JP4249185B2 - 涙液異常の治療のための眼科用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、眼の乾燥抑制効果を有する眼科用組成物、ひいては、涙液異常の治療のための眼科用組成物に関する。さらに詳しくは、3−ヒドロキシ酪酸および/またはその塩類を有効成分として含有し、そして、眼の乾燥抑制のために用いられることを特徴とする眼科用組成物、ひいては、涙液異常の治療のために用いられることを特徴とする眼科用組成物に関する。
涙液は、眼球の最外層を覆う厚さ約7μmの薄い液層である。涙液は、表層から、油層・水層・ムチン層の3層構造を有しており、これらの各層が互いに影響し、涙液の構造を整えている。また、これらの涙液の各層には、例えば、ラクトフェリン、リゾチーム、IgA、IgGおよびアルブミン等のタンパク質、ワックス、コレステロール、糖質、ムチン等の種々の成分が含有されている。これらの成分を含有する涙液の機能としては、眼表面の環境を湿潤に保つとともに、外界から侵入する病原体等からの感染防御、多数の生理活性物質の供給および無血管組織である角膜への酸素供給等が挙げられる。
このように、涙液は様々な機能を有しているが、例えば、涙液の分泌に異常が起こり分泌量が減少した場合や、涙液の質に異常が起こり蒸発量が増加した場合等には、涙液の機能が正常に作用しなくなることがある。こうした涙液異常が生じた場合、自覚症状として眼の乾燥を伴うことが多く、近年では、エアコンの普及による室内の乾燥やパソコン等のVDT作業の増大に伴い、眼の乾燥をはじめ、異物感、眼の不快感および眼の疲れ等の涙液異常による不快症状等を訴える患者が増加している。また、このような涙液の異常に伴い、さらに角結膜上皮に障害が発生したものをドライアイと定義しているが、広義には、涙液の分泌異常および質の異常の症状を呈し、角結膜上皮に障害が見られない場合も、ドライアイ疑い例であるとされている。それゆえ、涙液の分泌量の増加や、涙液の質の改善による蒸発量の抑制等、涙液異常の治療効果を有する眼科用組成物を使用することによって、眼の乾燥をはじめ、異物感、眼の不快感および眼の疲れ等の涙液異常による不快症状等を改善することができ、さらには、涙液異常により発症する疾患、例えば、眼の乾燥に関連する障害であるドライアイおよびドライアイ疑い例の発症を抑制することができると考えられる。なお、ドライアイおよびドライアイ疑い例としては、涙液減少症、欠涙症、眼球乾燥症、シェーグレン症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群、眼類天疱瘡、眼瞼縁炎、閉眼不全および知覚神経麻痺等の疾患や、アレルギー性結膜炎、ウイルス性結膜炎および白内障手術等に関連したドライアイ、涙液評価検査の1つである涙液層破壊時間(以下、BUTと略す)のみが短縮しているBUT短縮型ドライアイ、さらには、近年、増加してきたVDT作業により引き起こされる症状等が挙げられる。
現在、眼の乾燥等の不快症状を緩和する方法、さらにはドライアイおよびドライアイ疑い例を緩和あるいは治療する方法としては、人工涙液を点眼することにより不足した涙液を外部から補充する方法や、涙点を閉鎖する方法等が知られている。また、涙液の分泌異常および質の異常により生じた角結膜上皮障害を治療するために、ヒアルロン酸ナトリウムを含有する点眼薬を使用する方法等も知られている。しかしながら、いずれの方法もその効果が一時的なものであり、さらには、涙液異常により生じた角結膜の障害を治療するためのものであり、ドライアイおよびドライアイ疑い例の発症を抑制できるものではなく対症療法に過ぎない等の理由により、満足のいくものではなかった。それゆえ、このような対症療法ではなく、眼の乾燥をはじめ、異物感、眼の不快感および眼の疲れ等の涙液異常による不快症状等を改善するために、さらには、ドライアイおよびドライアイ疑い例の発症を抑制するために、例えば、眼の乾燥抑制効果を有する眼科用組成物、ひいては、涙液異常の治療のための眼科用組成物が必要とされていた。
これまで、角結膜表面の乾燥を防止する目的で、グルコマンナンを有効成分とする点眼液(例えば、特許文献1参照)や、トリメチルグリシンを含有してなる眼科用液剤が開示されている(例えば、特許文献2参照)。また、βアドレナリン受容体作動薬を有効成分として含有する組成物が、乾性眼障害や角結膜障害の治療剤あるいは予防剤として利用できることも開示されている(例えば、特許文献3参照)。
また、ドライアイを治療するための製剤として、BUT等の涙液評価検査において、優れた改善効果を有するマクロライド化合物を有効成分として含有するドライアイ処置剤(例えば、特許文献4参照)や、脂肪酸誘導体を有効成分として含有するドライアイを含む涙液分泌障害の処置のための組成物(例えば、特許文献5参照)が開示されている。
一方、本発明において有効成分として用いられる3−ヒドロキシ酪酸について、出願人はこれまで、3−ヒドロキシ酪酸を有効成分とする眼に適用する治療剤として、角膜上皮損傷治療剤(例えば、特許文献6参照)および角膜混濁抑制剤(例えば、特許文献7参照)を提案している。しかしながら、3−ヒドロキシ酪酸を含有する眼科用組成物について、眼の乾燥抑制のために用いられること、ひいては、涙液異常の治療のために用いられることについての報告はない。
特開平6−345653号公報 特開2000−281563号公報 再公表WO01/041806号公報 特表2002−543132号公報 表2003−504397号公報 特開平10−265378号公報 特開2001−89366号公報
本発明の目的は、眼の乾燥抑制効果を有する眼科用組成物、ひいては、涙液異常の治療のための眼科用組成物を提供することにある。
本発明の他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、3−ヒドロキシ酪酸および/またはその塩類を有効成分として含有し、そして、眼の乾燥抑制のために用いられることを特徴とする眼科用組成物、ひいては、涙液異常の治療のために用いられることを特徴とする眼科用組成物によって達成される。
本発明の眼科用組成物は、3−ヒドロキシ酪酸および/またはその塩類を有効成分として含有することにより、眼の乾燥を抑制することができ、ひいては、涙液異常の治療ができる。それゆえ、該組成物を用いることにより、眼の乾燥をはじめ、異物感、眼の不快感および眼の疲れ等の涙液異常による不快症状等を改善することができる。さらには、本発明の眼科用組成物は、涙液異常により発症する疾患、例えば、眼の乾燥に関連する障害であるドライアイおよびドライアイ疑い例の発症を抑制すること、特には、角結膜に障害を伴わず且つ涙液異常により発症する疾患の発症を抑制することができる。
本発明の眼科用組成物は、有効成分として3−ヒドロキシ酪酸および/またはその塩を含有する。3−ヒドロキシ酪酸は、その化学構造式のC3位の立体配置につき、D−体、D,L−ラセミ体およびL−体があることが知られており、本発明においては、いずれの構造のものでも使用することができる。また、3−ヒドロキシ酪酸の塩類は、好ましくは、ナトリウム塩、カリウム塩、L−リジン塩、L−ヒスチジン塩およびL−アルギニン塩からなる群より選ばれる少なくとも1種が適宜選択される。これら3−ヒドロキシ酪酸および/またはその塩類は、適宜単独であるいは2種類以上併用することができる。本発明の眼科用組成物における3−ヒドロキシ酪酸および/またはその塩類の濃度は、患者の年齢や症状の程度、またはその用途に応じて適宜決定されるが、0.8〜800mmol/Lの範囲であるのが好ましく、より好ましくは4〜400mmol/L、さらに好ましくは8〜240mmol/L、特に好ましくは10〜150mmol/Lの範囲にある。
本発明の眼科用組成物は、眼の乾燥抑制のために用いられる。本発明において、眼の乾燥抑制とは、涙液異常を治療することを意味する。さらに、本発明において、涙液異常とは、涙液の分泌に異常が起こり、分泌量が減少した場合や、涙液の質に異常が起こり、蒸発量の増加等が起こった場合等を意味し、特には、角結膜に障害を伴わない上記涙液異常の場合を意味する。これらの異常に伴い、涙液の安定性および眼表面における涙液の保持に問題が生じることがあり、例えば、ドライスポットの出現やBUTの短縮、角結膜上皮細胞の微絨毛/微ひだの異常等の現象を示す。これらの現象は、当然のように眼の乾燥をはじめ、異物感、眼の不快感および眼の疲れ等の涙液異常による不快症状等を引き起こし、それにより眼の乾燥に関連する障害であるドライアイおよびドライアイ疑い例が発症することとなる。従って、本発明でいう眼の乾燥抑制、ひいては、涙液異常の治療とは、前述した涙液異常を治療し、眼の乾燥をはじめ、異物感、眼の不快感および眼の疲れ等の涙液異常による不快症状等を改善するもの、さらには、涙液異常により発症する疾患の発症抑制を指し、特には、角結膜に障害を伴わず且つ涙液異常により発症する疾患の発症抑制を指す。また、本発明では、このような涙液異常の治療は、涙液層の安定性改善および/または角結膜上での涙液の保持性向上により達成されるものを意味している。なお、ドライアイおよびドライアイ疑い例としては、涙液減少症、欠涙症、眼球乾燥症、シェーグレン症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群、眼類天疱瘡、眼瞼縁炎、閉眼不全および知覚神経麻痺等の疾患や、アレルギー性結膜炎、ウイルス性結膜炎および白内障手術等に関連したドライアイ、涙液評価検査の1つであるBUTのみが短縮しているBUT短縮型ドライアイ、さらには、近年、増加してきたVDT作業により引き起こされる症状等が挙げられる。以下に、涙液層の安定性改善および角結膜上での涙液の保持性向上について説明する。
本発明において、涙液層の安定性改善とは、涙液を構成する油層、水層およびムチン層の少なくともいずれか1つの層の安定性が改善することを意味する。さらに、本発明における涙液層の安定性改善とは、例えば、油層、水層およびムチン層の少なくともいずれか1つの層の分泌量が増加することにより達成されるもの等を指し、例えば、ラクトフェリン、リゾチーム、IgA、IgGおよびアルブミン等のタンパク質、ワックス、コレステロール、糖質、ムチン等の涙液に含まれる成分のうち少なくとも1つの分泌量が増加することも含まれるが、その他の要因により達成されるものも含まれる。
涙液を構成する各層は、それぞれが互いに影響し、涙液の安定性に重要な機能を有している。例えば、油層は水層全体を覆うことにより涙液の蒸発を抑制する役割や、眼瞼縁からの涙液の流出を阻止するバリケード機能等を有している。水層は、涙液の厚さの大部分を占め、眼球の潤滑性を維持する役割等を担っている。ムチン層は、疎水性である角結膜上皮表面を覆うことにより、角結膜上皮を親水性に変えて、涙液が眼球表面から流失しないようにする役割等を担っている。本発明の眼科用組成物を使用することにより、例えば、油層、水層およびムチン層の少なくともいずれか1つの層の分泌量が増加し、上記に挙げた涙液各層の機能のうち、例えば、涙液の蒸発抑制効果および涙液の眼球表面からの流失抑制効果等を得ることができる。このような効果としては、具体的には、ドライスポット出現抑制効果およびBUT延長効果等が挙げられる。以上より、本発明の眼科用組成物を用いることにより、涙液層の安定性が改善し、眼の乾燥抑制、ひいては、涙液異常の治療を行うことができる。
また、本発明において、角結膜上での涙液の保持性向上とは、本発明の眼科用組成物を用いることにより、角結膜上皮細胞が正常な状態に維持および/または回復し、角結膜上での涙液の保持性が向上することを意味する。さらに詳しくは、本発明の眼科用組成物を用いることにより、角結膜上皮細胞の微絨毛/微ひだを正常な状態に維持および/または回復することができる。微絨毛/微ひだは、角結膜上皮細胞表面に多数突起状で存在しており、涙液層のムチン層の付着を良くし、角結膜上で涙液を保持する役割を担っている。しかしながら、細胞活性が衰え、または、脱落を前にした角結膜上皮細胞では、微絨毛/微ひだが短くなっており、涙液を保持する効果が減少していることが知られている。また、角結膜の乾燥や防腐剤等の影響により、該微絨毛/微ひだの突起状構造が不明瞭になることも知られている。本発明の眼科用組成物は、このような微絨毛/微ひだを正常な状態に維持および/または回復することができ、それにより、角結膜上での涙液の保持性を向上させることができる。それゆえ、本発明の眼科用組成物を用いることにより、角結膜上での涙液の保持性が向上し、眼の乾燥抑制、ひいては、涙液異常の治療を行うことができる。
本発明の眼科用組成物は、上述したように、涙液層の安定性改善効果および/または角結膜上での涙液の保持性向上効果を有しているため、該組成物を用いることにより、涙液の分泌異常および涙液の質的異常等の涙液異常、特には、角結膜に障害を伴わない涙液異常を治療することができる。それゆえ、該組成物を使用することにより、眼の乾燥をはじめ、異物感、眼の不快感および眼の疲れ等の涙液異常による不快症状等を改善することができる。さらには、涙液異常により発症する疾患、例えば、眼の乾燥に関連する障害であるドライアイおよびドライアイ疑い例の発症を抑制すること、特には、角結膜に障害を伴わず且つ涙液異常により発症する疾患の発症を抑制することができる。なお、ドライアイおよびドライアイ疑い例としては、涙液減少症、欠涙症、眼球乾燥症、シェーグレン症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群、眼類天疱瘡、眼瞼縁炎、閉眼不全および知覚神経麻痺等の疾患や、アレルギー性結膜炎、ウイルス性結膜炎および白内障手術等に関連したドライアイ、涙液評価検査の1つであるBUTのみが短縮しているBUT短縮型ドライアイ、さらには、近年、増加してきたVDT作業により引き起こされる症状等が挙げられる。
また、本発明の眼科用組成物は、眼の乾燥をはじめ、異物感、眼の不快感および眼の疲れ等の不快症状等を有する患者に使用するのが好ましい。さらには、本発明の眼科用組成物は、涙液の分泌異常および涙液の質的異常等の涙液異常を有する患者に使用するのが好ましく、角結膜に障害を伴わない患者の涙液異常の治療のために使用するのが好ましい。さらには、涙液異常により発症する疾患の発症抑制のために使用するのが好ましく、なかでも、角結膜に障害を伴わず且つ涙液異常により発症する疾患の発症抑制のために使用するのがより好ましい。
本発明において眼科用組成物とは、眼の乾燥抑制のために用いられる医薬組成物を意味する。それゆえ、その剤型としては、非経口投与製剤である点眼剤、洗眼剤および眼軟膏剤等から選ばれるいずれかの剤型が好ましく、特には点眼剤とするのが好ましい。なお、それ以外にも、眼局所の疾患の治療や予防を目的として投与されるものであれば、例えば、経口投与製剤のような眼局所に直接投与しない製剤であっても特に差し支えない。
本発明の眼科用組成物は、有効成分として3−ヒドロキシ酪酸を含有していればよく、3−ヒドロキシ酪酸による眼の乾燥抑制、ひいては、涙液異常の治療を妨げない限り、さらに必要に応じて、各種成分を含有させることができる。そのような成分としては、例えば、本発明の眼科用組成物を点眼剤とする場合には、点眼剤の安定性およびさし心地の良さを得ることを目的として、必要に応じて緩衝剤、等張化剤、安定化剤、粘稠化剤、pH調整剤等の各種添加物およびその他の成分等を含有することができる。なお、これらの各種成分は単独であるいは2種類以上適宜含有することができ、多くの場合その方が好ましい。以下、本発明の眼科用組成物を点眼剤とする場合について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
上記緩衝剤は、本発明の眼科用組成物を点眼剤とする場合に、該点眼剤のpHを安定化する目的等で含有することができる。該緩衝剤としては、一般に点眼剤として用いられているものであれば特に差し支えなく、例えば、ホウ酸、クエン酸、リン酸、酒石酸、グルコン酸、酢酸、炭酸およびそれらの塩等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種類以上併用することもできる。これら緩衝剤の濃度としては、0.001〜5w/v%であるのが好ましく、0.01〜1w/v%であるのがより好ましい。
上記等張化剤は、本発明の眼科用組成物を点眼剤とする場合に、該点眼剤の浸透圧を調整する目的等で含有することができる。該等張化剤としては、一般に点眼剤として用いられているものであれば特に差し支えなく、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムおよび硫酸マグネシウム等からなるアルカリまたはアルカリ土類金属塩の如き無機塩、およびグルコース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、デキストランおよびグリセリン等の糖質等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種類以上併用することもできる。これら等張化剤の濃度としては、0.001〜5w/v%であるのが好ましく、0.01〜3w/v%であるのがより好ましい。
上記安定化剤は、本発明の眼科用組成物を点眼剤とする場合に、該点眼剤の有効成分を安定化する目的等で含有することができる。該安定化剤としては、一般に点眼剤として用いられているものであれば特に差し支えなく、例えば、エデト酸/塩、シクロデキストリン、亜硫酸塩、クエン酸/塩、およびジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種類以上併用することもできる。これら安定化剤の濃度としては、0.001〜5w/v%であるのが好ましく、0.01〜1w/v%であるのがより好ましい。
上記粘稠化剤は、本発明の眼科用組成物を点眼剤とする場合に、該点眼剤の粘度を調整する目的等で含有することができる。該粘稠化剤としては、一般に点眼剤として用いられているものであれば特に差し支えなく、例えば、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびポリビニルアルコールなどのポリオール類、トレハロース、シュクロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびシクロデキストリン等の糖質類、カルボキシビニルポリマー等が挙げられ、その他キサンタンガム、ローカーストビーンガム、ゲランガムおよびカラギーナン類等の多糖類、ヒアルロン酸/塩、ポビドンおよびヒマシ油等も含有することができる。これらは単独で使用してもよく、2種類以上併用することもできる。これら粘稠化剤の濃度としては、0.001〜10w/v%であるのが好ましく、0.01〜5w/v%であるのがより好ましい。
上記pH調整剤は、本発明の眼科用組成物を点眼剤とする場合に、該点眼剤のpHを調整する目的等で含有することができる。該pH調整剤としては、一般に点眼剤として用いられているものであれば特に差し支えなく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩酸、クエン酸、ホウ酸、リン酸、酢酸、酒石酸およびそれらの塩等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種類以上併用することもできる。本発明の眼科用組成物は、これらpH調整剤を適量添加し、目的のpHに調整する。
上記その他の成分は、本発明の眼科用組成物を点眼剤とする場合に、各成分に応じた効果を付与する目的等で含有することができる。その他の成分としては、一般に眼科用剤として用いられているものであれば特に差し支えなく、例えば、充血除去剤、消炎・収斂剤、抗ヒスタミン剤、局所麻酔剤、ビタミン類、アミノ酸類、サルファ剤、清涼化剤および縮瞳剤等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種類以上併用することもできる。なお、これらの成分を含有する際には、患者の年齢や症状等に応じて、本発明の有効成分である3−ヒドロキシ酪酸の眼の乾燥抑制、ひいては、涙液異常の治療に悪影響を及ぼさない成分・濃度であることを確認して使用するのが好ましい。
一方、本発明の眼科用組成物を点眼剤とする場合には、該点眼剤に防腐効果を持たせる目的で防腐剤を含有することもできる。該防腐剤としては、一般に点眼剤として用いられているものであれば特に差し支えなく、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベンもしくはブチルパラベン等のパラベン類、グルコン酸クロルヘキシジン、クロロブタノール、フェニルエチルアルコール、ベンジルアルコール、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸/塩、第4級アンモニウム性陽イオン界面活性剤および塩酸クロルヘキシジン等のカチオン系防腐剤等が挙げられる。第4級アンモニウム性陽イオン界面活性剤としては、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムおよび塩化セチルピリジニウム等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種類以上併用することもできる。これら防腐剤の濃度としては、0.0001〜0.1w/v%であるのが好ましく、0.001〜0.05w/v%であるのがより好ましい。
しかしながら、一般に、防腐剤は涙液層を不安定化し、角結膜上皮細胞に悪影響を与えることが知られている。また、涙液の分泌異常および/または質的異常がある場合には、涙液の交換率に異常をきたしていることがあるため、防腐剤が結膜嚢内に長時間滞留する可能性がある。また、角結膜上皮に障害が発生している場合には、さらに障害が悪化する可能性がある。このようなことから、防腐剤を含有する点眼剤を点眼することにより、涙液および角結膜上皮にさらなる悪影響を及ぼす可能性があるため、防腐剤は含有しない方がより好ましい。防腐剤を含有しない場合には、本発明の点眼剤を、1回の使用で使い捨てるタイプの容器、いわゆる「ディスポ容器」に充填するのが好ましい。
また、本発明の眼科用組成物を点眼剤とする場合には、各種配合成分を組み合わせた後、pHを調整することが好ましい。pHの範囲としては、点眼剤として許容される範囲であれば特に制限はなく、例えば、pH4〜10とするのが好ましく、pH6〜8.5がより好ましい。pH4未満の酸性およびpH10を超えるアルカリ性領域では眼刺激や眼障害を生じる可能性があるので好ましくない。
また、本発明の眼科用組成物を点眼剤とする場合、該組成物の浸透圧としては、点眼剤として許容される範囲であれば特に制限はなく、例えば、100〜600mOsm.が好ましく、150〜500mOsm.がより好ましい。
本発明の眼科用組成物は、一般に知られている方法に従って調製することができる。通常、上記各種配合成分等を精製水(必要に応じて滅菌精製水)に順次溶解して調製することができる。例えば、点眼剤とする場合であれば、まず、粘稠剤を含有する場合には粘稠剤を滅菌精製水に溶解し、次いで有効成分および各種配合成分を溶解し、必要な場合はpHを調整した後、ポリエチレンテレフタレート製等の容器等に無菌充填することにより得られる。
本発明の眼科用組成物は、眼科的に許容される範囲であれば投与量が特に制限されるものではない。例えば、上記の如き点眼剤の形態で用いる場合には、通常1回につき1〜3滴を1日1回〜20回、特には1回〜10回投与することが好ましい。
以下、本発明を実施例および比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
以下のように、低湿度環境下にてラットに向けて送風を行い、ラットドライアイモデルを作製した。作製したラットドライアイモデルを用い、本発明の有効成分であるD−3−ヒドロキシ酪酸ナトリウム(以下HBA・Naと略す)の涙液層の安定性改善効果を調べた。すなわち、ラット涙液層のドライスポット出現面積の観察およびBUT測定を行った。
(1)使用動物
被験動物として、照明下12時間および暗室下12時間、室温23±2℃、相対湿度60±10%の環境を維持した飼育室にて、4日間馴化させた8週齢の雌性SDラットを用いた。
(2)ラットドライアイモデルの作製方法
馴化飼育後、ラットを室温20±2℃、相対湿度25±5%に維持した低湿度環境下に搬入し、ラットに扇風機にて風速2〜4m/sの送風を行った。この送風は、ラットが正面から風を受けるようにした状態で8時間、さらに、ラットが自由に動くことができる状態で16時間行った。これを連続して5日間行った。なお、本実施例では、このような環境をDry環境という。
(3)ラットドライアイモデルの評価
HBA・Na点眼およびPBS点眼による涙液層の観察およびBUT測定を実施する前に、確認のために、Normal環境(通常湿度、送風なし)およびDry環境におけるラット涙液層のドライスポット面積の観察およびBUT測定を実施した。その結果、Dry環境のラットは、Normal環境のラットと比較して、ドライスポット面積が有意に大きくなり、また、BUTが有意に小さくなることが分かった(図1および図2参照)。それゆえ、Dry環境とすることにより、ラットの涙液層は不安定化することが分かった。従って、本モデルは、涙液の異常をきたしたドライアイモデルであることが確認された。
(4)試験薬の調製および点眼方法
本発明に係わる組成物として、HBA・Naをリン酸緩衝ナトリウム溶液(以下PBSと略す)に溶解し、40、80および120mmol/Lとした点眼液を調製した。また、比較液として、PBSのみの点眼液を用いた。点眼は、ラットの右眼に各濃度のHBA・Naを、左眼にPBSを点眼した。なお、各点眼液は、pH7.4、浸透圧280mOsm.となるように調製した。各種の点眼液は、ラットをDry環境に搬入し、ラットが正面から風を受けるように配置した直後に1回目の点眼を行い、その後2時間おきに、計4回行った。2日目以降についても、ラットが正面から風を受けるように配置した直後に1回目の点眼を行い、その後2時間おきに、計4回行った。これを5日間行った。
(5)涙液層の観察および評価方法
5日目の最後の点眼から2時間後、ラットに塩酸キシラジン/塩酸ケタミン混合液を注射(2mL/kg)し、麻酔を施した。ラットを固定し、強制的に瞬目させた後開眼し、開眼直後から5分間開眼後のドライスポット面積をドライアイ観察装置「DR−1」(興和社製)を用いて観察し、観察像をビデオにて録画した。観察像は画像解析ソフトである「Scion Image(バージョン4.02β)」(Scion Corporation製)を用いて解析し、単位面積あたりのドライスポット面積[ドライスポット面積(pixel)/角膜の観察領域の面積(pixel)]を求めた。その面積を換算式(1pixel=0.0000195mm)を用いて、角膜の単位面積あたりのドライスポット面積[ドライスポット面積(mm)/角膜の観察領域の面積(mm)]を算出し評価した。なお、ドライスポット面積は、開眼直後からの増減にて算出した。その結果を図1に示す。本実施例では、HBA・Na80および120mmol/Lの濃度について実施し、HBA・Naの各条件につき12匹12眼となるようにして評価した。
(6)涙液層破壊時間(以下、BUTと略す)の測定および評価方法
5日目の最後の点眼から2時間後、ラットに塩酸キシラジン/塩酸ケタミン混合液を注射(2mL/kg)し、麻酔を施した。ラットに1%フルオレセイン点眼を行い、数回、瞬目させた後、BUTを測定した。なお、ここでは、HBA・Na40、80および120mmol/Lの濃度について実施し、HBA・Naの各条件につき8匹8眼となるようにして評価した。結果を図2に示す。
図1の結果より、本発明の有効成分であるHBA・Naを80mmol/L含有する点眼液を点眼したラットの涙液層においては、比較液であるPBSを点眼したラットの涙液層と比較して、ドライスポット面積が有意に小さいことが分かった(p<0.05)。また、HBA・Naを120mmol/L含有する点眼液を点眼した場合にも、PBSを点眼した場合と比較して、ドライスポット面積が小さくなる傾向が見られた。これは、Dry環境にて作製したラットでは、涙液層が不安定となり、PBS点眼を行っても、なお涙液層は安定化せず、瞬目後すぐに涙液が角結膜上から消失し、ドライスポットが出現することを意味している。一方、同条件で作製したラットに、本発明の有効成分であるHBA・Naを含有する点眼液を点眼した場合、ドライスポット面積が縮小し、涙液層の安定性が改善していることが確認された。これらの結果から、HBA・Naを含有する本発明の眼科用組成物は、涙液層の安定性を改善する効果を有していることが確認された。
また、図2の結果より、いずれの濃度のHBA・Naを点眼した場合でも、PBS点眼よりも有意にBUTが延長することが分かった。これは、Dry環境にて作製したラットでは、涙液層が不安定となりBUTが短縮するが、PBS点眼を行っても、なお涙液層の安定性が改善しないことを示している。一方、同条件で作製したラットに、HBA・Naを含有する点眼液を点眼した場合、BUTが延長し、涙液層の安定性が改善していることが確認された。これらの結果から、HBA・Naを含有する本発明の眼科用組成物は、涙液層の安定性を改善する効果を有していることが確認された。
以上のことから、本発明の眼科用組成物は、涙液層の安定性改善効果を有しており、眼の乾燥抑制、ひいては、涙液異常の治療に有効であることが確認された。
実施例2
実施例1に示すラットドライアイモデルを用いて、HBA・NaおよびPBS点眼後のラット角膜上皮細胞の走査型電子顕微鏡(以下、SEMと略す)観察を行った。
(i)試料の作製
以下の手順に従い、試料を作製した。
(1)実施例1の(1)、(2)および(4)に記載の方法に従い、HBA・Na80mmol/LおよびPBS溶液を5日間の点眼後、直ちにラットの角膜を取り出し、リン酸緩衝液(以下、PBと記す)で洗浄した。洗浄後、2.5%グルタルアルデヒド−0.1mol/L PB中に浸漬し、4℃で20分、前固定した。
(2)0.1mol/L PBで十分に洗浄し、1%四酸化オスミウム−0.1mol/L PB中で、4℃で1時間、後固定した。
(3)0.1mol/L PBで十分に洗浄し、エタノール上昇系列で脱水した。
(4)エタノールを捨て、t−ブチルアルコールに置換した。
(5)試料を凍結乾燥した後、試料台へ接着させた。
(6)試料に白金をコーティングした。
(ii)SEM観察
HBA・Na点眼およびPBS点眼後のSEM観察を実施する前に、確認のために、Normal環境およびDry環境のラット角膜をSEM(X−650、日立製作所社製)にて観察し写真を撮影した。Normal環境の結果を図3および図3の拡大写真を図4、Dry環境の結果を図5および図5の拡大写真を図6に示す。また、上記(i)にて作製した試料をSEM観察した結果として、HBA・Na点眼群の結果を図7、図7の拡大写真を図8、PBS点眼群の結果を図9に示す。
(iii)画像解析
上記の方法により観察した写真について、画像解析を行い、暗細胞数の割合を算出した。解析としては、撮影した写真の中から、一定の範囲をランダムに6箇所選択し、その範囲内にある細胞数および暗細胞数をカウントし、暗細胞数/全細胞数を算出した。その結果を図10に示す。
角膜上皮細胞のSEM観察においては、細胞の明るさの程度により、まだ細胞活性が盛んな細胞で、微絨毛/微ひだが長い様子で観察される明細胞、微絨毛/微ひだが短くなった中間細胞、微絨毛/微ひだの突起構造が消失し、脱落しかけている暗細胞、の3種類の多角形細胞が観察されることが知られている。
既に述べたとおり、微絨毛/微ひだが短くなった角結膜上皮細胞(暗細胞)では、涙液を保持する効果が減少していることが知られていることから、暗細胞の割合が多いということは、すなわち、涙液のムチン層の付着が悪く、角結膜上での涙液の保持性が低いことを意味し、逆に暗細胞の割合が少ないことは、涙液のムチン層の付着がよく、角結膜上での涙液の保持性が高いことを意味している。
図3および図5より、Dry環境のラットは、Normal環境のラットと比較して、暗細胞の割合が多いことが分かった。さらに、図4および図6より明らかなように、Dry環境のラットの角膜上皮細胞では、微絨毛/微ひだの突起構造が消失していることが確認された。これらの結果より、Dry環境にすることにより、ラット角膜上皮細胞の微絨毛/微ひだは消失することが分かった。これは、すなわち、涙液の角膜上での保持性が悪化することを示している。従って、本モデルは、涙液の異常をきたしたドライアイモデルであることが確認された。
また、図7および図9より、HBA・Na80mmol/Lを点眼したラットの角膜上皮細胞は、PBSを点眼した角膜上皮細胞と比較して、暗細胞の割合が少なく、その割合は有意に少ないことが示され(図10参照)、さらに、図3に示すNormal環境のラット角膜上皮細胞の状態と同程度となることが分かった。さらに、図6および図8を比較すると、Dry環境のラット角膜上皮細胞にHBA・Naを点眼することによって、該ラット角膜上皮細胞の微絨毛/微ひだが、正常な状態に維持および/または回復することが確認された。また、その程度としては、図4に示すNormal環境におけるラットの角膜上皮細胞の状態と同程度であることが分かった。
これらの結果から、HBA・Naを含有する本発明の眼科用組成物は、角膜上皮細胞の微絨毛/微ひだを正常な状態に維持および/または回復する効果を有していることが確認された。従って、本発明の眼科用組成物は、涙液の保持性向上効果を有しており、眼の乾燥抑制、ひいては、涙液異常の治療に有効であることが確認された。
Normal環境およびDry環境におけるラットの単位面積あたりのドライスポット面積、Dry環境のラットにD−3−ヒドロキシ酪酸ナトリウム(以下、HBA・Naと略す)およびリン酸緩衝ナトリウム溶液(以下、PBSと略す)点眼を行った場合の単位面積あたりのドライスポット面積を示す。 Normal環境およびDry環境のラットのBUT、Dry環境のラットにHBA・NaおよびPBS点眼を行った場合のBUTを示す。 Normal環境のラットの角膜SEM観察写真を示す。 図3の拡大写真を示す。 Dry環境のラットの角膜SEM観察写真を示す。 図5の拡大写真を示す。 Dry環境のラットに、HBA・Na点眼を行った場合の角膜のSEM観察写真を示す。 図7の拡大写真を示す。 Dry環境のラットに、PBS点眼を行った場合の角膜のSEM観察写真を示す。 Normal環境およびDry環境におけるラット角膜の暗細胞の割合、Dry環境のラットにHBA・NaおよびPBS点眼を行った場合のラット角膜の暗細胞の割合を示す。

Claims (11)

  1. 3−ヒドロキシ酪酸および/またはその塩類を有効成分として含有し、そして、涙液異常の治療のために用いられることを特徴とする眼科用組成物。
  2. 涙液異常の治療が、涙液層の安定性改善および/または角結膜上での涙液の保持性向上により達成される請求項1記載の眼科用組成物。
  3. 涙液層の安定性改善が、涙液の蒸発抑制により達成される請求項2記載の眼科用組成物。
  4. 涙液層の安定性改善が、涙液層破壊時間の改善により達成される請求項2記載の眼科用組成物。
  5. 涙液の保持性向上が、角結膜上皮細胞を正常な状態に維持および/または回復することにより達成される請求項2記載の眼科用組成物。
  6. 涙液の保持性向上が、角結膜上皮細胞の微絨毛/微ひだを正常な状態に維持および/または回復することにより達成される請求項2記載の眼科用組成物。
  7. 涙液異常が、角結膜に障害を伴わない涙液異常である、請求項1記載の眼科用組成物。
  8. 涙液異常の治療が、涙液異常により発症する疾患の発症抑制である、請求項1記載の眼科用組成物。
  9. 涙液異常の治療が、角結膜に障害を伴わず且つ涙液異常により発症する疾患の発症抑制である、請求項8記載の眼科用組成物。
  10. 3−ヒドロキシ酪酸および/またはその塩類の濃度が、0.8〜800mmol/Lである請求項1記載の眼科用組成物。
  11. 3−ヒドロキシ酪酸および/またはその塩類の濃度が、10〜150mmol/Lである請求項1記載の眼科用組成物。
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