア数字表記)の複合色調TCは、イエローのみを「オン」状態とした色調に対応するものである。したがって、低減の必要はなく、すべてのエントリはゼロである。また、61〜63の複合色調TCは、マゼンタ及びイエローを「オン」状態とした色調に対応する。この場合には、イエロー低減率が非ゼロであり、このためイエローについて低減プリントが実施されることになる。三色すべての成分を含む色調480〜481については、該表はマゼンタ及びイエローの低減を示している。最後に、ほぼブラックの色に対応する色調511では、マゼンタ及びイエローの両方について多大な低減が必要となる。この低減率テーブルは、異なるレベルの低減を伴う一頁のサンプルパッチをプリントすることにより実験的に作り出される。所与の複合色調について適当なレベルの低減を表す最良の組み合わせが見い出される。
【0024】
低減率PMは、論理演算子54において低減率Pとして格納される。ステップ40で、出力レベルLが現在のマゼンタレベルLMに設定される。図3において、ステップ41〜43は、現在のカラーがマゼンタである場合について上述したステップ38〜40と同じく、現在のカラーがイエローであるときに実行される。
【0025】
ステップ44で、低減率Pが比較器56によりしきい値Thと比較され、ステップ45で現在のレベルLが比較器58により0と比較される。両方の条件が満たされている場合、即ちP>ThかつL>0である場合には、ステップ46で、Lが加算器60によりインクリメントされる。例えば、4レベルプリンタの場合には、インクリメントINCは3に等しく設定することができる。本例におけるオリジナルレベルと低減後のレベルとの対応を下表2に示す。
【0026】
【表2】
【0027】
代替的な実施形態では、両方の条件を満たしている場合に、加算器60を使用する代わりに上記表2等のルックアップテーブルを適用することによりレベルLを変換することが可能である。
【0028】
ステップ47で、出力レベルLがプリンタ10に加えられて、次のピクセルが処理される(ステップ48)。図4において、ステップ34〜47は、各ピクセル毎に、各カラー平面について、別々に繰り返される。
【0029】
典型的には、インクジェットプリンティングでは、ステップ34で生成されるイメージは、媒体の各ピクセル位置に各色の何ドットをプリントすべきであるか、及びドットの位置についてのすべての情報を含むものとなる。多数のピクセルに関する情報は、典型的にはプリントに先立ちプリンタバッファに収集される。プリンタコントローラ28(図3)は、これらのドットをシングルマスキングステップ(shingle masking step)で(即ち単一パスまたは多数パスで)印刷すべきときを決定する。多数パスは、1ピクセルあたりに多数のインク滴をプリントする場合に使用し、及びプリントヘッドの欠陥(例えば機能していないノズル)を隠すために使用すると有利である。シングルマスク(shingle mask)は、単一パス中にプリントされるドットのパターンを記述するものである。従来、単一パスプリントモードでは、左から右へ及び右から左へのプリントには同一のシングルマスクが用いられる。
【0030】
本発明の実施形態によれば、プリント方向誘導性の色相シフトの補償は、シングルマスキングステップで達成される。ステップ47でプリンタに加えられる出力レベルLは、表2の例では1、2、及び3に等しいものであり、それぞれ特定の公称(nominal)シングルマスクと関連し、プリント方向と関係なく使用される。低減した出力レベル4、5、及び6は、それぞれ特定の一対のシングルマスク、例えば、左から右にプリントを行うための公称マスクと右から左にプリントを行うための低減マスクに関連するものとなる。
【0031】
一実施形態では、各レベル毎に、右から左へのプリントに使用される低減シングルマスクは、同一の出力レベルについての左から右へのプリントに使用される対応する公称シングルマスクよりも一層少ないインク滴をプリントさせるものとなる。同一位置にマゼンタとイエローをプリントする特定の例の場合、プリントヘッドを右から左に走査する(マゼンタの上にイエローをプリントする)ときにプリントするイエローインクのドットは、プリントヘッドを左から右に走査するときに比べて少ないため、イエローを帯びた色を回避することができる。
【0032】
低減の潜在的な必要性は、プリント方向の認知に先行するハーフトーン化プロセスの直後に認識される。プリントを行う時点では、プリント方向が決定された際に低減の必要性が(本例の場合には出力レベル4、5、または6により)示された場合に、プリント方向に応じて適当なシングルマスクが呼び出される。
【0033】
低減シングマスクとして50%低減したシングルマスクを使用すると有利である。全体的な低減係数DFは、以下の計算式により得られる。
【0034】
DF(%)=(P/しきい値範囲)×マスク低減(%)
ここで、低減率Pは低減率ルックアップテーブルにより与えられ、しきい値範囲は低減率値の範囲であり、この場合のマスク低減は50%である。例えば、表1におけるTC=482のマゼンタ低減率のように複合CMY色調の低減率値が100であり、しきい値範囲が256である場合には、低減係数は、(100/256)×50%、即ち約20%となる。たった1つの低減シングルマスクしか必要ないことに留意されたい。低減率値は、低減シングルマスクが呼び出される確率を決定し、その結果として所望のレベルの低減が得られることになる。
【0035】
図4で説明した出力レベルLの決定を含むプロセスは、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせを用いて実施することが可能であり、このハードウェア/ソフトウェア部分は、例えば、コンピュータ22内、及びプリンタ10内の他の部分に配置される。一実施形態では、図4のプロセスを実行するプログラムは、プリンタ10のファームウェアに実装される。出力レベルLの決定は、ハーフトーン化プロセスが実行される場所と同じ場所で行うのが有利である。本発明の方法を実施するハードウェア/ソフトウェアの場所は、設計上の選択事項である。本方法は、従来からの現行のコンピュータ及びインクジェットプリンタ上で実施することが可能である。
【0036】
本発明の具体的な実施形態を図示及び説明してきたが、本発明の広義の態様において本発明から逸脱することなく各種の変更及び変形が可能であることは当業者にとって自明であろう。例えば、図4及び図5では、マゼンタ及びイエローの色相補償について説明したが、これを他の対をなすあらゆるカラーに適用すること、及び三色または四色へと一般化することは、容易に自明となる。したがって、特許請求の範囲は、本発明の真の思想及び範囲に属するすべての変更及び変形をその範囲に包含するものである。
【0037】
以下においては、本発明の種々の構成要件の組み合わせからなる例示的な実施態様を示す。
1. ピクセルから形成されるイメージにおける複合色調値により索引付けされ、少なくとも1つの低減率値を出力する、ルックアップテーブル(52)と、
しきい値誤差項と、
特定のインクカラーについてインクプリンタによりプリントされるインク滴の数に対応する出力レベル値と、
前記低減率値が前記しきい値誤差項よりも大きく、かつ前記出力レベル値が非ゼロのインク滴数に対応する場合に、前記出力レベル値を方向依存性出力レベル値へと変換する変換手段とを備えており、
前記方向依存性出力レベル値が、インクリメントされる前に、前記出力レベル値の最大オリジナル値よりも大きくなる、プリントに使用されるシステム。
2. 前記出力レベル値及び前記方向依存性出力レベル値と対応する値を受信し、これに応じてインク滴を媒体上にプリントする、プリンタ(10)を更に備えている、前項1に記載のシステム。
3. 前記プリンタが、前記媒体を横切って移動すると共に前記媒体上にインク滴をプリントするカラープリントカートリッジ(24,26,28)を備えている、前項3に記載のシステム。
4. 第1のシングルマスク及び第2のシングルマスクを更に備えており、前記第1のシングルマスクが、前記プリントカートリッジ(24,26,28)が前記媒体を横切って移動する際に前記媒体上の特定のピクセル位置に特定のインクカラーでプリントされるインク滴の数を制御し、及び該第1のシングルマスクが、前記最大オリジナル値を下回るか又はそれと等しい前記出力レベル値に対応し、前記第2のシングルマスクが前記方向依存性出力レベル値に対応する、前項3記載のシステム。
5. 前記第2のシングルマスクが、前記カラープリントカートリッジ(24,26,28)が前記媒体を横切って第1の方向に移動するときのプリントに関連する第1方向マスクと、前記カラープリントカートリッジ(24,26,28)が前記第1の方向と反対の第2の方向に前記媒体を横切って移動するときのプリントに関連する第2方向マスクとを備えている、前項4記載のシステム。
6. プリンタにおけるプリント方向誘導性の色相シフトを補償する方法であって、
ピクセルにより形成されるイメージにおける出力レベル値を生成し(34)、該出力レベル値が、特定のインクカラーについてインクプリンタによりプリントされるインク滴の数に対応するものであり、
複合色調値を生成し(36)、
該複合色調値でルックアップテーブル(52)の索引付けを行い(39,42)、
前記ルックアップテーブルにより少なくとも1つの低減率値を出力し(39,42)、
前記低減率値がしきい値誤差項よりも大きい場合、及び前記出力レベル値が非ゼロのインク滴数に対応する場合に、前記出力レベル値を一定量だけインクリメントしてその方向依存性出力値への変換を行う(46)、
という各ステップを含む、方法。
7. 前記出力レベル値及び前記方向依存性出力レベル値を前記プリンタ(10)に加えるステップ(47)をさらに含み、該プリンタ(10)が、媒体を横切って移動すると共に該媒体上にインク滴をプリントするカラープリントカートリッジ(24,26,28)を備えている、前項6に記載の方法。
8. 第1のシングルマスク及び第2のシングルマスクを提供するステップを更に含み、該第1のシングルマスクが、前記プリントカートリッジ(24,26,28)が前記媒体を横切って移動する際に前記媒体の特定のピクセル位置に特定のインクカラーでプリントされるインク滴数を制御し、及び最大オリジナル値よりも小さいか又はそれと等しい前記出力レベル値に対応し、前記第2のシングルマスクが、前記方向依存性出力レベル値に対応する、前項7に記載の方法。
9. 前記出力レベル値に対応する前記少なくとも1つのシングルマスクを前記プリンタ(10)に適用するステップを更に含む、前項8に記載の方法。
10. 前記第2のシングマスクが、前記カラープリントカートリッジ(24,26,28)が第1の方向に前記媒体を横切って移動するときのプリントに関連する第1方向マスクと、前記カラープリントカートリッジ(24,26,28)が前記第1の方向と反対の第2の方向に前記媒体を横切って移動するときのプリントに関連する第2方向マスクとを備えている、前項9に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を組み込むことが可能なインクジェットプリンタの多数例のうちの1つを示す斜視図である。
【図2】図1のプリンタの走査キャリッジ、及び該キャリッジ内のプリントカートリッジの順序を示す斜視図である。
【図3】インクジェットプリンタに接続されたコンピュータを示す説明図であり、この場合、コンピュータとプリンタは共に、本発明の実施形態によるプリント方向誘導性色相シフトの補償方法を実行することが可能である。
【図4】色相シフト補償方法の基本的なステップを示すフローチャートである。
【図5】色相シフト補償方法の一実施形態を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 プリンタ
24,26,28 カラープリントカートリッジ
52 ルックアップテーブル
Claims (10)
- 印刷に使用されるシステムであって、
ピクセルによって形成されたCMYKイメージにおける複合CMY色調値によって索引付けされ、少なくとも1つの低減率値を出力する、ルックアップテーブル(52)と、
前記低減率値がしきい値誤差項よりも大きく、かつ、特定のインクカラーについてインクプリンタにより印刷されるインク滴の数に対応する出力レベル値が非ゼロのインク滴の数に対応する場合には、前記出力レベル値を方向依存性出力レベル値に変換する変換手段
とを含み、
前記複合CMY色調値は、前記CMYKイメージのC値、M値、及びY値の各々の上位ビットのうちの特定数を連結させたものであり、
前記しきい値誤差項は、連続的なイメージを離散的なドットへとハーフトーン化する際に用いられる誤差拡散しきい値であり、
前記方向依存性出力レベル値は、前記インクプリンタ内のキャリッジの走査方向に依存する出力レベル値であり、
前記方向依存性出力レベル値は、前記出力レベル値がインクリメントされる前の最大オリジナル値よりも大きく、
前記最大オリジナル値は、前記走査方向に依存しないオリジナルの前記出力レベルの最大値を示すことからなる、システム。 - 前記出力レベル値に対応する値と前記方向依存性出力レベル値に対応する値とを受信するプリンタ(10)であって、該受信に応じてインク滴を媒体上に印刷する該プリンタをさらに含むことからなる、請求項1に記載のシステム。
- 前記媒体を横切って移動しつつインク滴を前記媒体上に印刷するカラープリントカートリッジ(24,26,28)を前記プリンタが含む、請求項2に記載のシステム。
- 前記プリントカートリッジ(24,26,28)が前記媒体を横切って移動するたびに前記媒体上の特定のピクセル位置に特定のインクカラーで印刷すべきインク滴の数を制御するための第1のシングルマスクであって、前記最大オリジナル値以下の前記出力レベル値に対応する、第1のシングルマスクと、
前記方向依存性出力レベル値に対応する第2のシングルマスク
とをさらに含み、
前記シングルマスクは、単一パス中にプリントされるドットのパターンを記述するマスクであることからなる、請求項3に記載のシステム。 - 前記第2のシングルマスクは、前記カラープリントカートリッジ(24,26,28)が前記媒体を横切って第1の方向に移動するときの印刷に関連付けられた第1方向のマスクと、前記カラープリントカートリッジ(24,26,28)が前記媒体を横切って前記第1の方向とは反対の第2の方向に移動するときの印刷に関連付けられた第2方向のマスクとを含むことからなる、請求項4に記載のシステム。
- インクプリンタにおけるキャリッジの走査方向に起因した色相シフトを補償する方法であって、
ピクセルによって形成されるCMYKイメージにおいて、特定のインクカラーについて前記インクプリンタにより印刷すべきインク滴の数に対応する出力レベル値を生成(34)し、
複合CMY色調値を生成(36)し、
ルックアップテーブル(52)を前記複合CMY色調値で索引付けし(39,42)、
前記ルックアップテーブルを用いて少なくとも1つの低減率値を出力し(39,42)、及び、
前記低減率値がしきい値誤差項よりも大きく、かつ前記出力レベル値が非ゼロのインク滴の数に対応する場合には、前記出力レベル値をある一定量だけインクリメントして、該出力レベル値を方向依存性出力レベル値に変換する(46)
ことを含み、
前記複合CMY色調値は、前記CMYKイメージのC値、M値、及びY値の各々の上位ビットのうちの特定数を連結させたものであり、
前記しきい値誤差項は、連続的なイメージを離散的なドットへとハーフトーン化する際に用いられる誤差拡散しきい値であり、
前記方向依存性出力レベル値は、前記インクプリンタ内のキャリッジの走査方向に依存する出力レベル値であることからなる、方法。 - 前記出力レベル値と前記方向依存性出力レベル値とを前記インクプリンタ(10)に提供すること(47)をさらに含み、
前記インクプリンタ(10)は、媒体を横切って移動しつつインク滴を該媒体上に印刷するカラープリントカートリッジ(24,26,28)を含むことからなる、請求項6に記載の方法。 - 前記プリントカートリッジ(24,26,28)が前記媒体を横切って移動するたびに前記媒体上の特定のピクセル位置に特定のインクカラーで印刷すべきインク滴の数を制御するための第1のシングルマスクであって、最大オリジナル値以下の前記出力レベル値に対応する、第1のシングルマスクと、前記方向依存性出力レベル値に対応する第2のシングルマスクとを提供することをさらに含み、
前記最大オリジナル値は、前記走査方向に依存しないオリジナルの前記出力レベルの最大値を示し、
前記シングルマスクは、単一パス中にプリントされるドットのパターンを記述するマスクであることからなる、請求項7に記載の方法。 - 前記出力レベル値に対応する前記シングルマスクのうちの少なくとも1つを、前記インクプリンタ(10)に提供することをさらに含むことからなる、請求項8に記載の方法。
- 前記第2のシングルマスクは、前記カラープリントカートリッジ(24,26,28)が前記媒体を横切って第1の方向に移動するときの印刷に関連付けられた第1方向のマスクと、前記カラープリントカートリッジ(24,26,28)が前記媒体を横切って前記第1の方向とは反対の第2の方向に移動するときの印刷に関連付けられた第2方向のマスクとを含むことからなる、請求項9に記載の方法。
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