JP4247825B2 - 高粘性材料のピン転写方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高粘性材料のピン転写方法及び装置に係り、とくに0503サイズ(長さ0.5mm、幅0.3mm、厚み0.3mm)程度までの極小電子部品等の組立工程において、極微量の接着剤、ペースト剤等の高粘性材料を塗布するのに好適な高粘性材料のピン転写方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ピン転写方法は、転写ピンの先端を下に向けて転写ピン先端部を樹脂(例えば接着剤)等の高粘性材料中に浸漬させ、転写ピンを持ち上げてその先端部に残留する高粘性材料を上方向から被塗布面に塗布する方法である。
【0003】
また、ディスペンサを用いる方法は、シリンジに送り込む空気の量をコントロールすることにより、塗布量をコントロールする方法である。
【0004】
従来、樹脂等の高粘性材料のピン転写方法を示すものとして下記特許文献1及び特許文献2が知られている。これらは、電子部品のリフローはんだ工程における部品仮固定に用いられている樹脂のピン転写方法を示すものである。また、極微量の高粘性材料を塗布する方法としては、下記特許文献3にあるように、案内孔の端面からの転写ピンの引込み量を一定に保つことにより、転写ピンの先端面に残留する高粘性材料の量が一定となり、転写ピンの先端面を下方向に向けた状態のままで、転写ピンの先端面に所定量の高粘性材料を残留させることができ、被塗布面に対し上方向又は横方向からの塗布が容易となるので、所定量の高粘性材料を効率良く塗布し得る高粘性材料の塗布方法が知られている。
【0005】
【特許文献1】
実開平5−22061号公報
【特許文献2】
特開平8−257484号公報
【特許文献3】
特開平6−142576号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のピン転写方法は、樹脂等の高粘性材料を塗布するための転写ピンの先端部形状に工夫が無く、図15乃至図18に示すように転写ピン1の先端面が平坦面(先端角180°)であるため、例えば、特許文献2の図7(c)〜(f)にあるように、高速塗布の際、粘性の高い樹脂を塗布するときはツノ引きが生じ対象物塗布後のピン上昇時に樹脂切れが悪くなり、周辺へ樹脂が付着し様々な悪さを引き起こしてしまうことがあった。
【0007】
また、従来のピン転写方法は、図15のように、転写ピン1の下降、塗布、上昇の一連の動作において、樹脂等の高粘性材料の塗布時、対象物に接触した際に、高粘性材料が被塗布面と転写ピン先端の平坦面とで挟まれ、高粘性材料が必要以上に広がってしまうことがある。
【0008】
同じく、図16のように、転写ピン1の下降、塗布、上昇の一連の動作において、転写ピン1の先端面が平らであることが、対象物の傾きによる影響で塗布量が変化する要因となっていた。
【0009】
また、図17(A)のように、転写ピン1の下降、塗布、上昇の一連の動作において、転写ピン1を対象物に接触させなければ、塗布量の繰り返し精度が悪くなり、さらに、同図(B)のように対象物との距離不適切である時には殆ど塗布されない場合も生じる。
【0010】
さらに、図18のように、一部に凸部がある対象物に対して転写ピン1で複数点塗布する場合、転写ピン先端面が平坦面であるため、その先端面の一部が凸部に当たると対象物の被塗布面に直接転写ピンが接触せず(距離があき)、安定した塗布動作が不可能となる。
【0011】
それから、多点塗布の場合はピン転写のための装置構成が大型化するとともに、位置精度や平行度等の微調整が困難となり自動設備であれば他のピンとのバランスを取るため面出しや条件出しが困難となり、稼働率の低下に結びついてしまう。
【0012】
0503サイズ程度の小型コイル素子等の電子部品を量産する場合には、従来のピン転写方法では、ツノ引き、ツノ倒れが発生し、効率の良い塗布作業が行えず、また、ディスペンサを用いる方法では、同時に塗布する箇所の数だけコントローラを必要とし、塗布装置が大型化するとともに設備コストが増加するという欠点を有する。また、1個のディスペンサで順次塗布して行く方法では、サイクルタイムが遅くなり、またマルチニードルを用い微少塗布する方法は個々のばらつきをコントロールすることができない問題が発生する。
【0013】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、所定量の高粘性材料を効率良く塗布し得る高粘性材料のピン転写方法及び装置を提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明は、凹凸のある、あるいは微小形状の対象物に対して、正確、高速で且つ多点塗布が可能で、連続サイクルにおける転写ピン先端部のクリーニングレスが実現でき、歩留まり向上及び稼働率向上を図ることが可能な高粘性材料のピン転写方法及び装置を提供することをもう1つの目的とする。
【0015】
本発明のその他の目的や新規な特徴は後述の実施の形態において明らかにする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願請求項1の発明に係る高粘性材料のピン転写方法は、
転写ピンの先端部に高粘性材料を付着させた後、該転写ピンの先端縁をセラミックの被塗布面に当てて、当該転写ピンの先端部の高粘性材料を前記被塗布面に付着させる高粘性材料のピン転写方法であって、
前記転写ピンは先端部が楔状に尖って先端縁が直線を成していて、先端角が52°〜68°であり、当該先端部は左右対称形状であることを特徴としている。
【0017】
本願請求項2の発明に係る高粘性材料のピン転写方法は、請求項1において、前記先端角が60°であることを特徴としている。
【0018】
本願請求項3の発明に係る高粘性材料のピン転写方法は、請求項1又は2において、転写ピンが嵌合する貫通孔を有する雌型を用い、前記貫通孔を通して前記転写ピンを下方に突出させて先端部に高粘性材料を付着させた後、前記転写ピンを前記貫通孔の開口面から所定距離引き込み、前記貫通孔の開口面から下方に突出した高粘性材料を除去し、その後、前記転写ピン先端部を前記開口面から突出させて被塗布面に当てることを特徴としている。
【0019】
本願請求項4の発明に係る高粘性材料のピン転写方法は、請求項1,2又は3において、前記転写ピンは角ピンであり、前記貫通孔は角孔であることを特徴としている。
【0020】
本願請求項5の発明に係る高粘性材料のピン転写方法は、請求項1,2,3又は4において、前記高粘性材料が粘度20Pa・s〜95Pa・sの樹脂であり、最大塗布径φ=0.35±0.05mm以下の樹脂スポットを前記被塗布面に形成することを特徴としている。
【0021】
本願請求項6の発明に係る高粘性材料のピン転写装置は、
貫通孔を有する雌型と、該貫通孔に嵌合する転写ピンとを備え、該転写ピンの先端縁をセラミックの被塗布面に当てて、当該転写ピンの先端部に付着した高粘性材料を前記被塗布面に付着させる高粘性材料のピン転写装置であり、
前記転写ピンは前記貫通孔を通して下方に突出しており、かつ前記転写ピンの先端部は楔状に尖って先端縁が直線を成していて、先端角が52°〜68°であり、当該先端部は左右対称形状であることを特徴としている。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る高粘性材料のピン転写方法及び装置の実施の形態を図面に従って説明する。
【0024】
図1乃至図5を用いて本発明の第1の実施の形態を説明する。図1は高粘性材料のピン転写装置の構成、図2は転写ピンの構成、図3及び図4はピン転写工程、図5はピン転写による塗布結果を、それぞれ示す。
【0025】
これらの図において、塗布ヘッドHは、金属製ガイドホルダ10と、金属製昇降体20とを備え、昇降体20の下部に転写ピン21が一体に設けられている。前記金属製ガイドホルダ10は、下部が貫通孔12を有する雌型11となっており、ガイドホルダ10により金属製昇降体20が昇降自在に支持されている。
【0026】
図2(A),(B)のように、例えば転写ピン21は正面より見て2本が、奥行き方向に2列配置され、合計4本設けられている。それぞれの転写ピン21は角ピン(断面方形)で、貫通孔12も角孔であり、転写ピン21は貫通孔12に嵌合し、貫通孔12を通して下方に突出自在である。また、各転写ピン21の先端部は楔状に尖っていて、好ましくは先端角は52°〜68°の範囲、更に好ましくは先端角58°〜62°の範囲、最も好ましくは先端角60°に設定する。この数値限定の理由は後述する。図2(A)に示すように転写ピン21の先端形状は転写ピン21の中心軸に対して左右対称に形成する。なお、当然のことながら、各転写ピン21の形状は同じであり、高さ位置も揃っている。
【0027】
2012サイズ(長さ2.0mm、幅1.2mm、厚み1.2mm)や1210サイズ(長さ1.2mm、幅1.0mm、厚み1.0mm)程度の小型コイル素子を製造する際に、塗布径φ=0.35±0.05mm(樹脂量約0.035mg)の樹脂スポットを得る場合、転写ピン21が嵌合し出入りする0.5mm×0.3mmの貫通孔(角孔)12を有する金属製の雌型11を用いる。
【0028】
また、0503サイズの超小型コイル素子を製造する際に、塗布径φ=0.15±0.02mm(樹脂量約0.022mg)の樹脂スポットを得る場合、転写ピン21が嵌合し出入りする0.25mm×0.2mmの貫通孔(角孔)12を有する金属製の雌型11を用いる。
【0029】
前記転写ピン21に高粘性材料としての樹脂(複合UV樹脂、一液製エポキシ樹脂接着剤等)を供給するために、樹脂槽31を上面に形成した樹脂供給ベース30が設けられている。樹脂槽31は例えば径3mm、深さ2mm程度であり、樹脂槽31には所定の粘度の樹脂40が満たされている。ここで用いる樹脂40の粘度は20Pa・s〜95Pa・s(ポアズ=10−1N・s/m2)である。樹脂槽31上に盛り上がった樹脂40を供給ベース30の上面に対して一定厚みとなるように掻き取るスキージ32や供給ベース30上に広がった樹脂40を掻き取って樹脂槽31上に戻すスクレーパ33が設けられている。また、後述するが、雌型11の下面に付着する樹脂を掻き取るために掻き取り用テーパー付き弾性部材(ウレタンゴム等)35が供給ベース30の上面から突出するように当該供給ベース30に固定されている。
【0030】
図3及び図4で図1のピン転写装置による樹脂塗布工程について説明する。樹脂を塗布する対象物50は電子部品の構成部材、例えば2012サイズや1210サイズ程度の小型コイル素子の蓋側磁気コアであり、図4、図5に示すように被塗布面51の中央が凸部52となった形状であり、支持台座60上に位置決め、載置されている。なお、凸部52による段差は0.07mm程度である。
【0031】
まず、図3(A)のように、スキージ32により樹脂槽31上の樹脂40を掻き取り、樹脂供給ベース30の上面に対して樹脂40が一定厚みとなるように設定するとともに、塗布ヘッドHが樹脂槽31の真上となる位置関係とする。
【0032】
次に、図3(B)のように、塗布ヘッドH全体が所定高さに下降し、さらに昇降体20が下降することにより、転写ピン21を樹脂槽31内に一定量P(1.5mm程度)浸漬し、樹脂を転写ピン先端部に付ける。
【0033】
それから、図3(C)のように、昇降体20を上昇させ、転写ピン21が雌型11の下端面(貫通孔12の開口面)より微小量Q(0.05mm程度)だけ高くなるように、各転写ピン21を引き込む。
【0034】
その後、図4(A)のように、樹脂供給ベース30が塗布ヘッドHに対して左方向に相対移動することで、雌型11の下端面より下方に突出した樹脂を、掻き取り用テーパー付き弾性部材35で掻き取り、除去する。これにより、転写ピン21の引き込み量に対応した一定の樹脂量が転写ピン21の先端部に残る(貫通孔12内に残る)ことになる。
【0035】
そして、図4(B)のように、対象物50の真上に塗布ヘッドHが移動し、さらに転写ピン21が下降して転写ピン21の先端部を雌型11底面より下方に突出させ、ピン先端角60°で付着樹脂40を重力、粘度、表面張力を利用し略球形状態にする。そして、図4(C)及び図5(A)のように転写ピン21を対象物50の塗布面51に当接させ、樹脂40を付着、塗布する。このように、転写ピン21を塗布面51に接触させることで、樹脂塗布量及び塗布形状のばらつき発生を防止できる。図5(B)は対象物50の塗布面51への樹脂の塗布結果を示し、4点の同時塗布が可能である。
【0036】
塗布終了後、図4(D)のように、塗布ヘッドH全体が上昇するとともに転写ピン21も上昇し、図1の位置関係(ホームポジション)に塗布ヘッドHは戻る。
【0037】
それらの塗布ヘッドHや樹脂供給ベース30の駆動は1つのモーターによりカム軸を回転させ、カムより伝達する各動きを同期動作とすることができ、タイミングばらつき等は殆どなく、繰り返し塗布精度も高い(4箇所塗布仕様の2012サイズでは塗布樹脂量0.10mg〜0.14mg)となることを確認している。
【0038】
また、前記転写ピン21と雌型のギャップ11は片側0.005mmで最大0.01mmとし、転写ピン21引き込み時はシリンジも兼ねているほか、ウレタンゴム等の弾性部材35にて掻き取りを行う際、隙間よりエアー逃げ効果があり、脱泡作用もあるため塗布後にエアーの混入はない。
【0039】
なお、その後の工程において、樹脂(接着剤)の塗布された対象物50が小型コイル素子の蓋側磁気コアであれば、コイルを設けた相手側磁気コアに貼り付けてコイル素子を完成する。
【0040】
以下の表1に転写ピン21の先端角度別比較表を示す。
【0041】
【表1】
【0042】
表1の(A)は図12〜図14のように転写ピンの先端角度を30°〜180°と大きく変化させた場合、(B)は先端角度を60°前後において詳細に変化させた場合を示す。サンプル数n=1,000個であり、「OK」は塗布樹脂量が適切量である場合、「多い」は塗布樹脂量が過多、「少ない」は塗布樹脂量が過少、「はみだし」は所要塗布径から樹脂がはみ出している場合を示す。
【0043】
表1(A)から先端角度30°,45゜,90°や180°に比較して先端角度60°が断然良好な結果が得られていることが判る。また、表1(B)に鑑みると、先端角度60°前後、つまり先端角52°〜68°の範囲でも良好な結果が得られており、更に先端角58°〜62°の範囲が好ましく、最適値が先端角60°であることが判る。
【0044】
転写ピン21の楔状に尖った先端部の先端角60°のときが、目標値である塗布量0.12mgで塗布サイクルタイム0.65sec/4箇所(6箇所)を満足する結果が得られている。
【0045】
楔状の先端角60°の転写ピンは、樹脂槽31への浸漬からの樹脂持ち出し、雌型11からの一定量引き込み後の樹脂掻き取り充填、転写ピン先端が突き出した際の樹脂残留量、転写ピン先端を突きだした後の重力の影響による略球形状態が最も好適であった。
【0046】
この第1の実施の形態によれば、次の通りの効果を得ることができる。
【0047】
(1) 凹凸のある小型対象物への高粘性材料としての樹脂塗布が可能で、且つ超高速で効率的な多点塗布が可能であり、例えば、長さ2.5mm、幅2.0mm、厚み0.4mm以下のコイル素子等の電子部品(とくに嵌合構造部を有する凹凸のある構成部品同士の接着等)に対する微量多点塗布を実現できる。もちろん、上記以外の大型品には対応可能であることは、言うまでもない。
【0048】
(2) 樹脂塗布量の微量化が可能であるため、電子部品の製品の小型・低背化ができ、ディスペンサ等では不可能であった粘度20Pa・s〜95Pa・sの樹脂による、最大塗布径φ=0.35±0.05mm以下で樹脂重量0.035mg以下の樹脂スポットを前記被塗布面に形成可能である。とくに、最小塗布径φ=0.15mmの塗布点形成が可能である。
【0049】
(3) 高粘性材料塗布後のツノ引きツノ倒れが極めて発生しにくいピン上下動作、それから塗布量の安定性を繰り返し確保できるカムの同期動作機構による高速安定塗布が可能になる。
【0050】
(4) 毎回ウレタンゴム等のテーパー付き弾性部材35で雌型11下面の掻き取りを行うため、樹脂が累積で転写ピン先端部に堆積することがないため、クリーニング手段あるいはクリーニング工程等を付加する必要もなくなる。このため、連続サイクルにおける転写ピン先端部のクリーニングレス化ができ、歩留まり向上及び稼働率向上を図ることができる。
【0051】
図6は本発明の第2の実施の形態であって、(A)の正面より見て1本(奥行き方向に2本)の転写ピン21を備える塗布ヘッドを用いて、(B)のように0503サイズの対象物50に対する樹脂40(接着剤等)の2点スポット塗布を行った場合を示す。転写ピン21の本数及び配置が異なる以外は前述の第1の実施の形態と同様である。
【0052】
図7は本発明の第3の実施の形態であって、(A)の正面より見て1本(奥行き方向も1本)の転写ピン21を備える塗布ヘッドを用いて、(B)のように0503サイズの対象物50に対する樹脂40(接着剤等)の1点スポット塗布を行った場合を示す。転写ピン21の本数及び配置が異なる以外は前述の第1の実施の形態と同様である。
【0053】
図8は本発明の第4の実施の形態であって、(A)の正面より見て2本(奥行き方向に2本)の転写ピン21を備える塗布ヘッドを用いて、(B)のように対象物50に対する樹脂40(接着剤等)の4点スポット塗布を行った場合を示す。転写ピン21の配置間隔が異なる以外は前述の第1の実施の形態と同様である。
【0054】
図9は本発明の第5の実施の形態であって、(A)の正面より見て3本(奥行き方向に2本)の転写ピン21を備える塗布ヘッドを用いて、(B)のように対象物50に対する樹脂40(接着剤等)の6点スポット塗布を行った場合を示す。転写ピン21の本数及び配置が異なる以外は前述の第1の実施の形態と同様である。
【0055】
第1乃至第5の実施の形態で示すように、図5の2012サイズ程度の小型コイル素子に用いられる凹凸を有するコア等に塗布することができ、また、図6、図7で示す0503の極小サイズである小型部品には転写ピン及び雌型を交換するだけで、塗布することができる。同じく図8、図9に示す平面コア等は狙った部分にはみ出すことなく高速で且つ多点塗布することが可能である。
【0056】
図10は転写ピンの第1の比較例であり、転写ピン61は角ピンの先端部を角錐状に尖らせた構成である。
【0057】
また、図11は転写ピンの第2の比較例であり、転写ピン71は角ピンの先端部を円錐状に尖らせた構成である。
【0058】
図10や図11の比較例では、転写ピン先端部を角錐や円錐形状としているため、量産した場合に、硬質の対象物(フェライト等のセラミック)との接触により、先端の磨耗変形が著しく、不適当である。
【0059】
以上本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されることなく請求項の記載の範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当業者には自明であろう。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、塗布対象物として塗布面に凹凸のある異形品への高粘性材料の微量塗布が可能となり、且つ高速で多点塗布が可能になることで、例えば2.0mm×1.2mm×0.4mmサイズにおける4点塗布、2.5mm×2.0mm×0.4mmサイズにおける6点塗布、1.2mm×1.0mm×0.25mmサイズにおける2点塗布、0.5mm×0.3mm×0.2mmサイズにおける微量の2点塗布が可能になる。もちろん、上記以外の大型品は対応可能であることは、言うまでもない。
【0061】
また、電子部品の構成部材に対して接着剤等の微量塗布が可能であるため、電子部品の小型・低背化ができ、ディスペンサ等では不可能であった粘度20Pa・s〜95Pa・sの高粘性材料による、最小塗布径φ=0.15mmが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態であって、高粘性材料のピン転写装置の概略構成図である。
【図2】第1の実施の形態で用いる転写ピンであって、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図3】第1の実施の形態におけるピン転写動作の前半工程を示す説明図である。
【図4】第1の実施の形態におけるピン転写動作の後半工程を示す説明図である。
【図5】第1の実施の形態における転写ピンの塗布動作及び塗布結果であって、(A)は対象物の凹凸のある塗布面に対する転写ピンの塗布動作を示す正面図、(B)は対象物に4点スポット塗布を行った場合の平面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態における転写ピンの塗布動作及び塗布結果であって、(A)は対象物に対する転写ピンの塗布動作を示す正面図、(B)は対象物に2点スポット塗布を行った場合の平面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態における転写ピンの塗布動作及び塗布結果であって、(A)は対象物に対する転写ピンの塗布動作を示す正面図、(B)は対象物に1点スポット塗布を行った場合の平面図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態における転写ピンの塗布動作及び塗布結果であって、(A)は対象物の平坦な塗布面に対する転写ピンの塗布動作を示す正面図、(B)は対象物に4点スポット塗布を行った場合の平面図である。
【図9】本発明の第5の実施の形態における転写ピンの塗布動作及び塗布結果であって、(A)は対象物に対する転写ピンの塗布動作を示す正面図、(B)は対象物に6点スポット塗布を行った場合の平面図である。
【図10】転写ピンの第1の比較例であって、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図11】転写ピンの第2の比較例であって、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図12】転写ピンの先端角30°で不適切な場合であって、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図13】転写ピンの先端角45°で不適切な場合であって、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図14】転写ピンの先端角90°で不適切な場合であって、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図15】従来の転写ピン先端面が平坦面(先端角180°)のときの塗布動作の説明図である。
【図16】従来の転写ピン先端面が平坦面で塗布面が傾斜しているときの塗布動作の説明図である。
【図17】従来の転写ピン先端面が平坦面で塗布面から転写ピンが離れているときの塗布動作であって、(A)は転写ピンと塗布面の距離か小さいとき、(B)は距離が大きいときの説明図である。
【図18】従来の転写ピン先端面が平坦面であるときの凹凸のある塗布面への塗布動作を示す説明図である。
【符号の説明】
1,21,61,71 転写ピン
10 ガイドホルダ
11 雌型
12 貫通孔
20 昇降体
30 樹脂供給ベース
31 樹脂槽
32 スキージ
33 スクレーパ
35 テーパー付き弾性部材
40 樹脂
50 対象物
51 被塗布面
60 支持台座
H 塗布ヘッド
Claims (6)
- 転写ピンの先端部に高粘性材料を付着させた後、該転写ピンの先端縁をセラミックの被塗布面に当てて、当該転写ピンの先端部の高粘性材料を前記被塗布面に付着させる高粘性材料のピン転写方法であって、
前記転写ピンは先端部が楔状に尖って先端縁が直線を成していて、先端角が52°〜68°であり、当該先端部は左右対称形状である高粘性材料のピン転写方法。 - 前記先端角が60°である請求項1記載の高粘性材料のピン転写方法。
- 転写ピンが嵌合する貫通孔を有する雌型を用い、前記貫通孔を通して前記転写ピンを下方に突出させて先端部に高粘性材料を付着させた後、前記転写ピンを前記貫通孔の開口面から所定距離引き込み、前記貫通孔の開口面から下方に突出した高粘性材料を除去し、その後、前記転写ピン先端部を前記開口面から突出させて被塗布面に当てることを特徴とする請求項1又は2記載の高粘性材料のピン転写方法。
- 前記転写ピンは角ピンであり、前記貫通孔は角孔である請求項1,2又は3記載の高粘性材料のピン転写方法。
- 前記高粘性材料が粘度20Pa・s〜95Pa・sの樹脂であり、最大塗布径φ=0.35±0.05mm以下の樹脂スポットを前記被塗布面に形成する請求項1,2,3又は4記載の高粘性材料のピン転写方法。
- 貫通孔を有する雌型と、該貫通孔に嵌合する転写ピンとを備え、該転写ピンの先端縁をセラミックの被塗布面に当てて、当該転写ピンの先端部に付着した高粘性材料を前記被塗布面に付着させる高粘性材料のピン転写装置であり、
前記転写ピンは前記貫通孔を通して下方に突出しており、かつ前記転写ピンの先端部は楔状に尖って先端縁が直線を成していて、先端角が52°〜68°であり、当該先端部は左右対称形状であることを特徴とする高粘性材料のピン転写装置。
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JP2003165736A JP4247825B2 (ja) | 2003-06-10 | 2003-06-10 | 高粘性材料のピン転写方法及び装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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