JP4247944B2 - 双方向光モジュールの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上に光ファイバや光導波路等の光導波体、および発光素子や受光素子等の光素子を配置して、これら光部品を精度よく光学的に結合させることが可能で、通信分野において好適に使用が可能な双方向光モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、CATVや公衆通信の分野において、光ファイバ通信の実用化がはじまっている。また、高速で高信頼性の光半導体モジュールが、同軸型あるいはDual- inline型と呼ばれるモジュール構造で実現されており、これらは主に幹線系と呼ばれる領域で既に実用化されている。
【0003】
また、波長が1.3μm帯の光や1.55μm帯の光などの長波長の光を用い、1本の光ファイバを用いて信号を双方向に送り、同時に信号を送受信できるシステムが検討されている。このように信号を双方向に送る通信を双方向通信と呼んでいる。この方式の利点はファイバが1本ですむことである。
【0004】
例えば図5に示すように、従来から使用されている空間光学系で構成された双方向光モジュールJ1は、光パッケージ72に、光信号入出力用の光ファイバ65、光信号分岐用の光分波器71、受光素子体67、および発光素子体68を備えてなるものであり、光ファイバ65、受光素子本体67、発光素子体68のそれぞれの直前にレンズ66、69、70を備えている。
【0005】
そして、発光素子体68から出射された光信号74は光分波器71を通過して光ファイバ65へ導入され、光ファイバ65より導入された光信号73は光分波器71で反射され受光素子体67で受光される。
【0006】
なお、75は光ファイバホルダ、76および78、81はレンズホルダ、77は受光素子、79は発光素子、80はモニター用受光素子、82は光分波器ホルダである。
【0007】
このような双方向光モジュールJ1の一般的な実装方法としては、半導体レーザ等の光半導体素子を発光させ、結合用のレンズや伝送用の光ファイバの位置決めを行ない、最大結合効率が得られる位置で、レンズや光ファイバをYAG溶接等の接合方法を用いて固定する、いわゆるアクティブアライメントと称される方法が利用されてきた。
【0008】
この実装方法の特徴は、高結合効率と高信頼性が得られることであるが、反面、組み立て作業が煩雑となるという問題点があった。特に、特定波長の光のみを透過させる目的で、波長フィルター等の光学素子を挿入する場合は、さらに調芯箇所が多くなるため、工程がいっそう複雑になり、組み立て時間も長くなる。これは主に加入者系と呼ばれる領域での実用化が目標とされており、高結合効率化、小型化、低価格化等が要求されている。
【0009】
一方、工程を簡略にする方法として、半導体レーザやフォトダイオード等の光半導体素子と光ファイバとを無調芯で実装するパッシブアライメントによる実装方法が提案されている。この方法は、シリコン基板等の異方性エッチングの技術を用いて高精度に形成されたV溝と、このV溝に対してさらに高精度に形成された光半導体素子搭載用電極、または、位置決め用マーカーからなる光部品実装用基板を用いることにより可能となる。
【0010】
例えば図6に示すように、シリコンプラットフォームを使用した双方向光モジュールJ2は、光パッケージ63にシリコンプラットフォーム48が組み込まれ、そのシリコンプラットフォーム48上に光信号の入出力のための光ファイバ47と、光信号を分岐するための光分波器61と受光素子53と発光素子56を備えてなるものであり、光ファイバ47、受光素子53、発光素子56の直前にレンズ51を備えている。発光素子56から出射した光信号は光分波器61を通過して光ファイバ47へ導入され、光ファイバ47より導入した光信号は光分波器61で反射して受光素子53で受光するようになっている。
【0011】
なお、49および55、60は信号光光路確保用V溝、50はレンズ搭載用V溝、52は受光素子搭載用チップキャリア、54は受光素子搭載用チップキャリア配設溝、57はモニター用受光素子、58aおよび58bはモニター用受光素子駆動用電極、59aおよび59bは発光素子駆動用電極、62は光分波器搭載用溝、64はリード端子である。また、G−GG線は光ファイバの光軸に一致する直線であり、H−HH線はG−GG線に直交する線である。
【0012】
この実装方法の特徴は、光半導体素子と光ファイバとを、光パワーをモニターすることなく無調芯で直接接続でき、短時間で簡便に実装が行なえるため、自動化が容易で大量生産に適している。反面、結合効率が上記シリコン基板のパターニング精度や、半導体素子等の実装精度に依存するため、高効率の結合には不向きである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、光モジュールJ1の場合、光学素子を空間光学系で構成しアクティブアライメントにより調芯したのち、複数の箇所を接合する必要があるため、結合効率は高いが、部品点数が多く、すべての光学素子を位置合わせする作業が複雑となり、作業時間が長く光モジュールが大型化する。
【0014】
また、光モジュールJ2の場合、シリコンプラットフォームを用いてパッシブアライメントにより位置決めすることにより、すべての光学素子を位置合わせする作業が比較的簡便になるため作業時間が短くなり比較的小型になる。その反面、結合効率がシリコンプラットフォーム上の光半導体素子搭載用電極、また位置決め用マーカー、光部品搭載用溝等の設計パターン精度や光分波器搭載用溝の加工精度に依存してしまう。パターン精度や加工精度を高精度にしようとすると、より高精度なマスク合わせ技術や溝加工技術が必要となり作業が複雑化する。その結果、光モジュールの高結合効率化と低コスト化の両立が困難であった。
【0015】
本発明では、双方向光モジュールにおいて、必要最小限の部品点数で結合効率がよく、小型化が可能でアライメントがきわめて簡易な双方向光モジュールを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するために、本発明の双方向光モジュールの製造方法は、発光素子搭載用電極が形成されるとともに、レンズ搭載用V溝が異方性エッチングにより形成され、光伝送路へ光信号を送信する発光素子の送信光軸に対して45度の角度をなすように端面が形成され、該端面に光分波器が接合された第1の光部品実装用シリコン基板を準備する工程と、受光素子搭載用チップキャリア搭載用V溝が異方性エッチングにより形成され、前記発光素子の前記送信光軸に対して45度の角度をなすように端面が形成された第2の光部品実装用シリコン基板を準備する工程と、前記光伝送路が側壁に形成され、光ファイバフォルダを備えた光パッケージを準備する工程と、前記第1の光部品実装用シリコン基板と前記第2の光部品実装用シリコン基板とに、それぞれ形成された前記送信光軸に対して45度の角度をなす端面で前記光分波器をはさみ込むようにして、前記第1の光部品実装用シリコン基板と前記第2の光部品実装用シリコン基板とを前記光パッケージに収納する工程と、前記第1の光部品実装用シリコン基板の前記発光素子搭載用電極に前記発光素子を搭載するとともに、前記レンズ搭載用V溝にレンズを搭載して前記発光素子と前記レンズとをパッシブアライメント法で実装する工程と、前記第2の光部品実装用シリコン基板の前記受光素子搭載用チップキャリア搭載用V溝に、前記光分波器で分波された前記光伝送路からの外部光信号を受信する受光素子が搭載された受光素子搭載用チップキャリアを受信光軸が前記光分波器の分波方向に一致するように搭載する工程と、前記発光素子および前記レンズが搭載された前記第1の光部品実装用シリコン基板と、前記受光素子搭載用チップキャリアが搭載された前記第2の光部品実装用シリコン基板とを収納した前記光パッケージと前記光パッケージの前記光ファイバフォルダに挿入された光ファイバとをアクティブアライメント法により調芯する工程と、具備することを特徴とする。なおここで、光分波器による分波とは光の透過や反射等を意味するものとする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る光モジュールの実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0018】
図1に光モジュールM1の模式的な平面図を、図2にその側面図を示す。発光素子9から出射した光信号は信号光光路確保用V溝7、そして光分波器15を通過して光ファイバ1へ導入し、光ファイバ1より導入した光信号は光分波器15で反射して受光素子21で受光するようにしている。すなわち、光伝送路Lが側壁に形成されたパッケージ25内に、光伝送路Lへ光信号を送信する発光素子9と、発光素子9の送信光軸A−AAに対し所定角度傾斜させた光分波器15とが配設された基板4を収容しており、光分波器15で分波された光伝送路Lからの外部光信号を受信する受光素子21の受信光軸B−BBが光分波器15の分波方向(光の透過方向または光の反射方向)に一致するように収容している。
【0019】
具体的には、発光素子9から出射した光信号は、第1の光部品実装用基板4に配設された第1のレンズ6を通過し、送信光軸A−AAに対して45度の角度をなすように形成された第1の光部品実装用基板4の端面14に接合された光分波器15で反射し、第1のレンズ6および光パッケージ25に組み込まれた第3のレンズ3を通過して、光ファイバ1に導入されることになる。
【0020】
一方、光ファイバ1より導入した光信号は光パッケージ25に組み込まれた第3のレンズ3を通過し、さらに送信光軸A−AAに対して所定角度(例えば45度)の角度をなすように形成された第1の光部品実装用基板4の端面14aに配設された光分波器15で反射した後、第2の光部品実装用基板16に配設された第2のレンズ19を通過し、パッシブアライメント用V溝20に搭載した受光素子用チップキャリア22に配置された受光素子21で受光される。
【0021】
光部品搭載用溝5、19、20を形成した第1および第2の光部品実装用基板4、16を用い、送信側となる発光素子9と第1のレンズ6の位置決めを、第1の光部品実装用基板4上に形成した発光素子搭載用電極8と第1のレンズ搭載用光部品搭載用溝5に配置することで行なう。
【0022】
さらに、第3のレンズ3を、この第1および第2の光部品実装用基板4、16を収納する光モジュール用光パッケージ25に一体化する。ここで第1の光部品実装用基板4の寸法と光パッケージ25の寸法の精度により、ほぼ送信光軸A−AA上に発光素子9、第1のレンズおよび第3のレンズ3が位置合わせされる。その後、光伝送用光ファイバ1の調芯のみに従来のアクティブアライメント法を採用する。これにより、光半導体素子9と第1のレンズ6の位置ずれ量と、この第1および第2の光部品実装用基板4、16と光パッケージ25に一体化された第3のレンズ3との位置ずれ量を、最後の光ファイバ1の調芯のみをアクティブアライメントすることにより補正し、高効率の結合を得るものである。
【0023】
なお、送信光軸A−AAに平行方向の位置ずれは垂直方向の位置ずれに比べて精度が緩いので、送信光軸A−AAに平行方向の調芯については、第1の光部品実装用基板4と光モジュール用パッケージ25に一体化されたレンズ3との位置ずれを機械加工の精度で追い込むことにより省略できる。このため従来のすべてをアクティブアライメントする方法と比較すると、部品構成を減少させ、組み立て工程を簡略化できる。
【0024】
また、従来のシリコンプラットフォームを用いたパッシブアライメントする方法と比較すると、送信側となる第1のレンズ搭載用溝5や発光素子搭載用電極8が形成される第1の光部品実装用基板4と、受信側となる第2のレンズ搭載用溝19や受光素子搭載用溝20が形成される第2の光部品実装用基板16での光部品搭載溝や電極に求められる精度は後者に比べて前者の方が厳しい。
【0025】
このため、第1のレンズ搭載用溝5や発光素子搭載用電極8が形成される基板と第2のレンズ搭載用溝19や受光素子搭載用溝20が形成される基板に設けられた光部品搭載溝とが混在した基板にする場合と比べて、基板が分割されている場合の受信側となる第2のレンズ搭載用溝19や受光素子搭載用溝20が形成される基板は精度が緩やかになるため歩留まりがよくなる。また、受信側の基板であるシリコンプラットフォームは省いても良い。
【0026】
なお、2は光ファイバを保持する光ファイバホルダ、10はモニター用受光素子、11はモニター用受光素子搭載用電極、12は発光素子駆動用電極、13はモニター用受光素子駆動用電極、14aは第1の光部品実装用基板の端面、14bは第2の光部品実装用基板の端面、17は信号光光路確保用V溝、18は第2のレンズ、23a、23bは信号光光路確保用ダイシング溝、24はリード端子である。
【0027】
つまり、上述したそれぞれの実装技術の利点を生かし、最も高精度な位置決めが求められる光パッケージと光ファイバとの実装には、アクティブアライメントによる実装法を用い、次に実装精度の求められる発光素子とレンズとの実装には光部品実装用基板であるシリコンプラットフォームを用いたパッシブアライメント法で実装する。そして、実装精度の緩い光部品である受光素子は精度の緩い光部品実装用基板を用いるか、もしくは光部品実装用基板を用いず直接光パッケージに実装する。このように求められる精度に応じた実装方法を用いて、必要最小限の部品点数で結合効率がよく、小型で、アライメントが比較的簡易な低コストの双方向光モジュールを提供することができる。
【0028】
【実施例】
以下により具体的な実施例について詳細に説明する。
【0029】
〔実施例1〕
図1に示すように、まず、第1の光部品実装用基板4はシリコン単結晶からなるシリコン基板を熱酸化し、シリコン基板面に膜厚0.1μmの熱酸化膜を形成する。次に、基板全面にシリコン窒化膜を膜厚0.1μm成膜した。
【0030】
その後、フォトリソグラフィーを行い、幅0.98mmの第1のレンズ搭載用のV溝5および幅0.15mmの信号光光路確保用V溝7のV溝のパターンを形成し、シリコン窒化膜をRIEドライエッチングにより、熱酸化膜をバッファふっ酸のウエットエッチングを用いて、パターン内のシリコン窒化膜および熱酸化膜を除去した。
【0031】
次に、残っているシリコン窒化膜に形成した第1のレンズ搭載用のV溝5および信号光光路確保用V溝7のV溝パターンをエッチングマスクとしてシリコン面をKOH(濃度43重量%、温度63.5℃)に漬し、異方性エッチングを行い、第1のレンズ搭載用のV溝5および信号光光路確保用V溝7を形成した。
【0032】
次に、RIEのドライエッチングにより第1のレンズ搭載用のV溝5および信号光光路確保用V溝7形成用エッチングマスクのシリコン窒化膜を除去した。
【0033】
次に、基板上にフォトリソグラフィーを行って光半導体実装用電極8、11及び駆動用電極12、13のパターンを形成した後、光半導体実装用電極8、11及び駆動用電極12、13をTi/Pt/Auを0.1μm/0.3μm/0.3μmで構成した。なお、上記電極材料は下層/上層の順で表記している。光半導体実装用電極8、11上に半田(重量比Au:Sn=70:30、厚み2.5μm)(不図示)を形成した。
【0034】
第1の光部品実装用基板4は送信光軸A−AAに対して45度の角度をなすように端面14aを形成し、最後に光軸に対して45度の角度をなすように形成された第1の光部品実装用基板4の端面14a に波長フィルター等の光分波器15をエポキシ等の接着剤で接合を行なった。
【0035】
一方、第2の光部品実装用基板16は、シリコン単結晶からなるシリコン基板を熱酸化し、シリコン基板面に膜厚0.5μmの熱酸化膜を形成した。
【0036】
次に、基板全面にシリコン窒化膜を膜厚0.1μm成膜した。それからフォトリソグラフィーを行って幅0.98mmの第2のレンズ搭載用のV溝19および幅1.50mmの受光素子用チップキャリア搭載用のV溝20および幅0.15mmの信号光光路確保用V溝17のパターンを形成し、シリコン窒化膜をRIEドライエッチングで、熱酸化膜をバッファふっ酸のウエットエッチングを用いてパターン内のシリコン窒化膜および熱酸化膜を除去した。
【0037】
次に、残っているシリコン窒化膜に形成した第2のレンズ搭載用のV溝19および受光素子用チップキャリア搭載用V溝20および信号光光路確保用V溝17のパターンをエッチングマスクとしてシリコン面をKOH(濃度43重量%、温度63.5℃)に浸して異方性エッチングを行い、第2のレンズ搭載用のV溝19および受光素子用チップキャリア載用V溝20および信号光光路確保用V溝17を形成した。
【0038】
次に、RIE等のドライエッチングにより第2のレンズ搭載用のV溝19および受光素子用チップキャリア搭載用V溝20および信号光光路確保用V溝17形成用エッチングマスクのシリコン窒化膜を除去した。
【0039】
最後に、第2の光部品実装用基板16は送信光軸A−AAに対して45度の角度をなすように端面14bを形成した。
【0040】
これらの第1の光部品実装用基板4および第2の光部品実装用基板16をそれぞれ送信光軸A−AAに対して45度の角度をなす端面14a、14bどうしを向かい合わせ波長フィルター等の光分波器15をはさみ込む構造になるように第3のレンズ3が組み込まれた光パッケージ25に収納し、各溝に素子を配設し、その後に結合効率が最大となるように光ファイバ1および光ファイバホルダ2を調芯して接合をおこなった。なお、2は光ファイバを保持する光ファイバホルダ、10はモニター用受光素子、14bは第2の光部品実装用基板の端面、18は第2のレンズ、23a、23bは信号光光路確保用ダイシング溝、24はリード端子である。
【0041】
光ファイバ1より導入した光信号は第3のレンズ3および信号光光路確保用V溝17を通り光分波器15で反射して第2のレンズ18を通って受光素子21で受光し、発光素子9から出射した光信号は第1のレンズ6を通って光分波器15を通過して信号光光路確保用V溝7、17および第3のレンズを通って光ファイバ1へ導入するようになっている。
【0042】
これにより、発光素子9および第1のレンズ6が搭載される光部品実装用基板4の位置決め精度を向上させた上で、必要最小限の部品点数にて結合効率がよく、小型で、アライメントが比較的簡易で低コストな双方向光モジュールM1を提供することができる。
【0043】
〔実施例2〕
図3に示すように、まず、第1の光部品実装用基板29aはシリコン単結晶からなるシリコン基板を熱酸化し、シリコン基板面に膜厚0.1μmの熱酸化膜を形成する。次に、基板全面にシリコン窒化膜を膜厚0.1μm成膜した。
【0044】
その後、フォトリソグラフィーを行って幅0.98mmの第1のレンズ搭載用のV溝43および幅0.15mmの信号光光路確保用V溝42aのパターンを形成し、シリコン窒化膜をRIEドライエッチングで、熱酸化膜をバッファふっ酸のウエットエッチングを用いてパターン内のシリコン窒化膜および熱酸化膜を除去した。
【0045】
次に、残っているシリコン窒化膜に形成した第1のレンズ搭載用のV溝43および信号光光路確保用V溝42のV溝パターンをエッチングマスクとし、シリコン面をKOH(濃度43重量%、温度63.5℃)に浸して異方性エッチングを行い、第1のレンズ搭載用のV溝43および信号光光路確保用V溝42aを形成した。
【0046】
次に、RIEのドライエッチングにより第1のレンズ搭載用のV溝43および信号光光路確保用V溝42a形成用エッチングマスクのシリコン窒化膜を除去した。
【0047】
次に、第1の光部品実装用基板29a上にフォトリソグラフィーを行って光半導体実装用電極38、39及び駆動用電極40、41のパターンを形成した後、光半導体実装用電極38、39及び駆動用電極40、41をTi/Pt/Auを0.1μm/0.3μm/0.3μmで構成した。上記電極材料は下層/上層の順で表記している。光半導体実装用電極40、41上に半田(重量比Au:Sn=70:30、厚み2.5μm)(不図示)で形成した。
【0048】
第1の光部品実装用基板29aは受信光軸C−CCに対して45度の角度をなすように端面34aを形成し、最後に受信光軸C−CCに対して45度の角度をなすように形成された第1の光部品実装用基板29aの端面34a に波長フィルター等の光分波器35をエポキシ等の接着剤で接合を行なった。一方、第2の光部品実装用基板29bは、シリコン単結晶からなるシリコン基板を熱酸化し、シリコン基板面に膜厚0.5μmの熱酸化膜を形成する。
【0049】
次に、基板全面にシリコン窒化膜を膜厚0.1μm成膜した。それからフォトリソグラフィーを行って幅1.50mmの受光素子用チップキャリア搭載用のV溝30および幅0.15mmの信号光光路確保用V溝33aのパターンを形成し、シリコン窒化膜をRIEドライエッチングで、熱酸化膜をバッファふっ酸のウエットエッチングを用いてパターン内のシリコン窒化膜および熱酸化膜を除去した。
【0050】
次に、残っているシリコン窒化膜に形成した受光素子用チップキャリア搭載用V溝30および信号光光路確保用V溝33aのパターンをエッチングマスクとしてシリコン面をKOH(濃度43重量%、温度63.5℃)に漬してよる異方性エッチングを行い、受光素子用チップキャリア載用V溝30および信号光光路確保用V溝33aを形成した。次に、RIE等のドライエッチングにより受光素子用チップキャリア搭載用V溝30および信号光光路確保用V溝33a形成用エッチングマスクのシリコン窒化膜を除去した。最後に、第2の光部品実装用基板29bは受信光軸C−CCに対して45度の角度をなすように端面34bは形成した。
【0051】
これらの第1の光部品実装用基板29aおよび第2の光部品実装用基板29bをそれぞれ受信光軸C−CCに対して45度の角度をなす端面34a、34bどうしを向かい合わせ波長フィルター等の光分波器35をはさみ込む構造になるように第2のレンズ28が組み込まれた光パッケージ46に収納し、各溝に素子を配設し、その後に結合効率が最大となるように光ファイバ26および光ファイバホルダ27を調芯して接合をおこなった。
【0052】
なお、31は受光素子搭載用チップキャリア、32は受光素子、33bは信号光光路確保用ダイシング溝、36は発光素子、37はモニター用受光素子である。また、D−DDは送信光軸である。
【0053】
光ファイバ26より導入した光信号は第2のレンズ28および第1のレンズ44を透過し信号光光路確保用V溝42a、33aを通り光分波器35を透過して受光素子21で受光し、発光素子9から出射した光信号は第1のレンズ6を通って光分波器32を通過して信号光光路確保用V溝33a、42aと、第1のレンズ44および第2のレンズ28を通って光ファイバ26へ導入するようになっている。
【0054】
発光素子36および第1のレンズ44が搭載される光部品実装用基板29aと第2のレンズ28との位置決めが光部品実装用基板29aを光パッケージ46に収めることで可能となるため、必要最小限の部品点数にて結合効率がよく、小型で、アライメントが比較的簡易で低コストな双方向光モジュールM2を提供することができる。
【0055】
〔実施例3〕
図4に示すように、まず、第1の光部品実装用基板88はシリコン単結晶からなるシリコン基板を熱酸化し、シリコン基板面に膜厚0.1μmの熱酸化膜を形成した。
【0056】
次に、基板全面にシリコン窒化膜を膜厚0.1μm成膜した。それからフォトリソグラフィーを行って幅0.98mmの第1のレンズ搭載用のV溝86および幅0.15mmの信号光光路確保用V溝89のパターンを形成し、シリコン窒化膜をRIEドライエッチングで、熱酸化膜をバッファふっ酸のウエットエッチングを用いてパターン内のシリコン窒化膜および熱酸化膜を除去した。次に残っているシリコン窒化膜に形成した第1のレンズ搭載用のV溝86および信号光光路確保用V溝89のV溝パターンをエッチングマスクとしてシリコン面をKOH(濃度43重量%、温度63.5℃)に漬してよる異方性エッチングを行い、第1のレンズ搭載用のV溝86および信号光光路確保用V溝86を形成した。
【0057】
次に、RIEのドライエッチングにより第1のレンズ搭載用のV溝86および信号光光路確保用V溝89形成用エッチングマスクのシリコン窒化膜を除去した。
【0058】
次に、第1の光部品実装用基板88上にフォトリソグラフィーを行って光半導体実装用電極94、95及び駆動用電極96、97のパターンを形成した後、光半導体実装用電極94、95及び駆動用電極96、97をTi/Pt/Auを0.1μm/0.3μm/0.3μmで構成した。上記電極材料は下層/上層の順で表記している。光半導体実装用電極94、95上に半田(重量比Au:Sn=70:30、厚み2.5μm)(不図示)で形成した。
【0059】
第1の光部品実装用基板88は受信光軸E−EEに対して45度の角度をなすように端面91を形成し、最後に受信光軸E−EEに対して45度の角度をなすように形成された第1の光部品実装用基板88の端面91に波長フィルター等の光分波器90をエポキシ等の接着剤で接合を行なった。
【0060】
これらの第1の光部品実装用基板88は、第2のレンズ85を有しかつ光パッケージ99内に受光素子用キャリア101および受光素子100が位置決めされて配設された光パッケージ99に収納された後、結合効率が最大となるように光ファイバ83および光ファイバホルダ84を調芯して接合をおこなった。なお、84は光ファイバホルダ、87は第1のレンズ、92は発光素子、93はモニター用受光素子、98は信号光光路確保用ダイシング溝、102はリード端子である。また、F−FFは送信光軸である。
【0061】
光ファイバ83より導入した光信号は第2のレンズ85および第1のレンズ87を透過し信号光光路確保用V溝89を通り光分波器90を透過して受光素子100で受光し、発光素子92から出射した光信号は光分波器90で反射して信号光光路確保用V溝89、第1のレンズ87および第2のレンズ85を通って光ファイバ83へ導入するようになっている。
【0062】
発光素子92および第1のレンズ87が搭載される光部品実装用基板88と第2のレンズ85との位置決めが光部品実装用基板88を光パッケージ99に収めることで可能となるため、必要最小限の部品点数にて結合効率がよく、小型で、アライメントが比較的簡易で低コストな双方向光モジュールM3を提供することができる。
【0063】
【発明の効果】
以上、詳述にしたように、本発明の双方向光モジュールによれば、基板上に受光素子と光ファイバからの出射光をコリメートするためのレンズとを無調芯で搭載できるため、高結合効率で組み立てが簡便な光モジュールが提供できる。
【0064】
また、基板の端面に波長フィルター等の光分波器を直接接合できるため、従来のように光分波器搭載用ダイシング溝に光分波器を配設する際に角度ずれが生じる問題がなくなる。
【0065】
また、レンズ搭載用溝や発光素子搭載用電極が形成される基板と、レンズ搭載用溝や受光素子搭載用溝が形成される基板での光部品搭載溝に求められる精度は前者が厳しく後者が緩いため、レンズ搭載用溝や発光素子搭載用電極が形成される基板と、レンズ搭載用溝や受光素子搭載用溝が形成される基板に設けられた光部品搭載溝が混在した基板と比べて、基板が分割されている場合の受光素子搭載用溝が形成される基板は精度の公差が緩やかであるので歩留まりが向上する。
【0066】
また、受信側の基板であるシリコンプラットフォームは省いても良いことから、部品点数を低減できる。
【0067】
したがって、最も高精度な位置決めが求められる光パッケージと光ファイバとの実装にはアクティブアライメントによる実装法を用い、次に実装精度の求められる発光素子とレンズとの実装には光部品実装用基板であるシリコンプラットフォームを用いたパッシブアライメント法で実装する。そして、実装精度の緩い光部品である受光素子は精度の緩い光部品実装用基板を用いるか、もしくは光部品実装用基板を用いず、直接光パッケージに実装する。このように、求められる精度に応じた実装方法を用いて、必要最小限の部品点数で結合効率がよく、小型で、アライメントが簡易な双方向光モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る双方向光モジュールの一実施形態を模式的に示す平面図である。
【図2】本発明に係る双方向光モジュールの側面図である。
【図3】本発明に係る双方向光モジュールの他の実施形態を模式的に示す平面図である。
【図4】本発明に係る双方向光モジュールの他の実施形態を模式的に示す平面図である。
【図5】従来の双方向光モジュールを模式的に示す平面図である。
【図6】従来の他の双方向光モジュールを模式的に示す平面図である。
【符号の説明】
1、26、47、65、83:光ファイバ
2、27、75、84:光ファイバホルダ
3:第3のレンズ
4、29a、88:第1の光部品実装用基板
5、43、86:第1のレンズ搭載用V溝
6、44、87:第1のレンズ
7、17、33a、42a、49、55、60、89:信号光光路確保用V溝
8、38、95:発光素子搭載用電極
9、36、56、79、92:発光素子
10、37、57、80、93:モニター用受光素子
11、39、94:モニター用受光素子搭載用電極
12、40、59a、59b、97:発光素子駆動用電極
13、41、96:受光素子駆動用電極
14a、34a、91:第1の光部品実装用基板端面
14b、34b:第2の光部品実装用基板端面
15、35、61、71、90:光分波器
16、29b:第2の光部品実装用基板
18、28、85:第2のレンズ
19:第2のレンズ搭載用V溝
20、30、54:受光素子搭載用チップキャリア搭載用V溝
21、32、53、77、100:受光素子
22、31、52、101:受光素子搭載用チップキャリア
23a、23b、33b、42b、98:信号光光路確保用ダイシング溝
24、45、64、102:リード端子
25、46、63、99:光パッケージ
48:シリコンプラットフォーム
50:レンズ搭載用V溝
51、66、69、70:レンズ
58a、58b:モニター用受光素子の駆動用電極
62:光分波器搭載用溝
67:受光素子モジュール
68:発光素子モジュール
72:ハウジング
73:受信信号
74:送信信号
76、78、81:レンズホルダ
82:光分波器用ホルダ
M1、M2、M3:本発明の双方向光モジュール
J1、J2:従来の双方向光モジュール
Claims (1)
- 発光素子搭載用電極が形成されるとともに、レンズ搭載用V溝が異方性エッチングにより形成され、光伝送路へ光信号を送信する発光素子の送信光軸に対して45度の角度をなすように端面が形成され、該端面に光分波器が接合された第1の光部品実装用シリコン基板を準備する工程と、
受光素子搭載用チップキャリア搭載用V溝が異方性エッチングにより形成され、前記発光素子の前記送信光軸に対して45度の角度をなすように端面が形成された第2の光部品実装用シリコン基板を準備する工程と、
前記光伝送路が側壁に形成され、光ファイバフォルダを備えた光パッケージを準備する工程と、
前記第1の光部品実装用シリコン基板と前記第2の光部品実装用シリコン基板とに、それぞれ形成された前記送信光軸に対して45度の角度をなす端面で前記光分波器をはさみ込むようにして、前記第1の光部品実装用シリコン基板と前記第2の光部品実装用シリコン基板とを前記光パッケージに収納する工程と、
前記第1の光部品実装用シリコン基板の前記発光素子搭載用電極に前記発光素子を搭載するとともに、前記レンズ搭載用V溝にレンズを搭載して前記発光素子と前記レンズとをパッシブアライメント法で実装する工程と、
前記第2の光部品実装用シリコン基板の前記受光素子搭載用チップキャリア搭載用V溝に、前記光分波器で分波された前記光伝送路からの外部光信号を受信する受光素子が搭載された受光素子搭載用チップキャリアを受信光軸が前記光分波器の分波方向に一致するように搭載する工程と、
前記発光素子および前記レンズが搭載された前記第1の光部品実装用シリコン基板と、前記受光素子搭載用チップキャリアが搭載された前記第2の光部品実装用シリコン基板とを収納した前記光パッケージと前記光パッケージの前記光ファイバフォルダに挿入された光ファイバとをアクティブアライメント法により調芯する工程と、
を具備することを特徴とする双方向光モジュールの製造方法。
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